前回 “キッス版音壁” として取り上げた「ゼン・シー(or ヒー)・キスト・ミー」はフィレス・レーベルの中でも三指に入る愛聴曲。ちょうどいい機会なので今回はこの曲の聴き比べ特集をやることにした。
①Beach Boys
私がこのビーチ・ボーイズ・ヴァージョンの存在を知ったのは90年代の半ば頃のこと。東芝から出ていた 2 in 1 CDシリーズの「ビーチ・ボーイズ・トゥデイ&サマー・デイズ」を聴いていた時にいきなり例のイントロが流れてきてビックリ(゜o゜) 曲名を見ると「ゼン・アイ・キスト・ハー」とある。 “彼女が私にキス...” が “僕が彼女にキス...” というようにタイトル中の代名詞が逆なので気付かなかったが、まさしく “あの曲” である。目からウロコとはまさにこのことで、それまで自分が親しんできたキッス・ヴァージョンがこのBB5版のアレンジを下敷きにしていたと知り、フィル・スペクターの遺産がビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)を通してキッスにまで受け継がれていたことにアメリカン・ポップスの奥の深さを思い知らされた。
このBB5ヴァージョンもキッスと甲乙付け難い名カヴァーで、彼らお得意のコーラス・ハーモニーが優しく寄り添ってくるところなんかマジで鳥肌が立つぐらいゾクゾクさせられるし、筋金入りのスペクター・マニアとして知られるブライアンだけあって、カスタネットの使い方などその見事なアレンジ&サウンド・プロダクションには唸ってしまう。ビーチ・ボーイズというとどうしても “車”“サーフィン”“女の子” をテーマにしたノーテンキなヒット曲か、あるいは「ペット・サウンズ」のようなシリアスなアルバムばかりに注目が集まりがちだが、この曲のようにアルバムの中にひっそりと(?)収められているカヴァー曲を原曲と聴き比べてみるのも一興ではないだろうか?
The Beach Boys - Then I Kissed Her
②Rachel Sweet
レイチェル・スウィートは70年代後半にイギリスのスティッフ・レーベルからリリースした作品が有名だが、私的には80年代初めにコロムビアに移籍して発表した「アンド・ゼン・ヒー・キスト・ミー」が一番好き。彼女の激甘ロリータ・ヴォイスはスペクター・サウンドとの相性も抜群で、この曲を「ビー・マイ・ベイビー」との豪華メドレーで歌う様は水を得た魚のようだ。彼女にはトレイシー・ウルマンみたいな感じでもっとこのキュートでレトロな “60'sアメリカン・ポップス路線” を極めてほしかったな...
Rachel Sweet - And Then He Kissed Me, Be My Baby (Ronettes,Crystals) (1981) HD
③Asobi Seksu
この曲のカヴァーを色々と集めていて出会った中でも異色中の異色がこのレコード。Asobi Seksu って口に出すのも恥ずかしいユニット名だが(笑)、そのサウンドは実にユニークで面白い。深く歪ませたギターのフィードバック・ノイズと洗練された囁き系女性ヴォーカルのコントラストが生み出す浮遊感のあるサウンド(←こういうスタイルの音楽をシューゲイザーというらしい...)がとても耳に心地良く、ほのぼのとした原曲のメロディーとの出会いによって、クールでありながらどこか温か味を感じさせるカヴァーになっている。
Asobi Seksu - And Then He Kissed Me
④Martha & The Vandellas
マーサ&ザ・ヴァンデラスといえばリンロンがカヴァーした「ヒート・ウェイヴ」やミック・ジャガー&デヴィッド・ボウイがカヴァーした「ダンシング・イン・ザ・ストリーツ」、そしてアルバム「カム・アンド・ゲット・ジーズ・メモリーズ」のゆるかわいいジャケットがすぐに思い浮かぶが、彼女らがこの「ゼン・ヒー・キスト・ミー」を歌っているのはYouTubeを見るまで知らんかった(>_<) オリジナルのクリスタルズと聴き比べてみると、音作りの点でフィレスとモータウンというそれぞれのレーベル・カラーの違いがハッキリと出ていて面白い。
MARTHA and THE VANDELLAS then he kissed me
⑤Crystals
最後はやはりフィル・スペクターがプロデュースしたクリスタルズのオリジナルで締めたい。1963年8月にリリースされたこの曲は最高位が3週連続全米6位というチャート成績だったが、私は全米1位になった「ヒーズ・ア・レベル」よりも断然こっちの方が好き。アンプのヴォリュームを上げると文字通りまるで壁のように屹立して聴く者に迫ってくるこの音の厚み、最高ではないか! リヴァーブの効いたドラム・サウンドの深~い響きといい、激しく打ち鳴らされるカスタネットの波状攻撃といい、私はこの曲にフィル・スペクターによる “ウォール・オブ・サウンド” の完成形を見る思いがする。やっぱり本家本元の音壁は最高だ(^o^)丿
Then He Kissed Me - The Crystals
【おまけ】YouTubeで偶然見つけたこの動画、歌ってるのは日系イタリア人シンガーの Sayaka Alessandra嬢。ルックスも声も私のストライクゾーンやん!と思いながら見ていると、0分29秒あたりから何やら彼女の後ろでチョロチョロする姿が...(笑) このワンちゃんの動き、めっちゃ可愛いなぁ... o(^-^)o
Then He Kissed Me (The Crystals cover)
①Beach Boys
私がこのビーチ・ボーイズ・ヴァージョンの存在を知ったのは90年代の半ば頃のこと。東芝から出ていた 2 in 1 CDシリーズの「ビーチ・ボーイズ・トゥデイ&サマー・デイズ」を聴いていた時にいきなり例のイントロが流れてきてビックリ(゜o゜) 曲名を見ると「ゼン・アイ・キスト・ハー」とある。 “彼女が私にキス...” が “僕が彼女にキス...” というようにタイトル中の代名詞が逆なので気付かなかったが、まさしく “あの曲” である。目からウロコとはまさにこのことで、それまで自分が親しんできたキッス・ヴァージョンがこのBB5版のアレンジを下敷きにしていたと知り、フィル・スペクターの遺産がビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)を通してキッスにまで受け継がれていたことにアメリカン・ポップスの奥の深さを思い知らされた。
このBB5ヴァージョンもキッスと甲乙付け難い名カヴァーで、彼らお得意のコーラス・ハーモニーが優しく寄り添ってくるところなんかマジで鳥肌が立つぐらいゾクゾクさせられるし、筋金入りのスペクター・マニアとして知られるブライアンだけあって、カスタネットの使い方などその見事なアレンジ&サウンド・プロダクションには唸ってしまう。ビーチ・ボーイズというとどうしても “車”“サーフィン”“女の子” をテーマにしたノーテンキなヒット曲か、あるいは「ペット・サウンズ」のようなシリアスなアルバムばかりに注目が集まりがちだが、この曲のようにアルバムの中にひっそりと(?)収められているカヴァー曲を原曲と聴き比べてみるのも一興ではないだろうか?
The Beach Boys - Then I Kissed Her
②Rachel Sweet
レイチェル・スウィートは70年代後半にイギリスのスティッフ・レーベルからリリースした作品が有名だが、私的には80年代初めにコロムビアに移籍して発表した「アンド・ゼン・ヒー・キスト・ミー」が一番好き。彼女の激甘ロリータ・ヴォイスはスペクター・サウンドとの相性も抜群で、この曲を「ビー・マイ・ベイビー」との豪華メドレーで歌う様は水を得た魚のようだ。彼女にはトレイシー・ウルマンみたいな感じでもっとこのキュートでレトロな “60'sアメリカン・ポップス路線” を極めてほしかったな...
Rachel Sweet - And Then He Kissed Me, Be My Baby (Ronettes,Crystals) (1981) HD
③Asobi Seksu
この曲のカヴァーを色々と集めていて出会った中でも異色中の異色がこのレコード。Asobi Seksu って口に出すのも恥ずかしいユニット名だが(笑)、そのサウンドは実にユニークで面白い。深く歪ませたギターのフィードバック・ノイズと洗練された囁き系女性ヴォーカルのコントラストが生み出す浮遊感のあるサウンド(←こういうスタイルの音楽をシューゲイザーというらしい...)がとても耳に心地良く、ほのぼのとした原曲のメロディーとの出会いによって、クールでありながらどこか温か味を感じさせるカヴァーになっている。
Asobi Seksu - And Then He Kissed Me
④Martha & The Vandellas
マーサ&ザ・ヴァンデラスといえばリンロンがカヴァーした「ヒート・ウェイヴ」やミック・ジャガー&デヴィッド・ボウイがカヴァーした「ダンシング・イン・ザ・ストリーツ」、そしてアルバム「カム・アンド・ゲット・ジーズ・メモリーズ」のゆるかわいいジャケットがすぐに思い浮かぶが、彼女らがこの「ゼン・ヒー・キスト・ミー」を歌っているのはYouTubeを見るまで知らんかった(>_<) オリジナルのクリスタルズと聴き比べてみると、音作りの点でフィレスとモータウンというそれぞれのレーベル・カラーの違いがハッキリと出ていて面白い。
MARTHA and THE VANDELLAS then he kissed me
⑤Crystals
最後はやはりフィル・スペクターがプロデュースしたクリスタルズのオリジナルで締めたい。1963年8月にリリースされたこの曲は最高位が3週連続全米6位というチャート成績だったが、私は全米1位になった「ヒーズ・ア・レベル」よりも断然こっちの方が好き。アンプのヴォリュームを上げると文字通りまるで壁のように屹立して聴く者に迫ってくるこの音の厚み、最高ではないか! リヴァーブの効いたドラム・サウンドの深~い響きといい、激しく打ち鳴らされるカスタネットの波状攻撃といい、私はこの曲にフィル・スペクターによる “ウォール・オブ・サウンド” の完成形を見る思いがする。やっぱり本家本元の音壁は最高だ(^o^)丿
Then He Kissed Me - The Crystals
【おまけ】YouTubeで偶然見つけたこの動画、歌ってるのは日系イタリア人シンガーの Sayaka Alessandra嬢。ルックスも声も私のストライクゾーンやん!と思いながら見ていると、0分29秒あたりから何やら彼女の後ろでチョロチョロする姿が...(笑) このワンちゃんの動き、めっちゃ可愛いなぁ... o(^-^)o
Then He Kissed Me (The Crystals cover)
いやー「Then He Kissed Me 」特集と来ましたか、
これは嬉しいですねー。
ビーチボーイズが歌っていたことは知りませんでした、
KissがBB5のバージョンを下敷きにしたというのは納得です。
私はBB5のコットンフィールドも好きなのですがBB5は他の人の曲をビーチボーイズ風にすることにかけても素晴らしいですね。
他の歌手も知らない人ばかりですが、元歌がいいためかみんなよく聞こえてしまいます、しかし、しかーし、クリスタルズを聞くと「やっぱりオリジナルには勝てないわ」という結論になりますね。
スペクターのウォールオブサウンドを超えるのは至難の業だと思います。
(ps おまけ動画も気に入りました)
この曲、ホンマに好きなんですよ。
おっしゃるように元歌が良いので
どのカヴァーもハズレ無しですが
やっぱりオリジナルを聴くとコレが一番!と思っちゃいます。
1963年頃のフィル・スペクターって無双状態ですね。
ビーチボーイズもビートルズ同様、カヴァーのセンスが抜群ですよね。
ブライアン・ウィルソンの細部まで徹底的に拘るマニアっぷりにニヤリとさせられます。
おまけ動画の Sayaka 嬢の HP 見つけました。
ちゃーんとロッキー君がいますね(笑)
http://www.sayakaalessandra.com/
彼女がカヴァーしてる曲は私の愛聴曲ばかりなので
ますますファンになりました。