shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Songs From The Sparkle Lounge / Def Leppard

2012-06-06 | Hard Rock
 デフレパさんが止まらない(笑) 前回はドクロのだまし絵ジャケットが面白い「レトロ・アクティヴ」だったが、今回はカヴァー・アートに無頓着な彼らにしては珍しいパロジャケ(?)の「ソングス・フロム・ザ・スパークル・ラウンジ」を取り上げようと思う。
 このアルバムは2008年にリリースされたもので、間に傑作カヴァー集「イェー!」を挟んでいるとはいえ、オリジナル・アルバムとしては例の「Ⅹ」以来6年ぶりである。その前作「Ⅹ」はCD1枚を聴き通すことが苦痛なほど私の好みとはかけ離れた退屈極まりない内容だったし、90年代以降は「スラング」→「ユーフォリア」→「Ⅹ」→「イェー」というように駄盤と名盤が交互にやってくる傾向があったので、この新作には正直言ってあまり期待していなかった。
 そんな私の注意を引いたのがこのジャケット... 言わずと知れた「サージェント・ペパーズ」のパロジャケである。色使いや構図はどちらかと言えば「リンゴ」に近いものがあるが、ジャケットに登場するのがバンドのメンバーと世界の有名人(?)たちというコンセプトは「ペパーズ」そのもの。80~90年代のメンバーの写真が散りばめられている(←やっぱりユニオンジャックのタンクトップ姿のジョーが一番目立ってますな...)というのも「ペパーズ」同様、過去の自分達を葬り去ろうという発想なのかもしれない。
 メンバー以外の有名どころでは、モナリザや自由の女神、ツタンカーメンに芸者ガールなどがフィーチャーされており、アートの薫り横溢の「ペパーズ」のパロディーとしては中々興味深いチョイスだが、なぜかキッス・メイクをしたパンダや見ザル言わザル聞かザルの三猿なんかも登場する(←前列右隅でヴィヴィアンとクラッシュ・テスト・ダミーの間にいてるのはアジャ・コング... なわけないか)。探せば他にも色々と発見がありそうだが、CDの小さいジャケットはめっちゃ目が疲れるのでこの辺でやめとこう(笑)
 で、そんな意味深なジャケットの中に入っている音はと言えは、時間とお金をたっぷりかけて徹底的に音を作り込み、究極の完成度を目指すという従来の「ヒステリア」路線とは対極にある “シンプルでライヴ感溢れる骨太なロック・サウンド”。12年前に “脱・ヒステリア” を目指して失敗した「スラング」の教訓を見事に活かし、グランジ/オルタナのような一過性音楽にすり寄るのではなく、70年代の AC/DC のような王道ロックンロールをベースにしながら随所に伝統的なブリティッシュ・ロックのエッセンスを散りばめたのが功を奏しているように思う。
 個々の楽曲の中ではやはりシングル・カットされた②「ナイン・ライヴズ」が出色の出来。「アーマゲドン」や「プロミセズ」を想わせる明るいノリはまさに彼らならではだし、 “Let 'em roll, let 'em roll ~♪” の流れるようなメロディー展開も最高だ(^o^)丿 ロックンロール回帰を宣言するかのようにシャープでエッジの効いたギター・リフを前面に押し出し、更にこれでもかとばかりに息の合ったバック・コーラスでデフレパ印の刻印を押す... もうお見事!と言うしかない名曲名演である。尚、Aメロを歌っているのはティム・マッグロウといカントリー・シンガーで、Bメロからがジョー・エリット。日本盤CDにはボートラとしてマッグロウ抜きの “真正デフ・レパード・ヴァージョン” が収録されており、私がそちらを愛聴しているのは言うまでもない。
Def Leppard-Nine Lives (Def Leppard Only)


 跳ねるようなリズムが耳に残る③「カモン・カモン」はゲイリー・グリッターやスレイドを想わせるグラム・ロックで、彼らが愛した古き良きブリティッシュ・ロックへのオマージュとして胸を打つ。まさに前作のカヴァー集「イェー」での成果が見事に結実した1曲と言える。グラム・ロック特有のノリの良さに加えてメロディーも覚えやすく歌詞もシンプルなので、ライヴで大ウケしそうなナンバーだ。ていうか、演ってるメンバーが一番楽しんでたりして...(^.^)
Def Leppard Live - c'mon c'mon


 ビリー・ジョエルとは同名異曲の⑧「オンリー・ザ・グッド・ダイ・ヤング」はチープ・トリックっぽいメロディーと中期ビートルズっぽいサウンドが見事に溶け合ったキラー・チューンで、どこかの曲で聞いたことがあるようなフレーズが出るわ出るわのワンコソバ状態。ベテランの味と言ってしまえばそれまでだが、一段と円熟味を増したジョーのボーカルも説得力抜群だし、ノスタルジックな味わいを醸し出すコーラス・ワークにも涙ちょちょぎれる。とにかくビートルズ・ファンはコレを聴いてイスから転げ落ちて下さいな(^.^) 
Steve Clark Only The Good Die Young
 
 
 上記の曲以外にもクイーンの「ジェラシー」にそっくりな大仰バラッド④「ラヴ」、まさに1曲丸ごとデフレパ節といった感じの⑦「ハルシネイト」、バリバリ弾きまくるギターがたまらない疾走系ロックンロール⑨「バッド・アクトレス」、ヘヴィーなリズムとへヴィでグルーヴ感溢れるリフ展開が後期ゼッペリンを彷彿とさせる⑩「カム・アンダン」なんかが気に入っている。ボーナス・トラックを除けばトータル・ラニング・タイムはわずか39分だが、つまらん曲を無理やり詰め込んで60分も70分も聴かされるよりはこっちの方がよっぽど潔くて気持ち良い。
 このアルバムは「ヒステリア」の分厚いサウンド・プロダクションを期待して聴くと肩透かしを食うが、様々な試行錯誤を繰り返しながらも地道にライヴ活動を重ねることによって迷いを吹っ切り、原点回帰して新たなスタートを切ったデフレパのシンプルなロックンロールを楽しむのには恰好の1枚だ。

【おまけ】音楽とは何のカンケーもないけど、YouTube でこんなん見つけました。オモロイので貼っときます(^.^)
Pacman Frog catch some touch screen bugs.