政府の事業仕分け・前半は昨日までの4日間で終わった。
いつもながら評価は分かれる。
政権に批判的な立場が目立つ産経新聞は、
平成22年度予算要求を対象の第1弾は、3兆円規模の予算削減を目標にしながら7千億円程度。独立行政法人対象の今年4、5月の第2弾でも具体的な財源確保の道筋は描けなかった。巨額の規模を持つ特会が対象となる今回の仕分けは“本丸”ともいえた。
しかし、「お金」はあまり出てこなかった。
朝日新聞は、
18特会・48事業のうち「廃止」と判定したのは、4特会・8事業にとどまった。8事業の廃止で削減できる予算は約250億円しかない。
・・・行政の透明化は進んだものの、民主党が総選挙のマニフェストで掲げた諸政策を行うための財源16.8兆円の確保はほぼ不可能だ。マニフェストの主要政策の完全履行は事実上、不可能になった。
民主党は、財源不足で公約を実現できない状況に追い詰められていく雰囲気。
しかも、昨年の仕分け第1弾以来、削減や組み換えを求められた官庁側についた政治家たちが抵抗勢力になりつつある様子。
それでは、自民党政権時代より「強固な抵抗の誕生」ともなり得る。
ともかく、第3弾の前半の特別会計のことでは、「お金」、という意味では財源捻出に暗雲だけど、その「在り方」の議論が進んだという意味では違う。
いずれにしても、昨年の第1弾からの事業仕分けの成果を検証する後半は、11月15日からで、
「過去の仕分け結果が反映されていない事業を見直す『再仕分け』を行う。この事前作業として、20日に各省庁からの事前ヒアリングを開始した。」(産経)
とされる。
仕分け自体の検証はおもしろそう。
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3.4位あたり
事業仕分け第3弾として、特別会計を対象に10月27日(水)から30日(土)の4日間(前半)、再仕分けを対象に11月15日(月)から18日(木)の4日間(後半)で実施し、徹底した検証を行います。
11月15日(月)~18日(木) TOC(五反田)ビル |
●「事業仕分け」第3弾最終日 国有林野事業特別会計、事実上の廃止と判定
FNN 10/30 18:20
特別会計を対象にした政府の事業仕分け第3弾は、30日が最終日。1兆円を超える債務を抱える「国有林野事業特別会計」を取り上げ、「事実上の廃止」と判定した。
仕分け人の蓮舫議員は、「すみません...。ただし、ただね、前提として」と話そうとすると、筒井農水副大臣は「ちょっと聞いてくださいよ。自分だけで言うんじゃなくて、今のやつ、まだ完結してないんだから」と話した。
仕分けをめぐり、立場の違う2人が激しい舌戦を繰り広げた。
蓮舫議員が「新たな国民負担になりますよね。ちょっと待ってください」と話すと、筒井農水副大臣は「森林整備に関する経費は、いや、なんでこちらが答えちゃだめなんですか。政務、政治主導と言いながら、なんで一貫して官僚の方に答えさせるんですか!」と話した。
30日、最終日を迎えた特別会計の事業仕分け。
仕分け対象は、1兆3,000億円の債務を抱えている「国有林野事業特別会計」。
判定は、特別会計の一部を廃止とされたが、特記事項として、「林野庁を解体し、省庁再編をすべき」との意見が多いという厳しいコメントもあった。
一方、「自動車安全特別会計」の事故対策関連事業について、仕分け人の緒方議員は「(被害者に割り当てられたお金を)宣伝費に、コンビニにポスター張ったりするとか、こんなことに自分たちが、自分たちのものとして割り当てられたお金が、こんなことに使われてるのかということについて、おそらくね」と話すと、担当者は「『こんなことに』という言い方は、訂正してほしいと」と話した。
結果は、自動車事故防止対策事業は「見直し」、直接被害者のためになるもの以外は停止するなど、被害者保護対策事業に集中すべきとして、「見直し」の判定が下された。
●事業仕分け3日目、「もんじゅ」予算圧縮
2010年10月29日23時55分 読売新聞
政府の行政刷新会議は29日、東京・東池袋の民間施設で、特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾(前半日程)の3日目の作業を行った。
エネルギー対策特会では、政府が掲げる核燃料サイクル政策の要である日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、実証炉の開発費などの予算要求額を10%をメドに圧縮すべきだと判定した。
もんじゅは今年5月に15年ぶりに運転を再開したばかりだが、8月に原子炉容器内で事故が起きた。仕分け人からは「これだけ事故が相次ぎ、計画通りに進むのか」との指摘が続出。もんじゅの建設・運営には累計9400億円が投じられており、予算圧縮を求める意見が大勢を占めた。
●「廃止」は4特会8事業 仕分け効果、最大でも6千億円
朝日 2010年10月30日22時53分
特別会計(特会)を見直す菅政権の「事業仕分け」第3弾は30日、4日間の日程を終えた。18特会・48事業のうち「廃止」と判定したのは、4特会・8事業にとどまった。8事業の廃止で削減できる予算は約250億円しかない。行政の透明化は進んだものの、民主党が総選挙のマニフェストで掲げた諸政策を行うための財源16.8兆円の確保はほぼ不可能だ。
「廃止」事業に加えて、今回「見直し」と判定された40事業で予算圧縮などが実現できたとしても、削減総額は6千億円前後にとどまる見通し。しかも仕分け判定に法的拘束力はなく、最終的にどれほど予算を削るかは年末の予算編成で結論を出す。昨秋に実施した第1弾では、仕分け結果より削減内容が後退した事業もあった。
蓮舫行政刷新相は仕分け終了後の記者会見で「公開の場で議論することによって問題点があったことは明らかになった。いい議論ができた」と述べ、行政の透明化が進んだことを強調したが、財源確保の面では成果は乏しい。
民主党は昨夏の総選挙のマニフェストで、一般会計と約170兆円の特会をあわせた国の総予算207兆円を全面的に組み替え、子ども手当などの目玉政策に必要な新しい財源16.8兆円を生み出すとしていた。30日に特会を対象とした事業仕分けが終わり、予算削減額はわずかにとどまったことで、マニフェストの主要政策の完全履行は事実上、不可能になった。
●3特会、8事業を「廃止」=特会仕分け終了-刷新会議
時事 2010/10/30-21:33
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は30日、特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾の前半戦の作業を終了した。4日間にわたり全18特会と各特会の計51勘定、48事業を検証し、3特会、8事業を「廃止」と判定した。特会制度を廃止するには法改正が必要。蓮舫行政刷新担当相は会見で、「(法案提出は)最速で2013年の通常国会になる」との見通しを示した。ただ、「衆参ねじれ国会」の状況下では実現は不透明と言えそうだ。
48事業については、廃止の8事業のほか、27事業を「予算圧縮」と結論付けた。廃止と圧縮を合わせると、来年度予算要求額は最大4300億円(国費ベース)の減額となる。蓮舫氏は「可能な限り11年度予算編成に反映させる」と述べた。
無駄を洗い出し、国の予算を組み替えることを目的とした事業仕分けは、今回の特会で一通り終了。民主党は09年の衆院選マニフェスト(政権公約)で13年度までに総額16.8兆円の財源確保を約束したが、3回の仕分けの捻出(ねんしゅつ)額は遠く及ばず、マニフェストの破綻(はたん)が確実となった。
最終日は、為替介入の資金を管理する外国為替資金特会(財務省所管)を議論。いわゆる「埋蔵金」として注目されていた20.6兆円に上る積立金について、残高水準の抜本的な見直しを求める意見が多数を占めたが、「中長期的に検討」と判断し、取り崩すかどうかの結論を先送りした。
自動車の検査費用、事故被害者への保障金などを管理する自動車安全特会(国土交通省所管)では、自動車検査独立行政法人が行っている検査事務の民間移管など、同法人の抜本見直しを求めた。
仕分け第3弾の後半戦は、過去の判定結果を検証する「再仕分け」を目的に、11月15日から4日間の日程で行われる。
●事業仕分け:特会「埋蔵金」探し、限界 財投、必要な積み立て求め
毎日新聞 2010年10月31日
政府の行政刷新会議による「事業仕分け第3弾」は前半最終日の30日、5特別会計(特会)を取り上げ、国有林野事業特会と自動車安全特会の一部廃止などの判定を下した。積立金や剰余金などの「埋蔵金」を財源不足穴埋めに活用してきた財政投融資、外国為替資金の両特別会計も対象となったが、財投特会に対しては逆に「必要な積み立てを行う」よう要求。これ以上の「埋蔵金」発掘は期待できない実態も浮かび上がった。【坂井隆之、三沢耕平】
「今まで埋蔵金と言われていたものが、実は借金でできていたことが分かった」(富田俊基中央大教授)--。30日に行われた外為資金特会の仕分けでは、20兆円を超す積立金について、112兆円に達する同特会の債務の返済に充てることで仕分け人が一致した。
厳しい財政状況の中で、外為資金特会の積立金は、予算編成のたびに「埋蔵金」として一般会計への繰り入れが検討されてきた。だが、この日の議論では「埋蔵金」としての活用を否定する意見が相次いだ。積み上がる債務の償還を急ぐ理由からだ。
また、同特会は毎年の剰余金から2兆~3兆円程度を一般会計に繰り入れているが、仕分け結果は「一定のルールに基づいて繰り入れる」と透明化を求め、野放図な活用にくぎを刺した。
財投特会は「埋蔵金」の代表格だが、05年度末に22兆円あった積立金は経済対策や予算編成のたびに取り崩され、10年度予算でほぼ底をついた状況だ。積立金は金利変動リスクに備えたもので、仕分け人からは「一般会計に繰り入れていいのか」との懸念が示され、結果は「必要な積み立てを行う」ことを求めた。
12兆円に達する国債整理基金特会の積立金や、14兆円の労働保険特会積立金なども取り崩しの判定はゼロ。それぞれ積立金の目的があり、国債整理基金特会の仕分けの際には、仕分け人から「10兆円ものカネ(積立金)があるから、政権から『埋蔵金』として狙われる。誘惑に駆られないためにも国債の繰り上げ償還に充てるべきだ」と、今後も一般会計への繰り入れを避けるよう求める声が出た。
蓮舫行政刷新担当相は「(無駄は)これからも追い続ける。その中から本当の『埋蔵金』が出てくる」と語ったが、4日間の仕分けで、「一般会計に使える埋蔵金はほとんど残っていない」(財務省幹部)との見方は一層強まった。
◇自賠責、一般会計化見送り
車検業務や自動車事故の被害者救済対策などを行う自動車安全特会については、自動車の検査・登録手数料を財源とする「自動車検査登録勘定」の廃止、一般会計化を求めた。
仕分けでは、同勘定の手数料収入331億円の半分以上の約170億円が、検査業務にあたる「自動車検査独立行政法人」の人件費に充てられていることが判明。所管する国土交通省の幹部は「検査基準作りなど、人手を使う業務が主体のため」と説明したが、仕分け人からは「なぜここまで人件費が必要なのか」と効率性への疑問の声が続出した。また、軽自動車を検査している民間組織「軽自動車検査協会」と業務が似ているとして、同協会と独法の統合も検討するよう求めた。
一方、同特会の事故対策勘定については、「被害者保護対策事業」の「一般会計化」を求める声が仕分け人から相次いだ。国交省は「事業の財源は自動車損害賠償責任保険の保険料を原資とする積立金の運用益。一般会計化には自動車ユーザーの了解が必要」と反論。「被害者救済により資する事業とする」との判定に落ち着き、一般会計化は見送られた。
●【事業仕分け】財源確保の“錬金術”に限界露呈 増税論議再燃も
サンケイ 2010.10.30 21:00
特別会計(特会)を対象にした今回の事業仕分けでは、民主党が重点施策の財源として活用できると期待してきた“埋蔵金”がほとんど見つからなかった。廃止や予算縮減の判定が出た一部の特会にしても、法改正など多くのハードルが待ち受けている。無駄削減などで巨額の財源を捻(ねん)出(しゅつ)できるとしてきた政府・民主党の財政運営の限界が改めて露呈した形で、年末の税制改正で増税論議が勢いを増す可能性が高まった。
「特会のいろいろな問題を明らかにできた」
蓮舫行政刷新担当相は30日の記者会見でこう強調したが、その成果には疑問符が付く。そもそも予算の無駄を削減し、特会の中に埋もれた積立金などの埋蔵金を活用することなどで、重点施策の財源を確保することが民主党の主張だ。しかし、仕分け第3弾が終わった今も、その基本戦略は現実味を帯びてこない。
平成22年度予算の概算要求を対象にした昨秋の仕分け第1弾では、3兆円規模の予算削減を目標にしながら、実質的な削減額は7千億円程度にとどまった。独立行政法人などが対象になった今年4、5月の第2弾でも具体的な財源確保の道筋は描けなかった。それだけに巨額の規模を持つ特会が対象となる今回の仕分けは“本丸”ともいえた。
だが、仕分けの成否を分ける埋蔵金発掘は抽象論に終始。27日の貿易再保険特会の判定でも、同特会の積立金について「抜本的に見直す」とするだけで、取り崩しによる財源確保の具体策には踏み込めなかった。
今回、「廃止」と判定された特会もその実現は難しい。例えば道路・港湾を整備するための社会資本整備特会は、一般会計化を求めるとともに、事業費を23年度予算の概算要求額から10~20%縮減すべきだと判定された。実現すれば数千億円規模の財源が確保できる計算だが、廃止には法改正が必要。与野党を問わず予算縮減への反発が強まる中では容易ではない。
30日の仕分けで国有林野事業特会が抱える約1兆3千億円の借金返済が焦点になるなど、一連の仕分けでは、特会の埋蔵金どころか“埋蔵借金”の大きさも浮き彫りになり、財源確保の難しさが裏付けられた。
「財政難の打開には、増税以外に妙手はない」(財務省幹部)。仕分けの限界は、そんな見方を強める結果を招きかねず、菅政権が再び増税路線にかじを切る公算も大きくなってきた。 (橋本亮)
●【事業仕分け】官僚への責任転嫁限界、公約16兆円「幻」に、問われる政治主導
産経 2010.10.30 21:37
「ゾンビのようだ」
蓮舫行政刷新担当相は特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾を前に、仕分けても仕分けても執拗(しつよう)に予算要求する官僚の姿勢をこう批判していた。
予算編成という国家運営の根幹を国民の目に明らかにした「事業仕分け」は当初、多くの世論の支持を得た。だが、政権交代から1年以上が経過し、無駄な事業がゾンビのように生き返るのを許しているのは、ほかならぬ民主党政権だということが、今回の事業仕分けの議論で明らかになってきた。
「政治主導と言いながら…。なんで一貫して官僚に答えさせるのですか」
30日、国有林野事業特会の仕分けに出席した筒井信隆農林水産副大臣が、蓮舫氏に声を荒らげて詰め寄るシーンがあった。
「コスト意識がない」「ガバナンスがない」。仕分け人が舌鋒(ぜっぽう)鋭く追及する標的は常に官僚たちだ。しかし、その官僚たちを主導する責任を担っているのは自分たちの政権だということを、仕分け人たちは隠している。
ある仕分け人は29日の作業終了後、記者団に「省庁の方々は現行の法律に基づいて話す。そうじゃなくて変えればいい」と述べたが、法律を変えるには何も事業仕分けを行わなくても、政治家が国会で議論すればいいことだ。
行政刷新会議関係者は「民主党政権となって1年がたった。無駄な予算要求があるのは役人の責任もあるが政治家も悪い」と官僚に責任転嫁を図ろうとする仕分け人の姿を嘆く。
蓮舫氏が「ゾンビ」の一例として挙げた職業情報総合データベースの運営費。厚生労働省は平成23年度予算概算で2900万円を要求しているが、政務三役の決裁なしで概算要求が決定されることはない。説明責任は大臣を筆頭とする政務三役にあるはずだ。
そもそも民主党は政権交代を実現した昨年夏の衆院選マニフェスト(政権公約)で、特会や歳出の見直しによって16兆8千億円の財源を捻出(ねんしゅつ)し、子ども手当や農家への戸別補償などの目玉政策を実現すると宣言した。事業仕分けはその公約に向けたプロセスのはずだが、党内には無駄削減に向けた意識に温度差も生じている。
仕分けに出席した樋高剛環境政務官は、省エネ事業が予算計上の見送りと判定されたことに対し「一つのたたき台」と抵抗。スーパー堤防など公共事業の予算圧縮を求められた馬淵澄夫国土交通相も「必要な事業はしっかり要望していきたい」と反発した。
財務省幹部は「仕分けは強引なやり方だからこそ予算削減ができる。今後は、民主党の支持団体がからむ予算を仕分けすることが次の課題」と指摘する。
蓮舫氏は事業仕分けを今後も続ける考えを表明している。マニフェストで約束した16兆8千億円の財源捻出はまだ遠い。自らの既得権益に切り込むことができるのか。菅政権の覚悟が問われている。(坂本一之)
●クローズアップ2010:事業仕分け第3弾、前半終了 仕分け人・富田中央大教授の話
毎日新聞 2010年10月31日
◇「効率性、常に監視を」--富田俊基中央大教授
「エネルギー対策特会」や「社会資本整備事業特会」などのように、社会の変化と関係なく、財源があることを理由に予算を使い続けてきた実態をかなり明らかにできた。単に無駄遣いや「埋蔵金」があるかという点だけでなく、特会の仕組みそのものを議論したことで、これまでの仕分けより踏み込んだ議論になった。年金特会では、民主党政権の看板政策も対象になり、「予算要求の圧縮」と判定した。民主党の政策かどうかより、事業の目的に照らして効率的かを絶えず見ていく必要がある。貿易再保険特会は「廃止し、国以外の主体に移管」となったが、単に看板の掛け替えで終われば仕分け自体が信頼を失うかもしれない。国民も関心を持って監視していくべきだ。
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早くも3日目になった事業仕分け。
昨日は、スーパー堤防事業の廃止を結論付けた。
今日は、エネルギー対策特別会計、電源立地地域対策交付金などの行方に興味がある。
また、自治体への地方交付税などの配分(今朝のNHKによれば毎年16兆円)している交付税特別会計の議論にも。
ということで、昨日の結果を報道で見ておいてから、今日の内容の点検。
最後に、批判的な意見も見ておく。
なお、今日10月29日のインターネットのライブ中継は、次のページの右側にある。
⇒ インターネットライブ中継サイトにリンク
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5位あたり
●社会資本特会は「廃止」=道路など一般会計化-特会仕分け2日目・行政刷新会議
時事 2010/10/28-22:37
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は28日、特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾(前半戦)の2日目の作業を終了した。
国土交通省所管の社会資本整備事業特会については「廃止」と判定。同特会を構成する「道路整備」「空港整備」「治水」「港湾」「業務」の全5勘定は、道路、治水、港湾、業務を一般会計化し、空港は早期民営化を検討すると結論付けた。
2日目は、国交、厚生労働、財務3省が所管する3特会と各特会の12勘定、20事業を精査した。
公共事業予算を管理する社会資本整備事業特会の予算規模は3兆1933億円(2010年度当初予算ベース)。議論では、各勘定を同省担当局が縦割りで所管する仕組みに対し、仕分け人が「全体調整、責任体制が不明確」と指摘。新規事業採択などの判断材料となる需要予測や費用対効果分析が甘くなりがちで、実績と乖離(かいり)しているとの批判が相次いだ。
同特会では、スーパー堤防事業も「廃止」と判断。同堤防は多摩川、淀川など首都圏・近畿圏の住宅密集地を流れる河川において、通常の堤防より盛り土を強化することで、計画を上回る洪水に備えるのが目的。1987年の事業開始以降、6943億円の巨費を投じながら、整備進ちょく率は計画(872キロ)の5.8%にとどまっている。
また道路、港湾、治水、空港の各整備事業に関しても、来年度予算要求額の最大20%圧縮を要請。公共事業は軒並み厳しい判定となった。公共事業関係費は今年度予算で既に前年度比18%削減されており、さらなる予算カットは地方の反発を招きそうだ。
同特会の廃止には法改正が必要だが、終了後会見した蓮舫行政刷新担当相は「簡単ではない」と強調。約1兆円の債務を抱える空港整備勘定を民営化すれば、借金返済に国民の税金を投入することにもなりかねない。
このほか、財務省所管の国債整理基金特会では、12.5兆円に上る積立金の取り扱いについて、「現状維持」としながらも、「繰り上げ償還に充てることも含めて検討する」とした。
●公共事業関連の社会資本特会が「廃止」に
日テレ 2010年10月29日 3:22
政府の行政刷新会議による事業仕分け第3弾で、28日は3つの特別会計について作業が行われた。無駄な公共事業の温床と指摘されていた「社会資本整備事業特別会計」は「廃止」の判定となった。
「廃止」とされた社会資本整備事業特別会計のうち、「道路整備」や「治水」、「港湾」などはそれぞれ一般会計化。「空港整備」については、多額の債務があることなどから経過的な措置を経て、将来的に民営化すると判定された。また、大洪水から住宅地を守る「スーパー堤防」事業については、規模が大きすぎることや地元住民の反対などで事業も停滞しており、現実的ではないとして、「廃止」となった。
「年金特別会計」では、年金のコンピューター記録と過去の紙台帳の照合事業が「見直し」とされ、来年度の概算要求で876億700万円が計上されているものの、「2割程度削減」するよう判定された。
29日は、省エネ関連の事業などに使われる「エネルギー対策特別会計」など5つの特別会計が議論の対象となる。
●社会資本特会、「廃止」と判定…仕分け2日目
2010年10月28日22時54分 読売新聞
政府の行政刷新会議(議長・菅首相)は28日、東京・東池袋のサンシャインシティ文化会館で、特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾(前半日程)2日目の作業を行い、道路、港湾など国の公共事業を扱う社会資本整備事業特会を廃止し、一般会計化すべきだと判定した。
また、同特会の個別事業のうちスーパー堤防事業の廃止も求めた。特会廃止には特別会計法などの改正が必要で、実現には曲折も予想される。
国土交通省が所管する同特会については、潤沢な財源で無駄な道路や不採算の空港が造られているとかねて指摘されていた。この日も、仕分け人から「過大な需要の見積もりや、資金の繰り越しができるなど、特会の区分経理による弊害がある」などの批判が続出。業務、治水、道路整備、港湾、空港整備の5勘定からなる特会そのものを廃止し、国会でチェックしやすくするよう一般会計化すべきだと結論づけた。
ただ、5勘定のうち、空港整備勘定については、羽田空港の整備にかかった1兆円近い債務の償還についての道筋が見えておらず、そのまま一般会計化すると国民負担の増加が見込まれるため、当面は特会のような区分経理を続けるとした。
これに対し、国交省は議論の中で、国が管理する28の空港を将来的に民営化する方向性を打ち出した。小泉俊明国交政務官は「11月中に検討会を立ち上げる」と記者団に語った。
●事業仕分け:「公共事業」特会を廃止 スーパー堤防も
毎日新聞 2010年10月28日
社会資本整備事業特別会計(3兆1933億円)の仕組み
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は28日、道路や港湾整備などの公共事業を行う「社会資本整備事業特別会計(特会)」や「年金特会」など3特会を対象に事業仕分け第3弾2日目の作業を実施した。国土交通省が所管する社会資本特会は「特会があることで、ずさんな需要予測による無駄な事業を続けてきた」と指摘し、廃止して一般会計化すべきだと判定。200年に1度の大洪水に備える「スーパー堤防事業」も「廃止」を求めた。無駄な事業の温床とされる特会の抜本見直しを迫る内容となった。
「『スーパー無駄遣い』ということで廃止にします」。スーパー堤防事業について、仕分け人の緒方林太郎衆院議員が「廃止判定」を読み上げると、満席の傍聴席から大きな拍手が起こった。
同事業は87年に開始され、利根川など6水系に計6943億円を投入。しかし、地元住民の反対などで計画の5.8%しか整備が進まず、このままでは完成は400年後。総事業費は12兆円に上る。国交省の津川祥吾政務官も「既存の堤防強化のほうが現実的だ」と、判定に従うしかなかった。
仕分け人が特に厳しく追及したのは、費用に見合った効果があるのかという点だ。同省幹部はスーパー堤防の防災効果について「効果は把握していない」と繰り返すばかり。見積もりの甘さはすべての公共事業に共通し、この日の議論では、07年以降の道路事業274件で費用が当初予定を上回り、5.1兆円もの追加支出を余儀なくされた実態が判明した。
港湾でも想定したコンテナ取扱量を上回ったのは126港中16港のみで、仕分け人の長妻昭前厚生労働相は「コストを低く見積もり、後で予算が膨張している。小さく生んで大きく育てるのが公共事業だ」と皮肉った。
仕分け人が一般会計化を迫った背景には、「特会があることで(支出が固定化して)金がジャブジャブ出ていく」(長妻氏)との問題意識がある。仕分け判定では、社会資本特会のうち空港使用料などの特定財源を抱える「空港整備勘定」は当面の区分経理を容認したが、「道路整備」など残る4勘定は一般会計化を求めた。ただ、同特会はこれまでも一般会計の公共事業費から資金が繰り入れられており、「国交省から財務省の財布に変わるだけ」との指摘もある。
一方、年金特会では、加入者に年金履歴などを通知する「ねんきん定期便」事業について「早期にネットへ移行し、予算要求を3割圧縮」と判定。計7事業が「予算圧縮」となった。国債整理基金特会では、12兆円に達する積立金で繰り上げ償還(借金の返済)を検討するよう求めた。【三沢耕平、倉田陶子】
●年金記録照合業務「2割削減」=港湾整備は20%圧縮-特会仕分け2日目
時事 2010/10/28-13:32
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は28日午前、特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾(前半戦)の2日目の作業に入った。年金特会(厚生労働省所管)では、保険料を財源に日本年金機構が実施している年金記録問題対策について、紙台帳とコンピューター記録を照合する業務の来年度予算要求額(876億円)を「2割程度削減する」と判定した。
同業務では、入札情報が事前に同機構の前身の旧社会保険庁OBに漏えいしていた事件が起きており、仕分け人から発注方法に批判が集中。価格以外の要素も加味して落札者を決める現行の総合評価方式は「癒着の温床になる」として、価格競争入札に改めるよう要請した。
このほか、(1)年金記録の電話相談に応じるコールセンター(2)インターネットを通じて保険料納付状況が確認できる「ねんきんネット」サービス(3)公的年金の加入者に納付状況などを知らせる「ねんきん定期便」-の各業務に関しても来年度予算要求額を2~3割圧縮すべきだと結論付けた。
一連の年金記録問題対策の関連業務は、長妻昭前厚労相が最重要課題に位置付け、大幅な予算増額を求めていたが、仕分け人は「無駄が多い」と判断した。
一方、社会資本整備特会(国土交通省所管)では、治水、道路、港湾、空港各事業の整備手法を検証。「需要予測と実態がかけ離れている」などの意見が相次ぎ、港湾整備については、来年度予算要求額(2102億円)を「10~20%圧縮」と判定した。
●仕分けの廃止判定、連合が「極めて遺憾」
2010年10月28日20時46分 読売新聞
連合は28日、政府の行政刷新会議が特別会計(特会)を対象とした事業仕分けで労働保険特会の「ジョブカード制度」関連など5事業を「廃止」と判定したことについて、「雇用情勢が厳しい中で十分な議論もなく、このような結果が出されたことは極めて遺憾だ」とする南雲弘行事務局長名の談話を発表した。
談話では、ジョブカード制度関連の廃止について、「(政府が6月に閣議決定した)新成長戦略で『2020年までに取得者300万人』の目標を掲げていることとも整合性がない」と指摘。そのうえで、「雇用・労働政策を後退させるべきではない」とした。
●事業仕分け2日目の詳報
行政刷新会議の事業仕分け第3弾前半2日目の結果詳報。
●エネルギー、交付税特会にメス=仕分け第3弾の3日目
時事 2010/10/29-04:40
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は29日、特別会計(特会)を対象とする事業仕分け第3弾(前半戦)の3日目の作業に入る。午前はエネルギー対策特会(経済産業省など共管)と、交付税及び譲与税配付金特会(総務省など共管)にメスが入る。
エネルギー対策特会の仕分けでは、住宅用の太陽光発電に対する支援策など、環境関連の補助事業を検証する。所管が複数の官庁にまたがるため、事業の重複が指摘されており、予算の無駄遣いがないかチェックする。
自治体への地方交付税などの配分を行う交付税特会には、33兆6000億円と巨額の借入金があり、借金が膨らんだ経緯などを精査する。
午後も引き続きエネルギー対策特会の仕分けを行うほか、経産省の特許特会、農林水産省の森林保険特会、法務省の登記特会も取り上げる。
●蓮舫大臣はかませ犬か
(日刊ゲンダイ2010年10月22日掲載) 2010年10月25日10時00分 (ゲンダイネット)
まるで負けることが前提でリングに立つボクサーみたいだ。行政刷新会議が、やっと特別会計に切り込む「事業仕分け」の第3弾である。27日からの本番を前に、担当大臣の蓮舫が「お金を出そうとは思っていない」「期待感はなくしていただきたい」と、ハナから財源捻出をあきらめた発言を連発。闘う前から、すっかり腰が引けているのだ。
●前任者の仙谷が官僚との闘い放棄
全18会計・51勘定に及ぶ特会の歳出額は176.4兆円(10年度)と、一般会計92兆円をはるかに上回る。その実態はずっと不透明で、霞が関の“隠れたサイフ”にされてきたのだが、この税金のムダの温床にメスを入れようとしたのが、民主党だ。
昨年の衆院選マニフェストで「特会をゼロベースで見直し、必要不可欠なもの以外は廃止」と明記し、予算の全面組み替えと埋蔵金発掘を柱に計16.8兆円を生み出すと約束した。この勇ましさに国民は期待し、政権交代が実現したのだ。
それだけに蓮舫大臣の負け犬発言には本当にガッカリだ。
「特別会計への道案内」の著者で国会議員の政策秘書だった松浦武志氏が言う。
「予算の全面組み替えを約束した以上、蓮舫氏の弱気発言は国民を欺いたのと同じ。初めから『お金は出ない』という結論ありきで、予算の組み替えに貢献できないのなら、税金で仕分けを行う意味はない。壮大な八百長に血税を使うようなもので、それこそムダ遣いです」
まったく正論だ。しかも、デタラメはこれだけじゃない。蓮舫は財源捻出を捨てたばかりか、「特会にある『埋蔵借金』の情報も徹底公開し、これまで向き合えなかった現実を直視する」なんて言っている。「現実を直視」と言うと格好いいが、返済のメドが立たず「塩漬け」状態にある特会の借金をことさら強調しているだけだから、悪質だ。大マスコミも競い合うように「『交付税及び譲与税配布特会』は33.6兆円の借金を抱える」「『国有林野事業特会』にも1.3兆円」と、特会に眠る借金の額を“暴き”始めた。
読売新聞などは〈仕分けによって期待される「埋蔵金」発掘には限界があるとアピールすることで、消費税率引き上げを含む財政再建論議を加速する狙いがあるようだ〉と書いていた。
●民主党の目玉政策は壮大なデキレースに変質した
やっとこぎつけた特会の事業仕分けが、埋蔵金発掘どころか、将来の増税論議に利用されるなんて、お門違いもはなはだしい。どこで、こんなデタラメ結論になってしまったのか。
「現政権の事なかれ主義の表れですよ。『官僚の抵抗』なんて言い訳に過ぎません。特会は予算の全面組み替えの“本丸”。昨年暮れの第1弾で真っ先に埋蔵金をあぶり出すべきだったのです。ところが、昨年暮れに当時の担当大臣だった仙谷官房長官は、特会を仕分ける前から『埋蔵金はもう出てこない感じだ』と早々と結論付け、官僚との闘いを放棄してしまった。この時の結論ありきで、特会をめぐる議論が進んでいるのが気になります。壮大なデキレースの中で、蓮舫大臣は操り人形になっているようにも映るのです」(松浦武志氏=前出)
特会では自民党政権時代でさえも、毎年のように10兆円規模のムダ金が見つかったものだ。蓮舫も特会の3つや4つ廃止させ、20兆円ぐらいを捻出する気概がなければ、「必殺仕分け人」のイメージはガタ落ちである。単なるウルサ型の“かませメス犬”に成り下がるだけだ。
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昨日から始まった事業仕分け。
今回は、資料が事前にていねいに準備されていた。
昨日、その概要なども紹介した。
今朝見たら、公式ページに「使用する評価シートのイメージ」という解説がアップされていた(いつ出たかは不知)。
まず、今日の日程についての公式データを確認してから、
昨日1日目の仕分けの結果を概観、
次に今日2日目の内容についての注目点などみつつ、もっとも注目されるであろう「スーパー堤防」については、仕分けの「論点シート」も見てみる。
昨日の結果は 事業仕分けラテ欄 - 10月27日 水曜日 特別会計 (1日目) の右側に「評価結果」としてPDFで掲載(リンク)されている。
今後もこの方法で行くのだろう。
インターネットのライブ中継は、次ぎのページの右側にある。
⇒ インターネットライブ中継サイトにリンク
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5位あたり
このように計4つのイメージを解説している。
今日28日、2日目の日程は
事業仕分けラテ欄 - 10月28日 木曜日 特別会計 (2日目)
のシートや資料にリンクしているページで
●仕分け第3弾 前半戦スタート 貿易再保険特会に「廃止」判定
サンケイ 2010.10.28 05:00
全18特別会計(特会)を対象にした政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)の事業仕分け第3弾が27日、東京・池袋のサンシャインシティ文化会館で始まった。初日は貿易再保険特会など5特会が仕分けの対象になり、貿易再保険特会や労働保険特会の「ジョブ・カード」事業などに「廃止」判定が出た。
蓮舫行政刷新担当相は開会式で、「まずは情報をフルオープンにする。特会の中で何が行われ、無駄や税金の浪費、政官業の癒着がなかったのかも議論してほしい」と要請した。
災害などで漁船が損害を受けた場合に国が損失を補填(ほてん)する「漁船再保険及び漁業共済保険特会」(農林水産省所管)は、農業共済再保険特会と「統合」するよう判定された。
同特会は、保険の健全性を示す指標が民間保険で健全とされる基準よりも低くなっているとされ、仕分け人の長島一由衆院議員が、「(保険の健全性を)外部機関で調べたことはあるのか」と説明者の回答をさえぎり、厳しく問いただす場面も。
戦争などで貿易相手から代金を回収できない場合に損失を補償するための「貿易再保険特会」(経済産業省所管)も、経済産業省が実施する貿易保険との「二重構造」が指摘され、廃止判定につながった。
「労働保険特会」(厚生労働省所管)で行う事業のうち、若年層の就労を目的に職業訓練の受講歴などを記録する「ジョブ・カード」制度も、予算執行率の低さなどを理由に廃止と判定された。今回の仕分けは30日まで。
特に無駄な経費が多いと指摘される8特会48事業について、歳出内容を徹底的にチェックし、統廃合を含めた特会改革につなげる方針だ。
●1特会・5事業を「廃止」判定 事業仕分け第3弾
朝日 2010年10月28日0時34分
菅政権で初となる「事業仕分け」第3弾の前半戦が27日、東京・池袋で始まった。「無駄の温床」と指摘される7省所管の18特別会計(特会)51勘定が対象。省庁の「財布」といわれる特会に切り込み、税金の使い道や隠れ借金を明らかにする考えだ。
初日は、経済産業省が所管する「貿易再保険特会」を「廃止」と判定し、独立行政法人「日本貿易保険」との一体化を求めた。農林水産省所管の「漁船再保険及び漁業共済保険特会」など3特会は「統合すべきだ」と結論づけた。厚生労働省所管の「労働保険特会」では、ジョブカード制度普及促進事業など計5事業を「廃止」と決めた。
貿易再保険特会を廃止しても、実質的には独法が保険業務をしているため、利用者には大きな影響はない。農水省の3特会も「中の勘定さえ別なら特会を一つにしても何の障害もない」(農水省の筒井信隆副大臣)。政府が新成長戦略に「取得者300万人」と掲げるジョブカードの関連事業も、同様の仕組みが続くことも検討されている。
仕分けには様々な抵抗がある。官僚に加え、特会から金を受け取る業界団体、労組、地方自治体、国会議員……。ある仕分け人の国会議員は民主党の労組出身議員から特会について「手を引いたほうがいい」と「助言」を受けた。
貿易再保険特会をめぐる議論では、「なぜ(保険業務は)民間ではだめなのか」と追及する枝野幸男前行政刷新相に対し、経済産業省側は「元々は国がやっていた」「各国とも国がやっている」などと繰り返し反論した。
枝野氏は貿易再保険特会のように独法に特会そのものを吸収させて廃止する結論を、長妻氏は農水省の3特会を統合させる結論を導いた。いずれも蓮舫行政刷新相を含め3人が事前に練った戦略だった。
事業仕分けは、民主党が昨年の衆院選マニフェストで掲げた一般会計と特会を合わせた国の総予算の「全面組み替え」と、「埋蔵金の発掘」を実現する「切り札」と位置づけられてきた。今回も特会の全容を解明することで、無駄な事業や天下り問題をあぶり出し、行政改革につなげる狙いだ。
ただ、こうした事業仕分けの手法も限界が見える。
昨年11月の第1弾では、「廃止」や「予算計上見送り」など次々と打ち出したものの、削減効果は7千億円程度にとどまった。独法や公益法人を対象とした今春の第2弾では、日本宝くじ協会の宝くじの売り上げを基にした助成事業の「廃止」などを指摘。しかし、省庁側の巻き返しに遭い、仕分け結果が実現する可能性は高くはない。
今回の仕分けを前に、蓮舫氏は「目標金額は示さない」と一貫して主張。菅直人首相も26日、記者団に「徹底的に中身を洗い出してオープンにすることだ」と語り、財源捻出(ねんしゅつ)よりも特会の透明性確保に主眼を置く姿勢を貫いている。
●【仕分け第3弾】 貿易再保険特会など「廃止」 東京ドーム932個分の土地売却
サンケイ 2010.10.28 00:01
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は27日、特別会計(特会、18会計)を対象とする「事業仕分け第3弾」をスタートさせた。初日は5会計の制度のあり方と2会計の個別12事業の存廃について検討。外国貿易での事故に備えるための貿易再保険特会(経済産業省)を廃止と判定した。また、食料安定供給特会(農林水産省)に、4千ヘクタールを超える農地向けの土地(東京ドーム約932個分)が計上されていることが分かり、売却するよう判定した。
貿易再保険特会では、同特会が直接実施する保険と独立行政法人「日本貿易保険」の保険との「二重構造」が問題視され、独法に業務を一本化するよう求められた。漁船事故に備える漁船再保険・漁業共済保険特会(農水省)と、農作物の再保険を行う農業共済再保険特会(同)の2会計は統合を求められた。
労働保険特会(厚生労働省)は雇用安定、能力開発の「雇用保険2事業」に関し雇用調整助成金を除き原則廃止と判定された。
食料安定供給特会のコメや麦の備蓄を行う米管理、麦管理両勘定、農地保有合理化促進事業、農地利用集積事業はいずれも「予算要求を10~20%圧縮」と判定。同特会の農地向け山林や田畑など計4360ヘクタールは有利な価格で売却とされた。土地は買収時の昭和20年ごろの価格で約4億円。蓮舫行政刷新担当相は埋蔵金だと位置づけた。
蓮舫氏は開会式で「政官業の癒着そのものが、特会制度の裏側にはあったかもしれない」と述べた。
今回の仕分けは30日までで、すべの特会に対して制度廃止も視野に見直し、積立金や余剰金など「埋蔵金」の発掘を目指す。また、特に無駄が多いと予想される8特会の個別48事業は、歳出内容を徹底的にチェックする。
●相次ぐ見直し、効果は未知数=省庁側は「予想の範囲」-事業仕分け
時事 2010/10/27-21:18
27日に始まった特別会計(特会)の事業仕分けでは、初日から特会そのものや関係事業について「廃止」などの見直し判定が相次いだ。長年「無駄の温床」とされてきた特会制度に対し、政府として改革に取り組む姿勢をアピールした格好だが、やり玉に挙がった省庁側は「予想の範囲内。特会を減らそうという動きだ」(経済産業省幹部)と冷静。仕分け結果がどこまで無駄の削減につながるかは未知数だ。
農林水産省の漁船再保険および漁業共済保険特会は、同省が所管する他の特会と統合するよう判定された。しかし、筒井信隆農水副大臣は「メリットはそんなにない。見たところ特会の数が減ったと思われるだけだ」と指摘した。「(統合先で)勘定は別にする」とも述べており、変わるのは看板だけというのが現実のようだ。
また、労働保険特会では、就労支援関連事業を原則廃止し、一般会計に移すよう判定された。保険料の無駄遣いにつながるとの批判を踏まえたものだが、厚生労働省幹部は「やりようがない。関連法の改正が必要になる」と実現を疑問視している。
過剰な積立金や剰余金の取り扱いについても、この日は「より明確化、透明化し、抜本的に見直してほしい」(貿易再保険特会への判定)などと抽象的な結論にとどまり、取り崩しによる財源確保の具体論には踏み込まなかった。ある仕分け人は「今回は制度の在り方の議論が目的。積立金の取り崩しありきではない」としており、財源確保への期待は急速にしぼみつつある。
●事業仕分け初日の結果詳報
行政刷新会議の事業仕分け第3弾前半初日の結果詳報は次の通り。
2010/10/27 22:00 【共同通信】
●事業仕分け「スーパー堤防」検証
NHK 10月28日 5時11分
特別会計を対象にした政府の事業仕分けは、2日目の28日、「スーパー堤防」と呼ばれる大規模な堤防の整備などの公共事業を取り上げ、巨額の費用に見合った効果が得られているのか、検証することにしています。
・・・・3つの特別会計と16の事業が対象となります。
28日は、▽通常より大規模な堤防で、1キロの幅を整備するのに平均で100億円を超える「スーパー堤防」や、▽空港の整備事業など、「社会資本整備事業特別会計」を財源にした公共事業を取り上げることにしており、巨額の費用に見合った効果が得られているのか検証することにしています。
● (再掲) 事業仕分けラテ欄 - 10月28日 木曜日 特別会計 (2日目)
ワーキンググループB
B-7: 社会資本整備事業特別会計
治水事業の選択と集中、河川等の管理のあり方
(1) 治水事業
(2) スーパー堤防事業
(3) 水資源開発事業交付金
(4) 河川・砂防の管理
論点シート(pdf:206KB)
1.河川事業の選択と集中 (23 年度要求額 581,729 百万円(うち一般会計国費 414,583 百万円))
○ 限られた財政資金を効率的・効果的に使用するためには、別途ご議論頂くB/C分析の改善を図ることに加え、河川事業について、下記のような国の大型公共事業や独立行政法人向け支出などを抜本的に見直し、「選択と集中」をより一層図ることにより、予算の縮減を図ることが必要ではないか。
(1) スーパー堤防事業
・まちづくりと一体で行う堤防整備事業であるが、現在の整備率は5.8%。(このままのペースでは400年かかるとの指摘。)(資料1)
・事業費が過大(137 億円/㎞)であり過剰な整備を行っているのではないか、実施箇所はどのように選定しているのかとの指摘。
・また、河川事業のB/C分析については、水系全体を対象として実施されており、個別の事業箇所毎の分析が行われていないことから、個別の事業箇所毎の新規事業の採否や継続事業の継続・中止の判断にあたり、B/C分析が十分に活用されているとは言い難い状況。特に、スーパー堤防事業は、河川の流下能力を向上させるものではなく、堤防の質的強化を図る事業であることから、上記B/C分析で用いる被害軽減効果測定の対象外であり、尚更検証が困難なもの。
・以上に鑑み、スーパー堤防事業については、個別箇所毎の明確な効果の測定など地元住民等に対する説明責任の手法を早急に確立する必要があるのではないか。仮に困難であるならば、区画整理・再開発等が事業開始の主目的と言わざるを得ず、事業計画を大幅に見直した上で、民間資金の活用による整備手法に移行すべきではないか。
(2) 水資源開発事業交付金
・治水勘定より(独)水資源機構に対し、ダム等建設費及び維持管理費として22 年度298 億円(うち国費234 億円)の支出を行っている。
・一方、機構においては、利水者からの割賦負担金収入と、機構がダム等建設時に立替調達した借入金償還との条件差により生じた多額の利益剰余金1,033 億円(21 年度末残、うち使途が定まっていない額:約690 億円)を計上している状況。(資料2)
・現在の厳しい財政事情に鑑み、利益剰余金を更に活用し、新たな国費負担の軽減を図るべきではないか。
(参考)現在、上記利益剰余金の一部を目的積立金として、長寿命化等の施設整備や水質保全等の管理業務などに活用し、国及び利水者に還元。(21 年度末残:241 億円)
2.河川・砂防の管理
○ 河川・砂防の地方移管
・現在の河川管理は、1級水系(国・都道府県管理)、2級水系(都道府県管理)それぞれで二重行政が生じており、こうした現行の硬直的な管理区分により、地域や住民のガバナンスが欠如しているのではないか等の指摘もある。
・こうした指摘も踏まえ、河川及び砂防についての地方移管をどう考えるか。
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●年金、社会資本整備特会を検証へ=仕分け第3弾2日目-刷新会議
時事 2010/10/28-05:31
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は28日、特別会計(特会)を対象とした事業仕分け第3弾(前半戦)の2日目の作業を開始する。午前は、厚生労働省所管の年金と国土交通省所管の社会資本整備事業の2特会を検証する。
年金特会は、国民年金などの給付事業以外に、保険料などを財源に日本年金機構が行っている年金記録問題対策にメスを入れる。紙台帳とコンピューター記録の照合事業、年金受給者が自身の保険料納付状況をインターネットで確認できる「ねんきんネット」サービス事業などを精査する。
社会資本整備事業特会では、首都圏の多摩川などで実施しているスーパー堤防事業の費用対効果を検証。同事業は住宅密集地で計画規模を上回る洪水が起きても被害を最小限に抑えるのが目的だが、1987年の事業開始以降、6943億円の巨費を投じながら整備進ちょく率はわずか5.8%にとどまっている。
午後は、引き続き2特会を議論するほか、将来の国債償還に備えて12兆5000億円の積立金を抱える国債整理基金特会(財務省所管)を取り上げる。
●事業仕分け第3弾!民主党が恐れる「開けてビックリ埋蔵借金の山」
j-cast 2010/10/27 13:55
特別会計を対象にした事業仕分け(第3弾)が今日(2010年10月27日)からはじまった。「特別会計っていうと、埋蔵金が話題になるじゃないですか」と司会の加藤浩次。「これ、実際にどのぐらいあるんですか」
民間仕分け人の土居丈朗慶応大教授は「数え方によっては20兆円とか30兆円」とするが、その多くは借金返済のためとか、円高対策などに積み立ててるもので、取り崩せる分は「そんなに多くないのでは」と言う。
「逆に、埋蔵借金ということも言われてますよね」とテリー伊藤が問う。言われてるどころか、最近は埋蔵金よりも埋蔵借金のほうが主役級の扱い。この必殺物、当初の企画段階では、母屋の窮状を尻目に悪役特会がせっせと貯めこんだ埋蔵金を吐き出させるという勧善懲悪ストーリーだったはずだが、いつの間にやら脚本が大幅修正されたらしい。
「民主党は埋蔵金をあてにしていたが、リアルに探して行くと、借金のほうが多かったなんていうような――」とテリー。「その可能性もあります」。慌てず騒がず、にこやかに土居が返答した。
夢の埋蔵金探し――あちこち掘って、挙げ句に残るは借金ばかりなり!?
●自民 事業仕分けの結果検証へ
NHK 10月27日 8時1分
自民党は、27日から始まる政府の事業仕分けについて、民主党の政権公約通りに不要な特別会計の廃止に切り込み、財源をねん出できるかどうか確認する必要があるとして、仕分け結果を検証することにしています。
政府は27日から始める事業仕分けで、18ある国の特別会計の制度に加えて、特別会計を財源としている48の事業を選んで、制度や事業の必要性などを判断することにしています。これについて、自民党内からは過去の事業仕分けの結果と現在の民主党の政策の間には多くの矛盾があるという指摘や、年金制度改革の全体像もないままに年金特別会計の事業仕分けを行っても細かな見直しにとどまるのではないかという意見が出ています。
そして自民党は、今回の事業仕分けで民主党の政権公約通り不要な特別会計の廃止に切り込み、子ども手当などの財源をねん出できるかどうか確認する必要があるとして、仕分け結果を検証することにしています。検証作業は、党のシャドウ・キャビネットで行政改革担当大臣の河野前幹事長代理を中心に行い、自民党はこの検証結果をもとに国会審議を通じて政府・民主党を追及していくことにしています。
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片山総務大臣が「税率は地方で決定」と、法律を改正する意向を述べている。
地方自治法は、直接請求(有権者の50分の1以上の署名で条例の制定や改廃を請求すること)できるが、対象については「地方税の賦課・徴収などを除外」している。
この除外をはずすらしい。
改正されたとして、住民から直接請求で「減税」の案がでても、どうするかの最終決定はその後の議会。
「『-議会改革のポイントは。』
片山総務大臣『地方税率は国が事実上決めているが、議会の最大の仕事は税率を決めること。』」(毎日)
「自治の基本は税。税率を決める場所は議会だが、国が事実上決めている。仕事(住民サービス)を増やして税率を上げるか、下げるために仕事を減らすかを決める議会のメカニズムが全然働いていない」(毎日)
いずれにしても、長も議会も、自治体側にも財政規律に対する自覚が不可欠となる。
私は、大胆さもいると思うけど。
具体的に次のような記事もある。
「固定資産税などの地方税に関し、国が定める標準税率より低い税率とした自治体に地方債の発行をしにくくしている現行制度を、来年度にも見直す。地方独自の税率変更を容易にすることで地方分権が進む」(毎日)
また、政府首脳が進めようとしているのに遅々として進まない、
「出先機関の事務・権限を国に残すか地方自治体に移譲するか」(時事)
という問題、そして
「国が使途を決める地方自治体への『ひも付き補助金』を、地方が自由に使える『一括交付金』にする」(毎日)。
これらについて、最新の情報を見ておいた。
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7位あたり
●地方税も直接請求対象に 自治法改正を検討へ
2010/10/18 22:34 【共同通信】
片山善博総務相は18日、住民による直接請求制度をめぐり、地方税に関する条例の制定・改廃が対象外となっていることについて「地域主権の流れからすると非常に前時代的だ」と述べ、地方自治法改正を検討する考えを表明した。総務省の地方行財政検討会議で語った。
地方税条例をめぐっては、名古屋市で10%の市民税減税の恒久化をめぐり河村たかし市長と議会が対立。河村氏の支援団体が市議会解散を求める直接請求(リコール)に踏み切ったが、法改正されれば住民が減税条例を直接請求する道が開けることになる。
地方自治法によると、有権者の50分の1以上の署名で条例の制定や改廃を請求できるが、地方税の賦課・徴収などを除外している。
片山氏は住民の意思を政策に反映しやすい仕組みをつくる「住民自治」の拡充が持論。この日の会合では「地方自治の原点は税を決めることだ。本来改正されていなければいけない問題で、税負担に一切触らせないのは住民自治の基本を否定している」と強調した。除外規定については、学識者から「住民不信に基づく制度」との批判が出ていることも発言の背景にあるとみられる。
●地方自治:地域主権改革「知らぬ」66%…毎日新聞調査
毎日新聞 2010年10月22日
毎日新聞は9月、地方自治に関する全国世論調査を面接方式で実施した。民主党政権が取り組む「地域主権改革」の認知度を聞いたところ、「知らない」と答えた人が66%に達し、「知っている」は33%にとどまった。政府は地域主権改革を「改革の一丁目一番地」と位置づけているが、国の出先機関の再編など行政組織論が先行し、住民の関心は高まっていない。
現在、住んでいる自治体の首長に期待できるかとの質問では、「大いに期待できる」は7%、「ある程度できる」が44%。一方、自治体の議員への期待度は低く、「あまり期待できない」が47%、「まったく期待できない」が10%を占めた。政府が6月にまとめた戦略大綱では「首長や議員を選ぶ住民の判断と責任は極めて重大」として、選ぶ側の責任にもふれているが、自分たちが選出した議員への信頼が高くないことが浮き彫りになった。
地域主権改革を担当する片山善博総務相は20日の毎日新聞のインタビューで、世論調査結果について「住民の考えを自治体運営に反映しやすくするツールを増やさなければいけない。直接請求は使い勝手が悪いとの評判があるし、住民投票制度を導入できないか」と表明。住民が条例制定などを求める直接請求制度や、住民投票の拡充に向け、地方自治法改正案を来年の通常国会に提出する考えを示した。
調査は9月3~5日に面接方式で実施。4602人の対象者のうち有効回答は2652人で、回答率は58%だった。【田中成之】
●毎日新聞世論調査:地域主権、世論熟さず 税率決定、地方議会で--片山総務相
毎日新聞 2010年10月23日
--総務相として、地域主権改革にどう取り組むか。
「鳩山政権以来のやり方は『国の行政整理型』だ。私は『住民自治型』改革として、住民投票や直接請求をテーマにしたい。議会と首長が対立した時、アンパイアとして主権者の住民が登場するのが住民投票。自治体の将来に大きな影響を及ぼすことは、議会だけに任せず、住民も責任を負う」
--菅直人首相が目指す「ひも付き補助金」の一括交付金化に対し、各府省が抵抗している。
「府省の自主改善には限界がある。あるタイミングから、こちらが能動的にイニシアチブを取って進めないといけない。(改革は)内閣全体の話で、誰よりも菅首相が内閣の最重要課題と位置づけ、閣僚に何度も督励している。かつての内閣のように、閣僚もお役所を代弁することにはならない」
--世論調査では、地方議員への期待度が低かった。
「多くの自治体で住民と議会との間に信頼がない。間接民主主義は、選んだ人と選ばれた人との間にかなりの信頼関係がなければ成り立たない。信頼回復が必要で、一般社会が凝縮した議会になるのが望ましい。『老若男女』というが、議会はほとんど男で『若』が少ない。一般社会は月給取りがほとんどだが、議会はほとんどいない。議会改革が大きな課題になる」
--議会改革のポイントは。
「地方税率は国が事実上決めているが、議会の最大の仕事は税率を決めること。改革が進み、税を媒介にした自治のメカニズムが作動すれば、今のままでは済まされない。首長の『これをやりたい』という求めにすべて応じれば、(歳出が増えるため)税率が上がる。議会が首長とつるむことは難しくなる。議会は日々税を論じ合い、行動様式も顔ぶれも変わる」
●片山総務相:「地方税率の変更容易に」来年度にも見直しへ
毎日新聞 2010年10月21日
片山善博総務相は20日、毎日新聞のインタビューで、固定資産税などの地方税に関し、国が定める標準税率より低い税率とした自治体に地方債の発行をしにくくしている現行制度を、来年度にも見直す考えを示した。地方独自の税率変更を容易にすることで地方分権が進む一方、自治体側にも財政規律を保つ意志と能力が求められることになる。【笈田直樹】
片山氏は「税率を下げたらペナルティーがあるのは非常に珍しい国で、変えないといけない」と述べ、関係部局に「税率が変動する自治体運営が基本だ」と検討を指示したことを明らかにした。また、「自治の基本は税。税率を決める場所は議会だが、国が事実上決めている。仕事(住民サービス)を増やして税率を上げるか、下げるために仕事を減らすかを決める議会のメカニズムが全然働いていない」と指摘した。
地方税法は、都道府県民税など地方税の税率について自治体が条例で定めるとする一方、固定資産税なら1.4%など、全国一律の「標準税率」も規定。また、地方財政法は自治体が地方債を発行する際、総務相か知事との協議を求めているが、標準税率を下回る自治体には協議ではなく「許可」が必要と定め、事実上のペナルティーを設けている。
名古屋市では今年度、市民税(標準税率6%)を1割減税したが、当初予算の建設事業債430億円の発行に関し、減税分の財源をどう賄ったかなどを総務省に説明して許可を得たという。
●片山総務相が九州広域行政機構を歓迎「地方から戦略を」
産経 2010.10.19 11:08
片山善博総務相は19日午前の記者会見で、九州地方知事会が国の出先機関の職員や業務の受け皿となる「九州広域行政機構」(仮称)の設立を目指す方針を決めたことに「大変いいことだ。地方から(地域主権改革の)戦略を練ってもらえたらいいと思う」と述べ、歓迎する意向を示した。
片山氏は総務省の対応について「どういう支援ができるのかはこれから考えたいが、必要な支援は積極的にしていきたい」と述べた。
●社説 片山総務相 分権阻む壁を崩したい
北海道 9月30日
既得権益を守りたい中央官僚や、旧態依然とした国と地方の上下関係に安住している自治体関係者は、身構えていることだろう。
菅直人改造内閣の総務相に、前鳥取県知事の片山善博氏が就任した。
片山氏は知事時代、国の方針に反して地震で被災した住宅の再建に補助金を出すなど、民主党が掲げる「地域主権」を先取りする県政を展開した。
情報公開にも積極的に取り組み、県のダム事業中止に結びつけた実績もある。
北海道新聞などのインタビューでは、自治体の借金である地方債の発行について、国の関与を薄めて地方の自由度を高める考えを示した。
「地方債発行に国が関与するのは屈辱的」との持論を、総務相5件になっても変えていない。
旧自治省出身ながら官僚に対しても歯に衣(きぬ)着せぬ物言いをしてきた片山氏は、府省とのしがらみや民主党内の権力争いには無縁のはずだ。
自治に関する知見と経験を生かして、地方の視点で論議を巻き起こし、分権を阻害する勢力の壁を突き破ってほしい。
片山氏を起用した首相にも、全面的にバックアップする責任がある。
まず取り組んでほしいのは、政府が参院選前の6月に決定した地域主権戦略大綱の中身の再検討だ。
大綱は、参院選公示直前に駆け込みで決定され、詰めの甘さが目立つ。
ひも付き補助金の一括交付金化では、原案にあった「地域が自己決定できる財源」との表現が抜け落ちるなど、一部で府省の意向が巧妙に反映されてしまった。
一括交付金化をめぐっては、国の財源確保策に利用されるのではないかとの不安が地方から消えていない。制度設計では公平で透明性のある基準を設けることが不可欠だ。
自治体が創意工夫を生かせる仕組みに変革するという原点に立ち、大綱を見直すことも考えていいのではないか。
一方、片山氏の総務相5件就任を機に、地方側も分権実現への決意を新たにしなければならない。
自治体の自己決定権が拡大すれば、結果に対する責任も比例して重くなる。行政に対する地方議会のチェック機能は重要性を増す。
片山氏は、地方議会の最大の役割は「財政破綻(はたん)の防止」であり、「全国の自治体財政が悪いのは、チェックが効いていなかったのが原因」と指摘したこともある。
事前の答弁調整が慣例化し、片山氏から「八百長議会」と酷評された道議会も、緊張感を持って自己改革を進めてほしい。
●一括交付金:片山総務相「総人件費減らせる」
毎日新聞 2010年10月20日
政府は19日、国が使途を決める地方自治体への「ひも付き補助金」を、地方が自由に使える「一括交付金」にするため、各府省の副大臣・政務官による検討会議(議長・逢坂誠二総務政務官)の初会合を開いた。
一括交付金化に消極的な府省側に菅直人首相は「人事権の行使」をちらつかせており、片山善博総務相も同日の閣僚懇談会で「交付金化で(申請業務などに)携わる職員数を減らせ、大きな課題の総人件費を減らせる」と行政スリム化の効果を強調、各閣僚に協力を要請した。
6月に閣議決定した地域主権戦略大綱は、投資的補助金は11年度から段階的に一括交付金化するとしている。しかし、11年度予算概算要求に盛り込まれた221件の計3兆2959億円のうち、「転換可能」と回答があったのは「消防防災施設整備費補助金」(総務省)の9億円、「工業用水道事業費補助」(経済産業省)の19億円など3件28億円だけだった。
初会合の協議対象は文部科学省、経済産業省など6府省の補助金。出席者からは「それぞれ政策意図があって存在している」などと経緯や制度への配慮を求める声が上がり、調整は難航しそうだ。【笈田直樹】
●首相、一括交付金化で再点検を指示
産経 2010.10.22 11:05
片山善博総務相は22日の閣僚懇談会で、ひも付き補助金の一括交付金化をめぐる各府省の対応について「内閣の最重要課題を遂行していく上で不十分だ。各閣僚から政務三役らに改めて督励してほしい」と述べた。菅直人首相も「各閣僚は(担当者が総務省と)どういうやり取りをしているのか、点検してもらいたい。その上で誰が責任者かを決め、明確に指示するように」と再点検を指示した。
政府の地域主権戦略会議(議長・菅首相)は19、20両日に副大臣・政務官レベルの検討会議を開いたが、対象となる約3・3兆円のうち、府省側が一括交付金化に応じるとしたのは28億円で、上積み回答はなかった。
●出先改革「再仕分け」指示=菅首相
時事 2010/10/15-11:14
菅直人首相は15日午前の閣僚懇談会で、国の出先機関改革に対する関係府省の取り組みが不十分だとして、出先機関の事務・権限を国に残すか地方自治体に移譲するかの「仕分け」作業をやり直すよう各閣僚に指示した。各府省が行った自己仕分けで、地方に移譲するとした事務・権限が全体の1割程度にとどまったためで、首相は閣僚懇の席上「不退転の決意でやってもらいたい」と述べた
。
首相は再仕分け結果について10月末までに回答するよう求めた。片山善博総務相(地域主権推進担当)も関係閣僚に対し、政治主導による改革実現へ、地方に移譲する事務・権限の上積みを求めた。
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名古屋市が
「予算要求、財政局査定、市長査定の三つの段階でそれぞれの内容に関する情報を公開すると共に、市民からの意見募集を行う」(朝日) という。
私たちは、議員と市民の勉強会を毎年続けてきているけれど、2年前の夏の講座からは、講師としての私の問題認識として「予算編成過程の情報公開」を一つのテーマにしてきた。
講座参加者は、課題としてそれぞれ各市町の公開時期や公開度などをそれぞれ情報公開請求。
それを集計。
私たちは、その自治体ごとの違いに驚きを感じてきた。
ここ山県市は情報公開度は高い方。
予算編成過程の情報でも「情報公開請求されたら公開する」と2年前に議会で答弁した。
この答弁(姿勢)自体は、ある種、全国でも先を行くレベルだと私は見ている。
とはいえ、「自主的には公表しない」という古い姿勢も答弁された。
対して、今回の名古屋市の方針は、
「要求内容を11月中旬にも公開」
「財政局の査定前の各局要求内容を継続事業を除いて原則すべて公開するのは、政令市を含む全国自治体の中でもほとんど例がない」(毎日)
公開するのは、
「人件費や生活保護費など義務的な経費を除き、市長が実施の当否や内容を政策的に判断する必要がある事業。
(1)各局の予算要求(11月中旬)(2)財政局の査定(1月上旬)(3)市長査定(2月上旬)-の内容をホームページや区役所で公表」(中日)
河村市長は会見で、
「既に予算編成過程公開を行っている指定都市はいくつかございますが、本市では局長さんの要求段階から、基本的にはすべて公開していくこととしまして、トップレベルではないかと。多分トップではにゃあかと。近いようなのがある話も聞きますけど、トップレベルであることは間違いないと、相当思い切った情報公開に踏み込むことといたしました。」(朝日)
もちろん、名古屋市のこの方針決定にいたるまでには、(昨年から今年にかけて、)一歩後退した時期があった。
それも見つつ、今回の名古屋の動きを整理した。
なお、前にもブログでまとめたけど、全国オンブズ の調査・ランキングのおかげで、「最下位認定された岐阜県の知事」は、「隠すことは何も無い」とトップを目指すことを表明している。
●2010年9月6日ブログ ⇒ ◆岐阜県の予算編成過程の公開は全国で最下位/情報公開ランキング
●2010年10月9日ブログ ⇒ ◆予算編成過程の情報公開/方針転換の岐阜県と現状維持の山県市の対比
議員や市民のチカラで開いていきたいところだ。
(10月25日追記 ・・・とはいえ問題が多いことを全国オンブズの内田さんが解説していました。
⇒ 2010年 10月 19日 名古屋市 予算編成過程 継続事業は公開せず 補正予算は意見募集せず
これらの点、改めて注視していきたいと思います。)
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●河村・名古屋市長:選挙公約、予算過程公開に二の足 「編成後に」一転
毎日新聞 201年5月8日
名古屋市の河村たかし市長は6日の定例会見で、10年度予算の編成過程を示す公文書の公開について「かえって無責任になるとの議論もある」と述べ、慎重姿勢を示した。予算編成過程の文書公開は昨春市長選の公約の一つ。予算成立後の実現にも二の足を踏む姿勢に、市民団体からも批判の声が上がっている。
河村市長は、昨年4月の市長選マニフェストで「最終結果としての公文書はもちろん、予算編成過程の関係資料も公開する」とうたっていた。ところが9月、減税基本条例案を審議中の市議会に編成過程を明らかにするよう求められると、「決定前に示すと混乱を起こす」と述べ、編成後の公開を表明していた。
市長は会見で、「編成過程の文書公開は大きなテーマ。財政当局とも相談し、他の都市がどのくらいやっているか調べないといけない」と語り、今後の検討課題との考えを示した。だが、市財政課は、1月に財政局案を初めて公開したことなどから「これまでにない情報公開をした」と胸を張っており、公約実現は不透明だ。
全国の政令指定都市では、6市が各局の予算要求段階で公開し、札幌市と北九州市は昨年11月に各局の予算要求内容を公開して市民意見を募集している。
全国市民オンブズマン連絡会議の内田隆さんは「名古屋は減税に取り組んでおり、市民サービスが削られないかを確かめるためにも公開すべきだ。市長は説明責任を果たしていない」と批判している。
●名古屋市が予算編成過程を公開へ
中日 2010年10月19日 01時56分
名古屋市は18日、当初予算の編成で、新規事業や縮小・廃止する事業の情報を各局の予算要求段階から原則として全面公開し、市民から意見を募集することを決めた。市によると、予算編成の過程を同時進行で全面公開するのは全国の政令市で例のない試み。
出発点から可視化して市民に開かれた予算を実現する狙い。11月に本格化する2011年度予算案から導入する。
河村たかし市長は「大いなるチャレンジだ」と効果に期待した。
公開するのは、人件費や生活保護費など義務的な経費を除き、市長が実施の当否や内容を政策的に判断する必要がある事業。
(1)各局の予算要求(11月中旬)(2)財政局の査定(1月上旬)(3)市長査定(2月上旬)-の内容をホームページや区役所で公表する。
各局の予算要求を公開してから1カ月間で市民の意見を募る。公明党の議員提案により6月議会で成立した「予算編成の透明性確保と市民意見の反映に関する条例」に基づき、市が必要な規則を同日公布した。
●事業の廃止や縮小など、予算編成の過程をネットで公開 名古屋市長発表
産経 2010.10.18 20:29
名古屋市の河村たかし市長は18日の記者会見で、市の来年度予算編成では、各部局の要求段階からインターネットなどで情報を公開し、市民の意見も聴きながら作業を進めると発表した。原則として継続事業を除く全事業が対象で、市は「廃止や縮小の事業まで公開するのは珍しい取り組み」としている。
3各部局の予算要求が出そろう11月中旬ごろに内容を公開し、市民から意見を募集。その後、財政局長、市長の各査定を経て予算案を決定する。審議の透明性を高め、市民への説明責任を果たす狙いがある。
河村市長は記者会見で「市民に丁々発止議論してもらい、予算に生かしたい」と話した。
市議会で6月、予算要求の段階から市長に情報公開を求める条例が成立。市長が具体的な対応方法を検討していた。
●河村・名古屋市長:予算編成、要求段階で公開 11月中旬にも--方針
毎日新聞 2010年10月19日
名古屋市の河村たかし市長は18日、11年度予算編成について各局から財政局に対する要求内容を11月中旬にも公開する方針を明らかにした。財政局の査定前の各局要求内容を継続事業を除いて原則すべて公開するのは、政令市を含む全国自治体の中でもほとんど例がないという。
6月定例会で公明党市議団が提出した予算編成の透明性と市民意見の反映に関する条例案が可決、施行されたのを受けた措置。河村市長は、同条例について当初「議会の権限を超えている」と期限内公布を見送ったが、その後姿勢を変え、7月下旬に公布した。
財政局がまとめた規則によると、公開する情報は3段階に分かれる。まず、11月上旬に各局長が財政局長に予算の見積書を提出した後、同中旬ごろに内容を公表する。政策的判断が必要な事業や新設・拡大・廃止・縮小する事業、使用料の改定に関する情報を公開し、1カ月程度メールなどで市民の意見を募集する期間を設ける。その後、財政局査定、市長査定の内容も随時公開する。
河村市長は「なるべく役所と議会にとどまらず市民に依拠してものを考えるのが地方自治の本来の姿。思い切った情報公開になった」と説明している。【高橋恵子】
●事業の廃止や縮小など予算編成の過程をネットで公開 名古屋市長発表
イザ 2010/10/18
名古屋市の河村たかし市長は18日の記者会見で、市の来年度予算編成では、各部局の要求段階からインターネットなどで情報を公開し、市民の意見も聴きながら作業を進めると発表した。原則として継続事業を除く全事業が対象で、市は「廃止や縮小の事業まで公開するのは珍しい取り組み」としている。
各部局の予算要求が出そろう11月中旬ごろに内容を公開し、市民から意見を募集。その後、財政局長、市長の各査定を経て予算案を決定する。審議の透明性を高め、市民への説明責任を果たす狙いがある。
河村市長は記者会見で「市民に丁々発止議論してもらい、予算に生かしたい」と話した。
市議会で6月、予算要求の段階から市長に情報公開を求める条例が成立。市長が具体的な対応方法を検討していた。
●【河村語録】◎橋下さんより改革早いかも
朝日 2010年10月18日
先週末の15日、愛知県内の政界を激震が走りました。来年2月6日に投開票される愛知県知事選で、河村たかし・名古屋市長が自民党の大村秀章衆院議員(比例東海ブロック)に立候補を要請したことを明らかにしたからです。
ふたりはテレビ番組「ビートたけしのTVタックル」での共演も多く、接点はあったのですが、民主党出身の河村市長が自民の現職衆院議員を擁立するという「禁じ手」に近いような奇策に、県内の政党関係者は大きく動揺したようです。
この日の定例記者会見では、その知事選に関する質問が集中しました。
「県民税も10%減税するのか」
「市長のように知事の報酬も800万円にするのか」
まだまだ不透明な点も多く「選挙目的の野合か」とうがった見方をする議会関係者も少なくありません。ただ今後は、愛知県政も、河村市長が巻き起こす台風の渦に巻き込まれていくことだけは間違いなさそうです。(寺西哲生)
※主なやりとりは次の通りです。意味が通じにくいところもありますが、そのままお伝えしています。
●愛知県知事選
――大村秀章衆院議員を知事選に擁立する方針について
まあ、大村さんとは藤前干潟の埋め立ての反対の闘争ですから。何年前になるかな。十何年。15年近いんじゃないですか。物事は終わってみると当たり前のように見えますけど、あの時は、まあ役所の方がおみえになるで言いにくいけど、市を挙げて「藤前干潟を埋め立てなければ、名古屋市内にごみがあふれかえる」ということで、今日おいでになっとる新聞テレビ各社にコマーシャル料もお払いになりましてでかでか大キャンペーンを行っておみえになりました。
私はたまたま、うちの仕事の関係もありまして、リサイクルとかそういうのは一定、プロですから、環境省にも仲のええのがいまして「どう思う」と言いまして、「そんなもの、ごみはきちっと分別して、あと生ごみだけ残るから、それについては工夫すればなくなるんだよと。そんなもん埋めんでもええわさ」と言っとったら、ぜひ自民党の人で誰かやる人おらんかと、最後まで誰か闘ってくれ、という話がありまして。
もう一つは、自民党でおらんかということで、新幹線の中でいまだよう思い出しますけど、大村氏がたまたま乗ってまして「どうでやあ」と言ったら、「そんなもん、埋め立てんでもええわさ」言って。あの人はごみの分別よりも自然環境守るほう。非常に、渡り鳥がたくさん来る所でして、渡り鳥の来る所って、干潟はたくさんありまして、藤前干潟の特色は都心のど真ん中に残されたというのが特徴なんですね。「そんなもん守らないかん」と「本当にええきゃあ」言って。「ほうなるとややこしいぜ」言って。共産党以外全部埋め立て賛成でしたから。「ええよ。わしゃちゃんとやるで」と「ほんなら、議連でも作ろうか」と。
わしもどえらい苦労しましたわ。いったんああいうことやるとね。日本の、あれは、とにかく団体主義ですから。大変でしたよ。名古屋市の役所の皆さんもぎょうさん議員会館にお見えになりまして、盛んに河村さんの間違っとるという、河村さんの名前出したか知りませんけど、そういう雰囲気に満ち満ちとりました。わしの「埋め立てんでええ」という提案書に対する反論書も市が作りまして、そういう時代の中で大村氏が最後の最後まで。一つ一つものすごい作業でしたけど、大村さんがようがんばりゃあてですね。非常に勇気があると。理が分かっていると、胆力があると。改革とかいろいろ言いますけど、まあ期待を裏切る事態ばっかりなもんですから。
名古屋でも貫こうというとこうなるんですわ。議会が圧倒的な権限を持ってますので、権力を。議会で否決されたらやらないんですけど、そういうのに闘うためには相当の経験と体力がいると。それから名古屋だけでは若干狭(せ)みゃあんだね。ぜひ愛知県と一緒に将来、独立を目指してですね、やっていくと。大阪で橋下さんがやろうとしとることの、ちょっと、こちらの方がはようなるかもしれませんね。一気にね。
ようそれ以来仲良しで、テレビタックルの時代劇スペシャルもよう一緒に出とりましたけど、よう一杯のんだりかんだりしとりまして、どうでゃあとお願いをしとるところでございます。
――木曽川導水路について、大村さんは「導水路は必要だから進めている」というスタンスだが、市長は導水路反対で県と連携したいはずだが、その点は詰めているんですか。
そこらもよう話していかないかんわね。ちょこちょこ話したことはありますけど、なかなかよ。一遍にばかっと100が100は、10が10一致するようにはなりませんので、苦労しながら。やっていく必要があると思いますけど。
――減税については「県民税を1割減税する」と公約に掲げてもらうんですか。
そこまでまだ、パーセントとか、まだはっきりしてませんけどね。まあ、今の段階で何税を何パーセントとか詰まってませんけど。
――県民税じゃなくても良いんですか。
県民税ですわね。普通に言えば。
(以下は河村市長からの質問外の発言です)
最後に予算編成過程の公開について報告します。このたび、先の6月定例会で成立しました「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」施行に関しまして、公開する情報や意見募集の期間などについて規則を定めましたのでご報告いたします。
市長マニフェストにおいても情報公開を徹底して透明性の高い名古屋市行政を実現するとありますが、予算編成の透明性の確保と、市民意見の予算への反映をはかるため、各局からの予算要求、財政局査定、市長査定の三つの段階でそれぞれの内容に関する情報を公開すると共に、市民からの意見募集を行います。
今年度の予定としましては、23年度予算の要求内容を公開し、併せて市民からの意見募集を行います。なお既に予算編成過程公開を行っている指定都市はいくつかございますが、本市では局長さんの要求段階から、基本的にはすべて公開していくこととしまして、トップレベルではないかと。多分トップではにゃあかと。近いようなのがある話も聞きますけど、トップレベルであることは間違いないと、相当思い切った情報公開に踏み込むことといたしました。
●名古屋市の事業仕分け、市主導で 河村市長方針
朝日 2010年10月10日11時30分
河村たかし名古屋市長は9月定例市議会で再可決された議員提案の「名古屋版事業仕分け条例」を公布せず、一方で独自に事業仕分けを実施する方針を決めた。条例では議長が指名した議員が仕分けに参加するが、河村市長は「市長の権限を議会側が限定するものだ」などとしてこれを拒み、あくまで市主導で仕分け作業にあたる考えだ。
8日午前の記者会見で明らかにした。河村市長は「事業仕分け自体には賛成している」と述べ、新年度予算編成に向けた事業仕分けの実施を表明。市が定期的に支出してきた国の外郭団体への負担金の是非などについて、市民参加の場で決めるという。予算案の公表も前倒しする方針。
「仕分け条例」は民主党市議団が中心になって6月議会で提案され、可決された。これに対し、河村市長は「議員が仕分けするのは越権」として審議のやり直しを要求。9月議会で再議されたが、議会側は再び可決した。
このため、河村市長は地方自治法に基づき、同様に再可決された「中期戦略ビジョン」とあわせ、愛知県知事に是非について審査を求める方針を表明。市長は条例を公布しない方針で、議会が可決した条例が効力をもたない異例の状況が長期化しそうだ。
市議会からは反発の声が上がっており、民主党市議の一人は「自分が仕分けをしたいがために、議員条例を『けしからん』と言ってるようなもの。情けない」と語った。(豊岡亮、寺西哲生)
●首長vs議会 名古屋市だけの問題ではない(10月14日付・読売社説)
2010年10月14日01時40分 読売新聞
首長と地方議会は、不毛な対立を避け、健全な緊張関係を保ちつつ協調することが肝要だ。
名古屋市の河村たかし市長の支援団体が、市議会の解散請求(リコール)に向けて、46万人超の署名を選挙管理委員会に提出した。
有効署名が、有権者の約2割にあたる法定数の36万5795人に達していると確認されれば、来年1月にも、解散の是非を問う住民投票が実施される。投票で過半数が賛成すれば、市議会は解散され、出直し市議選が行われる。
1か月で46万人超もの署名が集まったのは、市民の関心の高さを物語る。地方分権の受け皿となる自治体の行政に市民が厳しい視線を送ること自体は歓迎したい。
今回の解散請求の発端は、河村市長と市議会の対立にある。市長が市民税減税の恒久化や議員定数・報酬の半減などを目指し、議会が反対するという構図だ。
河村市長は昨年4月、市民税の10%削減などを公約に掲げて民主党推薦で出馬し、初当選した。
市議会は、市長の主張通りの条例案をいったん可決したが、今年3月、10%減税を今年度限りとする改正案を可決した。「来年度以降の財源がはっきりしない」などを理由としている。
また、議員定数を75から38に、報酬を年1633万円から816万円に減らし、政務調査費を廃止する市長提出の条例案を否決した。こうした市議会の動きに河村市長が反発し、市長主導で解散請求運動が本格化したものだ。
市民税減税は、財源を行政改革で捻出(ねんしゅつ)するのなら、一つの政策の選択肢となり得る。様々な問題が指摘されている議員の政務調査費の見直しや、議会の活性化の努力も欠かせないだろう。
一方、議員定数と報酬は、一定の削減ならともかく、半減はあまりに過激ではないか。市長による大衆迎合主義の色彩も濃い。
日本の地方自治は、首長と議会の二元代表制を基盤としている。名古屋市とは事情も構図も異なるが、鹿児島県阿久根市でも、独善的な市長と議会が対立し、市長の解職請求運動が起きている。
首長と議会が、建設的な相互監視の機能を果たすには、双方が予算配分などで持ちつ持たれつのなれ合いの関係に陥らず、一定の緊張関係を持つことが望ましい。
だが、名古屋市のように、市長と議会が決定的な不信感を持ち、対決していては、建設的な施策に取り組めず、行政の停滞を招く。住民にとっても不幸なことだ。
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