私が日頃思っているのは、グローバル化した経済環境では、今までの経済学はすべ
て見直すべきだということです。この本の著者も、そのことを明確に主張していま
す。
【経済学の理論は、国民経済というものを前提にして成り立っている。
国民経済とは、日本経済やアメリカ経済、ドイツ経済という国境によって閉じられ
た経済である。
ところが、いまの経済環境は国境が低くなり、ボーダーレスになっている。ボー
ダーレス経済というよりは、グローバル経済といったほうが正しい。為替が自由化さ
れ、資本の国際移動が頻繁に行われるようになると、国民経済という視点では捉えら
れない現象も起ってくる。
いままで国民経済という単位でくくられていた市場が、その軛から解き放たれたと
同時に、世界の資本市場が市場リスクによってネットワーク化されてしまったという
ことだ。】そうした観点から・・
米国経済については
【・・・ドル安になれば(米)国内の輸出産業が元気になって輸出が増え、経常収支
が均衡していくという為替の自働調節メカニズムが働くと一部のエコノミストはい
う。・・・これは古臭い教科書のような議論である。
ドル安で元気になる主要な輸出産業は、すでにアメリカ国内にはない。主要な輸出
産業はとうの昔に多国籍企業になって、アメリカ本土から姿を消している。・・・
したがって、残念なことだが、経常収支が均衡へと向かう自動調節メカニズムは、
いまのアメリカ経済では働きそうにない。
アメリカは、イラク復興事業を取り仕切って、各国からまたもやカネを引きずり出
そうと画策している。アメリカという国は、自国経済のためならどのような手を使う
かわからないところがある。
・・・これはいよいよアメリカ帝国の終わりの始まりが始まった・・・】
中国経済は
【人民元の通貨価値が本当に安いというに足る、純粋に経済的な合理性があるのか、
定かではないのだ。中国の国民経済を考えた場合、そこにはたいへんな数の貧しい国
民がいるため、公正に見て元が安すぎるという評価は下せないのである。】
日本経済のデフレについて
【マクロの視点で土地問題を考えると、日本の地価下落はこれからなお深刻になる可
能性がある。
ひとつには総人口が2007年から減っていくという事実である。実需を支える日
本人が減っていく。これが大きい。】
ひとつは【スクラップ&ビルドで、より有利な地域、国々へと飛び立っていくとい
うトレンドが本格化しつつある。コストの高い土地はどんどん捨てられる流れになっ
ているのである。
もうひとつは、海外から流れ込む安い製品が、海外の土地と日本の土地との価格差
を埋める働きを持つという点だ。経済学ではこれを「要素価格均等化定理」と呼んで
いる。
GDPデフレーターの推移を見てもわかるとおり、デフレはいよいよ厳しくなって
いるのである。】(続)
訂正:前便(TK―ML9088)でビジネス者はビジネス社のミスでした。
て見直すべきだということです。この本の著者も、そのことを明確に主張していま
す。
【経済学の理論は、国民経済というものを前提にして成り立っている。
国民経済とは、日本経済やアメリカ経済、ドイツ経済という国境によって閉じられ
た経済である。
ところが、いまの経済環境は国境が低くなり、ボーダーレスになっている。ボー
ダーレス経済というよりは、グローバル経済といったほうが正しい。為替が自由化さ
れ、資本の国際移動が頻繁に行われるようになると、国民経済という視点では捉えら
れない現象も起ってくる。
いままで国民経済という単位でくくられていた市場が、その軛から解き放たれたと
同時に、世界の資本市場が市場リスクによってネットワーク化されてしまったという
ことだ。】そうした観点から・・
米国経済については
【・・・ドル安になれば(米)国内の輸出産業が元気になって輸出が増え、経常収支
が均衡していくという為替の自働調節メカニズムが働くと一部のエコノミストはい
う。・・・これは古臭い教科書のような議論である。
ドル安で元気になる主要な輸出産業は、すでにアメリカ国内にはない。主要な輸出
産業はとうの昔に多国籍企業になって、アメリカ本土から姿を消している。・・・
したがって、残念なことだが、経常収支が均衡へと向かう自動調節メカニズムは、
いまのアメリカ経済では働きそうにない。
アメリカは、イラク復興事業を取り仕切って、各国からまたもやカネを引きずり出
そうと画策している。アメリカという国は、自国経済のためならどのような手を使う
かわからないところがある。
・・・これはいよいよアメリカ帝国の終わりの始まりが始まった・・・】
中国経済は
【人民元の通貨価値が本当に安いというに足る、純粋に経済的な合理性があるのか、
定かではないのだ。中国の国民経済を考えた場合、そこにはたいへんな数の貧しい国
民がいるため、公正に見て元が安すぎるという評価は下せないのである。】
日本経済のデフレについて
【マクロの視点で土地問題を考えると、日本の地価下落はこれからなお深刻になる可
能性がある。
ひとつには総人口が2007年から減っていくという事実である。実需を支える日
本人が減っていく。これが大きい。】
ひとつは【スクラップ&ビルドで、より有利な地域、国々へと飛び立っていくとい
うトレンドが本格化しつつある。コストの高い土地はどんどん捨てられる流れになっ
ているのである。
もうひとつは、海外から流れ込む安い製品が、海外の土地と日本の土地との価格差
を埋める働きを持つという点だ。経済学ではこれを「要素価格均等化定理」と呼んで
いる。
GDPデフレーターの推移を見てもわかるとおり、デフレはいよいよ厳しくなって
いるのである。】(続)
訂正:前便(TK―ML9088)でビジネス者はビジネス社のミスでした。