今、大阪では日韓国交正常化40周年を記念し、日韓交流フェスティバル(アジアンビート フェスティバル)大阪市内で開催されています。そのイベントの一環としてアジアンレシピコンテストが行われ、その授賞式と共に開催された浪速魚菜料理顧問の上野修三先生の講演を聴講しました。
上野先生は大阪、いや日本でも指折りの和食の料理人。しかも、大阪の料理文化の造詣の深さは当代随一だと私は思ってます。
そんな上野先生が考える浪速料理とは、大阪の思考を反映した料理だそうです。「京の持ち味、浪速の食い味」、といわれるように、素材の持ち味を更に活かして食い味を良くする。京都は公家・茶道のようなハレの料理であるのに対して、なにわの料理は商人・だんな衆によって培われ、好まれてきたケの料理。それ故、なにわの料理はしまつの料理と言われることもあるそうです。このしまつの料理というのは、たとえば魚もあらや兜・剥いたあとの野菜の皮など、一般に思われている懐石料理には使わないような食材をもしっかり料理として仕上げること。あらや野菜の皮にある旨みを存分に使い切るというしまつ。浪速商人の「華より実を取る」という風土を良く反映した料理文化ということになるのでしょうね。
最近、良く上野先生とお話させて頂く機会があります。上野先生は、これからの若手料理人を対象にした料理人の勉強会も行っていて、私もこの勉強会には参加させて頂いています。
そして、これからは「しまつ」だけではなくて、その素材とエッセンスを使って、よりその素材を引き立てる、全国に通じる・世界に誇れる「大阪らしい」料理を広めることを自身の目標にされているようです。
そのためには浪速の伝統野菜は勿論ですが、現代作られている良質なものを残して行く必要があります。更に、これは上野先生も良く言われていることですが、これからの子供達の日常の食事をどう守っり、食事を通じての文化の伝承をどう行うことができるか。それによって、これからの食文化にも大きな違いが出てくるでしょうね。食い倒れの大阪らしい、充実した文化を少しでも次の世代に伝えていきたいですね。
前回に続いて、レストラン「さくら」のシェフ、ドミニク・コルビさんのお話。
コルビさんとの短いながらも充実したお話を聞かせて頂いた後、初めてシェフの作った料理を食べることに。今回は、事前にシェフが用意してくれたランチのフルコースをご馳走になりました。
コースが始まる前にアミューズ的な料理としてフォアグラとプルーンのテリーヌが出されました。なかなか美味しいと思えるテリーヌを食べることがないのですが、フォアグラの丁寧に下処理されており、プルーンとの相性もバッチリ。
前菜の甲殻類のムースのなめらかで柔らかな食感。本当に噛むことなく、舌でとろけます。なにせ、作った半日しか形がもたないように出来ている程、柔らかいのです。
スープは、本当にクリアーで日本料理でもおせちと時くらいしか見なくなったちょろぎが入っていたのでびっくりしました。シェフが言うにはフランスではよく使われている食材だとか。酢の物であまり美味しくないものばかりだったの、この使い方は勉強になりました。
ポワソン(魚料理)が特に印象的で、今回は甘鯛と真鯛が使われていたのだけれど、身がほろほろと崩れる手前まで加熱してある。低温で長い時間使っての加熱調理だそうです。低温での加熱はよほど素材が良くないと魚の臭みが出るし、あまり時間も長すぎるとパサパサになってしまう。今までにない感覚の魚の料理でした。また、その料理のソースがとても不思議で、食べてる時は特に印象的でもないのになぜかその感覚がわすれられない。濃厚なうまみでも、刺激的なハーブでもないのに。
ヴィアンド(肉料理)は子羊のコンフィがとても優しい味だった。ちなみにコンフィはその食材を岩塩・ハーブなどでマリネして、油脂(オリーブオイルやラード)につけて、低温(70から80度)で長時間(食材にもよりますが、骨付きの鶏もも肉で4時間ほど)かけて加熱します。その後一旦、冷ましてソテーします。そうすることで中がジューシーで柔らかいのに、外側がパリッと仕上がるし、中までしっかり味も入ります。手間がかかる分、やっぱり美味しく仕上がります。
デセール(デザート)はサクサクのマカロンがとても美味。また、リキュールでマリネした蕗の使い方がとても変わっていて面白い感じに仕上がっていました。
本当は画像も写したかったのですが、やっぱりそれはできませんでした。
料理を食べる前にコルビシェフが言っていた「食材の味を活かす。日本料理とフレンチは似ている」とおっしゃったことが体感できました。今回の料理を食べていて、実は割烹きがわの上野修三先生の料理を食べているのと同じ感覚になっていました。出しやソースだけを口に入れるとそれほど旨みが濃いわけではないのに、メインの食材にはしっかり旨みが凝縮されていて、しかも出しやソースもいくらでも口に入れたくなる。そんな不思議な感覚におちいります。そして、次の日にも同じ料理が食べたくなる。 ホント凄い料理です。
料理人の表現方法はいろいろです。私が最近目指しているのは、食材からの旨みをどうすれば一番引き出せて美味しい状態で料理できるかです。できれば、足し算のような料理ではなくて、シンプルだけどその野菜・食材の本来の味を活かしきれる料理を作りたい。そういう意味でも、上野先生やドミニク・コルビシェフのように、自分が大切に思っていることを体感させてくれる偉大な料理人の方々と、このように交流を持てることを改めて感謝した一日でした。ほんとうにありがとうございました。
そんな中でホテルニューオオタニオオサカのメインダイニングである「さくら」には、フランスでも老舗としての存在感充分のラ・トゥールダルジャンの副料理長を務めた、ドミニク・コルビ氏が料理長としておられます。
コルビさんとはある料理人の集まりで出会い、今回は幸運にもお会いできることになりました。その中で少しお時間を頂き、コルビさんに食材に対する考え方や食育のことについて聞くことができました。
まず、料理について。コルビさん曰く、「日本料理とフランス料理は似ている。それは、食材の持ち味を最大限に活かそうとするから。」
日本料理はお出汁や食感を大切にし、フランス料理はうまみたっぷりのソースを使い、野菜もくたくたになるほど加熱して甘味を引き出すことが多く、それぞれのプロセスは異なるものの、ともに素材の味を最大限に引き出すために行われている。そして、意外なことにコルビさんが料理フェアーでとある京都の有名な和食の方とコラボレーションされた時も一皿に2人の料理を盛り込んでも何の違和感もなく、すごく美味しい料理になったとおっしゃっていました。^
それでは、食材の良さを活かすために優先することは何ですか、と訪ねてみました。これに対して一つの料理例を挙げて答えてくださいました。コルビさんが浪速野菜の石川小芋をデセールしたことがあり、この時は小芋のねっとりした食感を生活かし、尚且つ食べ終えた後に小芋の風味が口に広がるよう、食材の味を引き出せるように心がけたそうです。
さらにフランスでの食育についてのお話も聞けました。
今の日本と同じようにフランスでもファーストフードが広まり、子供達の味覚にも大きな影響を与えたそうです。それを危惧したフランスのグランシェフ達の呼びかけで、10月の食育週間が始まったそうです。うまみの濃い・科学的な味に慣れてしまった子供達の舌が、本来の素材の味を感じなくなってしまう前に、しっかりと食材の味を感じてもらう。
例えば、ずっとハンバーガーみたいな味の濃いものを食べ続けると、大根などの繊細な野菜の味に反応できなくなり、美味しいと思えなくなる。それどころかまずく感じる。だから、食べない。消費されないので、せっかくの生産者が廃れていくという悪循環になってしまう。ちゃんと、子供達の繊細な味覚を守るために、フランス全土のシェフが協力する。この動きを少しでも日本でも広めることが、コルビさんの願いの一つだそうです。
とても偉大なシェフからとても貴重な話が聞けて、私は凄く感激したし、自分が目指す方向性に少し自信が持てました。この会話の後に実際にシェフのお料理をご馳走になったのですが、とても衝撃的でした。
そのときの話は後日に。
先日、おやつパーティーを開催した保育園の園児から感謝状を頂きました。
そこには私(?)の絵が描いてあって、なんでも将来漫画家になりたいという夢を持った女の子が描いてくれたそうです。
緑の半そでシャツに、半パン姿。う~む、・・・。なかなか若々しい姿に少しギャップを感じつつ、ほっこり心温まる感謝状です。ほんとうに嬉しいですよね。
両側に置かれた野菜が天王寺蕪と田辺大根です。偏平足な形の天王寺蕪はうまみが濃く、短くてふっくらしたボディーの田辺大根はしっかりした肉質と生食のピリッとした辛味・加熱した時のうまみが特徴の野菜です。
これから冬の野菜が一番充実した時季になりますね。少しでも子供達や世の中の人に、こだわりのある野菜や食材を食べてもらいたいと思います。
今年の暮れになって、ようやくその思いが叶いました。参加していただいたのは弁護士・税理士・行政書士・PC講師・家具会社経営者、と多種多様。普段、なかなか聞けない話や素朴な疑問など聞けて楽しい一日でした。
今回は私を除いて初対面の方が多く、時間も短かったのですがこれからも続けて行きましょう、ということになりました。今回参加して頂いた方々は何かしらの縁で私と出会い、この親睦会に参加してもらったのですが、皆さんとてもハートフルな方でしかもその分野でとても頑張ってらっしゃる方ばかり。なかなかこのように恵まれた出会いはないと思うので、これからも大切にしたいと思う親睦会でした。
私が今回の親睦会のお店に選んだのが、居酒屋ながほりさんです。
知る火とぞ知る、大阪の居酒屋の名店。また、私が参加させて頂いているまんでい会の世話人でもあります。
営業中は料理の説明以外は無口な頑固な店主。ただ、お料理やお酒へのこだわりから、その溢れんばかりの情熱を感じることはできます。カウンターが10席少々とテーブルが一卓。いつも満席でなので、行く前に必ず予約をしておかれた方が良いと思います。料理の中でも特にオススメなのがお刺身と野菜の炊いたものや炭火で焼いた物。私から見てもかなりこだわった鮮魚と伝統野菜を含めたこだわりの野菜料理。とにかく、素材の良さを感じることができる、貴重なお店だと思います。
最近、よく「自分で農業はされたりしないのですか」と、聞かれたりします。確かにその方が野菜の事をより知ることが出来るかもしれませんね。でも、私の場合は本格的にしようとは思いません。それは、自分の才覚が料理のことだけで精一杯ということもありますし、やはりその道に懸けている人には勝てないと思うのです。なら、中途半端に分かった気になるようりは、そういう人に敬意を払い、いろいろとお話させていただいた方が素直に受け止めることができるし、なによりも話して楽しいのです。全てのことを自分で理解できなくても、自分に自信の持てるものが1つあって、またそれ以外のことに関して相談や話を出来る友人や仲間が足りないところを補ってくれる。 その方が一人で抱え込みよりも楽しいと思うのです。
今回の親睦会はナンバーワンで無いかもしれないけど、オンリーワンの人達の楽しい集まりだったように思います。