shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Douce Ambiance / キヨシ小林

2008-10-23 | Gypsy Swing
NHK番組の「ウクレレおじさん」として有名なキヨシ小林さんは、日本人で初めてフランスのジャンゴ・フェスティバルに参加した、日本のマヌーシュ・ギタリストの草分け的存在である。ウクレレ・アロハマンとマヌーシュ・ギタリストの2足のわらじを履きこなす凄い人なのだ。彼の1stジプシーギター・アルバムDjango Swing は、アップテンポな演奏が新鮮なMy One And Only Love や女性ヴォーカル・フィーチャーのShanghai、哀愁舞い散るAnniversary Song(ドナウ川のさざ波)等、マヌーシュ・スウィングに留まらない彼の多様な音楽性が集約されたような素晴らしい内容だったが、リズムギターが引っ込んで聞こえるおとなしめの録音なのが惜しかった。それに対して2nd にあたるこの Douce Ambiance では葛巻善郎さんという超こだわりのレコーディング・マスタリング・エンジニアがリズムギターをデカく音録りした(エヴァンス・トリオのヴァンガード・ライヴにおけるスコット・ラファロみたいな録音バランス!)せいもあってか1曲目からスイング感が全開で、ザクザク・リズムが快感を呼ぶ。やっぱり音楽のわかった録音エンジニアってすご~く大事なんやね。ザクザク効果が特に顕著なのがジャズ・スタンダードの⑦How High The Moon と⑪Night And Day で、息子の小林なおさんが刻むギターのリズムが大きなうねりを作り出し、音楽を前へ前へと推し進めていく大きな推進力になっている。親子でスイング、ってめっちゃエエねぇ。そして待ってましたのチャボロ・シュミット特別参加!③のTchavolo Swing は自分の持ち歌ということもあってかプリプリバリバリと気持ち良さそうに弾きまくっている。それにしても一音弾いただけでその場の空気を変えてしまうチャボロの圧倒的存在感は凄いの一言。触発されたキヨシさんもノリノリで、軽快なテンポでホットなソロが続く至福の3分57秒である。①④⑨といったシャンソン・ミュゼット系の曲にはアコーディオンも参加しており、パリのエスプリが横溢する粋なアルバムになっている。更に②Douce Ambiance(甘い雰囲気)と⑬Songe d’Automne(秋の夢)という自分だけの「隠れ名曲」を教わったアルバムとしても忘れられない、いいことだらけの私的マヌーシュ愛聴盤なのだ。