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てらまち・ねっと



 一昨日の金曜日まで曇り。
 昨日の朝の天気予報は、日曜日は曇りで花見は「(昨日)土曜日に」、そんな風に流されていた。
 そこで、昨日の午前中に庭の花の写真を撮った。
 今は花盛り、堪能する。

 今日のブログは、「モクレン」の仲間と黄色い「レンギョウ」を載せる。
 明日の4月1日は、他のカラフルな花たちを載せるつもり。

 いわゆる「木蓮(もくれん)」とは白いモクレン「白木蓮」をいう。
 木蓮の赤系とか黄色系もある。
 うちでは、花の外が紫いろ、内側が白色の「サラサモクレン」が大木になっている。
 「サラサ」とは開花した木全体を見ると更紗(さらさ)模様に見えるからだという解説があった。

 なお、庭師さんに「モクレン」と注文すると、花のうちも外も濃い紫色の木を植えるという。
 これは「トウモクレン」といい、うちでは、2週間ほど後に咲く。
 うちでは、3株植えてある。
 だから、庭師さんに頼む場合は、よく説明しないと、「白いモクレン」を植えてもらえない。

 別に黄色いモクレンもあり、エリザベスという品種がある。どうもこれは、他のモクレンと同時期に咲くらしい。
 同時では面白くないので、うちでは黄色花は「キンジュ」という品種にしている。
 これは5月の連休頃に咲く品種。

 木蓮より少し早く咲き、もともと山に自生するのがコブシ(辛夷)。
 うちでは、大木になってきた。

 この仲間でピンク系のシデコブシ、もしくは姫コブシという系統もある。

 春、各地で黄色い花が咲き乱れるけれど、その主たるものは「レンギョウ」。
 このレンギョウにも何種かありが、うちでは3種類植えている。

 ところで、昨日午後は、東京から取材に来た新聞記者といろいろと話、現地も見に行った。
 記事が出たらこのブログにも載せよう。

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(左)モクレン  (右)更紗モクレン、その左下はヒ姫コブシ。黄色はレンギョウ
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)


コブシ
  










(左)木蓮  (右)コブシ



(左)サラサ木蓮  (右)姫コブシ



姫コブシ








(左)白木蓮  (右)コブシ


白木蓮

    








サラサモクレン




(左下)姫コブシ  (右)サラサラモクレン





(下)レンギョウ  (上)モクレン  (右)コブシ


レンギョウ


    





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 今朝5時の外の気温は8度C。
 冬は暗い中で歩いていた(7時には家に戻りたいから)。
 それが日の出の早まりに合わせて、早い時間に出発する。
 それでも、大気が明るいころに歩ける。
 やっぱり、暗いより明るい方が気持ちがよい。

 ここのところの陽気でか、
 ウォーキングをしている堤防道路(サイクリングロード)の桜並木も開花してきた。
 岐阜市が昨日あたり、桜が満開と発表されたらしい。
 このウォーキングロードは少し北にあるのでうちよりも花は遅い。

 ともかく、近く満開の桜並木をたっぷりと歩けると思うとワクワクする。

 そんなことで、今年1月からのウォーキングロードでながめた様子、朝焼け、雪景色、鳥たちの記録などを整理。
 たくさんであろう桜の花は来週あたりにまとめようと思う。

 ところで、昨日の午後、全国紙の新聞の東京の本社の記者から電話があった。
 「・・・・のことで寺町さんのお話を聞きたい」とのこと。

 内容から、面白そうなので、OKした。
 「急ですが、明日土曜日か月曜日でも良いですか?」

 私は、ちょっと考えて、「明日土曜日のの午後」ということにした。

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今朝3月30日のウォーキングのコースの雰囲気
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)




咲き始めたところ



では、今年の1月からの写真から抜粋

雪も降る




  



まだ芽吹きには早い
    

朝焼け


  

  





  

  

鳥も朝が早い
  

 
   

ヌートリアも時々見かける
     

3月23日の様子





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 株高など経済が上向いている。
 他方で、景気上向きの要因の円安は、特定商品の値上がりや電気代値上げなど、暮らしに迫る。
 アベノミクスの副作用ともいわれる。
 そのあたりの現状や、今後の予測を見ておいた。

 ところで、昨日は、臨時議会。
 年度末の3月28日に、H24年度の補正予算を追加し、H25年度の当初予算から一部を削除するなどの補正予算の審議、採決。
 これで、年度内の公務は、実質、終りか。
 
 今日は、自宅での仕事、新年度の議員塾の講座内容の組み立ての打合せ、県選管への政治団体の収支報告書の作成・送付などをしなくちゃ。

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●小麦、高級ブランド、光熱費…アベノミクスに副作用 「値上げの春」円安直撃も脱デフレに期待
      産経 2013.3.14 20:53
 景気浮揚を狙う安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に伴う円安で、輸入品の値上げが相次いでいる。食品のほか、海外ブランドなどの高額品にも影響が広がる。
 輸出企業には追い風の円安も、家計にとっては思わぬ負の側面
だが、中期的には賃上げ効果も加わり、脱デフレにつながるとの期待もある。

海外旅行も影響
 「価格転嫁も考えなくては」。14日に食パンの新製品を発表した敷島製パンの根本力執行役員は、厳しい台所事情を吐露した。農林水産省は4月から、製粉会社などへの輸入小麦の政府売り渡し価格を平均9.7%引き上げる。パンや麺類メーカーには、「(企業努力では)吸収できない」(根本氏)と痛手だ。

 同様に円安、穀物高のダブルパンチなのが食用油。日清オイリオグループは4月1日出荷分から、代表的な食用油価格を約10%引き上げる。上げ幅は家庭用が1キロ当たり30円以上、業務用が1斗缶(16.5キロ)当たり500円以上。
 水産品も、はごろもフーズが、「シーチキン」ブランドの缶詰16品目の価格を5月1日から2.2~6.1%引き上げると発表。特売の常連品の値上げに、大手スーパーは「他メーカーを増やすことも検討する」とするが、他社の値上げ追随も予想される。

 株高で富裕層の消費が堅調だった高額品は、高級ブランドの「ルイ・ヴィトン ジャパン」が2月半ば、バッグなどの一部商品を平均約12%値上げしたのに続き、ティファニーも4月10日から、ジュエリー類などを平均約10%値上げする
円高で好調だった海外旅行も、「一部でホテル代が上昇」(楽天トラベル)したほか、「燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)とともに為替動向も注視しないといけない」(中堅旅行会社)状況。
 
 光熱費も、燃料輸入価格の上昇を受け、4月から電力・ガスの大手14社が一斉値上げする。関西、九州電力は、原発停止による火力発電の燃料費増加で電気料金の基準になる原価改定の本格値上げも申請しており、負担は大きい。

賃上げで相殺
 円相場は、昨年11月16日の衆院解散日の1ドル=81円11~13銭から、19%近く下落した。日銀によると、輸入物価は昨年10月まで6カ月連続で前年割れが進んだが、昨年11月以降はプラスに転じ、今年2月は13.2%増で2けた増になった。
 第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストは「輸入物価の上昇は想定以上のスピード」としながらも、「アベノミクスが進む中で当然生じる摩擦。この副作用を首相が要請する賃上げ効果で相殺できれば、デフレ脱却に向けた動きが始まる」と指摘する。

 政府と日銀が目指す2%の物価上昇率目標は、変動の大きな生鮮食品やエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)などで判断するとみられる。だが、2月の消費動向調査では、1年先の物価上昇を予測する消費者が約7割に達しており、消費者心理が先行する形で、物価上昇につながるとの期待が強まっている。

●アベノミクスと「値上げの春」
         (2013年3月21日 読売新聞) 調査研究本部主任研究員 安部順一
 「値上げの春」である。
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安が、輸入物価の上昇をもたらし始めた。特に影響が大きいのが、食料品とエネルギーだ。
◆      ◆      ◆
 農林水産省は4月から、政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格を平均9.7%引き上げる。国内で消費される小麦は約9割が輸入物で、円安で輸入価格が上がった。
 小麦を使った製品は多いが、農水省は小売価格への影響について、1キログラム225円の小麦粉が8.5円上昇するが、1斤165円の食パンは0.9円、外食で1杯599円のうどんも0.9円の上昇にとどまり、消費者物価指数に与える影響は+0.008%程度で軽微とみている。
 もっとも、日本は世界有数の食料品輸入国だ。トウモロコシは100%、大豆は95%を輸入に頼り、果実も60%、肉類は47%が輸入品だ。回転すしなどのファストフードも輸入品で支えられているところが多く、今後、庶民の胃袋には影響が出てきそうだ。    
◆      ◆      ◆
 エネルギーはより深刻だ。電力10社と都市ガス大手4社は4月から、原油や液化天然ガス(LNG)など燃料費の変動を反映させる燃料費調整制度で、電気・ガス料金を一斉に値上げする。平均的な使用量の家庭で値上げ幅は電気が24~131円、ガスは72~104円となる。
 問題は、値上げが今回でとどまりそうにないことである。
 2012年の貿易統計は、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が過去最大6.9兆円の赤字となった。要因の一つは、原子力発電所の停止に伴い、火力発電向けのLNGの輸入額が前年より25%増えて6兆円にもなったことだ。現在の為替相場1ドル=95~96円は昨年の貿易統計全体の平均1ドル=79.55円より2割程度円安となっている。単純計算すれば、円安による支払い増はLNGの輸入額だけで1兆円を超える。        
◆      ◆      ◆
 アベノミクスは、2%の物価上昇を目指す。今春の値上げは、円安の影響が強いが、いずれ本来狙った物価上昇が始まる。その時に、家計の抵抗感を少しでも和らげるためにも、今から布石を打つことが必要だ。
 まずは、「景気が良くなるなら、多少の物価上昇もやむを得ない」という空気の醸成が必要だ。今春闘では、ボーナスも含め年収アップを回答した企業が相次いだ。「体力に応じて」であるにしても、縮み志向だった家計の心理を拡大志向に転換させないと、デフレから脱却できない。

 それとは別の次元で重要なのは、エネルギー価格の上昇に歯止めをかけることだ。LNGは輸入量が11%増だったのに、輸入額は25%も増えた。原発が停止し、LNG頼みとなっている需給構造を見透かされ、高値で売りつけられたためで、さらに円安が襲えば影響は甚大だ。安全が確認された原発から再稼働を進め、エネルギー価格の上昇を抑える努力をすべきだ。
 「第3の矢」の成長戦略は重要だが、ほかにもやるべきことはまだたくさんある。

●アベノミクス、じわり家計圧迫 円安で身の回り品値上げ
         朝日 
円安による値上げは、家計に響きかねない
 安倍政権の経済政策アベノミクスによる円安で、輸入品などの価格が上がっている。
ガソリン・電気代をはじめ、小麦や冷凍野菜などにも広がる。円安は輸出企業の業績を良くするプラス面もあるが、身の回り品の値上がりは、家計を圧迫しかねない。

 農林水産省は27日、製粉会社などに売る輸入小麦価格を4月から約10%上げると発表。米豪などの不作に円安が追い打ちをかけた。ほぼ輸入に頼る小麦でつくるパン、うどんなどは今後、高くなる可能性がある。
 財務省が27日発表した1月の品目別貿易統計でも、輸入食品の値上がりが目立つ。ポテトなどの冷凍野菜、家畜のえさ用のトウモロコシの価格は、昨年10月から10%以上も上昇した。
 店頭では輸入食品の値上がりの動きはまだ見られないが、関東の中堅スーパーは「一部の品目で、仕入れ先から値上げの打診を受けた」(仕入れ担当者)と明かす
食品セクターではこんな食品が間違いなく上がる

●アベノミクス副作用 企業、収益圧迫に不安  円安で燃料や飼料高騰、価格転嫁難しく苦慮
          茨城 2013年3月25日(月)
 安倍政権の経済政策「アベノミクス」を受けた急激な円安の進行によるマイナス効果が県内にも波及しつつある。
円安とそれに伴う株高は輸出産業の業績回復につながっているが、原油や飼料など輸入品の高騰が企業の収益に影を落とし始めた。
4月からは小麦や電気代の値上げも控え、県内企業では「簡単に価格転嫁できない」と不安を募らせる。

▽包装材値上げ
「包装に使うビニールフィルムが7%も値上がりし、コストが増える」。菓子メーカーの亀印製菓(水戸市)では、フィルムメーカーから値上げを突き付けられた。原油の高騰で石油原料の包装材が値上がりし、製造用ボイラーの燃料も上昇。同社は「すぐに価格転嫁できない」と頭を抱える。油脂、砂糖など菓子原料の値上げ打診もあるという。

国は円安による輸入価格上昇を理由に、買い入れた輸入小麦を製粉会社に売り渡す価格を、4月から主要品で平均9・7%引き上げる。食用油やツナ缶に加え、パンや麺類の値上げもありそうだ。

県央のスーパーでは「基本は値上げ分をのみ込み、取引先と折半したり、量を減らして価格を維持したりする。消費者に迷惑をかけないようにやるしかない」と警戒する。

▽餌代を補填
家畜の餌に使う配合飼料価格も高騰している。畜産農家は売り値に上乗せできず悲鳴を上げる。飼料価格は主原料のトウモロコシが米国の干ばつで不作となった上、円安で高止まり。飼料メーカーは今年4〜6月期の価格を1〜3月に比べ1トン当たり平均約5%値上げし、5年ぶりの高値水準になる。農林水産省は農家への影響緩和として餌1トン当たり約5800円の補(ほ)填(てん)を決めた。

県南の酪農家は「自給飼料を積極的に取り入れて輸入飼料を使う割合を減らしても、乳代に占める飼料代は6割にもなり、値上げは収益に響く」と嘆く。

▽建築資材も
値上げは食品だけではない。県内の中小コンクリート製品製造業者でつくる県コンクリート製品協同組合は4月から、ブロックなど11品目を平均約9%値上げする。原料のセメントや鋼材の上昇や、燃料費高騰を理由に、同組合は「企業努力ではとても価格維持できない」と訴える。

建設業界でも、道路舗装材のアスファルトが昨年末から15%上がり4年ぶりの高値圏。県建設業協会は「資材全体で上がっている。簡単に値上げできず、赤字になる。資材高騰が続くようなら設計単価を見直して上げることも検討しないといけない」と苦しい胸の内を明かす。

●円安で食料や燃料価格上昇の兆候 牛丼チェーンでは深夜営業のワンオペ復活も
         ビズジャーナル 2013.03.27
トウモロコシ大干ばつでピンチ!(「Thinkstock」より)

 アベノミクスに浮かれていいのか。円安が進めば輸入品の価格が高騰し、給料が上がらなければ国民の生活は苦しくなる。3月から4月にかけて値上げラッシュがやってくる。
 政府・日銀は2%の物価目標を掲げているが、家電など高額商品の値上げは難しいから、物価を押し上げるための主役は食料品にならざるを得ない。急速な円安の副作用がじわりと出てくる。

 なかでも深刻なのは小麦だ。すでに国際価格は高騰している
。2012年は北米で起きた50年ぶりの大干ばつの影響で、世界の穀物相場の基準になる米シカゴ市場でトウモロコシや大豆が史上最高値となった。この2品目に引っ張られるように小麦も08年以来の高値をつけるなど、世界的な穀物高騰にブレーキがかからない状況になった。

 そのため農林水産省は昨年10月、輸入小麦の政府売り渡し価格を3%引き上げた。小麦は政府がいったん買い取り、製粉会社に転売する。業界最大手の日清製粉グループ本社は昨年12月、業務用小麦粉を値上げした。今年1月には家庭用小麦粉(中力粉、薄力粉)を平均2~5%上げた。

 世界的な穀物高騰に円安が重なる。輸入小麦の政府買い付け価格は3カ月連続で上昇。今年4月から製粉会社に売り渡す価格は、平均で9.7%値上がりする。5銘柄の平均で1トン当たり54990円。半年前より4860円高くなる。9.7%という上げ幅は、11年4月の18%以来の高さとなる。

 売り渡し価格が3%上昇したら、家庭用小麦粉が2~5%値上がりした。売り渡し価格が10%近く上がれば推して知るべし。製粉会社は6月ごろ再度、値上げに踏み切るものと予想されている。
 小麦粉の値上げは、製パンや製めん業者のコスト増につながる。コスト増を吸収できなければ、価格に転嫁せざるを得ない。パンやパスタ、お菓子など生活に不可欠な製品に影響が出る。女性に人気のスイーツの値上げも必至だ。
 食用油は大豆の高騰と連動して、昨年立て続けに値上げされた。

 トウモロコシはビールの風味付けから清涼飲料水の甘味料、さらに段ボールの接着剤まで幅広く使われるコーンスターチの価格に波及した。
 穀物の高騰に追い打ちをかけるのが円安だ。過去にもこんなことがあった。

 07年から08年にかけて、米国・カナダ・オーストラリアの同時干ばつによる穀物価格の高騰に、原油高と円安が重なり、即席めん、スパゲティ、みそ、ソーセージ、食用油、食パン、ビールなどが相次いで値上げされた。即席めんの価格は7~11%引き上げられた。スパゲティの小売価格は前年比27%の大幅アップ、食パンの値段は16%跳ね上がった。まさに値上げラッシュだった。

 空前の食品インフレがやってくると大騒ぎになったが、08年9月に起きたリーマン・ショックが、景気のみならず穀物価格をも急落させた。加えて原油価格も下がった。日本はデフレ傾向が強いこともあって、この時は一時的な値上がりにとどまった。

 だが、今回は、そうはいかない。安倍政権は2%の物価目標を掲げている。政治的な思惑もあるから、値上げは実質的に“政府公認”となっている。農水省も値上げに目をつぶるといわれている。
 08年当時、大手飲料メーカーは原材料価格の高騰を受けて値上げを検討したが、消費の鈍化を恐れて断念した経緯がある。シェア争いが激しい飲料業界では、リーディングカンパニーが値上げに踏み切らない限り、値上げは無理である。だが、今回は政府のお墨付きでコストが上がる状況だけに、価格転嫁は容易になる。

 食品セクターの常として、値上げは業務用でまず試し、家庭用に波及してくる。J-オイルミルズ(ホーネンと味の素の製油部門が統合、味の素が筆頭株主)の14年3月期は円安で100億円のコスト増になるという。値上げ時期を前倒しして「価格転嫁で乗り切るしかない」と語る。日清オイリオグループ、不二製油、かどや製油(ごま油首位)も軒並み値上げだ。日清オイリオは三菱商事、丸紅が大株主。不二製油は伊藤忠商事が20.3%の株式を持つ筆頭株主だ。かどや製油は三菱商事、三井物産が1、2位の株主だ。原料を輸入して提供している総合商社にも値上げの恩恵は及ぶ。

 製粉はトップの日清製粉グループ本社、第2位の日本製粉、準大手の日東富士製粉(三菱商事が62.9%を保有)の3社が値上げを決めればすんなり通る。日清製粉の大株主(8位)に住友商事が顔を出しており、庶民に密着する食品の値上げは、口には絶対に出さないが、上位5商社にとって追い風となる。

 冷凍食品はスーパーマーケットの客寄せの目玉商品として5割引などが横行していたが、こうした投げ売りは影をひそめた。これで、冷凍食品大手の味の素は粗利の改善につながる。

 円安のオーバーヒート(1ドル=120円、130円)を見据えた経営が重要になってきた。人手の確保が難しくなるので、コンビニエンスストアとファーストフードの店に、まず影響が出てくる。牛丼チェーンでは悪名高いワンオペ(夜間の1人勤務)を復活したところもある。

 介護業界や3K職場は、ただでさえ人手不足の状態だ。外国人労働者は円安で仕送りができなくなるから絶対数が減る。人員が手当てできずに店を閉じる外食や小売りが出てくるだろう。人手をいかにして確保するかが、出店の大前提となる。

 アマゾンジャパンは1月9日から全品完全無料配送を止め、価格の安いものは一部、有料配送に切り替えた。
 食品以外で見過ごせないのがエネルギーだ。電気代、ガス代はすでに上がっている。4月は電力10社(沖縄電力を含む)、都市ガス4社(東京、東邦、大阪、西部ガス)が一斉に値上げする。液化天然ガス(LNG)など燃料費の変動分を反映させる毎月の料金変更(燃料費調整制度)による値上げだ。


 レギュラーガソリンの全国平均小売価格は11週連続で値段が上昇した。これからもっと上がる。「ガソリンは200円時代がくる」などと噂されている。
 日本はエネルギー資源もなければ、食料自給率も低い。輸入に頼らざるを得ない。円高の是正は輸出企業の業績改善につながるが、過度な円安は物価上昇で、一層の家計部門の負担増を招く。
 値上げラッシュの本番は、これからだ。
(文=編集部)

●円安でも「コスト上昇」…輸入化粧品また値上げ=韓国
                2013年03月05日15時33分 [ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

海外化粧品・ブランド品が人気品目を中心に次々と値上がりしている。 特に、昨年以降ウォン高が進んでいる状況でだ。 ウォン安になるとそれを理由に値上げし、ウォン高になった現在は「コスト上昇」を理由に値上げしているのだ。 韓欧、韓米自由貿易協定(FTA)妥結による関税引き下げも、こうしたブランド品の価格には影響を与えていない。

P&Gの化粧品ブランドSK-IIは今月1日からブランド全製品のデパート・免税店・機内化粧品販売価格を平均3%引き上げた。 SK-II製品のうち最も人気がある「フェイシャルトリートメントエッセンス」は150ミリリットル基準でデパート販売価格が16万5000ウォンから17万5000ウォンに、215ミリリットルは18万9000ウォンから19万9000ウォンに5.2%上がった。 同じブランドの「セルミネーションエッセンス」(50ミリリットル)は22万9000ウォンから24万3000ウォンへと6.1%上がった。 SK-II製品はすべて日本で生産されている。 韓国P&Gの関係者は「円安になったが、原材料費・人件費がともに上昇し、これを反映せざるをえない」と主張した。

スイス化粧品ラ・プレリーも今月1日、スキンケアの全製品の価格をデパート・免税店で同時に引き上げた。 「セルラー・アイクリーム・プラチナム・レア」は44万ウォンから45万8000ウォンに、「エッセンス・オブ・スキン・キャビア・アイ・コンプレックス」は17万5000ウォンから18万1000ウォンに値上がりした。 一部の海外化粧品企業はデパート価格は引き下げ、免税店価格だけを引き上げた。 ロレアル・パリ、ランコム、ヘレナルビンスタイン、ベネフィット、エスティローダーなどが価格を最高3.5%引き上げた。 業界関係者は「ウォン高のため免税店の価格が相対的に安くなると、デパート価格を引き下げる代わりに免税店価格を調整したとみられる」と述べた。

バッグ・香水などを売る海外ブランド品企業も今年に入って次々と値上げしている。 イタリアのグッチは1月中旬、人気ハンドバッグと財布の一部の品目を4-11%値上げし、フランスのシャネルも先月、化粧品と香水の価格を平均4%引き上げた。 デパートでシャネルのアイシャドウ製品「イリュージョン・ドンブル・エブルイ」は2.2%上がり、「シャネル・ル・ブラン・メークアップ・ベース」は6万5000ウォンから6万8000ウォンへと4.6%上がった。 エルメスのハンドバッグ「ケリー」は最近、998万ウォンから55万ウォン値上がりし、1000万ウォンを超えた。 まだ値上げしていないセリーヌも春の新商品の衣類とバッグを5%ほど値上げする予定だ。

問題は、ブランド品の値上がりが国内のマステージ(準名品)ブランド品価格にも影響を与えている点だ。 MCM、メトロシティ、ルイカトズ、クロンヌなど国内バッグ・雑貨ブランドは最近、コスト上昇を理由に最高9%ほど値上げした。 MCMの「トート&ショルダーバッグファーストレディー」バッグは60万ウォンから65万5000ウォンへと9.1%、メトロシティもトートバッグ「MF402」は57万9000ウォンから61万9000ウォンへと6.9%上がった。 クロンヌも「ダイアナ」バッグを58万5000ウォンから62万5000ウォンに引き上げた。

匿名を求めたファッション業界の関係者は「バッグやハンドバッグは誇示型消費製品で、価格が安いからといって購入する製品ではない」とし「外国ブランド品が値上がりすれば、国産品との価格差がそれだけ開くため、価格を上げるしかない状況」と述べた。



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 昨年の政権交代の衆議院議員選挙における「一票の格差」を問うた訴訟。
 各地での16件の訴訟の判決の内訳は
 「違憲・無効」が2、「違憲」12、「違憲状態」2。合憲はゼロ。

 次は、これらの高裁判決を受けた最高裁の統一判断がどう出るかの段階。

 東京新聞の社説は、「最高裁は果断であれ」と明確。
 最高裁への督促とともに、
 「四増四減」の弥縫(びほう)策で行われる夏の参院選後には、全都道府県で、選挙無効訴訟が起きると聞く。
  またも、選挙無効や“違憲ラッシュ”の嵐が予想されよう。

 と指摘している。
 
 これに対して、読売新聞の社説は、
  ◆「無効」判断は無責任ではないか◆ 無効判決が確定すれば、政治は混乱するばかりだ。最高裁には現実的な判断を示してもらいたい」
 と極めて現状追認型。だから、記録するのはやめた。参考に、リンクだけ付けておく。

 読んでおもしろかったのは、「ダイヤモンド オンライン 2013年3月28日 /【第176回】 田中秀征 」の「年内再選挙の流れが強まるか 違憲、無効の高裁判決を高く評価」の意見。
 戦後初の無効判決を出した広島高裁の筏津裁判長の判示は、「最高裁の違憲審査権」について触れていたので、私は、最高裁判決を基準としていることを強調したものと読んでいた。
         (関連) 3月26日ブログ ⇒ 筏津裁判長のこと

 しかし、田中氏は、「無効としないであろう最高裁への牽制」である旨を指摘していて、ふむふむと思った。

 「また、今回の判決は「最高裁の違憲審査権も軽視されていると言わざるを得ない」とも述べている。
  この一文は軽視している政府や国会を責めているように見えるが、むしろ軽視されてもなお、甘い判決で済ませるかもしれない最高裁に対する強い牽制でもあると理解した。
最高裁はいよいよ追い詰められたのだ。」


 ところで、今日はここ山県市の臨時議会。
 先のブログで書いたように、
 会期中に追加上程された議案に問題があると私が指摘し、委員会で修正案を用意したら、
 結局、次の本会議で当該議案が撤回された。
 
 それは、2013年度当初予算案に示される幾つかの事業につき、2012年補正予算にも追加したいという議案。
 同一の事業を「二股をかけて」しかも「年度を越えて」計上するなどあり得ないとの私の指摘。
 結局、撤回。

 3月21日に定例会が閉会したばかりだけど、今日28日に臨時議会。
     こんなパターンはここの議会では、まず、ないこと。
 予定議案は、先の幾つか事業とともに、新たに数事業を含めて2012年補正予算として追加すること等、
 同時に、先日議決した2013年度当初予算について2013年度補正予算としてに前記事業を削除する等の議案。

 9時から議会運営委員会。10時から本会議の予定。

 (関連) 3月12日ブログ⇒ ◆信じられない想定外の議案/H25新年度予算と同一の事業をH24年度補正予算に追加上程
      3月14日ブログ⇒ 最終的には、昨日の午後、副市長が委員会に出席し「議案は次の本会議で取り下げます」と正式に表明

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●秋田支部は「違憲」=16判決出そろう—衆院選1票格差訴訟
         ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2013年 3月 27日 /[時事通信社]

 2012年衆院選の「1票の格差」をめぐり、全国で起こされた16件の訴訟の判決が27日、出そろった。同日に判決のあった仙台高裁秋田支部は、選挙を違憲と判断し、無効請求は退けた。
16件の内訳は「違憲・無効」が2、「違憲」12、「違憲状態」2となり、国会に極めて厳しい結果となった。

 年内にも上告審判決が出される見通し。戦後初の2件の無効判決が、最高裁の統一判断にどう影響するかが注目される。 

●「一票の格差」16訴訟で判決 違憲14件、合憲ゼロ
           
衆院選の「一票の格差」をめぐる各高裁・支部の判決

【青池学】「一票の格差」が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選について、弁護士グループが無効(やり直し)を求めた16件の訴訟は27日、仙台高裁秋田支部(久我泰博裁判長)で「訴えがあった秋田1区の選挙は、違憲だが有効」との判決が言い渡され、すべての高裁判決が出そろった。
16件中14件が「違憲」と判断し、このうち2件は「選挙無効」にまで踏み込んだ。

 残る2件は、憲法が要求する平等に反する状態にあるが、是正に必要な合理的期間は超えていないとする「違憲状態」の判決。
違憲状態にも至らない「合憲」はゼロだった。

 格差が最大2・30倍だった前回2009年の衆院選をめぐる訴訟では、9件の高裁判決のうち4件が「違憲」(無効はなし)で、3件は「違憲状態」。「合憲」も2件あった。

●政府・与党「0増5減」を優先 衆院選無効判決受け
      
テレ朝 (03/26 05:50)
去年12月の衆議院選挙を無効とした広島高裁の判決を受けて、政府・与党は、選挙区を5つ減らす「0増5減」を優先させる方針です。

 新藤総務大臣:「0増5減の確定の結果を待って勧告がなされれば、迅速に対応していこうと」
 戦後初めての選挙無効判決を受けて、政府は、被告である広島県選管と調整したうえで上告し、最高裁の判断を待つ方針です。

その一方で、去年の衆議院解散の間際に成立した0増5減法に基づく区割りの改定案が、28日に政府の審議会から勧告されます。
政府・与党は、これを受けて、直ちに関連法案を提出し、今の国会での成立を目指します。

 自民党・石破幹事長:「0増5減は優先してやるということが合意みていた。違憲状態の解消は必ずやらなければいけない」
 民主党・細野幹事長:「『格差是正』と、その手段として『定数削減』、それをとにかくしっかりやりきると」

 民主党などは、0増5減とセットで定数削減を行うべきだと主張しています。しかし、自民党が示している比例代表の30議席削減案については、「不十分だ」などとして協議は進んでいません。

●1票の格差:自公「0増5減」成立急ぐ 違憲判決相次ぎ
        毎日新聞 2013年03月27日
 自民党の石破茂幹事長と公明党の井上義久幹事長らは27日、東京都内のホテルで会談し、昨年の衆院選の「1票の格差」をめぐり違憲・選挙無効判決が相次いだ事態を受け、小選挙区を「0増5減」する区割り法案を早期成立させることを確認した。
 しかし「0増5減」による是正策を「不十分」などと指摘する司法判断が示されていることから、民主党の岡田克也政治改革推進本部長は与党方針を批判。溝は埋まっていない。

 「1票の格差」の是正をめぐっては、衆院選挙区画定審議会が28日、「0増5減」を反映した区割り改定案を安倍晋三首相に勧告する。政府はこれを踏まえ、4月上旬にも公職選挙法改正案を国会に提出する方針だ。

 石破氏はこれについて記者団に「最大限尊重し、最優先で取り組む」と述べ、今国会中の成立を目指す考えを強調した。
 これに対し岡田氏は、与党の「0増5減」による是正方針について「高裁レベルで(否定的な)判決が出ているのに、立法するのは前代未聞だ」と指摘した。

 一方、自公両党は27日、「1票の格差」是正とは別に、衆院選挙制度改革に関して比例代表の定数30削減と「中小政党枠」の導入を柱とする自民党案を「与党案」とすることを確認。
28日に両党幹事長が合意文書を交わす。石破氏は「まずは自公、そして民主党を入れた形を優先する」と記者団に語り、各党協議に先立って自公民3党の幹事長会談を呼びかける考えを示した。【念佛明奈】

●1票の格差 最高裁の統一的判断に注目
           NHK 3月28日
 去年の衆議院選挙のいわゆる1票の格差に対する一連の裁判で、全国に起こされた16件の判決が27日までに出そろいました。
判決は「選挙無効」を言い渡した2件を含め、「憲法違反」の判断が14件に上っていて、今後、最高裁判所がどのような統一的な判断を示すか注目されます。

弁護士などの2つのグループは去年12月の衆議院選挙に対し、いわゆる1票の格差を理由に選挙の無効を求める訴えを全国の高等裁判所に起こし、選挙区については27日の仙台高裁秋田支部で16件の判決が出そろいました。
内訳は「憲法違反」が14件で、このうち2件は国政選挙では戦後初めてとなる「選挙無効」が言い渡されました。

また「違憲状態」も2件ありましたが、「合憲」と判断した裁判所は一つもありませんでした。

「憲法違反」の判決の多くは、格差の是正を求めた前回の最高裁判決から選挙までの期間が1年9か月あったにもかかわらず、区割りが見直されなかったことを批判していて、広島高裁岡山支部は、「国会の怠慢であり、司法判断の甚だしい軽視だ」などと指摘しています。

さらに小選挙区を5つ減らす「0増5減」についても、札幌高裁が「必要最小限の改定にとどめようとしたもので、最高裁の指摘とは内容が異なる」と指摘する判決もあります。
各地の裁判は一部がすでに上告され、今後、最高裁判所が15人の裁判官全員の大法廷ですべての裁判を審理することになります。
最高裁の判決は年内にも言い渡されるとみられていて、1票の格差についてどのような統一的な判断を示すか注目されます。

●【社説】最高裁は果断であれ 一票の格差訴訟 
             東京 2013年3月28日
 昨年の衆院選は「無効」とした二つの判決は衝撃だった。一票の格差訴訟で“違憲ラッシュ”が続く異常事態だ。最高裁は果断な判断を早く出すべきだ。

 警告が発せられていたのに、それでもルールを無視したら、アウトになる。そんな常識が国会には通用しないらしい。

 あたかも警告に従順であるように見せかけ、わずかにルールをいじって、セーフだと言っても、審判には通用しない。昨年十二月に実施された衆院選と、その後の「一票の格差」訴訟を眺めると、そんな印象を持つ。

吹き荒れた「違憲」の嵐
 全国十四の高裁・高裁支部で二つの弁護士グループが起こした裁判は計十六件。広島と岡山で「違憲・無効」判決が出て、東京や札幌、金沢など十二件が「違憲」だった。「違憲状態」としたのは、名古屋と福岡だけだ。列島の中を「衆院選は憲法違反」という春の嵐が吹き荒れたかのようだ。

 違憲論理は明瞭だ。
(1)投票価値が不平等かどうか
(2)是正するために合理的な期間を過ぎているかどうか
(3)選挙無効とするかどうか。
この三点で判断された。

もともと有権者一人が持つ一票の価値に、最大二・四三倍もの格差があった。
ある人は「一票」なのに、ある人は「〇・四一票」しかない。不平等であるのは明白だ。


 その“病根”を二〇一一年に最高裁は「一人別枠方式」にあると明示した。
 あらかじめ四十七都道府県に一議席ずつ配分する方式の廃止を求めたのだ。

 これが警告だ。

 だが、国会は昨年の解散間際に、法律の規定を削除したものの、事実上、同方式を温存したまま、「〇増五減」を決めた。
ルールをわずかにいじった目くらましの手にすぎない。
 札幌高裁などは「最高裁判決の指摘に沿った改正とは質的に異なる」と断じた。審判の目からは逃れられない。


事情判決に安住するな
 しかも、最高裁判決から一年八カ月もの時間があった。同時に従来の区割りで選挙をした。「違憲」は自明の結論といえよう。

 広島と岡山では、違憲でも選挙は有効とする、いわゆる「事情判決の法理」が通用しなかった。
 選挙無効とした場合、大きな政治的混乱が予想され、それを回避するため、一九七六年に最高裁が“発明”した法理論である。

 ただし、無理があるとも指摘されていた。元最高裁判事の藤田宙靖氏は「最高裁回想録」(有斐閣)で記している。

 <「事情判決の法理」とは、ただ、“公共の福祉に著しい影響を及ぼす場合には、憲法違反の国家行為も無効ではない”という余りにも乱暴な理屈を無造作に展開するものに過(す)ぎないことになるのであって、私には到底賛同することができない>

 広島が八カ月の猶予期間を付けた“未来の無効”であったのに対し、岡山は猶予を付けなかった。「投票価値の平等に反する状態を容認する弊害に比べて、政治的混乱が大きいとはいえない」と踏み込んだ判断をしたのだ。

 もちろん、最高裁で「違憲」が確定するだけでも、現行の小選挙区が中心の制度が実施されてから、初となり意味は極めて重い。

 確定判決の趣旨に従って、国会に法改正の義務が発生するからである。「一人別枠」を実質廃止し、小選挙区を人口比例配分することになろう。
金沢判決などが「区割りは、実務上可能な限り人口に比例してされねばならず、許容される格差はさほど大きくない」と明言している。

 だが、実際に国会は機敏に動くだろうか。無効を宣言しない限り、政治は鈍感であり続けはしないか。自民党の制度改革案でも、比例選の定数を三十減にし、中小政党への配慮策など盛り込んだ内容にすぎない。比例選こそ、平等選挙の世界であり、その定数を減らすことなど、「一票の格差」問題とは無関係である。

 議員自身が利害当事者だから、抜本改革が期待できないのだ。身を切るなら、莫大(ばくだい)な政党交付金を大幅に削った方が国民にわかりやすい。司法は政治になめられている。こんな国会を許すなら、最高裁は憲法の番人たりえない。

 「四増四減」の弥縫(びほう)策で行われる夏の参院選後には、全都道府県で、選挙無効訴訟が起きると聞く。またも、選挙無効や“違憲ラッシュ”の嵐が予想されよう。

腹くくる覚悟で臨め
 四五年三月、戦時下でありながら、当時の大審院は、東条英機政権下の翼賛選挙に「衆議院議員ノ選挙ハ之ヲ無効トス」と宣言した。再選挙を行わせるほど、腹をくくったのだ。

 憲法が要請するのは、実際上、可能な限りの一票の平等であることは、疑いがない。試されるのは最高裁の覚悟である。


●衆院選違憲判決 国会は司法の警告に即応せよ(3月27日付・読売社説)
     (2013年3月27日01時12分 読売新聞)>

●年内再選挙の流れが強まるか 違憲、無効の高裁判決を高く評価
                ダイヤモンド オンライン 2013年3月28日 /【第176回】 田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
「違憲であっても無効ではない」  そんな甘い考えを持っていなかったか?
 広島高裁は3月25日、昨年末の総選挙における小選挙区の区割が「違憲」であり、広島1、2区の選挙を「無効」とする判決を示した。その後も、同様の判決が相次いでいる。

 当然のことながら、日本の司法が立法や行政に対して毅然とした態度で臨んだことを高く評価する。

 このような事態を招いた責任はどこにあるのか。その責任を誰がどのように引き受けるのか。
しかも、解散当時既に定数の不均衡が違憲状態にあることは明白であった。それにもかかわらず、総選挙をあえて断行したのだからきわめて罪深い。

 罪一等と言うべき野田佳彦首相は、判決への感想を求められても沈黙して立ち去ったという。おそらく彼は、周辺から「違憲となっても無効にはならない」と言われてそれを信じたのであろう。

 今回の判決は、現衆議院議員の正統性に疑いがあると言われたに等しい。そして、そこで選ばれた首相や内閣まで正統性に欠けていると言われても反論できない。それどころか、国会で成立した法律や条約、予算などすべてが憲法違反の中での所産ということになってしまうのだ。

 判決は、国会と内閣の怠慢を厳しく批判している。最高裁の違憲状態判決を経て1年半以上も“一票の格差是正”を放置したこと。国会の会期が479日もあった。「消費増税を柱とするいわゆる社会保障・税一体改革関連法など、極めて多くの政治的課題を抱えていた法律が成立していることをみても、是正が合理的期間内になされないと言わざるを得ない」と判決は断じた。要するに、消費税増税を定数是正に優先させた。税法を憲法に優先させた。それを痛烈に批判しているのだろう。

 おそらく、国会も内閣も最高裁ではせいぜい「違憲であっても無効ではない」との判決が出ると今でも信じている人が大半なのだろう。

また、今回の判決は「最高裁の違憲審査権も軽視されていると言わざるを得ない」とも述べている。この一文は軽視している政府や国会を責めているように見えるが、むしろ軽視されてもなお、甘い判決で済ませるかもしれない最高裁に対する強い牽制でもあると理解した。
最高裁はいよいよ追い詰められたのだ。


 憲法違反の中で生まれた国会や内閣は、国民からだけでなく、諸外国からも信頼を失う恐れがある。もしも最高裁が内閣や国会に遠慮して甘い判決で済ませれば、日本の統治機構が三権分立どころか、三権一体とも見られかねない。そして憲法の権威も失墜するのだ。

もはや待ったなしの再選挙実施
「三権」の真価が問われている
 ところで判決は、無効の効果が今年11月26日をもって発生するとして猶予期間を置いている。暗に選挙のやり直しを命じていると言ってもよい。もはや待ったなしのところまで来ているのだ。

 本欄で私は、まずは0増5減の最小限の是正で違憲ではない総選挙をし、その後に抜本改革をと何度も主張してきた。そのために解散・総選挙は今年の夏以降まで先送りすべきであった。

 さらに言えば、一昨年の最高裁判決後直ちに定数是正をして解散していれば、経済も外交ももっと早く立ち直った可能性が高い。

 さすがに安倍晋三首相は、今のところ今回の判決を真摯に受け止めているようである。

 そもそも規則を守らない人には、新しい規則をつくる資格がない。
憲法改正を唱える為政者は、まずもって現行憲法を厳正に厳守しなければならない。た
とえ最高裁が「無効ではない」と判断しても、「違憲」とされたら年内早期に再選挙を実施すべきである。

そうすれば、内外からさらに大きな信頼を受け、政権の指導力も格段に強まるに違いない。

 今や、国会、内閣、司法それぞれの真価が問われているのだ。


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 昨日のブログに続いて、衆議院選挙の「無効」の判決のこと。
 一昨日の広島高裁の判決は選挙無効による混乱がないよう猶予期間を作ったが、
 昨日の広島高裁岡山支部の判決は猶予期間を設けない「即時無効」判決だった。

 その他、各地の裁判で、「違憲」の判断が大部分。
 裁判所全体が、つまり3権分立のうちの「司法」が「立法」を明確に否定した。
 党利党略の定数問題などの思惑で話し合いがまとまらず、選挙制度の改革ができない、
 自浄力のない国会が強く批判されるのは当然。

 (日経) 「2つの弁護士グループが全国14の高裁・支部で計16件起こしており、25日の広島高裁と26日午前の同高裁岡山支部が
      「違憲・無効」と判断。11件が「違憲」、2件は「違憲状態」だった。
       27日の仙台高裁秋田支部で高裁判決が出そろい、
       最高裁大法廷が今夏にも統一判断を示す見通し。」


 (産経)「 無効判決が確定すれば、16訴訟の対象となっている31選挙区の議員は最終的に失職する。
       失職議員が審議に関わった予算や法律の効力には影響しないとの学説が有力で、
       岡山支部判決も「憲法が所期しない著しく不都合な結果を招くことになる」として、同様の考えに立つ。

     「 無効判決の効力が及ぶのは31選挙区だが、格差是正には規定の大幅な見直しが必要とみられ、実際には選挙全体がやり直しになる可能性もある。

 久しぶりに痛快な判決が続くので、気分がいい。

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●1票の格差、高裁岡山も「無効」 7判決すべて「違憲」
          中国新聞 '13/3/27
 最大2・43倍の「1票の格差」が是正されないまま実施された昨年12月の衆院選は違憲として、弁護士らのグループが岡山2区の選挙無効を求めた訴訟の判決が26日、広島高裁岡山支部であった。
片野悟好裁判長は、格差を是正しなかった国会の対応について「司法軽視は甚だしい」として違憲と判断、選挙無効を言い渡した。

 無効判決は、衆参両院を通じて戦後初となった25日の広島高裁に続き2件目。
広島高裁判決は一定期間が過ぎた後に無効となる「将来効判決」だったが、岡山支部判決は猶予を設けていない。

確定すれば、岡山2区選出の自民党の山下貴司氏は失職する。

 
 一連の1票の格差訴訟で26日は岡山支部のほか、広島高裁、広島高裁松江支部などで6件の判決があった。
6件は全て違憲とした上で選挙無効の請求は退けた。
広島高裁は25日とは別の裁判長が判決を言い渡し、結果が分かれた。

 岡山支部判決で片野裁判長は「国会は昨年11月に駆け込み的に緊急是正法を成立させたにすぎず、怠慢」と指弾。選挙を無効として岡山2区の選出議員を欠く政治的混乱についても「長期間、投票価値の平等に反する状態を容認する弊害の方が大きい」との考えを示した。

 一方、広島1、2、3区をめぐる26日の広島高裁判決は「国政の運営に重大な支障を与える恐れがある」として選挙無効を回避。松江支部判決は「(2009年衆院選を違憲状態とした)11年の最高裁判決の趣旨に沿った区割りの改定が実施される可能性がある」とし、島根1区の無効請求を退けた。広島高裁、松江支部の各訴訟の原告弁護団は即日上告した。

 衆院選小選挙区をめぐり、二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした計16件の訴訟では「違憲・無効」2件、「違憲・有効」11件、「違憲状態」2件の判決が言い渡された。
27日の仙台高裁秋田支部判決で一審判決が出そろう。



●“一票の格差” 岡山2区も衆院選「無効」
       日テレ  3/27 2:21 (岡山県)
 去年の衆議院選挙で最大2.43倍の「一票の格差」があったことについて、広島高裁岡山支部が26日、「違憲状態の放置は甚だしい怠慢であり、司法判断の軽視だ」として、岡山2区の選挙を無効とする判決を言い渡した。

 この判決について、岡山2区で当選した自民党・山下貴司議員は、「これは選挙制度、そして政治改革、これが今問われている話だと思いますね。選挙の効力が有効なのか無効なのかについては、最終的に最高裁のご判断があると思います」と述べた。 一票の格差をめぐっては、全国で「選挙無効」を求める16件の訴訟が起きている。

26日までに高裁で判決が出たのは15件で、うち13件については「違憲」や、その一歩手前の「違憲状態」としたものの選挙自体は有効としているが、25日の広島高裁と26日の広島高裁岡山支部は違憲とした上で、選挙も「無効」とした。

 選挙区ごとの一票の価値に最大で2.43倍の格差があった去年の衆議院選挙だが、無効判決が出た岡山2区では1.41倍、広島1区では1.54倍、広島2区では1.92倍と突出した数字ではない。
 これについて、元最高裁判事・濱田邦夫弁護士は「(一票の格差が)1.4倍か1.5かということをあまり考慮していないというのは、全体がやはり問題であると。全体の選挙制度そのものの、憲法上の合法性という視点が非常に強いですよね」と話す。

 さらに、広島高裁岡山支部の無効判決は、広島高裁の判決より一歩踏み込んだものとなった。
判決の猶予期間について、広島高裁の判決は選挙無効による混乱がないよう一定期間の猶予を与えるものだったが、広島高裁岡山支部の判決は猶予期間を設けない「即時無効」。

つまり、最高裁で無効判決が確定した場合、岡山2区の議員は直ちに失職する。
 

しかし、濱田弁護士は「即時無効の効力が発生するというパターン、これは非常に混乱が生じますので、この立場を最高裁がとることはないと思う。『違憲であるけれども選挙は無効にしない』高裁でそういう判断がいくつか出ていますけれど、論理的には考えられる」と話した。

●衆院選、岡山も「無効」判決…猶予期間設けず
       (2013年3月26日23時08分 読売新聞)
「1票の格差」が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選について、二つの弁護士グループが選挙無効(やり直し)を求めた一連の訴訟で26日、新たに7高裁・支部が選挙を「違憲」とする判決を言い渡した。

 このうち広島高裁岡山支部は岡山2区の選挙を無効とした。無効判決は25日の広島高裁判決に続き2件目だが、同高裁とは異なり、無効となるまでの猶予期間は設けず、より厳しい判断となった。

 昨年12月の衆院選を巡っては14高裁・支部に計16件の訴訟が起こされ、26日までに15件の判決が出された。
内訳は、「違憲、無効」が2件、「違憲だが選挙は有効」が11件、「違憲状態」が2件。
27日に仙台高裁秋田支部で最後の判決が言い渡される。いずれも上告され、最高裁が年内にも統一判断を示す見通し。


 25日の広島高裁判決は、無効判決の効力が出るまで約8か月間の猶予期間を設けた。
しかし、26日の同高裁岡山支部の判決で、片野悟好(のりよし)裁判長は「投票価値の平等に反する状態が続く弊害に比べ、選挙を無効とすることによる政治的混乱は大きいとはいえない」と述べ、判決が確定した段階で猶予期間なく無効になると判断した。

 判決で片野裁判長はまず、1票の最大格差が09年の2・30倍から2・43倍に拡大し、格差が2倍超の選挙区も45から72に増えていることから、「憲法に著しく反する状態だった」と指摘。
11年3月の最高裁判決が09年衆院選を「違憲状態」と判断してから1年9か月間にわたって区割りを是正しなかった国会の対応は怠慢で、「司法判断に対する甚だしい軽視だ」と批判し、選挙は違憲との考えを示した。

●衆院1票の格差、違憲判決が計13 うち2件「無効」
     日経 2013/3/27 1:14
最大2.43倍の「1票の格差」があった昨年12月の衆院選は違憲だとして、弁護士らのグループが選挙無効を求めた訴訟の判決で、大阪高裁など4高裁・支部は26日午後、いずれも小選挙区の区割りを違憲と判断した。選挙無効の請求は退けた。

 2つの弁護士グループが全国14の高裁・支部で計16件起こしており、25日の広島高裁と26日午前の同高裁岡山支部が「違憲・無効」と判断。11件が「違憲」、2件は「違憲状態」だった。27日の仙台高裁秋田支部で高裁判決が出そろい、最高裁大法廷が今夏にも統一判断を示す見通し。

 この日午後の判決は大阪高裁のほか、広島高裁、福岡高裁宮崎支部、同那覇支部。広島高裁の判決は25日の無効判決とは別の裁判長が担当した。

 いずれの判決も、昨年衆院選の区割りを「投票価値の平等に反する状態だった」と指摘。最高裁が2009年選挙を「違憲状態」としてから選挙までに区割りが見直されなかった点を重視し、違憲判断に導いた。

 その上で、選挙無効について検討。公益に重大な障害が生じる場合は違法宣言にとどめられる「事情判決の法理」を採用し、選挙は有効とした。

 一方、26日午前の広島高裁岡山支部は判決の確定で即時無効とした。ただ、議員が失職した場合、その議員が立法作業に関わった法律の効力に問題が生じることも考慮。判決確定前の議決などには影響はないと判断した。

 計15件の判決では区割りを違憲とする判断はほぼ一致。国政や国民への影響が大きいとされる選挙無効については結論が分かれている。

●【1票の格差訴訟】最高裁、統一判断へ 「無効」なら31選挙区失職
         産経 2013.3.27 00:01
 最大2・43倍の「一票の格差」が生じた昨年12月の衆院選が再び無効と判断された。26日の広島高裁岡山支部判決は、格差を長期にわたって容認する弊害に比べて「無効判断による政治的混乱が大きいと直ちには言えない」と判断。同種訴訟で戦後初の無効を言い渡した前日の広島高裁判決からさらに踏み込み、猶予期間を与えず確定と同時に判決の効力が生じる「即時無効」を突きつけた。

 一連の16訴訟は今後、上告を受けて最高裁が統一判断を示す見通し。
最高裁は衆院選でこれまで2度の「違憲」判決を出しているが、いずれも「事情判決の法理」を用いて無効を回避しており、今回も無効と判断する可能性は低そうだ。


 ただ、仮に無効とする場合は、広島高裁判決のように、一定期間経過後に無効とする「将来効」判決か、岡山支部のような「即時無効」判決かなど、効力の発生時期についても判断を示すとみられる。

 無効判決が確定すれば、16訴訟の対象となっている31選挙区の議員は最終的に失職する。
失職議員が審議に関わった予算や法律の効力には影響しないとの学説が有力で、岡山支部判決も「憲法が所期しない著しく不都合な結果を招くことになる」として、同様の考えに立つ。


 無効判決の効力が及ぶのは31選挙区だが、格差是正には規定の大幅な見直しが必要とみられ、実際には選挙全体がやり直しになる可能性もある。


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 昨夜、報道機関の記者から電話があった。
 「広島高裁で選挙無効の判決が出ました。
  判決は筏津裁判長で、どういう裁判長かと調べていたら、寺町さんの渡し船の(筏津裁判長の)判決が出てきました。
  2000万円を県に返せと訴えたことに1900万円を返せと判決されたんですよね。  
  筏津裁判長ってどんな人ですか?」
 という旨の問。

 私は、次の旨を答えた。
 「『選挙無効』の判決ですか! 筏津さんならわかるなぁ。
  きちっとこちらの訴えをとつずつ聞いてくれて、よく調べて、判断してくれます。
  渡し船の裁判の最後には、現場検証を認めてくれて、裁判官も現地にいって一緒に渡し船に乗り、(事務官が)ビデオも撮っていましたました。
  こちらの主張を論理的に判断し、証拠を一つずつ丁寧に見てくれました。
  (・・・以下略・・・)」

 以前、岐阜地裁にいた筏津(いかだつ)さんが広島高裁にいることは知っていたけど、今度の一票の格差訴訟の担当とは知らなかった。
 (読売新聞)  「選挙を無効とする」。筏津(いかだつ)順子裁判長が主文を読み上げた瞬間、法廷内は静まり返り、被告代理人ばかりか、原告の弁護士までが驚いた表情を浮かべた。
   「ここまで踏み込むとは思っていなかったので、『選挙無効』用のコメントは用意していなかった」

 
 判決の分かりやすい新聞記事を今日のブログに記録しておく。
 そして、同じ訴えの裁判の判決が、今日26日に全国7つの裁判所で言い渡される。
 注目度は極めて高い。
 
 ところで、渡し船の住民訴訟、岐阜地裁で6年以上かかったので裁判長も交代し3人にも。
 最初の裁判長は偏見に満ちて、こちらに対応していた。

 次の裁判長になって、そのころ『談合』に関する新しい最高裁判決が3つ続けて出たので、
 その判決を駆使して、こちら原告の「過去4年分のお金を返せ」の主張の正当性を展開した。
 その書面を読んだ裁判長は、
 「主張はよく分かりました。寺町さん、ご苦労様だったので、350万円で和解してはどうですか」と。
 
 もちろん、こちらは、その場で断った。
 「この事案の性質から、お金の返還は「過去1年分の支出を対象とするのが原則」の住民訴訟だけど、
  その例外として『過去4年分はダメだ」と判決に書いて欲しいからです」と申し上げた。

 この訴訟は、5年間ほどラウンドテーブル(会議室のような小さい法廷での話し合い形式)で続いた。
 ラウンドテーブルも渡し船訴訟は30分から1時間と長い日が多かった。
 それが、通常、1カ月から2カ月に一回開かれる。

 岐阜地裁に筏津裁判長がいた確か3年間は、筏津裁判長ともずいぶんといろいろと話し合った。
 被告らを外に出して、筏津裁判長ら裁判所関係者とこち原告との話し合いも何度もあった。
 「和解」を勧められたこともあった。
 もちろん、前記同様に、和解は拒否。

 その筏津裁判長が私たち県民の訴えの殆どを認めてくれた「渡し船」事件とは以下。

 岐阜県及び愛知県は、単独あるいは共同で県営(無料)渡船事業を行っている。
 しかし、この多く(岐阜市の「小紅の渡」を除く)は、殆ど利用のない実態。
 それにもかかわらず周年全日執務した、として多額の委託料等が支出され続けて来た。
 この“カラ”業務というしかないにもかかわらず、常時勤務したとして虚偽の業務報告をし、県もこれを黙認してきたというしかないので
 私たちが名付けていわく「カラ渡船」。

 業務報告が事実と異なるように故意、秘密裏に粉飾されていたから、極めて悪質であり、
 同時にこれらを県民が知ることは困難で、正当な理由があるので、
 1999年6月から過去4年分と1999年の予算分約2000万円について住民監査請求、住民訴訟とした。

 関連データは以下など。
2007年5月31日のブログ ⇒ ◆岐阜県海津のカラ渡船・委託料の住民訴訟、勝った!それも大部分が認められた。気持ちいい判決文の速報

2005年7月16日のブログ ⇒ ◆県営カラ渡船の住民訴訟。 裁判所による渡船の現地検証。世界ボート選手権の開催地。長良川河口堰近く

2007年6月1日ブログ ⇒ ◆海津の渡船の岐阜地裁の判決の報道から

2007年9月29日のブログ ⇒ ◆海津と県職員は控訴。県営カラ渡船の住民訴訟。控訴審が開かれた

2008年1月25日のぶろぐ ⇒ ◆カラ渡船の住民訴訟/こちらは控訴審でも和解を断り続けた/控訴審判決言渡し、3月14日

2010年7月2日のブログ⇒ ◆最高裁決定で勝訴判決の確定/県営渡船の委託料/カラ渡船事件

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●昨年衆院選は「違憲」無効 広島高裁、やり直しを命令
             スポニチ  2013年3月26日 
 最大2・43倍の「1票の格差」が是正されずに実施された昨年12月の衆院選をめぐる全国訴訟の判決で、
広島高裁(筏津順子裁判長)は25日、小選挙区の区割りを「違憲」と判断し、広島1、2区の選挙を無効とした。無効の効果は「今年11月26日の経過後に発生する」とした。

 同種訴訟の無効判決は初。直ちに無効とはならないが、格差の抜本的な是正に乗り出さなかった国会に、司法が選挙のやり直しを命じる異例の事態となった。一連の訴訟で小選挙区についての判決は8件目で、違憲判断は6件目。

●クローズアップ2013:衆院選、無効判決 政治の放置、限界
          毎日新聞 2013年03月26日
 
各高裁・支部の判決結果

12年衆院選を巡る25日の広島高裁判決は、「将来の選挙無効」を突きつける内容となった。「最高裁の違憲審査権も軽視されている」と述べ、「1票の格差」是正に向き合わない国会に対する不信が限界を超えたことの表れと言える。各地の高裁、高裁支部に提訴された計16件の訴訟のうち、今回の無効判決を含め8件が言い渡され、1票の最大格差2・43倍で行われた衆院選を「合憲」とした判断はまだない。広島高裁判決の「衝撃」が、永田町を揺さぶった。

 ◇是正期間を厳格化 最高裁判断に影響も
 昨年衆院選の「1票の格差」を巡っては、二つの弁護士グループが全国8高裁、6高裁支部に提訴していたが、「選挙無効」が出るか否かが最も注目されていた。政府関係者は「可能性はあると思っていたが、まさか本当に出してくるとは」とため息をついた。無効判断以外にも5件の「違憲」と2件の「違憲状態」判決が出ており、最高裁の統一判断に一定の影響を与える可能性が高い。

 「一定期間が経過した後に無効の効力が発生する判決も検討の対象」。計16件の訴訟で最初の判決となった6日の東京高裁判決も「将来の無効判決」の可能性に言及したが、「今後、投票価値の平等にかなう区割りに是正される」などとして、無効判断を回避した。

 選挙無効訴訟は(1)格差が憲法の求める選挙権の平等に反するか(2)是正のための合理的期間を過ぎたか−−の2段階で違憲性を判断する。格差が平等に反しても、まだ是正期間内と判断すれば「違憲状態」、期間を過ぎていれば「違憲」となる。

 最高裁が中選挙区制度下の衆院選で示した2度の違憲と2度の違憲状態判断は、いずれも最大格差3倍以上だった。ところが、小選挙区制に移行して初めての違憲状態判断(11年3月)は、09年衆院選の最大格差2・30倍を問題視した。厳格化の背景には、国会の遅い対応に従って、合憲ラインが次第に低くなっているとの見方が強い。

 こうした中、先の衆院選は、09年衆院選と同じ区割りで実施されたため、今回の16件の訴訟では(1)は主な争点ではなく、(2)を判断した上で、無効とすべきかどうかが焦点となっている。

 札幌高裁の違憲判決(7日)は(2)について「11年3月の最高裁判決から選挙まで1年9カ月もありながら、この間に国会が実現したことは必要最小限の(制度)改定にとどめようとするものに過ぎない」と批判。一方で名古屋高裁の違憲状態判決(14日)は「最高裁判決後、各党間の協議や法案審議がなされていた。ねじれ国会だったことを考慮すると、一概に国会の怠慢と非難することは相当でない」と、ある程度肯定的にとらえた。高裁の裁判官の間でも温度差が生じていると言えそうだ。

 今後、最高裁で無効判決が出るとどうなるのか。

 現実に国政選挙の無効が確定したケースはなく、失職対象や、失職議員の当選後の議員活動の扱いなどの法解釈はあいまいだ。広島高裁判決は2選挙区を対象とし、2議員だけが影響を受けるが、最高裁が統一判断するのは16件31選挙区。無効判決が確定すれば、失職議員が拡大する事態につながる。議決などの議員活動については失職前のものは有効とする学説が主流と言われるが、明確な法規定はない。【石川淳一】

==============
 ■ことば
 ◇1票の格差
 議員1人当たりの有権者数を選挙区ごとに計算し比較した倍率。選挙区の区割りによって、人口が集中する都市部より、地方の方が1票の価値は重くなる。昨年12月の衆院選では、有権者が最も多い千葉4区と最も少ない高知3区との格差は2.43倍だった。高知3区の有権者1人が1票を持つのに対し、千葉4区の有権者は2.43人で1票を持つ計算になる。

==============

 ◆訴訟対象の小選挙区と当選議員
 ・・・・・・(略)・・・

●画期的か非現実的か…1票格差、選挙無効に衝撃
           (2013年3月26日07時13分 読売新聞)
 「もはや憲法上、許されるべきではない」。衆院選の「1票の格差」を巡り、選挙の無効を言い渡した25日の広島高裁判決。
 「出るはずがない」と言われてきた初めての無効判決に、格差是正を求め続けてきた原告側は「画期的」と歓迎したが、地元の政党関係者は「非現実的だ」と反発、各方面に衝撃が広がっている。

 ◆原告団 
 「選挙を無効とする」。筏津(いかだつ)順子裁判長が主文を読み上げた瞬間、法廷内は静まり返り、被告代理人ばかりか、原告の弁護士までが驚いた表情を浮かべた。

 「ここまで踏み込むとは思っていなかったので、『選挙無効』用のコメントは用意していなかった」


 閉廷後、広島市内で記者会見した原告団の金尾哲也弁護士は満面の笑みを浮かべながら、「うれしい誤算」についてこう明かした。裁判所前で掲げる「勝訴」の紙も用意していなかったという。

 それでも、「本来の司法権の役割を明確に打ち出してくれた」と判決を高く評価。判決が、今年11月27日から選挙が無効となるとした点について、「我々の望み以上に短い期間。国会議員は襟を正して是正に取り組むべきだ」と訴えた。

 同席した石井誠一郎弁護士も、これまで区割りを是正してこなかった政治を批判し、「違憲状態とした2011年の最高裁判決から前回選まで、国会の会期は479日あった。考える期間を裁判所が与えていたのにできなかった」と指摘した。

 ◆当事者
 衆院広島1、2区で選挙戦を戦った当事者たちは、複雑な表情で受け止めた。

 「厳粛に受け止めなければならない」と言葉少なに語ったのは、広島1区選出の岸田文雄外相。同2区選出で自民党の平口洋衆院議員は「区割りのあり方を議論していかないといけない」とした一方で、「広島1、2区だけ(1票の格差が)突出しているわけではない。『司法は踏み込みすぎだ』という議論も出るのではないか」と苦言も忘れなかった。同党広島県連の宇田伸幹事長も、「内政や外交で課題が山積するなかで、再選挙を求めるのは非現実的」と批判した。

 落選者からは「やり直し」を求める声も上がった。
広島1区から民主党公認で立候補した野中幸市さんは「裁判の結果を軽んじることは、国民の意思を軽んじること。格差を正したうえで、選挙をやり直すべきだ」と強い口調で語った。


●1票の格差 きょう7か所で判決
       NHK 3月26日
去年の衆議院選挙で選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差があったことについて、広島高等裁判所は25日、国政選挙を無効とする戦後初めての判決を言い渡しました。
同じ訴えの裁判の判決が、26日は全国7つの裁判所で言い渡されることになっていて、国会に対し、格差是正を迫る判断が続くものとみられます。

1票の格差が最大で2.43倍あった去年12月の衆議院選挙について、弁護士などの2つのグループが全国14の裁判所で選挙の無効を求める訴えを起こしています。
このうち、広島高等裁判所は26日、「格差によるゆがみは重大で、もはや憲法上許されない」として憲法違反だと判断したうえで、選挙を無効とする判決を言い渡しました。
一方、選挙をただちに無効にすると弊害が大きすぎるとして、去年、小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法律が成立し、区割りの改定作業が始まってから1年が経過することし11月27日に判決の効力が生じるという条件をつけました。

国政選挙が無効とされるのは戦後初めてで、これまでに言い渡された8件の判決は、「違憲で無効」が1件、「違憲」が5件、「違憲状態」が2件となりました。

一連の裁判では26日、東京、大阪、広島、岡山、松江、宮崎、那覇の7か所の高裁や高裁支部で判決が言い渡されることになっていて、これまでと同じように国会に対し格差是正を迫る判断が続くものとみられます。
再び、「選挙無効」の判断が示されるかどうかは、裁判所が格差是正に向けた国会の取り組みをどう評価するかが焦点になります。

判決について最高裁の元判事の泉徳治さんは、「今後も憲法違反の判断は各地で続くとみられる。国会は『0増5減』にとどまらず、都道府県別の定数を人口に完全に比例して配分するよう、速やかに法律を改正することが必要だ」と指摘しています。
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 千葉県の我孫子市、以前、東海地区の有志の議員らと視察で訪れた。
 当時の福嶋市長は、いろんな話をされ、午後から夕方まで懇談した。

 ところで、その我孫子市、学校で内申書の記載ミスがあったことがわかり、高校の合否判定に影響するケースもあって混乱したらしい。

   (ちばとぴ) ミスがあったのは1年時の成績。2011年3月末、内申書の基となる指導要録を作成する際、1クラス32人の学級副担任が、数学の評価の欄に別のクラスのデータを誤って貼り付けた。
    32人中10人は偶然同じ評価だった。別のクラスでは、担任が2人分の評価で入力を誤った。


 その後、千葉市でも同様のことが発覚。

 今後について我孫子市は、「事前に」「生徒側」に見せて、点検してもらうという。
 これに対して、専門家は「無責任」と批判。

 同様のことは、昨年、横浜市でもあったらしい。
 横浜市の場合は、その事件を受けて「事前開示する」ことを公表したが、その後、批判を受けて撤回したという。

 ある種似たような問題として、行政の公共事業などの「入札の予定価格」の公表、という問題があった。  
 これも、非開示の時代から、事後公表は当然の時代となり、事前公表する自治体もそれなりにある時代。

 基本的には、本人には開示すべき情報だと私は思う。
 いずれにしても、内申書・指導要録等の開示状況を調べてまとめてみようと思う。
 自分自身の認識のために。

 ともかく、行政機関側には、いろんな面で、「一般の人に知られたら困る」意識が根強い。
 役所や公務員の自己意識の改革が必要だと思う。

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●<内申書転記ミス>我孫子市の中学校で 高校入試で不合格も
                毎日新聞 3月13日(水)
 千葉県の我孫子市教育委員会は13日、高校入試で使用された同市立白山中学校に在籍する3年生115人の調査書(内申書)に記載ミスがあり、うち16人が公立高校などの第1希望に最終的に合格していなかったと発表した。県教委は内申書の記載ミスがなければ合格していた受験生の数を精査中で、特例的な追加合格を検討している。
本来なら不合格になる受験生の合格取り消しもしないという。【橋本利昭、斎川瞳】

 記者会見した市教委によると、今月8日に県内公立高に合格した生徒の保護者が、入試関係書類を情報公開請求。通知表に記載された1年の理科の5段階評価が「5」だったにもかかわらず、調査書は「3」になっていることを発見した。

 連絡を受けた学校側が確認したところ、257人中115人で記載ミスが見つかった。3年間の調査書の点数(満点135点)に対し、88人が実際の成績より減点されており、最大の減点幅は4点だった。このうち、24人が県内公立高校の前期試験に不合格。後期試験で9人が合格したが、後期試験も不合格となるなど16人が第1希望に合格していなかった。誤って加点された生徒が受験した影響で、不合格となった他校の生徒についても合否判定をやり直す。

 昨年3月、同校の2年生の担任だった20代の男性教諭が1人で1年の成績を整理し、転記する際に数学の成績を理科、保健体育の成績を技術家庭に誤入力したことが原因。中村準教育長は「弁解の余地がない。深くおわびしたい」と話した。

 白山中では13日夜、3年生の保護者対象の説明会が開かれた。中学3年の男子生徒の母親(47)は「子供は不合格になった後でこうした事情が分かれば、すごく動揺したと思う」と話した。

   ●内申書ミス千葉で24人 県立7高校で合否再判定
        ちぼとぴ 2013年03月22日
県内中学校で相次ぐ高校受験の内申書記載ミス問題で、千葉市教委は21日、市立幕張西中学校(高橋昇治校長、生徒603人)で、3年生24人分の内申書の教科評定に1~3点実際より増減する記載ミスがあったと発表した。
このうち合否に影響があったとみられる県立高校7校について、県教委は再判定を指示した。

 ミスがあったのは1年時の成績。2011年3月末、内申書の基となる指導要録を作成する際、1クラス32人の学級副担任が、数学の評価の欄に別のクラスのデータを誤って貼り付けた。
32人中10人は偶然同じ評価だった。別のクラスでは、担任が2人分の評価で入力を誤った。


 記載ミスで低い評価となったのが8人。このうち7人が第1志望の公立高校に合格し、1人は受験しなかった。高い評価となった16人のうち7人が県立高校に合格しており、各高校はミスの影響で不合格になった生徒がいないか確認する。

●千葉の中学、また内申書誤記載…合否再判定へ
        (2013年3月22日13時48分 読売新聞)
 千葉市教委は21日、市立幕張西中学校が作成した高校入試の調査書(内申書)に誤記載があったと発表した。

 3年生197人のうち24人に誤りがあり、8人が本来より低く、16人が高くなっていた。千葉県教委は、影響した可能性がある県立高7校について合否を再判定し、誤って不合格となった生徒を救済する方針。

 1年生時の評定(5段階)を記録する際、入力を誤ったという。本来より高くなった16人のうち、7人がそれぞれ別の県立高校に合格していた。
県教委は、本来なら別の生徒が合格した可能性があるため、合否の影響を調べる。16人のうち残る9人は私立高校などに合格した。幕張西中は私立高校などにも事実関係を伝える。本来より低くされた8人のうち、受験した7人は公立高校に合格した。

 千葉県では今月、我孫子市の中学生の調査書で約120人の誤記載が判明し、1人が追加合格となった。


●我孫子の市立中学内申書ミス:白山中は114人に 市教委が訂正 /千葉
 毎日新聞 2013年03月23日
 我孫子市立白山中学校で高校入試に使う調査書(内申書)に記載ミスがあった問題で、同市教委は22日、教科の点数の記載ミスの人数を115人から114人に訂正した。
当初、学校側の報告を基に公表したが、改めて学校と市教委双方で確認したところ、集計ミスが発覚した。

 さらに、新たに白山中の5人の調査書で資格を表す欄に数学や英語の検定の記載漏れがあったことが分かった。同様の記載漏れや誤記載は、市内では、既に同中と別の中学校の4人であったことが確認されている。新たに判明した5人は第1希望高に合格しているという。

 また、同市教委は白山中を除く市内5校を対象に、今年、公立高校を受験して不合格となった受験生に対し、調査書の開示希望の有無を確認中で、希望すれば開示する方針。合格している受験生についても希望があれば開示することにしている。【橋本利昭】

●内申書、保護者に事前開示…我孫子市教委が検討
         (2013年3月24日12時51分 読売新聞)
 千葉県我孫子市の市立中学で高校入試用調査書(内申書)に記載ミスが相次いだ問題で、同市教委は再発防止策の一環として、来年の高校入試から、調査書の記載内容の一部を保護者に事前に開示し確認してもらう方向で検討に入った。

 同市教委によると、事前開示は、各教科の5段階評価や英語検定などの資格の有無。
教諭の主観が入る「総合所見」は開示しない。
秋までに開示時期や方法などを具体的に決め、教育委員会議で可否の判断を仰ぐ。

 同市教委の高橋俊明教育総務部長は「調査書のミスは許されない。保護者に安心してもらうには、事前開示も必要と考える」と話している。

●千葉・我孫子の市立中学内申書ミス:生徒が点検 ミス発生受け、市教委方針 専門家「責任放棄」
          毎日新聞 2013年03月23日
 千葉県の我孫子(あびこ)市教育委員会が、来年度の高校入試から、調査書(内申書)の記載内容の一部について、受験校に提出する前に、生徒側に事前に確認してもらう方針を固め、22日開催の市議会で報告した。

 100人以上の調査書で記載ミスが発生したことを受けた対応。了承を得るため今後、教育委員に諮るが、昨年、同様に通知表の事前確認を児童・生徒や保護者に要請した横浜市教委は「学校の責任放棄」と批判され撤回した。生徒側に点検の責務を負わせるのはおかしいと、専門家からは問題視する声も出ている。

 内申書の事前開示は極めて異例。
市教委によると、確認を要請するのは、内申書に記載される各教科の5段階評価の点数のほか、部活動や生徒会活動の記録、英語や漢字、数学などの検定の資格の有無。
生徒との信頼関係を損なわないよう、生活態度などの担任の評価などは除き、「客観的に分かるデータなどを開示する」(市教委幹部)方向だ。今年秋ごろまでに具体的な開示内容を決める。

 内申書の記載ミス問題は今月13日に我孫子市教委が公表したもので、通知表では5段階の「5」と記載されていた成績が、内申書では「3」と記されるなどの間違いが市立白山中学校で大量に確認され、県教委が高校の合否判定のやり直しを指示するなど大きな混乱を招いている。

 白山中はこの問題判明後、それぞれの内申書のコピーを今春卒業の3年生全員に配布。その結果、漢字検定の級についての誤記載や、英語や数学の検定の記載漏れも見つかったという。

 市教委の高橋俊明教育総務部長は「子供たちへの影響に配慮し部分的な開示を検討していきたい」としている。【橋本利昭】

●千葉・我孫子の市立中学内申書ミス:生徒が点検、市教委方針 教育評論家の尾木直樹さんの話
         毎日新聞 2013年03月23日
 ◇あり得ない発想
 横浜で批判されたのに何も学んでいない。遅れてきた浦島太郎のようだ。
子供や家庭に確認させる発想はあり得ない。
責任を子供らに負わせるようなものでばかばかしい。
内申書に対する責任は校長にあるので、学校が責任を持って作るべきだ。


●我孫子市教委 学校の責任転嫁? 内申書保護者が事前確認
       東京 2013年3月23日
 千葉県我孫子市の中学校で受験生の内申書の記載ミスが相次いだ問題を受け、同市教育委員会が来年の高校入試から、内申書の記載内容の一部を事前に保護者に開示して確認を求める方針を固めた。
内申書の事前開示は異例。

 市教委によると、開示するのは各教科の五段階評価や、英語検定など資格の有無。総合所見などは含まず客観的データに限定する方針。今年秋ごろまでに詳細を決める。

 我孫子市では、市立白山中が作成し高校入試の際に提出した三年生百人以上の内申書に記載ミスが見つかり、県教委が公立高校に合否判定のやり直しを指示。中学校や保護者から再発防止策として、事前開示を求める声が上がっていた。

 市教委の高橋俊明教育総務部長は「開示内容に配慮したい。信頼回復のためには情報開示が必要だと考えた」と説明している。

 内申書ではなく通知表の記載ミスをめぐっては、横浜市教委が昨年七月、配布前に保護者の事前確認を求めるよう小中学校などに要請。「学校の責任放棄」などと批判の声が上がり、同十一月に撤回している。

  ●通知表の事前開示撤回へ 横浜市教委、批判受け
               朝日 2012年11月5日20時49分
 横浜市教委が、通知表の配布前に保護者らに内容を確認させるよう市立の小中学校などに指示していた問題で、市教委は5日、指示を撤回する方針を決めた。通知表の記載ミスを防ぐためとしていたが、「学校の責任放棄だ」という批判を受け、見直した。

 同日午後の市議会で、山田巧教育長が教育現場を混乱させたことを謝罪した。

 市教委は10月末、保護者らによる事前確認の効果を市立小中学校492校に聞き取って検証。
187校で計928件の記載ミスが見つかっていた一方、事前確認した後にも、6校で記載ミスが発覚。

教育委員からも「保護者の不信感を招く」などの批判を受け、撤回を決めた。

 横浜市では昨年、入力ミスで評価を低くしてしまったり、出席日数を間違ったりするミスが約4分の1の小中高校で見つかった。市教委は7月、「誤記載防止の大切な方策」として、市立小中学校の校長らに文書で保護者らによる事前確認を指示していた。


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 今注目のiPS細胞などを使う再生医療。
 「日本再生医療学会」は、再生医療推進とともに自由診療は問題がある、との旨の声明を発表した。

 どういうことかというと、例えばウォール・ストリート・ジャーナル日本版では
     「自由診療では、豊胸などをうたい、さまざまな細胞になる幹細胞を患者から取り出し、
    培養して再び体内に戻すなどの「細胞治療」が行われている。
    学会によると、科学的根拠が明らかにされていない例も多く、健康被害が起きたとの報告もある。」


 一部の医療機関で、安全性の確認されていない治療を行なわれている現状に、事故が起きて再生医療の分野が信頼を失う事態を招かない、というわけだ。

 国では、
   「さまざまな種類の細胞になり得る人工多能性幹細胞(iPS細胞)などを使う再生医療を安全に進めるため、
    自民、民主、公明など超党派の議員が作った「再生医療推進法案」が、22日の衆院本会議で全会一致で可決された。
    今国会で成立の見通し。」


 学会のことやそのあたりの現状を見た。

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●日本再生医療学会_The Japanese Society for Regenerative Medicine
            日本再生医療学会 /トップページ

●日本再生医療学会 記者会見
                  日本再生医療学会 記者会見
日時 3月23日(土)14:50~15:50
場所 パシフィコ横浜 第8会場 (会議センター5F 511+512)
<司会進行>
坪田 一男
日本再生医療学会理事・広報委員会委員長(慶應義塾大学医学部眼科学教授)

<出席者>
岡野 光夫
日本再生医療学会 理事長(東京女子医科大学先端生命医科学研究所所長・教授)
高戸 毅 
第12回日本再生医療学会総会会長(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻)

<プログラム>
14:50~15:10 
岡野光夫
『日本再生医療学会からの報告と声明』
15:10~15:30  
高戸 毅
『今年の日本再生医療学会について』
15:30~15:50 
『質疑応答』
<お問合わせ先>
日本再生医療学会広報委員会事務局
TEL:03‐5775‐2075 FAX:03‐5775-2076


●日本再生医療学会総会開催について
           日本再生医療学会総会開催

第12回日本再生医療学会総会
日程:2013年3月21日(木)~23日(土)
場所:パシフィコ横浜

会長:高戸 毅(東京大学)
http://www2.convention.co.jp/12jsrm/

お陰様をもちまして、第11回日本再生医療学会総会は、約2,000名の方々に、また市民公開講座では約800名の市民他の方々にご参加をいただき盛会裡に無事学会を終えることができました。
これもひとえに、先生方のご支援とご指導の賜物と心から感謝いたしております。



●再生医療推進で学会声明 治験や臨床「国は柔軟な対応を」
       日経 2013/3/23
 日本再生医療学会は23日記者会見し、iPS細胞などを使う再生医療の推進に向けた声明を発表した。
議員立法で再生医療推進法案が成立する見通しとなり、政府も薬事法の改正と規制法の制定を目指している点を高く評価。
そのうえで、実用化に向けた治験や臨床研究における実施基準について、国に柔軟な対応を求めた。


 同学会理事長の岡野光夫東京女子医科大教授は会見で「再生医療の実現は医療費の大幅削減や新産業の創出を可能にする」と期待を表明した。
 声明はほかに、一部の医療施設で医療保険の適用外である「自由診療」として安全性が十分でない再生医療が実施されている点を問題視。
遺憾の意を表明し、強く是正を求めるとした。再生医療の臨床研究を推進できる医師の認定制度の検討なども盛り込んだ。

●再生医療、医師や施設に認定制度 学会が声明
           2013/03/23 19:29 【共同通信>
 日本再生医療学会(理事長・岡野光夫東京女子医大教授)は23日、横浜市で開催中の総会で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)など再生医療用の細胞を扱う施設や医師、技術者の認定制度を新設することなどを盛り込んだ声明を発表した。
 声明では、「一日も早く安全で有効な医療を患者に届ける」との決意を表明、一部の医療機関が「再生医療」をうたい、安全性の確認されていない治療を行っている現状を問題視した。事故が起きて再生医療の分野が信頼を失う事態を招かないよう、学会として施設や人員の質を確保するとした。
 国会では、iPS細胞などを使った再生医療を推進する法整備が進んでいる。

●再生医療:幹細胞自由診療「是正を」…学会が声明
        毎日新聞 2013年03月23日
 日本再生医療学会(理事長=岡野光夫<てるお>東京女子医大教授)は23日、福岡市のクリニックで効果や安全性の検証が不十分な幹細胞治療が自由診療で行われている事態を受け、こうした治療を手がける施設に「強く是正を求める」などとする声明を発表した。横浜市で同日、記者会見した澤芳樹理事(大阪大教授)は「自由診療の幹細胞治療ほど危ないものはない。倫理的にも問題だ」と警鐘を鳴らした。

 声明では、国の監視が届かない幹細胞治療が広がっていることを、複数の報道や国際的な学術誌が問題視したことをふまえ「安全性や有効性において科学的・医学的根拠を持たない治療行為は、我が国の再生医療を発展させることはない。一部の不適切な治療行為をもって再生医療全体が評価されることに強く遺憾の意を表する」とした。澤理事は「医療者同士なので治療行為を排除するものではないが、安全性を高める形でやってほしい」と説明した。

 厚生労働省は現在、こうした自由診療による幹細胞治療にも一定の規制を可能にする新法を検討中で、今国会への法案提出を目指している。

 また同学会は、再生医療に使う細胞を調製する技師の認定制度を作ることも明らかにした。今後、医師の認定制度も検討する。いずれも再生医療に従事する人材の質を向上させ、患者の信頼感を高めるのが目的という。【再生医療取材班】

●再生医療実用化へ 課題を検討
          NHK 3月23日 18時15分
iPS細胞などを使った再生医療の実用化に向け、課題を検討するシンポジウムが横浜で開かれ、参加した研究者たちから、薬剤とは違った国の審査の仕組みが必要だといった意見が相次ぎました。
このシンポジウムは、日本再生医療学会が開きました。

この中で、心臓の筋肉の細胞を使った治療法の開発に当たっている大阪大学の宮川繁講師は実用化に向けた課題について「患者に細胞を移植して安全性や効果を確かめる研究を行う際、国の審査に時間がかかる」と指摘しました。
さらに「製品化するため国に承認を申請しようとしても大学の研究で得られたデータは認められず、開発が滞ってしまう」と述べていました。

また、人工の軟骨を販売している企業の研究者は、患者の細胞を使った人工軟骨のような製品では品質にばらつきが出るため、薬剤とは違った国の審査の仕組みが必要だと訴えていました。

再生医療の分野で製品化されているのは、国内では人工の皮膚と軟骨だけで、今後、iPS細胞などを実用化していくうえで、審査の基準を確立することが必要になっています。
日本再生医療学会は23日の議論を受けて、国に対し、再生医療の特性に応じた審査の仕組みを整備するよう求めていくことにしています。

●「幹細胞治療、安全確保を」 再生医療学会が声明
          朝日 2013年3月23日20時19分
 【下司佳代子】安全性が確認されない幹細胞治療を、一部の医療機関が「再生医療」として実施していることに対し、日本再生医療学会は23日、是正を求める声明を出した。「再生医療全体の評価をおとしめ、発展を阻む」として、安全性の確保を求めている。
 脂肪や骨髄から取った幹細胞は血管や骨、筋肉などになる能力があり、これを使う再生医療は難病治療として期待されている。しかし、そのほとんどがまだ研究段階だ。不適切な治療で事故が起きれば、再生医療全体がつまずくと懸念されている。

 国は再生医療に対し、実施施設に届け出や承認を義務づける規制案を作成。学会はこうした規制案を評価する姿勢を示し、独自に医師の認定制度を設け、定期的に講習会を受けてもらうことも検討している

●根拠ない「細胞治療」是正を=美容分野などで—再生医療学会
             ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 /時事通信社3.23
日本再生医療学会は23日、美容分野のクリニックなどで、公的医療保険の対象とならない自由診療で行われている「細胞治療」について、安全性と効果の科学的根拠なしに行われていることがあるとして、「国の再生医療の発展を阻む」と是正を求める声明を発表した。

 自由診療では、豊胸などをうたい、さまざまな細胞になる幹細胞を患者から取り出し、培養して再び体内に戻すなどの「細胞治療」が行われている。学会によると、科学的根拠が明らかにされていない例も多く、健康被害が起きたとの報告もある。 

●iPS細胞:再生医療推進法案が可決
          毎日新聞 2013年03月22日 
 さまざまな種類の細胞になり得る人工多能性幹細胞(iPS細胞)などを使う再生医療を安全に進めるため、自民、民主、公明など超党派の議員が作った「再生医療推進法案」が、22日の衆院本会議で全会一致で可決された。
今国会で成立の見通し。

 法案では、研究開発から実用化までの基本方針を策定して推進・普及する責務が国にあると明記。医療関係者や研究者、事業者は国に協力するとしている。基本方針は、状況変化に応じて少なくとも3年ごとに内容を検討し、必要に応じて変更する。【野田武】

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 パソコンのなりすまし事件、つまり遠隔操作ウイルス事件について、
 東京地検は容疑者を起訴した。
 本人は今でも否認している。

 当初から犯人説に疑問が提示されていたが、
 強力な弁護団ができてから、さらに雰囲気が変わった様子。
 今日は、そのあたりの観点で情報を記録しておいた。 

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●「明らかな誤り」、無実に自信=片山容疑者起訴で弁護人ら-遠隔操作ウイルス事件
         時事 (2013/03/22-18:03)
遠隔操作ウイルス事件で、片山祐輔容疑者が起訴されたことを受け、記者会見する佐藤博史弁護士=22日午後、東京・霞が関 
遠隔操作ウイルス事件で、ハイジャック防止法違反などの罪でIT関連会社社員片山祐輔容疑者(30)が起訴されたことを受け、弁護人らは22日午後、東京都内で記者会見し、「明らかに誤りだ。無実だという絶対的な自信がある」と訴えた。

 佐藤博史弁護士によると、片山容疑者は同日朝の接見の際、起訴される見通しだと伝えられると、「信じられない。(勾留期限の)2日後には外に出られると思ったのに」と頭を抱え、強いショックを受けた様子だったという。

 片山容疑者はこれまで、東京地裁で行われた勾留理由開示で「遠隔操作ウイルスを作ったり、使ったりしたことはない。早く無実と分かってもらいたい」と訴えるなど、一貫して関与を否定。「自分にウイルスを作る能力はなく、他の誤認逮捕された4人と同じ立場だ」と主張していた。

●遠隔操作容疑者、勾留理由開示で無罪主張「疑われ困惑」
         日経 2013/3/22
 パソコンの遠隔操作事件で、ハイジャック防止法違反(航空機の運航阻害)などの容疑で再逮捕されたIT関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)の勾留理由開示が21日、東京地裁(冨田環志裁判官)であり、同容疑者は「無実だと分かってもらいたい。早く自由になりたい」と早期釈放を求め、改めて無罪を主張した。

 勾留理由開示は2月26日に続き2回目。冨田裁判官は「罪を犯したと疑う相当な理由がある」と勾留理由を説明した。

 片山容疑者は「ハイジャックという大きな疑いをかけられて困惑している」と主張。事件で使われた匿名化ソフト「Tor」については「何年か前に自宅のパソコンで使ったが、最近は使っていない」と述べた。


●遠隔操作容疑者を起訴=日航機爆破予告など3事件―東京地検
            ニュース – とれまがニュース 2013年03月22日
 遠隔操作ウイルス事件で、東京地検は22日、大阪府の男性のパソコン(PC)を遠隔操作した日本航空機爆破予告など3事件に関与したとして、ハイジャック防止法違反や威力業務妨害などの罪で、IT関連会社社員片山祐輔容疑者(30)を起訴した。一連の事件での起訴は初めて。

 片山容疑者は「ウイルスを作る能力はない」などと主張し、否認している。一連の事件では大阪府の男性ら4人が誤認逮捕されており、警視庁などの合同捜査本部は他の遠隔操作事件について捜査を継続する。 

 起訴状によると、片山容疑者は2012年7〜8月、ウイルスに感染した大阪府の男性のPCを遠隔操作し、日航に航空機爆破予告メールを送信して成田発ニューヨーク行きの便を引き返させた他、大阪市のホームページに無差別殺人予告を書き込んだとされる。また、愛知県内の会社のPCを操作してインターネット上の掲示板に大量殺人予告を書き込んだとされる。

 地検は愛知県の事件について、今月3日に処分保留としていた。[時事通信社]

●派遣先でウイルス試作か 遠隔操作、容疑者を起訴
         日経 2013/3/22
 パソコンの遠隔操作事件で、IT関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)が派遣先で使っていたパソコンに、遠隔操作ウイルスを試作したとみられる痕跡が見つかったことが22日、捜査関係者への取材で分かった。東京地検は同日、遠隔操作による3件の犯罪予告について、片山容疑者をハイジャック防止法違反(航空機の運航阻害)などの罪で起訴した。

 警視庁などの合同捜査本部は、片山被告が一連の事件で使われたウイルスを作成したとみて、今後も捜査を継続。三重県の男性のパソコンが遠隔操作された威力業務妨害事件などを順次立件する方針だ。

 捜査関係者によると、片山被告が派遣先の東京都港区の会社で使っていたパソコンを解析した結果、遠隔操作ウイルスに使われたプログラム言語「C#(シー・シャープ)」でウイルスを試作したとみられる痕跡が残っていた。同被告は「C#は使えない」と主張している。

 捜査本部は2月10日に威力業務妨害容疑で片山被告を逮捕。東京地検が同容疑について処分保留とした後、3月3日に大阪府吹田市の男性のパソコンを遠隔操作した犯罪予告2件についてハイジャック防止法違反容疑などで再逮捕した。

●ネット殺人予告:PC遠隔操作 類似、別ウイルス確認 片山容疑者を起訴
   毎日新聞 2013年03月23日 
 パソコン(PC)の遠隔操作事件で、片山祐輔容疑者(30)の勤務先のPCから、一連の事件で使われた遠隔操作ウイルス「iesys.exe」と類似する別のウイルスが見つかっていたことが、捜査関係者への取材で分かった。「iesys」と同様に「C#」というコンピューター言語で作られており、他人のPCを遠隔操作するための機能があった。東京地検は22日、一連の事件で初めて同容疑者を起訴。警視庁などの合同捜査本部は残る事件の捜査を進める。

 捜査関係者によると、類似の遠隔操作ウイルスは押収したPCの解析で確認された。
合同捜査本部は、片山被告が試作段階のウイルスを削除し忘れていたとみている。

 また、大阪の男性のPCから殺人予告などが送信された事件では、片山被告が事件の数日前の昨年7月下旬に勤務先のPCなどを使ってウイルスの動作確認をしていた疑いがあることも分かった。


 事件に使われたレンタル掲示板サイトに動作テストのためとみられる暗号化された複数の書き込みがあった。IPアドレスを調べたところ、発信元は勤務先や都内のネットカフェだったことが判明。カフェには当時、片山被告が来店しており、発信元のPCがある個室を利用していたことも確認された。【小泉大士、喜浦遊、松本惇】

 ◇起訴にショック
 片山被告が起訴されたのは、遠隔操作したPCから犯罪予告を書き込んだとされる3事件。無差別殺人を予告した大阪の誤認逮捕事件も含まれている。

 起訴状によると、片山被告は(1)12年7月29日〜8月5日、ウイルス感染した大阪府の男性のPCから「ヲタロードで大量殺人する」などと書いたメールを大阪市に送信(偽計業務妨害罪)(2)同年8月1日、同じPCから「航空機に同志が爆弾を持ち込んだ」とのメールを日本航空に送って航空機を引き返させた(ハイジャック防止法違反)(3)同年8月9〜12日、同様の手口で愛知県内の会社のPCからインターネット掲示板に大量殺人の予告を書き込み、イベント会社の警備に支障を生じさせた(威力業務妨害罪)−−とされる。

 弁護人の佐藤博史弁護士によると、片山被告は起訴にショックを受けた様子で頭を抱え「なぜこんなことになったのか」と繰り返したという。【山本将克】

●PC遠隔操作:片山容疑者を起訴 威力業務妨害など
        毎日新聞 2013年03月22日
 パソコン(PC)遠隔操作事件で愛知の会社や大阪の男性のPCから3件の犯罪予告を書き込んだとして、東京地検は22日、IT関連会社社員、片山祐輔容疑者(30)を威力業務妨害やハイジャック防止法違反(航空機の運航阻害)などの罪で起訴した。

 起訴状などによると、片山被告は12年8月、ウイルス感染した愛知県内の会社のPCを遠隔操作し大量殺人を予告したとしている(威力業務妨害)。更にウイルス感染させた大阪府の男性のPCを遠隔操作して同年7〜8月、大阪市のHPに「ヲタロードで大量殺人する」と書き込んだり、「航空機に爆弾を持ち込んだ」とのメールを航空会社に送ったりしたとしている(ハイジャック防止法違反など)。

 警視庁の捜査では、遠隔操作に使われたウイルスに片山被告が使っていたPCで作成された痕跡があり、同被告が接触したとみられる猫の首輪についていた記憶媒体からウイルスの設計図が見つかった。地検は最初の逮捕となった威力業務妨害容疑について処分保留としていたが、複数の客観証拠から再逮捕分と併せて起訴できると判断した模様だ。

 片山被告は今月21日の勾留理由の開示手続きで「ウイルスを作ったり使ったりしたことはない」などと陳述。弁護人も「(同被告は)ウイルス作成に必要なプログラム言語を使えない」と述べ、地検に不起訴とするよう求めていた。【山本将克、山田奈緒】

●「作ってない」遠隔操作容疑者の男改めて無実主張
        テレ朝 (03/21 17:35)
片山祐輔容疑者(30)は去年、大阪府の男性のパソコンを遠隔操作し、大阪市のホームページに殺人予告を書き込んだほか、日本航空に旅客機の爆破を予告するメールを送り、運航を妨害した疑いで3日に再逮捕されました。

21日に片山容疑者の勾留理由を開示する手続きが行われ、東京地裁は「証拠隠滅と逃亡を疑うに足りる理由がある」と説明しました。

一方、片山容疑者は、「ウイルスを作ったり使ったりしていない」と改めて無実を主張しました。
また、「早く自由になりたい」と話し、弁護側も釈放するよう求めました。

●遠隔操作 片山被告の起訴受け弁護士が会見
           日テレ  3/22
 パソコン遠隔操作事件で、東京地検は22日、3つの事件で逮捕されていたIT関連会社社員・片山祐輔容疑者を起訴した。

その後、起訴を受けて片山被告の弁護士が会見した。 
起訴された片山被告は去年8月、他人のパソコンを遠隔操作ウイルスに感染させ、「日本航空」に爆破予告を送りつけたハイジャック防止法違反(航空機の運航阻害)や威力業務妨害など3つの罪に問われている。
弁護士によると、片山被告は遠隔操作ウイルスに使われている「C#」というプログラム言語について、「使う能力がない」などとこれまで容疑を否認していた。

しかし、警視庁などが会社で使用していたパソコンを解析したところ、「C#」を使って遠隔操作ウイルスを試作したとみられる痕跡があったことが捜査関係者への取材で新たにわかった。

起訴を受けて会見した佐藤博史弁護士は、改めて無実を訴えた上で、22日朝の片山被告の様子について、「彼(片山被告)として、さかんに言っていたのは、『あと2日後に出られると思っていたけど、何でこんなことになるのでしょうか。自由にならなきゃいけない身なのに、何でこんなことになっちゃったのでしょうか』(ということ)」と話した。

 警視庁などは今後、三重県の男性が誤って逮捕された伊勢神宮の爆破予告事件などでも再逮捕する方針。

●遠隔操作 「5人目の誤認逮捕だ」 佐藤博史弁護士インタビュー
   産経新聞 3月13日(水)
片山祐輔容疑者の弁護を担当している佐藤博史弁護士(中村翔樹撮影)(写真:産経新聞)
 片山祐輔容疑者は一貫して無罪を訴え、2月19日以降、検察・警察当局による取り調べを拒否している。主任弁護人を務める佐藤博史弁護士(64)が産経新聞の単独インタビューに応じ、「警察も検察も決定的な証拠を持っていない。5人目の誤認逮捕だ」と当局側の姿勢を批判した。

【フォト】片山容疑者「逮捕は寝耳に水。誤認逮捕の4人と同じだ」 PC遠隔操作

 佐藤弁護士は足利事件で再審無罪判決を勝ち取ったことで知られる。片山容疑者の逮捕から4日後の2月14日に主任弁護士となり、10回以上接見してきた。

 「遠隔操作ウイルスの作成に使われたプログラム言語『C#(シーシャープ)』を使えない」「神奈川県藤沢市の江の島で、ネコに記録媒体付きの首輪をはめた防犯カメラの画像が存在しない」などを根拠として挙げ、片山容疑者の無罪を主張する。

 片山容疑者は「C#」について「(勤務先で)研修を受けたので、全く分からないわけではないが、一から作ることはできない」と説明しているといい、佐藤弁護士は「この点だけでも、彼が真犯人ではないのは明らかだ」と指摘した。


 「非常にコミュニケーションが取りやすく、どこから切っても犯人らしさがない」。佐藤弁護士は片山容疑者をこう分析し、「われわれはメディアを通じて手の内を明かし、彼の言い分を全部話している。警察・検察にも、これほど有利な状況はない」と訴える。

 また、「警察は『やっていない』と言っている人の言葉に、耳を傾けるべきだ。録音・録画が行われれば、どんなことでも話す。録音・録画が行われない限り、今後も取り調べに応じさせるつもりはない」と持論を展開。片山容疑者は「検察官が私を揺さぶる言動を繰り返した」と訴えているといい、佐藤弁護士は「検察による違法な取り調べが行われている」と批判を繰り返した。

●遠隔操作事件、佐藤弁護士が反転攻勢「冤罪だ!」 ネットで「支援」の動き、メディアの風向きも変わる
           J-CASTニュース 2013/2/26
PC遠隔操作事件をめぐり、警察側の旗色の悪さが目立つ。大々的に報じられた逮捕劇から2週間あまり、このところ捜査の進展をうかがわせる情報がほとんど報道されなくなった。

一方で、片山裕輔容疑者を弁護する佐藤博史弁護士は、各種メディアに立て続けに登場して、「冤罪」を訴え続け、攻勢を強めている。

猫の首輪「公開捜査」を弁護人呼びかけ
逮捕前後は、片山容疑者の情報がメディアにあふれ、「ネコ男」「オタク」「非モテ」などと、興味本位に報じられることが多かった今回の事件。
風向きが変わったのは、弁護人として「足利事件」で無罪を勝ち取ったことで知られる佐藤弁護士が登場してからだ。

今回の逮捕を「誤認逮捕」と訴える佐藤弁護士は2013年2月19日、ジャーナリストの江川紹子さんのインタビューに応じて冤罪の可能性を訴えたのを皮切りに、「AERA」や「日刊ゲンダイ」などにも立て続けに登場、片山容疑者が問題のウイルスを作るのに使われたプログラミング言語「C♯」に熟達していないこと、警察が「決定的な証拠」を片山容疑者に示せていないことなどを指摘し、大きな反響を呼んだ。


さらに佐藤弁護士は21日の会見で、片山容疑者の無実を証明しうる「首輪をつけていない猫の写真」の公開捜査まで呼びかけた。

問題のSDカード付き首輪をつけた野良猫が発見されたのは、1月5日のことだ。片山容疑者は3日午後に江ノ島をいたことを認めている。片山容疑者が犯人だとすれば、このタイミングで首輪をつけたのではなくてはならない。ところがもし、片山容疑者が現場を去った3日夕方以降に「首輪をつけていない」状態の問題の猫が目撃されていれば「もうそれだけで無実の証明」(佐藤弁護士)だとして、写真の提供を広く求めたわけだ。

すでにネット上では、3日前後に撮影された問題の野良猫の写真が多数まとめられている。
以前から片山容疑者を応援する声は根強かったが、ここに来て、劇場型事件の「観衆」たちまでもが舞台に上がり始めた感がある。

ウイルスに「会社の情報」もネットは疑問視
こうした中で、片山容疑者と見られる人物を江ノ島で目撃した、という証言もクローズアップされた。2010年に投稿されたあるブログでは、片山容疑者によく似た人物が、猫たちが寒さをしのげるよう、座布団を江ノ島に持ち込んでいたことが記されている。これがもし本人なら、片山容疑者は以前から何度も江ノ島を訪れていた可能性があり、1月3日に居合わせたことも「不自然ではないのでは」との見方も出ている。

ただ警察も押されてばかりではない。20日には新たな証拠として、FBIが差し押さえた米国のサーバーからウイルスのデータが押収され、そこから片山容疑者の派遣先の会社のPCを示す情報が見つかったと報じられた。しかし警察の「IT音痴」ぶり、またウイルスのデータ自体は以前から専門機関を含め多くの人が解析していることもあって、「今さら何が出るものか」と冷めた反応が強い。週刊誌からは早くも「冤罪だったら刑事も記者も全員クビ」(週刊現代)という記事まで飛び出した。

片山容疑者は26日、東京地裁で開かれた勾留理由開示の手続きのため、逮捕以来初めて公の場に姿を見せた。片山容疑者は「逮捕は寝耳に水」「私は犯人ではありません」と、改めて事件への関与を否定した。



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 昨日の昼で議会定例会は閉会。
 午後、きれいな青空なので、庭の花の写真を撮った。
 枝垂れ梅が満開。
 コブシの花も咲きだした。

 そな昨日の花の様子を、一週間前の写真に続けて並べてみた。
 今日は、自宅で作業日なので、昼あたり、市内の「カタクリ」の写真を撮ってこようと相談。

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3月14日の庭の花から

梅の「鹿児島紅」
(どの写真もクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)



枝垂れ梅 2種類
 








小梅

  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まず、昨日3月21日の小梅のようす
花はずいぶんと散った


足元には・・・



ミツマタ
  

大輪ミツマタ


枝垂れ梅






レンギョウ




河津桜
  



まもなく一気に咲くだろう 
早咲きの「矢口桃」
一輪だけ咲いていた
 


菜の花
ミツバチ用に植え付けたけど、来ているのは他所のミツバチばかり





あと10日位すると見ごろになるかなぁ・・・
モクレン系の花から

コブシ



ヒメコブシ


花弁の外側が赤、内側が白色の
サラサモクレン
  



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 福島の原発の冷却水が止まってしまった停電事故。
 「ネズミが原因ではないか」と発表された。

 いくら事故後の仮の姿とはいえ、
「停電事故の犯人がネズミ」とは
 「信じればシステムはもろ過ぎる」し
 「信じなければ原因不明のまま、直った」。

 ところで、原子力規制委員会が大飯原発の夏場の運転を認めるらしい。
 9月の定期検査後に再稼動の可否が判断されるという。
   活断層問題もあって、そこで止まりか・・・

 ところで、それら判断をする「原子力規制委員会」。
 方向性に対する期待とともに、批判もされている。

 なお、今日は、議会定例会の最終日。
 午前中の本会議で、委員長報告、質疑、討論、採決などがある。

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  ● 原子力規制委員会トップページ


●    原子力規制委員会の組織理念
   原子力規制委員会の組織理念  / 平成25年1月9日  / 原子力規制委員会

原子力規制委員会は、 2011年3月11日に発生した東京電力福島原子力発電所事故の教訓に学び、
二度とこのような事故を起こさないために、
そして、我が国の原子力規制組織に対する国内外の信頼回復を図り、国民の安全を最優先に、原子力の安全管理を立て直し、
真の安全文化を確立すべく、設置された。

原子力にかかわる者はすべからく高い倫理観を持ち、常に世界最高水準の安全を目指さなければならない。

我々は、これを自覚し、たゆまず努力することを誓う。

使命
原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守ることが原子力規制委員会の使命である。

活動原則
原子力規制委員会は、事務局である原子力規制庁とともに、その使命を果たすため、以下の原則に沿って、職務を遂行する。

(1)独立した意思決定
何ものにもとらわれず、科学的・技術的な見地から、独立して意思決定を行う。

(2)実効ある行動
形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求する。

(3)透明で開かれた組織
意思決定のプロセスを含め、規制にかかわる情報の開示を徹底する。また、国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める。

(4)向上心と責任感
常に最新の知見に学び、自らを磨くことに努め、倫理観、使命感、誇りを持って職務を遂行する。

(5)緊急時即応
いかなる事態にも、組織的かつ即座に対応する。また、そのための体制を平時から整える。



●第33回 原子力規制委員会
            第33回 原子力規制委員会

日時:平成25年3月19日(火)9:30~ 11:30場所:原子力規制委員会庁舎 会議室A

●資料8-1 / 原子力発電所の新規制施行に向けた基本的な方針(私案)

基本的な考え方
○総論
安全の追及には終わりはなく継続的な安全向上が重要である、というのが原
子力規制委員会の姿勢である。
事業者は、原子力発電所の安全確保の一義的責任を負う。規制当局が、原子
力発電所の安全性に関する証明責任や説明責任を負っていると履き違えると、
安全神話に逆戻りしてしまう。

原子力規制委員会は、原子力発電所が規制の基準を満たしているか否かを確
認し、その結果により達成される安全レベルの説明を行うことを役割とする。
また、原子力規制委員会は、その時点での最新の科学的知見を反映し、かつ、
実現しうるものとして規制を定める必要がある。他方、事業者は、常に規制以
上の安全レベルの達成を目指す必要がある。この両者が相まって継続的な安全
向上が達成されることとなる。

なお、原子力発電所の再稼働を行うか否かは、原子力規制委員会の判断や事
業者の説明を基に、エネルギー政策当局や地元関係者が判断すべきことである。

○新規制の考え方
新規制については、施行と同時に混乱なく運用できるものでなければならな
い。また、バックフィットは、施行時の一度だけではなく、今後も繰り返して
実施していくものである。したがって、この新しい制度を定着させるため、明
瞭かつ普遍的なシステムであることが必要である。

資料8-1
新たな規制の導入の際には、基準への適合を求めるまでに一定の施行期間を
置くのを基本とする。ただし、規制の基準の内容が決まってから施行までが短
期間である場合は、規制の基準を満たしているかどうかの判断を、事業者が次
に施設の運転を開始するまでに行うこととする。
(施設が継続的に運転を行っている場合は、定期点検に入った段階で求める。)

それぞれの節目の時点以降、規制の基準を満たしていない原子力発電所は、
運転の再開の前提条件を満たさないものと判断する。

今回の新たな規制導入に当たっての取扱い

① 今年7月の新規制の施行段階で、設計基準事故対策及びシビアアクシデント
対策(大規模自然災害やテロに起因するものを含む)として必要な機能をす
べて備えていることを求める。

② シビアアクシデント対策やテロ対策の信頼性向上のためのバックアップ対
策については、施行後5年までに実現を求める。
今回は「新規制の考え方」でいうところの「規制の基準の内容が決まってか
ら施行までが短期間である場合」にあたるので、原子力規制委員会は、規制の
基準を満たしているかどうかの判断を、事業者が施設の運転を再開するまでに
行うこととする。

○ 7 月の新規制導入時点で稼働中のプラントの扱い
「新規制の考え方」と齟齬のない対応が必要である。また、安全性の確
認において例外はありえず、運転するに足るだけ十分に危険性が低いかど
うか、しっかりと確認することが必要である。

原子力規制委員会は、導入直後の定期点検終了時点で、事業者が施設の
運転を再開しようとするまでに規制の基準を満たしているかどうかを判
断し、満たしていない場合は、運転の再開の前提条件を満たさないものと
判断する。

ただし、今回は大幅な規制の基準の引き上げであり、通常のバックフィ
ット以上に丁寧な対応をする必要があると考える。

そこで、運転中のプラントが新基準をどのくらい満たしているのか把握
するための確認作業を、新基準の内容が固まった段階で速やかに開始す
る。この確認作業は、今後他の炉に対して審査をするためにも有効であ
ると考える。

そのうえで、安全上重大な問題があると認める場合には、原子力規制委
員会として停止を求める可能性がある。

新たな規制に合致した規制方法への移行
新たに要求するシビアアクシデント対策については、施設や機材の備えだけ
でなく、それらを使用して事故の進展を有効に防止するための事業者の運用や
体制、教育訓練なども重要な要素である。

従来の規制においては、基本設計、詳細設計、運転管理などの審査を段階的
に、言い換えれば細切れに実施してきた。しかし、シビアアクシデント対策を
新たに要求する以上、この手法は適切でない。

このため、事業者の負担にはなるが、設置変更許可、工事計画認可、保安規
定認可といった関連する申請を同時期に提出させ、ハード・ソフト両面から一
体的に審査することとする。

各種の検査は、これらの一体的な審査手続後に行うこととする。

※ 資料8-1については、原子力規制委員会での議論を踏まえて、修正されております。


●規制委、現実路線に修正 大飯原発の運転9月まで容認
      日経 2013/3/20
 原子力規制委員会が19日、国内で唯一稼働している関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県)の運転を今年9月まで認める方針を示した。
7月に導入する新安全基準は当面適用せず、同原発が定期検査に入る秋以降に改めて審査する。
発足から半年。安全優先の観点から厳格な対応を続けてきた規制委は、今夏の電力不足に配慮する現実路線に軌道修正し始めた。

 「新しい基準を稼働中の原発に適用するときには、社会への影響を考…

●原子力規制委、大飯原発について9月まで運転継続容認を決定
           FNN (03/19 21:44)
国内で唯一運転している福井県の大飯原発について、原子力規制委員会は、安全上問題がなければ、定期検査に入る9月まで運転継続を認めることを決めた。
原発の新安全基準は7月に施行される予定だが、大飯原発については、原子力規制委員会は、期検査終了後に新安全基準の審査を行うという。

これにより、大飯原発3・4号機は、定期検査に入るまでの9月まで運転が認められる可能性がある。
しかし、大飯原発は重要な施設の下に活断層が通っている疑いが指摘されているため、調査の結果次第では運転停止を求められる可能性もある。


●大飯原発は新基準導入後も運転継続へ、9月以降に原発ゼロも=規制委
        朝日 3月19日 
 3月19日、原子力規制委員会は、7月に予定している原発新安全基準の施行に向けた「基本方針案」を提示した。
写真は全国で唯一稼働している関西電力の大飯原発。福井県で昨年1月撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

 [東京 19日 ロイター] 原子力規制委員会は19日、7月に予定している原発新安全基準の施行に向けた「基本方針案」を提示した。全国で唯一稼働している関西電力<9503.T>大飯原発(3、4号機)は9月に予定している定期検査までは運転可能とする内容だ。

 規制委の田中委員長は「大飯が定期検査に入るまでに他の原発が起動できない気がするので、(再び原発)稼動ゼロになるかもしれない」とも指摘した。

 同方針案は、田中委員長の「私案」として同日午前の委員会に提出され、了承を得た。同案では、「(新基準)導入直後の定期検査終了時点で、運転を再開しようとするまで規制の基準を満たしているかどうか判断する」と明示。大飯原発の場合、9月の定期検査後に再稼動の可否が判断されるとの見解といえる。

 新安全基準は法律に基づき7月に施行され、同基準により規制委が再稼動の可否を判断する。午後の記者会見で田中委員長は、新基準導入後も大飯3、4号機はしばらくは同基準を満たさないまま稼働を継続することについて、「施行と基準対応を求める期間には現実的な裕度を持たせる」などと理由を語った。田中氏は、新基準施行後も大飯原発の稼働継続を容認することについて「政治的な判断は全くない」と強調した。

 同案では、規制委が再稼動を審査する時点で実施を求める安全対策と、新基準導入から5年後までに実現を求める対策とに分類。各原発ごとに、過去最大を上回るレベルの「基準津波」に耐える防潮堤の設置は再稼動時に求める方針を確認した。

 原子炉安全を担当する規制委の更田豊志委員は、緊急時に蒸気を排出する際に放射性物質を除去する「フィルター付きベント」を沸騰水型軽水炉(BWR)には義務付ける一方で、加圧水型軽水炉(PWR)の場合は、再稼動時点での設置を求めないとの方針を委員会で示した。
国内原発に未導入のフィルター付きベント設置には2─3年間を要するとみられ、猶予が認められないBWRの再稼動はPWRに比べ遅れることが濃厚だ。


 地域独占9電力のうち、BWR採用は東京電力<9501.T>、中部電力<9502.T>、東北電力<9506.T>、中国電力<9504.T>、北陸電力<9505.T>の5社。
PWRは関西電力、九州電力<9508.T>、北海道電力<9509.T>、四国電力<9507.T>の4社。
 (ロイターニュース、浜田健太郎)

●規制委、関電に計画見直し指示 大飯原発断層で
       2013/03/19 09:54 【共同通信】
 原子力規制委員会による現地調査後も活断層か結論が出ていない関西電力大飯原発(福井県)の敷地内断層(破砕帯)をめぐり、新たに約70メートルの試掘溝を掘るとした関電の追加調査計画は不十分として、規制委側が計画の見直しを指示したことが19日、分かった。関電は計画の見直しについて「検討中」としている。

 大飯原発では敷地内を南北に縦断する「F―6断層」が、国内で唯一、運転中である3、4号機の重要施設の直下を通っているとみられる。国は活断層上に重要施設の設置を認めておらず、活断層と判断されれば3、4号機は停止を迫られる。

●規制庁:原子力資料閲覧有料化で批判 情報公開推進ならず
    毎日新聞 2013年03月19日
 「原子力の図書館」と呼ばれていた「原子力公開資料センター」が昨年9月の原子力規制庁発足に伴って廃止された問題で、旧センターが無料公開していた資料を規制庁が有料化したことに批判の声が上がっている。資料を情報公開法上の「行政文書」に位置付けたための措置だが、開示に時間もかかるようになった。規制庁が発足して19日で半年。目標の「情報公開の推進」は掛け声倒れとなっている。

 規制庁が旧センターから引き取った資料は、原発の建設・運転に必要な設置許可申請書や安全審査書など約4万ファイル。旧センターは開架式で資料を自由に閲覧できたが、現在は段ボールに入れて保管されている。
 規制庁総務課によると、規制庁が入居する民間ビル(東京・六本木)には、市民が立ち寄れる公開窓口を設置できず、閲覧に応じるために情報公開法による手続きを適用した。このため閲覧請求に対しては、開示請求書に氏名や住所などの記入を求め、手数料として1件当たり300円を徴収している。利用者は資料を特定して請求する必要があるうえ、閲覧までに最大30日かかる場合もある。

 規制庁は、発足時に「国民の情報開示請求を待たず、自発的に公開する」との「透明性確保のための方針」を決定している。規制庁総務課の担当者は「有料化は公開窓口がないため、やむを得ないものの、誠に申し訳ない。早く窓口を開設したいが、めどは立っていない」と話す。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「公開方針が言行不一致と言わざるを得ない。速やかに公開できるよう予算と体制を確保すべきだ」と指摘する。【中西拓司】

●原子力規制委 規制強化と独立性が課題
       NHK 3月19日
3月19日 9時48分東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、国の新たな規制組織、原子力規制委員会が発足してから19日で半年です。
規制委員会は、電力会社に新たに義務づける安全基準の策定が山場を迎え、規制をどう強化するのかが課題となっているほか、政府などからの「独立性」をいかに保つのかも問われています。

原子力規制委員会は、おととしの原発事故を教訓に去年9月に発足し、委員5人が就任したほか、事務局として職員およそ470人の原子力規制庁が設置されました。規制委員会はこの半年の間、専門家とともに原発の断層を調査し、2か所で「活断層の可能性が高い」という報告書の案を示したほか、原発事故に備えて対策が必要な範囲を半径30キロに拡大した、新たな防災指針をまとめました。

現在、7月の期限を前に、電力会社に新たに義務づける安全基準の策定が山場を迎え、これまで電力会社の自主的な取り組みに任せてきた過酷な事故に備えた対策や、大規模な地震や津波に備えた対策で、規制をどう強化するのかが課題となっています。
また規制委員会は、独立した職務権限が保障されている、いわゆる「3条委員会」で運営されていることから、政府や電力会社などからの「独立性」をいかに保つのかも問われていますが、電力会社との意見交換が不足しているという批判があり、規制委員会がどう向き合うのかが注目されています。

●東日本大震災2年】 「原点を振り返る日」原子力規制委員長が訓示
                産経 2013.3.11
 東京電力福島第1原発事故から2年の11日、原子力規制委員会の田中俊一委員長は事務局の原子力規制庁職員に訓示し、「事故の反省に立って新設された規制委、規制庁の原点を振り返る日。重い責任に誇りを持ち、国民から信頼される組織を目指して最善を尽くすことを、事故の被災者に約束したい」と述べた。

 田中氏は訓示の中で福島県浪江町の浪江小学校校長から届いたメールを紹介。メールには「周囲が以前の日常を取り戻す中、浪江の人々は奇妙な小康状態の中にいる」とつづられていたといい、「こういう話を聞くたび、原発事故の罪がいかに重いか、改めて感じざるを得ない」と指摘した。

 また「事故で多くの方々が厳しい生活にさらされている現実をしっかり受け止め、最大限の努力をする覚悟を新たにしたい。私たちの取り組みにゴールはない」とした。

●「事業者とコミュニケーションを」 原子力規制委・島崎委員長代理に聞く
            産経 2013.3.5
 地震と津波に関する原発の新安全基準作成の中心となっている原子力規制委員会の島崎邦彦委員長代理(東大名誉教授)が産経新聞のインタビューに応じ、活断層調査の進め方への批判があることについて「事業者ともっとコミュニケーションを取る」と語った。主な一問一答は次の通り。

 --原発から活断層を排除するのはなぜか

 「地震は揺れとずれの2つの面があるが、問題となっているのはずれの方だ。原発建屋の直下の地盤がずれて段差ができたり、著しく変形したりしてしまうことは避けなければならない。施設だけでなく配管も損傷する可能性がある」

 --建物の耐久性を高めればいいのでは

 「地盤がずれてしまうと深刻な事態になる。緩和措置とかで影響を小さくすることしかできず、対策が打てる状況にならない。最初から活断層をなくすようにしようと非常に厳しい規制にしている」

 --活断層が危険なのであれば、敷地内全体で禁止すればいいのでは

 「それは過剰になる。実際に阪神淡路大震災(平成7年)では、(活断層の近くでも)建物が立っている。活断層直上になければ大変な損傷にはならない」

--活断層の評価が40万年前まで拡大したが、実際にそこまで審査できるのか

 「ずれているのが分かるのは火山灰の層で、年代が特定できる。これまでは実際の審査で事業者から『13万年前ではなくて20万年前だ』といわれ、水掛け論になり審査が長引いてしまうことがあった。13万年前も40万年前も地層にかかる力は変わりない。審査が長引かないように効率的に運用するため付け加えた」

 --活断層の現地調査について。関西電力大飯原発(福井県)の判断が長期化しているのはなぜか

 「トレンチ(試掘溝)で見た地層のずれが、はっきりとした評価になっていない。別の場所でトレンチを掘ってもらうよう事業者に再調査をお願いしたが、そこをやっていればもう少し早く結論が出たのでは。手間を惜しんではいけないが、判断するにはデータがいる」

 --規制委の調査の仕方に対し「事業者を遠ざけている」などの批判があるが

 「事業者ともっとコミュニケーションを取るようにする。これまでぎくしゃくしてお見苦しい点はあったかもしれないが、今後はきちっとした形でやっていく。おかしい所があれば批判をいただきたい」



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 今朝の明け方5時半ごろの気温は9度だった。
 曇りに微風で快適にウォーキング。最近は正味40分で4.0kmほどのコースにしている。
 秋から1月冒頭のやや増え気味だった体重も、1月中旬から玄米食を再開したこともあってか、1月末には3kg減。
 今は、さらに0.5kgほど減った。
 だから、快調。

 ところで、ウォーキングの前にニュースを見たら、脳卒中発症リスクを数値で予測するモデルが作成されたとあった。 

    (日経)国立がん研究センターと藤田保健衛生大などのグループは、脳卒中の発症確率の予測に何が必要かを見つけ、
        年齢や血圧、喫煙習慣など七つから、今後10年間の発症確率を予測する算出方法を作った。自分の値を当てはめると、リスクがわかる。


 そこで、ネットで論文の概要を見た。
    (国立がん研究センター)脳卒中発症確率を予測するためには、喫煙、肥満度、血圧、降圧薬内服および糖尿病の有無、年齢、性別の7つの因子で必要十分であることを統計学的に明らかにし、それらを使って予測モデル(予測式)を作りました。

 そこに予測表があったので、試してみた。
 とても簡単。
  ↓    (なお、ブログ末で論文概要などにリンクし、記録。解説の主要部をチェック)

(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

 点数が高いほど良くない。
 ・・・なのに、「男性」は6点、「女性」は0点。
 つまり、「男」はそれだけで、発症リスが高いということ・・・

 ちなみに、私自身のランクは中位のレベルだった・・・

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●脳卒中のリスク分かる計算式開発
    NHK 3月19日
血圧や喫煙の習慣、それに肥満度など、7つの項目ごとに割りふられた点数を合計するだけで脳卒中のリスクが分かる計算式を、国立がん研究センターなどのグループが開発しました。

国立がん研究センターなどのグループは、全国の男女1万5000人余りの生活習慣と健康診断のデータから、脳卒中の発症に影響する、喫煙の習慣や肥満度、それに糖尿病の有無や血圧など、7つの項目を特定しました。
そして、それぞれの項目を点数化し、40代から60代の人が自分の点数を合計すると、10年間に脳卒中を発症する確率や、血管の老化の度合いを判定できる計算式を開発しました。
脳卒中を発症する確率は、リスクの大きさに合わせて、1%未満から20%以上までの14段階で示されます。

例えば、50歳のたばこを吸う男性で、肥満度を示すBMIが30、血圧の上の値が160で下の値が100、さらに糖尿病がある場合、合計37点となり、脳卒中を発症する確率は12%以上15%未満、血管の年齢は85歳と判定されます。
研究班では、自分のリスクを具体的に知り、脳卒中の予防に生かしてもらいたいとしています。
計算式の開発に当たった藤田保健衛生大学の八谷寛教授は、「血圧や喫煙、肥満度、それに糖尿病の4つを改善すると、どれくらい脳卒中のリスクが小さくなるかも分かる。生活習慣を変えるきっかけにしてほしい」と話しています。

●脳卒中発症リスク、数値で予測 国立がんセンターなど
             日経 2013/3/19
藤田保健衛生大学と国立がん研究センターなどの研究グループは19日、年齢や喫煙の有無、血圧など6項目から、今後10年間に脳卒中を発症する確率を知ることができる予測モデルを作成した、と発表した。約1万5000人を14年間追跡した疫学調査の結果を分析し作った。藤田保健衛生大の八谷寛教授(公衆衛生学)は「発症リスクを知っておけば、生活習慣を見直す動機になる」と話している。

 例えば、58歳のたばこを吸う男性で、体重(キロ)を身長(メートル)で2回割って算出する肥満度(BMI)が26、糖尿病があり、上の血圧(収縮期血圧)が145、下の血圧(拡張期血圧)が89で降圧薬を飲んでいない場合、合計点は39点となり、脳卒中の発症確率は12%以上15%未満となる。

 研究グループは、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄5県に住む40~69歳の1万5672人を対象に1993年から14年間、追跡調査した。期間中に790人が脳卒中を発症した。

 原因としては高血圧(35%)、喫煙(15%)、肥満(6%)、糖尿病(5%)などが高かった。こうした要因から脳卒中へのなりやすさを点数化し、予測モデルを作った。

 脳卒中には脳梗塞やくも膜下出血、脳内出血などがある。がん、心筋梗塞に次ぐ日本人の死因の第3位。2008年の厚生労働省の調査によると、入院患者数の中で脳卒中患者の割合は約14%とひとつの疾患としては最も多かった。

●脳卒中リスクを予測=喫煙、肥満など点数化-藤田保健衛生大など
             時事 (2013/03/19-12:03)
 血圧や喫煙の有無などから血管年齢を算出し、脳卒中を発症する確率を予測するシステムを開発したと、藤田保健衛生大の八谷寛教授らが19日発表した。米医学誌に論文が掲載された。
 八谷教授は国立がん研究センターと共同で、1993年~2007年、全国の約1万6000人を追跡調査した結果に基づきシステムを作った。

 年齢、性別、喫煙の有無、糖尿病の有無、肥満度、血圧の6項目について点数を付け、合計点によって、血管年齢と今後10年間で脳卒中を発症する確率を算出する仕組み。

 例えば50歳(6点)の男性(6点)で喫煙しており(4点)、肥満度を示す体格指数(BMI)が26(2点)で糖尿病はない(0点)が、血圧を下げる降圧薬を服用していない状態で収縮期の血圧が135mmHg、拡張期が85mmHg(6点)の場合、合計点は24点。血管年齢は64歳で実年齢より14歳高く、脳卒中のリスクは3%以上4%未満となる。

 リスクを高める要因としては、年齢を除けば高血圧が最も大きい。男性の場合は続いて糖尿病、喫煙、肥満の順となる。女性は男性より危険度は低いものの、喫煙の影響が大きく、糖尿病、肥満が続いた。

●脳卒中リスク、自分で予測 血圧など7要因から算出
      朝日 2013年3月19日
リスクスコアによる脳卒中発症確率の算出方法

 【辻外記子】脳卒中になるリスク、自分で計算できます――。国立がん研究センターと藤田保健衛生大などのグループは、脳卒中の発症確率の予測に何が必要かを見つけ、年齢や血圧、喫煙習慣など七つから、今後10年間の発症確率を予測する算出方法を作った。自分の値を当てはめると、リスクがわかる。

 グループは1993年から2007年まで、全国の40~69歳の約1万6千人を追跡調査し、約14年間で790人が脳卒中になった。生活習慣を尋ねるアンケートの回答や、健康診断の結果を照らし合わせ、どんな人が脳卒中を発症しやすいかを分析した。

 その結果、たばこを吸うか、肥満度を示す体格指数(BMI)、血圧、高血圧治療の降圧薬をのんでいるか、糖尿病か、年齢、性別の七つの要因を組み合わせると、10年間に脳卒中になる確率をほぼ正しく予測できることがわかった。

国立がん研究センター の Webページから
    ● 2013/03/19 10年間で脳卒中を発症する確率について -リスク因子による個人の脳卒中発症の予測システム-
    JPHC研究からの論文発表のお知らせ
多目的コホート(JPHC)研究から、10年間で脳卒中を発症する確率について検討し、リスク因子による個人の脳卒中発症の予測-システムを開発した研究の結果が発表されました。

7つのリスク因子を用いた10年間の脳卒中発症確率の予測モデルを作成

今回の研究では、まず、多目的コホート研究のアンケートや健診データにある項目の中から、脳卒中発症確率を予測するためには、喫煙、肥満度、血圧、降圧薬内服および糖尿病の有無、年齢、性別の7つのリスク因子で必要十分であることを統計学的に明らかにし、それらを使ってモデル(予測式)を作りました。このシステムでは、リスク因子ごとに、その有無や程度によって定められた点数を与え、合計点数から将来の発症確率を判定します(概要版図1参照)。

10年間の発症確率が5%に達するのは、リスク因子のない理想的な男性では69歳ですが、高血圧(降圧薬内服なしで収縮期 140-159 / 拡張期 90-99 mmHg)のある男性では58歳、高血圧と糖尿病のある男性では50歳と、約10-20歳の差がみられました。この研究では、発症確率だけでなく「血管年齢」も同時に推定し、リスク要因があることによって血管が加齢している状態をわかりやすく示すことで、健康指導に活用しやすくしました(概要版図2参照)。

さらに、今回の研究では、あるリスク因子を完全になくすことができた時に、防ぐことが可能となる脳卒中発症者の割合(寄与危険割合)を推定しました。
その結果は、高血圧が35%、次いで喫煙が15%でした。このことから、日本人における脳卒中予防においては、特に高血圧と喫煙に対する対策がより重要であると言えます(概要版図3参照)。

なお、降圧薬内服者では良好な血圧値であっても高い点数が与えられますが、このことは、この研究において降圧薬がより重症あるいは長期間の高血圧者で処方されていることを反映しているものと考えられ、降圧薬の効果を否定するものではありません。降圧薬が脳卒中発症確率を低下させることは最も信頼性の高い無作為化比較試験によって証明されています。

この予測モデルを用いて健診成績や生活習慣を総合的に評価することで、生活習慣を見直し、健診成績を改善していくきっかけにしていただきたいと考えています。

詳しくは、ホームページに掲載された概要版をご覧ください。
  ↓
●   10年間で脳卒中を発症する確率について -リスク因子による個人の脳卒中発症の予測システム
―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―
私たちは、いろいろな生活習慣と、がん・脳卒中・虚血性心疾患・糖尿病などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防に役立てるための研究を行っています。

平成5年に茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古(以上コホートII)の5保健所(呼称は平成25年現在)管内にお住まいだった、40~69才の約6万人の方にアンケート調査への回答をお願いしました。

そのうち、必要な情報があり、血液を提供頂いた約15,672人について、その後平均で約14年の追跡期間中に790人の脳卒中発症を確認しました。その調査結果に基づいて、10年間の脳卒中の発症確率を予測するモデルを作成し、専門誌に論文発表しましたのでご紹介します(Stroke 2013年2月28日WEB先行公開)。

予測モデルの作成について
脳卒中の原因には、高血圧、糖尿病、喫煙などがあることがこれまでの疫学研究の結果から分かっていますが、こうしたリスク因子の組み合わせから、その人が将来脳卒中をどのくらいの確率で発症するかについては、まだ十分調べられていませんでした。

そこで、多目的コホート研究のアンケートや健診データにある項目の中から、脳卒中発症確率を予測するためには、喫煙、肥満度、血圧、降圧薬内服および糖尿病の有無、年齢、性別の7つの因子で必要十分であることを統計学的に明らかにし、それらを使って予測モデル(予測式)を作りました。

これらの因子のうち、年齢に次いで影響(点数)が大きかったのが血圧です。しかし、降圧薬内服の有無によって同じ血圧値でも点数は異なりました。
また、降圧薬を内服している場合、ベースライン時の血圧値が良好にコントロールされていても高い点数が与えられるという結果となりました。このことは、降圧薬の効果を否定するものではありません。

なぜならば降圧薬が脳卒中発症確率を低下させることは最も信頼性の高い無作為化比較試験によって証明されているからです。今回の観察結果は、降圧薬がより重症あるいは長期間の高血圧者で処方されていることを反映しているものと考えられます。したがって、本研究で作成した予測モデルを降圧薬内服中の方に適用する場合には、研究の限界を踏まえた慎重な対応が必要です。今後は、無作為化比較試験の結果を統合するような予測モデルの作成が望まれます。

発症確率の算出の流れ
このモデル予測のシステムでは、図1のように、リスク因子ごとに、その有無や程度によって定められた点数を与え、合計点数から将来の発症確率を判定します。この研究では、実際の追跡結果からリスク因子ごとの点数を決定しています。
たとえば、58歳の喫煙男性でBMIが26 kg/m2(身長:1.7メートル、体重:75 kg)、降圧薬内服なしで血圧が145/89、糖尿病ありの方は12+6+4+2+8+7=39点ですので、10年間の発症確率は12%以上15%未満と推定されます。この確率に、リスク因子が全くない男性が達するのは85歳の時です。これを、右の列に血管年齢として示しました。


(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)

血管年齢の算出について
図2は、リスク因子のない理想的な男性(実線)、高血圧(降圧薬内服なしで140-159/90-99)のある男性(破線)、高血圧と糖尿病のある男性(点線)それぞれの、10年間の脳卒中発症確率の加齢による変化を表したものです。たとえば、リスク因子のない理想的な男性が69歳になった時の10年間の脳卒中発症確率は5%です。そこで「脳卒中の発症確率が5%の時に血管年齢が69歳である」のように決めます。高血圧のある男性は58歳の時に10年間の脳卒中発症確率が5%となることが図からわかります。

したがって、この男性の血管年齢は69歳で、高血圧によって実際の年齢より10歳以上も高いことがわかります。同様に、高血圧と糖尿病のある50歳の男性の血管年齢は69歳で、実際の年齢より約20歳も高いことがわかります。
発症確率では、どんなに健診成績が悪くても、若年者の場合には低く見積もられてしまうために、行動変容に結び付きにくいという問題点があります。そこで、この研究では「血管年齢」も同時に推定し、血管が加齢している事実をわかりやすく示すことで、健康指導に活用しやすくしました。



人口寄与危険度割合
人口寄与危険度割合とは、あるリスク因子を完全になくすことができた時に、防ぐことが可能となる脳卒中発症者の割合のことで、リスク因子ごとに推定します。どのリスク因子への対策をより重点的に行うと、脳卒中発症者数をより減らせるかという指標であるため、公衆衛生学的な施策立案において有用となります。本研究では、リスクスコアだけでなく、多変量解析結果に基づいた人口寄与危険度割合も推定しました(図3)。その結果、高血圧が35%と3分の1以上を占め、次いで喫煙が15%でした。このことから、日本人における脳卒中予防においては、第一に高血圧、次いで喫煙対策がより重要であると言えます。



今回の研究について
今回の研究では、多目的コホートという日本人集団においてアンケート調査や健診成績を総合的に評価し、向こう10年という近い将来の脳卒中発症確率を推定することが可能なリスクモデルを開発し、その妥当性を同じ集団のサブグループで評価しました。
しかし、その結果はあくまで約20年前に結成されたJPHC対象者の観察結果を統計的な計算式に基づいて、10年間の発症確率という形で表現したものに過ぎず、他の集団にこの予測モデルや血管年齢がどのくらい正確に当てはめることができるのかは確認できていません。
このような限界はありますが、予測モデルを用いれば、健診成績や生活習慣を総合的に評価することが可能です。生活習慣を見直し、健診成績を改善していくきっかけにしていただきたいと考えています。



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 TPPの話が具体化してきて、今までとは少し違う視点の議論があるようだ。
 先日の、日本の農業生産7.2兆円、それがTPPで3兆円減となる、との予測が出された。
 その影響に驚く人は少なくない。
   (以前の数字より、低いとの意見もある)

 一番気になること、それは内閣のウソ。
 「国益を守るために交渉する」というけど、「日本の参加は早くても今年7月」といわれる中、
 TPP自体は、「内容は7月までに決定される」という。
 結局、日本は、何も言えないことがわかっているのに、それを隠す内閣。

 安倍内閣は7月の参議院選挙で勝てば、あとは自民の安泰。
 しかも、好都合にも「7月の参議院選挙」までには、
 TPPの中身や日本との関係も不明だから、選挙に支障はない・・・
 そんな目論見ではないか。

 農業団体の反対も、実は、補償をとるための戦略とまでも。

 少し、記事を拾ってみる。
 ●日経 
   「WTO交渉と同じ感覚で議員外交などに張り切っている先生方が多いが、出番は少なく、情報も入りにくいという実態にそのうち気づくはず。
    そうした中で国内調整と、関係国とのギリギリの協議を迫られる。先が思いやられる」。政府関係者はこう漏らす。
    交渉の性格の違いだけではない。
    1993年のウルグアイ・ラウンドでコメの部分開放が決まった際、政府は総額6兆100億円の農業対策を打ち出し、農業関係団体や農家の反論をなんとか鎮めた。
    だが、今回のTPP交渉に際しては、厳しい財政事情のため、そうした成功体験の再現は望み薄だ。
    『現在の農林水産省予算より1兆円の上積みが精一杯ではないか』財務省幹部はこう語る
 
●週刊ポスト
   「もっとも、財務省は「1兆円も出す余裕はない」(財務官僚)として、実際の金額交渉はこれからが山場だが、いずれにしても議論は「参加の賛否」ではなく、
   『いくら払うか、いくらもらえるか』に移っている。
    交渉参加に本気で反対するより、反対の“ポーズ”を取ることで多額の補助金を掠め取るほうが得―反対派の内部には、こうした本音が見え隠れする。」

●時事
   「日本が交渉に参加するのは早くても7月。同月に想定される参院選までには交渉の成否は明らかになりそうになく、3野党がTPPを争点化するのは難しそうだ。」

●北海道新聞
   「全体で17万3千人が失業し3万3千戸の農家が減ると算出した」


こんな中で、日刊ゲンダイが一番読みごたえがあった。(このブログ末に記録しておく)

「全体会議は7月で終わります。すでに条約は出来上がっているのも同然で、すぐにシャンシャンでおしまいになる。
日本が聖域の交渉をできる余地はないのです。
それなのに国民には何も知らせず、後発国には出る幕がない交渉に参加する。これは白紙委任状と同じです。そうまでしてなぜ、参加するのか。安倍首相のメリットしか思い当たりません」


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●参加で農業生産3兆円減、GDP3・2兆円増 政府試算
       産経 2013.3.15 12:58
 日本が環太平洋連携協定(TPP)に参加した場合の国内への影響に関して、農業分野の生産額が3兆円減少するとの試算を政府がまとめたことが15日分かった。一方で消費や工業製品の輸出は増加し、全体では実質国内総生産(GDP)を3兆2千億円(0・66%)押し上げる効果があるとしている。

 政府はTPP交渉参加国との間で関税を全て撤廃したとの前提で試算した。農林水産業では安価な輸入品が流入して国内の生産額は減少するが、他の産業の輸出拡大や消費の増加などで補うとみている。

 GDPの押し上げ効果は、輸出が2兆6千億円、消費が3兆円、投資は5千億円で計6兆1千億円のプラスの影響を見込む。一方、輸入面では価格が安い製品の流入で2兆9千億円のマイナス効果があるとみており、差し引きで3兆2千億円のGDP拡大を見込んでいる。

●TPPで道産品窮地 2010年の道試算、農業2兆円超影響
     北海道 (03/16 06:35)
 安倍晋三首相が環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を正式表明したことで、農作物をはじめとする道内の1次産品は、関税が下がったり撤廃されれば、安い輸入品の攻勢にさらされる懸念が出てきた。道が2010年に試算した農業分野への影響は総額2兆円超。政府が新たな試算をまとめたため、道もTPPに参加する11カ国からの輸入を想定した試算見直しを行い、影響の深刻さを訴える構えだ。

 10年の道の試算では、農業生産額や関連産業、地域経済を合わせた影響額は2兆1254億円に及ぶ。
まず農業生産額は、コメと小麦、ビート、でんぷん原料用ジャガイモ、酪農(バターなどの乳製品)、牛肉、豚肉の計7品目で6180億円減少。これは関税撤廃と、国内対策を講じないことを前提にした。


 道産のコメは年間生産量が60万トンあり、全国で新潟県と一、二位を争う大産地。
 農業団体も「安い外国産が入り込めば、道産も駆逐される」と主張し、10年の試算では生産額が1130億円減るとはじいた。

 畑作物は、道の試算ではビート(砂糖の原料作物)492億円減、小麦418億円減、でんぷん用ジャガイモ160億円減と見込む。砂糖とでんぷんは外国産と混ぜられて流通することもあり、「品質差がつきにくく、価格だけで評価されてしまう」(道内の農業団体幹部)のが特徴だ。

 関税が撤廃された場合、外国産に対する国産の価格はでんぷん、砂糖いずれも2倍以上で、販売は難しくなる。

 道内にはでんぷん工場が17カ所、製糖工場は8カ所あるなど関連産業の裾野は広い。
 7品目全体で関連産業への影響額は5215億円、商店や飲食店、金融など地域経済への影響は9859億円にのぼり、全体で17万3千人が失業し3万3千戸の農家が減ると算出した。<北海道新聞3月16日朝刊掲載>

●こんなに違うTPPとWTOの交渉
“成功体験”が通じず自民党と農業団体の戸惑いは必至

         日経ビジネス/2013年3月19日(火)/ 安藤 毅  
 3月15日に安倍晋三首相が正式にTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加を表明し、国内調整の焦点は関税撤廃の例外確保や農業対策予算の上積みといった条件闘争に移った。

 これをにらみ、自民党の農業関係議員や全国農業協同組合中央会(JA全中)など農業関係団体が動きを強めている。

焦点は条件闘争に
 「TPPはあなたの生活のさまざまな分野に影響する問題です」

 今月12日付の主要大手紙の朝刊などにはJA全中によるTPP交渉参加反対の意見広告が一斉に掲載された。

 同日午後にはJAグループが消費者団体と連携し都内で大規模な反対集会を開催。霞が関などをデモ行進し、気勢を上げた。それでも安倍首相はTPP交渉参加に踏み切った。振り上げたこぶしを降ろさないJA全中は15日、万歳章会長が緊急記者会見を開き、「前のめりな姿勢で参加表明に踏み切ったことは到底納得できず、強い憤りをもって抗議する」と語気を強めた。参院選での自民支援の方針変更をちらつかせ、今後の交渉への影響力確保を狙う姿勢をにじませた。

 一方、自民党はこうしたJAグループなどの「参加反対」姿勢とは一線を画し、軟着陸への環境整備を急いだ。
今夏の参院選を控え、農業団体などの支持離れは避けたいものの、安倍首相の足を引っ張り、政府と党の対立を見せるのは得策でないとの判断があったためだ。

 自民内の調整を担うTPP対策委員会(西川公也委員長)は13日、長時間に及ぶ協議の末にコメ、麦、乳製品など農林水産物の重要品目を関税撤廃の対象から外すことなどを求める安倍首相への提言をまとめ上げた。

 自民のあるベテラン議員は「これこそが、長く政権を担った政党としての知恵やノウハウというものだ」と自賛。「今後は交渉に首を突っ込んで政府の暴走を抑えるとともに、地方のJAを黙らせるための対策費の上積みなどの実利を得る戦いだ」と腕まくりをする。

 こうした自民の対応について、政府内では「党内の意見集約ができなかった民主党とはさすがに違う」(経済産業省幹部)と評価する声が挙がる。

 だが、その一方でTPP交渉に関係する外務省幹部らの間では交渉の先行きを巡り、ある懸念が強まっている。

 それは、自民や農業関係団体が蓄積してきた世界貿易機関(WTO)農業交渉のノウハウがTPP交渉ではあまり活かせない公算が大きく、交渉が進むにつれ、国内からの不満が爆発しかねないことだ。

前身の関税貿易一般協定(GATT)ウルグアイ・ラウンド交渉時代を含め、WTO交渉では次のようなスタイルが確立されていた。

 すなわち、(1)節目には閣僚会合が開催され、政治家同士が詰めの議論をする(2)関係国間の提案や交渉の途中経過は事実上オープン(3)特に日本は国会議員団や農業関係団体幹部らが現地に赴き、情報収集のみならず、事実上交渉に関与する――などである。

「非公開」が原則のTPP交渉
 これに対し、米国や豪州など11カ国で進行中のTPP交渉はどうかといえば、交渉は事務レベルで実施。各国の提案内容や、協議の途中経過をまとめた「テキスト」は原則非公開で、プレスリリースや記者会見の内容以上はほとんど表に出してはいけないとされている。


 つまり、日本は交渉に参加してテキストの内容などを把握しても、WTO交渉時のように、国内向けに詳細に説明するのは難しいということになる。

 「情報管理が厳しく、国会議員やJA全中関係者などがTPP交渉の開催地に押しかけようとしても、ほとんど交渉に関与できないのではないか」と、外務省幹部は予想する。

 TPP交渉がこのような形で実施されている背景には、WTOの交渉が既にみたようなスタイルを続けた結果、議論の収拾がつかなくなり、交渉が暗礁に乗り上げた反省があるのだという。

 交渉の速度を上げるための方策といえるが、その分、交渉にろくにタッチできない政治家などの関係者、国民の不満は高まりそうだ。米国政府も説明責任との兼ね合いで対応に苦慮しているという。

 「WTO交渉と同じ感覚で議員外交などに張り切っている先生方が多いが、出番は少なく、情報も入りにくいという実態にそのうち気づくはず。そうした中で国内調整と、関係国とのギリギリの協議を迫られる。先が思いやられる」。政府関係者はこう漏らす。

 交渉の性格の違いだけではない。1993年のウルグアイ・ラウンドでコメの部分開放が決まった際、政府は総額6兆100億円の農業対策を打ち出し、農業関係団体や農家の反論をなんとか鎮めた。

 だが、今回のTPP交渉に際しては、厳しい財政事情のため、そうした成功体験の再現は望み薄だ。


 「現在の農林水産省予算より1兆円の上積みが精一杯ではないか」。財務省幹部はこう語る。

 自民やJA全中はコメ、砂糖、麦、乳製品、牛豚肉の5分野を「聖域」扱いするよう求めている。だが、高い自由化を迫られる以上、この5分野すべてを無傷でしのぐことは不可能とみられている。

 限られた情報と予算制約の壁。そうした中で農業関係団体や農家、そして世論を納得させつつ、「強い農業」に向けた有効な対策を打てるのか。
TPP交渉参加で、政府、与党、農業関係団体はWTO交渉時以上に厳しい利害調整を強いられることになりそうだ。

●首相「農業は国の礎」 衆院予算委でTPP集中審議
              朝日 2013年3月18日11時51分
 衆院予算委員会は18日、環太平洋経済連携協定(TPP)に関する集中審議を開いた。安倍晋三首相は「農業は国の礎で日本文化そのもの。経済的損得勘定だけで切り捨てるのは間違いだ」と述べ、TPP参加で打撃を受ける国内農業を守る意向を強調した。

 政権はTPPに参加した場合、10年後に国内の農林水産業の生産額が3兆円減ると試算している。農産物を関税撤廃の例外品目とすることについて、首相は「日本は米国から多くの農産物を購入する輸入大国だ。それを力に変えて交渉を進める」と強調。国内農業の保護に全力を尽くす考えを改めて示した。

 TPP交渉にはすでに11カ国が参加し、交渉の出遅れも指摘されるが、「日本は経済力第3位を誇る国で、その経済力にふさわしい交渉力が備わっている」と自信を見せた。さらに「TPPには途上国もいる。そういう国々とどういう連携をしながら国益を確保するかが、多国間交渉では大きなポイントになる」とも語った。

●安倍首相攻めあぐむ3野党=TPPめぐり本格論戦-衆院予算委
      時事 (2013/03/18-21:24)
 安倍晋三首相の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加表明を受けた18日の衆院予算委員会集中審議。
夏の参院選で野党第1党を堅持したい民主党と、党勢拡大を狙う日本維新の会、みんなの党が、自民党との違いを示すのに躍起となった。ただ、維新とみんなは交渉参加に賛成、民主党も野田前政権で交渉参加を探った経緯があるだけに、首相を攻めあぐむ場面が目立った。

 「私どももTPPには前向きだった」。民主党で最初に質問に立った松本剛明税調会長は、交渉参加自体は問題にせず、政府の交渉戦術や、自民党の衆院選公約との整合性に攻撃の的を絞る姿勢を示したため、おのずと攻め口は限られた。

 民主党の大串博志氏は、農業団体によるTPP反対集会やデモ行進を取り上げ、「この人たちの理解が得られていない。結果責任として(自民党は)公約を守っていない」と追及。しかし、首相は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対すると言い続けてきた。前提でないということは、交渉するということだ」と一蹴した。

 維新の阪口直人氏は「交渉参加を決断した点については敬意を表する」と、まずは首相の対応を評価。一方で、米側が重視する自動車分野を関税撤廃の例外として認めたとして「自動車で公正な競争条件を放棄するというとんでもない条件だ」と批判したが、首相は「ぶつかり合っているのが経済交渉だ。(交渉参加を)決断しなければどんどん不利になる」とあっさりかわした。

 みんなの浅尾慶一郎政調会長もTPP交渉参加には賛成しているため、首相の判断自体は問題とせず、農政の在り方を取り上げ、「TPPに参加しようがしまいが農業所得は減っている。対策が必要だ」と主張。首相は「農業は現状でも人口が減少している。農家の所得を上げるため具体的な政策作りを行っていきたい」と応じ、論戦は深まらなかった。

 日本が交渉に参加するのは早くても7月。同月に想定される参院選までには交渉の成否は明らかになりそうになく、3野党がTPPを争点化するのは難しそうだ。

●TPP参加でGDP2~3兆円底上げも農家には10兆円の補助金か
       週刊ポスト2013年3月29日号 2013.03.18 16:00
 アベノミクス「3本の矢」の一つ、成長戦略のため、安倍政権はついにTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を表明したが、「日本の農業が崩壊する」と反対してきた農協は猛烈な抵抗を見せている。
だが、ここには茶番劇の臭いがプンプンと漂っている。
「TPPは震災から立ち上がろうと努力している希望を打ち砕く選択にほかならない」と農協のトップ、萬歳章・全国農業協同組合中央会(全中)会長が叫べば、「米、乳製品、砂糖、牛肉などの品目は必ず死守しなければなりません」と自民党農水族のドン、石破茂・幹事長が応じる。

 3月12日に東京・日比谷で4000人を集めた反TPP集会は、農協をはじめとする反対派の強い結束を印象付けた。

 では、郵政民営化の時のように、抵抗勢力と化した農協を改革に燃える安倍政権が正面突破するのかといえば、そうはならないだろう。
大規模な反対運動のウラで、政権と農協側はすでに“条件交渉”を始めているからだ。

「TPP参加は既定路線だから、あとは農協を通じた農家への補助金交渉になる。農協は、1993年にウルグアイ・ラウンドで米市場の一部自由化を決めた際には、8年間で6兆100億円という巨額の農業対策予算を引き出した。
関税撤廃品目次第では、今回は10兆円規模の減額交渉になるのではないか」(安倍ブレーン)
 自民党のTPP対策委員のひとりもこういう。

「北海道庁がTPPによる道内の損失額を米1130億円、小麦418億円などトータルで2兆1254億円と試算している。委員会では農水族の議員が『北海道だけでこれだけの数字になるんだ!』といいながら、補償額について話し合っている。最低でもウルグアイ・ラウンドの6兆円は超えるはずだ」

 もっとも、財務省は「1兆円も出す余裕はない」(財務官僚)として、実際の金額交渉はこれからが山場だが、いずれにしても議論は「参加の賛否」ではなく、「いくら払うか、いくらもらえるか」に移っている。

 安倍政権による農協懐柔作戦はすでに始まっている。農水省は2013年度予算を前年度比5.7%増に増額し、その多くを田んぼの大規模化や水路の整備といった農業農村整備事業に充てる。

「全中の幹部から聞いた話では、自民党の財務畑の議員から『あんまり抵抗されると予算に影響しますよ』と予算カットを匂わされたという。全中の内部も、抵抗はほどほどにすべき、というムードです」(農水族議員秘書)

 交渉参加に本気で反対するより、反対の“ポーズ”を取ることで多額の補助金を掠め取るほうが得―反対派の内部には、こうした本音が見え隠れする。
 最大の問題は、そうした“出来レース”が国民にとってマイナスになる、ということだ。内閣府はTPP参加により年間GDPが2.4兆~3.2兆円底上げされると試算している。だが、そのために農家に10兆円規模の補助金を出すとなれば、本末転倒だ。

●【TPPの真実】本当なのか安倍首相のTPP参加のメリット 聖域や国益など守れるハズなし
                日刊ゲンダイ 【政治・経済】2013年3月16日
米隷従の自民安倍政権に米国との交渉力など全くなしと専門筋
 安倍首相が15日、TPP交渉参加を正式に表明したが、ぶったまげたのはその言い草だ。

 自民党は先の選挙で「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」と明言。あたかも「TPPには慎重」の姿勢を装ってきた。6割を超える議員がTPP反対を売り物に選挙を戦い、勝ち抜いてきたのは周知の通りだ。

 ところが、安倍は「TPPがアジア太平洋の世紀の幕開けとなった。後世の歴史家はそう評価するに違いありません」「その中心に日本は存在しなければなりません」「TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます」と高らかに宣言したのである。

 もう筋金入りのTPP礼賛ではないか。会見では取ってつけたように「聖域」についても触れた。しかし、「守るべき項目をしっかりと胸に、強い交渉力を持って結果を出したい」と言っただけ。質疑応答で「(聖域の重要5品目の関税を)堅持できない場合、TPP交渉から離脱するのか」と突っ込まれると、「今ここで離脱するかどうかを申し上げるのは国益に反する」とゴマカした。

 最初から交渉参加ありき。それがものの見事に露呈した記者会見だったのである。

 東大大学院教授の鈴木宣弘氏は「民主党の公約破りをあれだけ非難してきたのに、自民党の公約破りは許されるのか。有権者に対する信じがたい背信行為だ」と言ったが、本当だ。
 一事が万事で、安倍や政府が説明するTPPに関する話はことごとくデタラメだ。とにかく、米国に言われたから、TPPに参加する。国益は二の次三の次。そのために、二枚舌を弄して、国民を騙(だま)し続けてきたのが真相だ。


<国民皆保険は揺らぎ、食の安全もなし崩し>

 安倍は会見で「TPPはアジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組みだ」「日本の国益だけでなく世界の繁栄をもたらすものと確信している」とも言った。

 すべてウソッパチである。TPPについては医師会は連日、意見広告を出して反対している。JAは4000人デモ行進で反対した。未来の繁栄を約束するのであれば、なぜ、かくも反対運動が起こるのか。すべてが詭弁(きべん)だからである。前出の鈴木宣弘氏が言う。

「医師会が反対してるのはTPP参加によって、国民皆保険が揺らいでくるからです。米国は長年、日本の医療制度を攻撃し、崩そうとしてきた。国民健康保険があると、米国の保険会社は商売がやりにくいし、日本の薬価制度は米の製薬会社には参入障壁になるからです。企業にとって邪魔なものは排除する。政府が従わなければ、ISD条項で訴える。これがTPPですから、当然、国民皆保険もターゲットになる。TPPは皆保険崩壊を加速させることになるのです。
農業についても同じです。米国は乳製品と砂糖を例外品目にしようとしたが、オーストラリア、ニュージーランドの反発で、認められそうにない。聖域なき関税撤廃が前提なのですから、日本の農業の聖域が守られるはずがないのです。米国は日本の厳しい食の安全基準も問題視している。TPPに参加すれば、農業が大打撃を受けて、地域経済、コミュニティーが崩壊するだけでなく、食料自給率は低下し、食の安全基準の緩和も余儀なくされ、国民の健康不安も増大することになります」

 バラ色の未来なんて、とんでもない話なのだ。

<これから参加する日本に交渉の余地なし>

 安倍や政府は「各国とも聖域はある」「交渉次第だ」みたいな言い方もしているが、これも大ウソだ。

「遅れて交渉に参加したカナダやメキシコは、すでに決まっている条件については口出しできず、今後、決まることについても先に交渉に参加している国の意向が優先されることになっています。そういう念書が交わされたのですが、日本も同じですよ。つい最近、シンガポールで行われた交渉で米国の担当官は『日本は交渉する時間も権利もないんだよ』と言ったといいます。交渉次第で聖域が守られるというのはマヤカシです」
(鈴木宣弘氏=前出)

 そうこうしているうちに、事前協議で米国の自動車の関税維持や日本は米国車の安全基準を受け入れること、最低輸入台数の設定、学資保険の内容変更などを求められていることがバクロされた。もちろん、安倍政権はグニャグニャだろう。

 自民党は先の選挙で、自動車など工業製品の数値目標は受け入れない、国民皆保険は守る、食の安全は守る、ISD条項には合意しない、など6項目の公約を掲げた。これらが守れないなら、直ちに交渉から脱退すべきなのに、安倍は言を左右にしてしまう。

 国民には情報を開示しないまま、国益に反する秘密交渉が進んでいる証拠だ。いや、交渉ではなく、一方的な譲歩を迫られ、ドンドン、それに応じている。それが真相に近い。こりゃ、国民生活や日本の産業は大変なことになる。米国を筆頭に他国の草刈り場になってしまう。それがTPPの現状、惨状なのである。

<すべては安倍首相の政権維持のため>

 元外交官で、あまたの国際交渉を経験してきた孫崎享氏は「TPPで日本は得るものは何もない。ひとつの例外を除いて……」と言った。

 その例外こそがTPPの本質だ。
「米国の言いなりになって、政権維持をしてもらうこと。それしかメリットはありません。つまり、安倍首相のためだけのTPPです」


 そうなのだ。それほど、この交渉は不可解、奇怪で、国民にはいいことがひとつもないのである。孫崎享氏が続ける。

「全体会議は7月で終わります。すでに条約は出来上がっているのも同然で、すぐにシャンシャンでおしまいになる。日本が聖域の交渉をできる余地はないのです。
日米首脳会談の合意文書には『すべてが交渉で決まる』かのような表現が出てきますが、これは『最初から聖域なし』と約束するわけではないという当たり前のことを言っただけ。交渉の余地がないのは政府も知っているはずです。それなのに国民には何も知らせず、後発国には出る幕がない交渉に参加する。これは白紙委任状と同じです。そうまでしてなぜ、参加するのか。安倍首相のメリットしか思い当たりません」

 だとすれば、今後の交渉の結末も見えてくるというものだ。
これまでもウソをつき通してきたように、今後もウソとゴマカシで国民をけむに巻く。しかし、最終的には日本市場を丸ごと米国に手渡すわけだ。亡国政権の身勝手を断じて許してはいけない。 .

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 今日は、ここ山県市の議会の一般質問。
 ところで、今の議会の予算に関する質疑等の中で、
 消防長から「1年間検討してきた結果として、消防団協力金は一切廃止」との旨の答弁があった。
      (別に、手当等も大幅増額)
 後日、確認すると、「各団からそれぞれの自治会に、『協力金は請求しないし、もらわない』旨をお知らせ」という。

 市町村が地域の消防活動のため正規の職員が公務として消防署等を運営するのは当然のこと。

 それとは別に、地域の人たちが消防団員として活動する「消防団」等のシステムもある。
 通常、それら団員は条例で位置づけられているので、「市町村の非常勤職員」である。

 ところで、この地域ごとの「消防団」に関する寄付金が集められる例は少なくないらしい。
 ここ山県市も同様。
 
 10数年前、議員になって2期目のころ、消防団の在り方や公金の使途などについて一般質問した。
 答弁は、現状追認というより「擁護」でかみ合わなかった。
 そればかりか、後日、(自治体合併前の)町長以下消防団幹部ら数十人が集まる場が設定された。
 むろん、私を一人を呼ぶ場。(構図や内容からは「吊るし上げ」とみる人もいる)
 
 自治体合併して10年の昨年6月議会で、一般質問した。
 タイトルは明確に、「消防団に対する寄付金の是非」。
 こんな話は何度もやりたくないし、職員もいやだろうから、
 スパッと「続ける」か「やめる」かの結論が出るように、
 こちらは、理論構成し、筋書きを作って臨んだ。

 その要点は、
 「1年間の検討期間を置く=来年(つまり本年)6月議会で再度質問するからよく相談し、覚悟して意思決定すること」
 「法令上は本来市が受け取ってはならない趣旨や現実の使途のお金ではあるけれど、非常勤職員の構成する消防団が受け取った以上、
  市の一般会計に計上されなければならないお金であることの認識を持ってもらうこと」 
 
 これで、「協力金は廃止」との結論ならそれでよし、
 もし継続するなら、
 住民訴訟でこちら住民側が「寄付金を市の会計に入れていないことは違法」との判決をもらって、強制的に廃止、
 そういう流れを描いた。
        (全国への波及という意味では、後者がいいのか・・・そんな思いがなかったわけではない)

 昨年5月末、まず、一般質問の通告のしばらく前に、消防本部に市内の地区の分団ごとの協力金関連のデータを整理してもらった。
      (下記にその表の抜粋を掲示)
 いずれも「協力金」とはいえ実質的に「寄付金」であることが明瞭だった。 
 このデータを前提に、質問項目を作成し、消防長や担当職員3.4人と何度か話し合った。

 数年前の横浜市の寄付金についての判例(下記にリンク・抜粋)
   (「違法である」と判示しつつ、結論は棄却、却下の判決)
 もあるので、通告文にも引用した。
 
 答弁は
   「当市といたしましても、判示された内容のように、
 適正な歳出として会計することは困難であり、市が直接受領するべき性質の寄附行為ではないと考えております。」

 ・・・・これで、裁判所に持っていっても勝てると確信。

 全国で最も人口の多い市である横浜市(600万人)ですら、今の時代に、リンクした判決のような事態だから、
 この問題は、全国(すべてか、多くかは知らないけれど)に通ずると思われる。
 そこで、今日のブログは、昨年6月の議場での質問と答弁の全文(議事録にもリンク)や関連法令の一式、上記判決などを載せておく。

 なお、この間、触れたくない問題に正面から取り組み、協議し、協力金(寄付金)廃止の結論を導かれた皆さん、
 その英断を心より賞賛したい。
 ともかく、市内すべてのエリアで、年間の合計で約600万円もの寄付が、数十年と続いていたことの改革は大変なことだ。 

 ところで、今日は、自分の議会の一般質問の日。
 9時からは、  3月14日ブログ で付言した
    「一昨日、本会議中に追加で提案した(上記9件の)補正予算案につき、
     副市長が『議案は次の本会議で取り下げます』と正式に表明。」

 に関する「=議案取り下げ=という追加提案」を上程するための手続きとしての議会運営委員会。

 ちなみに、どういう案件というと
    3月14日ブログ ⇒ ◆信じられない想定外の議案/H25新年度予算と同一の8事業をH24年度補正予算に追加上程

 あと一般質問。私は午後の2時過ぎか。

2012年6月15日ブログ ⇒ ◆一般質問の通告/消防団に対する寄付金の是非
 (関連) このブログのカテゴリー 山県市での新しい風ニュース、一般質問など

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 まず、事前に消防本部に調査していただいた関連データのエクセルの表を、
 通告書に分かりやすい表として付けるべく、一部を加除、修正したもの ↓
 

 ● 消防団に対する寄付金の是非   答弁者 消防長・副市長

平成24年第2回 山県市議会定例会会議録 (平成24年6月12日 開 会 平成24年6月28日 閉 会 のうち、この件についての質問と答弁の全文 (100から106ページ)

○7番(寺町知正君) 第2問目ですけど、消防長にお尋ねしますが、消防団に対する寄附金の是非ということでお尋ねします。

消防団は、消防事務を処理するために設けられた機関であり、消防団の設置、名称及び区域は条例で定めるとされ、消防団に要する費用は、当該市町村が負担しなければならないとされています。
非常勤の消防団員は特別職の公務員とされています。これらから、山県市消防団の設置に関する条例が定められ、報酬、費用弁償、公務災害、退職報償金等も整備されています。
以上で明らかなとおり、消防団は名実ともに山県市の行政組織の一部であり、行政機関としての規律に服します。

さて、消防分団はおおむね自治会の連合のエリアで認識されていますが、自治会から寄附金を得ています。
消防本部の調査では、平成23年度の実績として、名称はいずれも協力金であり、市内の10分団のうち4分団、これが毎年の定額、団当たり30万円から70万円、6分団が1世帯当たり300円から1,300円、団の合計でいうと15万円から170万円というふうであり、ほとんどが単位自治会等から分団の口座に振り込まれ、その協力金の額は、団員1人当たりにすると、団によって約4,000円から3万円となります。客観的に見れば、分団単位として一律に割り当てられているとしかありません。
実際に自治会側が支払い拒否もしくは減額を求めたところ、団からどうしてもこの額でと強く求められ、継続して納付している事例もあったと聞きます。

ところで、横浜地裁の平成22年3月24日の判決は、消防団員に報酬が支払われるようになった平成20年の条例改正以降は、消防団が本来業務のほか、本来業務との関連が疑われる活動につき、市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは違法となる余地があるとの司法判断を示しました。
歴史的な地域の習慣であるかどうかはともかく、この判示の趣旨から、報酬が支払われる消防団は市の一機関であり、消防団員自体も特別職の地方公務員という身分ですから、自治会からの直接の資金援助を受けることはできないと言われています。
そこで、質問しますけれども、1番目、割り当て的寄附金等の禁止に抵触するということです。

1つ目、消防協力金は、結局、地方財政法4条の5で規定される、割り当てて強制的に徴収してはならないに抵触していると考えますが、市は法令上、どのように考えますか。
  2点として、市はこのような寄附が続いていることについてどう考えますか。

質問の2番で、市の一機関なのに寄附金として歳入されていないということです。消防団が受け取った寄附金は、山県市が受けた寄附金としての歳入金収納が行われなければ違法となるのは当然です。自治法の210条、一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならないとされている総計予算主義に反します。また、地方自治法の2条16項は、地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならないとしています。

本件において、分団は、自治会の善意をも含む協力金につき、全分団合計すると617万6,200円を受領していました。
それにもかかわらず、その金員を山県市の歳入金として収納することなく、各分団ごとに費消しました。このことにより、山県市は寄附金としての収入を受けるべき金額の損失を受けたわけです。
少し略しますが、結局山県市は、市長、副市長、課長、団長、分団長に対し不法行為による損害賠償請求権または不当利得の返還請求権等を有していますが、この権利の行使を怠っていると考えます。
このことは、例えば市の審議会や委員会が住民からの寄附金を受けつつ消防団同様の処理をしていたらどうなるかということを考えたら明白です。

市は、協力金が市の会計に収入調定されていないことを法令上どのように解釈し、説明するのでしょうか。

3番目ですが、消防の経費は市が負担すべき。
本件を具体的に検討すると、山県市の消防団分団会計事務マニュアル、これには、前者、分団会計で支出できる経費と、後者、分団で支出する必要がない経費、つまり市が対応するため事務局へ連絡という2つに分けて明示されています。
しかし、その前者の中身はというと、市が公金で負担すべきものが多々あると見受けます。
そこで、私費か市の費用かの経費の分類の基準の見直しと関連マニュアルの訂正が必要ではないでしょうか。
それから、今後は団が必要とする経費は市がきちんと予算化して手当てすべきではないでしょうか。

4項目めとして、条例改正すべきということです。消防団員は公務員としての規律に服するわけですが、各自治体の消防団員に関する条例等を見ると、職務に関し、金員の寄贈もしくは酒食の接待を受け、またはこれを請求しないこと、消防団または消防団員の名義をもってみだりに寄附を募集しないことなどの趣旨を規定しています。しかし、山県市の条例にはこの種の明示はありません。その理由は何でしょうか。そして、盛り込むべく条例改正すべきではないでしょうか。

以上、お尋ねします。

○議長(藤根圓六君) 渡辺消防長。
○消防長(渡辺晴臣君) 消防団に対する寄附金の是非につきましてお答えいたします。

まず、1点目の割り当て的寄附金等の禁止に抵触するとされている点につきましては、そもそも消防団は、市が条例で定め、非常勤公務員としての立場を保証された機関ではございますが、日ごろはそれぞれの本業を持った地域住民によって構成され、自分の地域は自分で守るという自主性と奉仕の精神をもって活動する団体であるということをまず御理解いただきたいと存じます。
この協力金は、地域防災の担い手である消防団員の確保という大きな課題を背景に、消防団に対する地域の期待とねぎらいをあらわしたものであり、あくまでも自治会の意思であると考えております。

各地域ごとの協力金の額につきましても、各自治会においてそれぞれの事情を踏まえた上で検討し、決められたものと解釈しており、消防団から一方的に強制したものではないと考えております。
また、これらの自治会の意思、消防団の自主性、長年に築き上げられた双方の関係等を踏まえますと、議員が示されます消防団の公共性のみを理由に協力金を否定できないものと考えております。
しかし、もしも消防団から協力金を強制する行為があった場合には、市といたしましても厳格に対応するとともに、市民の信頼が得られる組織へと導くべきであると考えております。

2点目の、市の一機関なのに寄附金として歳入されていないという点につきまして、議員が引用されました横浜地裁の判例や他市町村の消防団の不適正事例等を参考に、市といたしましても、従前からどうあるべきか検討しているところでございます。

横浜地裁の判決によれば、市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは違法となる余地があるとしながらも、寄附の趣旨は、主として地元のために活動する団体である消防団に対する慰労を目的としたものであると認めるのが相当である。そうしたこのような寄附金の趣旨を照らすと、市は、係る公務に関連性のない趣旨を目的とした金員を、使途を指定した寄附金として受領できるものではない。そうすると、市が損失のもと、消防団が不当に利得したとは言えない。これを費消することによって、市が損害を生じたと認めることもできないと判示し、結果、原告の訴えが棄却されています。
当市といたしましても、判示された内容のように、適正な歳出として会計することは困難であり、市が直接受領するべき性質の寄附行為ではないと考えております。

平成15年に市消防団が発足して以来、各分団と地域住民の間の慣習、慣例等につきまして、市、消防団及び自治会とその都度協議を重ねてまいりましたが、いまだにさまざまな認識の違いと大きな地域格差がございます。地域消防防災力の向上を大前提とした上で、こうした地域格差といった問題や団員確保といった課題等に対しまして、今後も長期的かつ継続的に取り組でまいりたいと考えております。

3点目の消防の必要経費は市で負担すべきという点につきましては、さきに申し上げました旧町村時代からの慣習、地域性等がこの背景にあることを御理解いただきたいと存じます。
市内の消防団の多くの施設は市の財産として管理していますが、中には消防団のために自治会で整備して提供していただいたものもあります。それらの施設は分団組織と直接関係しており、消防団の組織編成を進める中で、自治会と調整しながら順次見直しております。
備品や消耗品につきましても、公務である消防団活動に必要なものは公費で負担するようにしておりますが、各分団で必要とするものが活動内容、地域性等により一律でないため、対応に限界があることも御理解いただきたいと存じます。

また、協力金の一部をこれらの経費に充てている経緯につきましては、慰労のみに支出されるのではなく、さまざまな地域活動に還元することで地域の皆様に御理解が得られる支出とするため、むしろ消防団側のほうから提案され、この会計マニュアルに盛り込んだものでございます。
こうした会計マニュアルは、岐阜県が作成した消防団員確保対策等支援ガイドに掲載されておりますが、当市消防団の事例が先進的な取り組みとして評価され、紹介されたものでございます。
このマニュアルは、平成18年度作成当初から、消防団と市が協議した上改定を重ねてきたものでございます。市といたしましても、消防団員の処遇改善に努め、消防団活動に必要なものは可能な限り予算措置するとともに、各分団の自主性を尊重し、自発的活動、みずから運営する意識が低下することのないよう、今後も段階的にマニュアル改定を実施する方針でございます。

4点目の条例改正すべきという点につきましては、市が協力金の存在を承知しながら、故意に条文化していないというわけではございません。県内でも幾つかの自治体が条文化しておりますが、こうした多くの事例を踏まえた上で、条文化すべきか否かを検討しているところであり、長期的な課題の1つであると認識しております。
条文化する多くの自治体では、職務に関する金品の寄贈または接待を受け、またはこれを請求してはならない。金品の募集、営利行為、義務負担行為をしてはならないとしております。これらを参考にしながらも、まずは自治会の意思を尊重した上で、地域の実情、市の消防防災体制を総合的に判断し、今後も適正な条例整備に向けて努めてまいりたいと考えております。

以上、答弁とさせていただきます。

○議長(藤根圓六君) 寺町知正君。

○7番(寺町知正君) 消防長から答弁をいただきました。
それでは、再質問いたしますけれども、どうも消防の現場にいる消防署の関係者の皆さんではなかなかあつれきもあるのか、いろんな経過の中で明確な答弁がしにくいように感じます。
そういった中で、副市長にお尋ねします。
まず、私は今の非常に長いですけど説明的な答弁、現状追認に尽きるというその姿勢には驚きました。来年のこの時期も、それ以降も、新たな寄附金が今と同じ状況になり続けるということが確実だと、そんな答弁です。

横浜の裁判というのは、もともと消防団のお金で政治家としての市長のパーティー券を買っていたなど、任意性の強い消防団の会計であって、しかも、平成20年度までは団員の報酬や費用弁償もなかった時代の寄附金についての判断です。さらに、自治会側は、平成20年に報酬の条例ができたということを受けて寄附金を廃止したと、そこまで判決に書かれている事例です。
他方、山県市の寄附金というのは、自治体合併のときに報酬の制度ができ、10年後の現在、今でも世帯ごとに一律の計算、あるいは自治会ごとの定額であって、地方財政法の禁止する割り当て的寄附に係る違法性についても全く事情が違うというふうに考えます。

ともかく消防長の答弁が判決を積極的に引用しての答弁でもありますので、市に速やかに改める意欲がないというふうであれば、私も裁判所の判断を仰ぐ覚悟を持って再質問したいと思います。副市長、よろしくお願いします。

まず、1つ目ですけど、そもそも消防を含めて公務に関して、特に法令に定めがない限り、その業務の対価として民間から金員を受け取ってはならないというのは当然だと思うのですが、副市長はどう考えますか。この受け取ってはならないというときの根拠法令や原則はどういったものでしょうか。

それから、副市長、あなたの住む地元では、消防の協力金的ないわゆる寄附金というのはあるのでしょうか。

3つ目、先ほど通告した質問の1と2に対する答弁の要点の1つ、それは、今の協力金は山県市の消防団とは関係がないお金だから、市は受け取る筋合いはないと、そういう主張です。
その市の主張が成立するためには、同一の団員で構成されている団体について、市の条例で定めた消防団とは別の公務をしていない消防団というのが存在することが必要です。
つまり、2つの団体の間の明確な境目、区切りがあって初めて二面性が確定するわけです。


そこで質問しますが、2つの消防団の境目をどう定義し、何によってその境目が事実に即していると立証するのでしょうか。市の会計の事務のマニュアルや分団の予算の使い道などを見れば見るほど、今の時点においては、その境目があると、これは評価できないというふうに思います。

それから、4つ目ですけど、質問の4について、市への寄附であろうとなかろうと、堂々と速やかに寄附禁止というのを条例に明記すべきではないでしょうか。

それから、5つ目ですけど、団員の報酬は個人あてということで、市に源泉徴収義務があります。課税対象となるのは年5万円の報酬額ですが、これを超えるのは副団長以上ということで、他の自治体でもありますが、源泉徴収をしていたのでしょうか、否かでしょうか。
もししていないなら、その額と是正措置はどうでしょうか。

それから、6つ目ですけど、公金の使い道というのはおのずから制限があります。そこで、この問題の打開策を提案したいと思いますけど、消防の経費は公金で負担するのは当然という原則の中で、団員報酬を引き上げて、使い方は当事者に任せるということには何ら問題がないわけです。
そこで、現実的な課題の消防団員確保やねぎらいということへの配慮も含めて、市民の寄附金に頼らず、協力金の相当額について、もちろん団員への支払い方法を適正にするわけですけど、団員の報酬や出動手当を引き上げるということ、つまり市の予算措置で対応してはどうでしょうか。

以上、副市長にお尋ねします。

○議長(藤根圓六君) 松田副市長。

○副市長(松田 勲君) 私への再質問にお答えをいたします。
1つ目の業務の対価として金員を受け取ってはならないとする根拠法令や原則は何かとの御質問でございますけれども、消防団員のような非常勤特別職につきましては、一般職を対象といたします地方公務員法第38条のような営利企業等の従事制限、つまり報酬を得て、いかなる事業もしくは事務に従事してはならないといった規定に該当するものは、別途条例の定めを持たない以上、特にないものと考えております。

2つ目の私の地元での協力金的な寄附金はあるのかとのお尋ねでございますけれども、こういった問題、実情は当市に限ったものではないと考えておりますし、そのようにお答えをさせていただきます。

3つ目の消防団の二面性の境目をどう定義し、何によって立証するのかということでございますが、大きなとらえ方として、消防団の活動は公務として行う消防防災活動と、そのほかの地域に密着した活動とに分けられるというふうに考えます。具体的には、消防操法の訓練や夜警パトロールといったものが前者、地域イベントの際の交通整理や交通安全街頭指導といったものが後者に当たるものと考えております。また、公務に当たる消防防災活動にだけ手当を支給しているということでもございます。

4つ目の速やかに寄附禁止規定を条例に明記すべきとされる点につきましては、消防長が答弁で申し上げましたとおり、自治会の意思を尊重した上で、地域の実情や市の消防防災体制などを総合的に判断した結果として適正な条例整備を進めてまいりたいと考えております。

5つ目の副団長以上の団員報酬に対する源泉徴収につきましては、所得税法に基づき適正に源泉徴収をしているということを確認しております。
最後、6つ目の打開策として御提案いただいたということでございますけれども、団員報酬や出動手当を引き上げてはどうかということにつきましては、市といたしましても、消防団員の処遇改善に努め、消防団活動に必要なものは可能な限り予算措置していきたいと考えているところでありまして、財政状況、現状課題等を踏まえた総合的な判断のもとに、今後とも消防力を低下させないよう努めてまいりたいと考えております。
以上、答弁とさせていただきます。

○議長(藤根圓六君) 寺町知正君。

○7番(寺町知正君) 今の答弁、全く納得できませんので再々質問したいのですが、残り時間が3分ということなので意見だけ言っておきますけど、先ほど言いましたが、今までのことは知らなかったかもしれない、細かい寄附金の額とか世帯割とかは、市長も副市長も。
 しかし、この議会で答弁をつくるために十分勉強された、現状を理解されたということで、来年春、また寄附金が発生します。
そのときには、横浜地裁の判決は、不法行為が成立するためには故意過失が必要だと、
認識してからは故意過失の段階に入りますので、
1年たってこれが続いていたらそのようになるということで、十分御検討ください。



● 消防組織法
(市町村の消防に関する責任)
第6条 市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する。

(市町村の消防の管理)
第7条 市町村の消防は、条例に従い、市町村長がこれを管理する。

(市町村の消防に要する費用)
第8条 市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない。

(消防機関)
第9条 市町村は、その消防事務を処理するため、次に掲げる機関の全部又は一部を設けなければならない。
1.消防本部
2.消防署
3.消防団

(消防団)
第18条 消防団の設置、名称及び区域は、条例で定める。
2 消防団の組織は、市町村の規則で定める。
3 消防本部を置く市町村においては、消防団は、消防長又は消防署長の所轄の下に行動するものとし、消防長又は消防署長の命令があるときは、その区域外においても行動することができる。

(消防団員)
第19条 消防団に消防団員を置く。
2 消防団員の定員は、条例で定める。

(消防団長)
第20条 消防団の長は、消防団長とする。
2 消防団長は、消防団の事務を統括し、所属の消防団員を指揮監督する。

(消防団員の職務)
第21条 消防団員は、上司の指揮監督を受け、消防事務に従事する。

(消防団員の任命)
第22条 消防団長は、消防団の推薦に基づき市町村長が任命し、消防団長以外の消防団員は、市町村長の承認を得て消防団長が任命する。

(消防団員の身分取扱い等)
第23条 消防団員に関する任用、給与、分限及び懲戒、服務その他身分取扱いに関しては、この法律に定めるものを除くほか、常勤の消防団員については地方公務員法の定めるところにより、非常勤の消防団員については条例で定める。


●  ○山県市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例 平成15年4月1日 条例第144号
(報酬)
第12条 団員には、別表に定める額の報酬を支給する。

(費用弁償)
第13条 団員が警戒、防ぎょ、訓練等、その他の職務に従事する場合においては、出動区分1日又は1回につき2,000円を超えない範囲で市の規則で定めた額を支給する。
2 前項の場合を除き、団員が公務のため旅行した場合は、一般職給料表の職務の級のうち、団長、副団長及び分団長については6級相当職、副分団長、部長、班長及び団員については3級相当職とみなして、山県市職員等の旅費に関する条例(平成15年山県市条例第45号)の規定による旅費に相当する額を費用弁償として支給する。
3 報酬及び費用弁償の支給方法については、非常勤の特別職職員の例による。

山県市消防団の設置等に関する条例平成15年4月1日 条例第143号
(総則)
第1条 消防組織法(昭和22年法律第226号。以下「法」という。)第18条第1項に規定する消防団の設置、名称及び区域については、この条例の定めるところによる。
(消防団の設置、名称及び区域)
第2条 法第9条第3号の規定に基づき、消防団を設置する。
2 前項の消防団の名称及び区域は、次の表のとおりとする。

○山県市消防団規則 平成15年4月1日 規則第112号
(趣旨)
第1条 山県市消防団(以下「消防団」という。)の組織及び運営については、法令その他に特別の定めがあるもののほか、この規則の定めるところによる。


岐阜県消防団員確保対策等支援ガイド/資料編
      山県市消防団分団運営マニュアル  H19.1.30  H20.3 改
      山県市消防団分団会計事務マニュアル  H19.1.30 H21.4.20 改


地方自治法
第二条  ○16  地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。
    ○17  前項の規定に違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効とする。

(総計予算主義の原則)
第二百十条  一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。

地方財政法
(予算の執行等)
第四条  地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。
2  地方公共団体の収入は、適実且つ厳正に、これを確保しなければならない。

(割当的寄附金等の禁止)
第四条の五  国(国の地方行政機関及び裁判所法 (昭和二十二年法律第五十九号)第二条 に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。


 ● 横浜地裁判決
平成22年3月24日判決言渡 同日原本交付万裁判所書記官 川内 裕之
平成19年(行ウ)第52号 消防団寄附金管理違法確認等請求事件
口頭弁論終結の日 平成22年2月10日

判決文13から14ページ
 ・・・これに対し,被告は,消防団には消防組織法に基づいた市町村の機関としでの側面のほか沿革的にいって,地域住民有志が自らの意思で参加することによって自主的に組織した団体としての側面も有しており,そのため,消防組織法1条にいう本来の消防業務以外に自治会)町内会等の地元コミュニティのための各種業務を行っているとし,仮に原告が指摘する寄附があったとしてもこのような団体に対して交付されたものであると反論する。

 確かに,消防団の歴史は古く,江戸時代の町火消しにまで遡り、明治・大正時代の私設消防組,昭和時代(戦前)の警防団を経て,昭和22年4月30日の消防団令に基づいて消防団が組織され,今日の消防団に至っている(乙2)。このような沿革があったためけ横浜市においては,平成20年条例22号による改正前まで,横浜市消防団員の定員,任免,給与,服務等に関する条例1.6条で「消防団員に対しては給与は支給しない。」とされていたと考えられる(乙15,17)。 
 
 しかしながら,消防組織法上,消防団が横浜市の行政組織の一部に組み込みまれていることは,前述のとおりである。そうすると,消防団が,現在においても,法令で定める消防業務以外に,自治会・町内会等の地元コミュニティのための各種業務を担う権利能力なき社団としての性質を併有しているとして,消防団の構成員である消防団員の慰労のために,市民等から寄附金等を受け取ることは,公務員が本来の職務やそれに関連する業務につき金員を受領しているとも受け取られる可能性があるから(被告は消防団が行う自治会・町内会等の地元コミュニティのための各種業務につき,消防団の本来の職務と全く関連するものではないとの前提に立つようであるが,行政組織である消防団の名称で行う活動が,防火・防災等の啓発活動とも無関係と言い切れるのかどうかについては再考の余地があろう。),決して好ましいものではない。
 
この点は,平成20年に条例が改正されて,消防団員に報酬が支払われるようになり,消防団がより明確に行政組織の一部として捉えられるようになったことからすると,なおさらである。

 (3)以上によれば,平成20年の条例改正以降は,消防団が,本来業務のほか本来業務との関連が疑われる活動につき,市民等から慰労などの趣旨で直接寄附金を受領することは,違法となる余地がある。・・・


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 水俣病のこと。
 熊本県が水俣病の患者と認定しなかったことの是正を求め、
 大阪府と熊本県で処分の取り消しと認定義務付けを求めた2つの訴訟の弁論が最高裁であった。

 最高裁が弁論を開くときは高裁判決を見直すとき。
 ただ、この2つの訴訟は、全く逆の判断がされた事件なので、最高裁は当然、統一した判断をするばす。
 どちらかを認め、どちらかを認めないということ。

 私は、ほとんどの行政訴訟を本人訴訟で進めてきた。
 最高裁の小法廷にも何度も立った(座った)。
 こちらが上告人(つまり高裁で負けていた訴訟=最高裁で逆転勝訴ということ)のケースの方が多い。
 控室の雰囲気のことも思い出す。
 当事者の気持ちが伝わる気がする。

 ところで、今回の事件。
 経過や要点は産経の記事が分かりやすい。
 以下に要点抜粋。

 ★水俣病について、国は昭和52年、「認定には手足の感覚障害や運動失調など複数の症状の組み合わせが必要とする判断基準」(52年基準)を示した。
 
 ● 大阪府の訴訟では、H22年、1審大阪地裁が52年基準を否定し、県に水俣病と認定するよう命じる判決を言い渡した。
   昨年の2審大阪高裁は、県の判断が不合理かどうかを審査。「国の基準は医学的知見に適合し相当」とし、女性側の逆転敗訴とした。

 ◎ 熊本県の訴訟では、1審熊本地裁が平成20年、請求を全面的に退けた。
   昨年の2審福岡高裁判決は、52年基準を「十分であるとは言い難い」と指摘した上で、女性の生活環境などを独自に検討し、水俣病と認められると判断した。

   
 毎日新聞もまとめが分かりやすい。
 
◇救済制度今も混迷 異議申し立て、提訴の動きも 最高裁判断に注目
 水俣病認定を巡る訴訟を受けて作られた未認定患者の救済制度は今も混迷が続いており、最高裁の判断が注目される。
 国の基準を事実上否定した04年の水俣病関西訴訟最高裁判決で認定申請者が急増したため、09年に水俣病被害者救済特別措置法(特措法)が制定された。一定の感覚障害があれば一時金(1人210万円)や医療費が支給される。
 12年7月の締め切りまでに熊本、鹿児島、新潟の3県で6万5151人が申請。1995年の政治決着(一時金260万円などを支給)時の申請者約1万4700人を大きく上回った。

 しかし、特措法の救済対象から外れた申請者が、判定した3県に異議を申し立てるケースが相次いでいる。国の見解に従い、熊本、鹿児島両県は申し立てを却下するとしているが、新潟県は受理し判断が分かれている。対象外となった申請者側には提訴の動きもある。【澤本麻里子】


 ともかく、3月15日に行われた弁論で、4月16日の判決期日が指定された。

 報道では、面白い場面が記されている。
 法廷では、判決日が、約1か月後の4月16日に決まったことを原告側弁護士が「拙速」と批判したのに対し、
 裁判長は「それは判決を見てから判断してほしい」と応じた。佐藤会長は「(判決に)期待できる一言だ」と述べた。


 4月16日は注目しよう。

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●水俣病認定訴訟の控訴審が結審 来年4月に判決
           産経 2011.12.26 19:21
 関西水俣病訴訟の最高裁判決(平成16年)で勝訴したのに、その後も行政に水俣病と認められなかった大阪府豊中市の女性(86)が国と熊本県に患者認定を求めた訴訟の控訴審は26日、大阪高裁(坂本倫城裁判長)で結審した。判決は来年4月12日に言い渡される。

 昨年7月の1審大阪地裁判決は「現行の認定基準には医学的正当性がない」として県に認定を命じたが、県側は「十分な合理性・正当性がある」として控訴していた。



●異議申し立て却下へ 水俣病救済策で鹿児島知事
           産経 2012.11.14
 鹿児島県の伊藤祐一郎知事は14日の記者会見で、水俣病特別措置法の救済対象外となった人たちの異議申し立てについて「認めるのは難しい」と述べ、却下する方針を示した。

 環境省は「救済対象を判定する行為は異議申し立ての対象にならない」として却下すべきだとの見解を示したが、伊藤知事は「環境省の解釈には必ずしも賛成していない」と述べ、独自に申し立ての是非を検討していた。

 県は顧問弁護士と協議した結果、最高裁判決の判例などから異議申し立ての対象にならないと結論付けた。
環境省の見解を確認した上で、最終的に判断する。

●鹿児島で23人異議申し立て 水俣病救済
                産経 121219
 水俣病特別措置法の救済策の対象にならなかった23人が19日、鹿児島県に行政不服審査法に基づき異議を申し立てた。

 水俣病不知火患者会(熊本県水俣市)会員の40~80代の男女で、居住地が救済策の対象地域外などを理由に申請を退けられたという。患者会によると、申し立ては熊本、鹿児島両県で計191人になった。

 伊藤祐一郎鹿児島県知事は申し立てを却下する方針を示しているが、患者会の林田直樹事務局長は「知事から直接説明を受けていない。被害者がいる限り、申し立てを続ける」としている。

●新たに32人異議申し立て 水俣病特措法の救済策
         産経 2012.11.28
 水俣病特別措置法の救済策に申請し、一時金(210万円)などの支給対象にならなかった32人が28日、熊本県に行政不服審査法に基づき異議を申し立てた。
 水俣病不知火患者会(熊本県水俣市)の会員で40~80代の男女。特措法の対象地域外に住んでおり、支給対象と認められなかったという。

 環境省は、救済策の判定は国側と被害者側などの合意に基づく行為で、異議申し立ての対象となる「行政処分」に当たらないとしており、熊本県は申し立てを却下する見込み。

 不知火患者会によると、異議申し立ては熊本、鹿児島両県で計168人になった。

 熊本県天草市河浦町の田中憲男さん(63)は申し立て後に「県はヒアリングだけで非該当にしたが、せめて公的検診はしてほしい」と話した。

●水俣病訴訟、3月15日弁論 最高裁、判断枠組み統一か
         産経 2013.1.17 22:18
 熊本県が水俣病の患者と認定しなかったのは不当として、同県の女性の遺族と大阪府の女性が、県を相手に棄却処分の取り消しと認定の義務付けを求めた2訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は17日、3月15日に弁論を開くと決めた。

 裁判での水俣病認定の在り方について、2訴訟の二審は判断が分かれている。
上告審判決では統一した枠組みが示される可能性があり、未認定患者の司法救済に影響を与えそうだ。


●水俣病認定基準の誤り判示を 最高裁に要請文
           熊本日日  2013年03月15日
 最高裁への要請文を提出する中央大の細谷孝講師(中央)=15日午前11時35分ごろ、最高裁前(小野宏明)

 水俣病の認定義務付けを求めた2件の訴訟上告審で口頭弁論が開かれるのを受け、両訴訟の支援団体は15日、国の認定基準の誤りを判示し、認定義務付けを命じる判決を求めた要請文を最高裁に提出した。

 訴訟は、申請を棄却された水俣市の女性遺族と大阪府豊中市の女性が、熊本県に認定を求めて提訴。複数症状の組み合わせを求める認定基準の妥当性をめぐり、2高裁の判決で判断が割れている。

 要請文は、「チッソと国の水俣病責任を問うシンポジウム実行委員会」と「東京・水俣病を告発する会」などが呼びかけ。文化人や学識者ら約330人が賛同し、作家の石牟礼道子さんや環境ジャーナリストのアイリーン・美緒子・スミスさんらが名前を連ねた。

 15日午前、賛同者代表の細谷孝・中央大講師が最高裁に要請文を提出した。両訴訟の口頭弁論は同日午後、最高裁第3小法廷で開かれる。(鎌倉尊信)

●水俣病認定手法、統一判断へ 4月16日に上告審判決
             産経 2013.3.15 23:07
 熊本県が水俣病の患者と認定しなかったのは不当として、大阪府と熊本県の女性の遺族が処分の取り消しと認定義務付けを求めた2訴訟の上告審弁論が15日、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)で開かれ、結審した。判決期日はいずれも4月16日に指定された。

 2訴訟の2審判決は、水俣病患者かどうかを異なる手法で判断しており、最高裁が統一判断を示すとみられる。

 国は昭和52年、認定には手足の感覚障害や運動失調など複数の症状の組み合わせが必要とする判断基準(52年基準)を示した。弁論で原告側は「52年基準に医学的根拠はなく、個別の事情を考慮すべきだ」と主張。県側は「県の認定に不合理な点があるかどうかという観点から検討すべきだ」と述べた。

 大阪府豊中市の女性が認定を求めた訴訟では、平成22年、1審大阪地裁が52年基準を否定し、県に水俣病と認定するよう命じる判決を言い渡した。昨年の2審大阪高裁は、県の判断が不合理かどうかを審査。「国の基準は医学的知見に適合し相当」とし、女性側の逆転敗訴とした。女性は今月死去したため、遺族が訴訟を引き継いだ。

 熊本県水俣市の女性の遺族が起こした訴訟では、1審熊本地裁が平成20年、請求を全面的に退けた。昨年の2審福岡高裁判決は、52年基準を「十分であるとは言い難い」と指摘した上で、女性の生活環境などを独自に検討し、水俣病と認められると判断した。

●水俣病認定最高裁弁論 傍聴の関係者が評価
          (2013年3月16日 読売新聞)
 水俣病の患者認定を県に求めた二つの訴訟で、15日に行われた最高裁の口頭弁論。国の認定基準を巡る判断に注目が集まっており、熊本から訪れた多くの支援者が審理を見守った。

 熊本地裁で、国、県、チッソに損害賠償を求める訴訟を続けている水俣病被害者互助会(水俣市)の佐藤英樹会長(58)は、二つの訴訟を傍聴。「水俣病の被害者の声を最高裁に伝えた。いい弁論だった」と評価した。

 法廷では、判決日が、約1か月後の4月16日に決まったことを原告側弁護士が「拙速」と批判したのに対し、裁判長は「それは判決を見てから判断してほしい」と応じた。佐藤会長は「(判決に)期待できる一言だ」と述べた。

 同じく傍聴した熊本学園大水俣学研究センター長の花田昌宣教授は、「水俣病の認定制度を巡る国の施策を、司法が最終的に判断する裁判。重大な判断をするのに、判決まで1か月は短すぎる」と懸念した。

●水俣病:認定訴訟・最高裁弁論 原告、被告8人が意見 認定基準の是非争う /熊本
         毎日新聞 2013年03月16日
 水俣市の農業、溝口秋生さん(81)と、水俣市出身で大阪府豊中市の女性(今月3日、87歳で死去)がそれぞれ熊本県に水俣病認定を求めた訴訟の15日の最高裁口頭弁論。5人の裁判官を前に2件の訴訟で原告、被告側合わせて8人が意見を述べた。水俣などからも多くの患者や支援者らが最高裁を訪れ見守った。【西貴晴】

 口頭弁論は女性の裁判が午後1時半から、溝口さんが3時半からそれぞれ最高裁第3小法廷で約40分ずつあり、国が定めた水俣病認定基準などを巡ってやり取りが交わされた。

 女性の弁論では、代理人の田中泰雄弁護士(60)ら4人が国の水俣病認定基準を批判し「人権救済の最後のとりでたる最高裁がその名にふさわしい救済を図られるよう求める」と主張した。続いて被告の県側の代理人が認定基準を「現在の医学的知見に照らしても合理性を有している」などと訴えた。

 溝口さんの弁論では、原告の溝口さん自身が意見を述べた。今回の裁判で認定を求めた母チエさん(故人)が77年に亡くなった後、毎年命日前後に県に認定申請の結果を電話で問い合わせたが「検討中」の返事ばかりだったことや、棄却となったのがチエさんの死後18年もたってからだったことを挙げ、県の認定行政を批判した。

 溝口さんは「(溝口さんの勝訴となった)福岡高裁判決をそのまま認めて私の苦労を終わりにしてください。裁判が長すぎる。よろしくお願いします」と締めくくった。

 この後、溝口さんの代理人の山口紀洋弁護士(72)が「正義の判決をお願いします」などと述べた。4月16日の判決期日を決めて法廷を出ようとする裁判官に、山口弁護士が「あまりに拙速ではありませんか」と声を上げる場面もあった。

 溝口さんの意見陳述に先立ち、県側の代理人は認定基準の正当性を主張したほか、認定基準を満たさない被害者を対象に09年に施行された水俣病被害者救済特別措置法を引き合いに、行政が実施している「立法および行政施策全体の救済体系」の意義を強調した。

 最高裁には原告の支援者ら約100人が傍聴を目指して集まった。胎児性患者の一人で水俣市の永本賢二さん(53)は「僕たち患者はみんな溝口さんを応援している。最高裁は患者の立場に立った判決を出してほしい」と話した。熊本地裁で国や県、チッソに損害賠償を求めた裁判を争っている水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長(58)は「国の誤った認定基準によって多くの患者が苦しめられてきた。最高裁はそれを分かってほしい」と語った。

 水俣病裁判で原告が最高裁で意見を述べるのは04年7月、水俣病関西訴訟の上告審で川上敏行原告団長(88)が意見陳述して以来。原告や弁護士らは弁論終了後、東京地裁で記者会見し、最高裁近くの砂防会館で報告集会を開いた。

   ◇
 原告支援者らは15日、最高裁に対し「水俣病について筋の通った最高裁判決を」と題した要請書を提出した。作家の石牟礼道子さんをはじめ、水俣や新潟の患者や支援者、各地の大学や市民団体の関係者ら300人余りが名を連ねている。

 要請書は今回の裁判について「(患者勝訴となった)2004年の最高裁判決の意義を踏まえぬ水俣病政策の誤りを断ち、歴史の審判に耐えうる判決を求める」としている。

 
◇救済制度今も混迷 異議申し立て、提訴の動きも 最高裁判断に注目
 水俣病認定を巡る訴訟を受けて作られた未認定患者の救済制度は今も混迷が続いており、最高裁の判断が注目される。

 国の基準を事実上否定した04年の水俣病関西訴訟最高裁判決で認定申請者が急増したため、09年に水俣病被害者救済特別措置法(特措法)が制定された。一定の感覚障害があれば一時金(1人210万円)や医療費が支給される。
 12年7月の締め切りまでに熊本、鹿児島、新潟の3県で6万5151人が申請。1995年の政治決着(一時金260万円などを支給)時の申請者約1万4700人を大きく上回った。

 しかし、特措法の救済対象から外れた申請者が、判定した3県に異議を申し立てるケースが相次いでいる。国の見解に従い、熊本、鹿児島両県は申し立てを却下するとしているが、新潟県は受理し判断が分かれている。対象外となった申請者側には提訴の動きもある。【澤本麻里子】



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