毎日、1000件以上のアクセス、4000件以上の閲覧がある情報発信ブログ。花や有機農業・野菜作り、市民運動、行政訴訟など
てらまち・ねっと



 裁判員による裁判も順次増え、先週10月9日は全国8カ所の地裁で判決があった。
 大阪地裁は、9日昼に結審し、その日に判決言い渡しというスピード審理。

 8件のうち、ここ岐阜地裁での裁判。
 明らかにDV事件。

 法廷での被害者への質問、そして報道の一部に、いかにDVについての理解がないかが強く感じられた。

 新聞報道
     「『なぜ、親密な男女関係が殺人未遂事件に発展してしまったのか』―。
      ほとんどの質問が、事件の状況ではなく、事件前の2人の関係や、
      被害女性の心情に集中した。」

 これでは、判決はどうなる?? と懸念した。

     検察の求刑 「懲役12年」
     弁護側   「懲役3年、保護観察付き執行猶予5年」
     判決    「懲役8年6カ月」
 
 量刑をどう評価していいかはともかく、「市民感覚に立つ裁判員制度」について考えさせられた。

人気ブログランキング→→←←ワン・クリック10点
今、6位、7位あたり


   ↓ ドメスティックバイオレンス/提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 から ↓ 
 ドメスティック・バイオレンス(domestic violence, DV)とは、同居関係にある配偶者や内縁関係や両親・子・兄弟・親戚などの家族から受ける家庭内暴力のこと。ただ、TVニュース等でアナウンサーが「ドメスティックバイオレンス=夫婦間暴力」と言い切って説明してしまうことも少なくない[1]ため、厳密正確な意味が広く浸透しているとは言い難い。

Domesticは本来「家庭の」という意味だが、近年ではDVの概念は同居の有無を問わず、元夫婦や恋人など近親者間に起こる暴力全般を指す場合もある。その意味でDVとはカップル間において一方が他方を暴力によって支配する状態を指す。本来は、ジェンダーバイオレンス(gender violence)と呼ぶべきものである。
・・・
身体的虐待
殴る・蹴る・突き飛ばす・髪を引っ張る・押さえつける・首を絞める・物をぶつける・物を使って殴る・物を壊す・熱湯や水をかける・煙草の火を押しつける・唾を吐きかける・部屋に閉じ込める・怪我をしているのに病院へ行かせない、などといった一方的な暴力行為。靴下を近づける、素足を顔に近づける等。

精神的虐待
恫喝したり日常的に罵る・無視する・無能役立たずと蔑む・他人の前で欠点をあげつらう・友人と会わせない・終始行動を監視する・出て行けと脅す・別れるなら死ぬと狂言自殺する・子供や身内を殺すなどと脅す・ペットを虐待してみせる・野菜をちぎる、など。ストレスとなる行為を繰り返し行う。

性的虐待
性交の強要・避妊をしない・特別な行為を強要する・異常な嫉妬をする、など一方的な行為で、近親間強姦とも呼べる。中絶賛成派は中絶をさせないこともこの中に含まれるとしている。

経済的暴力
仕事を制限する・生活費を入れない・家の金を持ち出す・無計画な借金を繰り返す・買い物の指図をする、など。

社会的隔離
近親者を実家や友人から隔離したがる・電話や手紙の発信者及び内容を執拗に知りたがる・外出を妨害する、など。
  ・・・(略)


●被害女性が事件当日の状況証言 裁判員裁判
         岐阜 2009年10月07日
 県内初の裁判員裁判で、殺人未遂罪などに問われた岐阜市小西郷、配送業杉山幸保被告(43)の第2回公判が7日、岐阜地裁(宮本聡裁判長)で開かれ、午前中は交際相手だった被害者女性の証人尋問が行われた。被害者のプライバシーに配慮し、証言台と傍聴席との間についたてを設置。被告からも見えないようにした。検察官の質問に対し、被害者は犯行時の恐怖感などを生々しく語った。

 被害者は、事件当日、寝室に侵入する杉山被告の様子を「非常に険しい表情。殺されると思った」と証言。切り付けられた直後に心臓付近などをナイフで3回突かれたと説明し「もうだめだ、とどめを刺されると思った。(刃が刺さらなかったことは)分からなかった」と話した。

 杉山被告が寝室に侵入してから逃走までの時間については「非常に素早い動作。20秒くらいだった」と説明。「最初に『殺してやる』と発言した後は何もしゃべっていない」と証言した。

 被害者は、首や顔に残った傷の後遺症を尋ねられ、「右ほおの下から針で突き刺されるような激痛が頻繁にある」と語った。顔のマスクを外すことは拒んだものの、首の傷あとの一部を裁判員らに見せる際は、「関係者以外にマスクを取った顔を見せたことはない。子ども以外に見せるという生活にはなれない」と涙ぐむ場面もあった。

 杉山被告への処罰感情を聞かれると、被害者は「一番重い、深い刑が下されることを切望しています」と述べた。

●疑問点を次々質問 県内初の裁判員裁判
        中日 2009年10月8日
 ・・証人尋問では日常的な暴力や被害を生々しく訴える被害女性に裁判員5人が初めて質問。
 (略) 

◆2日目の詳報 
 9・35 被告人が入廷し審理を再開。

 同40 法廷入り口から証言台までをついたてで隠し、被害女性への証人尋問が始まる。検察官から尋問を始め、弁護側と主張が食い違っている切られた後に胸や腹を突き刺そうとしたかについて、被害者は「心臓と胸と胸の間、胃の上あたりを刺してきました」と証言。「額にYの字の血管が浮き出て険しい顔をしていた」「殺されると思った」と振り返った。

 10・00 検察官がついたての奥で状況を再現。立ち位置や動きを裁判員らに説明。その途中で「大丈夫でしょうか。気分が悪くなったら教えて」と被害者を気遣う。被害者は「事件後も痛み止めと精神安定剤を飲んでいる」と被害後の状況を話し、日常的な暴力やナイフを使った脅しがあったと訴える。

 同30ごろ 検察官がマスクで隠した傷を見せるよう求めると、「病院や警察、子どもたち以外の前ではマスクを取って見せていない」と声を震わせる。尋問の最後には「被告人にどのような処罰を望むか」と聞かれ、「これまでの同じような事件で一番重い刑を望みます」。

 11・35 20分の休憩をはさんで弁護人の反対尋問を開始。被告人が窓ガラスを割って被害者のいるアパートの一室に入る際の様子について「しっかりと表情が見えたか」「視力はいくつか」などと質問。事件の際に被告人がナイフを持った手を振り上げたかどうかなど、記憶のあいまいな部分を被害者にただした。

 被告人との交際状況について、女性は「職場でナイフを持って待ち伏せをしていた」「おれからは逃げられない。別れるなら殺すと言われた」などと証言。プライバシーに踏み込んだ詳しい質問もあり、裁判員は両手の指を組んだり被告人を見たりして終始厳しい表情を見せた。

 13・30 20分休憩が長引き15分遅れで裁判官と裁判員による尋問が始まった。法廷で初めて口を開いた男性裁判員は「高い席から申し訳ありません」と前置きし、「これまで(交際してきた)被告人の『ここはいい』と思ったところはありますか」と質問。被害者は「疲れた体をマッサージしてくれたり湿布を買ってくれたりした」と返した。

 別の男性裁判員らが「暴力を受けてきて、事件までに何か対処はしていないか」「なぜ警察に行かなかったのか」などと代わる代わる疑問点を質問した。

 14・05 当初予定より1時間20分遅れて1時間の昼食休憩。

 15・10 公判を再開し、被告人質問を開始。弁護人が被害者への日常的な暴力の有無を尋ねると「1回だけです」と被害者とは食い違う証言をしたが、「3、4回ナイフを突きつけた」とも話した。
 事件前日に被害者と車内で携帯電話のメールなどをめぐるトラブルの状況などを確認。弁護人の「殺すつもりは?」との問いに「ない。僕が刺さって死ぬかもしれないと思った」と証言した。ほかに「傷つけることは考え、傷つければほかの男が寄ってこず、僕が面倒を見られると考えた」などと熱っぽく語り、事件の際は「話をしに行った」と弁解した。

 同45 ボール紙で作った模造ナイフを出し、弁護人が被害者役を演じて事件の状況を再現。被告人が模造ナイフを手に切りつける様子などを演じた。争点となっている胸や腹を3回刺そうとしたという点について、「自分もバランスを崩して転倒し、右手が2回当たった」と説明したが、「そのとき左手は?」と問われると「頭が真っ白だった」。

 16・35 十分休憩をはさんで検察官が被告人への尋問を始めた。「話し合うために行ったというが、窓ガラスを割って話し合う人がいると思うか」と詰問されると、「かっとなっていました。頭が真っ白になっていた」と小声で繰り返した。
 捜査段階で殺意を認めていたことを問われ、「警察に、反省しているなら不利になるようなことを話せと言われた」などと主張した。

 17・32 最後に弁護側が尋問した際、秘匿とされた被害者の名前を誤って連呼し、裁判長が叱責(しっせき)して閉廷。

●親密な関係なぜ事件に? 裁判員、経緯に注目
       岐阜 2009年10月08日07:44 
・・・質問をした5人全員が、質問に対する被害女性の証言を聞き再質問をするなど、事件に対する理解を深めようと積極的に審理に参加する姿勢が目立った。

 予定より約15分長い約30分間の休廷を挟んだ午後1時30分すぎ、宮本聡裁判長が「(被害女性への)質問はありますか」と促すと、男性裁判員が右手を挙げ「交際期間が長いと思いますが、『(被告の)ここはいいな』と思ったところはありますか」と切り出した。

 被害女性は、事件が起きる前から暴力を受けたことがあり、事件当時「別れたかった」などと証言していた。事件の発端も、別れ話のもつれとみられている。この男性裁判員は、2人が5年以上も交際していたそもそもの理由を問い、被害女性は「立ち仕事を癒やすマッサージをしてくれていたから」などと答えた。

 「なぜ、親密な男女関係が殺人未遂事件に発展してしまったのか」―。ほとんどの質問が、事件の状況ではなく、事件前の2人の関係や、被害女性の心情に集中した。2人の裁判員が「高い席から失礼します」と断った上で質問。どの裁判員も真摯(し)に被害女性の方をじっと見つめ、証言内容をさらに詳しく問う積極ぶりだった。

 また、補充裁判員の質問を宮本裁判長が代わって行うなど、裁判官の質問も含めると約30分間をかけた。朝日大の大野正博教授(刑事訴訟法)は「休廷時間が延びたが、その間に裁判長が裁判員の話しやすい雰囲気作りをしたのだろう。その成果が出ていたのでは」と話した。

 被害女性への証人尋問は、被害者情報の特定を防ぐため、高さ150センチのついたてが用いられ、被告と傍聴人から被害女性が見えないようにして行われた。

●裁判員裁判:質問に新鮮な視点 6人中5人発言--地裁2日目 /岐阜
         毎日新聞 2009年10月8日
・・・犯行当時の状況を再現したり、女性が110番した実際の通話記録が流され、裁判員は検事や弁護士にはない新鮮な視点で被害者に直接質問するなど積極的に参加した。【三上剛輝、山田尚弘】

 弁護側の被告人質問では、犯行に使用されたナイフの模型を使い、切りつけた詳しい状況を杉山被告自身が再現。「バランスを崩して倒れた時、ナイフを持っていた手が被害者の胸にぶつかった」と話し、被害者の胸を刺そうとはしていないと訴えた。「確定的な殺意を持ち、胸を突き刺そうとした」とする検察側とは異なる主張に、数人の裁判員は立ち上がって様子を見つめ、熱心にメモを取っていた。

 一方、検察側は、女性の110番通報の内容を公開。被告が女性宅に上がり込んだ後、女性が「やめてよ、いいかげんに」などと話す切迫した様子が法廷内に流れた。

 被害女性への証人尋問は、被告と傍聴席から女性の姿が見えないよう、ついたてが設置された。6人中5人の裁判員が質問し、スーツ姿の男性は「交際期間が長いが、相手のいいなと思ったところは」と尋ねた。女性が「立ち仕事が多い私にマッサージしてくれたりした」と答えた。

 別の男性裁判員は「以前から暴力をふるわれていたということだが、なぜすぐ警察に伝えなかったのか」と質問。女性は「電話をかけようとしたら取り上げられた」と説明したが、宮本裁判長は「被告がいない時に(電話を)かければよかったのでは」と疑問を投げかけた。

 ほかの男性裁判員は女性が事件直前に被告の自宅アパートに宿泊していたことに触れ、「別れようと決めていたのに、なぜ自分から出向いたのか」と尋ねるなど、検察官からも弁護士からも出なかった質問が相次いだ。

 この日の審理は午前9時40分に始まり、午後5時40分に終了。途中、天井を見上げるなど疲れた表情を見せる裁判員もいた。

●<裁判員裁判>被害の経緯、詳しく質問
        朝日 2009年10月08日
・・・・に対する質問や尋問があり、争点などについて双方の証言は食い違った。

◆双方の証言、食い違い
 「警察に『何かあったら電話してください』と言われていて、なぜメールを見た時点で呼ばなかったんですか」

 傍聴席から見て左端に座った「裁判員1番」の男性が、証言台の元交際相手の女性に尋ねた。女性は事件前日に被告とけんかをし、警察に通報していた。質問は、事件直前に被告が女性に送ったメールへの対応についてだった。

 「今までもそういうメールはあったけど、そこまで(の事件)には至らないと思ったので」と女性。裁判員は相づちを打った。

 右から2番目の「裁判員5番」の男性は「被告から長い間、暴力があったようですが、どんな方法で対処しようとしていたのですか」と質問した。
「親しい友人に相談した」という女性に、裁判員は「相談しただけですか」。
女性は「『会いに行く』と言ってくれたんですが、『危害が加わってしまうからやめてくれ』と言いました」と答えた。

 ほかの裁判員は「一緒に暮らすことも考えましたか」と被告に対する思いを尋ねたり、過去の被告とのトラブルの有無を聞いたりしていた。

 女性と被告の証言は大きく食い違う部分が目立った。

 「胸と腹を突かれた。先端が細いものが当たったと感じた」と、ナイフで突かれたと証言する女性に対し、被告は「体勢を整えようと右手が体に当たった」と否定した。

 さらに、女性が「事件以前にも暴力をふるわれた。ナイフを肌に押し当てられもした」と証言。被告は「これまでけがをさせたことはない。ナイフの刃は出していない」と述べた。

 この日の証人尋問と被告人質問は約6時間に及んだ。

●裁判員裁判2日目、5人が次々質問
       2009年10月8日 読売
・・・事件が男女関係のもつれに端を発しているためか、2人の関係や、被害者の心理状況などを慎重に見定めようとする質問が目立った。

 ■被害者への証人尋問 
午前9時36分に開廷、女性への証人尋問が始まった。女性の姿は傍聴席や杉山被告からは見えないよう、高さ約1メートル80のついたてで証言台や動線を囲った。

 「顔と首を切られた後、胸を狙って刺してきた。先の固い物がドンと刺さるような衝撃。私は死ぬんだ、殺されるんだと思った」
 「事件後は傷跡が残り、マスクやスカーフを子供や医者以外の前で取ったことがない」

 女性は涙声で証言した後、検察官に促され、首や手の傷を見せた。裁判員らは真剣な表情で見つめ、時折メモを取っていた。

 杉山被告は首を振ったり、不満そうに天を仰ぐなど、女性の証言に納得いかない様子を何度も見せた。「一番重く、深い刑が下されるのを望みます」。女性は強い口調で処罰感情を述べた。

    ■裁判員が質問 
 弁護側の反対尋問と2度の休廷の後、午後1時半から再開されると、5人の男性裁判員が女性に質問した。

 5番裁判員「5年の長い交際の中でも暴力を受けていたと証言したが、何か対処しようとはしなかったのですか」
 女性「友人に相談したが、友人に危害が加えられると思い何もできませんでした」

 1番裁判員「犯行直前、被告からメールが来て、なぜ警察に相談しなかったのですか」
 女性「同じ様なメールは過去にもあり、そこまでには至らないだろうと思いました」

 この後、事件当時、女性が110番した際、警察で録音されていたテープの一部が再生された。「やめて、いいかげんにしてよ」と女性が叫ぶ音声に、裁判員はじっと聞き入っていた。

     ■被告人質問
     (略)

●被告に懲役12年求刑 裁判員裁判きょう判決
          岐阜 2009年10月09日
  ・・・・ 検察側は論告で「客観的に見れば被害者の証言が自然」とした上、杉山被告が4回切りつけた後に胸などを約3回突き刺したと指摘。争点の殺意については「首を狙ったのは明らか。強い殺意があった」と主張した。

 一方、弁護側は最終弁論で「凶器やけがの様子から問題点がある」と強い殺意を否定。刺した行為も「(被害女性は)一歩ずつ前に出て突かれたと言うが、位置として不自然。(被告と被害者の)どちらが真実を語っているか」と訴え、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年が適当と主張した。

●「裁く重さ」6人実感
            朝日 2009年10月13日
◆殺人未遂被告に懲役8年6カ月判決
 岐阜地裁であった県内初の裁判員裁判で、同地裁は9日、殺人未遂などの罪に問われた杉山幸保被告(43)に懲役8年6カ月の判決を言い渡した。計4日間の裁判に臨んだ裁判員経験者らは、記者会見に臨み、その感想を語った。

  (略) 「法律のプロ」だけで行われてきた裁判が、身近になりつつある中、「市民感覚」を持つ裁判員にどう訴え、真相究明を目指すかが重要だ。(磯崎こず恵、贄川俊)

  ◆法廷の重視は評価 弁護側コメント
 調書でなく、法廷での審理が重視されたのは良かった。判決は想定よりも重かった。裁判員が被害者の傷を生で見たことも影響したと思う。

  ◆質問は的確だった 地検側コメント
 裁判員の質問は的確だった。事実認定、量刑のいずれの主張もおおむね理解が得られたと感じる。真剣に裁判に臨んでもらい感謝している。

●大阪、結審日に初の判決=裁判員「評議短すぎる」-全国8地裁で言い渡し
          時事 2009/10/09-19:57

●裁判員制度:反対市民、地裁前で訴え /岐阜  毎日新聞 2009年10月7日

●裁判員裁判:強制わいせつ致傷事件が県内2例目 /岐阜 毎日新聞 2009年9月30日


コメント ( 0 ) | Trackback ( )