shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Osaka Ramones / Shonen Knife

2012-10-30 | Ramones
 私は少年ナイフの大ファンである。10年ぐらい前だったか、カーペンターズ・トリビュート・コンピ盤の中の1曲「トップ・オブ・ザ・ワールド」を聴いてそのケレン味のないストレートなロックンロールに惚れ込んだ私は彼女らのCDをガンガン聴きまくり、更に彼女らを経由してそのルーツであるラモーンズへと辿り着いた。特に2007年にリリースされたアルバム「Fun! Fun! Fun!」に収録されていた「ラモーンズ・フォーエヴァー」という曲は、ラモーンズ最後のジャパン・ツアーのオープニング・アクトを務めた少年ナイフからの愛情とリスペクトに溢れたラモーンズ・トリビュート・ソングとして忘れ難い。
Ramones Forever - Shonen Knife


 そんな少年ナイフが昨年7月に結成30周年を記念してリリースしたアルバムがこの「大阪ラモーンズ」だ。彼女らはこれまで「アイ・ウォナ・ビー・セデイテッド」と「スージー・イズ・ア・ヘッドバンガー」(ライヴ)の2曲をカヴァーしているが、今回はアルバム1枚丸ごとラモーンズ・カヴァーというからこれはもうエライコッチャである。しかもアマゾンで調べてみると日本盤とUS盤でジャケットが違うのだ。日本盤は 1stアルバム「ラモーンズの激情」のパロディー、US盤は3rdアルバム「ロード・トゥ・ルーイン」のパロディーになっており、私はパロジャケとしての完成度が高い後者(←メンバーのバックに描かれた大阪城と通天閣が笑えます...)を購入した。それに音楽利権ヤクザJASRACのマークを見るだけで虫唾が走るので、日本盤は出来るだけ買いたくないし...(笑)
 全13曲、どこを切っても会心のロックンロールが飛び出してくるこのアルバムだが、どれか1曲と言われれば⑧の「サイコ・セラピー」がサイコーだ(笑) ラモーンズ史上屈指のスピード感を誇るこの曲を少年ナイフは難なくカヴァー、文句の付けようがない疾走系ロックンロールになっており、その凄まじいまでのエネルギー・レベルと圧倒的なテンションの高さはもうさすがという他ない。
Psychotherapy - Shonen Knife


 なおこ以外のメンバーが歌っている曲が入ってるのもこのアルバムの大きな特徴だ。ベースのりつこが歌う⑥「シーナ・イズ・ア・パンクロッカー」とドラムスのえみが歌う⑨「KKK・トゥック・マイ・ベイビー・アウェイ」(←バックのコーラス・ワークがこれまた絶品!!)がその2曲なのだが、どちらもその歌声がめちゃくちゃ曲に合っており、なぜこれらの曲を選んだのかという必然性を感じさせるヴォーカルが楽しめる。声質と曲想のマッチングを鋭く見抜いた彼女たちの慧眼はさすがという他ない。
Sheena Is A Punk Rocker - Shonen Knife

Shonen Knife - The KKK Took My Baby Away


 カヴァー・アルバムにとっての成否を決める選曲面での大きな特徴は、①「ブリッツクリーグ・バップ」、②「ロックンロール・ハイスクール」、⑤「ロッカウェイ・ビーチ」といったバリバリのラモーンズ・クラシックスに混じって④「シーズ・ザ・ワン」や⑦「スキャッターガン」、⑪「チャイニーズ・ロック」といった隠れ名曲が選ばれていることで、このあたりにも彼女達の “筋金入りのラモーンズ・マニア” としての拘りが表れている。そんな中で私が特に気に入ったのが③「ウィー・ウォント・ザ・エアウェイヴズ」で、原曲のヘヴィーなグルーヴを飄々としたいつものナイフ節で見事に再現しているところが素晴らしい(^.^)
 ロックンロールの初期衝動を体現したラモーンズの音楽をストレートにカヴァーしたこのアルバムを愉しむのに理屈は要らない。ラモーンズの遺伝子を受け継ぎ、ピュアなロックンロールを聴かせてくれる少年ナイフにとって、まさに “原点回帰” といえる1枚だ。.
Shonen Knife: We Want the Airwaves (Cover)

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