shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

新春音壁祭り②

2020-01-24 | Wall Of Sound
 フィレス・レコードといえばもちろんUS盤がオリジナルになるが、ビートルズの各国盤蒐集で味をしめた私は “他の国の音壁も聴いてみたい” と思い立ち、早速 Discogsで調べてみた。すると驚いたことにリアルタイムで出ていたフィレスの各国盤はUK、カナダ、オーストラリアといった英語圏のみで、ビートルズのようにインド盤やらブラジル盤といった珍盤レア盤の類は存在しなさそうなのだ。しかし逆にターゲットが狭まったことで “せめてUK盤とUS盤の聴き比べくらいはやってみたい...” という興味が湧いてきた。
 そこで早速ネットでUK盤のデータ集めを始めたのだが、海外セラーの説明には “Killer sound... better than US press!”(素晴らしい音... US盤よりも凄いで!)とあるし、ヤフオクの某セラーも “これを聴いてしまうとUS盤には戻れない” と、どこを見ても高評価のオンパレードだ。それもそのはずで、フィレスのUK盤は高音質で有名なロンドン・レコードが “AMERICAN SERIES” と銘打ってリリースしていたプラム・レーベルだった。
 このシリーズは私もジェリー・リー・ルイスやリトル・リチャード、エディ・コクランといった50'sロックンロールからクリス・コナーやクラーク・シスターズといったジャズ・ヴォーカルに至るまで10枚近く持っているが、そのどれもが確かにUS盤よりもクリアーでクリスプなサウンドなのだ。これは是非とも聴いてみたい。いや、聴かねばならぬ!
 ということで私はフィレス・レコードの7枚の中でプラム・レーベルのUK盤が出ている「He’s A Rebel」「Presenting The Fabulous Ronettes featuring Veronica」「A Christmas Gift For You」の3タイトルにターゲット・ロックオン。で、早速手に入れたのが私にとってポールの「RAM」に次ぐ無人島ディスクの最右翼と言っても過言ではないスーパーウルトラ愛聴盤のロネッツで、NM盤が£60(≒8,500円)なら超お買い得と言えるのではないか。このレコードはUS盤薄青レーベル、OZ盤黒レーベルの2枚を所有しているが、このUK盤との聴き比べがめっちゃ楽しみだ。
 次に手に入れたのはクリスタルズの「He’s A Rebel」で、この時点ではまだUSオリジナル盤すら持っていなかったため私にとってこのタイトルの最初の1枚になったのだが、VG+ 盤をロネッツと同じ£60(≒8,500円)でゲット。完成前夜の初期ウォール・オブ・サウンドがUKロンドン・レコードの手によってどのような音に仕上げられているのか興味津々だ。
 最後に買ったのが前回書いたMintなUS盤を手に入れたばかりの「A Christmas Gift For You」で、VG+ 盤を£45(≒6,400円)でゲット。これはUS 1stプレス、US 2ndプレス、そしてUK盤の三つ巴聴き比べが楽しみだ。結局3枚トータルで£165、送料込みでも1枚当たり1万円を切る値段で買えて、1年を締めくくるに相応しいお得な買い物だった(^.^)
 3枚とも年明け早々に届いたので簡単な感想を書いてみたい。まずはUK盤「Presenting The Fabulous Ronettes featuring Veronica」だが、さすがはロンドン・レーベルだけあってスペクターの意図したであろうウォール・オブ・サウンドのコアの部分を尊重しながらもよりクリアーなサウンドに磨き上げたという印象。特に「I Wonder」で聴けるロニーのヴォーカルは絶品だ。それに対してオリジナルであるUS盤薄青レーベルは良い意味での “古めかしさ” が濃厚に立ちこめるコテコテのウォール・オブ・サウンド。“古き良きモノラル・サウンド” で音壁をとことん堪能したいならUS盤、スペクターの音壁を高音質で楽しみたければUK盤、ということになるだろうか。因みにOZ盤黒レーベルは音圧はやや低めながらUK盤の音を更にモダンな方向に振ったような感じで、まるでステレオ・カートリッジで聴いているかのようなあっさり系のサウンドだ。大好きなロネッツ盤をこれからはその時の気分で三者三様の色んな音で聴けると思うと嬉しくてたまらない(≧▽≦)
The Ronettes - Be My Baby - live [HQ]

The Ronettes-I Wonder


 「He’s A Rebel」は聴き比べ対象が無いのでUK盤単独の感想になるが、音の傾向としては上記のロネッツ盤と同じで、籠りのないクリアーなウォール・オブ・サウンドが展開する。特にフィル・スペクターの代名詞と言っても過言ではない怒涛のカスタネット攻撃が堪能できる「Uptown」のインパクトは凄まじい。こーなってくるとやはりUS盤薄青レーベルを手に入れて聴き比べをやってみたくなるが、どっかに安ぅ売ってへんかなぁ...
He's A Rebel - The Crystals

1962 HITS ARCHIVE: Uptown - Crystals


 「A Christmas Gift For You」もめちゃくちゃ音が良くて大喜びなのだが、1ヶ所だけ音に出る小キズがあるのが残念(>_<) 比較対象のUS 1stプレスがノイズレスのMint盤ということでどうしても音質よりも盤質の差に耳がいってしまうのだ。このレコードも私的溺愛盤なので今後もしUKのMint盤を見つけたら衝動買いしてしまうかもしれない。因みにUS盤の薄青1stプレスと黄2ndプレスを聴き比べたところ、1stプレスの方がエコーの響きが深くて音場も広く感じるが、その違いはごく僅かなので、コスパを考えれば黄色い2ndプレスで盤質の良いのを買うのが一番賢明かもしれない。
 フィル・スペクターって何年か前に知り合いの女優を射殺したとかで今はまだ服役中(←ネットで調べたら禁固19年って書いてあった...)だったはずだが、まぁこれだけ素晴らしい作品を遺したのだから恩赦か何かで許したってもエエんちゃうかと思ったりもする。でもそうすると又トチ狂って誰かを撃ち殺してまうかもしれんからやっぱりアカンか... (笑)