shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

東京天使 / エンジェルス

2012-10-03 | Cover Songs
 さいとうみわこの名曲「ロンリー・スターダスト・ダンス」のカヴァーをきっかけにエンジェルスというグループの存在を知り、色々調べていくうちに彼女達が「東京天使」というアルバムを1枚出していることが分かった。全18曲すべてがオールディーズの日本語カヴァーというだけでも実にユニークなアルバムだが、何よりも凄いのがその選曲だ。カヴァーされている原曲は以下の通り;
 ①「The Rain, The Park And Other Things」(The Cowsills)
 ②「The Loco-Motion」(Little Eva)
 ③「Bobby's Girl」(Marcie Blane)
 ④「Crying In A Storm」(Emy Jackson)
 ⑤「I Had A Dream I Was A Beatle」(Donna Lynn)
 ⑥「Good-Bye」(Mary Hopkin)
 ⑦「Holiday」(Bee Gees)
 ⑧「Glad All Over」(Dave Clark Five)
 ⑨「Theme From The Monkees」(Monkees)
 ⑩「Stop The Music」(Hitmakers)
 ⑪「Gimme Some Lovin'」(Spencer Davis Group)
 ⑫「For Your Love」(Yardbirds)
 ⑬「The Legend Of Xanadu」(Dave Dee Group)
 ⑭「In My Room」(Walker Brothers)
 ⑮「Born To Be Wild」(Steppenwolf)
 ⑯「Paint It Black」(Rolling Stones)
 ⑰「Ruby Tuesday」(Rolling Stones)
 ⑱「One」(Three Dog Night)
 とまぁこのように、リトル・エヴァやマーシー・ブレーンのようなアメリカン・ポップスに混じってスペンサー・デイヴィス・グループやヤードバーズといった硬派な曲たちを女性アイドル・グループが日本語で歌っているのだ。怖いもの見たさとでも言えばいいのか、俄然このアルバムを聴いてみたくなった私はいつものようにアマゾンとヤフオクで検索、アマゾンでは3,500円オーバーという廃盤プレミア付きのニンピニン価格だったが(←誰が買うねん!!!)、ヤフオクで善良な一般ピープルが300円という “持ってけドロボー価格” で出品しておられたのを運よくゲットできた。
 そもそもこのエンジェルスというユニットは元ワイルドワンズの渡辺茂樹氏が手掛けた “若い世代へ向けてのオールディーズ啓蒙プロジェクト” みたいなモンで、ライナーノーツにも氏自らがその趣旨の事を書いている。又、曲によって訳詞者は違うがアレンジは全曲渡辺氏が担当しており、彼女らのヘタウマ・ヴォーカルをを巧く活かした絶妙な仕上がりになっている。彼はキャンディーズのバックバンド MMP の中心メンバーとしても活躍した人で、ライヴにおけるキャンディーズの洋楽カヴァー曲のセットリストを考えれば、このアルバムの渋~い選曲にも大いに納得がいく。
 アルバム冒頭を飾るカウシルズの①からもうエンジェルスならではの親しみやすい下町ポップス・ワールドが全開だし、それに続くガール・ポップ・クラシックスの定番②もノリノリで言うことナシ。洋楽に混じってエミー・ジャクソンの④が入っているのも面白い。しかし私にとって一番インパクトが強かったのはデイヴ・クラーク・ファイヴの⑧で、ドカドカとラウドに響き渡るドラミングを再現したイントロといい、サビの “I'm feelin'... glad all over♪” を “Welcome to... Magical Venus Land♪” と変えて歌ってしまうチカラワザといい、痛快無比なカヴァーになっている。これ、ホンマにオモロイわ(^o^)丿
Magical Venus Land


 「愛を下さい」という竹を割ったような直訳邦題(←アンタは菅野美穂か!)が笑える⑪や後半部の転調にのけぞる⑫、ハードボイルドな味付けがエエ感じの⑮(←これを聴くと空耳の “いつものラーメン♪”を思い出してしまう...)など、アルバム後半に進むにつれてますますロック色が強くなっていくが、やはり何と言ってもストーンズの⑯が出色の出来。ジェフリー・ダウンズ降臨!と言わんばかりに初期エイジアを想わせるようなバックの演奏は意外にもエンジェルスの素朴な歌声と相性抜群で、この渡辺アレンジにはもう唸るしかない(≧▽≦)
黒く塗れ


 バブルガム・ポップ・チューンでは⑨が最高だ。私はこれを聴くとどうしても「タイガースのテーマ」を思い出してしまうのだが、かつてモンキーズやタイガースが “アイドルのアンセム” としてファンを魅了したこの名曲のエンジェルス・ヴァージョンも彼らに勝るとも劣らないハジケっぷりで、ウキウキワクワクするようなカヴァーに仕上がっている。
 80年代の終わりにアダ花のように咲いて散っていったB級アイドル・グループ、エンジェルスの「東京天使」というこのアルバムはシリアスな音楽ファンからは見向きもされないかもしれないが、漣健児の流れを汲むクオリティーの高いカヴァー・ポップス集として気楽に楽しめる1枚だと思う。
エンジェルスのテーマ

【おまけ】ジュリー、男の私が見てもめちゃくちゃカッコエエわ...(^.^)
最後のウエスタンカーニバル タイガース