古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

株主は共産党?

2007-08-11 | 経済と世相
 8日の中日に浜矩子さん(同志社大教授)が「国が資本家になる時」と題する面白い寄稿を寄せていた。
【SWF(Sovereign Wealth Fund)(直訳すると国富基金)なるものがこのところちょっとした脚光を浴びている。
「国富基金」とは何者か。
 これは要するに政府系投資ファンドである。今の日本で投資ファンドといえば、直ちに頭に浮かぶのが村上ファンドであり、ブルドックソース社に乗っ取りをかけたステイール・パートナーズだ。SWFとは、国々の政府がハゲタカと化すことを意味しているのか。
 SWFとは・・・国が保有する富を運用するための資金運用組織だ。富の中身は、為替市場への介入でたまった外貨だったり石油収入だったり、幸運にも年金会計が大黒字だった場合の年金資金だったりする。そのような形で溜まった国の富をさらに大きく増やそうというわけだ。
 この種のファンドの存在は今に始まったことではない。中東産油国や北海油田を擁するノルウエー、豊かな小国シンガポールなどが以前から盛んにSWF系の投資を行ってきた。それがなぜ今、改めて話題を呼ぶのか。・・・中国がSWFの設定に乗り出したからである。
 中国の外貨準備高は、いまや世界一である。ざっと1兆ドルある。外貨準備というものは、為替危機などの有事に備えて、現金に近い形にしておくのが普通だ。多くの国々が米国の財務省証券の形で持っている。すぐに換金できるからである。だが、一兆ドル分もあるとなると、少々話は違ってくる。・・・・中国もSWF組に仲間入りすることにした。
 その後の中国の展開が目覚しい。まずは、代表的な投資ファンドであるブラックストーン社に資本参加した。・・(さらに)・・中国の食指がメガバンクに伸びた。英系大手のバークレイズ・バンクがその対象である。バークレイズは折から、オランダのABNアムロ銀行とのM&A話が進行中だ、
 巨額の資金が地球を股にかけて飛び交うこの時代、国々の国富ファンドも知らぬうちに大膨張を遂げていたのである。その総額が、2015年には12兆ドルに達するという試算もある。
 グローバル時代はボーダーレス時代だ。したがって、国家の存在感は希薄化する。それが順当な考え方だと思う。ところが、現実には、グローバル化が進むことで国家たちが溜め込む富も増え、国々がファンド資本主義の急先鋒に踊り出た。・・・その中で最も金持ちなのが共産党一党独裁体制化の中国なのである。
 ・・・グローバル化が生んだこの奇妙な資金偏在状況は、一体、これからどうなっていくのか。「国富論」の著者アダム・スムスは、市場の見えざる手がおのずと全体最適をもたらしてくれるといっている。国富ファンドたちもまた、見えざる手に導かれて、結局は地球経済最適化に貢献してくれるのだろうか。そうだといいが。】
(そのうち、ソニーの筆頭株主が共産中国ということも起こりうる。マルクスが生きていたら何というか?)
 この話を読んで思い出しました。
 日本の低金利を利用して外資ファンドが資金を調達している(円キャリー・トレード)。その結果、日本株がハゲタカの買占めに苦慮している。ブルドックは、最高裁で勝利したとは言うものの、21億円を出費することになった。それだけハゲタカは利益を得たわけだが、本来この利益は、金利が正常なら、日本の預金者の得べきものでなかったか?