shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Gypsy Swing Jazz / Swing Amor

2008-10-22 | Gypsy Swing
 熊本を拠点に活動する若手4人組マヌーシュ・スウィング・バンド Swing Amor のデビュー盤。まず注目すべきは彼らがチャボロ・シュミットの代表曲である⑪Mire Pralを取り上げているところ。聴いてみるとやはりというべきか、いきなりチャボロ・ライクなリズムギターが爆裂!弦が切れそうなぐらいザクザク刻んでくれる。こりゃー最高だ!映画「僕のスウィング」の冒頭で強烈なインパクトを与えたチャボロ・ヴァージョンが完璧すぎるせいか、どのバンドも手を出しかねているようでこの曲のカヴァーはとってもレアなのだが、Swing Amor は大胆にも挑戦し、チャボロの名演に迫る見事な演奏を聞かせてくれる。特に「ジャララララララッ!!!」と弦を擦るところなんかもう最高(^o^)丿そのチャボロも取り上げていたガーシュウィンの①Lady Be Good、ジャンゴの②Minor Swing、ビレリの⑤Made In France、マヌーシュ・スタンダードの王様⑥Dark Eyesと名曲名演のオンパレードで、バリバリのマヌーシュ・スウィングが展開する。④のSwing Easy は、ずばり「Swing Amor 版 Tchavolo Swing」といった感じのスインギーなオリジナル曲で、彼らのチャボロへの傾倒ぶりがわかろうというもの。ハイテクニックなプレイを繰り広げながらも決して技術至上主義を前面に押し出さず、正統的なマヌーシュ・スウィングという土壌を愛し続ける実にシンプルな音楽をポンと提示したところにSwing Amor の魅力がある。「型」にこだわるマヌーシュ・バンドが多い中、自分たちのルーツを的確に表現した彼らの音楽がかえって新鮮に映るのだ。特に上記の⑪でマヌーシュ・スウィングの俗に言う「泥臭い」フィーリングが圧倒的な凄さで流れ出した瞬間、思わず鼓動が激しくなった。ここまでマヌーシュ・スウィングが好きなのか、といった徹底的な自我意識が描写されていて聴いてて胸が熱くなる。彼らの音楽はその背景、土壌、そして何より信じる音楽への敬意の重要性というものを教えてくれる。まるでベテラン・バンドの作品を聴き終えたような充実感と深い満足感。マヌーシュの真髄、躍動するリズム、どこを切っても充実の手ごたえが飛び出してくる。チャボロ・シュミットやモレノといったいわゆる「ザクザク・マヌーシュ系」のギターが大好きな人にはこたえられないアルバムだ。

Swing Amor "Minor Swing"