古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

政策と投票のタイムラグ

2007-08-05 | 経済と世相
 参院選が終わって1週間になる。自民大敗北後の動きが報道されているが、私には、ほとんどがピント外れに思える。 今回の敗北の原因について、事務所費問題や、ボンクラ大臣のトンデモ発言、はてはばん創膏の説明責任まで登場した。そんなことで与党が第二党に落ちるような、自民党が結成されてから初めての大変動が起きるわけがないと私は思う。
 年金問題ですらも、主要な原因ではない。この問題は安倍内閣に始まった問題でないことは明らかであるから。

 では、何が問題だったのかというと、小泉内閣以来取ってきた政策だと思う。経済政策というものは、最初に政治家が説明をしても、有権者の大部分にはよく分からない。その政策が実行されて、その結果、自分たちの暮らしが良くなるか悪くなるかすると、初めて有権者に、政策の良し悪しが分かってくる。だから、政策を打ち出して、有権者が投票で判断を示すまでに、数年のタイムラグ(遅れ)があるのだ。
 小泉改革の結果、格差構造が加速され、不満を有する有権者(それは下世話に”負け組”といわれる層)が過半数を占めるに至ったというのが、自民大敗北の真相だと私は思う。たまたま、”勝ち組”サイドに位置することになった人には想像も出来ない苦境にある人が多い。自殺者が3万人を越す現象が10年近く続いてのもその現われ。
 ”格差”自体は、経済のグローバル化を進めると(実はこのことが大問題なのだが、長くなるので別の機会に書くことにします)、やむを得ない面がある。国の経済政策は、格差が激しくなれば、格差の痛みを減ずる方向で施策を講ずべきなのに、却って格差を加速する政策をとった。
 一例を挙げると、先般、地方税の大増税があった。一般の人は5%から10%に税率が上がった。
 ところが、高額所得者は13%から10%に引き下げた。
 増税ということは、国の財政が苦境にあるならば止むを得ないのですが、それなら国民が等しくその負担を負うべきで、高額所得者だけ減税するというような施策を行うことは、非常識です。
 これは、あくまで一例に過ぎない。そうした例がいっぱいなのだ。為政者が、国の政策はどうあるべきかを知らない!としか思えない。
 安倍総理は、官邸のHPで、” 改革の中身について、これまで十分に説明できず、政策論争を深めることができなかった点は、率直に認めなければなりませんが、私が進めつつある改革の方向性が、今回の結果によって否定されたとは思えないのです。”と語るが、何を理由に「改革の方向性は否定されていない」というのか?私は、今回の選挙で「明確に否定された」と思うのです。
 安倍総理について、もう一つ。「私を選ぶか、小沢さんを選ぶかの選挙です」と絶叫したのに、国民が投票で明確に「安倍さんは選ばない」と表明したのに、総理の座に居座る。
 「まさか負ける筈はない」と思ったから、そういう発言をしたのでしょうが、そのこと自体、安倍さんが大局が分かっていないことをまざまざと語ります。だから、「改革の方向性は否定されていない」などという発言になる。

 追伸:昨年9月私は、「安倍さんはお気の毒」と、以下のようなメールを書きました。
「安倍さんが自民党総裁に選ばれた。予想通りでサプライズはないが、「お気の毒に!」と思う。
 誰がやっても小泉さんの後は大変で、おそらく安倍内閣は袋叩きになり短命に終ると予想するからです。
 何故かと言うと、「改革」を唱えたけれども、改革は何もやらず、「改革だ!改革だ!」とテーブルの上に改革が必要な問題だけをぶちまけて「さようなら」をしたのが小泉内閣で、拉致だって、消費税だって、外交だって一筋縄でいく問題は一つもない!どの問題も行き詰まり。結局野たれ死するのが次の内閣だろう、と思います。」
 http://blog.goo.ne.jp/snozue/d/20060920