shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ULTRA Pleasure / B'z

2008-10-28 | B'z
 B'z は日本で最高のロック・ユニットである。CDを何千万枚売り上げたとか、ヒットチャート連続1位がどうのとか、そんなしょーもない理由からではない。彼らが凄いのは何よりもまずその楽曲のクオリティの高さ、これに尽きる。「商品」として完璧に近いパッケージをこの20年間出し続けてきたこと自体、奇跡に近い。例えばこの ULTRA Pleasure というベスト盤に収録された30曲、そのすべてがヒット曲としての「顔」を持っている。60'sや80'sのアメリカン・トップ40ポップスが今でも人々に愛され続けているのと同様に、B'zの楽曲には時の試練に耐えて人々の記憶に残る何かがある。時代のあだ花的にヒットしてブームが去ればあっという間に忘れ去られて消えていく凡百のJ-Popsとは次元が違う。格が違う。
 松本さんの作る覚えやすくキャッチーなメロディー、稲葉さんの書く心に響く歌詞、バンドが一体となって作り上げるエッジの効いたソリッドなサウンド、練りに練られたアレンジとサウンド・プロダクション... これらすべてが揃って初めてB'zの音楽にマジックが生まれる。ペイジ&プラントではゼッペリンになれないのと同じ理屈である。
 少し前にNHKでB'zのドキュメンタリー番組をやっていた。特に印象に残ったのは、わずか8小節20秒のギターソロのために納得のいくフレーズがみつかるまで何週間もかけて色々試し続ける松本さんの「職人のこだわり」と、メロディーに合った歌詞を何度も何度も推敲しながら作り上げていく稲葉さんの「プロフェッショナリズム」だった。その場で楽曲が生き物のように変化していく様はまるでビートルズのアンソロジーを聴いているような面白さで、名曲名演誕生の舞台裏を覗き見ているようなスリルを味わえた。
 このベスト盤には彼らがこれまでに蓄積してきた音楽体験のすべてが詰まっている。レッド・ゼッペリン、エアロスミス、AC/DC、モトリー・クルー、ヴァン・ヘイレン、ボン・ジョヴィ、ディープ・パープル... これらの良質なハードロック・エッセンスを凝縮し、彼らのフィルターを通した上で現代の感性で再構築したものがB'zの音楽なのだ。まさにロック界の北斗神拳(笑)、B'zに後退はないのである。

B'z 衝動