高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

箕面ビールさん訪問

2006-07-13 | 生産者訪問

 前回に参加したジャパン・ビアフェスティバル2006で出会った箕面ビールの工場見学へ行きました。

 今年の5月28日にジャパンビアフェスティバルという、地ビールやベルギー・ドイツビールなどを120種類程試飲出来るイベントが大阪でありました。流石に120種類全部試飲すると言うわけには行きませんでしたが、かなりの種類のビールを試飲することが出来ました。

 そこでまず感じたのは、やはり瓶や缶ビールと生ビールでは雲泥の差があるということ。しかもコクの強いビールならともかく、フレーバーなどを大切にしたビールでは全く異なった味になってしまいます。それと当たり前かもしれませんが、飲んで美味しいビールと料理と合わせて美味しいビールは違うということですね。いろいろとビールを飲む間に、数種類のあても一緒に食べたのですが、コクが強すぎたり、苦み炭酸が強すぎる料理の味、とくに後口の余韻がわからなくなってしまいます。なので、自分の料理を合わせる時には、この点は充分に配慮しないといけないなと改めて感じました。

 多く飲んだビールの中で、私が好印象を持てたビールの一つが箕面ビールさんだったのです。大阪産のビール、特にハイレベルなものはあまり期待していなかったので、正直ビックリしました。大阪にもこんな美味しいビールがあったのか、という感じでした。大阪にも地ビールは数種類ありますが、商品として 流通しているのは、国乃長ビールと箕面ビールのみです。

Dscn1740  箕面ビールさんをこだわりは、原材料。英国・ドイツ産の二条麦にアメリカ産のホップ、箕面山系の天然水。特に、麦芽はほとんどが粉砕されたものを使用することが多い中、粉砕前のものを使っています。手間はかかるものの、風味を逃がすことがないためにはとても大切なことなのです。また、酵母も安価な乾燥酵母ではなく、より元気で安定性のある液体酵母を使用しいるそうです。

 タンクも冷蔵庫内で大切に保管され、低温のまま瓶詰めされます。そう、加熱処理しないために酵母が生きたビールなのです。

 社長の大下さんに箕面ビールの特徴とこだわりをお聞きしました。「麦芽・ホップ・天然水と、副材料を加えない本当の味。」「新鮮なビールをすぐにお客様に届けて、楽しんでもらう。」「喉越し・飲み易いビールを作り、もっと多くの方に地ビールを楽しんでもらいたい。」

Dscn1741  貯蔵タンクから出来立てのビールを飲ませて頂きました。加熱処理・炭酸注入等を一切行わないビールは、とても澄んでいて、やさしい喉越しでした。小規模ながらこそ出来るこだわりのビール作りが、大阪にあったことにとても嬉しく思いました。

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オーガニック料理講習会のお知らせ

2006-07-11 | イベント案内

私が講師を務めます、料理講習会のお知らせです。

第四回 オーガニック料理講習会

 日程   七月十六日 午後二時より(約二時間程)
 場所   ビオマート甲東園(阪急甲東園より徒歩3分)
 テーマ  夏野菜を使った酢のもの

       長芋の冷やしトロロ

       豆腐で作るノンオイルのドレッシング、など。
費用   千円
申し込み ビオマルシェ甲東園
       0798-53-5455まで。
 
  定員が20名程くらいです。アットホームな雰囲気で行われますので、どうぞご参加ください。

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大阪府有機農業研究会のイベント

2006-07-08 | 農業・食育・食文化について

 7月の大阪府有機農業研究会の世話人会がありました。
 今回は、8月以降に行われるイベントと打ち合わせです。

 8月の後半から9月にかけて農塾というイベントで、農業に関心のある方と有機農家さんの交流の場を設け、また有機についていろいろと学ぶというイベントが計4回行われます。

  今年の農塾のテーマは、「農にふれあう」です。第一回目は、前大有研代表の尾崎零氏による「有機の風をつくる」。二回目は、新規就農者を囲んでの「農業を仕事にするということ」。第三回目は、堺の有機農家 今野さんを迎えての「農業と地域の交流」。最終の第四回目は、実際に体験して頂く「まずは畑に出よう」です。場所はクレオ中央で、第四回を除いて18時30分からの開始予定になっています。

 その間に、大阪の羽曳野で葡萄の栽培・ワイン醸造を行う生産者さんを訪問する見学会もあります。

 詳しい案内は後日発表しますが、少しでも、農や食に興味のある方は、是非この講演で今後の自分探しのヒントを見つけてください。そんなに難しく考えないで、気軽に参加して頂けたらと思っています。   

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天満切子

2006-07-06 | 生産者訪問

 その昔、大阪の同心・与力町付近は全国でも有数のガラスの生産地だったそうです。それは、大阪天満宮の正門脇に大阪ガラス発祥の地という石碑があることにも表れています。
 戦後の消防法による煙突の禁止や宅地化、燃料の高騰などのため、今はほとんど見ることの出来なくなったガラス工場ですが、それでもほんの数年前までは日本一大きなガラス問屋 カメイガラスさんが存在していました。今では、林立していた問屋も姿を消し、ほんの僅かですが切子屋さんが今も活動されています。

 今回訪問させて頂いたのは、を5年前から天満切子の名乗りをあげらた宇良さんです。宇良さんは、子供の時から千台の工場に出入りし、幼少の時からガラス職人の父の姿から切子に親しんでいたそうです。通常の透明ガラスの彫刻が2工程ほどなのに対して、切子は約15~20工程かけての作業になり、また使う道具も多種を駆使しないといけないそうです。

 今の天満切子は薩摩切子の技法をベースにしながらも、独自の特長を持っています。それは、彫りの鋭角な江戸切子・薩摩切子と違って、 カットはU字に彫られています。そうすることにより外観だけでなく、グラス内も光の反射によりとても美しい射光のデザインが表れます。見た目の華やかさはもちろんですが、 「用の美」を追求したデザインはより大阪らしいのでは ないのでしょうか。 天満切子という呼び名が昔からあった訳ではありませんが、昔から培われた大阪の切子屋の技術が 受け継がれてきた技術の結晶なのです。

060630_1733

 宇良さんのもと、若手の方も天満切子の習得に励まれていました。実際に、この天満切子を手にとって拝見させて頂いたのですが、本当に素敵なものでした。大阪に住んでいても知らなかった天満切子ですが、その素晴らしさは脈々と続いた大阪の誇るべきガラス産業の結晶なのだと思います。

 

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第25回浪速魚菜の会 試食会

2006-07-05 | 料理日記

 今回の試食会は会員の料理人の方々にご協力を頂きレシピを考えて頂き、それをホテルの厨房で再現して頂きました。専門的な料理方法にとらわれずに、ご家庭でも伝統野菜等を使った料理を作って頂ければ、より身近に大阪の食材を感じてもらえるのではないかと思っています。

 まずは、小椋さんが作ってくださった大阪羽曳野産デラウェアで作った白ワインです。小椋さんのワインはまだまだ発展途上だそうですが、会員の方々にはとても好評でした。

 続いて、貝塚早生・今井早生・淡路玉葱の食べ比べです。淡路の玉葱も悪くはありませんが、やはり生の状態で食すなら刺身玉葱と呼ばれる貝塚早生はとても秀逸でした。今井早生はかなり辛味が強いですが、じっくり加熱するとこれがしっかりと甘みに変化していくのでしょう。

 毛馬胡瓜のピクルスと青胡瓜のピクルス。私は、毛馬胡瓜の良さは、酢の物に一番表れると思っています。酢に漬けてもしっかりと食感を残す毛馬胡瓜は、秀逸ですね。

イタリア料理 カンティーナの竹中シェフの貝塚早生とポーチドエッグのスープウンブリア風と今井早生と地鶏胸肉の冷製パスタ。共に、玉葱が持つ甘味を最大限に引き出したお料理でした。

 菜の菜 佐野さんのごより風雑魚海老、ねぶと、大豆のうま煮。雑魚海老やねぶと(泉州で獲れる小型の地魚)を低温からじっくり揚げることにより、ごより風の干した感覚に近づけました。一緒に炊かれた大豆が、これらの食材の旨みを吸収して美味でした。

 玄斎 上野直哉さんの河内鴨の天神椀。お吸い物に梅干の風味を加えて、鴨のしっかりとした風味と梅のさわやかな酸味が楽しいお椀でした。河内鴨は肉厚ながら、はやり抜群の柔らかさでした。

 エプヴァンタイユ 山田シェフの真鰺と馬鈴薯のサンドイッチ。大阪湾で獲れる鰺と、これも大阪産のジャガイモを使ったお料理。パリパリとした食感のジャガイモの中から鰺とバジル、遊び心溢れる一品です。

 大阪の郷土料理から小鯵の紫蘇煮と大阪しろ菜とおあげのたいたん。これは、昔の船場で食べられていたお番菜に詳しい近江晴子先生にご協力頂き、再現しました。

 最後は、塩焼鰺と大阪しろ菜のちらし鮨です。昔の船場の夏の焼魚は鰺の塩焼きだったそうです。その塩焼にした味をほぐし、しろ菜の炊いたものでちらし鮨を作りました。江戸前のにぎり鮨ではなく、押し鮨やこのようなバラ鮨は大阪が誇る料理法。しかも、食材を無駄にしないこのちらし鮨は大阪らしいのではないでしょうか。

 今回から、大阪の郷土料理も献立の中に取り入れていくことになりました。また、伝統野菜だけではなくて、大阪府下で生産されるこだわりの農産物なども伝えて行きたいと思っています。更なる大阪の食文化の発見・理解を目指して行きたいと思っています。

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