新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

「よみがえる国宝」展  九州国立博物館

2011年07月16日 | 美術館&博物館

Yoritomo2_2 大宰府天満宮に隣接する九州国立博物館に、 東風(こち)に乗ってやってきたのは、私が心ひそかに日本一美しい男性と思っている「源頼朝像」です。(上記の赤文字をクリックすると詳しい展覧会情報が得られます。)

 教科書に小さく掲載されたお馴染みのポーズにはほとんどの人が記憶があると思いますが、実物は等身大ほどに大きくて存在感と威圧感がばっちり。最近は頼朝でなく足利直義説が有力だとか・・・。

 端正な顔立ちと意志の強い目と威厳にみちた口元を見ていると、やっぱり初代征夷大将軍の源頼朝であってほしいと願ってしまいます。展覧会でのタイトルも「源頼朝像」で、これを所蔵している神護寺は新説を完全に否定しているそうです。

 修理された黒い袍には唐草模様が浮かび上がり、袍の無駄のないラインと相まってさらに高貴さが増したのではないでしょうか。それにしても13世紀(鎌倉時代)に、このように心の内面まで描ききる画家がいたことに驚きます。教科書で見た数センチの世界が、一気に大きく夢を持って広がりました。

 

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Haiironome3 頼朝像の前で対照的にまぶたに浮かんだのがティツィアーノの「灰色の目をした男」です。頼朝が左向きなのに対してこちらは右向き。衣類は同じ黒。こちらの方が内面の憂いを感じますが。

 塩野七生「緋色のヴェネツィア」のカバー絵にも取り上げられています。見れば見るほど本物を見たい衝動に駆られ、パラティナ絵画館(ピッティ美術館)で感動のご対面となったときはやはりぞくっとしました。

 ティツィアーノと同じくヴェネツィア出身の男性がモデルかと思いましたが、もう一つのタイトルが「イギリス人」だとか。それでも「緋色・・・」の主人公マルコ・ダンドロとイメージが重なりやっぱり ヴェネツィアの貴族に見えてしまいます。

 これは16世紀に描かれたものですが、頼朝像はそれより3世紀も前。日本の絵の技術、作家の精神性の高さはルネサンスを先取りしている感じがあります。

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 九国博の大きな役割は先端技術を駆使した博物館科学に力点をおいているところで、国内の文化財の修理・保存に力を入れています。その技術は遠く海外にも及んでいます。今回の展覧会は、まさにそのコンセプトにぴったりでした。

 1.文化財が古よりどんなふうに守られてきたかを古文書で展示   2.傷んだものを修理でどんなふうに生き返らせたか   3.原品の劣化や災害対策としての模写・模造の意味と技術   4.保存した文化財をどう生かしていくかの4つのテーマに分けられ、国宝、重文などおよそ80点が展示されています。

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 上記はとても印象に残った「正倉院御物展観絵巻物語」別名「くちなわ物語」の一部分です。昭和15年の東京帝室博物館で初めての一般公開があり、20日間で41万人が訪れた時の状況を、館職員であった野間静六氏が描き表したものです。

 絵巻の文字は昭和15年だから読みやすく、上野の西郷さんの銅像から博物館までその行列はくちなわ(蛇)のようにくねくねと曲がり、チケット売り場も込み合うし、会場に入ればあまりの混雑に係員が「立ち止まらないで。歩きながら観て!」と連呼している様子が描かれています。70年前にすでに、今の人気の企画展と同じ現象が起きていたのに思わずクスクスq(^-^q) (p^-^)p~。

 昭和15年はもう戦時体制に入り暗闇にむかっていたはずなのに、一般人のこの好奇心探究心の旺盛さに日本人のかたちを見るようで少しホッとしました。文化財を守りそれを一般に公開して生かしていく・・・、まさに第4章のテーマにぴったりの絵巻でした。

 パンフレットの『守り継がれてきた日本の宝、それを伝える心。時代を超えてよみがえってきたのには、理由(わけ)がある。』の文章どおり、はるばる九州にまで下ってきた数々の名品を見ながら、これをとおして日本の心と技を堪能する展覧会でした。

 

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ゴーヤの緑のカーテン

2011年07月05日 | ガーデニング

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日本全国のテーマである節電、地球のテーマのエコ。今大きく取り上げられているのが「緑のカーテン」です。緊急に節電がせまられている今年は、テレビでも「緑のカーテン」が日常語になってきました。

我が家でも、今年で5回目のゴーヤのカーテンが美しい葉を広げてきました。表側には2階のバルコニーから吊るした5メートル×4メートルの大型カーテンと、台所の窓辺に作った2.7メートル×2メートルの小型カーテンを毎年育てています。

大きいだけにネット張りにはずいぶん苦労しましたが、3年前に素晴らしいお助け商品を見つけました。コンクート製の「のぼり旗立」です。

ある日近くでランチをとっているときに窓の外を見ていた夫が「あれを利用しよう!」と指差したのが、宣伝用の旗を立てたコンクリート製の台座です。なんというグッドタイミング、グッドアイディア!さっそくその足でホームセンターに回り希望通りのものを入手しました。

台所の外にこのごつい2個の台座を置き、それに2.7メートルのポールを建て、横3段に2メートルのポールを取り付け、これにネットを張るのです。この台座のおかげでネット張りの労力が半分以下に短縮され、今でもこの思いつきに感激、満足しています。

あと1週間もすれば、向こうの景色が見えないほどに葉の茂りが密になり、西陽の当たる台所には遮光と遮熱、そして収穫という大きな効果が出てきます。

園芸店で、ゴーヤの連作はよくないけど接ぎ木の苗なら問題ないというアドバイスを得て13株を購入しました。台木がカボチャだから、下の方はカボチャのツルがどんどん伸びていくのがこっけいです。昨年は100本の収穫。節電・エコと言いながらも、今年は・・・とやはり期待してしまいます。

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