

Hα太陽望遠鏡で話題になっている「DAYSTAR SS60ds」ですが、私も気になって色々調べています。当店でも販売はできますが、安かろう=悪かろうでは売る気にならないので、とりあえず自分でも使ってみようかと思い、米国代理店へ発注しています。私もこれまでに数百本くらいは太陽望遠鏡を見てきており、多分日本で最も太陽望遠鏡を見ている人間だと自負しています。ただ、CORONADOとはフィルター構造などが大きく違うので、同じ土俵では比較し難いですが、単純にスペックだけを考えて比較評価すると、CORONADO PST, SM60シングルよりDAYSTAR SS60dsとなると思います。方やシングル、一方はダブルですので、違って当然です。多くの購入者は値段とダブルスタックである事、またPSTより安いのに、口径が60mmである事を考えて購入していると考えています。
しかし、今朝も米国代理店の太陽望遠鏡を私以上に見てきた担当者と話しましたが、私の質問としては、"CORONADO PST ダブルスタックとDAYSTARを選ぶとしたら、どちらにするか?」と尋ねたら、彼曰く、”私なら迷わずCORONADOだろうし、LUNTをチョイスする”と言ってました。その理由は明快で、DAYSTARはFLが930mmあり、全体像が見えない事とその都度温度を見ながら使える状態まで待つ必要があり、彩層面だけを部分的に見るにはいいが、プロミネンスなども明瞭に見たい時には適さないと話していました。また各部の作りも値段相応でお粗末な所があるそうです。
それで、ついでにCORONADO 60DSと比較したらどうかとの話もしましたが、比較することに無理があり、太陽観測の上級者には間違いなくCORONADOを勧めると言ってました。ただそれでも、PSTシングルと比較した場合には、単純に彩層面の見え方だけを重視した場合には、DAYSTARとなるかもしれませんが、例えば観望会などで初心者に太陽面を見せるような場面で使う場合には、太陽全体が見えてプロミネンスも見やすい方が良いと考えています。
そうは言っても、価格とイメージ投影部のサイズやダブルスタックである事も考えると、費用を掛けずにHα太陽面を見たい方にはいいかもしれません。あとはご自分の予算と使い方に応じて選択されればいいでしょう。
最後に、米国の担当者は、このDAYSTARには多くの興味を持っておらず、まだ一度も覗いていないと話していました。日本での反響なども考えると売るべき販売店なら見たいと考えるはずですが、それが無いというのは、アメリカでもそれほど売れている訳ではなさそうです。正直私自身もあの値段で60mmでダブルスタックであるというのが驚きで、それが中国で生産されているのであれば、驚きもしないかもしれませんが、アメリカで生産されているそうですから、誰もが不思議に考えるはずです。
以上は、米国代理店担当者個人と私の率直な感想ですので、それが正しいか否かは、興味のある方はご自分で買って検証してみればいいでしょう。私自身もいずれは見る事にはなりますので、その時に分かるはずです。
ところで話はだいぶ先のお話になりますが、来年の小海星フェスで新たな講師を太陽観測のエキスパートスピーカーである「塩田和生」さんにお願いしました。その際に合わせて会場に色々な太陽観測機器などを集めて、太陽観測フリークに集まってもらい、塩田さんを中心に皆で太陽ディスカッションをしたいと考えております。塩田さんに講師を務めてもらうのは星フェス初回の時から考えておりましたが、ご自身が体調を崩されたり大変だったこともあって、今まで声を掛けるのをためらっていました。それがようやく好きな登山などもできるように回復されてきたので今年の星フェスに来ていただいた際に声をかけさせていただきまして、快諾してくれた次第です。ですから来年の星フェスには多くの太陽観測フリークに集まって欲しいと願っています。