shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Lumiere / Clementine

2010-05-27 | World Music
 確か去年の今頃、901さんご紹介の映画「デス・プルーフ」をきっかけにエイプリル・マーチやマレーヴァといった “ネオ・フレンチ・イエイエ祭り” で盛り上がっていたが、速いものであれからちょうど1年が経ち、今度は “クレモンティーヌのフレンチ・カヴァー祭り” である。この時期にフレンチにハマるのは単なる偶然なのだが、爽やかな風が吹き抜けていくようなクレモンティーヌのフレンチ・ボッサは確かにこれからの季節にピッタリだ。
 ジャズの正統派スタンダード・ナンバーからトンガリ系アシッドジャズ、そしてフレンチ・ボッサに至るまで様々な顔を見せてきたクレモンティーヌの作品で私が一番好きなのがポップスのフレンチ・カヴァーである。何故かは知らないがネットで色々調べてみても彼女のディスコグラフィーで完全・正確なものが見当たらなかったので(←ウィキペディアにもいくつか間違いがあったので要注意!)仕方なく自分で作り、カヴァーを中心に曲目をチェックしていて一番気になったのがこの「ルミエール」だった。
 何と言っても曲目が凄い。ビーチ・ボーイズの①「ココモ」に始まり、超有名スタンダード②「ムーン・リヴァー」、シンディー・ローパーの③「タイム・アフター・タイム」、ビー・ジーズの④「メロディ・フェア」、ビートルズの⑩「トゥ・オブ・アス」、シャンソンを代表する名曲⑪「愛の賛歌」と、とにかくめちゃくちゃ豪華なカヴァー集である。彼女の公式サイトには “クレモンティーヌが初めて挑む映画音楽カヴァー集” とある。なーるほどね、「カクテル」、「ティファニーで朝食を」、「小さな恋のメロディ」、「レット・イット・ビー」というワケか... でも「タイム・アフター・タイム」ってサントラやったっけ?
 クレモンティーヌは何を唄おうが確固たる自己の歌唱スタイルを確立しており決して期待を裏切るようなことはないので、とにかくアルバムに知ってる曲が一杯入っていればそれだけで買いである。このアルバムでも上記の名曲群が彼女のエレガントなヴォーカルで楽しめて言うことナシなのだが、特にアップテンポで軽やかに歌う④はリズム・ギターとハンド・クラッピングが実に効果的に使われており、音楽の愉しさがストレートに伝わってくる素晴らしいカヴァーに仕上がっている。①もリラクセイション溢れる曲想と彼女の優しく包み込むようなヴォーカルが絶妙にマッチしており、いきなりアルバムの冒頭からリゾート気分が全開だ(≧▽≦)
 ③は「ミルク・ボッサ」や「イン・ボッサ」シリーズで80'sポップスの名曲を次々とボッサ化しているブラジル・ボッサ界の重鎮ロベルト・メネスカルのプロデュース。ワン・テイクで完成したということだが、フレンチ・ブラジリアン・ボッサの逸品と言っていい出来栄えだ。生粋のパリ・ジェンヌ、クレモンティーヌが歌うシャンソン⑪には言葉の壁を越えた説得力があり、これにはもう平伏すしかない。
 未知の曲では⑦「ソング・オブ・ザ・ヴァガボンズ」が断トツに素晴らしい。このメロディーはどこかで聞いたことがあるなぁ... と思ってよくよく考えてみたら映画「蒲田行進曲」のテーマ・ソングにそっくりだ。ネットで調べると、1925年にオペレッタの曲として作られた「放浪者の唄」に日本語詞を付けてあの映画の主題歌にしたのだそうだ。なるほどね(^.^) このクレモンティーヌのヴァージョンはめっちゃクールなアレンジが施され、オペレッタの原曲とも映画の日本語ヴァージョンともまったく違う雰囲気の超カッコ良いキラー・チューンに仕上がっている。この1曲に出会えただけでも今回の “クレモンティーヌ祭り” をやった甲斐があったというものだ。下にアップしときましたので、興味のある方はぜひ聴いてみて下さいね。

ソング・オブ・ザ・ヴァガボンズ
コメント (2)