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てらまち・ねっと



 国の来年度の予算について、各省庁からの概算要求が締め切られた。
 まとめると、来年度予算の一般会計の要求総額は99兆円を超え、過去最大となる見通しだという。 
 国の借金は100兆円を超えている。

 でも、麻生財務大臣はイケイケの雰囲気。省が予算編成でどこまで切り込めるかが焦点となる。

 東京新聞は、
 「仮に消費税増税が決まれば、税収増を背景に予算額はさらに膨らむ見通しだ。
   復興予算の流用問題などで国費の使い方が問われる中、野放図な財政出動に拍車がかかる恐れがある。 
   要求額が過去最大となった背景には、要求に上限を決めなかった青天井方式と成長戦略や防災関連に使う特別な枠を作ったことがある。


 とする。
 いろんな報道を見ていて、安倍カラーかと見たくなることの一つ。
 
  「無人偵察機調査費など4.8兆円 防衛省14年度概算要求」(日経)
  「水陸両用準備隊」新設=オスプレイ15年度導入-防衛省概算要求」(時事)

 以前の政治が復活、かと感じる・・・・

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●【経済】 概算要求青天井 14年度予算過去最大
               東京 2013年8月31日
 二〇一四年度予算編成に向け財務省は三十日、各省庁からの概算要求提出を締め切った。
 一般会計の総額は九十九兆二千億円程度で、要求額としては過去最大。
特別会計に計上する東日本大震災の復興費用と合計すると百兆円を超える

。仮に消費税増税が決まれば、税収増を背景に予算額はさらに膨らむ見通しだ。
復興予算の流用問題などで国費の使い方が問われる中、野放図な財政出動に拍車がかかる恐れがある。 
(石川智規)

 要求額が過去最大となった背景には、要求に上限を決めなかった青天井方式と成長戦略や防災関連に使う特別な枠を作ったことがある。

 概算要求は通常、シーリング(天井)と呼ばれる歳出額の上限が定められる。だが、今回は消費税増税が未定で税収額を見積もることができず、上限を定めない異例の形を取った。さらに、他の予算を減らして安倍晋三首相が進める成長戦略などに使う場合、通常よりも多く要求できる「優先課題推進枠」を設けた。

 省庁別で見ると、最大の要求は厚生労働省の三十兆五千六百二十億円で、一三年度当初予算に比べ3・8%増加した。年金や医療費などの社会保障関連費用が膨らんだと説明している。財務省では、国の借金返済のための国債費が約二十五兆円と過去最大となった。

 国土交通省は公共事業などを増やし、同16・3%増の五兆八千五百九十億円を要求。農林水産省は土地改良のための農業農村整備事業などを盛り込み、13・6%増の二兆六千九十三億円を要求した。

 今後、財務省は要求額を査定して予算額をいかに絞り込むかが課題になる。さらに、与党内などでは消費税増税の影響に備えた補正予算を求める声もあり、旧来型のバラマキ予算となる懸念は消えない。

◆原発推進軒並み増

 二〇一四年度予算の概算要求で、経済産業省は、原発の維持・拡大に向けた事業費を軒並み、一三年度当初予算から増額した。東京電力福島第一原発で深刻化する汚染水問題に解決の見通しが立たない中での増額要求は、国民の納得を得られそうにない。

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の技術を活用した高速炉の技術開発で、経産省は一三年度当初予算比56%増となる五十億円を計上。増額の理由を、今年六月の日仏首脳会談で両国が協力して高速炉を推進することで合意したことを受けての措置と説明している。しかし、もんじゅではずさんな点検漏れが見つかり、原子力規制委員会が運転再開準備を禁じる命令を出すなど、日本では高速炉への信頼は地に落ちている。

 原発再稼働に向けた布石も次々に打っている。原発で重大な事故が起きても動き続ける原発内の計器類の開発など安全対策の高度化に、57%増の八十五億円を要求した。新規事業として、原発がある十七地域の経済活性化に十三億円を計上。この予算は、地域の特産品のPRや雇用対策の専門家の派遣などを行うとしている。

 一方、福島第一原発の汚染水対策は予算額を示さない「事項要求」とした。政府は原子炉建屋の周囲の土を凍らせて地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」などの対策を想定するが、具体策が固まっていないためで、年末にかけての予算編成過程で金額を詰める。

●過去最大 来年度予算概算要求
         共同通信 2013年08月30日
財務省は30日、14年度予算編成に向けた各省からの概算要求の提出を締め切った。
要求総額は過去最大の99・2兆円程度で、特別会計の復興予算を含めると103兆円程度に膨らんだ。
要求に上限を設けない青天井方式で財政規律が課題になりそうだ。


●来年度予算要求額 過去最大の99兆円超へ
               日テレ  2013年8月30日
 来年度予算の各省庁からの要求額は、計99兆円余りと過去最大となる見通し。

 予算要求の事実上の締め切りとなる30日、財務省には続々と各省庁からの要求が届いた。高齢化社会を背景とし、年金や医療などの「社会保障費」が1兆円近く増え、厚生労働省が合わせて過去最大の30兆5620億円を要求した他、政府が防災や老朽化対策など「国土強靱(きょうじん)化計画」を進める中で、公共事業関係費も大幅に増加している。

 この結果、来年度予算の一般会計の要求総額は99兆円を超え、過去最大となる見通し。
国の借金が1000兆円を超える中、今後は、財務省が予算編成でどこまで切り込めるかが焦点となる。

●麻生氏 めりはりついた予算編成目指す
          NHK 8月30日
 麻生副総理兼財務大臣は、閣議のあとの記者会見で、来年度予算案の概算要求について、「財政再建と経済成長の双方を達成する、めりはりのついた予算につなげていきたい」と述べ、デフレ脱却とともに、財政健全化にもつながる予算編成を目指す考えを強調しました。

国の来年度予算案の概算要求は、30日、各省庁から財務省に提出される予定で、一般会計の総額は、過去最大のおよそ99兆2000億円に達する見通しです。

これについて、麻生副総理兼財務大臣は、「経済成長と財政再建の双方を達成することを目的として、いろいろな施策の優先順位を洗い直し、めりはりのついた予算につなげていきたい」と述べ、デフレ脱却とともに、財政健全化にもつながる予算編成を目指す考えを強調しました。

一方、甘利経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、「概算要求の要求額が認められるかどうかは、その分野が日本経済の再生に資するか、規制緩和の政策であるか、構造改革の政策を採っているかで、評価される。そうでないものは、厳しい査定がなされると理解している。経済成長と財政健全化の両立を図る取り組みが、政府全体として行われていくと思う」と述べました。

●14年度予算概算要求締め切り 歳出の上限設定せず 「優先課題推進枠」が膨張
           産経ビズ 2013.8.31
 30日に締め切った2014年度予算概算要求は、デフレからの早期脱却に向け、経済を成長させながら財政健全化を目指す安倍晋三政権にとって、政権交代後の本格的な予算編成作業の実質的なスタートとなる。成長戦略などに重点配分する「優先課題推進枠」が、政権の狙う経済成長に貢献できるか、その中身が問われることになりそうだ。

 民主党政権下では、国債費を除く政策的経費は71兆円以下、新規国債発行額を44兆円以下とする予算編成の指針「中期財政フレーム」で予算の大枠を設定した。その中で、歳出を削減し、重点分野への要求を認める形で予算編成を行っていた。

 安倍政権は、予算案編成作業がわずか1カ月という13年度予算に続いて、14年度も民主党時代の考え方を大胆に見直し、予算編成の大枠は設定しなかった。加えて、今回の概算要求では、来年4月の消費税率引き上げ判断を目前にして、税収の見通しが立たないことから、歳出の上限も設けなかったため、各省庁から強気の要求が相次ぎ過去最大の規模となった。

 一般的な公共事業費などの「裁量的経費」は10%削減しているが、成長戦略向けの「優先課題推進枠」が、与党内や省庁の歳出増加圧力によって膨れあがっている。

 安倍政権は成長戦略を実行に移さなくてはならない。財政再建の必要性もある中で要求された予算から経済成長に資する事業を絞り込み経済再生と財政健全化の好循環を確立することができるかが、求められている。

●来年度予算の概算要求締め切り 過去最大の99・2兆円、絞り込みどこまで
             産経 2013.8.30
 財務省は30日、平成26年度予算の概算要求を締め切った。一般会計の要求総額は、24年度の98兆4686億円を上回り、過去最大の99兆2千億円規模に達した。来年4月に消費税率を引き上げるかの判断前で税収見通しが立たず、概算要求基準で歳出の上限を示さなかったため、各省の要求額は軒並み大幅に増えた。

 特別会計に計上される東日本大震災の復興費の要求額は、今年度予算比で17・0%減の3兆6377億円。大幅減となったのは今年度予算で6053億円が計上された、被災地の自治体に配布する「震災復興特別交付税」が金額を示されなかったためで、最終的な予算額は今年度並みとなる見込み。

 一般会計と復興費を合わせた合計額は103兆円程度となる見通し。成長戦略や防災対策などに予算を重点配分する「優先課題推進枠」の対象経費は約3兆5千億円に達した。

 年金や医療、介護などの社会保障費は、高齢化に伴う自然増(9700億円)を認めたため、厚生労働省の要求額は過去最高の30兆5620億円となった。

 省庁別では、国土交通省と経済産業省が今年度当初予算比で2桁増と大幅な増額要求を行った。

 国債費は、発行残高の増加が響き、過去最大の25兆2792億円となった。

 8月に閣議了解した中期財政計画では、財政再建のために国の一般会計で2年間で8兆円の収支改善が必要としており、財務省は年末の予算案決定に向けて、要求を絞り込む。

●無人偵察機調査費など4.8兆円 防衛省14年度概算要求
          日経 2013/8/30
 防衛省は30日、2014年度予算の概算要求を発表した。米軍再編の関連費用を含む総額は13年度当初予算比2.9%増の4兆8928億円。海洋活動を活発にする中国などの警戒監視を強化するため、無人偵察機の15年度導入に向け調査費用を2億円計上。米軍の「グローバルホーク」を念頭においており、米国から詳細な情報を取り寄せて検討を本格化する。

 警戒監視の強化では、航空自衛隊の早期警戒機E2Cによる飛行警戒監視隊を那覇基地(沖縄県)に設けるための整備費13億円も盛り込んだ。

 中国をにらんだ対応では島しょ防衛にも重点を置き、離島上陸作戦などを担う「水陸両用準備隊」を設ける。水陸両用車を2両購入し、今年度分とあわせて6両体制にする。航続距離が長く遠距離の離島との間の輸送に使える米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの15年度導入に向けた調査費1億円も計上した。

 北朝鮮の弾道ミサイル対策では、地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)を防衛省内に常時配備するための施設整備費17億円を盛り込んだ。

●「水陸両用準備隊」新設=オスプレイ15年度導入-防衛省概算要求
           時事。(2013/08/30-16:25)
 防衛省は30日、2014年度予算概算要求を発表した。米軍再編などの地方負担分を含む総額は前年度比2.9%増の4兆8928億円。沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛強化へ、陸上自衛隊に「水陸両用準備隊」を新設。また新型輸送機オスプレイの15年度導入のための調査費1億円を計上した。

同省は「海兵隊的機能」整備のため、水陸両用作戦専門部隊の新設に先立ち、14年度末をめどに30人規模の準備隊を発足させる。概算要求では、上陸作戦に必要な水陸両用車2両の取得費13億円を計上。13年度予算での購入分と合わせて計6両を準備隊に配備する。 

 一方、航空自衛隊の早期警戒機E2Cによる「飛行警戒監視隊」を那覇基地(沖縄県)に新設するための整備費13億円、無人偵察機グローバルホークの15年度導入に向けた調査費2億円をそれぞれ要求。また、1月のアルジェリア人質事件の教訓を踏まえ、同国を含むアフリカ7カ国とブラジルに防衛駐在官を新規派遣する。

●来年度予算概算要求 もんじゅ関連269億円
         (2013年8月31日 読売新聞)
 文部科学省が来年度予算の概算要求を行った30日、同省の田中正朗官房審議官が県庁と敦賀市役所を訪れ、同省が所管する日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)関連分について説明した。予算要求額は269億円と、今年度(174億円)を大幅に上回った。

 要求額の内訳は、維持管理・安全対策経費が今年度比21億円増の195億円。約1万2000件に及ぶ機器点検漏れ問題に対する原子力規制委員会の指摘で、点検対象が1万点から2万9000点に増えたことが影響した。新たな規制基準への対応費は74億円で、ケーブル類の難燃化や津波対策などを盛り込んだ。

 杉本達治副知事は、概算要求に研究開発費が盛り込まれていないことについて「今年度から2年間は研究が進まないように思える」と懸念を示した。
田中審議官は「そもそも電力会社並みの保守点検すら行われていないのではないかという危惧がある」と組織改革を優先させる方針に理解を求めた。


 一方、田中審議官は敦賀市役所で河瀬一治市長に面会後、報道陣の取材に、「今まで機構の言う通りに要求していたが、保全計画通りの機器分の点検予算を確保する必要があった」と述べた。河瀬市長も「文科省も認識が足りなかったし、機構も組織としておかしかった。今後は改善されると思う」と話した。





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 日光に当たるのは健康に良いことか悪いことか、人によって考えが違う。
 私は、若い時は、黒く日焼けした方が健康的で良いと思ってきた。
 でも、最近は、無理には陽に当たらないようにしている。
 
 この夏も、「外で半袖」にはならないようにしているので、
 時に畑で半袖になると、すぐに「肘のあたり皮膚がチリチリ」する感じになる。
 だから、すぐに長袖を着る。そんな風な体感になった。

 昨日の報道に「ビタミンD不足 :北日本は長時間の日光浴を」という旨があった。
 それは言えるのだろうけど、悩ましい。

 国立環境研究所のWebページを見てみた。 
   ・・・この表から、7月の晴天日の12時には、札幌・つくば・那覇ではそれぞれ、4.6分・3.5分・2.9分で必要量のビタミンD生成を行うことが出来ることが判ります。
    一方、12月の晴天日の12時では、那覇では7.5分、つくばでは22.4分で生成するのに対し、太陽高度の低い札幌では、必要量のビタミンD生成に76.4分という長い時間が必要となることが判明しました。
    実際には、曇りや雨等晴れ以外の日もあることから、必要なビタミンD生成のためには、さらに長時間の日光浴が必要となります。


 この国立環境研究所のページには、
   「紫外線照射によるビタミンD摂取の必要性と有害性」
 という項目もあった。

 ともかく、日本の中間的な位置として「つくば」では、
 >夏は「3.5分」、 冬は「22.4分」
、ということらしい。

 日光の特性や最近話題の UVA と UVB については、例えば次。
    ⇒ UVAとUVB (紫外線A波と紫外線B波について) - ロート製薬の紫外線対策
   
 
 でも、毎日新聞には次の記事もある。
   1978年、旧国立がんセンター(現・国立がん研究センター)が「がんを防ぐための12カ条」を提唱、
   その第10条に「日光に当たりすぎない」という項目がありました。
   しかし、2011年に更新された「新12カ条」では、日光の項目がなくなっています。
   むしろ、日光を浴びるとビタミンDによって骨が強くなるほか、大腸がんなどを予防しますから、多少は日光に当たった方が良いためです。


 最近の「大陽の直射日光に注意」という流れと、学者の、少々なら大丈夫、という良くある認識とのズレを感じる。
 
 ところで、今日は、どんよりした曇り、時折、パラパラの天気。
 だから、朝は、安心して「アスパラに菜種かすを追肥として施す」作業。
 昼前に岐阜市内での所要に出かけて、午後は・・・・

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 ●国立環境研究所 / 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定
—札幌の冬季には1日に76分の日光浴が必要—2013年8月30日体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定
—札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要—


                国立環境研究所 / 体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定 —2013年8月30日
    (筑波研究学園都市記者会配布)  平成25年8月29日(木)
             独立行政法人国立環境研究所  地球環境研究センター

国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは、このほど健康な生活を送るのに必要不可欠な成人の1日のビタミンD摂取量の指標とされる、5.5 μgすべてを体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を、日本の3地点である札幌、つくば、那覇について、季節や時刻を考慮した数値計算を用いて求めました。

その結果、両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合、紫外線の弱い冬の12月の正午では、那覇で8分、つくばでは22分の日光浴で必要量のビタミンDを生成することができるものの、緯度の高い札幌では、つくばの3倍以上の76分日光浴をしないと必要量のビタミンDを生成しないことが判りました。紫外線を浴びすぎるとシミやしわ、皮膚がんの原因となることから、最近極度に紫外線を忌諱する風潮も一部で見受けられますが、冬季の北日本などでは食物からのビタミンD摂取に加え、積極的な日光浴が推奨されることが今回の研究で明らかとなりました。
なお、本研究結果は、8月30日発行の日本ビタミン学会の機関誌「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」に掲載されます。

1.背景
健康な生活には、必要な量の各種ビタミンの摂取が不可欠です。その中の一つであるビタミンD*1について、現代の日本人の多くは慢性的に不足しているという報告があります*2。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、成人について1日のビタミンDの摂取目安量として、最低5.5 μg、上限50 μgを推奨しています*2。

諸外国では、もっと多くのビタミンD摂取を推奨する研究者もいます。ビタミンD欠乏は世界的に問題となっており、高緯度に位置する北欧諸国などでは、日光浴不足によるビタミンDの欠乏を補うためにサプリメントの摂取が積極的に行われています。日本でもかつてはビタミンDが豊富な魚介類の摂取や、積極的な日光浴により、ビタミンDは比較的充足していたと考えられます。それが最近では、乳幼児・妊婦・若年女性・寝たきり高齢者等を中心にビタミンD不足が指摘されてきております*3。

我が国を含む多くの民族においてビタミンDの必要量の大部分は日光紫外線照射による体内での生成に依存していると考えられていましたが、1980年代のオゾンホール発見等オゾン層の破壊が顕在化して以来、紫外線は有害であるとの考え方が浸透し、太陽光をなるべく浴びないようにするという風潮が広まってきたことも、近年のビタミンD不足の一因と考えられます。また、特に女性においては、紫外線の照射はシミ・しわの原因となるなど主に美容上の観点から、なるべく日光浴を避けるという傾向にあるものと思われます。

実際、京都市内で2006年から2007年にかけての1年間に出生した新生児1120人を対象とした調査では、全体の20.5%にビタミンD欠乏症を示唆する頭蓋ろうが認められました。しかも発症には明らかな季節変動性が認められ、胎児の骨量が増加する妊娠後期が太陽紫外光の弱い冬季であった4~5月出生時に、特に頭蓋ろうの頻度が高いという結果が示されています。

紫外線によるビタミンD生成を推奨するため、環境省をはじめとする関係機関は、表1に示すような日光浴を推奨しています。ところがこれを見てわかる通り、組織によって推奨する値には大きなばらつきがあり、また紫外線の量に大きな違いがある地点(緯度)や季節の違いもあまり考慮されてはいません。そこで、本研究では国内の代表的な3つの地点を選び、日本人が1日に必要とされているビタミンDを、日光浴のみによって体内で生成するのに必要な日光照射時間を、季節や時刻を考慮した数値計算を用いて求めました。

表1. 各機関・組織のHP等に記載されているビタミンD生成に必要な日光照射時間

2.今回の研究結果の概要
本研究では、健康な生活を送るのに必要不可欠な成人の1日のビタミンD摂取量の目安とされる、5.5 μgのビタミンDを、すべて日光照射によって体内で生成させるとした場合に必要な日光照射時間を、放射伝達モデルSMARTS2*11を用いて計算しました。このモデルの中では、太陽から発する紫外線が、太陽-地球間距離を補正し、特定の場所・時刻において地上に達するまでに減衰する要因として、空気分子による散乱、オゾン等の分子による吸収、エアロゾルによる散乱と吸収、標準的な地表面の反射特性を考慮に入れています。

また、紫外線は雲が存在すると多重散乱の影響によって大きく変化するため、今回は雲のない晴天日を仮定して計算を行いました。オゾン全量は気象庁が札幌・つくば・那覇で観測しているドブソン分光光度計によるオゾン全量の日代表値を、エアロゾル量に関しては同様に気象庁がつくばでサンフォトメーターによって正午に観測した値を使用しました。その結果得られた紫外線スペクトルに、ビタミンDを生成するCIE作用曲線*12を掛け合わせたものを波長290~325 nmまで積分して、ビタミンD生成紫外線量としました。このモデルによる計算結果は、気象庁高層気象台がつくばで観測した値と比較して、とても良い相関を示していました。

紫外線によって体内で生成するビタミンDの量を計算するためには、ビタミンD生成紫外線が単位量当たりに体内で生成するビタミンD量の値が必要ですが、これにはイギリスのDavieらの論文*13の値を用いました。さらに、紫外線を浴びる皮膚の色に由来するスキンタイプと皮膚の表面積を仮定する必要があります。ここでは、スキンタイプとしては日本人の平均的な値をSPT: IIIとし、皮膚の表面積として、大人の両手の甲と顔を合わせた面積に相当する600 cm2を用い、以上の前提の上に、札幌・つくば・那覇の3地点について、午前9時・正午・午後3時の各時刻において、ビタミンD 5.5 μgを生成するのに必要となるビタミンD生成紫外線照射時間を求めました。

表2に、上記の前提条件のもと、今回の計算で得られた結果をまとめます。この表から、7月の晴天日の12時には、札幌・つくば・那覇ではそれぞれ、4.6分・3.5分・2.9分で必要量のビタミンD生成を行うことが出来ることが判ります。一方、12月の晴天日の12時では、那覇では7.5分、つくばでは22.4分で生成するのに対し、太陽高度の低い札幌では、必要量のビタミンD生成に76.4分という長い時間が必要となることが判明しました。
実際には、曇りや雨等晴れ以外の日もあることから、必要なビタミンD生成のためには、さらに長時間の日光浴が必要となります。


*11 SMARTS2: 1995年にGueymardによって開発された、地上に到達する紫外線量を計算するためのシンプルな放射伝達モデル。
*12 CIE作用曲線: CIE(Commission Internationale de l’Éclairage: 国際照明委員会)が2011年に発表した、紫外線の波長とそれによってビタミンD生成を起こす量の関係を示した曲線。
*13 Davie, M. W. J., et al., Vitamin D from skin: contribution to vitamin D status compared with oral vitamin D in normal and anticonvulsant-treated subjects., Clin. Sci., 63, 461-472, 1982.

表2. 5.5 μgのビタミンDを生成するのに必要な、各地・各時刻での日光照射時間

3.紫外線照射によるビタミンD摂取の必要性と有害性
今回の解析により、健康な生活を送るために必要な量のビタミンDを日光浴だけから得ようとすると、特に緯度の高い札幌の冬季には、晴天日のお昼という一番太陽紫外線の強い状況下でも、今回仮定した前提条件のもとでは、毎日76分というかなり長時間の日光浴が必要となることが判りました。実際には冬季の札幌は晴天日が少ないため、さらに長時間の日光浴をした方が良いことになります。また、顔と手だけではなく、足や腕など日光に当たる部位を増やすことによって、必要な日光浴時間は短縮させることが出来ます。

もちろん、ビタミンDは魚やきのこなどの食物や、場合によってはサプリメントによっても体内に補給することが可能です。冬季の北日本では、食物などからのビタミンD補給と併せて、積極的な日光浴が推奨されます。また、1日に消費される以上に得られたビタミンDは体内で蓄積され、ある程度はその効果が持続することが判っています。

紫外線を過度に浴びすぎると、シミや皮膚の黒化、場合によっては日光角化症や皮膚がんなどの原因となることが懸念されます。その目安として、WHO等は皮膚に紅斑を起こす最少の紫外線量を、最少紅斑紫外線量(1 MED)として定義しています。この量以上の紫外線を頻繁に浴びることによって、上記疾病の危険性が高まります。しかし我々の試算によると、1 MEDに達するまでには、必要なビタミンDを生成する紫外線照射時間の約4~6倍の時間が必要となります。
この範囲内で適度な日光浴を行い、十分な量のビタミンDを補給することが、健康な生活を維持するために必要と考えられます。



●ビタミンD不足:北日本は長時間の日光浴を
        毎日新聞 2013年08月30日
 成人が1日に必要とする量のビタミンDを体内で作るには、北日本ほど長時間の日光浴が必要とされ、冬の札幌市では茨城県つくば市の3倍以上の時間がかかることが、国立環境研究所(つくば市)の研究で明らかになった。30日付の日本ビタミン学会機関誌に発表する。

 ビタミンDが不足すると骨が弱くなったり、高血圧などになる危険性が高まる。ビタミンDは魚などの食事からとれるほか、紫外線を浴びることによって体内で作られる。厚生労働省の基準では、成人に必要な1日の摂取量は最低5.5マイクログラム。魚では1匹(約50グラム)を食べる必要があるが、日光浴の方が手軽とされている。

 そこで、同研究所の中島英彰・地球環境データベース推進室長らのチームは、ビタミンD5.5マイクログラムを、日光浴だけで作るための必要時間を分析した。その結果、12月の晴れた日の正午に顔と両手を露出した状態で、那覇7.5分▽つくば22.4分▽札幌76.4分−−と、札幌ではつくばの3倍以上の時間がかかることが明らかになった。

 中島室長は「最近は紫外線を避ける人が多く、慢性的にビタミンDが欠乏する人が多い。日差しの弱い冬の北海道や東北地方では、積極的に日光浴をしたほうがよい」と話している。【相良美成】

●日光浴76分でビタミンD 大人1日分、冬の札幌で
             東京 2013年8月30日
成人が1日に必要な量のビタミンDを体内で作るには、冬の札幌では76分間の日光浴が必要との研究結果を、国立環境研究所(茨城県つくば市)の中島英彰室長らが30日付の日本ビタミン学会機関誌に発表した。他の地域では、より短い時間で済んだ。

 ビタミンDは骨の形成を促し、がん予防につながるとされるが、日本では不足気味との指摘もある。キノコや魚などの食べ物から摂取するほか、紫外線が当たると体内で作られる。中島さんは「冬の北日本では、適度に太陽光を浴びた方がよい」としている。(共同)

●1日に必要なビタミンD生成、日光浴の時間推定 国環研
            日経 2013/8/30
国立環境研究所と東京家政大の研究チームは29日、1日に必要な量のビタミンDを体内で作るのに適した日光浴の時間を推定したと発表した。
12月の晴天の正午では、那覇市で8分、茨城県つくば市で22分、札幌市では76分の間、日光を浴びる必要があるとの結果になった。

 紫外線がシミやしわなどの原因になるとして日光を避ける風潮もあるが「冬の北日本では食べ物からビタミンDを取るだけでなく、日光浴が推奨される」と研究グループは説明している。

 ビタミンDが不足すると骨の生育に異常が生じ、頭蓋骨がへこむ頭蓋ろうや、くる病、骨粗しょう症などが起きる。

 ビタミンDは魚やキノコなどの食物から取れるほか、紫外線を浴びると皮膚の中にできる。最近は、乳幼児や妊婦、若い女性、寝たきりの高齢者を中心にビタミンDの不足が指摘されている。

 研究グループは、成人が健康な生活を送るのに1日に必要なビタミンDの量を5.5マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムと想定。すべてのビタミンDを両手の甲や顔の日光浴だけで体内で作る場合の日照時間を試算した。

 紫外線が強い7月の晴天の正午では、札幌市が5分、つくば市が4分、那覇市は3分となり、各地で必要な日光浴の時間に差は少なかった。

●Dr.中川のがんの時代を暮らす:/66 日本人向けの予防策
              毎日新聞 2013年01月28日
 これまで、がんに関する情報の多くは欧米発のものでした。たとえば、日光浴で皮膚がんが増えると言われますが、白人に対しては正しくても、有色人種の日本人にはあてはまりません。
 1978年、旧国立がんセンター(現・国立がん研究センター)が「がんを防ぐための12カ条」を提唱しました。これは長く日本のがん予防の指針になっていましたが、その第10条に「日光に当たりすぎない」という項目がありました。

 しかし、2011年に更新された「新12カ条」では、日光の項目がなくなっています。むしろ、日光を浴びるとビタミンDによって骨が強くなるほか、大腸がんなどを予防しますから、多少は日光に当たった方が良いためです。

 日光と皮膚がんの関係に近い誤解が、飲酒による発がんでもあります。喫煙が、がんの原因のトップで、受動喫煙でもがんを増やすことは広く知られるようになりましたが、飲酒のリスクは軽視されています。

 1996年に米ハーバード大のがん予防センターから発表された米国人のがん死亡の原因は喫煙が30%、食事が30%、運動不足が5%となり、飲酒は3%でした。一方、日本人を対象とした研究では、男性の発がん原因の9%、男女合わせても6・3%が飲酒によるものとなり、米国に比べて日本人の方がアルコールの発がんへの関与が高いという状況です。

 このような結果になる理由は、日本人が「酒飲み」だからではありません。欧米と比べて日本のアルコール消費量はずっと少ないのですが、東洋人の4割がお酒で顔が赤くなり、これは白人には見られない現象です。アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドを処理しきれず、体内にたまることで起きる状態で、「アジアン・フラッシュ」と呼ばれます。このアセトアルデヒドが発がんの原因になるため、白人ではあまり問題にならなくても、日本人は飲酒による発がんのリスクを無視できないのです。日本人向けのがん予防策が大事な理由です。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

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 ここのところの政府の消費増税の影響を巡る集中点検会合。
 そこでの識者の意見についてのニュースを聞くにつけ、
 いかに人選が増税推進に偏っているかは歴然。

 それとマスコミの報道。特に日経の報道が偏向している。
 各所で問題が指摘されているので、整理する。

 (産経)
 「世論調査」で「世論操作」
 増税翼賛会メディアが引き受けているのが、「世論調査」という名の「世論操作」である。とりわけ日経が最も露骨で、いわばデマゴギーも同然だ。
 8月26日付、日経朝刊1面を見ればよい。「本社世論調査」とのカットの脇に、「消費増税7割超が容認」とある。
 それは朝日新聞を除く他のメディアの世論調査と全く逆の結果で、「何かヘンだな」と思って、本文を読んでみたところ、増税に世論を導くための典型的な印象操作そのものである。
 データをねじ曲げてまで世論誘導を図る今の日経の報道姿勢は、「社会の公器」としての役割の放棄で、官報以下だと、嘆じざるを得ないのだ。


 (zakza) 
 26日の日経新聞朝刊は「7割超が容認」と報じたが、朝日新聞は「賛否が接近」、毎日新聞は予定通りの増税を「21%にとどまった」とするなど、各紙バラバラの見出しや記事が掲載されていた。一体どういうことなのか。

  朝日新聞は、賛成が43%、反対が49%。反対が賛成を28ポイントも上回っていた7月の前回調査と比べ、「賛否は接近した」と伝えた。このように「賛成、反対」をシンプルに質問したのは朝日新聞のみ。
  共同通信は、「予定通りの増税」「現行税率5%の維持」「引き上げ時期の先送り」「引き上げ幅の縮小」と細かく聞き、毎日新聞も同様の質問を行った。
  共同、毎日とも「消費増税『予定通り』22%」(共同)などと、来年4月の8%増税に理解が得られていないことを強調した内容になった。

  これに対し、同じように複数の質問を行った日経新聞は独特の計算法を採用した。
 「予定通り引き上げるべきだ」(17%)と、「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」(55%)を合計して、「増税容認」が7割超と1面の見出しで報道している。
 「政策への理解の広がりが支持率を押し上げているとみられる」とも解説した。


 例えば上記のよう。

 来年4月からの増税を既成事実化しようという流れ。
 どこが本当かをよく見ないといけない・・・

 ところで今日は、9月議会前の議員全員協議会。
 議案書や資料なども配布される。
 9月定例会の開会は9月3日。

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  (関連)  8月19日ブログ ⇒ ◆どうなる消費税8%/本田内閣官房参与「景気は強くない」 消費税1%刻み、重ねて主張

●経財相、消費税の点検会合「反対派が少ないことは人選で実感」
              日経 2013/8/28
 甘利明経済財政・再生相は28日午後、消費増税の影響を巡る集中点検会合後の記者会見で、条件付きも含めて賛成の意見が多くなっていることについて「なるべくバランス良く(賛成派と反対派の)人を入れようと相談したが、人選をしていくなかで反対派の対象者が少ないことは実感した」と述べた。有識者が遠慮なく自分の意見を言えるよう「和んだ場をつくるのに心をくだいている」とも語った。

 第4回まで終えた会合を振り返って「なるほどという視点の発言が結構出る」と述べ、参考にできる意見が多いとの見方を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

●消費増税に賛成43%、反対49% 朝日新聞世論調査 消費税、来年4月に8%に引き上げることに…
          朝日 2013年8月25日
 朝日新聞社は24、25日に全国定例世論調査(電話)を実施した。消費税を来年4月に8%、再来年10月に10%に引き上げることに、賛成は43%で、反対の49%がやや上回った。この引き上げ方ではなく、毎年1%ずつ小刻みに上げて10%にする考えに対しては「よい」は34%で、「よくない」の51%の方が多かった。

世論調査―質問と回答前回調査では
 消費税を予定通り引き上げることについては、参院選直後の7月22、23日の前回調査で賛成30%対反対58%だったのに比べると、賛否は接近した。女性は39%対52%(前回25%対63%)と反対が多かったが、男性は47%対45%(同36%対52%)とほぼ並んだ。

 毎年1%ずつ上げる考えに対しては、男性は「よい」が30%で、「よくない」58%が倍近くも多かったが、女性は37%対45%と差は縮まっている

●日経世論調査 消費増税「7割容認」本当なの? 複数の質問で独特の計算法
          zakza 2013.08.26
. . 来年4月から消費税率を5%から8%に上げることをめぐる、報道各社の世論調査が出そろった。
26日の日経新聞朝刊は「7割超が容認」と報じたが、朝日新聞は「賛否が接近」、毎日新聞は予定通りの増税を「21%にとどまった」とするなど、各紙バラバラの見出しや記事が掲載されていた。一体どういうことなのか。

 政府は26日から6日間の日程で、消費税増税について有識者60人からヒアリングする集中検討会合を開く。これに合わせた形で、報道各社が世論調査の結果を25、26日に報道した。

 それによると、朝日新聞は、賛成が43%、反対が49%。反対が賛成を28ポイントも上回っていた7月の前回調査と比べ、「賛否は接近した」と伝えた。このように「賛成、反対」をシンプルに質問したのは朝日新聞のみ。

共同通信は、「予定通りの増税」「現行税率5%の維持」「引き上げ時期の先送り」「引き上げ幅の縮小」と細かく聞き、毎日新聞も同様の質問を行った。共同、毎日とも「消費増税『予定通り』22%」(共同)などと、来年4月の8%増税に理解が得られていないことを強調した内容になった。

 これに対し、同じように複数の質問を行った日経新聞は独特の計算法を採用した。

 「予定通り引き上げるべきだ」(17%)と、「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」(55%)を合計して、「増税容認」が7割超と1面の見出しで報道している。「政策への理解の広がりが支持率を押し上げているとみられる」とも解説した。


 嘉悦大教授の高橋洋一氏は、日経新聞の報道について「本来なら『2割が賛成、5割が見送り』という見出しにすべきだが、世論作りの意図を感じる。これに限らず、増税賛成派の役所やマスコミ、政治家の出来レースはやり過ぎの感があり、逆効果ではないか」と疑義を呈したうえで、今後の見通しをこう語った。

 「このまま増税が決まれば、安倍晋三首相は政治的に押し切られた形となるため、逆に(安倍首相が増税)見送りに動く可能性もある」

 一方、自民党内には「社会保障充実のため、自公民3党で決めた消費税増税を実行できなければ、安倍政権の政策実行能力が問われかねない」(党中堅)という指摘もある。

 安倍首相は各社の世論調査をどう読み解くか。首相の決断は10月上旬にも行われる。

●消費税増税反対の浜田参与 財務省の説得工作の前に完オチか
              NEWSポストセブン 2013.08.28 16:00
 来年予定されている消費税増税。その雲行きについて、ジャーナリスト・須田慎一郎氏が指摘する。

 * * *
 安倍晋三首相は、最終的に消費税率アップを決断するのかどうか各マスコミの関心がこの点に集中しつつある。

 というのも、この一件を巡って、これまで安倍首相の快進撃を支えてきた「チーム安倍」が空中分解しかねない要素をはらんでいるからだ。リフレ派の面々は「増税すれば景気は一気に悪化する」(浜田宏一・内閣官房参与)として、消費税増税に反対の立場をとっている。

 これに対し財務省に近い勢力は、麻生太郎・財務相を筆頭に「当初の予定通りやらせて頂きたい」と強硬に税率アップを主張している。安倍首相としては完全に股裂き状態に置かれてしまったかのようだ。だが、財務省幹部は自信満々にこう話す。

「マスコミは面白おかしくこうした”政権内対立”を煽っていますが、実はすでに決着はついているのです」

 どういうことか。官邸の中枢スタッフが証言する。

「浜田イェール大学名誉教授は、財務省サイドからの猛烈な説得工作を前に、“完オチ”の状態です。もはや来年4月からの消費税率アップは確定したと見ていい」

 その浜田参与の説得にあたったのが、元財務次官の丹呉泰健・内閣官房参与だという。

「丹呉氏は参与として官邸にほぼ常駐していますが、その丹呉氏に割り当てられた部屋が『407号室』。一方の浜田氏は常駐こそしていませんが、同じ部屋が割り当てられているのです」(別の官邸スタッフ)

 つまり浜田氏が官邸に来た際には、必ず丹呉氏と顔を合わせるよう仕向けられているわけだ。そうした状況・環境であれば、老練な元財務官僚が学者先生を籠絡することなどわけもないだろう。

「この部屋割りは偶然のものではない。財務省の用意周到さは、消費税増税への並々ならぬ執念を感じさせる」(前出の官邸スタッフ)

 浜田氏は面子もあるだろうから、すぐには賛成を表明できないだろうが、9月に発表される予定の4~6月期のGDP2次速報値(改定値)を踏まえて消費税増税賛成に回るか、あるいは沈黙する可能性が高い。

 ●内閣支持68%、消費増税容認7割 本社世論調査
              2013/8/25 23:00 日本経済新聞
日本経済新聞社とテレビ東京による23~25日の世論調査で、安倍内閣の支持率は68%と7月の前回調査より5ポイント上昇した。不支持率は23%と6ポイント下がった。
消費増税に関しては税率引き上げを容認する声が7割を超えた。環太平洋経済連携協定(TPP)加盟への賛成も増えており、政策への理解の広がりが支持率を押し上げているとみられる。

 消費税率を今の5%から2014年4月に8%、15年10月に10%へ…

 ●消費増税7割が容認」? 歪められて伝えられる世論調査と、「格差」を固定しかねない設備投資の「税額控除」
            ブロゴス 近藤駿介2013年08月27日

「消費増税に関しては税率引き上げを容認する声が7割を超えた」(26日付日本経済新聞「本社世論調査~消費増税7割が容認」)

「来年四月に消費税率を8%に引き上げる方針に関し、予定通り実施すべきだとの回答は22.5%にとどまった」(26日付東京新聞「消費増税『予定通り2割』 世論調査 現行維持最多29%」)


「消費増税7割が容認」という日本経済新聞の見出しと、「消費増税『予定通り2割』」という東京新聞の見出しを見たら、普通、日本経済新聞の世論調査の方が、消費増税賛成の割合が多かったという印象を受けると思います。

しかし、記事を読むと、

「消費税率を今の5%から2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることについて三択で聞いたところ『予定通り引き上げるべきだ』は17%と前回より6ポイント上昇。『引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ』は3ポイント低下の55%、『引き上げるべきではない』は3%下がり24%だった」(日本経済新聞)

「来年四月に消費税率を8%に引き上げる方針に関し、予定通り実施すべきだとの回答は22.5%にとどまった。現行税率5%の維持を求める回答が29.1%で最も多く、次いで『引き上げ時期の先送り』22.7%、『引き上げ幅の縮小』22.0%となった」(東京新聞)


となっており、設問内容が異なるので直接比較は難しいものの、「予定通り引き上げるべきだ」という回答は、東京新聞(共同通信社世論調査)の方が5%も多いという、印象とは異なる結果になっています。

こうした違いが生じたのは、消費増税推進派である日本経済新聞が「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」という質問に対する賛成を「消費増税容認」に分類したのに対して、 消費増税慎重派である東京新聞は、「予定通り引き上げ」に対する賛成だけを「消費増税容認」としているからです。

しかし、「時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」という主張をする浜田、本田両内閣官房参与が「慎重派」と言われているときに、「時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」という意見を「消費増税容認」に分類するのはかなり無理筋だと言えます。

 日本経済新聞は、初めから「時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」という意見を「消費増税容認」に分類できるように、質問の頭に「予定通り引き上げるべきだが」という文言を置いたのかもしれません。もし世論調査結果を都合よく演出できるように、質問の段階からそのような小細工をしたのだとしたら、かなり姑息なやり方だといえます。

・・・・・・(略)・・・

●【田村秀男の国際政治経済学入門】消費税増税強行へ目に余るメディアの虚報
                 産経 8月28日
 筆者は、来年4月からの消費税増税に極少数派としてここ数年、反対の論陣を張ってきた。増税賛成論に対しては反論するが、きちんとした論拠さえあれば、尊重するのが当然だと考える。しかし、主流派メディアの根拠なき増税論やデマの多さにはあきれる。増税に慎重な安倍晋三首相を前にしてあせる財務官僚の意を汲(く)んだ御用メディアの虚報は目に余る。(SANKEI EXPRESS)

 虚報とは、「消費税率10%でも財政再建できない」「増税で税収が増え、デフレにならない」「増税しないと国債が暴落する」という3点に尽きる。いずれも財務官僚の言いなりになったメディアが喧伝(けんでん)してきた。

黒字化達成できない?
 最新の事例は8月8日に内閣府がまとめた「中長期の経済財政に関する試算」である。単なる「試みの計算」書ではない。1年前に国会で成立した消費増税法案通り、消費税率の2014年4月の8%、15年10月の10%への引き上げはもとより、さらに一層の増税を合理化する狙いがこめられている。消費増税分が上乗せされる14、15年度以降、23年度までの税収を試算。今後10年間の経済成長率平均が名目3%、実質2%であっても、国・地方の基礎的財政収支(税収・税外収入と国債費を除く歳出の収支)は20年度でも国内総生産(GDP)比で2%の赤字となり、目標とする黒字化を達成できない、というが詐術である。

 鍵は基点となる今年度の一般会計税収にある。「試算」では43.1兆円と、何と12年度の実績である43.9兆円より減る。
現実には景気の好転で、税収は法人税収を中心に大きく伸び続けている。ところが、首相のひざ元の内閣府がアベノミクス効果を完全無視し、13年度予算の税収見込みをそのまま受け入れ、財務官僚の意に従った。この試算の「ウソ」は筆者が8日の時点で安倍首相周辺の専門家たちに指摘したところ、「気付かなかった。まさか、そこまでやるとは」と絶句していた。

本欄でも以前に詳述したが、消費税率を1%引き上げると、約2兆円、一般会計消費税収が増える。1997年度の消費税率引き上げ幅は2%なので、毎年度4兆円の消費税収が増えてきたが、所得税収や法人税収などは逆に大きく減る。税収全体をみると、98年度以来2012年度までの15年間のうち13年間は、1997年度を大きく下回った。2000、07年度はプラスになったが、プラス幅は誤差の範囲内といえるほど極小で、いわば0勝13敗2引き分けである。

 3つ目の財務官僚詐術は執拗な「日本国債暴落」説である。日米比較すれば、それが詐術だとすぐわかる。両国政府の純債務をみると、11年度末で日本は473兆円、GDP比97%なのに対し、米国は14兆8000億ドル、GDP比95%である。日米の債務水準はほぼ同じで、日本が飛び抜けて高いわけではない。

 しかも、日本国債の90%以上は日本国内の貯蓄で賄われており、日銀が買い増しするゆとりが十分ある。米国の場合、国債の3分の1は外国勢に依存しており、投げ売られるリスクは日本よりはるかに高い。米連邦準備制度理事会(FRB)による国債買い入れも限度に来ている。外国の投資家はそれをよく知っているので、米国債よりも日本国債をはるかに安全資産だとみている。

「世論調査」で「世論操作」
 増税翼賛会メディアが引き受けているのが、「世論調査」という名の「世論操作」である。とりわけ日経が最も露骨で、いわばデマゴギーも同然だ。


 8月26日付、日経朝刊1面を見ればよい。「本社世論調査」とのカットの脇に、「消費増税7割超が容認」とある。それは朝日新聞を除く他のメディアの世論調査と全く逆の結果で、「何かヘンだな」と思って、本文を読んでみたところ、増税に世論を導くための典型的な印象操作そのものである。

 記事によると、野田佳彦前民主党政権当時に成立させた消費増税法案通り、消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることについて、3つの選択肢で質問。(1)の「予定通り引き上げるべきだ」が17%、(2)の「引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」は55%、(3)の「引き上げるべきでない」は24%だった、とある。

 安倍首相は(2)の考え方に近い。つまり予定通りの増税に極めて慎重で、その線で調査結果を要約すれば、「引き上げるべきではない」を加えて「8割超が予定通りの増税に否定的」とするのが自然である。ところが、日経の編集デスクは「税率引き上げを容認する声が7割を超えた」と読み替えたのだ。

 メディアが消費増税を強く支持すること自体は、「言論の自由」だ。が、筆者は日経に長く在籍し、その間、恣意的な経済報道をタブーとしてきた。データをねじ曲げてまで世論誘導を図る今の日経の報道姿勢は、「社会の公器」としての役割の放棄で、官報以下だと、嘆じざるを得ないのだ。

(産経新聞特別記者・編集委員)

   
●消費増税の是非 民意は「反対」が大勢だ
          東京 2013年8月27日
 政府は、来年四月から消費税を5%から8%に引き上げるかどうかを判断する参考のため、有識者から意見聴取を始めた。報道各社の世論調査で「反対」が大勢を占めた民意こそ重視すべきだ。

 消費税増税法は、来年四月に8%、再来年十月には10%に引き上げを定めているが、付則で経済状況次第で増税を見送る「景気条項」もある。安倍晋三首相は、増税した場合にデフレ脱却が遠のくなどの景気への悪影響はどうか、逆に増税予定を変更した場合に財政再建への姿勢が問われ、金融市場が混乱することはないかなどの意見を求めている。

 有識者の顔ぶれは、財界やエコノミスト、経済学者のほか、幅広い業界や団体からの六十人に及ぶ。それぞれの立場から多様な意見を求めるのは有意義だとしても、ともすれば自己の利益にかなった思惑先行となる懸念がある。

 増税賛成を表明している経団連なら、増税しても景気が落ち込まないよう法人税減税や投資減税を求めよう。同様に、建設や不動産業界は公共事業の拡大を、農協なら補助金をといった具合である。そうなれば財政再建どころか財政バラマキで逆行となる。財務省の御用学者といわれる大学教授や同省から天下りを受け入れたシンクタンクなどの意見も、推して知るべしである。

 明らかなのは、消費税を8%に引き上げた場合に、増税分と厚生年金、国民年金保険料の引き上げを合わせ、国民負担は年九兆円も増えることだ。これは一九九七年に消費税を3%から5%に引き上げた時の、増税と医療費負担が重なった負担増と同水準である。

 しかも当時より経済規模(名目GDP)は9%も縮小している。相次ぐ物価上昇が家計を直撃する中で景気へのショックは極めて大きいはずだ。「十五年デフレ」の起点となった九七年消費税増税の二の舞いになる恐れは強い。

 報道機関が意見聴取に合わせ実施した世論調査では「予定通りに消費税増税を実施すべきか」に対し、共同通信社と全国紙三紙ともに反対が賛成を上回った。共同では「予定通りの増税」は22・5%しかなく、現状維持と増税の時期や税率幅の見直しを合わせると73・8%に上った。

 そもそも消費税増税は、社会保障との一体改革として決まったのであり、社会保障の抜本改革なしの増税は許されないはずだ。民意は消費税増税をする環境にないと判断しているのである。


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 百姓というのは常に先取りの仕事をしなければならない。
 10月から12月、1月ごろに収穫するキャベツや年内どりカリフラワー系の野菜は、
 真夏の7月下旬に種まきをして苗を作り、植え付ける。
    収穫時期をずらすために、一部は8月初めにもまく。

 今年は、7月25日に種まき。
 2週間ほどして一度植え替えるのが通常だけど、今年はこの仮植えをさぼった。
 だから、大きくなるのが早い。

 ともかく、猛暑の時期なので天候も見ながら植えるとうまく根付く。
 先日、8月23日に、「24.25日は雨」の天気予報も考慮して、一気に植えた。
 約500株。

 雨のタイミングも良く、大きい苗の割に(大きいと根が少ないので、相対的に暑さのダメージを大きく受ける)
 しっかりと ついている。
 そんなキャベツ類の野良仕事の様子を記録。

 今日は、午前中は名古屋高裁への書類作り、午後は市民の方の相談を受けて、役所で担当課との話。
 夜は、県と国が来て、役所で道路、用排水関係計画の打ち合わせ会議。
 合間に、他の自治体の人から相談を受けた住民監査請求の原案の調整。

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● 植えた日8月23日の様子。

 まず苗床(7月25日に種まき)。
 もちろん、奥に白く見えるサンサンネットをすっぽりかけていた。


(どの写真もクリックすると拡大。写真のクリックでさらに拡大)






   ★植える場所は7月中旬にポリをかけて熱処理(草退治と土づくりを兼ねる)したところ。


カリフラワー系




キャベツ系



 ★ 植えた日の最後に虫除けのサンサンネットをかける。
(写真は28日朝)



●今朝8月28日の朝の様子。
水やりの後。

カリフラワー系




  

キャベツ系


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 松江市の「はだしのゲン」の閲覧制限の問題。
 昨夕の市の教育委員の臨時会議で「教育委員会から各校への閲覧制限の要請を撤回する」旨が決まった。
 毎日新聞によれば、 
 「市教委が学校側に閲覧制限を一律に求めたことに問題があった」「子供に見せるか、見せないかは現場に任せるべきだ」との意見が多く、制限を撤回することを全会一致で決めた。

 という。
 しかし「閲覧制限を一律に求めなかったならいいのか」と強い疑問があるし、
 「見せるか、見せないかは学校現場に任せる」なら良いのか、にも強い疑問がある。
 そもそも、圧力を受けた時、「市内の小中学校は、閲覧制限などせず、今まで通り自由な貸出・閲覧を継続します」と姿勢を明確にすればよかっただけではないか。

 今回、教育委員会事務局サイドだけで決めたことが問題で、教育委員に図らなかったことの問題も言われていた。
 これも、何もかも委員に相談するべきというのでなく、「従来通り」なら何も委員に図る必要もなく、「方針転換する」という重大な場合は図る、ということだろう。

 ともかく、市の教育委員会は早ければ28日にも臨時の校長会を開き、今後の対応について意見を交わす、という。
 ・・こんなことのあと、心配なことの一つは、
 各校に任せた時、一つずつ圧力でつぶそうとするやり方がとられるのではないか、ということ。
 そうそう、アンケートでは、校長の5人くらいは、閉架措置=閲覧制限肯定の意見だったと報道されていた記憶。

 教育委員らが逃げ腰の姿勢をとりつつ「『教育委員会事務局から各校への要請』を撤回」しただけだと受け取られるような決定なら、
 圧力をかける側も意地があるから、「各校つぶし」のことも考えてあげないと・・・

 そんなことを思った。
 今日のブログは、話題が大きくなったことで「はだしのゲン」が売れて、アマゾンのランキングで、10以内に入ったとか、急きょ増刷されるとか、そんな話とともに、
 今回の問題の本質をとらえていない学者らの意見や、本質を指摘する声などを記録しておく。

 ところで、きょう午前は議会の9月定例会前の「議会運営委員会」の会議。

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●「はだしのゲン」、アマゾンでベスト10入り 増刷も
          朝日 2013年8月24日
 【宮野拓也】漫画「はだしのゲン」が、松江市教育委員会による閲覧制限問題を機に読み直されている。
ネット通販大手「アマゾン」では、
10巻セットがコミック部門で10位以内に入り、発行元が増刷を決めた。
市内の図書館での貸し出しも好調だ。


 単行本を初めて発売した汐文(ちょうぶん)社(東京)。刊行するコミック版や愛蔵版全10巻セットの出荷数は、いつもの7、8月なら2千セットほどなのに、今年は7千セットになった。今も2千セットの増刷をかける。
 例年、終戦の日の15日を過ぎると売れ行きは落ちるが、今年は、昨年末に作者の中沢啓治さんが亡くなったことに加え、閲覧制限が注目され、今も全国から注文が相次いでいる。

 通販/アマゾン
ベストセラー
Amazon.co.jpのベストセラー。ランキングは1時間ごとに更新されます。

     ベストセラー Amazon.co.jpのベストセラー。 / 2013.08.26 19時頃






 ●はだしのゲン、注文相次ぎ増刷
                 日刊スポーツ [2013年8月26日13時41分]
 松江市教育委員会が市立小中学校に閲覧制限を求めた漫画「はだしのゲン」の注文が相次ぎ、発行元の汐文社と中央公論新社が増刷を決めたことが26日までに分かった。
両社とも例年、売れ行きが下がる終戦記念日後のこの時期に増刷するのは極めて異例という。

 汐文社によると今年の7、8月は、前年同時期の3倍に当たる約7千部を発行。在庫が少なくなったため、全10巻に関しそれぞれ2千部の増刷を決めた。
文庫版を発行する中央公論新社も書店からの注文数に合わせ、全7巻各約1万部の増刷を決めた。


 作者の中沢啓治さんは昨年12月に死去。汐文社の政門一芳社長は「お亡くなりになって初めての夏ということもあるが、松江市の問題が売り上げに大きく影響しているのは間違いない」と話している。(共同)


●はだしのゲン 閲覧制限撤回受け校長会へ
           NHK 8月27日
 漫画「はだしのゲン」を巡り、松江市教育委員会は26日、市内の小中学校に行っていた閲覧制限の要請について、「要請を撤回するのが妥当」とする結論をまとめました。
市の教育委員会は早ければ28日にも臨時の校長会を開き、今後の対応について意見を交わすことにしています。

漫画「はだしのゲン」について、松江市教育委員会は去年12月、一部に過激な描写があるとして、子どもが図書室などで自由に読むことができなくなる「閉架」の措置を事務局だけで決定し、小中学校に要請していました。
市の教育委員会は26日、臨時の教育委員会会議を開き、5人の教育委員がこの問題について協議した結果、「手続きに不備があり、要請を撤回するのが妥当だ」としたうえで、今後の取り扱いについては「各学校の自主性を尊重する」という結論をまとめました。

これを受けて市の教育委員会は26日夜、結論の内容を各学校にメールで伝えました。
さらに、早ければ28日にも小中学校の臨時の校長会を開き、結論の内容について改めて説明するとともに、今後の対応について意見を交わすことにしています。
松江市教育委員会の清水伸夫教育長は、「各学校と真摯(しんし)に向き合い、話し合っていきたい」としています。

●はだしのゲン:閲覧制限を撤回…松江市教委
             毎日新聞 2013年08月26日
 松江市教委が故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を全小中学校に求めている問題で、5人の市教育委員による臨時会議が26日、松江市役所であった。22日の定例会議で結論が出ず、この日改めて検討した結果、「市教委が学校側に閲覧制限を一律に求めたことに問題があった」「子供に見せるか、見せないかは現場に任せるべきだ」との意見が多く、制限を撤回することを全会一致で決めた。

 同市では昨年8月、小中学校の図書室からゲンを撤去するよう求める市民からの陳情が市議会に提出され、同年12月の本会議で全会一致で不採択となった。しかし、前教育長は教育委員からの委任事務として市教委幹部と協議し、同月の校長会でゲンを教師の許可なく閲覧できない閉架とするよう求めていた。

●「偏った思想の宣伝道具」「知る自由保障が役割」 「はだしのゲン」制限撤回に賛否
    産経 2013.8.26
 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」をめぐり、松江市教育委員会が26日、閲覧制限を撤回したことについて賛否を問う声が上がった。

 「特定の思想傾向が強い漫画で、歴史学的に間違いがある」。政治学者の岩田温(あつし)秀明大専任講師(29)が指摘するのは、市教委が過激で不適切として閲覧制限を決めた、旧日本軍の兵士が首を刀で切り落とし、女性に乱暴して惨殺する-という描写だ。

 岩田講師は「旧日本軍の一部に逸脱した行為があった可能性はあるが、まるで軍全体の方針であったかのように描かれている。児童生徒に積極的に読ませる書物なのか」と話した。

 被爆者らから閲覧制限に批判的な意見が相次ぐなか、市教委の対応を支持してきた被爆者や被爆2世らでつくる「平和と安全を求める被爆者たちの会」(広島市)。池中美平(びへい)副代表(63)は「原爆の悲惨さを強調するのはいい」と前置きした上で、「作品は非道な原爆投下を日本人の責任にする偏った思想の宣伝道具だ。学校図書とするのは問題だ」と指摘する。

市教委の撤回方針に対しては、「判断力が乏しい子供たちに、根拠のない『日本が悪い』という潜在意識が生まれる」と危惧した。

 一方で、閲覧制限の撤回を支持する声も聞かれた。

 東京工芸大芸術学部マンガ学科の細萱(ほそがや)敦教授(50)は「忘れてはならない歴史を扱った名作で、小説などよりも戦争や原爆投下への理解を深める入り口になる」と指摘する。

 社団法人・日本図書館協会(東京)は市教委に対し、閲覧制限を再考するように要望していた。同協会「図書館の自由委員会」の西河内(にしごうち)靖泰(やすひろ)委員長(59)は「知る自由を保障することが図書館の役割。撤回は、その原則に立ち返った賢明な判断だ」と評価した。

 会議が開かれた松江市役所の部屋には、会議が始まる1時間半前から傍聴者が集まり始めた。前回会議を上回る約40人の傍聴人が席を埋め、委員の発言に熱心にメモを取るなど市民の関心の高さがうかがえた。

●『はだしのゲン』問題 閉架肯定派も批判派も本質を理解せず
            NEWSポストセブン 2013.08.26/ 週刊ポスト2013年9月6日号
 広島で被爆し家族を失った作者が、自らの被爆体験をもとに1973年に連載を開始した漫画作品『はだしのゲン』。これまで日本中の学校に置かれ、20か国語に翻訳されるなど、戦争・原爆の悲惨さを伝える“バイブル”として読まれてきた。

 そんな作品に対し、昨年12月に島根県松江市教育委員会が、市内の全市立小中学校の図書館にある漫画『はだしのゲン』(中沢啓治作)を書庫などにしまい、生徒が自由に閲覧できない閉架措置にするよう求め、市内の全校が応じていたことが今夏に判明した。この事態を評論家・呉智英氏は「極めて拙劣」だと断じる。

 呉氏は今回の騒動について、「マンガの表現が過激で残酷だろうが、見る、見ないは個人の判断に任せるべきで、行政が一律に閲覧を制限するのはおかしい。

 もしかしたら、島根県議会が『竹島の日』を条例で定めていることもあり、市教委は歴史認識について弱みを見せることを恐れたのか、あるいはネトウヨからの声高な抗議に過剰に反応したのかもしれないが、それにしても拙劣な対応です」と、市教委を批判する。

 そして、返す刀で「そもそも閉架措置を求めた側もそれを批判した側も、作品の本質をまったく理解せず、狭量な主張をしていることが問題」と一刀両断。作品に対する読みがお粗末すぎると、発想の貧困さを憂う。

 確かに本作品には、政治的に見解が分かれそうな話題が扱われているシーンが少なくない。例えば、作品の終盤では、昭和28年3月に中学校の卒業式を迎えた主人公ゲンの口から、天皇や国歌、旧日本軍に対する激しい批判の言葉が語られる。

〈君が代の君は天皇のことじゃ〉〈天皇は戦争犯罪者じゃ〉〈日本軍は中国 朝鮮 アジアの各国で約三千万人以上の人を残酷に殺してきとるんじゃ〉〈クビをおもしろ半分に切り落としたり〉〈妊婦の腹を切りさいて中の赤ん坊をひっぱり出したり〉〈女性の性器の中に一升ビンがどれだけ入るかたたきこんで骨盤をくだいて殺したり〉……といった具合だ。

 呉氏が話す。

「『はだしのゲン』を批判する側は、そうした場面を読んだ子供たちが〈間違った歴史認識〉を植え付けられ、成長して反日的な人間になると危機感を抱いているようです。

 しかし、それは馬鹿げた妄想にすぎません。当時、被爆者の中にはゲンのような主張をする人もいたことは確かでしょうから、それを描くことは不思議でもなんでもありません。加えて、そうした主張や場面はこの作品のもっとも本質的な部分ではない。なのに、こうした作品のごく一部の描写をもって全体を否定するのはあまりに狭量な解釈すぎます」

●【社会】 歌う はだしのゲン これが原爆 観客と考える
         東京 2013年8月26日
 中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」をミュージカルにした舞台が、東京で六年ぶりに再演された。一九九六年が初演で、ニューヨークやソウル、ワルシャワなどでも公演を重ねた、小規模演劇では異例のロングランだ。松江市教育委員会による小中学校での閲覧制限が問題になる中、夏休みの客席は子どもを含む観客でほぼ満席だった。(五十住和樹)

 この舞台は、劇団「木山事務所」(東京・西池袋)元代表でプロデューサー、木山潔(きよし)さん(今年一月に七十歳で死去)が同事務所の脚本家、木島恭(きょう)さん(64)に「ゲンをやりたい」と声を掛けたのがきっかけだ。

 「劇団のそれまでの作風とは違い、距離感があった」という木島さん。だが、被爆者も多くいた島根県浜田市の小学校時代の思い出が、脚本・演出への力になった。広島から転校してきた少女が歌っていた<ふるさとの町焼かれ 身寄りの骨埋めし焼け土に 今は白い花咲く>という「原爆の歌」に励まされるように、稽古を続けたという。

 初演時は、主役のゲンなどに子役を配置し物語のリアリティーを重視した。だが、演劇関係者の評は芳しくなく、二年目から大人の俳優を起用。ナレーターを付けたり、原作から取り出したエピソードを増やすなどの改良を続けた。

 木島さんは「観客が一緒に参加して考えるようなライブ感」を大切にしているという。「原爆の悲惨さを再現するのは不可能」だから、残酷さを具体的に表現しない。例えば、舞台では布を垂らした人が行進する場面があるが、それは「熱線で皮膚が溶かされぶら下がった」と知っていないと、どういう場面なのかは分からない。木島さんは「これが原爆を知る『入り口』になればいい。観客一人一人が原爆の現実を想像し、共に舞台を共有していきたい」と言う。

 二〇〇五年までは毎年公演があり、〇七年もモスクワなどで上演した。〇八~一二年は休演状態だったが、今年に入ってから、各地の演劇鑑賞会が相次いで公演を企画した。

 東京公演は二十三~二十五日の三日間、六本木の俳優座劇場で開催。今後、年内に予定されている公演を含めると、計四百三十六ステージになる。関係者は、ロングランは「原作にほれ込んだ木山さんの執念の結晶」と評する。

 昨年の原爆忌も広島を訪れた木山さん。今夏の公演に向け、亡くなる前にこう書いた。「この舞台を通して原爆の犠牲者の声なき声に心を痛めながら、『今、生きて、在る』ことの実感を客席と確かめ合う。ヒロシマ、ナガサキを過去のものにしないために」

<ミュージカル「はだしのゲン」> 広島への原爆投下で、父や姉、弟を失いながらも、生き残った母と二人で力強く生きようとする6歳の少年・ゲンを描いた1時間45分の舞台。出演者が12人という少数で、15のオリジナル曲を披露する。公演は8月30、31日、川崎市アートセンター(小田急線新百合ケ丘駅下車)。9月から10月にかけて愛知、岐阜、三重、石川、富山の各県を回る。問い合わせは木山事務所=電03(5958)0855=へ。



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『はだしのゲン』の図書排除事件。
 その後、鳥取の図書館でも排除されていたことが分かった。
 さらに高知でも同様の圧力がかかっていたことが明らかになった。

 意図的になされている圧力の動き。全国的というべきかどうかはともかく。

 (高知新聞)
  を小中学校の図書室から撤去するよう求める陳情が、高知県・市の両議会にも提出されていたことが分かった。
     高知市議会が全会一致で不採択とするなど、議員からは批判の声が上がっている。県市の教育委員会も撤去はしない方針だ。


 これが本来の姿だと誰でも思う。
 どんな方向の図書にしろ、それを特定の意図で廃棄するとか、自由に見ることができないように措置するとか、という行動は許されない。
 
 当の松江市の教育委員会。
 前回の会議で対応を決める予定だったが、教育委員から、教育委員との協議もなしに排除を決めて実行した教育委員会事務局への質問が相次ぎ、
 結論を出すのが延期された。

 この間、文科大臣は「松江市教育委員会の(排除)対応に問題はない」旨を答弁。
  
 松江市教育委員会としての対応の決定は、今日26日の16時半からの委員会の会議に。
 報道機関の社説なども論調が厳しい。
 その後の関連情報を整理しておく。

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  (関連)2013年8月17日ブログ ⇒ ◆信じられない話/はだしのゲン「閉架」に 松江市教委が「表現に疑問」と小中に閲覧制限要請
      8月20日ブログ⇒ ◆「はだしのゲン」貸出禁止にモノ申す! 言論の自由が、ヘイトスピーチに屈する社会 (東洋経済)

●教育委員会会議開催のお知らせ
          平成25年第12回松江市教育委員会会議の開催
1 開催日時  平成25年8月26日(月) 14:30開会 
2 開催場所  第2常任委員会室(松江市役所西棟3階)

3 付議事件  8月下旬に告示します。

  ○原則公開とし、傍聴できます。ただし、松江市教育委員会会議規則第2条ただし書の規定により非公開となる場合もあります。
 ○お問合せ先  教育委員会 教育総務課 総務係(0852-55-5424)



●「はだしのゲン」閲覧制限 松江市教委協議、結論先送り
        朝日 2013年8月22日
 原爆や戦争の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」が松江市立小中学校の図書室で自由に読めなくなっている問題で、市教育委員会は22日午前、教育委員会会議を開き、閲覧制限を撤回し、作品を開架図書に戻すかどうかの協議をした。
 市教委事務局の対応を巡って教育委員から質問が相次いだため、26日に臨時会議を開くこととし、結論は先送りした。

 会議は午前10時半から松江市役所で始まり、清水伸夫・教育長を含む教育委員5人が出席した。最初に市教委が、学校側に閲覧制限を要請する昨年12月までの経過について説明。閲覧制限の問題発覚後、校長を対象に、閲覧制限への意見や図書室での置き場所などを尋ねたアンケート結果を参考資料として配布した。

 この問題をめぐっては昨年8月、小中学校から作品の撤去を求める市民の陳情が市議会にあったが、12月初旬に不採択となった。

●松江市教委 3人は「ゲン 原則自由に」
                    8月26日
 漫画「はだしのゲン」の一部に過激な描写があるとして、松江市教育委員会が学校で自由に読むことができない措置を取るよう学校側に要請していた問題で、5人の教育委員のうち、少なくとも3人が「原則は子どもが自由に読めるようにすべきだ」という考えを示していることがNHKの取材で分かりました。
26日開かれる臨時の会議で最終的な結論が出されることになっています。


この問題は、漫画「はだしのゲン」について松江市教育委員会の前の教育長が、去年12月の小・中学校の校長会で、「一部に過激な描写がある」として、子どもが図書室などで自由に読むことができない「閉架」の措置をとるよう要請したものです。
先週、松江市教育委員会の定例の会議が開かれ、要請について報告を受けていなかった5人の教育委員に対し、清水伸夫教育長が「前の教育長が独自に学校に要請したことは適切ではなく、教育委員の意見をまとめるべきだった」と謝罪しました。

この問題で5人の教育委員のうち、少なくとも3人が「閲覧制限の要請は実質的な指示に当たり、教育委員会が行うべきではない。原則は子どもが自由に読めるようにすべきだ」という考えを示していることがNHKの取材で分かりました。
この問題については26日開かれる臨時の会議で専門家の意見なども参考にしたうえで最終的な結論が出されることになっています。


●中沢啓治著「はだしのゲン」の利用制限について(要望)
                  中沢啓治著「はだしのゲン」の利用制限について(要望)
平成25(2013)年8月22 日

松江市教育委員会委員長 内藤 富夫 様
松江市教育長 清水 伸夫 様

(社)日本図書館協会 図書館の自由委員会
委員長 西河内 靖泰

中沢啓治著「はだしのゲン」の利用制限について(要望)
・・・・
貴委員会は「閲覧や貸出しの全面禁止でなければ、(日本図書館協会が表明する)図書館の自由を侵さないと独自に判断」されたと報道されています(「中国新聞」8月19日)。

 しかしながら、日本図書館協会「図書館の自由に関する宣言」(1979年、総会決議)は、図書館は国民の知る自由を保障することを最も基本的な任務とし、図書館利用の公平な権利を年齢等の条件によって差別してはならず、「ある種の資料を特別扱いしたり、書架から撤去したりはしない。」と明記しています。各国の図書館專門機関による国際図書館連盟は、図書館はすべて利用者に資料と施設の平等なアクセスを保障しなければならず、年齢等の理由による差別があってはならないとしています(IFLA Statement on Libraries and Intellectual Freedom 1999)。学校図書館の蔵書についての紛争や裁判を数多く経験するアメリカ合衆国の図書館協会は、年齢によって図書館利用を制限することを戒め、貴委員会と同種の提供制限措置を「目立たない形の検閲」であるとしています(Intellectual Freedom Manual 2010)。

 学校図書館において利用が制限されている蔵書を読みたい子どもが、教師さらに校長の許可を求めることの心理的負担は、とても大きいのではないでしょうか。子どもたちはその本を読むことが教師や校長から良くないことだと思われると受け止めるのではないでしょうか。そして場合によっては、読むことを諦めるのではないでしょうか。子どもたちは、学校図書館を、蔵書の内容によっては自由に手に取り、読むことを抑制する場であると受け止めるのではないでしょうか。学校図書館の自由な利用が歪むことが深く懸念されます。
・・・・・
子どもたちの「自主的な読書活動」を尊重する観点から本件措置を再考され、読書活動の環境整備をよりいっそう推進されますよう、お願い申し上げます。
・・・


●【はだしのゲン】納得できない閲覧制限
              高知 2013年08月22日
 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を小中学校の図書室から撤去するよう求める陳情が、高知県・市の両議会にも提出されていたことが分かった。
 高知市議会が全会一致で不採択とするなど、議員からは批判の声が上がっている。県市の教育委員会も撤去はしない方針だ。
「表現の自由」の重さを踏まえた当然の対応である。
 原爆や戦争体験の風化が危ぶまれている時だからこそ、それを学ぶ機会を子どもから奪ってはならない。

 この問題は同様の陳情を受けた松江市教委が市内の全市立小中に対し、「はだしのゲン」を自由に閲覧できない「閉架」の措置を取るよう求めたことから明らかになった。
 松江市と本県の議会に陳情を提出したのは高知市の男性で、「間違った歴史認識を持った作者が執筆し」「特定の政治色の強いものだとうかがえる」としている。しかし、自らの考えと相いれないからといって、一方的に排除しようというのは戦前の検閲をほうふつとさせる。

 松江市議会も陳情を不採択としたが、同市教委は首をはねたり女性を乱暴したりする場面などが過激だとして閲覧制限を求めた。確かに漫画には残酷な描写もあるが、それは原爆や戦争の非人間性をそのまま表現しているからにほかならない。閲覧制限は悲劇の実相に迫ろうとする子どもたちの目を覆うことになろう。

 「はだしのゲン」の累計部数は1千万部を超え、約20言語に翻訳もされるなど世界で読み継がれている。松江市教委が市内の小中学校長に実施したアンケートでも、多くが平和学習の教材として評価していた。
 にもかかわらず、教育委員にさえ諮らずに市教委事務局の独自判断で閲覧制限を決めている。不透明なやり方も問題と言わざるを得ない。

 作者の故中沢啓治さんが本県の図書館を訪れた際、「はだしのゲンは本棚にいくら入れてもなくなる」と言われた。1巻を読んだ子が2巻目も読みたくて、それを秘密の場所に隠すからだ。表紙はぼろぼろになりベニヤ板で止めてあった。「作者冥利(みょうり)に尽きる」と著書に記している。

 「はだしのゲン」はそれほどまでに子どもの心に根を張っている。大人の勝手な判断で取り上げないよう松江市教委には再考を望みたい。


●社説[はだしのゲン「閉架」]平和考える機会奪うな
                 沖縄タイムス  2013年8月23日
 子どもたちが戦争の実相に触れ、平和を考える機会を、教育現場から奪うことになりかねない。

 松江市立小中学校の図書室で、原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」が自由に読めなくなった。市教育委員会が、閲覧制限を全市立小中学校に求めたからだ。

 措置が明るみになって以来初めてとなる、教育委員の定例会議が22日、開かれた。制限を継続するかどうかの結論は先送りされた。あらためて協議するという。

 「はだしのゲン」は、昨年12月に亡くなった漫画家、中沢啓治さんが自身の被爆体験を基に描いた自伝的作品だ。

 市教委は「作品自体は高い価値があると思う」と認めつつも、暴力描写が過激だと問題視する。旧日本軍によるアジアの人々への残虐行為などだ。「教員のフォローが必要だ」と学校側に「閉架」措置を要請した。

 だが、教育委員の会議では諮られておらず、校長へのアンケートでも、制限が必要と答えたのは約1割の5人にとどまっていた。

 作品には、確かに残酷な描写はある。だが、描かれた惨状は戦争そのものである。

 克明な描写には少年誌への連載当時も批判が寄せられた。しかし、作者の中沢さんは「現実から逃げるな」とはねつけたという。

 各教育委員には、この物語に込めた作者の信念、そして戦争のむごたらしさを子どもたちに伝えてきた役割を、いま一度、思い起こしてもらいたい。
「閉架」要請は撤回すべきだ。子どもたちが、図書室で自由にこの作品を手に取る機会は保障してもらいたい。

    ■    ■
 閲覧制限の発端は、昨年8月、「はだしのゲン」を学校の図書館に置かないよう求める市民からの陳情だった。市議会は同年12月に不採択としたものの、「大変過激な文章や絵が占めている」との意見が出たことから、市教委で取り扱いを協議した。

 下村博文文部科学相は「子どもの発達段階に応じた教育的配慮は必要」と松江市教委の判断に理解を示した。

 しかし、子どもたちは、たとえすぐに全てを理解できなくても、胸をえぐられるような感情を通し、本質をつかみ取る力を持っている。だからこそ世代を超えて読み継がれてきたのだ。

 一部の指摘をきっかけに、開かれた議論も十分ないまま自主規制に走る姿勢は疑問だ。

    ■    ■
 教育委員会が教育現場に介入する事例が相次いでいる。

 国旗掲揚と国歌斉唱に関し「一部自治体で公務員へ強制の動き」と言及した日本史教科書について、神奈川県教委は使用を希望した高校に再考を求めた。東京都教委なども「不適切」との見解を示した。

 これまで自由に読めていた蔵書に許可が必要になった。これまで現場が判断していた教科書選択で、見直しが求められた。なぜか。

 安倍晋三首相は全国戦没者追悼式の式辞で、アジア諸国への反省と加害責任に触れなかった。安倍政権の歴史認識に象徴される「空気」が背景にないか、注視する必要がある。


●はだしのゲン 「事なかれ」では守れない
      =2013/08/24付 西日本新聞
  小学生のころ「はだしのゲン」を学校の図書館で読んだ記憶を持つ人も多いだろう。原爆の恐ろしさに震え上がり、平和のありがたさを胸に刻んだものだ。

 その「はだしのゲン」が、松江市の学校図書館の棚から撤去されていたことが分かり、波紋を広げている。

 「はだしのゲン」は、広島出身の中沢啓治さん(昨年12月に死去)が、自らの被爆体験を基に描いた漫画である。特に原爆投下直後の広島の惨状を描いた部分は、被爆の実相を伝える資料として評価が高い。全国の学校図書館に置かれ、平和教育の貴重な教材となってきた。

 松江市では昨年8月、「ゲン」の歴史認識を問題視し、学校図書館から撤去するよう求める陳情が市議会に出された。市議会は陳情を不採択にしたが、一部市議が「文章や絵が過激だ」と発言したため、市教委が取り扱いを検討した。

 その結果、市教委は同12月、子どもが自由に閲覧できない「閉架」とするよう同市立小中学校に要請した。これを受け各校は、閲覧には教員の許可が必要として、書庫などに収める措置を取った。

 市教委は、閲覧制限の理由について、旧日本軍による斬首や女性への性的暴行のシーンを挙げ、「発育段階にある子どもにとって、一部の表現が適切かどうか疑問が残る」と説明している。

 しかし、閲覧制限の背景からは、「ゲン」に描かれた歴史観と、それに対する保守派からの批判、その矢面に立ってたじろぐ市教委-という構図が浮かぶ。

 「ゲン」は、前半は少年漫画雑誌に連載されたが、後半は大人向けの教育誌などに連載された。後半では、日本軍の加害行為や昭和天皇の戦争責任など、国民の間で論議の分かれるテーマについても、より大胆に踏み込んでいる。保守派が批判するのは主にこうした部分だ。

 最近では、先の戦争での日本の加害責任など、歴史の負の部分に目を向けようという意見や作品表現に対し、一部の保守勢力からの攻撃が強まっている。「ゲン」についても、ネット上では「反日漫画」などと決め付ける声もある。

 しかし、論議の分かれる点はあるにせよ、実体験に基づく「ゲン」の平和思想には、戦争を知らない世代にとって計り知れない重みがある。実際に、長年にわたり多くの子どもたちが「ゲン」を読んで育ってきた。閲覧制限しなければならないほどの弊害が出ていただろうか。

 そもそも図書館とは、多種多様な思想や英知の宝庫であり、その最後の守り手でもある。そこから特定の思想を排除することは、図書館の存在意義を自ら否定する行為といえないだろうか。


 松江市教委は「ゲン」の取り扱いを再検討している。「ゲン」のケースに限らず、教委や図書館などの現場はさまざまな圧力や抗議にさらされることもあるだろう。
しかし「事なかれ主義」で対応してしまえば大事なものが守れない。図書館の原点に立ち返って判断してほしい。

●社説/はだしのゲン 閲覧制限は権利侵害だ
              北海道 (8月25日)
 戦争の実態を知り、平和の尊さを考えるための機会を奪う行為だ。「学習権」「知る権利」の侵害は明らかである。

 原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を子どもたちが自由に閲覧できなくするよう、松江市教委が小中学校に指示していた。

 断じて容認できない。市教委は直ちに制限を解くべきだ。

 「ゲン」は、故中沢啓治さんが自身の被爆体験を基に身近な人たちの苦しみや死を生々しく描いた。

 昨年、市教委の指示を受けた小中学校は書庫に入れて貸し出し禁止とし、閲覧に教員の許可を必要とする措置を講じた。「描写が過激で残酷な場面がある」との理由からだ。

 鳥取市の市立図書館でも児童書棚から事務室内に移す手段が取られた。撤回したとはいえ、これも知る権利を奪う憂慮すべき事態だ。

 しかも、松江市教委の対応について下村博文文部科学相は「違法ではなく、問題ない」と発言した。見識を疑わざるを得ない。

 被爆地の広島市では小学3年の平和教育で使われている。「命の大切さや家庭愛を学ぶための教材」と位置づけているという。

 戦争体験を語る世代が少なくなる中で、漫画は核兵器の残忍さを学ぶ大事な教材だ。世界唯一の被爆国として悲惨な体験を直視し、継承する重要性は言をまたない。

 松江市の対応で問題なのは、閲覧制限を当時の教育長など市教委の事務局内部で決めたことだ。

 教育行政の基本方針は、複数の教育委員で構成する教育委員会の合議で決定するよう、地方教育行政法で定めている。閲覧制限は知る権利にもかかわる重要事項であるはずだ。

 委員会に諮らず、事務局の判断だけに依存した決定は、委員会制度をないがしろにする行為だ。

 中央教育審議会では現在、その制度のあり方が論議されている。

 教育行政の権限を事務方の責任者である教育長に集中させる方向で検討が進んでいるとされるが、今回の事態が独断専行の恐ろしさを露呈したといえる。熟慮が必要だ。

 気になるのは、閲覧制限の決定前に「ゲン」の撤去を求める陳情が市議会に出ていたことだ。
旧日本軍の残虐行為が描かれていることなどを「間違った歴史認識」と問題視する内容で、結局、不採択となった。

 同様の要請は市教委にも行われていた。一連の運動が制限につながったのであれば、当時の教育長らの歴史認識も問われてしかるべきだ。

 撤回の可否は22日の教育委員会で結論が出ず、26日に持ち越された。次回協議に制限の撤回と、意思決定過程の究明を強く求める。






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 ついに「「右翼政党」と冠されるようになった「日本維新の会」。

 党代表の橋下大阪市長が、慰安婦問題に関する発言で世界中から批判されたのはこの春。

 (中央日報)
   「右翼政党の日本維新の会共同代表である橋下市長は5月、「銃弾の中を命をかけて走っていく軍人を休息させるために慰安婦制度は必要だったと発言し、国際社会の非難を受けた。」

 大阪の姉妹都市であるサンフランシスコ市の市議会から「慰安婦妄言を非難する決議」を7月に送付されていた市長、
 今回、決議文に対して、市長からの公開書簡を同市議会あてに送った、という。

 橋下氏市長はアメリカ国民に対し、慰安婦問題を日本に対するネガティブキャンペーンとして利用する動きに同調しないよう、呼びかけたという。

 (朝鮮日報)
  「世界各国の軍が戦争で女性を性の対象としていたのは厳然たる歴史的事実」だとして、決議文の撤回を要求した。
 (産経)
  「米国内で慰安婦像が設置されていることを「反日運動」と表現し
   『日本という国家・国民の名誉を貶め、日米関係にマイナスの影響を与える目的があると疑わざるを得ない』と主張した。
   『世界各国の軍によって女性が性の対象とされてきたことも、厳然たる歴史的事実。自らの問題として過去を直視すべきだ』と記した。」

 そして、橋下氏は「間違った事実認識に基づく私への非難を撤回していただきたい」と主張した。
 政党の党首としての発言が大阪市という自治体と絡んで流れていく宿命は選挙で選ばれた市長だから仕方ないけど、
 ともかく、大阪市のWebページに資料が出ているので、見てみた。
    ・・・・ブログでリンクし抜粋。
 
 「日本維新の会」を右翼政党と言うのはあたっているとは思うけど、そのことによって安倍自民の右翼色が薄まるのは癪な話。

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 ● 大阪市公式ページ/サンフランシスコ市議会へ公開書簡を送付しました [2013年8月22日]
               サンフランシスコ市議会へ公開書簡を送付しました [2013年8月22日]
          問合せ先:経済戦略局 総務部 国際課 都市間交流担当(06-6615-3767)  平成25年8月22日 14時発表
 大阪市では、7月2日付で姉妹都市であるサンフランシスコ市の市議会から送付された決議文に対して、橋下市長からの公開書簡を同市議会あてに送付しました。

 なお、本書簡は、8月20日に送達されたことを確認しています。

 また、本書簡の内容は、大阪市ホームページ(http://www.city.osaka.lg.jp/)トップページ左上の「市長の部屋」の「私の主張」にも掲載しています。

 ● 参考資料 公開書簡(日本語文) (pdf, 291.47KB)
                   2013年8月13日
サンフランシスコ市議会 様
 7月2日付の書簡にて送付いただいた貴市議会の決議文について、7月11日付で収受した旨をここにご報告いたします。
私は、サンフランシスコ市議会が市民の声を代表して、先の私の政治家としての発言に関して、様々な国や地域の人々が懸念を抱いているとご指摘下さいましたことに感謝いたします。大阪市の最初の姉妹都市として長い協力関係を築いてきたサンフランシスコ市とは、さらなる協力によって、ともによりよい未来を構築していけると考えており、それを強く望みます。

<公開書簡の目的>

<サンフランシスコ市議会決議における事実認識の誤り その2:私は慰安婦の利用は許されないと一貫して考えてきました>

<慰安婦問題の正当化と誇張の両方を拒否し、歴史的検証を進める必要性>
慰安所の設置・管理及び慰安婦の移送に関与した旧日本軍の間違いは、どんなに強調してもし過ぎることはありません。また、軍の要請を受けて業者が慰安婦を募集したこと、甘言など本人たちの意思に反して集められた事例が数多

くあること、慰安所における生活が痛ましいものであったことは、到底受け入れられるものではありません。私は、いかなる意味でも、慰安婦問題を正当化する議論に与しません。
 ・・・また、戦時における兵士による女性の人権の蹂躙は、ある種の普遍性を持った人道的問題として、多くの国々に関係があるにもかかわらず、日本の慰安婦問題だけを人類史上極めて特異な人道的問題として捉える見方が世界的に流布されています。こうした明確になっている事実に基づかない誇張は、慰安婦問題を解決することも、真に犠牲者の心の傷を癒すことも、最終的な和解をもたらすこともありません。・・・

<反日運動という政治的動機による慰安婦問題という人道的問題の利用と、それによる外交関係への悪影響の可能性>

<人権としての戦場の性の問題の認識への理解、日本以外の国における問題の指摘の必要性、共同調査の提案>
・・・旧日本兵の慰安婦問題を相対化しようというような意図は毛頭ありませんが、戦場の性の問題を旧日本兵のみに特有の問題であったかのように扱い、日本だけを非難することによってこの問題を矮小化する限り、世界が直視しなければならない過去の過ちは正されず、今日においても根絶されていない兵士による女性の尊厳の蹂躙問題は解決されないでしょう。・・・・

<戦後日本の恒久平和と人権尊重に向けて重ねてきた努力と実績>

<事実誤認に基づく決議の撤回と、慰安婦問題という人道的問題を日本に対するネガティブ・キャンペーンという政治的目的に利用する運動に同調しないこと、建設的対話の呼びかけ>

<大阪市の取り組み、そして共同歴史調査のよびかけ ~女性に対するあらゆる暴力の根絶をめざして~>

<これからのサンフランシスコ市との発展的関係>
                          大阪市長 橋下徹



●米市議会の非難決議「撤回を」=慰安婦発言で書簡-維新・橋下氏
             時事 (2013/08/22-17:58
定例記者会見で、米サンフランシスコ市議会に対し公開書簡を送付したと発表する橋下徹大阪市長=22日午後、大阪市役所 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は22日の記者会見で、旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる自身の一連の発言を非難する決議を行った米サンフランシスコ市議会に対し、「間違った事実認識に基づく私への非難を撤回していただきたい」とする書簡を送ったことを明らかにした。

 この問題をめぐっては、橋下氏が5月に慰安婦について「当時は必要だった」と述べたり、在沖縄米軍に風俗業利用を勧めたりしたことに関し、大阪市の姉妹都市であるサンフランシスコ市議会が6月に非難決議を可決。7月に決議文が届けられたことから、橋下氏が反論文書を送る意向を示していた。

 橋下氏は書簡で、「慰安婦の活用を正当化したことは一度もない」と改めて主張。風俗発言に関しては、5月末に撤回・謝罪したとして、決議文の誤りを指摘した。 
 その上で、慰安婦を象徴する少女像を設置する米国内の動きを例に挙げながら、同市議会に対し「慰安婦問題という人道的問題を日本に対するネガティブキャンペーンという政治的目的に利用する運動」に同調しないよう求めた。


●橋下大阪市長、妄言非難の米市議会に反論の書簡
              2013年08月23日  中央日報/中央日報日本語版]
橋下徹大阪市長が自身の慰安婦妄言を非難する決議案を採択した米サンフランシスコ市議会に反論の書簡を送ったと、共同通信が22日報じた。

右翼政党の日本維新の会共同代表である橋下市長は5月、「銃弾の中を命をかけて走っていく軍人を休息させるために慰安婦制度は必要だった」と発言し、国際社会の非難を受けた。

特にサンフランシスコ市議会は「事実を否定し、慰安婦制度を正当化する態度と発言を強く非難する」という決議を全会一致で採択した。

橋下市長は反論の書簡で「事実と違う」と主張する一方、米国での慰安婦銅像設置を「反日運動」と表現した。.

●慰安婦:橋本市長、サンフランシスコ市議会に反論書簡
                朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 2013/08/23   東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
「戦争中は他の国も女性を性の対象としていた」

 日本維新の会共同代表の橋本徹大阪市長が22日、旧日本軍慰安婦をめぐる自身の妄言に対する非難決議を採択した米国サンフランシスコ市議会に、決議に反論する公開書簡を送ったことを明らかにした。

 橋下市長は今年5月「第2次世界大戦中の米軍や英軍、朝鮮戦争(韓国戦争)やベトナム戦争中の韓国軍も性の問題を抱えていた」と発言した。

 これを受けて大阪市の姉妹都市であるサンフランシスコの市議会は6月「橋下市長の発言を強く非難する」との決議案を採択した。

 橋下市長は文書で「世界各国の軍が戦争で女性を性の対象としていたのは厳然たる歴史的事実」だとして、決議文の撤回を要求した。

●橋下氏が米姉妹都市に反論書簡 慰安婦発言で
           産経 2013.8.22
 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は22日の記者会見で、自身の慰安婦発言の非難決議を採択した姉妹都市の米サンフランシスコ市議会に対し「誤解に基づいている」と反論し、撤回を求める公開書簡を送ったことを明らかにした。

 サンフランシスコ市議会は6月18日付で「史実を否定し、慰安婦制度を正当化する態度と発言を強く非難する」との決議を全会一致で採択。橋下氏は書簡で「慰安婦の活用を正当化したことは一度もない」と反論した。

 「誤解が生じる背景」として「『慰安婦』問題の最近の議論の仕方に問題がある」と挙げ「日本非難には誇張された言説がしばしば見られる」と強調。
米国内で慰安婦像が設置されていることを「反日運動」と表現し「日本という国家・国民の名誉を貶め、日米関係にマイナスの影響を与える目的があると疑わざるを得ない」と主張した。

 「旧日本兵の慰安婦問題を相対化する意図は毛頭ない」とした上で「世界各国の軍によって女性が性の対象とされてきたことも、厳然たる歴史的事実。自らの問題として過去を直視すべきだ」と記した。

●慰安婦問題検証、英文で発表へ…橋下代表
             (2013年8月22日18時53分 読売新聞)
. 日本維新の会の橋下共同代表(大阪市長)は22日の記者会見で、いわゆる従軍慰安婦問題に関し、「どういう事実だったのか、『歴史的な資料でここまで確定できている』ということを英文にして発表したい」と述べ、党として史実を検証する意向を示した。

 外部有識者を交えて作業を進めたい考えで、具体的な手法については今後、同党の国会議員団と協議する。同党は先の参院選で、慰安婦問題の歴史的事実を明らかにすることを公約に掲げていた。

 橋下氏はまた、慰安婦の「強制連行」について、「日本人が何も言わないから認めたようになっている」と指摘し、日本軍や官憲が強制連行した事実を示す文書が見つかっていないことを改めて検証し、海外に発信する必要性を強調した。

●慰安婦発言巡る問題 橋下市長 米議会に撤回求める書簡
               
 この問題、まだ続いているようです。大阪市の橋下市長が慰安婦をめぐる市長の発言を非難する決議を出したアメリカのサンフランシスコ市議会に対し、決議は誤解によるものだとして撤回を求める書簡を送りました。

「(非難決議は)事実誤認に基づくもので、サンフランシスコ市議会に決議の撤回を求めていく」(大阪市・橋下徹市長)

 反論の書簡は今月13日に送られました。

 橋下市長が今年6月に出張を断念したサンフランシスコ市では、議会が「慰安婦制度を正当化し、歴史的真実を否定する橋下市長の態度と発言を、強く非難する」と決議していました。

 書簡の中で橋下市長は「慰安婦の活用を正当化したことはない」として、誤解に基づく決議の撤回を求めるとともに、「慰安婦が日本だけの特殊なものだという誤解が、アメリカで慰安婦像の設置が広がる原因をつくっている」と、持論を展開しています。

「戦場での性の問題は、日本特有ではなく世界各国の問題。慰安婦像が広がっていくことが納得できない。止めていくために、慰安婦問題を発言した」(大阪市・橋下徹市長)

 書簡は大阪市のホームページで公開していて、市長はアメリカ国民に対し、慰安婦問題を日本に対するネガティブキャンペーンとして利用する動きに同調しないよう、呼びかけています。 (08/22 19:52)



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 宇宙の起源などの謎に迫ることを目指す研究が時々話題になる。
 昨日、次のニュースが流れた。
    「大型加速器は北上山地が望ましい」

 【次世代加速器/ILC】は、岩手日日によれば、

  ILCは地下約100メートルに全長30~50キロの直線トンネルを掘り、電子と陽電子を加速、衝突させ発生した素粒子を観測する施設。
  建設費だけで約8300億円が掛かると見込まれる。


 としている。
 とはいえ、日本学術会議の検討委は「誘致は時期尚早」と8月に発表。

 産経によれば、

  ILCは8300億円の建設費のほか、年間360億円の運営費が必要で、さらに人件費や土地代などを含めると総額は1兆円規模に及ぶ。
  研究者チームは建設費に占める誘致国の負担率を約半分とみているが、具体的な比率は今後の政府間交渉に委ねられる。


 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版/時事では、
   欧米は資金難で日本に建設を期待しており、日本に建設する場合は少なくとも半額負担が必要。9月末にも回答する。 

 世界的な施設と会って、意思表明も政治的駆け引きがありそう。
 産経によれば、

 文部科学省の担当者は「日本がやりたいと早々に言ってしまったら、他国に足元を見られ、負担額をつり上げられるのは間違いない。軽々しく誘致表明できない」と明かす。
  当面は欧米などの出方を注意深く見守り、条件闘争の機会をうかがうことになりそうだ。


 宇宙の始まりを探ること自体は興味深いことだけど、それと実際の話は次元が違う。
 この施設の建設を日本が引き受けるかどうかの前に、国内での候補地の誘致合戦がある。
 主として、「佐賀・福岡両県の脊振山地」か「岩手・宮城両県の北上山地」で争ったらしい。

 候補地一本化について、「復興に弾み」と歓迎と報道されている。
 たぶん、その思いは行政マンなどの感想で、一般の感覚は違うのだろう。
 だって、復興は、もっと、速やか かつ 地道・・・

 ここ岐阜県では、かつて「首都機能の移転」ということで誘致に沸いた。
 関東の那須とか、その他の候補地と競争。
 もともと国の法律で進められている首都機能を東京から他に移転するという計画。
 行政や一部民間事業者らは沸いたけど、覚めれば何も残っていない印象。

 元に戻って、まずは、次世代加速器の研究機構の解説にリンクしておく。
 なお、施設の誘致、当然、反対運動もある。ブログ末に幾つかの意見を紹介。

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  ●大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
        大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 (KEK)

 
 リニアコライダーは1960年代に発案され、精力的な研究は1980年代半ば頃から世界各国で始まりました。2004年にICFA(将来加速器国際委員会)で、主線形加速器に超伝導加速技術(Cold)を使用すると決定し、世界でひとつの国際リニアコライダー(ILC)として推進されてきました。 ILCは、全長30kmあまりの直線状地下トンネルの中に設置される巨大な加速器です。

このトンネルの中央部で電子と陽電子を衝突させ宇宙初期に迫る高いエネルギーの反応を作り出し、宇宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎に迫ります。CERNでは昨年の7月4日にヒッグス粒子らしきものが発見されました。ヒッグス粒子が見つかれば、その性質をより詳しく調べることができるのは、国際リニアコライダー(ILC)です

。ILCは今年度中の技術設計書(TDR)および検出器詳細基礎設計書(DBD)の完成を目指し、ただいま進行中です。KEKでは「リニアコライダー計画推進室」を中心として、国際リニアコライダー (ILC) 計画に取り組んでいます。

これまでは、KEKが中心となって加速器開発を、国内の大学が連携して物理・測定器研究を推進してきましたが、今後は、リニアコライダー研究者だけでなく、高エネルギー物理研究全体でリニアコライダー推進について議論できるよう、「ILC戦略会議」が、2012年5月に立ち上げられました。

国際リニアコライダー(ILC)の加速器・検出器チームは2005年の発足以来、ILCの設計開発研究を進め、2012年12月に設計報告書最終ドラフトを完成いたしました。12/13-14の2日間、KEKで開催されたILC-PAC は設計報告書(TDR/DBD)に対する専門評価委員による、最終的な技術レビューとなりました。

2012年7月には、標準理論で予言された17種類の素粒子の中で唯一発見されていなかった「ヒッグス粒子」とみられる新粒子の発見が公表され、ILCの最初の目標が明確になってきました。設計書の完成をうけて,ILCは2013年2月に発足した新しい組織:リニアコライダー・コラボレーション (LCC) によってその実現を目指します。
・・・・


●ことば:国際リニアコライダー(ILC)
            毎日新聞 2013年08月23日
 ◇国際リニアコライダー(ILC)
 リニアは「直線」、コライダーは「衝突加速器」の意味で、電子と陽電子を衝突させる次世代の加速器。硬い岩盤の地下に長さ約30キロの直線トンネルを造り、その両端から電子と陽電子を発射し、光速近くまで加速して衝突させる。
 ビッグバン直後の宇宙の様子を再現し、発生する素粒子を測定・解析して宇宙の起源などの謎に迫ることを目指す。


●北上山地に決定 ILC建設候補地
            岩手日日 (08/23)
 宇宙誕生の謎の解明を目指す次世代大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の立地評価会議は23日、東京大で記者会見し、ILCの建設候補地を本県の北上山地(北上高地)に決定したと発表した。ILC建設に適した安定した岩盤が広範囲に分布していることなどが評価された。巨額の予算を伴うことなどから国はILCの建設を決めていないが、研究者による候補地選定は地元の受け入れ態勢の構築にも弾みとなりそうだ。

 ILCは地下約100メートルに全長30~50キロの直線トンネルを掘り、電子と陽電子を加速、衝突させ発生した素粒子を観測する施設。建設費だけで約8300億円が掛かると見込まれる。

 国内の候補地は最終的に北上山地と福岡、佐賀両県の脊振山地の2カ所に絞り込まれ、東北や九州の自治体や経済団体が中心となって誘致合戦を展開していた。

 北上山地の候補地は一関市大東町大原地内を衝突点がある中央部とし北西側は奥州市江刺区、南東側は宮城県気仙沼市に至る範囲を想定。中核研究拠点をはじめ、計測実験拠点、先端産業集積拠点、交流居住地区などを整備し、沿岸の被災地と内陸の中間に国際科学都市の建設を構想する。

 ILCの実験が実現すれば万物に質量を与える「ヒッグス粒子」の詳しい性質が解明され、現在の素粒子物理学の標準理論を超える観測結果が得られると期待される一方、文部科学省が建設の判断のため審議を依頼した日本学術会議の委員会はILCの科学的意義は高いとしながらも、巨額の費用が他の学術分野を圧迫する恐れがあり、日本が中心となって建設するかどうかについては数年かけて検討すべきだとの見解をまとめている。

 文科省は9月末にも正式回答を受け、建設の可否を判断する見通し。

●ILC候補地は岩手北上山地
          NHK 8.23
最先端の素粒子実験施設、ILC=国際リニアコライダーを日本に誘致する場合の建設地に、岩手県の北上山地が決まりました。
ILCについては、国際的な費用の分担方法などがこれから明らかになるため、日本が実際に誘致するかどうか決まるのは、数年先の見通しです。

ILC=国際リニアコライダーを日本に誘致する場合の建設地には、▽岩手県の北上山地と、▽福岡県と佐賀県にまたがる脊振山地が候補となっていて、関係する自治体が盛んな誘致活動を行ってきました。
この2つの候補地のうち、どちらを選ぶかの選定作業は、国内の物理学者でつくる「ILC立地評価会議」がことし1月から進めてきましたが、岩手県の北上山地を選ぶことを決め、23日、発表しました。
ILC=国際リニアコライダーは、2020年代半ばの完成を目指して計画が進められている巨大な素粒子実験の施設で、日本が有力な建設の候補地となっています。
国内に建設されれば大きな経済効果が見込まれる一方、8300億円とされる建設費の少なくとも半額を負担しなければなりません。このため、国から誘致について諮問を受けた日本学術会議も、「国際的な費用の分担方法など決まっていないことが多く、現時点で誘致に踏み切るのは、時期尚早だ」とする慎重な見解を公表していて、日本が実際に誘致するかどうか決まるのは数年先の見通しです。

●東北・北上山地が候補=次世代加速器で物理学者ら—巨額建設費、文科省が判断へ
             ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2013年 8月 23日 /[時事通信社]

 宇宙誕生の謎解明を目指す次世代の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、物理学者らでつくる立地評価会議は23日、国内の建設候補地として岩手・宮城両県の北上山地が望ましいと発表した。福岡・佐賀両県の脊振山地も候補地として検討したが、予定地にダム湖があることなどから北上山地を選定した。

 評価会議は、北上山地の中心的な研究施設の場所について、仙台と東京から交通の便が良い新幹線沿線を推奨した。共同議長を務める山本均東北大教授は記者会見で、「今後は北上山地について現地設計が始まる。協力と支援をお願いしたい」と述べた。

 脊振山地はトンネルのルートがダム湖の下を通り、建設の許認可を得るのが困難な上、許認可が得られても止水工事のため大きなコスト増が見込まれることなどがリスク要因とされた。

 ILCは地下約100メートルに長さ30キロ超の直線トンネルを掘り、電子と陽電子を加速して衝突させ、発生した素粒子を測定する。現在の計画では建設費だけで8300億円、土地買収費や測定器製造費、人件費を含めると総額1兆270億円と試算される。

 欧米は資金難で日本に建設を期待しており、日本に建設する場合は少なくとも半額負担が必要。文部科学省が予算計上の可否を判断するが、同省が意見を求めた日本学術会議の検討委員会は「時期尚早」との見解をまとめており、9月末にも回答する。 

●リニアコライダー:学術会議の検討委「誘致は時期尚早」
          毎日新聞 2013年08月06日
 宇宙誕生の謎に迫る超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の建設を日本に誘致するかどうかについて、日本学術会議の検討委員会は6日、誘致は時期尚早とする見解を大筋でまとめた。巨額の建設費や、世界中から研究者の参加を見込める保証がないなど課題が多く、数年かけて調査した後に判断すべきだとした。

 非公開の会合後、取材に応じた委員長の家泰弘・東京大物性研究所教授が明らかにした。最終見解を12日の次回会合で示す予定。

 ILCは日米欧の科学者が進める計画で、欧州合同原子核研究所(CERN)の加速器の後継とされる。建設費は10年間で約8300億円に上り、日本の負担は半額程度となる見込み。岩手・宮城両県と佐賀・福岡両県が誘致しているが、政府は誘致を決めておらず、文部科学省が同会議に検討を依頼している。

 この日の会合では、巨額投資に国民の賛同が得られるかや、建設に必要な1000人規模の加速器研究者の参加が保証されていないことなどが指摘された。この分野の日本の研究者は300人程度で、多くを海外から呼ぶ必要があるという。家委員長は「国民の理解を得るため、今後専門家以外も入れて検討する必要がある」と話した。【野田武】

●【次世代加速器ILC】候補地一本化、国は誘致判断先送り
              産経 2013.8.23
 次世代加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の研究者チームが国内候補地を東北の北上山地に決めたことで、今後は国が誘致の是非をいつ判断するかが焦点になる
。地元の経済界などは早期誘致に期待を寄せるが、巨額の建設費に対する批判や、費用の負担率をめぐる国際的な駆け引きも予想され、国は最終判断を先送りする見通しだ。

 ILCは8300億円の建設費のほか、年間360億円の運営費が必要で、さらに人件費や土地代などを含めると総額は1兆円規模に及ぶ。
研究者チームは建設費に占める誘致国の負担率を約半分とみているが、具体的な比率は今後の政府間交渉に委ねられる。


 文部科学省の担当者は「日本がやりたいと早々に言ってしまったら、他国に足元を見られ、負担額をつり上げられるのは間違いない。軽々しく誘致表明できない」と明かす。当面は欧米などの出方を注意深く見守り、条件闘争の機会をうかがうことになりそうだ。

 研究者チームの山下了東大准教授は「このタイミングを逃したらチャンスはない。国は早く一歩を踏み出してほしい」と話す。

 日本学術会議の検討委員会が今月示した「時期尚早」との見解も、誘致の判断を遅らせる一因だ。文科省の依頼を受けて議論を重ね、まとめた見解だけに同省も尊重する方針で、判断の時期は見えない。

 検討委の慎重論の背景には、他の科学予算が削減されることへの根強い警戒感がある。日本学術会議は多様な分野の科学者で構成されており、巨額の建設費のしわ寄せを受けてはたまらない、との思惑もにじむ。

 一方、国内候補地は北上山地で最終決着するとは限らない。過去には巨大プロジェクトの国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致をめぐり、専門家が茨城県を最適地に選んだが、政治判断で青森県に覆った例があり、決着にはなお曲折も予想される。


●候補地一本化 「復興に弾み」と歓迎 岩手、宮城両県
           産経 2013.8.23 15:41
 
●リニアコライダー:岩手知事「未来の希望」 北上選定で
                毎日新聞 2013年08月23日
◇福岡、佐賀知事は不満表明
 「国際リニアコライダー」(ILC)の候補地に岩手・宮城両県の北上山地が選ばれ、佐賀・福岡両県の脊振山地が外れた選定結果について、誘致活動を展開してきた双方の地元は、いずれも政府に働きかけを強める意欲を示した。

 南米出張中の達増(たっそ)拓也・岩手県知事は「未来の希望を感じさせる大きなニュース。政府には誘致の取り組みを進めるようお願いしたい」とコメントを発表した。村井嘉浩・宮城県知事は経済波及効果が4.3兆円に及ぶとの試算に触れ「(東日本大震災の復興を進める)東北の再スタートに向けた非常に大きな事業」と強調。国内誘致を決めていない政府への働きかけを続ける姿勢を示した。

 一方、佐賀県庁では古川康知事がインターネット中継で発表の記者会見に見入り「(評価の)細かな内容が分からず、責任を持って県民に説明する気持ちになれず、割り切れない」と不快感をあらわにした。
小川洋・福岡県知事も「結果は意外だ。新しい評価手法による国の活断層調査は東北では行われていない」と不満を述べた。
両県や大学、地元経済団体などで作る「ILCアジア−九州推進会議」は「国に改めて総合的な検討をするように要望する」と再考を求める構えを示した。【浅野孝仁、久木田照子、田中韻、早田利信、中園敦二】

 ●岩手を死の村にする危険計画ILC誘致進行中①
           放射能を天恵の海に流す六ヶ所再処理工場閉鎖を! 2012-08-18 09:01:48
テーマ:産業 総記8月16日付岩手日報「論壇」に【禍根残すILC誘致】という題の投稿があったそうです。書いたのは雫石町の元技術士という方だそうです。

 ILC誘致は、平泉町が県と国に「国家プロジェクト」として積極的に 取組むよう、調査費も要望しているそうで、推進の旗振り役(座長)は増田元岩手県知事という情報があります(次記事へ)。 
以下、その上記の投稿です。
::::::::::::::::::::::::::::::

 【スイスの巨大加速器施設でヒッグス粒子を発見したとの報道があった。県が誘致を狙う国際リニアコライダー(ILC)計画もヒッグス粒子の発見が目的だという。ILCは、南部北上山地の地下100mに直径4.5mの二本のトンネルを50キロの長さで掘削して設置される巨大加速器である。さらに類似の巨大加速器の必要性や目的など一般県民にとっては理解を超えている。
 県はILC誘致に伴うバラ色の効果のみを強調するが、誘致実現が将来の県民の生活や安全を脅かすことはないのか。
 候補地の条件は活断層がなく、硬い安定岩盤であることで、当地域は変質や風化がない花こう岩盤体で条件を満たすという。この岩盤体は白亜系花こう岩質体と呼ばれ、ジュラ系陸棚相を挟んで南北2か所存在するが、長さは、それぞれ40キロに満たないようだ。
 しかし、花こう岩は風化するともろくなるという。候補地の近くには2本以上の断層が走っている。盛岡ー五葉山断層と八戸ー北上川流域ー牡鹿半島に至る複数の断層群である。活断層ではないというが、現状では調査不足である。
 長大な地下トンネルの掘削は取りも直さず県民の生活と生産を保障する永続的生産基盤の破壊・損傷を意味する。わが国は、多様な自然災害列島で、どこでも大規模災害が起こりうるゆえ、人工的改変や構造物を加えれば甚大な災禍に見舞われかねないことは、福島原発事故をみても明らかだ。
 巨大地下空間に崩落や爆発などの潜在的危険があり、たとえ事故が起きなくても地下水脈の変化や地質構造の変化が予測不能な災害を長期的に起こさない保証はない。
 ILC利用の研究はせいぜい30年程度で、その間、逼迫気味の電力を23万キロワットも必要だという。研究目的が達成されれば近い将来、必ず訪れる終了後の跡地利用計画が出る。その要請によってはILCの実利用期間とは別次元の長い時間尺度で県民の不安を招来する。残された長大な巨大地下空間は、その位置と構造からみて、後世最大の懸案とされる原発の核廃棄物最終処分場としての要請が来ることは必至だ。
 跡地は地下埋設を基本とする処分場の立地条件に合致するので、その呼び水となろう。候補地は青森の下北や福島に近く、要請を拒むことは至難だろう。
もし、跡地が最終処分場になれば、3.11大震災のような地殻変動や未成熟な処分技術も相まって壊滅的な放射能汚染に見舞われる。
初めから誘致ありきで復興に便乗的姿勢を貫けば、未来の生命と環境に取り返しがつかない禍根を残すだろう。】


●ILC日本誘致中止を国に求める請願 福岡市議会に請願  博多湾会議
           あきらめネットblog 2013.06.25
6月24日午後3時に市議会8階 事務局で、下記請願を提出しました。
6月26日に請願審査が行われます。会員が口頭陳情します。

審査の結果、「継続審議」となりました。否決されなかったことを、一歩前進と受け止めたいと思います。
                     博多湾会議
・・・・・・


●『国際リニアコライダー(ILC)を、日本に誘致(建設)しないことを求める全国署名』がはじまりました
                  抜き技  作成日時 : 2013/06/30 07:32 >

ネット署名
http://www.sefurinecco.com/ilc04.html

こちらにILCに関して、私からの簡単なメッセージ
http://www.sefurinecco.com/about.html
...
ILCに賛成の人、積極的に推進の人、推進イベントのパネリストとしてよばれている人など、いろいろな人がいます。そういう人たちと対立したいわけではありません。ILC誘致で実現しなければならないのは、地元にお金が降りる仕組みだと思います。はたして、この国の経済の仕組みでそれかが可能でしょうか?最近行われた除染や放射能汚染調査の事業も大手が請け負って、地元は下請けでした。

TPPとの関連でこんなことが起こる可能性も。それは、TPPに加盟した後ではILCの工事に国内企業を抑えて、国際企業が参入してくる可能性があります。ILCのような大型の公共事業に限らず、「TPP」で、これまで世界貿易機関(WTO)協定の対象となる基準以下の公共工事は、国内企業が行うことになっていたが、TPPに加盟すると基準額が引き下げられて市町村レベルの工事まで拡大される可能性もあります。

そして、犠牲にしてはならないのは、未来の子供たちに何を残すのかです。せふり山系には、自然を残したいという意見を持っている人たちがたくさんいます。北上山系には、自然より開発・経済という視点が先行しているように感じるのは、なぜでしょうか。決して、東北人が開発に取り残されているというトラウマのようなものを持っているとか、自然を大切にしていないわけではないと思います。

ILCに係わり2012年4月に行われた岩手県への質問と回答があります。その回答によるとILC「跡地を核廃棄物の最終処分場にする考えはない」とのことでした。最近気になっていることは、余裕深度処分という最終処分法です。これは廃炉時代を迎えて、使用済み燃料棒(高レベル廃棄物)以外の制御棒や炉心のシュラウドなど低レベルとはいえない(中レベル)の廃棄物類の処分方法で、地下50~100mの深度に容器に入れて埋設することになっています。ILCは地下100mということでこの深度に該当します。
http://www.enecho.meti.go.jp/rw/gaiyo/gaiyo03-3.html
この廃棄物の処分場になってしまうのではないかという心配をしています。東電の福島原発は全て廃炉になるでしょうから膨大な中レベル廃棄物が発生します。この行き場がありません。

原発など反対しても最後はお金でした。ちなみに2010年度の青森県の一人当たりの平均所得は234万円、それに対して六ケ所村の村民所得は1178万円とのことです。全国トップの東京の都民所得平均は430万円。いかに六ヶ所村に核燃マネーが投下されているのかわかります。
・・・・・・・・


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 秋作りのジャガイモを一昨日植えた。
 春作は気温が順に高くなるから作りやすい。
 秋作は、高温の真夏に植えるから、工夫がいる。

 11月の霜で枯れてしまうので、それまでの生育日数を多く確保するには
 早く植えたい。
 しかし、早く植えるということは、暑い時期で芽が出にくく、種イモが腐りやすい。

 以前は、涼しい木陰などで湿気を持たせて「芽」を出させていた。
 半月ほどして芽が出た種イモを植え付ける。
 しかし、時期は遅くなりがち。
 畑で土から芽が出たのが9月中旬、なんてこともあった。

 昨年、ネットで調べたら、「砂の中で芽だしすると良い」とのこと。
 やってみて、驚いた。
 抜群に芽の出具合が良く、しかも、根もいっぱい出ている。 
 根がでいるということは、植えたらすぐに生育するということ。
 
 昨年は、8月13日から芽出し、8月31日植えだった。
 今年は、8月9日から芽出し、8月21日植え。
 その記録。

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 8月10日のブログ ⇒ ◆「秋ジャガ」の極意は、「芽出し」でなく「発根」にある、かも

 いろいろと涼しいところを探していたら・・・あった
 連日の気温は、最低24度から最高37度、
 そうなのに、その涼しいところは、最低21度から最高28度。

 (もっとも、去年は「気温23度から35度」のところで、大丈夫だったからあまり気にしなくてもよいかも)

(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)


●2013年8月9日に芽出しの開始
Sサイズ。 10キロでデジマは240個、アンデスは250個あった。いずれも数個の腐りはあった。

●デジマ
  ★8月9日の芽だしの開始のとき


  ★途中8月17日の様子
   デジマ  と  アンデス 
    

  ★以下、8月21日の植え付けの時の様子

砂から取り出すと、
芽も根もしっかり出ている










うねづくり から
(条間75センチ、株間27センチ)






植えスジ部に
たっぷり水やりした後、
イモを並べていく






土をかける



●アンデス  ★8月9日の芽だしの開始のとき


  ★8月21日の植え付けの時の様子


砂から取り出す






まだ、芽や根があまり出ていないイモもある


並べた様子
このあと、土をかけ、水やり




植え終わって、2条ずつ、黒寒冷紗で”防暑”



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 東電の福島原発でここのところ明らかになる重大な事態。
 地下水の海洋流出が参議院選投票日の翌日だったことにつき、
 東電は「この日に認識できた」旨を説明していたが、その後、追及で、選挙期間中だったことを認めた。

 今回、汚水貯蔵タンクからの水漏れ。
 事故レベルがあまりに高い。
 東電は、水漏れは、計算では、「2週間前」と推測されると認めた。
 
 なぜなら、「時間当たりにどれだけ水位が下がったか」の値から推測しての2週間、だというけれど、
 通常は、漏れ部分の損傷は、徐々に大きくなるから、漏れはじめは、もっと早いのではないか・・・

 350基ものタンクがあるというのだから、他は大丈夫・・??
 うがった見方をすれば、汚水貯蔵タンクの水漏れは、1か月ほど前から分かっていた
  ・・・と修正されるのではないか、そう思わざるを得ない。

 汚水タンクからの水漏れのニュースの時、タンクの腐食は想定以上に早くなのでは・・と素人がてらに思った。
 関連して、「j-cast」はわかりやすくまとめた。
    汚染水貯蔵タンクの耐用は5年といっていたが、2年しか保たなかった。
    専門家からは「何年か先には漏れるなと思っていた。ある意味予想通りです」(野口邦和・日大講師)という声もある。
     廃炉までには30~50年とかかる。そもそも耐用5年とは何だったのか。

   「貯蔵タンク」耐用年数5年のはずが2年で劣化
    東電が汚染水漏れを確認したのは19日だった。パトロールがタンク周辺の堰の中に水がたまっているのと、排水弁から堰の外に漏れているのを発見した。
    タンクの高さは11メートルで、最大1000トンを貯蔵できるが、うち1基の水位が3メートル40センチ下がっていることがきのうわかったのだという。
  漏れた汚染水表面の放射線量は、1時間あたり100ミリシーベルト以上で、原発作業員の許容量の5年分にあたる。
   東電は弁が開いていたのは雨水を外に出すためと、漏れを発見しやすいためとしている。漏洩は続いているとみられるが、どこから漏れているかはわからないという。

    原子炉建屋に流れ込む地下水は日に400トン。これが汚染水となってタンクに貯められて、タンクも日々増えているわけだ。
   水漏れが確認されたものと同型のタンクは現在350基あるが、いずれも鋼板をボルトで締めた構造(溶接ではない)。
   この締め合わせに使っているパッキンの劣化の可能性が高い。


 事故後のこの状態、到底、管理や安定とは程遠く、イタチごっこにもならない汚染の拡大。

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(関連)2013年8月12日ブログ⇒  ◆福島第1原発汚染水「土の壁」越えて流出の可能性 井戸データで裏付け
(関連)2013年8月8日ブログ⇒ ◆福島原発・:汚染水流出 1日300トン/残る300トンの行方は不明/事故直後からか>
(関連)2013.7.27ブログ⇒ ◆福島原発:東電、汚染水の海洋流出認める/参院選投票日の翌日/実はその4日前に社長も把握

●タンク汚染水漏れ レベル3に引き上げへ 規制委、評価見直し
              東京 2013年8月21日
 東京電力福島第一原発のタンクから三百トン(東電の推計)の高濃度汚染水が漏れた問題で、原子力規制委員会は二十一日の定例会で、国際的な事故評価尺度で下から二番目のレベル1としていた暫定評価を、レベル3に二段階引き上げる可能性があるとの見解を示した。

 規制委は、汚染水にベータ線を出す放射性ストロンチウム90(法定基準は一リットル当たり三〇ベクレル)などが一リットル当たり八〇〇〇万ベクレルと、放出が認められる濃度限度の数百万倍に達する極めて高い濃度であり、三百トンの漏出量から数千テラベクレル規模(テラは一兆)の漏出があると推定。規制委事務局は放射線の管理上、レベル3の重大な汚染に相当するとしている。

 汚染水漏れが発覚した十九日の段階では、漏れた汚染水の量がはっきりしなかったため、規制委は暫定的にレベル1と評価していた。その後、東電が漏れた量を三百トンと推定したことから、評価を見直すことにした。

 ただし、国際基準は通常の原発での事故を評価対象にしている。すでに福島第一原発事故自体は最悪のレベル7と認定されており、それに関連して起きた今回のタンク事故を個別に評価することが適切なのか、基準を所管する国際原子力機関(IAEA)に確認するとしている。

 国内でのレベル3事故は、一九九七年に起きた動力炉・核燃料開発事業団(当時)東海アスファルト固化処理施設爆発事故がある。

 国際評価尺度(INES) 原発など原子力施設で発生したトラブルの規模や深刻度を示す世界共通の物差し。国際原子力機関(IAEA)などが設定した。レベル1~3は「異常な事象」、レベル4~7は「事故」に区分。評価基準は施設内の汚染度合いや安全設備の状態などで、レベル2は相当量の汚染、安全設備の重大な欠陥などが該当し、レベル3は数千テラベクレルの放射能の放出、安全設備が残されていない事故寸前の状態などが該当する。最終的な判断は、IAEAに意見を聞く場合もあるが、各国の規制機関が評価する。


●福島第1原発から汚染水300トン漏出―東電 .記事
          ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2013年 8月 21日
 【東京】東京電力は20日、福島第1原子力発電所の貯蔵タンクからおよそ300トン(7万9000ガロン)の高濃度放射能汚染水が漏れたと発表した。2011年に同原発の原子炉3基がメルトダウン(炉心溶融)を起こして以来、最大規模の汚染水漏れだ。

汚染水が漏出した福島第1原発敷地内のタンクのバブル

. 今回の漏出は東電にとって新たな打撃だ。東電は既に推計数百トンの汚染された地下水の処理に苦慮している。専門家は、地下水が原発敷地内から毎日、海に流れ出ているとみている。

 東電は今回の漏出の起きた時期を明らかにしなかったが、海には恐らく流れ込んでいないとし、その理由として、海に流出する際に最も通る可能性の高い側溝の放射線量がそれほど上がっていないことを挙げた。しかし、測定された汚染水の放射線量は非常に高く、近くにいると作業員の年間被ばく上限をすぐに超えてしまうほどだ。

 汚染水は今回の漏出でタンク周辺の地中に吸い込まれた。これを受け、日本の原子力規制当局はその他の貯蔵タンクの検査を検討し始めた。東電は放射線量の高い原子炉建屋とタービン建屋から出る1日当たり推定400トンの水を保管する場所を探すのに苦慮しており、敷地内には1000基ほどの貯蔵タンクが並んでいる。

 原子力規制委員会の森本英香次長は20日の記者会見で、他のタンクについても漏出がないか調べる必要があるかもしれないが、どの程度調査するかは今回の漏出の原因次第だと述べた。

 今回の漏出は、汚染水を保管していた地下貯水槽からの水漏れが4月に発覚し、この汚染水を移送するために急きょ設置された350基の貯蔵タンクの1つで発生した。東電の広報担当者によると、これらのタンクはそれ以前に設置されていたタンクほど頑丈でないという。


 東電は、漏出が見つかったタンクから残りの水を付近のタンクに移送する準備を進めており、その後、原因を調査する計画だ。このタンクに汚染水が貯蔵されたのは、東電が放射性物質を除去するシステムを導入する以前だった。このため、このタンクの水は敷地内に保管されている他の大半のタンクの水より汚染濃度が高い。

 東電は放射性物質を含む汚染水の処理に苦慮している。汚染水は地下貯水槽からの水漏れが発覚して以降急激に増えているが、その後、汚染された地下水が海に流れ込んでいることも発覚し、政府が汚染水対策に直接介入することになった。安倍晋三首相は今月、政府が資金やその他の資源を投入して解決策を見いだすと発表した。

 今回の汚染水漏出が差し迫った脅威をもたらすわけではない。近隣の住民は避難を続けているほか、海で計測した放射線量の数値は現在のところ、それほど上がっていないようだ。それでも、政治家や専門家は、今回の漏出は、東電が同原発を適切に管理できていないことを改めて示していると指摘する。同原発では2011年3月の巨大地震と津波によって電源が失われ、3基の原子炉が制御不能になった。

 問題は、地下水が同原発の裏手にある山側から海側に向かって流れていることにある。
1日約1000トンの水が原発の敷地の地下を通っているとみられている。
このほかに、溶融した炉心を冷却するため1日400トンの水が損傷した建屋に注入されている。

 東電は原子炉建屋の地下から1日約800トンの水をくみ上げ、半分を処理して再利用、残りの半分を貯蔵している。これ以外は海に流れ出ているわけだが、うち1日約300トンは海岸近くの側溝にたまっている他の放射性物質を含む水と接触し、汚染されている可能性がある。

 東電は、政府の3つの関連組織の協力を得て、地下水が汚染された構造物と接触しないようにし、汚染水が海に流出しないよう対策を講じる構えだ。

●福島第一 汚染水300トン タンク底から漏れる?
            東京 2013年8月21日
 東京電力福島第一原発のタンクから三百トン(東電の推計)の高濃度汚染水が漏れた問題で、東電は原因調査を進めたが、ボルト締め型タンクの弱点である側面の鋼板の継ぎ目に、水が漏れた痕跡は確認できず、底部から漏れた可能性が高まった。大量の漏れが確認され、原子力規制委員会は、国際的な事故評価尺度で下から二番目のレベル1としていた暫定評価を、引き上げる方向で検討に入った。

 問題のタンクは三百五十基あり、原子炉の冷却後に出る汚染水をためる主力となっている。鋼板の間に樹脂製パッキンを挟み防水性を保っているが、パッキンの耐用年数は五年。同型のタンクで、四回の水漏れが起き、いずれも鋼板の継ぎ目からの漏出だった。

 十九日に漏れが見つかるまで、タンク周辺の見回りでは異常に気付かなかった。二十日にタンクの水位が本来の水位より三メートル下がっていたことを確認。短期に一般的な二十五メートルプール(四百~五百トン)の水量に近い汚染水が漏れたことになる。

 東電はタンク側面を中心に漏れた痕跡を探したが、見つからなかった。タンクは下部ほど水圧がかかり、汚染水はタンクの各方向に漏れていた。タンク底部の可能性が残る。

 汚染水は、放射性セシウムの大半は除去されているが、放射性ストロンチウムなどは一リットル当たり八〇〇〇万ベクレルと極めて高い濃度で残る。法令で放出が認められる濃度限度の数百万倍に達する。ストロンチウムなども除去する新装置の導入が検討されているが、トラブルで止まっている。

 汚染水の放射線量は水面から五十センチ離れた地点で毎時一〇〇ミリシーベルトあった。この場所に一時間いれば、がんが発生するリスクが明らかに上昇する値。

 今のところ海まで流れ込んだ可能性は低いとされる。ただ、高濃度のため、東電はタンク群の周囲に設けられたコンクリート製の堰(せき)内にたまった汚染水が拡散しないよう、汚染水の回収や土のうを積み増す対策に追われた。


●福島第1 汚染水海に流出濃厚 東電「否定せず」
          河北新報 2013年08月22日
 福島第1原発の地上タンクから放射能汚染水が大量に漏れ出した問題で、東京電力は21日、汚染水の一部が海に流れ出た可能性を認めた。同型タンクは製造が容易で整備しやすい一方、耐久性に問題があり、過去にも漏えい事故を起こしている。大量に増え続ける汚染水を処理するため、整備の効率性を優先した結果が招いたトラブルと言え、対策の見直しに迫られている。

 タンクから漏れ出した汚染水は約305トンに上る。大半は地面に染み込んだとみられるが、東電が21日、原子力規制委員会の指示を受け、海につながるタンク近くの排水溝を調べ、毎時6ミリシーベルトと高い線量を計測した。

 東電は「汚染水が流れなければあり得ない数値で、海への流出は否定できない」との見解を示した。流出量は不明としている。海は約700メートル先で、排水溝の出口付近の海水に含まれる放射性物質は微量にとどまった。
 東電によると、タンクは容量1000トンで汚染水の残量は約700トン。20日夜に別の同型タンクへ移送を始めた。作業は22日夕に終えるという。

 漏えい源のタンクと同じ型は構内に約350基ある。1日400トン(プール1杯分)のペースで増え続ける汚染水を保管するため、東電は構内に整備し、2011年10月に使用を始めた。
 タンクは円筒型の組み立て式で施工日数は最短で3日。溶接作業が要らず、作業が楽でコストを抑えられるメリットがある。一方、ゴムパッキンの耐用年数は5年と短く、当初から水漏れを懸念する声が上がっていた。
 同型タンクは今回を含めて5回の漏えいトラブルを起こした。大量の汚染水を処理するため、耐久性の危うさに目をつぶり、効率性を優先して整備を進めた。今後も使用を継続するという。
 今回の事故を受け、東電はタンクの見回り回数を1日2回から3時間おきにする監視強化策を打ち出した。

 汚染水の海洋流出は7月、地下水の漏出が判明。地上と地下から二重の漏えいが明らかとなり、漁業者や国際社会から反発を受けるのは必至だ。

◎規制委「レベル3」に引き上げ
 福島第1原発の地上タンクから放射能汚染水が漏れ出た問題について、原子力規制委員会は21日、国際的な事故評価尺度(INES)で8段階の下から4番目のレベル3(重大な異常事象)に当たるとの見方を示した。レベル3は、1997年の旧動燃アスファルト固化施設(茨城県東海村)火災爆発事故や東日本大震災による福島第2原発の津波被害と同等の評価となる。

 規制委は漏えい発覚当初の19日、下から2番目のレベル1(逸脱)と暫定評価した。その後、漏れ出た汚染水は推定約305トンで数千テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質が漏えいしたことが分かり、評価を引き上げた。
 規制委内には応急施設のタンクでのトラブルにINES評価を適用することへの疑問や、最悪のレベル7(深刻な事故)と評価された第1原発事故の範囲内とする考え方もある。
 規制委は、国際原子力機関(IAEA)に応急施設の評価方法について確認する。

 21日の規制委定例会合で田中俊一委員長は「一刻の猶予もない。タンクの汚染水を早急に安全なレベルまで浄化する必要がある」と強調した。
 更田豊志委員は「タンクの排水溝は直接外洋につながっている。海への流出がないかどうか、しっかり確認すべきだ」と指摘した。
 規制委はまた、同日開いた汚染水対策の作業部会で、漏えい源のタンク底部のコンクリートが破損した可能性があると指摘。同型で同じ時期に製造されたタンク約100基に保管されている汚染水の移送を検討するよう東京電力に指示した。


●汚染水漏れ、2週間前からの可能性…東電が謝罪
           (2013年8月22日01時32分 読売新聞)
 東京電力福島第一原子力発電所の貯蔵タンクからの汚染水漏れが、発覚の2週間前から続いていた可能性があることが21日わかった。

 また、付近の排水溝から、比較的高い放射線量が測定された。雨水を流すこの排水溝は港湾外へつながっており、東電はタンクから漏れた汚染水の一部が排水溝を通じて港湾外へ流出した可能性もあるとみて調べている。

 東電によると、20日朝の時点でタンクの水位は満水時より3メートル低かったが、その後の約6時間でさらに5センチ低下した。低下のペースが同じならば15日前から漏れている計算になり、毎日2回の巡回点検で見落としていた可能性が高い。東電の相沢善吾副社長は21日の記者会見で「ご心配をかけて申し訳ない」と謝罪した。水位計は一部のタンクだけに設置され、今回のタンクにはなかった。原子力規制委員会の検討会は同日夜、タンクごとに水位計を設置するよう東電に要請した。

●福島第1原発汚染水漏えい 福島県知事「国家としての非常事態」と非難
        FNN (08/21 00:58)
東京電力は、福島第1原発で汚染水を保管しているタンクの1つから、汚染水が300トン漏えいし、そのほとんどが、周辺の土壌に染み込んだと発表した。
300トンの漏えいは過去最大で、漏えいは続いているとみられる。

東電は、周辺のタンクに汚染水を移送する準備を始めているほか、汚染された土壌の除去作業を行っている。
一方、この汚染水の海への漏えいはないと説明している。

これを受けて福島県の佐藤知事は「汚染水の対策は、国家としての非常事態だ」と強く非難した。

●福島第1原発:タンク汚染水、東電「海に流出も」 規制委、移設検討求める
             毎日新聞 2013年08月22日 
 東京電力福島第1原発10+件の地上タンクから高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が漏れた問題について、東電は21日、汚染水が近くの排水溝を通じ外洋に流出した可能性があることを明らかにした。原子力規制委員会は同じタイプのタンクからの漏えいも考えるべきだとして、汚染水を別の場所に移すことを検討するよう東電側に求めた。

 タンク内の水には1リットル当たり8000万ベクレルの放射性物質が含まれ、300トンが漏えいした。タンクから海までの距離は直線で約500メートルで、タンク群の脇には、雨水を外洋に流す排水溝がある。U字形でふたがなく、常に水が流れている状況ではないという。

 東電によると、タンクからの汚染水漏れが見つかった19日に排水溝脇で空間の放射線量を測定したところ、最大で1時間当たり96ミリシーベルトの高い値を観測したほか、放射性物質の性質がタンク内の汚染水と一致した。排水溝内でも最大毎時6ミリシーベルトを検出。相沢善吾副社長は21日、「絶対に(海に)流出していないとは言えない。事故から2年が経過するが、今も心配をかけ、おわびする」と謝罪した。

一方、海に近い排水溝の出口付近で20日に採取した海水の放射性物質濃度に大きな変化はなく、東電は「大半は土に染みこんでいる可能性がある。大量に海に出ている状況はないだろうと考えている」と従来の見解を繰り返した。21日には漏えいしたタンク内の汚染水約700トンを別のタンクに移す作業を終えた。

 原子力規制委員会は21日、原発事故の国際評価尺度(INES)で、このトラブルは「レベル3(重大な異常事象)に該当する」と発表した。ただし、規制委は、最悪のレベル7(深刻な事故)の同原発10+件事故に関連した問題として、評価が妥当かを国際原子力機関(IAEA)に照会する。INESは「健全な施設」で起きた事故を想定している。田中俊一委員長は21日の記者会見で、福島第1原発では事故対応が続いていることに触れ「福島第1については違う形で国際社会に発信する必要がある。単にINESに当てはめてレベル2だ3だと言う必要はない」と述べ、今後の同原発でのトラブルではINES評価を使用しない見解を表明した。【鳥井真平、八田浩輔】

●予想されてた「高レベル汚染水漏れ」300トン!福島原発もう東電任せじゃ危ない
            j-cast 2013/8/21 10:13
 東京電力・福島第1原発のタンクから漏れた高レベルの放射能汚染水は、300トンにもなることがわかった。きのう20日(2013年8月)午後、東電が明らかにした。 300トンの大半は地中にしみ込んだとみられ、今後、地下水への影響が懸念される。

汚染水貯蔵タンクの耐用は5年といっていたが、2年しか保たなかった。専門家からは「何年か先には漏れるなと思っていた。ある意味予想通りです」(野口邦和・日大講師)という声もある。廃炉までには30~50年とかかる。そもそも耐用5年とは何だったのか。

「貯蔵タンク」耐用年数5年のはずが2年で劣化
東電が汚染水漏れを確認したのは19日だった。パトロールがタンク周辺の堰の中に水がたまっているのと、排水弁から堰の外に漏れているのを発見した。 タンクの高さは11メートルで、最大1000トンを貯蔵できるが、うち1基の水位が3メートル40センチ下がっていることがきのうわかったのだという。

漏れた汚染水表面の放射線量は、1時間あたり100ミリシーベルト以上で、原発作業員の許容量の5年分にあたる。東電は弁が開いていたのは雨水を外に出すためと、漏れを発見しやすいためとしている。漏洩は続いているとみられるが、どこから漏れているかはわからないという。

原子炉建屋に流れ込む地下水は日に400トン。これが汚染水となってタンクに貯められて、タンクも日々増えているわけだ。水漏れが確認されたものと同型のタンクは現在350基あるが、いずれも鋼板をボルトで締めた構造(溶接ではない)。この締め合わせに使っているパッキンの劣化の可能性が高い。

世界中が「日本は何やってるんだ!」
司会の加藤浩次「耐用5年のはずが2年しか保たなかった」

キャスターのテリー伊藤「もう東電だけじゃ無理ですよ。規制庁を福島に移して、総力をあげてオールジャパンで取り組まないといけない。世界中が見守っていて、日本は何やってるんだと思われてますよ」

宮崎哲哉(評論家)「当初からそうすべきだったんです。東電任せでは無理だと、多くの専門家は指摘していた」

加藤「いまできるのは、新しいタンクに移し替えて、貯め続けることだけ」

テリー「地下水対策も含めて、50年、100年の話ですよ。世界中が見てる」

このニュース、新聞各紙は大きく伝えたものの、内容は「打つ手なし」とむしろあっさりしたものだった。こっちの方がこわい。

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 今月のはじめ、「法の番人」といわれる内閣法制局の長官に集団的自衛権の解釈見直し派を起用するという前例の無い人事を行った安倍総理。
 その時、前長官は、事前に最高裁判事に移した。
 その正式な就任の会見が昨日あった。
 
 最高裁判事としては、異例ながら、政治的な見解を表明。
   「集団的自衛権に関して、実現には憲法改正を」との旨。
   各紙の報道を記録しておく。
 
 ともかく、「そういう考えをしているから飛ばす」というのが安倍氏だろう。
 無論、自民党の中でも慎重論はある。
 (毎日新聞) 「山崎拓・元自民党副総裁は解釈改憲を否定する」
      「長官を代えて解釈を変える手法は、スポーツの試合で自分に有利なように審判を代えるようなもの」
      「憲法解釈を話し合うのに憲法の専門家が少ない、と憲法軽視を不安視するのが山崎氏」


 その安倍氏は、”独走風にならないように”、今年2月に政府の有識者会議として「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置した。
 その会議の主枝や構成メンバー、記録などについて、官邸のWebページを見た。

 第一次安倍内閣の同会議の復活であり、構成員も変わらないというう。

 会議の方向性について、福島民報(あぶくま抄・論説)が次のようにまとめている。
    (集団的自衛権行使を推奨しているで、記録するのは癪だけど、分かりやすい次の部分があるから・・・)

  安倍晋三首相が設置した政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は
   先ごろ、年内にまとめる報告書に集団的自衛権は合憲である-との内容を盛り込む。

   集団的自衛権は、自国と密接な関係がある国が攻撃された際に自国への攻撃と見なして実力で阻止する権利をいう。
   政府は「集団的自衛権を有していることは主権国家である以上、当然」とした上で「憲法九条で許容されている自衛権の行使はわが国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきと解され、
   集団的自衛権の行使はその範囲を超え、憲法上許されない」との立場を取ってきた。

   しかし、懇談会の座長代理を務める北岡伸一国際大学長は時事通信のインタビューに対し、
   行使について「『必要最小限の範囲』に含まれる」と述べ、憲法上の制約を撤廃する考えを表明した。

   さらに、国連が主導する集団安全保障への自衛隊の参加も憲法上可能-とする新たな解釈を提言する方向で検討していると明かした。
   実現すれば、国連安全保障理事会決議に基づく多国籍軍や国連軍への参加にも道を開く。


 なにか、多くの人の知らないうちに、着々とレールは敷かれる様子。

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 (関連エントリー)103年8月3日ブログ ⇒ ◆法制局長官 集団的自衛権の解釈見直し派 異例起用/「法の番人」にも安倍色

●首相官邸 公式Webページ
   ★  安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会
 


 我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、それにふさわしい対応を可能とするよう安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの問題意識の下、集団的自衛権の問題を含めた、憲法との関係の整理につき研究を行うため、内閣総理大臣の下に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を開催するものです。

□ 根拠・構成員 [PDF](平成25年2月7日)
□ 開催状況
■ 参考   ・平成19年8月30日以前の安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の開催状況等
--------------------------------------------------------------------------------
【連絡先】 内閣官房副長官補(外政・安危)付 〒100-8914 東京都千代

安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の開催について平成25年2月7日内閣総理大臣決裁
1.趣旨
我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、それにふさわしい対応を可能とするよう安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの問題意識の下、集団的自衛権の問題を含めた、憲法との関係の整理につき研究を行うため、内閣総理大臣の下に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催する。

2.構成
(1)懇談会は、別紙に掲げる有識者により構成し、内閣総理大臣が開催する。
(2)内閣総理大臣は、別紙に掲げる有識者の中から、懇談会の座長を依頼する。
(3)懇談会は、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。
(4)懇談会の事務は、内閣官房において処理する。

★構成員   ★構成員 
安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会 有識者
岩 間 陽 子 政策研究大学院大学教授
岡 崎 久 彦 特定非営利活動法人岡崎研究所所長・理事長
葛 西 敬 之 東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
北 岡 伸 一 国際大学学長・政策研究大学院大学教授
坂 元 一 哉 大阪大学大学院教授
佐 瀬 昌 盛 防衛大学校名誉教授
佐 藤 謙 公益財団法人世界平和研究所理事長(元防衛事務次官)
田 中 明 彦 独立行政法人国際協力機構理事長
中 西 寛 京都大学大学院教授
西 修 駒澤大学名誉教授
西 元 徹 也 公益社団法人隊友会会長(元統合幕僚会議議長)
村 瀬 信 也 上智大学教授
柳 井 俊 二 国際海洋法裁判所長(元外務事務次官)

開催状況   開催状況  
第1回 平成25年2月8日

議事次第 配布資料 議事要旨 ぶら下がり記録


●集団的自衛権:内閣法制局前長官「実現には憲法改正を」
               毎日新聞 2013年08月20日
 内閣法制局長官から20日付で最高裁判事に就任した山本庸幸氏(63)が同日、最高裁で記者会見し、憲法9条の解釈変更による集団的自衛権行使の容認について「私自身は従来の解釈を変えることは難しいと思う。実現には憲法改正が適切だ」と述べた。
 政治的課題に関連して、最高裁判事が見解を表明するのは異例だ。

 安倍晋三首相は山本氏の後任の長官に、集団的自衛権行使容認派の小松一郎・前駐仏大使を起用し、解釈変更に向けた環境整備を進めている。

しかし、「憲法の番人」とも呼ばれる最高裁の判事として、山本氏が解釈変更に慎重姿勢を示したことは、今後の政府や国会での議論に影響を与えそうだ。

 集団的自衛権は、自国が直接攻撃されなくても、自国と密接な関係にある国への武力攻撃を実力で阻止できる権利。政府はこれまで「国際法上保有しているが、憲法上行使は許されない」と解釈してきた。

 会見で山本氏は「過去半世紀くらい、その議論でずっと来た。従来の解釈を変えることは難しい。地球の裏側まで行くような集団的自衛権行使の実現には憲法を改正した方が適切だ」と述べた。

 一方で「国際情勢はますます緊迫し、日本を巡る安全保障環境も変化している。それを踏まえて内閣がある程度決断して、新しい内閣法制局長官が理論的助言を行うことは十分あり得る」とも言及した。

 山本氏は京都大法学部を卒業し、1973年に旧通産省に入省。内閣法制局の参事官や次長などを経て2011年12月に長官に就任した。先月19日付で最高裁判事を定年退官した竹内行夫氏(70)の後任。【和田武士】

●集団的自衛権「憲法改正しかない」 最高裁判事就任会見
             朝日 2013年8月20日
 【田村剛】前内閣法制局長官の山本庸幸(つねゆき)氏(63)が20日、最高裁判事への就任会見で、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について、「私自身は非常に難しいと思っている」と語った。憲法判断をつかさどる最高裁判事が、判決や決定以外で憲法に関わる政治的課題に言及するのは、極めて異例だ。

 山本氏は、解釈変更を目指す安倍内閣が、集団的自衛権の行使容認に前向きな内閣法制局長官を起用したため、最高裁判事に転じた経緯もあり、発言には自民党などの反発が予想される。ただ最高裁内部では、「個別の裁判に関して見解を示したわけではなく、発言に問題はない」と静観する見方が大勢だ。

 この日の会見で山本氏は、「我が国への武力攻撃に対し、他に手段がない限り、必要最小限度で反撃し、実力装備を持つことは許される。過去半世紀、ずっとその議論で来た」と自衛権をめぐる解釈の経緯を説明。「集団的自衛権は、他国が攻撃された時に、日本が攻撃されていないのに戦うことが正当化される権利で、従来の解釈では(行使は)難しい」と述べた。

●前法制長官、憲法解釈変更は困難 集団的自衛権で
         東京 2013年8月20日
 内閣法制局長官から最高裁判事に就任した山本庸幸氏(63)が20日、東京都千代田区の最高裁で記者会見し、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する考え方について「法規範そのものが変わっていない中、解釈の変更で対応するのは非常に難しい。実現するには憲法改正が適切だろう」と持論を述べた。

 就任は同日付。「法令の知識を生かし、誠心誠意、ひるむことなく判断していきたい」と抱負を述べた。

 安倍晋三首相は解釈変更に前向きな新長官を起用し、山本氏は今月8日に退任した。

 通産省生活産業局繊維製品課長、内閣法制次長などを経て2011年12月から内閣法制局長官を務めた。

●山本新判事、解釈変更「難しい」 集団的自衛権行使で
        日経 2013/8/20
 有内閣法制局長官から最高裁判事に就任した山本庸幸氏(63)が20日、最高裁で記者会見し、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することについて「私は難しいと考えている」と述べ、「実現には憲法改正が適切」との考えを示した。

 最高裁判事が裁判外の公式の場で個人の憲法解釈に言及するのは異例。

 会見で山本氏は「現行の憲法で約半世紀維持されてきた解釈を変えるのは、なかなか難しいと考えている」とし、「集団的自衛権を実現するには憲法改正をした方が適切だろうと思う」と話した。「法令の知識を生かし、誠心誠意、ひるむことなく判断していきたい」と抱負を述べた。

 政府は解釈変更に前向きとされる小松一郎氏を新長官に起用し、山本氏は今月8日に退任した。

●特集ワイド:集団的自衛権行使の容認 憲法解釈変更は「脱法行為」
              毎日新聞 2013年08月20日
 安倍晋三政権が「集団的自衛権」の行使に向けて憲法解釈を変えようとしている。内閣法制局長官の「首」のすげ替えなど異例の措置もいとわない。なりふり構わぬ手法のどこが問題なのか。改めて識者に聞いた。【小林祥晃】

 ◇法制局人事は独立性軽視
 「長官人事は法治主義への配慮に欠けている」。政権による“人事介入”を強く批判するのは、9条を巡る政府見解の歴史に詳しい浦田一郎明治大教授(憲法学)だ。

 内閣法制局は、政府提出の法案が憲法や他法令と整合性があるかを審査したり、憲法解釈の政府見解を示したりする「法の番人」。
その長官は憲法解釈担当の第1部長から次長を経て昇進するのが通例で、政権は人事に口出ししないのが暗黙の了解だった。ところが安倍首相は8日、長官を解釈見直し推進派とされる小松一郎前駐仏大使に交代させた。小松氏は外務省の条約課長、国際法局長などを歴任。政府は「国際的知識が必要な時代なので適材適所」と説明する。

 この人事の問題点について浦田教授は「法律が違憲か合憲かを事後チェックする裁判所は国会や内閣からの独立が原則。内閣法制局は内閣の一部門ではあるが、法案が憲法に反していないかどうかを事前チェックする役割を担っており、裁判所と同様に独立性を尊重すべきだ。今回はその原則を崩したことになる。また国内法と国際法は全く異なる。小松さんは内閣法制局が扱う国内法については専門外だ」と指摘する。

 集団的自衛権とは日本が直接攻撃されていなくても、密接に関係する国に対する武力攻撃を実力で阻止する権利。これまで内閣法制局は「国際法上保有はしているが、憲法9条で許される実力行使の範囲を超えるため、行使はできない」との見解を示し、海外での自衛隊の武力行使に歯止めをかけてきた。自衛隊を海外派遣した歴代政権は「非戦闘地域での活動」「後方支援」などの名目で正当化したが、いずれも法制局の解釈の枠内にとどまり、武器は使われなかった。これに対し安倍首相は、憲法解釈を変える「解釈改憲」によって「できない」とされてきた集団的自衛権の行使を可能にしようとしている。他国での武力行使に道が開かれれば、戦争放棄を貫いてきたこの国の形が変わる。「それを解釈変更でやってしまおうなんて卑しい脱法行為だ」と浦田教授。

 菅義偉官房長官は記者会見で「内閣法制局は内閣を補佐する機関。憲法解釈についてはあくまで内閣の責任で行う」と述べた。2000〜05年に開かれた衆参両院の憲法調査会では「解釈の変更は閣議決定できる」との見解が示されたこともある。

「『官僚より政治家が優位に立つべきだ』という価値観が背景にあるのだろうが、法に基づいて政治を行う『法治主義』の観点からすると、法は政治より優位性を持つ。集団的自衛権の解釈も何十年も論争を重ねて『できない』と確認したもの。閣議決定で済む話ではない。政治家がやりたくてもできないことをまとめた『足かせ』が憲法。政治家が何でもできるようになったら立憲主義でなくなる」と浦田教授はクギを刺す。

 ◇自分に有利な審判交代と同じ
 批判は身内からも上がる。「目指すところは安倍さんと同じ」という山崎拓・元自民党副総裁は解釈改憲を否定する。「長官を代えて解釈を変える手法は、スポーツの試合で自分に有利なように審判を代えるようなもの。集団的自衛権を行使したいのなら憲法改正手続きに沿って国民投票を行い、堂々と民意を問うべきだ。そうではなく、歴代政権の解釈が間違いというなら何が間違いだったのか、あるいは時代がどう変わったのかをきちんと説明する。本質的な議論なしに解釈改憲に向かえば国民は反発し、政権は揺らぐ。そうなれば憲法改正はできずに終わる」

 解釈改憲をバックアップするのが、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)だ。
政府は憲法解釈について「ここでの議論を踏まえて対応する」(8月13日の政府答弁書)。安保法制懇は07年に第1次安倍内閣が設置。翌年、解釈改憲で集団的自衛権行使を認めるよう報告書をまとめたが提出時、既に安倍首相は退陣。受け取った福田康夫首相は棚上げした経緯がある。この安保法制懇が今年2月、再招集された。年内にも改めて提言をまとめるが、メンバー13人は5年前と全く同じ。「憲法解釈を話し合うのに憲法の専門家が少ない」と憲法軽視を不安視するのが山崎氏。8人の学者のうち憲法学者は西修駒沢大名誉教授(比較憲法)だけ。他は国際政治や国際法の専門家だ。

 ◇安保法制懇では必要性ない議論

 より根本的な疑問がある。第1次安倍内閣時の安保法制懇は集団的自衛権を巡り、公海上で攻撃された米軍艦の防護のための反撃▽米国に向けた弾道ミサイルの迎撃−−の2類型について検討した結果、「集団的自衛権の憲法解釈変更が必要。政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正を必要とするものではない」とした。今回の安保法制懇では尖閣問題や北朝鮮のミサイル問題などを念頭に集団的自衛権についてはこの2類型にとらわれずに幅広く議論が進められている。

これに対し、防衛庁(当時)官房長などを歴任、04〜09年に内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)として自衛隊のイラク派遣を統括した柳沢協二氏は次のように語る。「近海で米艦が攻撃されれば日本有事で憲法が認める個別的自衛の範囲内であるし、米国に向かうミサイルは北極を通るため物理的に国内から迎撃できない。いずれも集団的自衛権を行使したいという抽象的な政治目標を達成したいだけではないか。必要性に基づかない議論をしているから手法に無理が生じる」

 前回の安保法制懇では集団的自衛権の対象国が米国限定だったのに対し、今回は米国以外に拡大される見通しだ。柳沢氏は「そこまでするニーズがあるのか。あるなら国民的合意の下での憲法改正を目指すべき話だ。自衛官の命の重みを考えて議論しているのか。それが最も気がかりだ」と批判する。

 なし崩し的手法はまだ隠れている。自民党が昨年以来、制定を公約している「国家安全保障基本法」には集団的自衛権の行使を明記している。安倍首相は政府提案する考えで、その時期は来年の通常国会以降とされる。浦田教授は「もし成立したら、法律が憲法解釈を変えることになってしまう。最高裁が違憲と判断しない限り、国権の最高機関である国会の議論を経たということで解釈が事実上確定してしまう」と警告する。

 憲法解釈がなし崩しに変更されたら、他国から攻撃されるより先に「法治国家」日本が崩壊する。

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 ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を t.yukan@mainichi.co.jp ファクス03・3212・0279


●あぶくま抄・論説
                  福島民報
【集団的自衛権行使】憲法解釈変更に関心を(8月19日)
 「憲法上は許されない」とされてきた日本の集団的自衛権の行使が、従来の「違憲」とする解釈から方向を180度転換し、「合憲」とされる方向に加速している。戦後、貫いてきた日本の防衛の在り方が大きく様変わりする可能性がある。解釈の変更は法律の改正を必要とせず、閣議決定などの手続きで済む。国民は強い関心を持って注視すべきだ。

 安倍晋三首相が設置した政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は先ごろ、年内にまとめる報告書に集団的自衛権は合憲である-との内容を盛り込む。政府も13日の持ち回り閣議で、憲法解釈について「有識者懇談会での議論を踏まえて対応をあらためて検討したい」との答弁書を決定し、解釈見直しを示唆した。

 集団的自衛権は、自国と密接な関係がある国が攻撃された際に自国への攻撃と見なして実力で阻止する権利をいう。政府は「集団的自衛権を有していることは主権国家である以上、当然」とした上で「憲法九条で許容されている自衛権の行使はわが国を防衛するため必要最小限の範囲にとどまるべきと解され、集団的自衛権の行使はその範囲を超え、憲法上許されない」との立場を取ってきた。

 しかし、懇談会の座長代理を務める北岡伸一国際大学長は時事通信のインタビューに対し、行使について「『必要最小限の範囲』に含まれる」と述べ、憲法上の制約を撤廃する考えを表明した。さらに、国連が主導する集団安全保障への自衛隊の参加も憲法上可能-とする新たな解釈を提言する方向で検討していると明かした。実現すれば、国連安全保障理事会決議に基づく多国籍軍や国連軍への参加にも道を開く。


 安倍首相は解釈問題を決着させて日米同盟の強化につなげ、中国の海洋進出や北朝鮮の核武装・ミサイルへの抑止力を高めることを狙う。
 しかし、領土や歴史問題で関係が冷え込んだ中国や韓国などの反発は確実だ。連立政権を組む公明党内にも慎重論は根強い。本社加盟の日本世論調査会が6月に実施した調査でも、解釈の変更に賛成する意見は23・7%にとどまっている。
 防衛政策の根幹を見直す改革である。政府は論議を盛り上げるべきだ。閣議決定による解釈変更にこだわる必要もない。難しい作業ではあるが、国民の理解を得るため、憲法改正を目指す道もあるのではないか。いずれにしても、後世に禍根を残さない選択を望む。(酒井 俊一郎)


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 松江市の学校図書館で『はだしのゲン』が排除された事件。
 抗議や批判が殺到しているらしいが、教育委員会はすぐには応じない雰囲気。

 この事案からすれば、素直に撤回した方が話は早く、傷は浅いのに。
 その後、いくつもの報道がされ、意見も出されている。そのうちの幾つかを記録。

 読み応えがあったのは次。
 背景や経過もとらえていて、示唆的。
   東洋経済オンラインの「『はだしのゲン』貸出禁止にモノ申す! 言論の自由が、ヘイトスピーチに屈する社会」 (ムーギー・キム)

 例えば次の旨の指摘。
  ○ 教科書が染まりゆく、安倍カラー
  ○ 歴史教科書が安倍政権の政策で次々と“静かな環境下”で書き換えられている。
    近代史の記述を“安倍カラー”に変えるための人員選定がなされている。
  ○ 忘れ去りたい歴史や都合の悪い史実を子供たちに見せたくないという、現在の社会的風潮が背後にあるより本質的な問題点なのだ。
  ○ 「はだしのゲン」の貴重な記憶が、教科書での歴史の暗部の記述とともに集団的忘却の憂き目にあっている。
  ○ 問題の本質は、実は一部の極端な暴力的言動をする人たちや政治圧力に、言論の自由や教育の機会がどんどん奪われていく日本社会の現状そのものにある。
    実際今の日本社会で、思っていることを口にするのが怖いと思っている人はかなり多いのではないか。
  ○ メディア企業に携わる人々には、言論統制圧力に負けないよう、現状に怒りと危機感をもって使命を果たしてほしい。


 圧力の風が強いほど、自らしっかりしたい。

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  (関連)2013年8月17日ブログ ⇒ ◆信じられない話/はだしのゲン「閉架」に 松江市教委が「表現に疑問」と小中に閲覧制限要請

●社説:はだしのゲン 戦争知る貴重な作品だ
      毎日新聞 2013年08月20日
 原爆や戦争を教育現場で学び、その悲惨さを知る機会を子供たちから奪うことになるのではないか。

 自らの被爆体験を基に描いた故中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」が松江市内の小中学校の図書室で自由に閲覧できなくなったことだ。

 市教委は昨年12月、過激な描写があるとして、書庫に収める閉架措置を取るよう校長会で求めた。旧日本軍のアジアでの行動などで暴力的な場面があり、子供が自由に読むのは不適切と判断したという。
全10巻を保有する39校全てが応じた。


 この措置が先週明らかになると、市教委に全国から抗議や苦情が多数寄せられた。現場の教員からも、子供の知る権利の侵害だという批判が相次いでいる。

 戦争の恐ろしさを知り、平和の尊さを学ぶことは教育の中でも非常に重要な要素だ。平和教育を推進すべき教育委員会がそれを閉ざす対応をとったことには問題があり、撤回すべきだ。また、今回の措置は教育委員が出席する会議には報告していないというが、学校現場の校長らも含めてしっかり議論すべきだろう。

 市教委がこのような判断をしたきっかけは、松江市議会に昨年8月、1人の市民から「誤った歴史認識を子供に植え付ける」と学校の図書室から撤去を求める陳情があったことだ。市議会は、過激な部分がある一方で、平和教育の参考書になっているとの意見があり、陳情を不採択にした。だが、独自に検討した市教委は「旧日本軍がアジアの人々の首を切るなど過激なシーンがある」として小中学生が自由に持ち出して読むのは適切ではないと判断した。

 1973年から少年漫画誌で連載された「はだしのゲン」は、戦争が人間性を奪う恐ろしさを描いた貴重な作品として高い評価を得てきた。約20カ国語に翻訳され、原爆被害の実相を広く世界に伝えている。松江市教委も、作品が平和教育の重要な教材であること自体は認め、教員の指導で授業に使うことに問題はないと説明している。

 作品に残酷な描写があるのは、戦争や原爆そのものが残酷であり、それを表現しているからだ。行き過ぎた規制は表現の自由を侵す恐れがあるだけでなく、子供たちが考える機会を奪うことにもなる。今回のような規制が前例となってはならない。

 中沢さんは生前、「戦争や原爆というテーマは奥が深い。ゲンを入り口にいろいろと読んで成長してくれれば作者冥利に尽きる」と話している。被爆者が高齢化する一方、戦争を知らない世代が増え、戦争や原爆被害の体験を語り継ぐことがますます重要な時代を迎えている。こうした継承を封じてはならない。

●社説:はだしのゲン―閲覧制限はすぐ撤回を
             朝日新聞 2013年08月20日
 広島での被爆を主題にした漫画「はだしのゲン」を、松江市教委が小・中学校の図書館で自由に読めなくするよう指示していたことがわかり、全国から批判が相次いでいる。

作品の終盤には、旧日本軍がアジアの人々の首を切断するなどの描写がある。
 市教委は昨年12月、「過激な表現だ」として、学校の許可なしで見られなくするよう校長会に求めた。貸し出しも認めないという。

 「ゲン」は昨年12月に死去した漫画家の中沢啓治(なかざわけいじ)さんの作品だ。実体験した原爆の惨状と戦後の苦難に加え、資料などで知った戦場の様子を強烈なタッチで描いて反響を呼んだ。

 学校図書館で読める数少ない漫画として「ゲン」を手に取り、初めて原爆に関心を持った子どもも少なくない。

 市教委の指示は、子どもたちのそうした出会いを奪いかねないものだ。しかも重要な決定の場合、公開の教育委員会議にかけるべきだが、今回は事務局の判断で決まっており、不透明というしかない。市教委はただちに指示を撤回すべきだ。

 きっかけは、ある男性から昨年8月に市議会に出された陳情書だった。「ありもしない日本軍の蛮行が掲載され、子どもたちに悪影響を及ぼす」とし、学校からの撤去を求めていた。

 陳情は不採択となったが、一部市議から「不良図書」ととらえ、市教委が適切な処置をすべきだとの意見があり、閲覧制限の指示につながった。

 「ゲン」には連載当時から「残酷」という声が寄せられ、中沢さんも描き方に悩んだと述懐している。旧軍の行為や昭和天皇の戦争責任を厳しく糾弾している点から、「偏向している」「反日漫画だ」といった批判も保守層の間で根強い。

 それでも、「ゲン」が高い評価を得たのは、自身が目の当たりにした戦争の残酷さを力いっぱい描くことで、「二度と戦争を起こしてはならない」と伝えようとした中沢さんの思いに子どもたちが共感したからだ。

 漫画を否定しがちだった先生たちが、限られた図書館予算の中から「ゲン」を積極的に受け入れたのも、作品のメッセージ力が強かったからこそだ。

 旧日本軍の行為や天皇の戦争責任をめぐっては今もさまざまな見方があり、「ゲン」に投影された中沢さんの歴史観にも議論はありえるだろう。

 それこそ、「ゲン」を題材に、子どもと大人が意見を交わし、一緒に考えていけばいい。最初から目をそらす必要はどこにもない。

●はだしのゲン:松江市教委の閲覧制限要請 怒りや疑問の声 /広島
            毎日新聞 2013年08月17日 
 原爆被害を伝える貴重な作品として、教育現場でも広く活用されてきた漫画「はだしのゲン」について、松江市教委が「描写が過激」だとして、市内の小中学校に対し、児童や生徒へ自由に閲覧させないよう閉架措置を取るよう求めていたことが16日判明し、広島の関係者からは怒りや戸惑いの声が挙がった。

 「ゲン」は昨年12月に73歳で亡くなった中沢啓治さんが、被爆した自らの体験を基に描いた漫画。中沢さんの妻ミサヨさん(70)は「信じられない。残虐な描写があるとのことだが、現実はこんなものではなく、主人は文献などを調べながら、どうやれば子どもたちに伝わるか考え、漫画を通して伝えてきた」と話し、「(ゲンの連載が始まってから)40年続けて訴えてきたことは何だったのか。夫は怒っているだろう」と疑問を投げかけた。

 中区の原爆資料館で開催中の「はだしのゲン」原画展を訪れていた人たちからも疑問の声が相次いだ。

 小学5、6年の娘2人と来た神奈川県鎌倉市の姜麗子さん(36)は、子供の頃からゲンを読み、中学校の文化祭ではゲンを題材に演劇をしたという。「大人になっても子供に伝えたいと思って来た。原爆の恐ろしさを伝えるのにいい作品。(閉架措置は)もったいない」と話した。

 小学校の図書館にあったゲンを夢中で読んだという滋賀県草津市の会社員、祖父江亮太さん(27)は「昔はただ怖いと思っていたが、今は戦争の原因などを考えることができるようになった。漫画だけど、事実が正確に描いてあり、リアルに当時を感じることができた」。友人の男性(27)も「漫画だから小学生も読みやすい。小学校の時に読んでいなければ今回、来ようと思わなかったかもしれない」と話した。

 会場に置かれたノートには「はだしのゲンは戦後や平成生まれの人に原爆の恐ろしさを教える貴重なしりょうでもあると思う」(12歳)「小学校の頃とはまた違う気持ちで見ることができました。子供にも読ませます」といった感想が残されていた。【植田憲尚、加藤小夜】

●はだしのゲン:閲覧制限 前教育長、教育委員に諮らず決定 
      毎日新聞 2013年08月20日 
 松江市教委が故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を全小中学校に求めている問題で、当時の福島律子教育長が自身を含めた教育委員(5人)の会議に諮ることなく判断したことが19日、分かった。同市教委は22日の定例会議で委員に説明するが、委員から「少なくとも(委員に)報告するべきだった」との声があがっている。同市教委には19日夕までに1253件の意見がメールや電話などで寄せられ、9割が批判する内容だったという。

 古川康徳・副教育長によると、昨年8月に学校図書室からゲンの撤去を求める陳情が同市議会に提出され、当時の前教育長と副教育長2人、同市教委の課長2人の計5人で対応を協議。旧日本軍がアジアの人々の首を切ったり、女性に乱暴するシーンなどを問題視し、12月の校長会で教師の許可なく閲覧できない閉架にするよう口頭で求めた。教育委員に説明しなかったという。

 ある委員は「教育委員に報告するなり、会議にかけて決定する話だと思う」。別の委員も「これだけ全国的にも話題になっている。もう1回話し合う必要がある」と批判した。

 福島・前教育長は取材に「全教育委員に諮らなければならない事例とは思わなかった。反省している。私も全巻を読んで性描写のショックが大きく、簡単に子供が閲覧できる状況にしてほしくなかった。作品を否定するつもりはなく、見せ方を工夫してほしいというつもりだった」との見解を示した。

 一方、同市教委には19日夕までに全国からメールで979件、電話で205件などの意見が寄せられた。
9割は苦情や抗議といい、子供の知る権利や表現の自由などを求める声が多かったという。【曽根田和久、金志尚】

●はだしのゲン:鳥取市立中央図書館でも事務室に別置き
         毎日新聞 2013年08月19日
 漫画「はだしのゲン」を松江市の全小中学校が閉架措置とした問題で、鳥取市立中央図書館も2年前からゲンを事務室に移し、自由に手に取れない状態にしていたことが19日、分かった。

 同図書館によると、ゲンは児童書コーナーに置かれていたが、2011年夏にゲンを読んだ小学校低学年の児童の保護者から「強姦(ごうかん)などの性的描写などがあり、小さな子が目にする場所に置くのはどうなのか」とクレームがあった。貸し出しカウンター裏の事務室内に別置きする措置を取り、そのまま放置されていたという。希望があれば、閲覧や貸し出しには応じていた。

 同図書館は、29日に今後の取り扱いを協議する。西尾肇館長は「協議を怠り、反省している。市民の知る権利を守るのが図書館の役目なので、一般書コーナーに移動させるなどしたい」と話している。【川瀬慎一朗】

 ●「はだしのゲン」貸出禁止にモノ申す! 言論の自由が、ヘイトスピーチに屈する社会
             2013年08月18日 東洋経済オンライン ムーギー・キム :プライベートエクイティ投資家
 なに、ついに「はだしのゲン」が禁止される時代が来たか・・・。

松江市教育委員会がなんと、市内にある市立の全小中学校に対し、あの伝説の名著「はだしのゲン」を小学生に対して自由に閲覧できない閉架の措置をとるよう要請したことが注目を集めている。

これは「教育委員会、何やっとるねん!」ですむ問題ではなく、その背景に根深い現代社会の“言論の不自由”という問題点がある。そこで本日も香港の高層ビルの一室から、せっかくの日曜日で香港ディズニーに行くはずだったのに、地球の平和を守るため急旋回して出撃しよう。

「はだしのゲン」貸出禁止の背景にあるもの
 皆様ご存じのとおり、「はだしのゲン」は実際に原子爆弾を被爆した作者によって書かれたもので戦争の真実を映し出しており、当時を知るための資料としても価値が高い。実際に戦争や原爆の悲惨さを伝える一級資料として、日本のみならず世界20か国で翻訳されて読まれ映画化もされてきた。そこには戦争で焼け野原になり、罪のない一般市民が殺されるという被害者としての側面と、戦争の加害者としての両面が鮮明かつ本質的に描き出されている。

したがって戦争の実態を捻じ曲げて教えたい歴史修正主義の人々に対しては目の上のタンコブとうことで、“はだしのゲン”は歴史を書き換えようとする勢力にとって、極めて都合の悪い歴史の証拠でもあった。

教育委員会側は“表現が過激だ”としているが、何十年の間、何千万の人に読まれた 「はだしのゲン」で、PTSDになった人でもいるのだろうか。

戦後70年の月日を経て、戦争と歴史の記憶にどう抗うかを考えるときに、教科書からもメディアからも歴史の実態を消そうという動きがある中で、メディアや報道機関があまりに無力なのが残念だ。

教科書が染まりゆく、安倍カラー
ちなみに一般の方々は関心もなく、全然ご存じない話だと思うのだが、歴史教科書が安倍政権の政策で次々と“静かな環境下”で書き換えられている。“教科書検定特別委員会”の結論などというと中立的な印象があるものの、実際には、近代史の記述を“安倍カラー”に変えるための人員選定がなされている。

表向きは“村山談話を踏襲する”と海外向けには話し、外から見えにくい内政では着実に歴史の書き換えを進めるという、安倍政権おなじみの(そして実に上手く行っている)やり方である。

教育界の政治思想からの独立は日本ではもはや破たんしているわけだが、この危険性は時間がかかりかつ大人は学校に通わずわからないので、教育への政治介入は今後も簡単に見過ごされていくのだろう。

「はだしのゲン」にモノ申している市民団体とは…
松江市教育委員会には市民団体から“はだしのゲン”が歴史歪曲・ねつ造が多いとの陳情があったとのことだが、その“市民団体”とは “チーム関西”と呼ばれるいわゆるヘイトスピーチ”で知られるザイトク会に似たような団体の数人であり、その脅しのような模様がこちらに掲載されている。

こうした活動が、松江市教育委員による“はだしのゲン貸出禁止”の直接的原因だとは言わないが、可能性として、今後もこのような大人たちによって、子供たちから「はだしのゲン」が奪われるかもしれないと思うと、嘆かわしい。

「はだしのゲン」の貸出禁止は、終戦式典で首相が20年来で初めてアジアにもたらした苦痛と被害に対する言及および、戦後ずっと受け継がれてきた“不戦の誓い”という一文を削除したのと同根である。

忘れ去りたい歴史や都合の悪い史実を子供たちに見せたくないという、現在の社会的風潮が“はだしのゲン貸出禁止”の背後にあるより本質的な問題点なのだ。

“アベ”コベな現状
今までも右派政治グループによる歴史教科書会社に対する圧力や、NHKの戦争犯罪特集に関する番組への圧力があったが、今は言論の自由への圧力が「はだしのゲン」にまで及ぶようになってしまった。

「はだしのゲン」の表現を「過激で不適切」と圧力をかけてきた団体が、白昼堂々と道端でヘイトスピーチを行う一方で、「チャンコロ(中国人への蔑称)を殺せ!」「ゴキブリ朝鮮人を皆殺しにしろ!」と叫ぶ野蛮な言葉の暴力は“言論の自由”として容認されている。

これらの不幸は、ほかの多くの国々と同様(ヨーロッパではドイツだけでなく、ほとんどの国で他民族への憎悪を煽る言動が法律で禁止されている)“他民族への憎悪を煽る言動は表現の自由の範疇ではない”と当然の法的判断をすることで解決できるはずの問題だが、それがなされないところに、政治的意図を感じる。

ゲンの記憶が、大人たちに消されていく
最近サザンオールスターズの歌でもあったが、近代史はまともに教えられずあっという間に表層をなぞって終わる、という状況が戦後70年近く続いてきた。無機的で乾燥したあの年号と歴史人物の名前の暗記だらけの無意味な教科書で、戦争のむごさや不戦への想いを育んだ人はいないだろう。

しかし「はだしのゲン」を通じて、筆者の中沢氏が伝えたかった戦争の悲惨さや原爆への怒りを、幼心の胸の痛みを通じて痛感した人も多いのではないか。戦争の教訓には、残虐行為への怒り、悲しみ、償いといった痛切な感情の共有が必要であり、心の動かない頭に入れるだけの単語や年号は何の教育にもなっていない。

むしろ中沢氏が戦争の実態を描いた「はだしのゲン」を歴史教科書に採用したほうが“戦争の悲惨さを知り、戦争を繰り返さない”という最も大切な教訓を伝える上でよっぽど効果的だろう。

しかし、この「はだしのゲン」の貴重な記憶が、教科書での歴史の暗部の記述とともに集団的忘却の憂き目にあっている。

言論の自由が、ヘイトスピーチに屈する社会
今回の「はだしのゲン」小中校貸出禁止にまつわる問題の本質は、実は一部の極端な暴力的言動をする人たちや政治圧力に、言論の自由や教育の機会がどんどん奪われていく日本社会の現状そのものにある。
実際今の日本社会で、思っていることを口にするのが怖いと思っている人はかなり多いのではないか。


何かを言えばすぐに過激な罵詈雑言を浴びせられ(ちなみに「はだしのゲン」は“反日漫画”としてこの”右派市民団体“に攻撃されていた)、それが野放しになり法律や政治・社会が守ってくれないので、メディア企業も炎上を恐れて過激な言葉の暴力による威嚇行為に簡単に屈するようになっている。そして結果的に、皆が匿名に逃げるか、意見を表明しないことでどんどん下劣な暴力に屈する社会に転落していっている。

メディア企業に携わる人々には、メディア業界に入った時に志したであろう“正しい情報を伝え、正しい世論を形成する”“民主主義のインフラ・番人としての役割を果たす”といった使命感を思い起こしてほしい。また社会の同調圧力や政治家の言論統制圧力に負けないよう、現状に怒りと危機感をもって使命を果たしてほしい。

私たちひとりひとりに出来ること
これらの暴力的圧力から言論の自由が守られるよう、法的整備に向けた世論喚起が急務であるが、政治家が自分たちの手足を縛るようなことを自らするわけもなく、かといって今のジャーナリストやメディアに政治圧力に抗う世論喚起などできそうにない。

結局のところ、政治や学校に歴史教育を任せず、市民一人ひとりが自主的に“政治や学校、社会的風潮が押し付ける歴史”以外の史実を自主的に学び、仮に図書館から「はだしのゲン」が消える日が来ても、子供に史実を教える責任を痛感せよ、というのが今回の現実的なメッセージだろうか。

今後も苦境と戦争の惨禍にめげず未来を切り開いたゲンから、子供たちが学び続けられることを願ってやまない。

プロフィール / ムーギー・キムムーギー キム
プライベートエクイティ投資家
1977年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。欧州系投資銀行、米系戦略コンサルティングファーム、米系資産運用会社の東京支店にて勤務した後、香港・シンガポールに移住し、アジア・太平洋地域でのプライベートエクイティ投資業務を担当。英語・日本語・韓国語・中国語を操る。現在は欧州に拠点を移し、フランス在住。ムーギー・キムという名前は本名。ムーギー・キム氏へのご相談・取材・執筆・講演依頼はこちら


●「ゲン」自由閲覧求めネット署名 1万人、松江市教委に提出へ
            2013年08月19日 河北新報
 松江市教育委員会が市立小中学校に「はだしのゲン」の閲覧制限を求めたことに対し、「自由に読めるように戻してほしい」と求める電子署名活動がインターネット上で始まり、19日夜までに約1万人分の署名が集まった。

 活動は署名サイト「change・org」で行われ、堺市北区の学童保育指導員樋口徹さん(55)が16日から署名を呼び掛けている。樋口さんは9月にも、集まった署名を松江市教委に提出する予定。
 樋口さんは、学童保育の平和教育にはだしのゲンを活用しており「6~9歳の子供も、作者の反戦のメッセージを受け止めている。残虐なシーンはあるが、子供はあまり問題視していない」と話している。 

●有識者「ゲンの撤去不適切」
             2013.8.19 中国新聞
 松江市教委が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に要請していた問題で、市教委が「ゲン」の学校図書館からの撤去を事前に有識者と相談し、「図書館の自由に基づけば不適切」と指摘されていたことが18日、分かった。市教委は「当初から撤去しない方針で、その論拠を補強するためだった」としている。

 市教委によると、担当者が昨年11月12日、図書館学を専門とする島根県内の短大講師と面会。日本図書館協会が図書館運営の基本を定めた「図書館の自由宣言」で、図書館に資料の収集、提供の自由が保障されている趣旨から「撤去は不適切」とされたという。

 また同10月には図書館を持つ市内の49小中学校に「ゲン」の保有状況と描写への意見を聞くアンケートを発送。同月末までに描写への賛否が寄せられたという。

 市教委は「ゲン」の撤去を求めた市民の陳情が市議会で不採択となった同12月以降も対応を協議した。
理由を古川康徳副教育長は「歴史認識を問題とした陳情とは別の議論。陳情を機に確認した『ゲン』の過激な描写を問題視した」とする。
専門家の指摘と協議の結果、「閲覧や貸し出しの全面禁止でなければ、図書館の自由を侵さない」と独自に判断し、閲覧制限を要請したという。

 日本図書館協会の会員である岡山県立図書館(岡山市北区)の岡長平副館長は「図書の閲覧制限は各図書館の責任で決めるのが大原則」とする。
さらに「過去に行政から制限を求められた例は記憶にない」という。


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 我が家では長期の継続契約が何件かある。
 その一つの業者が6月の中旬ごろ、「来年から消費税が8%になるので、契約変更の契約をしたい。
 たくさんのお客さんなので間に合わないから、今説明して、8月ごろには契約したい。」 という。

 私は、「まだ選挙前で、争点にされている案件。いずれにしても最終決定してからしか再契約はしない」 と改めての訪問を求めた。

 それでも、 「皆さん、了解してくれますが・・・。一遍には大変なので、早めに準備したいのです。」 という。
 私は、「決定してもいないのに、決定したかのごとく再契約はしない。」 とお帰り願った。

 で、その消費税。自民党の議員は8%を多数が言っているらしい。
 ところが、ここにきて、安倍総理は慎重論に傾いているらしい。
 政治的な観点から。

 ということで、状況を見てみた。
 ブログの後半には、読み応えのある次の二つの意見を記録しておく。

 ★ 「消費増税は中間層を貧困にする愚策」と気鋭の女性経済学者」 岩本沙弓/週刊ポスト
 ★ 「日本経済の幻想と真実消費税の増税で税収は減るのかデータで見る日本財政の4つの神話」 池田 信夫/JBpress(日本ビジネスプレス)

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●消費増税 お金の流れは 社会保障限定 監視を
          東京 2013年8月17日
 二〇一四年四月に消費税率を現在の5%から8%に引き上げるかどうか、論議が活発化している。増税法では税収を社会保障に充てることが明記されているが、別の目的に使われる懸念は消えない。そもそも税収はどのように管理され、どう使われるのか。税の流れを整理した。 (石川智規)

 Q 税金はどう管理されるの。

 A 税金は、国民生活に必要な社会保障や教育、防衛などあらゆる公的サービスの財源として国民から集められる。徴収は主に税務署や各自治体の税務事務所が担う。税金や国債販売などで得た現金は、日銀が「国庫金」として管理すると会計法で定めている。

 Q 予算や税制を決める財務省ではないんだね。

 A そう。日銀が国庫金を「政府預金」として、受け入れと支払いの事務作業を担う。日銀が「政府の銀行」と呼ばれるゆえんだ。

 次に税金の流れを見てみよう。法人税や所得税、消費税などは国庫に入れば同じ「税収」となる。税金の種類は異なるが、お金に色はないからだ。そして国庫を出る際は、国の一般会計に入る。特定の目的で集めた税金は特別会計に入る。

 Q 消費税の使い道は社会保障費に限られると聞いたけど。

 A そう。一四年度以降は年金と医療、介護に加え、少子化対策を加えた「社会保障四経費」に充てることが、増税を裏付ける消費税増税関連法の中で明記された。今でも、予算執行の基本的なルールなどを記した毎年度の予算総則で、基礎年金と老人医療、介護の「高齢者三経費」に充てるとしている。今回の増税を国民に納得してもらうため、法律に明記することで使い道を限定することを強調したんだ。

 Q 本当に社会保障に限定されるのかな。

 A 復興増税を被災地以外の事業に流用した問題を見れば、懸念はもっともだ。それに増税法の付則で、増税で財政に余裕が出れば公共事業費を増やす余地を残した。税収として国庫に入った後、使い道を定める毎年度の予算を厳しくチェックすることが、極めて重要になるね。

●消費税、来年8%実行を 自民党税調会長・野田毅氏に聞く /設備投資、税や規制で促進
          2013/7/30付 情報元 日本経済新聞 
自民党の野田毅税制調査会長は29日、日本経済新聞のインタビューで、消費税率(現行5%)の引き上げについて消費増税法で定めた通り2014年4月に8%、15年10月に10%へ2段階で実行すべきだとの認識を示した。増税に伴う景気対策として企業に省エネルギーや耐震強化の投資を促す税制措置や規制強化策を導入する方針を表明。法人税の実効税率引き下げには慎重姿勢をみせた。

 野田氏は消費税率の引き上げに関し「消…

●来年度の経済は実質1%成長に減速 消費税増税なら
       産経 2013.7.30
 政府が平成26年度の経済成長見通しに関して、消費税を増税した場合、物価変動を除いた実質国内総生産(GDP)成長率を1%程度とする方針であることが30日分かった。13年度の実質成長率は2・8%程度と見込むが、14年度は増税による個人消費の落ち込みや緊急経済対策の効果が薄まることから成長が減速するとみている。

 政府は成長見通しを8月上旬の経済財政諮問会議で示す。消費税率は14年4月に8%に引き上げるとの前提で試算した。

 13年度の実質成長率はことし1月時点で2・5%と見込んでいたが、金融緩和などによる景気押し上げ効果で予測を引き上げる方向となった。

 消費税増税をめぐり、安倍晋三首相は、足元の経済指標や増税が景気に与える影響などを見極めて、税率を引き上げるかどうかを今秋にも最終判断する。

●本田内閣官房参与:年1%ずつ上げを、消費増税-景気「かなりぜい弱」
            bloomberg 2013/08/18
  8月18日(ブルームバーグ):安倍晋三首相のアドバイザーである本田悦朗内閣官房参与は18日、来年4月から予定されている消費税率の3%引き上げについて「懐疑的」とし、1年に1%ずつ5年間かけて5%引き上げるべきだとの考えをあらためて主張した。

本田氏はNHK番組の「日曜討論」で、4-6月期の実質国内総生産 (GDP)速報値の前期比年率2.6%増について「まずまずの数字だ」と評価した。同時に、アベノミクス効果で景気は回復過程にあるが「かなりぜい弱」との見方を示した。

その上で「デフレから脱却しつつあるその瞬間に消費税を増税するのはいかにもタイミングが悪い」として「できれば1年間待ってほしいが、何もしないで先延ばしをすれば財政健全化に疑念を生じる恐れがある」として税率の引き上げ幅の縮小に必要性を訴えた。

さらに「消費増税が消費に与える影響は大きい。名目GDPが増えれば税収も増加する。まずデフレ脱却を優先すべきだ」と強調。安倍首相は今秋に行う消費増税の最終判断について「経済指標などをもとに最善の選択をする」と語った。

消費増税法では、来年4月から3%、15年10月から2%と2段階で、消費税率を5%に引き上げる方針が明記されている。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 下土井京子

●本田内閣官房参与「景気は強くない」 消費税1%刻み、重ねて主張
                 産経 2013.8.18
 内閣官房参与の本田悦朗静岡県立大教授は18日、NHK番組で、景気の現状に関し「見掛けほど足腰は強くない」と指摘し、消費税率引き上げは景気への影響を抑えるため、5年間にわたり毎年1%ずつ実施するべきだとあらためて主張した。

 本田氏は「増税が消費に与える影響は大きい」と強調。来年4月に予定通り3%増税するのは上げ幅が大きすぎ、消費の急激な落ち込みにつながるとの懸念を示した。

 本田氏は景気の現状を「回復過程にあるが、駆け込み需要も起きている」と分析。1%ずつ増税する効果は、駆け込み需要やその反動減の動きを「平準化できる」とし、景気の急減速を回避できるとの見方を述べた。

 増税の先送りに対しては「財政健全化に疑念を生じる恐れがある」と、慎重な姿勢を示した。

●.消費税有識者会議の狙いとは? 懸念は“例のない”社会保障専門家
            zakzak 2013.08.16.
 消費税増税について、現政権は昨年12月の衆院選、今回の参院選でも、直接国民に信を問うていないが、前の民主党野田政権が提出した消費税増税法は、1年前の8月10日に成立している。
その法律の中に書かれている条項を根拠として、安倍晋三首相は秋までに最終判断をすることになっている。

 安倍首相は8日、消費税率引き上げの判断にあたり、有識者から広く意見聴取を行うよう関係閣僚に指示した。消費税率引き上げに関する有識者会議は、甘利明経済再生担当相ら関係閣僚の他、民間のエコノミストや社会保障の専門家ら約50人を集め、8月下旬から開催する予定という。

 安倍首相の指示を受けて、甘利担当相は、「判断材料の1つとして(議論を)とりまとめたい」と述べ、有識者会議の狙いとして「有識者、各業界を代表する方々が忌憚(きたん)なく議論し、国債の信認、財政の持続性など日本が抱えている課題についてベストな道を探る」こととした。

 ところで、どうして有識者会議を作るのだろうか。政府には、浜田宏一・エール大教授らの内閣参与が既にいる。彼らは経済政策の専門家として首相が判断するときにアドバイスをするのが仕事だ。彼らはアベノミクスを推進する立場から、消費税10+ 件増税に消極的な立場である。よもや、政府がそうしたアドバイスをひっくり返すために、有識者会議を新たに設けたとは信じがたい。消費税増税問題の判断は、その影響が広範に及ぶために念には念を入れていると思う。

 もっとも、社会保障の専門家といっても、これまで政府が重用してきた人は、先進国では例がなく、理論的な根拠すらない消費税の社会保障目的税化を推進するなど、ちょっと怪しい専門家だ。社会保障は所得再分配を行うので、原資は保険料と所得税というのが原則。

 また、資産・所得の捕捉に不公平があると所得再分配では致命的になるため、国民番号制や歳入庁が不可欠であるが、政府が呼ぼうとする専門家は歳入庁には何の関心も示していないので、まったく不安がないといえばウソになる。

 政府がこのような有識者会議を作る際には、既に結論が見えていることも少なくない。本当にガチンコであれば、賛成、反対について世論を代表するような比率で有識者を選ぶだろう。さらに、例えば動画で議論やそのプロセスを公開して行うだろう。ある団体の見解を一方的に読み上げるのではなく、中立的なコメンテーターを交えて議論を行うだろう。逆にいえば、どのような有識者を呼ぶか、どのような方法で議論するかで、有識者会議の結論が見えてくる。

 本来であれば、消費税10+ 件増税は総選挙のテーマとして国民の信を問わなければいけないテーマである。その代わりに有識者会議を設けて議論するというのだから、世論を代表する形で禍根を残さないようにしっかりと透明性の高い議論が必要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

●消費税引き上げ論が多数 自民政調全体会議 安倍政権の圧力に
       産経 2013.8.5
 自民党は5日、党本部で政調全体会議を開き、政府の中期財政計画骨子案や平成26年度予算の概算要求の基本方針をめぐる議論を開始した。この日の焦点だった消費税増税は、社会保障の財源を確保するためにも予定通り来年4月から8%へ引き上げるべきだとの声が多数を占め、実施の見送り論が浮上する安倍晋三政権には大きな圧力となりそうだ。

 安倍首相は今年4~6月の景気指標を踏まえて秋に消費増税の是非を判断するとしている。これに対し、保岡興治元法相は「(政権内に)いろんな議論が出ていることを心配する。絶対にブレないことが大前提であり、結論を延ばすべきではない」と発言、数人の議員が拍手で応じた。

 若手議員を中心に「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化を達成しなければならない。税収を見て歳出を決めるやり方で財政健全化が進むのか」と、財政再建の重要性を説く意見も相次いだ。

 議論では「景気回復を見定めてから引き上げを判断しないと、デフレ脱却の道筋が腰折れになる」(穴見陽一衆院議員)との慎重論も出たが、三ツ矢憲生政調副会長は「7対3ぐらいで『上げるべきだ』との意見が強かった」と総括した。

 自民党は、税制改正に関しては党税制調査会(野田毅会長)を中心に議論してきたが、消費税増税は社会保障制度に絡むことから高市早苗政調会長の下でも並行して議論を進める方針だ。高市氏は全体会議終了後、「党の意見を活発に戦わせ政府にモノを申したい」と記者団に語った。

 公明党は、来年4月の消費税増税を予定通り実施すべきだとした上で「低所得者対策をきちんと作り上げる」(山口那津男代表)と主張する。激変緩和措置をめぐる議論も活発化しそうだ。

●消費税が「最大の問題」 引き上げ是非、首相が苦悩
              産経 2013.8.14 1
 安倍晋三首相は14日夜、自民党の中川秀直元幹事長らと東京都内の日本料理店で会食し、来年4月の消費税8%への引き上げ判断について「それが最大の問題だ」と述べた。会食後に中川氏が明らかにした。10月中旬召集見通しの臨時国会前に判断する増税の是非をめぐり苦悩している様子がうかがえる。

 経済成長重視の「上げ潮派」で増税に慎重な立場の中川氏が「どのような決断をしても応援する」と伝えたのに対し、首相はうなずいていたという。

 中川氏は第1次安倍政権当時、自民党幹事長を務めた。

●日本経済の幻想と真実消費税の増税で税収は減るのかデータで見る日本財政の4つの神話
   JBpress(日本ビジネスプレス) 2013.08.15 池田 信夫
安倍晋三首相は夏休みに入り、消費税の増税についての判断は秋の臨時国会まで先送りされそうだ。しかし消費税増税法の付則第18条には「消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行う」と書かれているだけなので、増税を延期するには法律を改正する必要がある。

 今はそんな非常手段を取るほど景気が悪いのだろうか。8月12日に発表された4~6月期のGDP(国内総生産)速報値は、予想より低かったが、年率2.6%とまずまずだった。それなのに首相がためらっているのは、彼の周辺に増税を延期させようとする人々が多いためだろうが、彼らの話には根拠がない。それをデータに基づいて検証してみよう。

【神話1】消費税率を上げて景気が悪くなると税収が減る
 これは一部の人々がいまだに主張している神話だが、消費税率を上げて消費税収が下がるはずがない。これは消費税収は増えたが、他の税収が減ったことを意味する。その1つの原因は課税所得が減ったことだが、もう1つは所得税・法人税の減税である。


図1 減税(所得税・法人税)の税収への影響 図1は今年の経済財政白書のものだが、確かに1997年の消費増税のあと税収は減っているが、90年代の初めから税収は減り続けている。その原因はバブル崩壊による不況に加えて、所得税の減税を繰り返したためだ。

 日本の所得税は累進性が高く、86年までは所得税+住民税の最高税率は88%だった。これは国際的に見ても高すぎるという批判が高まり、累進性を徐々に下げ、最近では最高50%まで下がった。

 特に99年からは年2.7兆円の恒久減税が行われ、課税最低限度も384万円まで上がった。もしこうした減税がなかったら、図1の赤い点線のように、2000年には消費増税前の税収に戻っていたはずだ。

【神話2】1997年の消費税率引き上げでデフレになった
 これもよく出てくる都市伝説だが、次の図をよく見てほしい。消費税率が3%から5%に上がったのは1997年4月だが、その前の96年10~12月期と97年1~3月期には、駆け込み需要でGDPは大幅に伸びた。その反動で4~6月期には成長率はマイナスになったが、97年の10~12月期には年率2%まで回復した。

・・・・・(略)・・・

【神話3】景気がよくなれば財政赤字はなくなる
 成長率が上がれば、税収も増えることは自明である。政府債務が大きくても、国債の利払いを除く基礎的財政収支(プライマリーバランス)が赤字でなければ、全体の債務は(名目成長率と名目金利が等しければ)GDP比では増加しない。

 しかし2012年のプライマリーバランス(PB)は6.9%の赤字であり、このまま放置すると赤字が雪ダルマ式に増えてゆく。PBの赤字をなくすには、名目成長率が名目金利よりかなり高くなければならない。小黒一正氏はこのために必要な名目成長率を5.8%と試算している(『アベノミクスでも消費税率は25%を超える』PHPビジネス新書)。

 面白いことに、小黒氏とは逆に「消費税の増税は必要ない」という高橋洋一氏も、ほぼ同じ数字を出している。彼はツイッターで次のような図を見せているのだ。

・・・・・・(略)・・・

図3を見ると、昨年のPB-6.9%と2011年の名目成長率-2%が見合っているので、PBをプラスマイナスゼロにするためには、名目成長率は(PBゼロの横線に見合う)5.5%ぐらいになる必要がある。これはバブルの余韻が残っていた1992年と同じぐらいだ。

 2000年代の平均名目成長率は約0%だから、これを5.5%にするには、かつてのような高度成長をもう一度起こすか、激しいインフレを起こすしかない。インフレだけでPBを黒字にするには年率14%ぐらい必要だ、というのが小黒氏の計算である。これは要するに、政府が実質的に借金を踏み倒すということだ。

【神話4】政府債務が増加しても経済に悪影響はない
 これは世界的にも論争になっている問題で、特にEU(欧州連合)が南欧諸国に緊縮財政を強制したために景気が悪くなって税収が減り、かえって財政が悪化した、とポール・クルーグマンなどは批判している。

図4 通常の国の成長率と政府債務がGDP比90%以上の国の成長率 これに対してケネス・ロゴフなどは、図4のように政府債務がGDPの90%を超えると、人々が将来の増税を予想して消費を控えるため、成長率が23年間で24%ポイント下がると推定している。最近この計算に誤りがあることが判明したが、政府債務が経済に悪影響を与えるという結論は変わらない、とロゴフは反論している。

 もう1つの問題は、日本政府が借金を返す気がないと市場が判断すると、国債の価格が下がる(長期金利が上がる)リスクである。特に日本銀行が大量に国債を購入する政策が、国の借金を穴埋めする財政ファイナンスだと市場に解釈されると、国債が売られて利払いが増える、と黒田東彦日銀総裁は記者会見で強調した。

 利払いが膨らむ程度ならいいが、今の南欧諸国の国債のように金利が10%を超えるような事態になると、激しいインフレが起き、経済が大混乱になる。年金や公務員給与の大幅減額や臨時大増税などの危機管理が必要になろう。

 そういうハードランディング(財政破綻)は決して理論上のシナリオではなく、財務省も内々に検討している。歴史上の前例から見ても、政府債務がGDPの2倍を超えた国がソフトランディングできた例はまずない。

 ハードランディングは発展途上国では珍しくない事件で、多くの場合は政権の転覆につながる。安倍首相がそういう「レジームチェンジ」を求めて消費増税をためらっているのだとすれば、それはそれで一貫した戦略である。

●「消費増税は中間層を貧困にする愚策」と気鋭の女性経済学者
            ニュース ポストセブン 2013.08.16
【「消費税はいびつで不公平な制度」と岩本沙弓さん】

. 来年4月に予定されている消費税増税だが、安倍総理は有識者会合を呼び掛けるなど税率アップの最終判断を下していない。側近の経済ブレーンから増税に慎重論が出るなど、その是非については政府の腹も決まっていない状況だ。

「そもそも消費税はスタートしたときから、いびつな制度である実態すら国民が知らないままで、ひたすら増税ありきでいいのでしょうか」と、税制そのものの欠陥を指摘するのは、国際金融市場に精通する大阪経済大学客員教授の岩本沙弓氏。そのカラクリについて解説してもらった。

 * * *
 消費税を引き上げるかどうかは、いずれ閣僚会議で決定されますが、私は消費税制そのものに反対の立場を取っています。

 それは最終消費者から税金を徴収するのが悪いとか、税金を払いたくないから言っているのではありません。税制度としていびつで不公平なまま、導入したり引き上げをしたりするのがそもそもおかしいと考えているのです。

 たとえば、お医者さんの場合、診療報酬は非課税で患者さんからは消費税をとりません。でも、白衣や脱脂綿、薬などはお医者さん側が消費税分を負担しています。診療に必要なものだから当然だろうと思われるかもしれませんが、その一方で支払った消費税が戻ってくる業界もあるのです。業界によって差があるのは税制として果たして中立と言えるのか。

 輸出企業には支払ったとされる消費税は還付金として戻すという仕組みになっています。どういうことか説明しましょう。

 消費税はその商品が消費される国で課税する、というのがGATT(関税および貿易に関する一般協定)の原則です。日本の輸出企業が完成品をフランスに輸出すれば、フランスで付加価値税(消費税に相当)19.6%が課税されます。

 日本の輸出企業はフランス向けの製品を仕上げるために日本国内の下請け業者から部品を調達しています。その際には、国内の下請け企業に対して、製品の価格+消費税を支払っていますので、GATTの原則に則れば、国内で支払った消費税はゼロになるよう調整されます。それが輸出還付金となります。

 輸出還付金の総額は、2012年度の予算で試算すると約2兆5000億円。その半分は輸出企業の上位20社に渡っています。消費税の歳入は年間10兆円なので、およそ4分の1に相当する金額が大企業に還付されています。還付金は消費税率を上限として渡されますので、消費税が5%から10%となれば単純計算ではありますが、5兆円が輸出企業に渡されることになります。

 問題は果たして輸出企業が下請け企業にきちんと消費税を支払っているのかという点です。

 本来、下請け企業にしてみれば100円で売らなければ採算が取れないものを80円に値切られてしまえば、輸出企業は80円プラス消費税5%を払うだけです。輸出企業は20円得したうえに5%の還付金まで戻ってくるわけです。一方、下請け企業は20円分の収益がなくなってしまいますので、大変苦しい状況に変わりはありません。

 このように消費税は価格に埋もれてしまうという特徴があります。会計処理上問題はなくても、大手が中小・零細企業に納入品価格の値下げの要求をする「買い叩き」の実態やお金の流れそのものに着目する必要があるのではないでしょうか。

 今年5月に「消費税還元セール禁止法案」が通り、大手小売業が反対したのは記憶に新しいでしょう。一見すると消費増税分を値上げしないとする小売業の姿勢は庶民の味方のように思えますが、むしろ消費税分の値上げをしなかったしわ寄せは、大手小売り業者に製品を納入する下請け業者へといき、製品そのものの買い叩きにつながる。

 つまり、大手企業による中小零細企業への製品そのものの値切り、買い叩きは恒常的に存在していることを政府ですら認めたという何よりの証拠でしょう。そうでなければわざわざ法案まで通す必要はありません。

 消費税を導入してから20年あまり、この間政府の税収は一向に増えていないにもかかわらず、そして今後消費税を増税しても税収が増加するのか疑問視されている中で、輸出企業への還付金だけは確実に増えるというおかしな状況となります。

 一握りの大企業が儲かれば、ひいては日本の経済をよくして国民全体の生活も次第に豊かになると信じている人もいるかもしれません。かつてはそうした時代がありましたが、グローバル化が進む状況では、なかなかそうはいかないというのは、景気が上向いても給与がひたすら下がった2000年代で我々は既に経験済みです。

 いま実体経済の回復がまだまだ伴っていない状態で消費税を引き上げれば、1%のグローバル大企業と残り99%の庶民の格差は広がるばかりです。

 消費税の計算の仕方は、(売上高―経費)×税率5%となっています。つまり、経費の金額が大きくなればなるほど、納税額は少なくなります。ここで重要なのは、経費の部分に非正規雇用の人たちの給与を入れることができる点です。人件費を安くできるうえ、節税にもなるため、非正規労働者がさらに増えやすいということになります。

 非正規が全労働者の約4割も占める状況が問題となっている現状で、消費税がさらに上がれば、これまで年収400~600万円で雇われていた中間層の正社員が非正規社員になる割合が増え、賃金ベースも落ちていくのではないかと危惧しています。

 最高益を上げている日本の輸出企業でも、日本にほとんど投資をしないし賃金も上げない。円安効果は「まだ分かりません」と国内に利益を還元しようとしない状況です。

 給与が上がらないまま円安がさらに進めば、ジワジワと生活へのプレッシャーがかかってくるのは当然です。すでに、ガソリン価格の上昇とそれにつられてモノの値段が次々と上がっていることで、そのことを実感している人は多いでしょう。

 景気が立ち上がらないままインフレになることは「スタグフレーション」とされますが、それにさらに中間層が疲弊して貧困化する現象は「スクリューフレーション」と称されます。そんな状況に追い込まれる中、わざわざ消費意欲をさらに減退させ経済活動の足を引っ張ることになる後ろ向きの消費増税が必要なのでしょうか?

 一方的に徴収されるばかりで、消費税の使い道は不公平。しかも、消費税だけでは財政も改善しないことは、過去20年の歴史が物語っています。ならば、もう少し内需拡大を促す税制度そのものの在り方を、いま一度議論し直すことが必要だと思います。

【岩本沙弓/いわもと・さゆみ】
経済評論家、金融コンサルタント。1991年から日米豪加の金融機関でヴァイスプレジデントとして外国為替、短期金融市場取引業務に従事。現在、金融関連の執筆、講演活動を行うほか、大阪経済大学経営学部客員教授なども務める。近著に『バブルの死角 日本人が損するカラクリ』(集英社新書)などがある。http://www.sayumi-iwamoto.com/


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 神奈川県の小田原市でいろいろと問題になっている。
 最近では、消防署関係の疑惑で内部告発があったり、職員が警察に入札関連において「上司は業者と癒着がある」との旨で刑事告発したり、
 先日は、新聞社の情報公開請求に対して、「文書の一部を改ざんしたり、一部削除」して開示したり・・・などの不正が、
 これまた、内部告発によって発覚。

 聞けば、どこにでもありそうな話、という人もいるだろう。
 でも、これだけ顕著になったのは、「内部告発」がキーだろう。
  
 どうも、市長の対応や答弁もヘンなので、Webページをみたら市長(2008年から市長/2期目)が昨年、「この数年来の問題事案の幾つか」について弁明していた。
 ・・これで市民は納得するのかなぁ・・・ (このブログ末に一部を抜粋した)

 ところで、過日に自宅にあった電話のこと。

 初めての人からで 「・・・ですか?」
 こちら 「はい。」

 「・・・の裏金のことですが、資料提供したい。」
        (注*「・・・の裏金」とは、「ある自治体の役所の裏金のこと」。ある自治体とは、ここでは内緒)
 とのことだった。

 そのまま、少し話をお聞きした。
 聞いていて、十二分にあり得ることと受け止めた。

 「証拠もあります」 ということで 「後日、届くようにします」 とのことだった。
 あとは、その人次第。

 なお、ここのところ、猛暑なので、早朝ウォーキングのあと、朝食、そのまま野良仕事のパターンにしている。
 だから、ブログのアップは昼になっている。
 
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●小田原市公式ページ
        ★  情報公開制度とは
 情報公開制度とは、市が保有している情報を市民のみなさんに公開する制度です。
 
この制度は、市の保有している情報に関して、市民のみなさんには知る権利があることと、市には市民のみなさんに説明する責任があることを定めており、市 の保有している情報を広く公開することで、市民のみなさんに、市が行っている事業内容を理解していただき、透明で開かれた市政を推進することを目的として います【小田原市情報公開条例第1条】。



●小田原市消防で入札情報漏れ、職員が内部告発/神奈川
            カナコロ 2013年5月3日
 小田原市消防本部の広域化に伴い新たに購入した制服など総額1億円超の被服入札で、落札した業者への予定価格漏えいがあったとして、同消防本部の現職係長が消防長と担当職員の計2人を競売入札妨害の疑いで横浜地検小田原支部に告発したことが、2日分かった。

 告発状などによると、同市と周辺の1市5町は消防業務の統合に向け、新たな制服と防火服を購入することを決め、費用負担やデザインなどを検討。2012年8月にそれぞれ指名競争入札を実施した。

 制服は約5700万円で相模原市の業者が落札。防火服は約5千万円で横浜市の業者が落札した。落札率はいずれも約98%で予定価格に極めて近かったことなどから、価格が事前に業者側に伝わっていた可能性があると指摘している。告発は今年4月30日付。

 新たな小田原市消防は小田原、南足柄の両市、中井、大井、松田、山北、開成の5町を管轄。3月31日に組織を統合した。

 今回の告発に関する神奈川新聞社の取材の申し入れに対し、消防長は「関与していないので、取材に応じる必要がない」などと副消防長を通じてコメント。加藤憲一市長は「指摘を受けて調べたが、不正行為はないと確認した」と話している。

●市長「事実確認が必要」、入札疑惑やパワハラ問題で/小田原
        ヤフー/ カナロコ by 神奈川新聞 6月26日(水)
 小田原市消防の内部から相次いで表面化した被服購入の入札に関わる疑惑やトップのパワーハラスメント的な言動の問題などが、26日に開かれた同市議会の一般質問で取り上げられた。
加藤憲一市長は「事実を確認する必要がある」などと答弁した。

 質問したのは、木村信市氏(無会派)。3月末の消防広域化以降、入札価格漏えいの疑いでの告発、勤務条件悪化の訴えに対するパワハラがあったとする市公平委員会への措置要求と、いずれも職員が提起した異例の事態に「相当の覚悟と問題があってのことだろう」と指摘した。

 価格漏えいの疑惑に対し、加藤市長は「指名競争入札により適切に実施された」と否定。木村氏は「告発状によれば、価格決定に至るまでの作業が小田原側の一部の人間によって行われたことも問題視している」と追及した。

 昨年8月に行われた入札に向け、規定通りに当時の足柄消防組合との合同チームで制服のデザインや数量などを検討したとの答弁を受けて、木村氏は関連する議事録の提出を求めた。

 これに対し、鈴木元消防長は「内部の会議なので議事録はない。質問にあった、仕様案を合同チームがまとめた日時(昨年6月)は資料の次第にあったもの」などと答弁、具体的な検討内容は明かさなかった。

 こうした作業の進め方に旧足柄組合側の幹部らが連名で今年4月、加藤市長に内情を訴える手紙を出して面談を求めていたが、実現はしなかった。その理由を問われた加藤市長は「職場環境で職員が抱える課題や要望は、まずそれぞれの所属部局での検討・調整を踏まえ、個別具体に対応する必要がある」と答えた。

 最後に木村氏は「2年前に相次いだ市職員の不祥事を受けて全庁挙げたコンプライアンス(法令順守)の取り組みがされた。今回の件は不祥事の再発ととらえているか」と質問した。加藤市長は「手紙などでなく事実を確認すべきだ」との認識を示した。

 また、措置要求を受けた公平委は今後、関係者からの聞き取りなどの調査を実施、審査判定を下すとの手順が市側から説明された。

●小田原「合同で」、足柄「連絡ない」 消防広域化の被服購入で食い違い
           ヤフー/カナロコ by 神奈川新聞 8月13日(火)
 県西部の消防広域化に伴い新調した被服の購入手続きをめぐり、統合した小田原市消防と足柄消防組合との見解が食い違っていることが12日までに、明らかになった。入札準備を「合同で行った」とする小田原側に対し、足柄側は「実質的な議論や連絡もなかった」などと反論。小田原市では、内部から議会答弁との整合性を疑問視する声も上がっている。

 今年3月末の統合に際し、制服や防火服の仕様は、小田原と足柄の職員でつくる「消防実務チーム・総務グループ」で検討するとされていた。

 昨年8月の入札までに開かれた会合は計10回前後。同年9月の小田原市議会本会議で総額1億円に上った入札の契約議案が提出され、被服購入の経緯を問われた鈴木元消防長は、「チームによって合同で検討を行った」などと答弁した。

 しかし、神奈川新聞社が情報公開制度を利用し、検討作業に関連する議事録を入手したところ、入札後に説明を求めた足柄側に対し、小田原の担当者による「9月定例会で議決すべき案件であったため、足柄側へ諮る時間的余裕がなかった」との発言記録があった。

 この件に関する取材に対し、鈴木消防長は「検討に対する受け取り方で、小田原側と足柄側で深度の違いがある」などと説明。

 一方、当時足柄消防組合の韮山茂消防長(現足柄消防署長)は「小田原側から被服仕様の決定の話があったのは入札後。総務グループの会合は、両者のメンバーが顔を合わせ議論したことはほとんどなく、電話やメールもなかった」と指摘している。

 一連の問題について、小田原市は内部通報に基づく調査を進めている。

●小田原市公開の文書が一部改ざん、消防長を懲戒処分/神奈川
            カナコロ 2013年8月17日
 県西部の消防広域化に伴い新調した被服購入をめぐり、検討経過に関する情報公開請求を受けた小田原市が、公文書の一部を改ざんして公開していたことが16日、分かった。

 被服の仕様を検討する打ち合わせに出席していた業者名などが削除されていた。市は改ざんを指示したとして、鈴木元・消防長を同日付で戒告の懲戒処分とした。同市議会で購入手続きに関する問題点が指摘され、神奈川新聞社が市情報公開条例に基づき請求していた。

 情報公開時に改ざんされたのは、昨年5月18、31日、7月5日に小田原市などで開かれた打ち合わせ内容をまとめた3件の公文書。
いずれも、打ち合わせに出席していた業者名(うち1件は業者側の担当者名)が削除されており、5月18日の概要をまとめた文書では「概ね確定しているものについて仕様書を依頼」などとする記述も消されていた。

 同市によると、業者名の削除は鈴木消防長が指示していた。担当者がパソコンに保存されていた文書の記述を直接削除したり、出力した文書上に修正テープを貼り付けたりして、記載がないように見せかけていた。

8月に入り、「変造行為は業者との癒着の証拠」などと指摘する内部通報が市に寄せられ、市側が調査したところ不正な改ざんが発覚したという。

 16日、市役所で会見した鈴木消防長は「決裁を経ていない文書であり、公文書ではなく、単なるメモにすぎないと判断した」と説明。打ち合わせに業者が同席していたことに関しては「助言を受けるためだった」とし、「(請求者の)誤解を招かないように削除を命じた。公文書のとらえ方について、思慮が足りなかった」と謝罪した。

 加藤憲一市長は「消防トップとしてあまりにも軽率であったと言わざるを得ない。公文書公開制度の公正、適正な運用に対して疑念を抱かせ、市民の信用を失墜させる結果となり、極めて遺憾」と文書でコメントした。

 情報公開時に記述が削除されていた業者は、昨年8月の入札で指名され、落札した。この入札に関しては、事前に業者に予定価格が漏れていた疑いがあるとして、今年4月に消防職員が鈴木消防長らを地検小田原支部に刑事告発している。

 神奈川新聞社は、小田原市議会で6月に被服購入に関する指摘があったことを受け、関連資料について情報公開請求していた。

 このほか、副消防長ら3人が文書訓告などの処分となった。

●小田原市:情報公開請求文書一部変造 消防長を戒告処分 /神奈川
             毎日新聞 2013年08月17日
 小田原市は16日、情報公開請求のあった公文書の一部変造を指示したとして、鈴木元(はじめ)消防長(59)を戒告の懲戒処分とした。副消防長(57)を文書訓告、消防総務課長(50)と総務係長(49)を文書注意とした。

 市職員課によると、鈴木消防長は6月27日付で公文書公開請求のあった昨年度の消防被服購入にかかる打ち合わせなどの記録について、出席していた業者名など4カ所の記載の削除を指示した。

 鈴木消防長は「打ち合わせのメモという認識で、公文書として開示するに当たり、誤解を招かないよう削除を指示した。公文書に対する認識が甘く、思慮が足りなかった」と陳謝した。

 消防被服購入を巡っては、現職の消防職員が今年4月、落札業者に予定価格を漏えいしたとして、鈴木消防長らを横浜地検小田原支部に告発している。

 これについて鈴木消防長は「情報漏えいや業者との癒着など告発されるようなことは断じてない」と釈明。市も告発後の職員や業者からの事情聴取で「癒着があったとは判断できない」と結論づけている。【澤晴夫】

小田原市長・加藤けんいちとおだわらを拓く力(加藤けんいち後援会)の公式ホームページ から
        ★ (加藤けんいち後援会)の公式ホームペー

    ★  小田原市の「不祥事」について:加藤けんいち /2012/05/03 

みなさんこんにちは。
小田原市長の加藤です。
この間、小田原市に発生した不祥事についてお話をいたします。

最近、この小田原市に発生した不祥事について、いろいろな情報が飛び交ってしまっています。
さまざまな憶測、あるいは偏った見方、こういったものがいろいろな紙面で流されている中で、市民の皆さんもずいぶん心配をされていることと思います。
ひとつひとつお話をしたいと思います。

まず最初に不祥事として取り上げられたのは、市立病院の宿日直手当の過払い問題です。
これは、平成17年度ないし平成18年度に発生した問題が解決されずに、そのままずっと根強く存在をしていたものが、2年前に発覚したしたものでございます。
私どもも、そういう問題の存在に対して、どういった構造で過払い問題がおきてきたのか、何が問題だったのか、何か不正があったのか、犯罪性はあるのか、そういう視点で事実を明らかにしようという取り組みを進めて参りました。
・・・・・・・(略)・・・

2つ目、農政課の贈収賄(ぞうしゅうわい)の問題です。
これも事件が起きたその問題となった贈収賄の出来事自体は、平成21年の3月4月、平成20年度の終わりですね。私が就任したその年の終わりぐらいでありますけれども、そういう意味では私の任期の中で起きたことでありますが、おそらくそれまでの、さまざまな小田原の中での、いわゆる受発注の関係性の中での問題が、この事件につながったと思っております。
これにつきましても、当然のことながら事実関係を究明し、その当事者となった職員については懲戒免職ということになっております。
またその当時、その作業に関わっていた直属の上司、こういった者達の処分も行い、当時の責任者だった課長級の職員については、その後、私どもの方から告発をしております。
厳しくのぞみ、当然、私どもも、身をきる処分をさせていただきました。
・・・・・(略)・・・

また、比較的最近発生した、市立病院の医事課の金庫から、現金が盗まれてしまったという事件がございました。
これは私も大変驚きました。
というのは、職員が窃盗(せっとう)の当事者になっていたからであります。
これについては、この犯罪行為については、弁解の余地はありません。
ひたすら市民のみなさまにはお詫びをするしかございません。
なぜ、この職員がそういった事件を起こしてしまったのかということは、いまだに以て私どもも大きな疑問点であり、解明できていないものでございます。

ただもう1つ、この事件が起きてしまった背景は、医事課の金庫に預かり金というお金がきちんと管理されないかたちで保管されていた、という背景があります。
この預かり金が、金庫にしっかり管理されないで保管されていた背景、この事実はずっとさかのぼれば平成17年、18年ぐらいまで、また記録に残っていない範囲ではさらにその先までさかのぼることでありまして、長らくこの市立病院の医事課の中での、大きな問題として存在していたことが改めてわかりました。

これも事の背景は、以前からずっと継続されていた、院内でのお金の管理のずさんさということにあります。
・・・・・・・(略)・・・

また最近では、教育委員会の方でも通知表の誤記入問題、三の丸小学校でのプールで水が漏れてしまって300万円の損失が発生した、こういうこともございます。
・・・・・・(略)・・・

このように、不祥事につきましては、当然それが起きた原因、背景そういったものがあり、またそれに対して一番大事なことは再発防止をしっかりやっていくことでありますので、今その取り組みをやっています。
したがって、私達がなにか意図をもって働いた、あるいは何か不正があってそういうことが起きていた、なにか隠しているんじゃないか、そういう疚(やま)しいことは一切ございません。
問題が起きた時には、それを解決することが何より大切であります。

またそれを再発をさせない、根治をするための取り組みを徹底してやることが一番大事であります。
今、その取り組みを隠すことなく進めている状況でございますので、是非ある意味、安心していただくとともに、厳しく見守っていただきたいと思っています。
・・


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 中沢啓治さんの『はだしのゲン』(コミック版)が、松江市内の全小中学校の図書館で「閉架措置」されているという。
 『はだしのゲン』は、「原爆被害を伝える作品として教育現場で広く活用され、約20カ国語に翻訳されている。」(毎日新聞)
 NHKの報道では、
 「松江市教育委員会では、『平和への願いなど、作品に込められた趣旨は高く評価しており、教員が指導して平和学習の教材として使うことには問題はないが、過激な描写が含まれており、子どもが自由に読むことについては疑問がある』として話しており、現時点では措置を変える予定はないとしている。」

 閉架になった経過をつれあいが調べたら次のよう。

 昨年2012年8月に、松山市議会に一市民から、
「松江市の小中学校の図書室から『はだしのゲン』の撤去を求めることについて」という陳情が出され、
9月議会で教育民生委員会に付託されて審査、結果は、「閉会中の継続審査」。

 教育民生委員会は、閉会中の11月26日に委員会を開催し陳情を審査、
12月定例会では、「採決の結果、陳情第46号は挙手する者はなく不採択とすべきものと決しました。」との委員長報告があり、
本会議でも、小中学校の図書室から「はだしのゲン」の撤去を求める陳情は不採択。

 (議事録はブログの後半に抜粋)

 もちろん、議会がこの種の問題に関与して「採択」と判断すること自体あってはならないこと。
 市議会もこの種の問題に関与してはならないことだから、と消極的に不採択にしただけと受けとれる。
 
 いずれにしろ、議会が「不採択」と決した陳情を、教育委員会が陳情の意を汲んで「事実上の撤去」としたというのも信じられない。

 現在、市内の学校図書館にある「はだしのゲン」は、閲覧するには教師の許可が必要、実質的な「貸し出しは禁止」になっているらしい。

 一市民からの圧力に屈したと同時に、行政が委員会で一人の委員から出た
「教育委員会みずからが判断をし、適切な処置をするべき」と言う意見に反応して、
「みずから閉架」にしたという経過は、福井県での図書排除(撤去)事件や、
堺市立図書館から「青少年に見せたくない図書」を閉架に移した、という事件と同じ。

 まさに「松江市『はだしのゲン』排除事件」。

 (続)2013年8月20日 ⇒ ◆「はだしのゲン」貸出禁止にモノ申す! 言論の自由が、ヘイトスピーチに屈する社会 (東洋経済)

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 (このブログの関連エントリー)
  2008年9月21日 ⇒ ◆現代版・焚書する人たち/ 「図書館から不健全図書(BL等)を排除しよう!」 という人たち
  2008年11月5日 ⇒ ◆堺市図書排除問題で住民監査請求/上野千鶴子「日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう」
 2008年11月11日 ⇒   ◆堺市の図書排除問題/第二次申し入れの賛同人の募集・明日まで/その他の各種情報

●はだしのゲン「閉架」に 松江市教委「表現に疑問」
           2013/08/16 12:22 【共同通信】
 松江市教育委員会が、原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を子供が自由に閲覧できない「閉架」の措置を取るよう市内の全市立小中学校に求めていたことが16日、分かった。

 市教委によると、首をはねたり、女性を乱暴したりする場面があることから、昨年12月に学校側に口頭で要請。これを受け、各学校は閲覧に教員の許可が必要として、貸し出しは禁止する措置を取った。

市教委の古川康徳副教育長は「作品自体は高い価値があると思う。ただ発達段階の子供にとって、一部の表現が適切かどうかは疑問が残る部分がある」と話している。

●<はだしのゲン>松江市教委、貸し出し禁止要請「描写過激」
      毎日新聞 8月16日
 漫画家の故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた漫画「はだしのゲン」について、「描写が過激だ」として松江市教委が昨年12月、市内の全小中学校に教師の許可なく自由に閲覧できない閉架措置を求め、全校が応じていたことが分かった。児童生徒への貸し出し禁止も要請していた。
 出版している汐文社(ちょうぶんしゃ)(東京都)によると、学校現場でのこうした措置は聞いたことがないという。

 ゲンは1973年に連載が始まり、87年に第1部が完結。原爆被害を伝える作品として教育現場で広く活用され、約20カ国語に翻訳されている。

 松江市では昨年8月、市民の一部から「間違った歴史認識を植え付ける」として学校図書室から撤去を求める陳情が市議会に出された。同12月、不採択とされたが市教委が内容を改めて確認。「首を切ったり女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」と判断し、その月の校長会でゲンを閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めた。

 現在、市内の小中学校49校のうち39校がゲン全10巻を保有しているが全て閉架措置が取られている。
 古川康徳・副教育長は「平和教育として非常に重要な教材。教員の指導で読んだり授業で使うのは問題ないが、過激なシーンを判断の付かない小中学生が自由に持ち出して見るのは不適切と判断した」と話す。

 これに対し、汐文社の政門(まさかど)一芳社長は「原爆の悲惨さを子供に知ってもらいたいと描かれた作品。閉架で風化しないか心配だ。こんな悲しいことはない」と訴えている。

 「ゲン」を研究する京都精華大マンガ学部の吉村和真教授の話 作品が海外から注目されている中で市教委の判断は逆行している。ゲンは図書館や学校で初めて手にした人が多い。機会が失われる影響を考えてほしい。代わりにどんな方法で戦争や原爆の記憶を継承していくというのか。

 教育評論家の尾木直樹さんの話 ネット社会の子供たちはもっと多くの過激な情報に触れており、市教委の判断は時代錯誤。「過激なシーン」の影響を心配するなら、作品とは関係なく、情報を読み解く能力を教えるべきだ。ゲンは世界に発信され、戦争や平和、原爆について考えさせる作品として、残虐な場面も含め国際的な評価が定着している。
【宮川佐知子、山田奈緒】

 
 ● はだしのゲン コミック版 (全10巻)(中沢啓治作・絵/汐文社)



●「はだしのゲン」過激描写理由に「閉架」に 松江
       2013.8.16 NHKニュース
 松江市教育委員会が、中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」を、市内の小・中学校の図書室で子どもが自由に読むことができなくするよう学校側に求めていたことが分かりました。
市の教育委員会は、一部に過激な描写があるためとしています。

 漫画「はだしのゲン」は、去年12月に亡くなった被爆者で漫画家の中沢啓治さんが、原爆の被害を受けた広島で力強く生きていく少年の姿を描いた作品です。この「はだしのゲン」について、松江市教育委員会は、去年12月に開いた小・中学校の校長会で、すべての学校に対し、子どもが図書室などで自由に読むことをできなくさせる「閉架」の措置をとるよう口頭で要請しました。
措置を要請した理由について、教育委員会は「漫画の中に、人の首を切る場面や女性が乱暴される場面など、一部に過激な描写があるため」としています。

 教育委員会では、要請後の学校側の対応を把握していないとしていますが、学校の中には、図書室で読むには教員の許可を必要とした上で、貸し出しを禁止したところもあるということです。
 松江市教育委員会では、「平和への願いなど、作品に込められた趣旨は高く評価しており、教員が指導して平和学習の教材として使うことには問題はないが、過激な描写が含まれており、子どもが自由に読むことについては疑問がある」として話しており、現時点では措置を変える予定はないとしています。

中沢啓治さんの妻「戦争の悲惨さを伝えられない」
「はだしのゲン」の作者である中沢啓治さんの妻のミサヨさん(70)は、「教育委員会が、『はだしのゲン』を自由に読めないようにしているという話はこれまで聞いたことがなく、大変驚いている。『はだしのゲン』は、子どもたちが読めるように描写も抑えている。それでも、一部の描写が過激だということだが、戦争や原爆の被害は決してきれいごとではないし、子どもたちに本当のことを知らせなければ、戦争の悲惨さや平和の尊さについてきちんと伝えられない。松江市教育委員会には、『はだしのゲン』を子どもたちが自由に読めるようにしてほしい」と話しています。

原画展の来館者は

広島市中区の原爆資料館では先月から、「はだしのゲン」をはじめ、中沢啓治さんがみずからの被爆体験をもとに描いた漫画や絵本の原画の展示会が開かれています。
兵庫県赤穂市から小学5年生の息子と訪れた男性は、「『はだしのゲン』は漫画という形で分かりやすく戦争体験を後世に伝えられる作品だと思うので、松江市教育委員会の決定は残念です」と話していました。
また、大阪市から中学2年生の娘と訪れた男性は、「教育委員会の心情も分かるが、漫画を読ませるかどうかは保護者が判断すれば良いと思います」と話していました。 

●はだしのゲン「描写過激」…小中に閲覧制限要請
    (2013年8月17日08時57分 読売新聞)
 漫画家・中沢啓治さんの代表作「はだしのゲン」の描写が過激だとして、松江市教委が、子どもが閲覧する際は教員の許可が必要な「閉架」にするよう全市立小中学校(49校)に要請していたことがわかった。

 文部科学省は「こうした例は聞いたことがない」としている。
 市教委によると、昨年度で39校が図書室に所蔵。作品には、旧日本軍が人の首をはねたり、女性に乱暴したりする場面があることから、市民から撤去を求める声が上がり、市教委が昨年12月、全校に要請した。

 古川康徳・副教育長は「立派な作品だが、表現が教育上、不適切。平和学習に使う場合は教員が解説を加えるべきだ」としている。

 出版社「汐文社」(東京都)の政門一芳社長は「一場面を取り上げて過激だとせず、本質を見てほしい。天国の中沢さんも悲しんでいるはず」と話している。

↓ 以下、関連の松江市議会本会議の議事録から一部を抜粋した ↓

  ★  【 平成24年第4回定例会 請願・陳情審査結果表-平成24年第4回定例会 請願・陳情審査結果表 】
 ○(受理年月日)24・8・24 陳情第46号 
   松江市の小中学校の図書室から「はだしのゲン」の撤去を求めることについて 
   (提出者)中島康治  (審査結果)不採択


 同 2012年9月定例会 10月5日 ↓
    ★  【 平成24年第3回 9月定例会-10月05日-05号 】松江市議会
・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 次に、陳情第46号「松江市の小中学校の図書室から「はだしのゲン」の撤去を求めることについて」では、陳情者からの趣旨説明、執行部の見解を聞いた後、執行部に対する質疑では、「はだしのゲン」の映画については、全国のPTA協議会や文部省の推薦があったと聞いている、また、漫画でゲンが小学生だったころは、陳情に添付された資料のような過激なせりふはなく、戦争や原爆の悲惨さを伝えることが色濃く出ていた。しかし、ゲンが成長するに従って、過激にエスカレートした描写となったのではないかと記憶しているが、映画が放映された時期、PTA協議会と文部省が推薦した時期、陳情に添付された資料の部分が漫画として出版された時期が、それぞれいつかわかるかなどの質疑に対し、執行部より、全て時期を正確に承知していないが、昭和50年代ではなかったかと思うなどの答弁がありました。

 討論では、閉会中の継続審査とすべきものとして、この漫画を原作とした映画を国でも推薦しているし、松江市でも多くの学校にこの漫画を置いている状況の中で、もう少しこの問題については議論する必要がある。

 また、陳情に添付された資料は、漫画の一部を抜き出したものであり、全体的な流れがどうなのかを読んだ上で判断したい。
 
 そして、陳情に添付された部分を見る限り、過激な言葉と絵が羅列してある。これを人格形成途中の小中学生に対して提供してよいか疑問である。
 教育委員会が採用の根拠としているのは、PTA協議会や文部省の推薦、中四国地区の県庁所在市で置いてあるというだけのことであり、いつPTAや文部省が推薦したか、陳情に添付された部分がいつ出版されたか、きちんと調べた上で判断したいなどの意見がありました。

 一方、不採択とすべきものとして、この漫画を原作とした映画は、全国PTA協議会や文部省の推薦もある。
そして何よりも、この漫画は戦争がいわゆる戦前の主権在君による政治で進められ、悲惨な広島、長崎の原爆投下があり、そしてたくさんの戦争犠牲者を出した点をきちんと報じていると思うので、この陳情こそが歴史認識が間違っているのではないかと思う。
 そして、まず大前提として、そもそも議会がこの図書を学校に置いてよいかどうかなどということに干渉をすべきではない。

 また、歴史認識はいろいろあり、また表現の自由もあり、さまざまな歴史認識が提供されることは民主主義にとって大事だと思う。こういうものを置くか置かないかは教育委員会で適切に配慮すべきことだと思うなどの意見があり、意見が分かれ、採決の結果、陳情第46号は賛成多数により閉会中の継続審査とすべきものと決しました。

 次に、陳情第47号「松江市内の小中高校生に授業の一環として竹島資料館を見学させることを求めることについて」では、・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・島根県としても密接な問題であり、いろいろな意見が出ているので、もう少し慎重に審議したいとの意見があり、意見が分かれ、採決の結果、陳情第47号は賛成多数により採択すべきものと決しました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


陳情第46号「松江市の小中学校の図書室から「はだしのゲン」の撤去を求めることについて」は、9月議会では「閉会中の継続審査」。
以下は2012年12月議会の議事録↓
 ★  【 平成24年第4回12月定例会-12月05日-01号 】松江市議会
◆14番(南波巖)
・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・ 閉会中の継続審査となっておりました陳情3件につきまして、去る11月26日に委員会を開催し審査をいたしましたので、その経過と結果について御報告申し上げます。
 陳情第46号「松江市の小中学校の図書室から「はだしのゲン」の撤去を求めることについて」では、執行部から、追加の見解を聞いた後、質疑では、全10巻の漫画の中でいろいろ問題があるとも言われているがどのような問題かとの質疑に対しては、執行部より、1巻から4巻または5巻までが第1部というふうに言われているが、暴力的なシーンなど、やや過激と言われるものは後半部分が多いと感じている。陳情に添付された資料も10巻の部分であるとの答弁がありました。

 討論では、一委員から、当初の教育委員会の見解では、映画が文部省や全国PTA協議会の推薦を受けていたり、漫画が中四国の県庁所在市の小中学校の図書室に置いてあることから優良図書と考えているということであった。しかし、1巻から10巻までを見ると、時代ごとにだんだんとエスカレートして大変過激な文章や絵がこの漫画を占めている状況であり、第1部までとそれ以降のものが違うものということではなく、「はだしのゲン」という漫画そのものが、言い方は悪いが不良図書と捉えられると思う。当初の優良図書としての根本が崩れたということであれば、やはり教育委員会みずからが判断をし、適切な処置をするべきであろうと思うとの意見がありました。

 また、不採択とすべきものとして、一委員から、表現に若干過激な面もあるが、全体としては戦争の悲惨さ、あるいは平和のとうとさを訴えているものと思っている。1980年代から多くの図書館に置かれている状況であり、平和教育の参考書として捉えられている側面が非常に強いようである。そういう面から考えると、小中学校の図書室に置いてあってもおかしい話ではないし、図書室に置くことの是非について議会が判断することには疑問があるので不採択とすべきと考えるとの意見がありました。

 採決の結果、陳情第46号は挙手する者はなく不採択とすべきものと決しました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 
 ●松江市教育委員会が「はだしのゲン」を閉架にしたのは、在特会の脅かしに屈したから?
 ★  (2013年08月17日 naverまとめ)  
 松江市教育委員会は、原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を、子供が自由に閲覧できない「閉架」の措置を取るよう市内の市立小中学校に要請していました。
 ※在特会が松江市教育委員会に「はだしのゲン」を撤去するよう抗議している動画をネットに上げており、松江市教委がそれに屈したのではないかと考えられます



 ★ 【図書館の自由に関する宣言】(日本図書館協会)

図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、
資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。

この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。

第1 図書館は資料収集の自由を有する。
第2 図書館は資料提供の自由を有する。
第3 図書館は利用者の秘密を守る。
第4 図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。


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