shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

荻野目ちゃんのシングル盤特集①

2020-01-05 | 昭和歌謡・シングル盤
 生来面倒くさがり屋の私はレコード棚の整理という根気がいる作業は正直あまり好きではない。しかし日々増え続けるレコードを床に放置するワケにもいかず、正月休みを利用して、シングル棚の増設・整理をすることにした。無音状態での作業は嫌なのでBGMにエエやろとたまたま手元にあった荻野目ちゃんのシングル盤をかけたのだが、これが逆効果で懐かしい彼女の歌声にすっかり耳が釘付けになってしまい、結局その日はレコード整理を放っぱらかして彼女のレコードを聴いたりDVDを見たりして実に有意義な(笑)1日を過ごすことになった。特に最近はビートルズしか聴いていなかったので久しぶりに聴く邦楽はめっちゃ新鮮! そういえばこのブログで荻野目ちゃんを取り上げたことはなかったように思うので、今回は彼女のシングル盤の中から特に気に入っている曲を特集することにした。ビートルズ・ファンのみなさん、すんませんな... このブログは何でもアリですねん(^.^)

①ダンシング・ヒーロー
 荻野目ちゃんの代表曲と言えばもちろんコレ。私にとっては80's J-Popsの3指に入る大名曲だ。この曲は日本のソングライター・チームが彼女のために書き下ろしたオリジナル曲ではなく、イギリスの女性シンガー、アンジー・ゴールドの「Eat You Up」という曲に日本語詞を付けてカヴァーしたもので、一過性音楽に過ぎないディスコ・ナンバーだった原曲に見事なアレンジを施して十分時の試練に耐えうるJ-Popsの名曲へと昇華させているところが凄い。彼女の伸びやかなヴォーカルとの相性も抜群で、えも言われぬ高揚感を生み出しているし、2014年のリメイク・ヴァージョンで採用されたユニークな振り付け(←“バード・ダンス”っていうらしい...)もめっちゃ楽しい。2年ほど前に高校生のダンス・コンテストがきっかけで “バブリー・ダンス” のアンセムとしてこの曲が脚光を浴びたことはまだ記憶に新しいが、30年という時を経ての再ブレイクが彼女のアーティスト・パワーの凄さを物語っている。アラフィフとはとても信じられないような美しさでキレッキレのダンスを披露する荻野目ちゃんは私にとって永遠のアイドルなのだ。
AEY853 ダンシング・ヒーロー③ 荻野目洋子 (1985)190825 vL HD


②六本木純情派
 “荻野目洋子”でYouTube検索すると、オートコンプリートで「六本木心中」(→それはアン・ルイスやろ...)の方が「六本木純情派」より上に来るのが笑えるが、まぁどちらも80年代半ばの大ヒット曲なのでごっちゃになるのもしゃあないか。因みにこのタイトルは、当時六本木に出来たばかりの全日空ホテルで製作スタッフが新曲の打ち合わせをしていた時に彼女の事務所の社長が “ここは六本木だから「六本木〇〇」にしよう” と発案して決まったという。何ちゅーテキトーな決め方しとるねん... と呆れてしまうエピソードだが、ヒット曲の裏側というのは案外そういうものなのだ。この曲は彼女のキャリアにおいて非常に重要な意味を持つシングルで、「ダンシング・ヒーロー」でユーロビート歌謡の頂点を極めた彼女が “一発屋” に終わることなく、古き良き昭和歌謡のテイストを巧く取り入れながら更にビートを強調した、いわゆるひとつの “ダンス・ビート歌謡” のディーヴァとして力強い一歩を踏み出すことになった、エポックメイキングな1曲だ。レイ・チャールズの「Unchain My Heart」を裏返しにした様なクールなAメロからサビの“Who are you...” へとなだれこんで一気に盛り上がるパートがたまらなく好きだ。
荻野目洋子 六本木純情派(2018年12月)


③湾岸太陽族
 50年代日本の若者風俗を指す「太陽族」という言葉を80年代において復活させたのは81年にアルバム「ステレオ太陽族」を出したサザンの桑田だと思うが、それを更に世間一般にまで浸透させたのは間違いなくこのシングルだろう。「六本木純情派」といい、「湘南ハートブレイク」といい、タイトルに地名の入った荻野目ちゃんのご当地ソングにハズレ無しだが、この「湾岸太陽族」もまた然り。極論かもしれないが、突然変異的な大ヒット曲「ダンシング・ヒーロー」を別格とすれば、彼女の真価はこの3曲にあると言っても過言ではないと思う。80年代ポップスらしい煌びやかなデジタル・サウンドを身にまとってはいるが、メロディー・ラインは昭和歌謡の王道を行くマイナー調路線で、その哀愁舞い散る曲想と彼女のヴォーカルが絶妙なマッチングをみせている。エディー・ヴァン・ヘイレンとリック・デリンジャーとスティーヴ・ルカサーを足して3で割ったような(?)ギター・ソロが80's洋楽で育った私にはたまらんです(≧▽≦)
荻野目洋子 湾岸太陽族


④さよならの果実たち
 筒美京平という人はまさに天才という言葉が相応しい作曲家で、60年代後半に日本の音楽界にアレンジ革命を起こし、その後70年代、そして80年代と第一線でヒット曲を連発するその天才ぶりは “日本のポール・マッカートニー” と言っても過言ではない孤高の存在だ。そして京平先生が初めて手掛けた荻野目ちゃんのシングルがこの「さよならの果実たち」で、他の80年代筒美作品と同様にアレンジは他の人に任せて自分は作曲に専念するというスタイルを取っている。作詞は “80年代の阿久悠” 的ヒットメーカーの売野雅勇で、彼の得意とする “マイナー調のビート・ミュージックにカッコイイ音感のフレーズを乗せていく” という手法が筒美メロディーと見事にマッチし、荻野目ちゃんのクールな魅力を引き出すのに成功している。尚、この曲に続いてリリースされたシングル「北風のキャロル」も売野&筒美コンビの作品で、そちらもこの「さよならの果実たち」と甲乙付け難いクオリティーの名曲だ。
14 さよならの果実たち
この記事についてブログを書く
«  「Sgt. Pepper's...」Widesp... | トップ | 荻野目ちゃんのシングル盤特集② »