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複雑系としての歴史システム

歴史認識の中に、複雑性を入れたいが、なかなか取り掛りが見つからない。『歴史の哲学』の中に「複雑系としての歴史システム」があったので、抜粋します。

歴史システムにおいては、遠く離れた地域間、また、地域内の不均質・不安定ゆえに、対立や共振がうまれて新たなシステムが創発的に形成され、システム間、システム内で作用を及ぼしあいながら、全体と部分が変形してゆく。

 第一に、歴史システムにおいてはその全体を設計・管理・選択する主体はいない。

 第二に、歴史システムは、各システムを一貫する歴史の「本質」、システム外部の「原因」など、超時間的普遍的存在によってその経過が規定されるわけでもない。それゆえ、一連の過程について、「歴史の必然」を語ることはできない。

 第三に、権力ゲームや世界システムにおける共振や創発などは、偶然にすぎない。近代世界システムの成立要件とされたものは、「偶然」であり、それゆえ「世界史は偶然性の歴史である」と述べた。なんらかの主体によって設計されたものでも、単一の本質や直線的原因によって生まれたものでもなく、それ自体、偶然の過程である歴史システムは、それでは、全体としてどのように把握しうる。


歴史システムを複雑系とすることについては難点がある。

 第一に、歴史はじゅうぶん複雑な過程なので、それを比喩的に複雑系とよんだとしても、わかりきった指摘にしかならない。重要なのは、複雑系の特性と歴史システムのもつ構造との具体的な対応関係を確かめることである。

 第二に、複雑系の理論は、経済や地理的諸現象など社会科学的事象に適用されることはあっても、基本的に有機化学や生物学において展開され、そのモデルは数式化によって形成される。そのような理論を導入することによって、ふたたび歴史を自然科学化し、あるいは、「生命」「成長」など疑似科学的神秘化に陥る過ちは避けなければならない。

 第三に、複雑系については、時期や立場などによりさまざまな規定がなされており、その確立した定義は存在しない。


複雑系とはどのようなシステムなのだろう。複雑系がもつ特性は、歴史システムについても確認することができる。

 第一に、歴史システムは、その各レベルにおいて自己形成的、オートポイエシス的に生成した。十七世紀のヨーロッパ諸国は「ひとりでに」形成されたのであった。

 第二に、権力ゲームにおける「閉鎖」「時間割」などの諸技術の伝播、世界システム全般における反復や遠達性によるシステム強化など、ミクロレベルとマクロレベルのフィードバックループによって新たなシステムが自己形成、自己維持されるメカニズムは歴史システムの各処に見られた。

 第三に、歴史システムのいたるところに創発現象がある。遍在する不均衡ゆえの権力ゲームにおいて生じるシステムは、下位要素に還元不可能であり、システム間の共振や反発によって生まれ、国家や法として固定される高次のシステムも同様である。地球規模の不均衡ゆえに、対立と共振のなかで世界システムが形成され変形するなかで、その都度最適な形態をもつ諸国家が生成したが、どのシステムも下位要素には見られなかった特性をもっていた。

 第四に、歴史システムの展開において各処で偶然が支配することは、すでに繰り返し述べたとおりである。

 最後に、歴史システムは局地的にみても、また総体においても、場の全体に遍在する不均質がもたらす不均衡・不安定ゆえに生成する、動的不均衡による均衡である。
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サファイアは至る所に、ローカルとグローバルがある

未唯へ。久しぶりにオーガニックです。食事が面倒です。こんにゃくと大根が中心になる。

いい天気なので、豊田市まで35分ぐらいかけて歩いてきた。まとめの鳥瞰図は持ってきたが、すべて頭の中で回した。今後の販売店の全容を表している。

販売店の社長の意見で今までもシステムを作ってきた。富山の社長「ポータルがほしい」、熊本の社長「これがほしかった」、横浜の副社長「シンプルがいい」という言葉に勇気づけられてきた。

個々の会社のほしいものと言うよりも、お互いの情報交換の場の必要性を感じた。他がどうしているかを知りたい。それが「知恵袋」につながった。

すべて、サファイアで考えてきた。今回、現れた実施事項もサファイアの4つの項目に対応している。心配は、サファイアを超すものがないことです。超すもの」を考えます。

一番強力なのは、「考える」ことを否定するものです。「売る」ことしかしてこなかった。それで成功した。何を考えろと言うのか、というロジックです。そうなると、「行動する」しかなくなり、循環は必要ありません。そこで欲しいものは「いい商品」を提供してくれ、というものです。売った後のことは眼中にありません。

サファイア循環が社会の方向でなかったら、大きな混乱が起こります。私はサファイアがグローバリズムの弊害から脱却する方法だと信じています。全体を支配空間から、ローカルでの近傍系とグローバルへの関数で定義された空間にも裏付けされている。

そこで、重要なのは、入れ子になっていることです。至る所にローカルとグローバルがあります。一神教に対する多神教のスタンスをとります。会社でも個人の才能を大切する技術系ではわかりやすいが、秩序を重んじて、営業統括に権力を集中したがる職場では理解しにくいでしょう。この部門に居る人は、この弊害を感じていない。三つの部門を経験してきた、私ならではの認識です。職場の雰囲気と関係なく、お客様の社会の基本は至る所にローカルとグローバルがあります。そう考えると、営業統括が店舗を支援するようになれば、サファイアが完成します。

セブンーイレブンの地域担当のように、社会の変化を知り、販売店での知恵を知り、商品を作り、横展開をはかるのです。社会の変化を先行することができる。この会社が生き残ることができます。

やはり、サファイアで押し通しましょう。答はすべて、その中にあります。
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「情報共有」への拘りをどこまで通せるか

未唯へ。自分でも「情報共有」に拘っているのはわかる。

販売店の社長に話したときも、皆、異なるイメージを持たれる。店舗への情報徹底ということでは、できている。当たり前です。それをするのが社長です。「売る」ためには、情報徹底を行います。パートナーのライブラリ展開で、販売店に接していても、これができていない販売店が半数以上です。

「情報共有」の第一段階の「情報徹底」ができていない。店舗に通達が貼ってあるだけです。「売る」だけならそれで十分です。あとは「時間がない」「わからない」けど、動き回れば、一日が終わります。それで今までやってきたから、それで十分です。

ヒアリングした社長は、それで十分だと思っていない。商品は右肩下がりになっている。つまり、売れないことが恒常的になる。その中で自分の会社をいかに守っていくのか。「売る」だけでは限界がある。

お客様にいかに入り込んでいくか。本社としては、知恵を絞ったマーケティングを開始した。HPとか店舗でのブログもシステムを中心として工夫した。お客様と接するスタッフにも「考える」ことを要求してきた。情報徹底ができている販売店は「情報の見える化」を行うようになった。

「情報の見える化」は本社が店舗を支援することを表現したものです。店舗でお客様との間で遭遇した、あるいは遭遇するであろう項目について、まとまった知識をスタッフに渡します。「情報徹底」のフロー情報と異なり、ストックされた情報になります。乱雑なファイル群をスタッフが検索することは、時間のロスです。

横浜の販売店では、本社主導で、店舗での活動事例を集めて、店舗に展開しています。「情報の横展開」の一種です。それと同時に、「店舗ミーティング」を始めています。週に一回、テーマを決めて、皆で考えます。スタッフが「考える」ことを始めています。個別の経験を交換しています。

「時間がない」「わからない」状態で、ミーティングでいかに成果を出すのかは難しい。スタッフは「考える」ことに慣れていない。発言することに慣れていない。自分の経験の重みを感じていない。言うだけの世界から、書くことが必要になる。そのためのツールはあります。それが「情報の横展開」「グループコミュニケーション」です。店舗でのミーティングの結果が「情報の見える化」につながっていきます。

「情報の吸い上げ」は関東の販売店で試みがされてきた。本部の業務改善室にとって、皆から改善点を指摘してもらいたい。グループウェアの「ご意見箱」で、誰でも意見を言ってください、というものを作った。この類は多いがうまくいっていない。スタッフに「考える」ことを推進した結果、販売店として、カタチにするのは「情報の吸い上げ」です。経営層の心配ごとは、現場のすべてを言葉で理解することはできないし、グチを聞いてもしょうがない、というものです。300人のスタッフには「情報徹底」できるけど、300人から言われたらたまらない。

静岡でのケースに期待しています。サービスの仕事の終わりに、お客さんとの間であったことをつぶやきます。それを本社がテーマにまとめます。現時点はそこまでです。これをどう生かすかを考えている。これは日常の姿です。これに「情報の吸い上げ」という言葉と意義をつけていく。様々な販売店で自分なりにすることで、カタチが見えてくる。これを効率的に、興味深くできるツールはあります。

「情報共有」の機能をあえて、4つに分類したのは、それぞれのレベルが行われているかを明確にするためです。店舗での情報共有という意識を持つことで、販売店の状況が明確になり、すべきことがわかります。やはり、これを一大テーマにしていきます。
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「天は変わる」ことを願う

未唯へ。今日はお休みですね。ポメラを寝ながら打っています。

ヒアリングまとめとして、9月のブログで表現したことをアウトライン化しています。考えはハッキリしています。

これをまとめてどうするつもりなのか。努力しても、誰も見ていない。動こうとはしない。

過去のように、「天が変わる」ことを想定しているだけです。その時に、一気呵成に、正しい方向に向かえるようにしているだけです。客観的に見ると、そんな傾向はどこにもない。何もしない連中だけです。時間軸だけが先に行くだけです。販売店も右往左往しているけど、方向を待っている感じです。目の前のことが、緊急課題です。

「天が変わる」ことがなければ、今やっていることは徒労だとわかっています。その結論は悲しいですね。ほかの連中の「無駄なことはしない」という思い通りになってしまう。やってみなければ、無駄なことかどうかわからない、という企業体質だったはずです。

私自身は組織から離れています。電算部が流れ込んできて、すべてを非効率にして、ユーザーの声を聞かなくなってから、ゲリラ的な存在になった。そして、定年になって、組織では「いないと同じ」扱いになった。指揮系統がないから、思いのままに闘っています。武器はサファイアで先を見る目と聞いて考えることです。

そして「偶然」です。私の目の前で起こる「偶然」には意味がある。パートナーが起こすことは、私の思考範囲を拡大しました。「情報の吸い上げ」「事例での表現」「ライブラリ空間」これらはサファイアを具体化してくれた。

地道にユーザーの声を聞いて、まとめて、代弁して、企画に言っていくことで、組織の大きなところでの変化と呼応できるはずです。

それが起こらなければ、それまでの組織です。
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