shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Solita / Clementine

2010-05-22 | World Music
 その名前だけは知っていても実際にはちゃんと聴く機会がないまま放置(?)してきたアーティストというのが私には何組もいる。1988年にデビューし、ジャズやボッサのアルバムを数多くリリースしてきたフランスの女性シンガー、クレモンティーヌも最近まではそんな一人だった。
 私が初めて彼女の存在を知ったのは1990年代後半のことで、何かの雑誌で “フランスのオシャレなライト・ジャズ・ヴォーカル” として紹介されているのを目にしたのが最初だったように思う。当時の私はペギー・リーやジュリー・ロンドンといった50年代の女性ヴォーカルにハマッており、このクレモンティーヌもどうせカフェバーあたりでタレ流されているエセ・ジャズ・ヴォーカルの類だろうと誤解し、それほど気にも留めなかった。だからその後ツタヤやゲオでレンタルするチャンスがあったにもかかわらず、いつもスルーしてしまっていたし、ごくたまにラジオか何かで耳にすることがあってもイマイチ馴染みのない曲ばかりであまり印象に残らなかった。
 そんな私が彼女に開眼したのが去年のこと(←遅いっ!!!)、超愛聴曲「サニー」をネット検索していると彼女のアルバム「ソリータ」が引っ掛かってきたのだ。 “へぇ~、あのクレモンティーヌが「サニー」歌ってるんかいな...” などと思いながらトラックリストを見ると、彼女の他のアルバムとは違って知っている曲、それも結構好きな曲が多い。彼女の場合ウィスパー系ということでヴォーカルそのものはかなり淡泊なので、曲が地味だとどれを聴いても単調でみな同じに聞こえてしまうのが難点だったが、好きな曲ならまったく問題ない。同じウィスパー系のベン・シドランとのコラボレーションになっているこの「ソリータ」、早速アマゾンで試聴してみると二人の持ち味がうまく溶け合っていて中々エエ感じ。値段を見ると中古で200円... ほとんど定価の9割オフである。というか、レンタルするよりも安いやん(笑)... これはもう買うしかない。
 収録曲は全部で14曲。この盤を知るきっかけとなった⑦「サニー」はクレモンティーヌならではのソフィスティケーションが新鮮に響く。こんなオシャレな「サニー」はちょっと他では聴けないだろう。超愛聴スタンダード・ナンバー②「ジーズ・フーリッシュ・シングス」は私の大好きなジャネット・サイデルがアルバム「コム・シ・コム・サ」の中で英語とフランス語を自在に切り替えながら歌っていたのが印象的だったが、このクレモンティーヌ版は何と完全フランス語ヴァージョンだ!言語が変わるだけで曲の雰囲気が微妙に変わるというのはこれまで何度も経験してきたが、何を言ってるのかサッパリ分からない「ジーズ・フーリッシュ・シングス」も中々オツなもの。彼女のコケティッシュなウィスパー・ヴォイスがマッタリした曲想と絶妙にマッチして実にエエ味を出している。
 リッキー・リー・ジョーンズの⑨「恋するチャック」はリッキー・リーとクレモンティーヌの声質の類似性を見抜いた選曲の勝利と言うべき1曲で、これもすべてフランス語で歌われており、オリジナルに勝るとも劣らない素晴らしいヴァージョンに仕上がっている。私的には②と並ぶキラー・チューンだ。③「ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームズ」は正直言って苦手な曲だったのだが、このクレモンティーヌとベン・シドランのデュエットは少しテンポを上げてポップなアレンジを施してあるせいか、実に聴き易くてすっかり気に入ってしまった。大嫌いなはずのフェンダー・ローズのエレピ音ですら全然気にならないのだから私的には凄いことなのだ(笑) ジャジーな雰囲気横溢の①「ドンチャ・ゴー・ウェイ・マッド」やノリノリの⑩「ユー・ガット・ホワット・イット・テイクス」で聴けるクレモンティーヌの萌え萌えヴォーカルも吸引力抜群だ。
 現時点で彼女の CD は3枚しか持っていないが、コレを書きながら聴き直してみて改めてその素晴らしさを再確認できた(^o^)丿 母国フランス以上に日本で人気者の彼女、CD は全部で20枚近く出しているようなので、好きな曲の入っている盤を狙ってみるとしよう。

ジーズ・フーリッシュ・シングス


サニー
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