高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

日本料理 花祥さん訪問

2006-04-22 | オススメなお店

 水茄子の生産者の川上さんを訪問後に、南海貝塚駅の程近くにある日本料理の花祥さんを訪ねました。

060418_1312  以前から浪速魚菜の会や上野修三先生の勉強会でご一緒させて頂いていて、一度お伺いしてみたかったお店です。ご主人の山本弘幸さんは日本料理でも屈指の名店 招福楼で修行され、お店のお料理をほとんど一人で切り盛りされております。先に感想からいうと、感動したし、勉強になったし、今まで食べた日本料理の中でも最高クラスのお料理でした。そして、お料理はもちろんですが、お客様をお迎えするしつらえも素晴らしかった。ここまで、純粋日本料理の良さを感じたのは、初めてかもしれません。

まずは、門構え。異なる色の花弁の桜がお出迎え。石畳を奥に入り、一枚板のカウンターへ。ほんの数メートル入るだけで、全くの別空間へ。この時点で、正直やられたと思う。単品お料理はなく、全ておまかせ。特に心に残ったお料理を三品ご紹介。

060418_1322 まずは椀物。若竹と海老真丈。真丈のとてもプリプリ感、筍のシャキシャキ感、出汁の風味がとても豊か。後からお聞きしたのですが、塩と薄口醤油だけでの味付けだとか。出しの引き方をお聞きしたところ、私がイメージしていた感じに近かった。かなり嬉しかった。良くお酒などで風味を加えたり、塩分をまろやかにしたりすのですが、純粋に出汁の味を楽しめます。実はこれがなかなか難しい。最初の出汁が最大のポイントになります。

060418_1342 八寸。

 白魚の玉締めや合鴨ロース、飯蛸や若牛蒡の金平など。特に、玉締めが温かくて・フワフワしていてとても美味しく食べれました。実は食べ方にもマナーがあって、基本的にはやり手前から順に食べるように盛り付けるのです。絶対という訳ではないのですがこれはお造りなどもそうで、先に赤身を食べると白身の味が分かりにくくなるので、赤身が奥になるように盛ります。

060418_1423 ご飯。

寿司飯の上に焼き穴子。シャリの中にも、筍が入っていたり・花山椒・花弁の生姜がい言っている。上に散らされた焼き穴子が本当に美味しくて、病み付き。これ、自分でも作ろうと思いました。

 他にもお造りや焼き筍などなど、皆美味しかったです。味付けはとてもシンプルで、素材の良さを最大限に活かそうという思いがヒシヒシと伝わります。お料理自体は派手ではないのだけれど、ここまでのレベルのお料理にはそうそう出会えません。また、しつらえも本当に素敵。ご主人が朝5時から起きて営業に望む姿勢、料理以外のおもてなしのこころにとても感動。また一つ、自分の目標が増えて嬉しい限りです。

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こだわりの泉州水茄子

2006-04-20 | 生産者訪問

060418_1134 泉佐野市上之郷に川上進さんの水茄子畑があります。川上さんの水茄子は、すべてハウス栽培。2月から一ヶ月間程かけての苗作り。それを、植え直して受粉後に15日程経つと水茄子が収穫できるようになります。1つに苗から、約100個程の水茄子が収穫できるそうです。

 この上之郷は海に近くて・小川は多く、水茄子の発祥地として江戸時代から水茄子を栽培する農家が多かったそうです。また、土質も和泉砂岩の砂場で、水茄子の苗を他所で育ててもうまく栽培できないそうです。それだけ、この地域の土に水茄子が合っていたというこなのです。

 水茄子の収穫後も一度天日で一ヶ月程土壌を殺菌し、10月に菊菜を育てた後に藁などを混ぜた堆肥を混ぜた土作りが始まるそうです。肥料は有機肥料に、井戸水に液肥料を加えての栽培。出来るだけ体に害のあるのは使いたくないし、こんな密室で働いているの薬を使ったら自分が病気になってしまう、と川上さん。お孫さんから「おじいちゃんの水茄子、一番美味しくて大好き。」と言ってもらえると嬉しそうにおっしゃってました。

060420_1225  泉州水茄子の糠漬けは今や夏の名物です。やはり、最大の特長はそのみずみずしさ。この日も、もぎたての水茄子を頂きましたが、ほんまにフルーツみたいに果汁が出てきます。昔の人は、夏に喉の渇きを潤すのに、この水茄子を食べたというのも分かります。我が家には残念ながら糠床はないので、水茄子の皮を薄く剥いて一度軽く湯掻き、八方出汁でコトコト煮た水茄子のあっさり煮を作ろうと思っています。

 水茄子の栽培には、とても手間がかかり、冬の寒い日にはビニールシートを三重にもかぶせたり、夏の生育の早い時にはビニールのつるに撒き付ける作業。葉の間引きや水量の調節など。「茄子をしっかり見てあげないと、良い茄子はできない。子供より大事に育ててます。」と、川上さん。流通量が少ない時には、京都の吉兆さんにも届けられていた極上の水茄子。特に熱さの厳しい夏のハウスでの作業は特に大変ですが、体を大切にしてもらい、これからも頑張っておいしい水茄子を届けて欲しいです。こんな素敵な水茄子に出会えたことに、感謝。

 

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初心者のための有機野菜作りセミナーのご案内

2006-04-18 | 農業・食育・食文化について

 大有研主催で初心者向けの有機野菜作りの講座を企画いたしました。
講師は堺市の都市近郊で有機農業に取り組む今野正章さん。今年のセミナーの特徴は室内の講義だけではなく、実際の畑での実習や見学をもりこみました。畑は、3年前プロジェクト耕で開墾し、現在も数人のメンバーで栽培を続けている堺市金岡の畑で行います。ここは農空間として堺市が指定しているところで都会の中の農村といった環境のところです。今野さんの有機畑もあります。今野さんの畑の見学をしながらこの地での有機農業の普及活動の話しなどもしてもらおうと思います。
 これから野菜づくりを始めたいという方や、すでに市民農園で家庭菜園やベランダでの菜園をされている方にも最適の講座です。また何も分からないのだけれど畑の自然にふれてリフレッシュしてみたいという方もぜひご参加ください。
 

第1回 基礎編
 日時:2005年4月22日(土)    午後6時~午後8時

第2回 実践編
 日時:2005年4月30日(日)  現地午後1時30分~午後3時30分
講師:今野正章 (有機栽培農家)
第1回基礎編会場:阿倍野区民センター (大阪市阿倍野区阿倍野筋4丁目19-118) 地下鉄谷町線「阿倍野駅」6番出口すぐ
第2回実践編の場所:堺市金岡の畑 集合場所:午後1時に「しんかなシティー」前バスロータリー(地下鉄御堂筋新金岡駅下車すぐ)で待ち合わせし、車に便乗していきます。
参加費:2回通しで2000円(会員1500円)
定員:30名(先着順) 申込・お問い合わせ:大阪府有機農業研究会/06-6864-1026
(TEL/FAX)

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ささゆりの里 皐月の献立

2006-04-17 | 料理日記

060413_154300  少し分かり辛いかもしれませんが、ささゆりの里の五月の献立の写真撮りを行いました。今までは、1980円だった一汁三菜ですが、5月から2,500円にランクアップします。

 まずは、前菜ですが豆腐の味噌漬け・季節有機野菜の和え物・津村さんこふだわりの河内鴨の燻製 自家製辛子マヨネーズ。

 あとは、半田素麺と地玉子の温泉卵仕立・泉州産揚げ筍の土佐煮・地鶏と有機葉野菜の陶板焼き・そして大阪湾で獲れた穴子と大阪千両茄子・泉州貝塚早生・赤葱・渡辺さんの原木椎茸の炭火焼です。季節によって、食材の変化があるかもしれないので、また予定でしかないのだけれど、今回も魅力的な食材が揃いました。

 素麺は、天然着色されたとても色鮮やかな二色の半田素麺。厳選された小麦を使った素麺は、少し太めで、喉越しがとても良い。私は個人的にかなり気に入っています。地鶏のしっかりとした黄身がしっかり絡んで、とても美味です。旬の筍には、相性ぴったりの粉カツオ・陶板焼きも少し焦げた味噌の香りや風味がとてもよい感じでした。

 本当に旬のものしか使えないので大変ですが、その分とてもやりがいのある仕事です。食べてくださったお客様に少しでも感動や新しい発見をしてもらえるように頑張りたいですね。

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こだわりの河内鴨 津村さん訪問

2006-04-13 | 生産者訪問

 大阪の松原市に130年前もから、合鴨の孵化に携って来られた津村さんがおられます。30年ほど前からは、飼育・処理・加工・卸・小売を通じて、大阪の食に貢献してくださっています。

 以前にも書いたことはありますが、大阪のあひるは、太閤秀吉さんの時代に稲作用の溜め池に鯉などを放し、野鳥達が集まったのを飼育し始めたのが始まりだそうです。アイガモ農法もこの時のに、秀吉さんが奨励したそうです。アヒルのことにつては、こちらのサイトを参考に見てください。

 また、大阪の夏の風物詩の天神祭り。天神祭りといえば、鱧。しかし、昔は鱧と合鴨がこの暑い夏を乗り切る大切で、美味な食材だったそうです。ちなみに、野禽の鴨の旬は冬なのですが、稲とともに育つ合鴨の旬は夏になるのです。

 鴨料理といえば、どちらかと言えばフランス料理のイメージがあって、特にシャラン産の鴨は有名です。一般的に、フランスでは45日くらいかけて飼育、その後窒息死させます。窒息死させると全身に血がまわり、血の香りのある肉を濃厚なソースで食すというのがフランス流なのだそうです。あと、そんなに大きく育たないので毛を抜くも楽で、同じ合鴨でも青首でも大丈夫なのです。

 津村さんは、75日まで飼育し、血をしっかり抜いて絞めるそうです。それは、日本には刺身など生食することもあり、また味覚的にも血をしっかり抜いた方が好まれることが多いそうです。

 津村さんの鴨も最大のこだわりははやり餌にでしょうね。津村さんの先代のお父様が、10年間かけいろいろと改良し、抗生物質の入っていないこだわりの餌を開発したそうです。それと、飼育舎の写真をお見せしたり出来ないのは設備にもいろいろと工夫がされているからです。(津村さんは別に隠している訳ではないのですが、ここで私が公表するのは気いけません。)

 画像にあるのは(もう少し待ってくださいね。)、明日絞められ河内鴨です。一日およそ、100羽だそうです。色は皆白いです。私も初めて知ったのですが、合鴨でも首の青いの野生・美味しくて・高価というイメージがあったのですが、全く違うそうです。確かに、青首系はより鴨に近いそうですが、色や大きさは交配によって自由自在だそうです。そして、青首でもはやり家禽化しているので空にはとべないそうですが、これも交配で体を小さくして飛ばすことが出来るようになると津村さんはおっしゃっていました。要は、どんな餌を与え・どのような環境で育てるかが一番大切になってくるそうです。

 ただ、津村さんも昨年の11月に窮地に立たされたそうです。それは、鳥インフルエンザ問題です。津村さんの飼育舎は、大阪の松原の他に奈良の桜井に別の飼育舎があるそうです。松原の方で、孵化させてしばらく飼育し、奈良に移して育てる。そして、消費分を再び松原に移すそうです。その輸送前は餌を断ち、輸送中のノンストップでとても神経を使うそうです。そして、輸送後の鴨の糞は、大きなストレスと食べ物を取っていないことであまり状態良くない宿便が出るそうです。その宿便に微量のインフルエンザ菌が見つかったそうです。それも、事前に津村さんは予測していて、冷静な対応を求めていたそうですがマスコミにあたかも確定したように報道されたそうです。そして、しばらく飼育後、再び検査したところ、やはり菌は発見されなかったそうです。そのことを放送局に申し出たところ、視聴率が取れないので無理です、と言われたそうです。これを、野菜で置き買えるなら、農薬が撒かれた虫のいない畑(これも実際は現実ではなく、農薬も撒かれても、虫は全て死ぬわけではないので存在します)、有機で育てたられて寄生した虫を手で摘み取っていく野菜。貴方なら、どちらを食べたいと思いますか。鴨も同じなのですよね。現に、津村さんはこの鴨を食べ続けて、今も元気過ぎる程、活動しておられるのですから。

 今回の津村さんの訪問は、短い時間でしたがいろいろと考えさせることが多くありました。これは、酒蔵を巡った時にも思ったのですが、誤った情報があたかも真実のように信じられていること。私もその一員かもしれません。だから、このように実際に生産者さんの方を直接訪問して、自分の目で確かめているのかもしれません。

 こんなことを書いたら怒られるかもしれませんが、津村さんの外見はなかりいかついのです。でも、とても研究熱心で、とても気さくにいろいろと教えてくれました。とてもファンになりました。また、近いうちに再訪問するころをお約束して、この日はお別れしました。

 購入した鴨ロースを刺身・治部煮・お汁にして頂きました。かなり大きめの胸ロースだったの、少し油はきつかったかもしれませんが、刺身で食べた赤身はとても美味しかったし、治部煮の鴨はとても柔らかく仕上がったて力強い味でした。お汁は、鴨を掃除した時にできたスジと脂と昆布で出汁を取りました。カツオを加えなくて、充分の風味が出ました。こんなに肉厚で、しかも臭みも無くて、とても気に入りました。これなら、胸を張ってお客様に食べて頂けます。いや、食べてもらいたい味です。

コメント (2)
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