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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ポールのシャーロッツビル・ライヴ聴き比べ

2015-08-10 | Paul McCartney
 ポールのポスト・ジャパン・ツアー特集も何やかんやでいよいよ最終回だ。ポールはフランス公演と北欧ツアーの間に1週間だけアメリカをまわっているのだが、今日はそんな2015アウト・ゼア・ツアー北米レグの中から6月23日にシャーロッツビルで行われたライヴを収録した2種類の盤の聴き比べをやってみたい。
 このシャーロッツビルというのはアメリカ東海岸にある田舎町なのだが、総人口約4万人のこの町で行われたライヴに約1万4千人が集まったというのだから、コンサート当日は町中がポール一色に染まっていたことだろう。コンサートが行われた会場の名前がこれまた変わっていて、何とジョン・ポール・ジョーンズ・アリーナというらしい。ひょっとすると他にもジミー・ペイジ・アリーナとかロバート・プラント・スタジアムとかあったりして....(←ないない...笑)。
 今日取り上げる盤の1枚目は7月の初めに LH がネット音源をプレス化リリースした「アウト・ゼア・シャーロッツビル2015」だ。バーミンガム盤やマルセイユ盤ですっかり味をしめていた私は、インフォの “その極上の音質ときたら、各種日本公演に並ぶビッグ3へ格付けしたくなるほど見事な録音状態。オンな音像は当たり前、さらに2015年のポール・ライブ音源の中でも際立つウォーミーな質感。その聴き心地は掛け値なしに絶品...” という煽り文句に乗せられ、迷うことなく即オーダーしたのだった。
 届いた盤は看板に偽りナシの高音質盤で、インフォには “シャーロッツビルの観客は全然盛り上がっていません... なんでこんなに淡泊なんでしょうか... はっきり言って日本公演の足元にも及びません” とあったが、私にはシャーロッツビルのお客さんたちもそれなりにライヴを楽しんで盛り上がっているように思える。あの武道館の凄まじいばかりの盛り上がりを体験してしまうと他のライヴ盤がどれもみな淡泊に聞こえてしまうのはしゃーないわ...(-。-)y-゜゜゜
 私としては “盛り上がってない” というよりはむしろ “奇声の類が少ない” ため、非常に気持ち良く音楽に聴き入ることが出来るというのが率直な印象だ。田舎町でのライヴだからなのかもしれないが、お客さんたちの行儀が良くて耳障りなオーディエンス・ノイズがほとんどないのが嬉しい。元々高音質な上に私が蛇蝎の如く嫌っているホーホーやアウアウが皆無なのだから、コレはもう大当たり盤である。
 それと、あまり変わり映えのしないセトリにもかかわらず私が同ツアーの色んな音源を嬉々として買っている理由の一つは、ローカル色豊かなポールのMCにある。ポールの大阪弁MCが楽しい京セラドーム公演や “ブ・ド・カ・ン!” 連呼に涙ちょちょぎれる武道館公演はもちろんのこと、客席にいるお孫さん達の前で “いつもソファーで寛いでるおじいちゃんが実はロックスター(笑)” と語って大ウケしていたバーミンガム公演など、ご当地に合わせたポールのMCを聞いているだけでもめちゃくちゃ楽しい。
 ここシャーロッツビル公演で面白かったのは “Sign my butt, and I'll make it a tattoo.”(私のお尻にサインして!タトゥーにするわ。)ネタでお馴染みの “Don't read the signs” MCのコーナー(?)で、“Paul, name our dog!”(ポール、ウチのワンちゃんの名付け親になって!)に対してポールが “Penny Lane or Abbey Road?” と提案、結局オーディエンスの拍手の大きさで犬の名前は「アビー・ロード」に決定したのだが(笑)、ポールは “Here, Abbey! Come on, Abbey!” と茶目っ気たっぷりのMCで観客を笑わせていた。エエなぁ、このマッタリとしたのどかな雰囲気... (≧▽≦)
I've Just Seen A Face Charlottesville


 とまぁこのように愛聴盤となったこの「アウト・ゼア・シャーロッツビル2015」だが、驚いたことにLHはその2週間後に別音源のシャーロッツビル・ライヴ盤をリリースした。題して「デフィニティヴ(決定版)・シャーロッツビル2015」。 “武道館じゃあるまいし、何でまた同じ場所のライヴを出すんやろ???” と訝しく思ったが、インフォによると “新たに登場したオルタネイト・レコーディングで、前回のリリースよりもさらに音圧を増した音像とクリアネスを前にして迷わず今回のリリースを決定” したとのこと。あれよりも音が良いってどんな凄い音やねん!と思いながら読み進むと “とにかく今回のは音像が近い。それでいて広がりのあるクリアネス。ラスティのギターがまるでサウンドボードのようなリアルさを持って迫ります!” だとぉ? うーん、コレは聴かねばならぬ。ということですっかりLHの思うツボにはまった私は2枚目のシャーロッツビル盤を買ってしまった(笑)
 実際に聴いてみた印象は、とにかく “切れ味鋭いハイ上がりな音”。確かにクリアネスは抜群だが私の耳にはちょっとキツ過ぎる感じで、ギターの音がキンキンというか、かなり金属的に聞こえるのだ。そこで物は試しと聴き慣れた先行盤との聴き比べをやってみることにした。2台のCDプレーヤーにそれぞれの盤をセットして同時にプレイし、プリアンプの切り替えスイッチで両者の違いを確かめようというものだが、やってみると単体で聴いている以上に2枚の違いが露わになった。
 先行盤の方は中低域に厚みがあり高域はややおとなしめ、後発盤の方はブリリアントな高域が耳につきすぎて中低域がやや薄っぺらく感じられたのだ。例えるなら前者がT&J的な音作り、後者がピカデリー的な音作りと言えば分りやすいと思うが、LHインフォにも “ウォーミー派には「Out There Charlottesville 2015」を、クリアネス派には「Definitive Charlottesville 2015」をおすすめ” とあったように、これは音の優劣の問題ではなく好みの問題だろう。私はどうやら “ウォーミー派”(←形容詞warmに –yを付けたwarmy なんて言葉、実際の英語にはないLHの造語なのだが、アナログ・テイストな温かみのあるサウンドを形容する言葉としてはこれ以上しっくりくるものはない...)らしく前者の音が好みなのだが、みなさんはどうですか?
Eight Days A Week Charlottesville

Eight Days A Week Definitive Charlottesville
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ポールの2015 ヨーロッパ・ツアー特集 ~Marseille & Oslo~

2015-08-04 | Paul McCartney
 ロンドン、バーミンガム、リヴァプールと、母国イギリスで4公演を行った後、ポールはフランス→オランダ→フランス→アメリカ→北欧という風にヨーロッパと北米を行き来しながら精力的にツアーをこなしているのだが、今日取り上げるのはフランスのマルセイユ公演とノルウェーのオスロ公演。どちらもネットに上がった音源をLHがギフト化したものだ。

①Out There Marseille 2015
 イギリスを離れてまずポールが向かったのがフランスのマルセイユで、6月5日にスタッド・ヴェロドロームという屋外競技場で行われたライヴの模様を収めたのがこの「アウト・ゼア・マルセイユ2015」だ。LHのインフォには “巨大屋外会場らしいマイルドな音質” “臨場感豊かな録音ですが、総合的に大変良く出来た仕上がり” “巨大屋外会場録音ゆえ、決してベストな音質ではありませんが、間違い無く水準以上のサウンド” と、かなり控え目な表現が並んでおり、“それって要するに音が遠いんちゃうの?” と早合点した私は、短いながらも「オン・ザ・ラン・ロッテルダム」以来の「イエロー・サブマリン」が聴けるもう1枚のフランス公演盤「アウト・ゼア・パリス2015」の方をギフトで選んだ。
 ところがこのパリ盤が大ハズレ(>_<)  音質はめっちゃ不安定やしチャットはガンガン拾ってるしで(←よりにもよって「ミッシェル」の最中にペチャクチャ喋るなよ、このクソ女!)、聴いてて結構ストレスが溜まるのだ。アウト・ゼア・ツアーで「ミッシェル」が聴けるのはフランス公演だけなのでコレはいかんと思い、慌てて翌週にこのマルセイユ盤をオーダーした次第。
 盤が届いて恐る恐る聴いてみるとこれが実にゆったりまったりした開放感を感じさせる気持ちの良い音で、私的には十分満足。確かにLHが標榜する “オンな音像と圧倒的なクリアネス”(笑)というのとはかなり違う音だが、このように悠揚迫らない雄大なサウンドというのも大いにアリだと思う。前回紹介したバーミンガム盤といい、このマルセイユ盤といい、ポールのポスト・ジャパン・ツアーは色んな音のオーディエンス録音盤を生み出していて、ファンとしては楽しくて仕方がない。
 ポールによるフランス語のMCは「ボンソワー」と「メルシーボクー」ぐらいしか分からないが、この数ヶ月の間ポールのカタコト日本語ばかり聴き続けてきた私にとってはかえって新鮮に響く。オーディエンスの盛り上がりもハンパなく、フランス人ってどこか乙に澄ましているというイメージを勝手に抱いていたのでこれにはちょっとビックリ。特に「ブラックバード」後半で自然発生的に湧き起こる手拍子がめっちゃエエ感じだ。もちろんフランス公演に欠かせない「ミッシェル」も文句なしに素晴らしい。ウィックスのアコーディオンが醸し出すフランス特有のエスプリがたまらんたまらん(≧▽≦)
 それともう一つ特筆すべきは「死ぬのは奴らだ」で、屋外会場ということもあって大花火大会と相成ったワケだが、まるでB29の爆撃でも始まったのかと勘違いするような(笑)凄まじい爆発音にビックリ(゜o゜) 最近武道館やドームといった屋内ライヴばかり聴いている私の耳にこの音は衝撃的だった。去年もし大阪の長居スタジアムでのライヴが実現していたらこんな感じやったんかなぁと思うと何か複雑な思いだ。次の来日公演はぜひとも屋外会場でやってもらってこのスーパー花火大会を楽しみたいものだ。
Paul McCartney - Blackbird / Here Today (Marseille Out There 2015)

Paul McCartney Marseille 2015 - Michelle

Paul McCartney Live and Let Live Marseille 05-06-2015


②Out There Oslo 2015
 6月後半に1週間ほどの短い北米レグを済ませ、次にポールが向かったのが北欧だ。7月初旬にデンマーク、ノルウェー、スウェーデンでそれぞれ1回ずつライヴを行っているのだが、その中でネット上にフルでアップされたのが7月7日にノルウェーのオスロにあるテレノール・アリーナで行われたコンサートの音源で、例によってLHがそれに目を付け音盤化したのがこの「アウト・ゼア・オスロ2015」なのだ。
 インフォによると “とてつもなくダイレクトでクリアー、海外公演録音でここまで凄いのは聴いたことが無い程で、「だったらプレスCDでリリースすれば?」と思われるのは当然であり、当初はそのつもりで「これは凄い・・・」と聴き入っていたのですが、この音源、悲しい欠点があるのです。” とのこと。その “悲しい欠点”というのが “マイクの右に派手なクラップをする人がいて、たまにそれがラウドに入ってくる” “しかもテンポがずれてる” ということで、特に「Nineteen Hundred and Eighty-Five」「I've Just Seen a Face」「We Can Work It Out」「Another Day」が酷いという。音は良いのに調子っぱずれのラウドな手拍子のせいでLHが泣く泣く(?)プレス・リリースを諦めたというこの “ギフトに最適な「訳あり」超高音質盤”... そうまで言われたら逆に聴いてみたくなるのがファン心理というものだろう。
 実際に聴いてみた感想だが、私はこの程度の手拍子なら全然気にならない。アウアウやホーホーの方が何十倍も不愉快だ。アウアウと言えば、この音源の所々に武道館と同じような “アーゥ!” が聞かれるのだが(←下に貼り付けたYouTubeで言うと41分35秒、43分25秒あたりの雄叫びなんか武道館そっくり!)、まさかわざわざノルウェーまで日本の恥を晒しに行ったのではあるまいな...(笑)
 冗談はさておき、この音は確かに魅力的だ。一言で言い表すとするなら “端正な音”。豊かな低音域とクリアーでソリッドな中高音域のバランスの取れた、派手さはないけどどっしりとした重心の低いサウンドなのだ。しかもこの日は4曲目に激レアな「グッド・デイ・サンシャイン」をやっており、「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」との連続コンボで聴けるというのもリヴォルヴァー好きの私としてはたまらなく嬉しい。更にアンコール・パート1での「アナザー・ガール」「バースデー」(←7月7日はリンゴの誕生日!)「キャント・バイ・ミー・ラヴ」という “武道館チューン3連発” にも涙ちょちょぎれる。とまぁこのように聴き所満載のこのギフト、下のYouTubeを試聴して手拍子が気にならない人は今のうちに手に入れておきましょう。
Paul Mccartney - Oslo, Norway on July 7, 2015 (Full Show - Audio)
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ポールの2015 UKツアー特集② ~Birmingham & Liverpool~

2015-07-27 | Paul McCartney
 今朝会社に出勤すると、去年生協でポールのチケットを取って下さった同僚のH姐さんが「昨日テレビで世界水泳観てたらどっかの国のチームがビートルズ・メドレーで演技してたで。」と教えて下さった。ビートルズ・メドレーでシンクロナイズド・スイミング??? これは絶対に観なアカンと思いネットで色々調べ、ついに見つけたのがコレ。ということで今日はポールに行く前にまずはこの映像↓からご覧下さい。
2015 World Synchronized Swimming Championships. Free combination. Preliminary. Mexico


 いきなり画面に大写しになったビートルズ・ロゴやド派手なユニオン・ジャックをあしらった水着の背中に思わず身を乗り出してしまうが、これはシンクロ・フリー・コンビネーション予選でのメキシコ・チームのパフォーマンス。審査員が居並ぶプールに響き渡る「抱きしめたい」のイントロがビートルズ・ファンとしてはタマランのだが、選手もノリノリで何かめっちゃ楽しそうだ。ハンド・クラッピングを脚ワザで表現するアイデアには唸ってしまうし、躍動感に満ちた「シー・ラヴズ・ユー」や疾走感溢れる「ヘルプ」に合わせたキレの良い動き、「オブラディ・オブラダ」での見事なフィニッシュにも大コーフンだ(^o^)丿 元々メキシコは好きな国だったが、これを見てメキシコへの好感度が更に大幅アップした(笑) シンクロ・メキシコチーム、応援するで!!!
 それではここから本題のポール UKツアー特集パート2、今回はバーミンガムとリヴァプールです。

①Out There Birmingham 2015
 今回の同時リリースされた4作の中で一番楽しみにしていたのが5月27日にバーミンガムのバークレイカード・アリーナで行われたライヴの模様を収録した「アウト・ゼア・バーミンガム2015」だ。というのもLHのインフォが “まず最初に断言させていただきますが、このオーディエンス録音の音質…それはもう掛け値なしに最高です。イギリスから直送された音源を再生すると同時に、当店スタッフがあまりの高音質ぶりを前にして、思わずお互いの顔を見合わせてしまいました。それほど衝撃的、かつ別格のクオリティ。” “何しろ信じられないほどにオンな音像。さらには抜群のクリアネス。” “ウルトラクリアーかつオンで迫力たっぷりな録音。” “とにかく凄い音質です!” とまぁ呆れるくらいに自信満々なのだ。ブートのインフォはメーカーのくせを見抜いて行間を読むのが楽しいのだが、この盤に関してはインフォを読んですぐに “当たり” だと直感した。
 届いた4作品の内、いの一番にこの盤をターンテーブルに乗せ、プレイボタンを押して一体どんな音がスピーカーから飛び出してくるか身構えたのだが、出てきた音は私の想像をも遥かに超えた凄い音だった。音の表面がピカピカに磨かれているのに贅肉ゼロ。まるで瑠璃のようだ。私もこの1年半というものポールのブートをかなりの枚数聴いてきたが、オーディエンス録音盤でこんな音は初めて聴いた。録音されたのは “アリーナ8列目からでしかも会場のスピーカーの近くと言う絶好のポジション” とのことだが、いやはやまったく、こんな音に出会えるとは思わなんだ。大袈裟ではなく、これはまさに録音の奇跡。ウチのオーディオシステムでの音質満足度は10点満点中10点だ(^o^)丿
 セトリに関しては「ロンドン2デイズ」の後だけに目新しさはないが、兎にも角にも音が抜群に良いので “ながら聴き” をしていてもいつの間にか引き込まれてしまう。「メイビー・アイム・アメイズド」など、途中、声がキツそうなパートもあるが、何とか後半持ち直すあたりはさすがポール。半世紀以上にわたって第一線で歌い続けてきた喉は伊達じゃないのだ。
Paul McCartney - Maybe I'm Amazed - Birmingham 2015

Paul McCartney "I Saw Her Standing There" Birmingham 27 May 2015


 このバーミンガム公演盤はボーナスディスクも一味違う素晴らしさで、ただYouTube映像を集めただけの他の盤とは異なり、貴重なサウンドチェックの模様が46分にわたって収められているのだ。特にオーディエンスのリクエストに応えて歌った「ホープ・オブ・デリバランス」(←この曲めっちゃ好き!!!)とそれに続いて歌ったレア曲「アイル・フォロー・ザ・サン」が嬉しかった。この2曲は是非とも次の日本公演で聴きたいなー
 それと一つ気になったのはポールがピアノに移動したあたりからひっきりなしにペットボトルの水を飲んでいたことで、3時間近いライヴで本編でも観客の前では決して水を口にしないことで有名なポールにしては非常に珍しい光景だ。ひょっとするとこの時点で既に喉の状態があまり良くなかったのかもしれない。そう言えば先の日本公演でも東京ドーム初日の後半とドーム2日目は喉の調子がイマイチ良くなかったように思うのだが、ファンとしてはくれぐれも無理をしないでほしいと願うばかりだ。この人の声はそれ自体が重要無形文化財なのだから...
SOUNDCHECK - Paul McCartney in Birmingham - Out There Tour 2015


②Out There Liverpool 2015
 続く5月28日に故郷リヴァプールのエコー・アリーナで行われたライヴの模様を収録した「アウト・ゼア・リヴァプール2015」は今回の4作品中で唯一異なるテーパーによる録音で、それも日本からリヴァプールまで追っかけてVIP席からのレコーディングを敢行したという猛者らしい。そのせいか、音質的には「ロンドン1stナイト」に低音の迫力の点でわずかに及ばないものの、オーディエンス録音としては十分すぎるクオリティーで、音質満足度は10点満点中8.5点を献上したい。
 この盤の一番のメリットは、ヘタレな音質の「ロンドン2ndナイト」でしか聞けなかった「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」と「アイム・ルッキング・スルー・ユー」が良い音で聴けること。やっぱり良い演奏はしっかりとした芯のある音で聴いてこそ更にその魅力が増すというものだ(^.^)  「ラム・オン」を演ってくれなかったのは残念だが、それを補って余りある「ペニー・レイン」がディスク4のサウンドチェックで聴けるのも嬉しい。コレを聴くとあの武道館サウンドチェックを思い出してしまうが、せっかくのリヴァプール公演なのだからライヴ本編で「ペニー・レイン」と「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」の両方歌えば凄いことになったかもしれない。
 それと、「キャント・バイ・ミー・ラヴ」の前に行われた「ウエディング・プロポーザル・オン・ステージ」ではミリタリー・ルックの男性がステージに登場してビートルズ博物館に勤める彼女にプロポーズしたのだが、会場の雰囲気がまた実にアットホームでエエ感じ。リヴァプールはビートルズ・ファンの聖地やもんね。それにしてもポールに立ち会ってもらえるなんて、このカップルはファン冥利に尽きますな...(≧▽≦)
Out There - Paul McCartney at the Echo Arena, Liverpool 2015

Wedding Proposal on stage Paul McCartney Liverpool Echo Arena May 28th 2015

 
【おまけ】去年のスカパー放送を思い出させるバックステージの様子。2分11秒の「マタ アイマショウ」を聞き逃さぬように!!!
Paul McCartney - Backstage @Echo Arena in Liverpool (Meerkat live)
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ポールの 2015 UKツアー特集① ~London 2 Days~

2015-07-20 | Paul McCartney
 LHのHPで新作情報が更新される火曜の晩は私にとって1週間の内で最もワクワクドキドキする時間帯である。特にポール日本公演からの2~3ヶ月というのは毎週毎週汲めども尽きぬ物欲との戦いなのだが、ビートルズ関連のブツに関してはどうしても物欲が理性を上回るので、諭吉さんが一人二人と出ていくことになる。だから目ぼしい新作が一気に何枚もリリースされるとめっちゃ嬉しい反面、こんなことしてたらちょっとヤバいかも... という複雑な気持ちになるのだ。まぁそれでも買いますけど...(笑)
 私が武道館祭りの真っ最中だった先月の半ば頃、LHからいきなりポールのUKツアーのブートが4枚同時にリリースされた。6月に入って LHはゼップやストーンズに軸足を移したものと思い込み “どーせもうポールの新作はないやろ...” と油断していた私は “4枚同時リリース” という暴挙(笑)に不意打ちを食らった格好で大いに焦ったが、同じアウト・ゼア・ツアーとは言え、セトリが日本ツアーとは微妙に異なるということもあり、購入を予定していた他の盤を後回しにしてとりあえず4枚共押さえることにした。他レーベルとは違い、LHのポールは一旦売り切れてしまうと手に入れるのが難しくなるからだ。そういうワケで、今日はUKツアー特集パート1だ。

①Out There London 2015 1st Night
 ポールの母国凱旋公演の幕開けは5月23日のO2アリーナだ。インフォによると録音位置はポールの子供たちやお孫さんたちと同じ列の VIP エリアとのことで、下品な叫び声やウザいチャットの無い恵まれた録音環境の下でレコーディングされたとのこと。実際に聴いてみると確かに不快なオーディエンス・ノイズはほぼ無いに等しい。しかしそれ以上に素晴らしいのがその音質で、どっしりとした低音に支えられた迫力満点のサウンドはT&Jを彷彿とさせるクオリティーの高さだ。オーディエンス録音のブートとしては申し分のない音ではないかとと思う。
 セトリに関しては、何と言っても世界初公開の「テンポラリー・セクレタリー」に注目だ。この単調なメロディーの繰り返しによるポール流テクノ・ミュージックをライヴで演るという発想も大胆だが、私的には60'sビートルズや70'sウイングス以外のレパートリーがセトリに加わったことを素直に喜びたい。今回の武道館公演でも明らかになったように、ファンはまだライヴで聴いたことのない曲を演ってほしいのだ。そういう意味でもこの曲がセットインした意味は大きいと思う。それにしてもO2アリーナに響き渡るテクノなイントロはインパクトあるなぁ...(^.^)
Paul McCartney Temporary Secretary LONDON 02 May 23, 2015 REMASTER THE BEST


 武道館で “セカイハツコウカイ” となった「アナザー・ガール」は、この日がイギリスでのお披露目というポールの MC を聞いても実際に曲が始まってもオーディエンスの反応はあの武道館の熱狂には遠く及ばない。日本のファンの熱狂度は今やイギリスやアメリカを遥かに凌いでいると思う。さすがに南米のファンのお祭り騒ぎには負けるが...(笑)
Paul McCartney - Another Girl (London May 23rd 2015)


 アンコールの「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」にゲストとして登場したデイヴ・グロールのロックンロール・スピリット溢れる全身全霊パフォーマンスも実にエエ感じで、ポールもデイヴとの共演を心から楽しんでいるようだ。この人、2008年の「ザ・リヴァプール・サウンド」コンサートといい、2009年のグラミー授賞式といい、ホンマにポールと仲エエなぁ...(^.^)
PAUL MCCARTNEY & DAVE GROHL 'I SAW HER STANDING THERE' @ 02 LONDON 2015


②Out There London 2015 2nd Night
 O2アリーナ2日目に当たる5月24日のライヴ盤は “初日と同じテーパーによるアリーナ前方からの録音” にもかかわらず、何故か “思いのほか大人しい、ディスタントな音像(←こんな時だけ英語で誤魔化さんとハッキリ「遠い」って書けよ...)” で “少なからずウイーク・ポイントになってしまうかもしれません” と、何でもかんでも自画自賛が常のLHインフォにしてはえらく控え目な書きようだ。一体どれくらい遠いのか興味津々で聴いてみると、やっぱりめっちゃ遠かった(笑) LH自ら “70'sカセットデンスケ録音みたいな音” とのたもうたギフト盤「アナザー・ガール・イン・ブドーカン」に更にエコーをかけたような音壁サウンドで、最近オンな音ばかり聴き慣れていたせいか、かなり物足りなく感じてしまう。 “幸いなことにバランスやクリアネスは尻上がりに向上し...” とあるが、いくらクリアーでも芯の無い音はダメだ。①の「1st Night」の音質評価を10点満点中9点とすれば、この②「2nd Night」はせいぜい5~6点がいいところだろう。
 しかしこの日のセトリは UK 4公演中で一番と言っもいいもので、インフォの “録音の弱さを補って余りある” というのは言い過ぎにしても、ファンなら一聴の価値はあると思う。まずは何と言っても久々の「アイム・ルッキング・スルー・ユー」である。私の記憶が正しければ2012年のオン・ザ・ラン・ツアー以来のセトリ返り咲きということになるが、「ラバー・ソウル」大好き人間の私としてはこの曲は京セラドームで聴きたかった...(>_<) 
Paul McCartney @ O2 Arena - 24.5.2015 - I'm Looking Through You


 「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」のセトリ復活には、おそらく武道館でのオーディエンスの反応の良さも一役買っているのだろう。①でも書いたが、ライヴでのニュー・レパートリーへの渇望はドーム公演と武道館公演を観比べれば一目瞭然だ。そういう意味ではあの武道館公演は日本人としての思い入れを抜きにしてもアウト・ゼア・ツアーの中でエポックメイキングな位置付けになるのではないかと思う。
 又、その場のお客さんのリクエストに応えて即興で歌った「ラム・オン」も素晴らしい。これは私の超愛聴曲なだけにこの日のオーディエンスが本当に羨ましい限りだ。サウンドチェックではかなり頻繁に演っている曲なので次回の来日に期待することにしよう。
Paul McCartney @ O2 Arena - 24.5.2015 - Got To Get You Into My Life

PAUL MCCARTNEY - LONDON THE O2 ARENA - RAM ON - MAY 24rd, 2015
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スカパーのポール武道館ライヴ、チョー サイコー\(^o^)/

2015-07-13 | Paul McCartney
 昨日、待ちに待ったポールの武道館公演がスカパーで放送された。事前に放送時間が二転三転したこともあってどのような放送形態になるのか一抹の不安があったが、くだらないゲストを呼んでスタジオ・トークを入れたりといったウザい演出は一切なく、シンプルにライヴ・ステージの模様だけを全曲放送するという理想的な形に落ち着いた(^o^)丿 さすがはスカパー、アホバカ地上波とは違うのだ。
 放送を観ての感想としてはとにかく映像がキレイだったということ。ウチはもちろん4Kなどという最先端システムではないが、普通のハイビジョン・テレビでも十分すぎるほど素晴らしい画質で、去年スカパー・ポールのために大騒ぎして(笑)液晶テレビを買った甲斐があったというものだ。ブートの隠し撮りではどうしても照明の関係でポールの顔が白光りしてしまうシーンが多かったのだが、さすがはテレビ放送のプロショットだけあって、ポールの細かい表情までハッキリと分かるのが何よりも嬉しかったし、ハイビジョンの大画面で見る「レット・イット・ビー」での光の演出も圧巻の美しさだった。
 カメラワークも絶妙で、ポールのアップを中心にしながら様々なアングルからのショットを効果的に織り交ぜているので(←特にポールの左後方から客席全体を捉えたショットは壮観!)、観ていて画面にグイグイ引き込まれてしまう。武道館ではドームのようにバックのスクリーンを映す必要がなかったためにステージ上にフォーカスできたことがかえって幸いしたのかもしれない。
 又、要所要所で各メンバーの見せ場もキッチリと映しているあたりもファンとしては嬉しい。特にラスティがいっぱい映っており、お約束のダックウォークやピート・タウンゼンドばりの風車奏法を始め、「死ぬのは奴らだ」で倒れたシーンのアップなど、ポールに次ぐ “準主役級” の扱いだったのが印象的。それと、どういうワケかジョン・ハメルもいっぱい映ってて(笑)私的にはめっちゃ嬉しかった。このオッチャン結構好きなんですわ。
 編集に関しては、オーディエンスを映すのをもっと減らしてほしかった気もするが(←特に放送の前半部でカメラ目線の同じ観客ばかり映しているような気がした...)、それ以外は文句なしに素晴らしく、さすがはプロの仕事という感じ。これを見た後では Nanker や Innergroove のマルチカメラ・ミックスなんて児戯に等しいと言わざるを得ない。
 それと例の「NEW」のやり直しのシーンだが、全神経を目と耳に集中して観ていたにもかかわらず、どこをどう編集したのか全く分からなかった(>_<)  ホンマに何もなかったかのように曲が終わってしまったので何か狐につままれたような感じだ。映像を巧く編集して音声だけを差し替えたのだろうか???  そう言えばポールの MC には全て字幕が付いているのに「NEW」が終わった後の “Yeah, got it right.(うまくいったよ)” だけは当然ながらスルーされていた(笑)
 音声の方は問答無用の SBD ということで良いに決まっているのだが、中でもグランドピアノの鳴りがめっちゃリアルでビックリしたし、アコギの音も実に艶やかで粒立ちの良いサウンドで、このあたりはさすが SBD という感じ(≧▽≦)  それと、一部の曲でヴォーカルの差し替えが行われていたようで、私は3曲目の「オール・マイ・ラヴィング」で少し違和感を感じたのだが、他にも「メイビー・アイム・アメイズド」や「アナザー・デイ」、「NEW」、「レット・イット・ビー」あたりも怪しいとにらんでいる(←確信はないが...)。ただ、このライヴ音声はアビーロード・スタジオで丹念にマスタリングされているはずなので差し替えではなく単に補正しただけなのかもしれないが、まぁどちらにせよ実際に武道館で鳴っていた音とは少々違っていて当然であり、ヴォーカルの差し替えがあろうとなかろうと私にとっては大した問題ではない。アウアウのようなアタマのおかしい連中に邪魔されることなくポールのライヴを良い音で気持ちよく聴けることが何よりも重要なのだ。そう言えば一連のピアノ・ナンバーを終えてアコースティック・セットに移ろうとしていたポールに対してしつこいぐらいに “スバラシイ!” を連呼しているウザい男(←多分ポールに “スバラシイ!” と反応して欲しかったのだろうが、ハッキリ言ってバカ丸出し)を無視するかのようにポールが “チョー サイコー!” って言ったシーンは笑えた。
 今回のスカパー放送で、クリアーかつオンな音で、しかも不快なオーディエンス・ノイズも極小と、まさに良いことだらけの SBD 音源が手に入ったワケだが、だからと言って EV のマトリクス音源盤や様々な優秀オーディエンス録音盤が不要になることは絶対にあり得ない。「NEW」のミスを編集・修正した時点で既に別モノになっているワケだし、「アナザー・ガール」や「ダンス・トゥナイト」が始まった瞬間の怒涛のような大歓声(←これホンマに感動的!!!)や「死ぬのは奴らだ」でのパイロの生々しい爆発音など、SBD が逆立ちしてもかなわない魅力がオーディエンス録音盤にはあるからだ。これからは SBD、IEM、そして AUD と3種類の録音で武道館ライヴを楽しめると思うと嬉しくって仕方がない(^o^)丿
 さて、今後の興味はこの放送を元にして雨後のタケノコのように様々なレーベルからリリースされるであろうサウンドボード CD やプロショット BD-R へと移っていくが、私としては2013年の経験から、ルビジウムマスター CD + BD-R セットの1点狙いで行こうと思う。それまでは gA 製1000円プレス CD や LH 製 DVD の誘惑に負けないように注意しなければ...  ルビ ルビ ルビ ルビ ルビジウム~♪ で武道館祭りも大団円を迎えるというワケだ(^.^)  最後に、改めましてスカパーさま、素晴らしい番組をありがとうございましたm(__)m
Paul McCartney - Live Out There Tour Tokyo Japan 2015 [HD FULL]
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Out There Japan Tour 2015 Tokyo 28 [ピカデリーDVD] / Paul McCartney

2015-07-07 | Paul McCartney
 ポールの武道館関連ブート CD は色んなメーカーからここぞとばかりにリリースが相次ぎ、まさに百花繚乱の様相を呈しているが、その一方で映像アイテムは数えるほどしか出ていない。まぁ7月にスカパーの放送があることが分かっているだけに “中途半端なオーディエンス・ショットを出してもしゃあない” ということなのかもしれないが、そんな中で武道館ライヴDVDを立て続けに2種類も出してくれたのがご存じピカデリー・サーカス・レーベルである。前にも書いたようにこのレーベルに関しては賛否両論喧しいが、今回のポールのジャパン・ツアー全公演の CD と DVD の両方を出しているのはここだけである。さすがは自称 “ポールのスペシャリスト”... まさにユウゲンジッコウではないか!
 ピカデリーは5月初めの時点で2種類の DVD リリースを HP 上でアナウンスしていた。1枚は以前取り上げた本編CDにオマケとして付いていた DVD で数曲未収録、もう1枚が今日取り上げるフル・コンサート収録の “完全版” DVD だ。もちろん両方買いたいのはヤマヤマだったが、この DVD が出た5月末というのは LH から武道館 SC は出るわ、ドーム関係も押さえなアカンわ、EV ボックスも予約せなアカンわで、限られた予算の中でやり繰りしながらブートを買っている私としては同じレーベルから出る DVD 2種類を同時に買うというワケにはいかなかった。直感的にオマケ DVD の方が良さそうな気がしたのだが(←収録曲数が少ない上に映像的にも負けてたら出す意味ないでしょ?)、全曲収録という謳い文句には勝てず、私はとりあえずこの “完全版” の方を先に買うことにした。
 実際に観てみて良かった点としては、まず第一に手ブレ・ピンボケがほとんど無く非常に安定した映像だということ。興奮のるつぼと化したアリーナ席とは違い、スタンド席からの撮影ということで撮影しやすかったのかもしれないが、手ブレが気になる人にとっては重要なポイントだろう。
 映像と音のマッチングは文句ナシに素晴らしい。音声は例によってピカデリーの CD の音をシンクロさせてあるようだが、これが映像とめちゃくちゃ合っていてビックリ。ピカデリーの音作りは CD 単体で聴くよりも映像とセットで聴いた時の方が合うというのが面白いが(←多分リビングのソニー製スピーカーとの相性が抜群なのだろう...)、オーディエンス・ノイズすら臨場感アップに一役買っている感があり、音量を上げていけば武道館ライヴが目と耳で疑似体験できるのだ。又、ピカデリーのロゴマークは右下に目立たないように映っているので EV の US シリーズ BD-R みたいにロゴが邪魔して煩わしく感じることも無い。
 この DVD のコンセプトはステージ・ショット、要するに “ステージ全体をカバー” することだったようで、日頃ポールしか見ていない私としては「フォクシー・レディ」でのエイブたん全身全霊のプレイや「死ぬのは奴らだ」で楽しそうにグルグル回るブライアンなど、それまで気付かなかったメンバーの様子が観れたのは面白かったし、もちろんラスティのお約束ムーヴの数々がバッチリ観れるのもいい。相変わらずウィックスだけは目立たへんけど、いかにも “職人” っていう感じで渋いわ...(-。-)y-゜゜゜
 しかしモノには限度というものがあって、ステージ・ショットの “引いた” 映像が中心のこの DVD ではイマイチ興奮しないというのが正直なところ。要するに私が不満なのはポールのアップがあまりにも少なすぎるということだ。スタンド席からの撮影ということで仕方ない部分もあるかもしれないが、撮ろうと思えば下のようなクロース・ショットがちゃーんと撮れるのだ。 “あっ、寄った(^o^)丿” と思ったらすぐに “引いて” しまうようでは興醒めだ。
 しかもこの撮影者は曲が終わるたびにズームを駆使して客席やら天井やら(!)を撮っており、観ている方としてはストレスを感じざるを得ない。何故もっとどっしりと構えてポールのアップを撮り続けないのだろう? ファンはポールを観たいのであって客席(←「レット・イット・ビー」や「ヘイ・ジュード」の時の “光の演出” だけでエエやん...)や日の丸(←1回映したら十分です...)を観るために DVD を買うワケではないのだ。そういう意味で、少々の手ブレがあろうが曲数が少なかろうが、同レーベルから出たオマケ DVD の、アリーナ席からポールの表情までをも子細に捉えたクロース・ショットの方を繰り返し見てしまう。ということでこの完全版も悪くはないのだが、もしどちらか一方を選べと言われれば、今回のピカデリー同門対決は CD とセットで出たバージョンの方に軍配を上げたい。

↓ここから撮って...


↓ここまで迫れるというのに...


↓何故ここまで引くかなぁ...


↓困ったモンだ...

武道館ライヴのギフト盤・ボーナス盤特集④ / Paul McCartney

2015-07-03 | Paul McCartney
 武道館ライヴのギフト盤・ボーナス盤特集の最終回はLHが満を持してプレス・リリースした(はずの)“絶叫マシン”盤に付属していたボーナスDVD-R「Budokan 2015 The Video」だ。LH は YouTube から良質な映像をピックアップして一つの映像作品に仕立て上げるという、まるでノーザン・ディスクみたいなやり方でボーナス盤をせっせと作り続けているが、本作品はそんな中でも断トツのベスト!と言い切れる1枚なのだ。
 実を言うと、“YouTubeにアップされていた武道館映像で、品質的にもベスト思われる、ポールを真正面から捉えた高度なクローズアップ映像を独自編集。” というインフォを読んで、5月の初めにこのブログで武道館追体験特集をやった時に見つけた映像の中で他を圧倒して素晴らしかった porsche tetsuさんという方の動画が真っ先に頭に浮かんだ。 “一曲目のCan't Buy Me Loveこそ画面のフォーカスの設定に時間がかかった様子が伺えますが、残りの曲は画面の揺れも最小でああり、何と言っても終始アップで拝めるポール中心の映像が素晴らしく...” という説明を読んで間違いないと思って確認したら案の定ビンゴ!だった。パソコンに疎くて自力では YouTube 映像を DVD 化することすら出来ない私は、ブログに貼り付けながら “コレがDVDになったらリビングの大画面で見れるのになぁ...” と思っていたので、それがタダで手に入ってめっちゃ嬉しかった(^.^) 
 私は可能な限り市場に出ている武道館 DVD・ブルーレイは買うようにしているが、残念ながらこのポルシェ・テツさんの映像を超えるものにはまだ出会ったことがない。万が一あるとすれば、1曲のみながらオマケ DVD の超接近映像で度肝を抜かれた SNE ぐらいだろうが(←あれで全曲出してくれたら凄いのに... もちろんスカパーのプロショットは別です)、ピカデリーにも Nanker にも出来なかった、まるでプロショットのような真正面からの美麗映像がチョースバラシイ(^o^)丿  まさに “現時点で最良の武道館映像タイトルです。” という看板に偽りナシの逸品だ。音質も驚くほど素晴らしく、私は本体の “絶叫マシン” 盤よりもこのボーナス盤 DVD-R の方を溺愛している。それにしてもこんなハイレベルな映像集がオマケで付いてくるんやから笑いが止まりませんな。
Paul McCartney「Can't Buy Me Love」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館キャント・バイ・ミー・ラヴ

Paul McCartney「All My Loving 」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館オール・マイ・ラヴィング

Paul McCartney「One After 909」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館ワンアフター909

Paul McCartney「Blackbird」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館ブラックバード

Paul McCartney「We Can Work It Out 」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館「恋を抱きしめよう」

Paul McCartney「Another Girl 」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館アナザーガール

Paul McCartney「Got to Get You into My Life」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館ゴット・トゥ・ゲット~

Paul McCartney「Back in the U.S.S.R」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館バック・イン・ザ・U.S.S.R.

Paul McCartney「Yesterday」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館イエスタデイ

Paul McCartney「Birthday」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館バースデー
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武道館ライヴのギフト盤・ボーナス盤特集③ / Paul McCartney

2015-06-29 | Paul McCartney
 スカパーの放送までいよいよ2週間を切り、ネットのあちこちでスカパーの “ポール@武道館” 広告を見かけるようになった。何故か放送終了時間が変更になり、2時間番組ということで完全ノーカット放送の願いは潰えた感があるが、今はあれこれ余計なことは考えずに本放送を待ちたいと思う。
スカパー!ポールマッカートニー日本武道館公演30秒


 サウンドボードのクリアーな音で聞く “ヒサシブリ ブドーカン!”、ク~ッ、たまらんなぁ... ということでスカパーのプロショット映像も大いに楽しみなのだが、その一方でオーディエンス・ショットのブートも数種類出回っている。今日はそんな中からLH製のギフト・ボーナス盤 DVD-R を取り上げようと思う。

①Out There Tokyo 2015
 同一撮影者による東京2日目と武道館のオーディエンス・ショット映像をカップリングして5月の初めに LH が出したギフト DVD-R。 “その手慣れたクオリティの高さは本盤でも実証済み。前方を遮るものはほぼなしの状態で、ストレスなく全編を楽しんでいただけます。” というインフォに騙され(笑)大いなる期待と共に観始めたのだが、画面の上端でポールの顔が切れまくっててストレス溜まるし(←つまり “首下ポール” 状態ね...)、たまに顔が映ってもカメラが光に弱いのかポールの顔が白っぽくなってノッペラボウみたいに見えるしでガッカリ(ー_ー)  運の悪いことに今回のポール・ブート祭りで一番最初に手に入れたアイテムがコレだったので、出鼻をくじかれた感じがしてめっちゃ凹んだ。一昔前なら “見れるだけ幸せ” だっただろうが、YouTube にアップされる映像のレベルの高さを考えるとこちらの期待値もついつい上がってしまう。東京2日目の方も超至近距離からの撮影ながら顔面白光りは同じで(←この位置からプロが撮ったら凄いショットになりそう...)、ギフトなんて所詮タダでもらえるオマケなんやという厳然たる事実を再認識させられた。内容は二の次で “とにかく集める” ことに固執する筋金入りコレクター向けのアイテムだ。

②Highlights At Budokan
 LH 製の T&J 盤「LEGENDARY NIGHT AT BUDOKAN」にボーナスDVD-Rとして付属していたのがこの「Highlights At Budokan」だ。内容はビデオ #1とビデオ #2の2部構成になっており、どちらも You Tube にアップされていた2種類の映像にチャプターを付けてそのまま収録したものだ。
 まずビデオ #1は約14分間にわたる武道館ライヴ・ダイジェスト映像になっており、武道館入りするポールの姿から始まり、開演前の武道館内の様子、そして本編ライヴを1曲20秒程度ながらも(←何故か「アイヴ・ジャスト・シーン・ア・フェイス」だけは1曲丸ごと入ってる... よっぽど好きなのかな?)19曲も収録。1曲1曲が短いのは残念だが、アリーナ席からの実に見事なクロース・ショットは “チョー スバラシイ!” の一言に尽きる。この VAL JAPAN さんの高品位な映像でフル・コンサート見てみたいなぁと思わせるビデオ #1だ。
ポール・マッカートニー 日本武道館 2015年4月28日 Paul McCartney LIVE at BUDOKAN 2015


 ビデオ #2はステージ後方からのショットで、ギターやピアノを弾くポールの後姿を捉えた実に珍しい映像集だ。他の曲と違い真っ暗な客席に向かって歌う「ブラックバード」も新鮮だが、このアングルからの利点を活かして「レット・イット・ビー」で一斉に観客全員のリストバンド型ライトが点灯して会場全体にが仄かな光に包まれたシーンを克明に記録したところが何と言っても素晴らしい。この感動的な光景は何回観ても鳥肌立つわ... (≧▽≦) そんなサプライズ演出に感激したポールの MC もこのアングルから見ると実にリアルに響く。同じ光のマジックで会場に日の丸とユニオンジャックが浮かび上がった「ヘイ・ジュード」(12:25あたり)やラストの「アビー・ロード・メドレー」での異様なまでの盛り上がりも圧巻の一言! この位置からの撮影ならではの貴重なシーンの連続に時の経つのも忘れて画面に見入ってしまうこと間違いなし。これを撮った kuromegu1さんと、それをちゃーんと見つけて商品化した LH に感謝感謝だ。ただ、客席とステージの間に数メートルおきに座っとる青いジャンパーのキョードー社員どもは目障り以外の何物でもなく、キョードー嫌いの私はその背中を見てるだけでイラッとくる。この感動的な武道館ライヴ映像の中で唯一の汚点がこいつらだ。

【訂正】青いジャンパーはキョードーではなくシミズオクトという会社のイベント・スタッフだというご指摘をいただいたので訂正します。でも坊主憎けりゃ袈裟まで憎いということわざもあるように、私としては “キョードー憎けりゃオクトまで憎い”(笑)という感じでやっぱりムカつきますわ。

Can't Buy Me Love / Save Us / All My Loving- Paul McCartney Live in Budokan ポール・マッカートニー 日本武道館

Black Bird- Paul McCartney Live in Budokan ポール・マッカートニー 日本武道館

Another Girl - Paul McCartney Live in Budokan ポール・マッカートニー 日本武道館

Let It Be - Paul McCartney Live in Budokan ポール・マッカートニー 日本武道館

Let It Be / Live And Let Die / Hey Jude - Paul McCartney Live in Budokan ポール・マッカートニー 日本武道館

Yesterday / Birthday- Paul McCartney Live in Budokan ポール・マッカートニー 日本武道館

Golden Slumbers / Carry That Weight / The End- Paul McCartney Live in Budokan ポール・マッカートニー 日本武道館
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武道館ライヴのギフト盤・ボーナス盤特集② / Paul McCartney

2015-06-25 | Paul McCartney
①Another Girl in Budokan
 5月末に出た武道館ギフトCD-R。他にもボーナスCD-RやらDVD-Rやらで武道館関連のアイテムは色々出ていたが、意外にも純粋なギフトCD-Rとしてはこれが2枚目だ。メーカー・インフォに “録音席はアリーナD席一列目。臨場感豊かな音源で、音の明瞭度と言った点では、ステージからの距離が影響しているのか、「それなり」ではありますが、音の安定感を感じさせます。流石に曲間のポールのMCの煽りに対しての歓声ボリュームは大きめでステージからの距離を感じますが、「そういうものだ」と思って聴けば、別に気になりませんし、このポジションならではの楽しみ方が出来ると思います(MCがここまで遠いのは初でした。)「要は音が遠いんだろ?」と言われそうですが、実際、この録音ならではの良さが各所で満載。曲前のMCパートが強烈なあのYesterdayなんて本当に凄いです。主役はポールじゃなくて観客みたいになってしまっています。ウィングスが来日実現して武道館でやったライヴを当時極上音質で録音したらこんな感じで録れたのではないでしょうか。昔の公民館みたいなところでやってるライヴをカセットデンスケで録音したみたいな、実に面白い2015年録音盤。” とあったので、かなり “音が遠い” ことだけは十分に分かった。しかし “「そういうものだ」と思って聴けば、別に気になりません...” ってどんな音にも使える名言やな(笑)
 聴いてみた感想は予想通りの “遠い音” で、それ以上でもそれ以下でもない。私がこれまで目にした LH のインフォでこれほど正直に真実を語っているものは他に記憶がないと言えるほど説明通りの “音” である。ウイングス云々の記述もあるが、言われてみれば私の手持ちのクイーンの70年代来日公演のオーディエンス録音盤が確かこんな音だった。それにしても “カセットデンスケで録音したみたい” って、何ちゅー自虐的なインフォやねん(笑) LH、完全に開き直っとるな...(-。-)y-゜゜゜ しかし不思議なことに、ポールのMCはあんなに遠いのに、何故か「死ぬのは奴らだ」でのパイロの爆発音だけは結構生意気な音で録れていた。
 曲間のオーディエンス・ノイズは確かに盛大だが、曲の最中は皆さん行儀よく聴いておられるので気持ち良く音楽に浸れるのがいい(^.^)  いくら最前列を確保しても、隣にアウアウや絶叫オバサン(←終演後の断末魔が微かに入ってた...笑)がいたらそれこそ商品として使い物にならないからだ。そういう意味で、座席はイマイチながら優良オーディエンスの皆さんに恵まれたこのテーパーさんは実にラッキーだったと言えるだろう。私としては気分転換に他の盤では味わえない “ちょっと遠い席の音” を楽しめるユニークな1枚だ。
Another Girl [Another Girl in Budokan]

Live And Let Die [Another Girl in Budokan]


②One Night In A Judo Arena
 LHの「Closed Soundcheck at Budokan 2015」が一夜にして売り切れ、ヤフオクで1万円超えという凄まじい高値で取り引きされていたことは前にも書いたが、そんな市場ニーズをあのLHが指をくわえて見ているはずがない。案の定、予約完売の2週間後に同 SC の2nd edition を出してきたのだ。私は “さすがLHは上手い商売しよるなー” “1万8千円で落札した人は今頃ブチ切れとるやろなー” “今高値で入札中の人はキャンセルしたいやろなー” などと面白がっていたのだが、ボーナス盤を見て他人事と笑っていられなくなった。何と 1st edition に付いていた青っぽいジャケの “アンコール” 絶叫盤とは又違う新音源がボーナス盤として付属していたのだ。武道館音源に拘る私としては、これはエライコッチャである。
 メーカ・インフォを要約すると “新たに出現した極上高品質オーディエンス録音。「CLOSED SOUNDCHECK AT BUDOKAN」テーパーから提供された高音質オリジナル音源で、録音ポジションはアリーナ後方席ながら、ドイツ製の優れたマイクシステムを使ってるだけあって、音の整合性やクールな響き、パンチの効いたクリアネスは実に素晴らしく、曲によっては途中で手拍子も聞こえますが、とにかく音が自然で美しく、聴いていて不快になることは全くありません。高低のバランス、音の抜けの良さは圧倒的に素晴らしく、音の濁りが全くないクリアーで広がりがあるサウンド。「BUDOKAN 2014」「OUT THERE LIVE AT BUDOKAN」と肩を並べるばかりか、それらを凌駕するようなまさに最高クラスの作品です。音のクリアネス、端正な音像、安定感と、どれをとっても驚くほどに素晴らしく、これならプレスCDでのリリースも問題無しのハイ・クオリティ。これこそがベスト武道館音源なのかも・・・注目の新ソースです” とのこと。
 ブートはとにかく宣伝文句の行間を読んで総合的に判断するしかない。このボーナス盤に関しては直観的に “当たり” だと感じたのだが、“でもなぁ、もう既に 1st edition を持ってるからこのボーナス盤目当てに 2nd edition を買うのもなぁ...” と一瞬迷いが生じた。まぁ常識的に考えればオマケ目当てで同じ盤を2枚買うなどありえない。だがしかし、駄菓子菓子、ビートルズに関する限り私に常識は通用しない。 ”迷ったら買え!” というのが家訓なのであり座右の銘なのであり、信条であるからして、“買うのを躊躇って後から後悔” するなど絶対に許されないのだ。そもそもコレをボーナス盤と考えるから話がややこしくなるのであって、2,800円の武道館新音源「One Night In A Judo Arena」にSCの予備がタダで付いてくると考えれば全く問題ない。私はこのロジックに従って即買いを決めた。
 で、結果的にその判断は大正解(^.^)  予想通りの、いや予想以上の高音質盤である。音に芯があって抜けが良く、ヴォーカルも演奏も明瞭そのもので、一言でいうと私の大好きな音なのだ。同じ愛聴盤でも、EVボックスのマトリクス音源が高級料理店のA級グルメの味なのに対し、この「ジュードー・アリーナ」の音はまさに “安くて美味しい” B級グルメの味といった感じで、音圧・バランス・クリアネスのどれをとっても文句ナシの、日常聴きに相応しい1枚だ。
 オーディエンス・ノイズに関しては、“ポール!” と叫ぶ男どもの声が少なからず入ってはいるが、あくまでも普通の歓声の範疇であり、アウアウのような気持ち悪さ・不快さはない。それと、人によってはズレた手拍子が目立って聞こえるのが気になるかもしれないが、私はこの程度ならOKだ。とにかく個人的には LH系武道館ブートの中で最も気に入っている1枚で、プレスされた “絶叫マシン” 盤よりも絶対にこっちの方が上だと思う。特にパイロの爆発音なんかはリスニングルームで大砲をぶっ放してるのかと思えるぐらいの凄まじさで、EV ボックスを軽く凌駕するド迫力(≧▽≦) ホンマにこれがボーナス盤でエエんかいな?
Another Girl [one night in a judo arena]

Live And Let Die [one night in a judo arena]
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武道館ライヴのギフト盤・ボーナス盤特集① / Paul McCartney

2015-06-21 | Paul McCartney
 EVのボックスがリリースされて、ポールの武道館ライヴも各メーカーから出尽くした感がある。SBD並みのリアリティーを誇るEVを始め、腹にズンズンくる重低音がたまらないT&J、溌剌とした音作りで抜群のコスパを誇るgA、臨場感溢れる音空間が楽しめるピカデリーなど、それぞれに他の盤に無い特徴があって実に楽しい。録音場所が違うオーディエンス録音盤が10種類あればそれはすなわち10通りの音が存在するということであり、、私はちょうど女性がその日に着ていく服を選ぶような感覚で “今日は gA聴いて元気になろか...” とか “久しぶりに絶叫マシン女(笑)聴いて笑わしてもらおか...” という感じでその時の気分によって武道館ブートを取っ替え引っ替えしながら楽しんでいる。
 しかしそんな中で盲点というか、あまり話題には上らないけれど無視できない存在のブートがある。LHが “自社レーベルの盤を2枚買えばプレゼント!” という名目で出している「ギフト盤」、そして “(新作の)初回ナンバー入りステッカー付きに限り、特別に付属致します” という謳い文句でコレクターを誘惑する「ボーナス盤」がそれだ。私は基本的に貧乏性なのでこの手の “おまけ” には人一倍弱く、ギフト目当てでブートを買ったことも少なくない。グリコのおまけや仮面ライダー・カード目当てでお菓子を買っていた子供の頃と全く同じ感覚だ。
 このギフト盤というヤツ、タダということで軽く見られがちであるが、中には結構な掘り出し物があるのでコレクターは要注意だ。もちろん “何じゃいコレは...(・o・)” というようなブツも無くはないが、そんな玉石混交ギフトの中で “玉” に出会った時の嬉しさはハンパない。特に今回のポール日本公演関連のギフトはレベルが高く、中には “何でコレをプレスで出さへんのやろ?” と首をかしげたくなるような逸品も何枚か手に入れた。ということで今日は武道館音源のLH製ギフト / ボーナス盤の特集だ。

①Budokan 2015 (ソフトな音像の黒ギフト盤)
 5月の初めに登場した武道館ギフトCD-R第1号。メーカー・インフォによると “理想的な音の質感と極上の音の安定感。クラシック・ロック・ファンが最も好むと思われる、耳に優しいウォーム&ジェントルなサウンド” で、“録音の座席ポジションはE2ブロックの3列目。アリーナ後方ということで、程良い距離感と煩すぎない楽音がちょうどよいバランスで収録” されており、“熱狂する観客の歓声もリアルですが、こちらも煩すぎず、ダイレクトな声も少なめで手拍子のバランスも小さめですので、ストレスなくライヴを楽しめ、物凄い音のダイレクト感、と言うわけではないのですが、楽音と歓声のバランス、場内の空気感がとても良い感じ・バランスで録音されており、実に完成度の高い1枚に仕上がっています。” とのこと。
 実際に聴いてみると、全体的に音がやや遠めに感じられるというのが第一印象。それがギフト止まりの一番の理由だと思われるが、音そのものはLHらしいナチュラル志向で非常に聴きやすいし、手拍子なんかも実に自然な感じで録れている(^.^)  テーパー周辺のオーディエンス・ノイズを結構拾ってはいるが、ポールと一緒に歌いたい気持ちはよく分かるのでこればっかりはしゃあないし、アウアウみたいな気持ち悪い奇声は入っていないのでストレスは感じない。要するに特に大きな欠陥の見当たらない “優良” オーディエンス録音という感じだ。
Another Girl [Budokan 2015]

Live And Let Die [Budokan 2015]


②Live at Budokan (怒涛の “アンコール!!!” 絶叫盤)
 一夜のうちにソールド・アウトを記録した武道館SCの決定版「Closed Soundcheck at Budokan 2015」付属のボーナス盤。メーカー・インフォによると、“録音席はスタンド一階席に西側J列で、機材マイクはショップスMK4と最高クラス。楽音の程良い距離感と場内の熱気が最良の形でブレンドした、それはもうファンにとっては桃源郷のようなサウンド” で、“こういった臨場感・熱気は、絶対にライン録音では再現できない抜群のリアリティ。「特別な場所にいる感動」「特別なことが起こる興奮」、こういった生々しい空気感を、最高級のマイクで録り切った極上実況録音盤” とのこと。
 実際に聴いてみた感じでは、少しステージとの距離は感じるものの、それが絶妙な臨場感として再生されるので、かぶりつきの音を求めているのでなければ不満を覚えることはまずないと思う。インフォにある様に “あの時、あの場所で聞こえていた音” を真空パックして解凍したらこんな音になるのかな... という感じのリアルなサウンドで、今回の LH ギフトの中では「ジュードー・アリーナ」と並ぶ愛聴盤だ。ショップスMK4 って確か EV のマトリクス音源にも使われていた超高級マイクだったと思うが、やっぱり録音機材って大事なんやね。「死ぬのは奴らだ」のパイロの爆発音も結構リアルでビビりましたわ(>_<)
Another Girl [Live at Budokan]

Live And Let Die [Live at Budokan]


 煩わしいオーディエンス・ノイズも極小で、演奏中は安心してポールの歌に浸りきることが出来るのだが、1ヶ所だけ、本当に1ヶ所だけ、前代未聞というか、空前にして絶後の絶叫パートがある。「ヘイ・ジュード」が終わってポールが舞台の袖に引っ込んでから再び出てくるまでの約1分30秒の間、ひたすら “アンコール!!!” と叫び続ける女性の声が生々しく録音されている(7分56秒~)のだ。数えてみたら(←そんなもん数えるなよ...)計50回も“アンコール!!!” と叫んでいた。しかも後半になると手拍子につられてテンポが上がっていくのには大笑い(^o^)丿  初めて聴いた時は “何じゃいコレは???” と思ったが、その鬼気迫る絶叫は “オーディエンス・ノイズ” などという次元を遥かに超越した狂気すら感じさせる凄まじさだ。でもポールが歌っている間はちゃんと大人しく聴いているところがアウアウと違ってエライですな。まぁこの女性の周りにいた人達はビックリしたやろうけど...(笑) そしてもう一つ面白かったのが、コンサートが終わって終演アナウンスが流れた後、彼女の “ポール、アイラブユー!” という断末魔でこの CD が終わっていること。もっと前でフェイドアウトすることもできたのにわざわざコレを入れたということは、完全に狙って編集したとしか思えない。ちゃいますか? LHさん(^.^)
Hey Jude [Live at Budokan]

The End [Live at Budokan]
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Live At Budokan [EVSD武道館 BOX Pt. 3] / Paul McCartney

2015-06-18 | Paul McCartney
 今日は我らがサー・ポール・マッカートニー73回目のバースデー。そしてバースデーと言えばもちろん武道館である。ということで何はさておきこの曲から。
Paul McCartney「Birthday」 28th April 2015 Nippon Budokan ポール マッカートニー武道館バースデー


 では武道館ボックス特集パート3にいってみよう。ディスク1&2のマトリクス音源とディスク3&4の AUD 音源は共に文句なしの圧倒的な高音質盤で、ライヴ本編に関してはほぼ完璧と言っていいキラー・アイテムだということが分かった。残るは「日本武道館演習」と題されたサウンドチェック(以下SC)だ。
 発売前に聴いたサンプル音源の「ペニー・レイン」はノイズはあるわ、音は歪んでるわで、 “このサンプル、絶対に何かの手違いやろ... いくら何でもこんな酷い音を1万円もするボックスに入れるわけないわ...” と自分に言い聞かせながら EV ボックスをオーダーし、 SC に対しては少なからぬ不安を抱きながらブツの到着を待っていた。あのノイズ、まさかそのまんまちゃうやろな...(>_<)  それを今から聴くのだ。greenAPPLE盤と同じデザインの手抜きジャケットからディスク2を取り出す。他のSC盤でもそうだが、私はポール不在の前半部分には興味がないので、いつも “Good afternoon, soundcheckers!” とポールが登場する場面から聴くことにしている。
 音が出てまず耳についたのが “ジー” という高周波ノイズだ。昔ウルトラセブンに出てきた宇宙人にこんな耳障りなノイズを出す奴がおったな...(>_<)  SC は無音部分も少なくないのでコレは結構耳につく。さすがに演奏が始まって楽音が大きくなってからはそんなに目立たなくなるが、それでも高音部にジリジリとノイズが乗ってくるのは不快以外の何物でもない。特に “音楽は大音量で聴くべし” を旨とする私にとってこれは由々しき問題だ。
 メーカー・インフォによると、“既発音源のいずれもが本来音響用ではない受信機材を用いて録音されたモノラル音源であるのに対して、本作はウィックスが使用しているのと同一の機材を使用して収録された極上音質のリアル・ステレオ音源” で、“低音から高音まで満遍なくナチュラルな質感で収録されたダイナミクス・レンジの広いサウンドは、本物の音響用の受信機材ならではの素晴らしい音質” とのことだが、一体どこをどう聴けばこれが “素晴らしい音質” に聞こえるというのだろう? 更に、言うに事欠いて “既発のモノラル音源(中音域が過度に持ち上げられたエグい音質なので、あまり聴きすぎると耳が壊れてしまいます。くれぐれもご注意を!笑)とのクオリティ差は歴然です!” などと自画自賛している。なるほど、確かにクオリティ差は歴然だ。ただし LH > T&J = APP >>>>> EV なのでくれぐれもご注意を...(笑)
 音圧はそれなりにあるので、もし仮に他にSC音源が世に出ていなければこんな音でも “門外不出の武道館 SC をリリースするとは、さすがは EV” ということになったのだろうが、既に決定版と言える LH 盤を始め、T&J 盤や APP 盤など、モノラルとはいえ気持ち良く聴けるノイズレスな SC 音源が世に出ているのだ。何が悲しゅうてこんなノイズまみれの音を聴かねばならないというのか? そもそも後出しで負けてる EV って一体何なん?
 中でも最悪だったのが「イッツ・ソー・イージー」だ。SC も後半に入り、不快な高周波ノイズにもようやく耳が慣れてきたと思ったら、曲が始まっていきなり “ジャリッ!” という大きなノイスがスピーカーから飛び出してきてビックリ...(゜o゜)  いくらブートとは言え、よくもまぁこんな酷い音のままリリースしたものだと呆れてしまう。ギフトならまだしも、これでお金を取っちゃダメだ。「ダンス・トゥナイト」や「ブルーバード」もノイズが邪魔で気持ち良く音楽を楽しめない。EV にはオリジナル・ソースに拘らず、T&J のコピーでも何でもいいから、ちゃんとした音を聴かせてほしかった。ファンは出自が何であれ、ポールの歌を良い音で聴きたいのだ。そういう意味では LH やピカデリーはエライですな。
It's So Easy SC

Dance Tonight SC


 このボックス、本編ライヴのマトリクス音源とオーディエンス録音は一生聴き続けたい大切な大切な宝物になったが、残念ながらこのSC盤の方はもう聴きたくない。まさにタンスの肥やしならぬ、CD 棚の肥やしである。EV お得意のフレーズを使って言うと “このステレオ SC 盤はゴミになります!”(←このネタ、分かる人には分かりますね?)ということになる。BF さん、ゴミ呼ばわりしてゴミんなさいm(__)m
 ということで、3回にわたってレビューしてきたこの「武道館ボックス」、SC 盤の音の悪さや顧客をナメきった売り方etc 色々細かい不満はあるにせよ、少なくともライブ本編に関しては私の知る限り現時点でこれを超える音は存在しない。まさに “真打ち登場” の看板に偽りナシの高音質で、これなら十分に待った甲斐があると言える究極のアイテムだ。正直、ドーム・ボックスはもう要らんかな... と思い始めていたのだが、これだけクオリティーの高いサウンドを聞かされてしまうとそうも言っていられない。どうやら7月もポール関連アイテムで散財してしまいそうだ...(汗)
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Live At Budokan [EVSD武道館 BOX Pt. 2] / Paul McCartney

2015-06-16 | Paul McCartney
 Pt. 1 で書いたように圧倒的な高音質を誇るマトリクス音源だが、純粋なAUD録音盤に比べるとライヴの熱気や臨場感といったものがやや希薄に感じられるのは否めない。だから “これさえあれば T&J も SNE もピカデリーも要らない” などと言うのは極端に過ぎるだろう。マトリクス音源は、例えるなら完璧な整形美人を見ているような感じなので、贅沢な物言いかもしれないが、生身のすっぴん / 薄化粧美女たちも傍に侍らせておきたいのだ(^.^) このマトリクス盤の比較対象となるライバルは、ディスク3&4をも含めた他のオーディエンス録音盤というよりはむしろ、来月スカパーで放送されるサウンドボード録音(←どうかカット無しの完全版で放送されますように... スカパーさん、お願い!!!)だろう。
 ということで、マトリクス音源のディスク1&2を聴き終え、次に私が聴いたのは純粋な AUD 録音盤のディスク3&4だ。メーカー・インフォによると、“録音者が思わず目をこすって2度見、3度見をするほどの「神席」からの録音” とのこと。しかも当初はこちらを IEM ソースと組み合わせてマトリクス音源を作成する予定だったのが、そのあまりの音の良さにこちらを単独の AUD 録音ソースとしてリリースすることに決めたのだという。一体どんな凄い音が飛び出してくるのか待ちきれずに、プレ・ショウ・ミュージックをすっ飛ばしていきなりトラック・ナンバー3の「キャント・バイ・ミー・ラヴ」から聴き始めた。
 いやぁ、参りました。EV に限らずブートのメーカー・インフォは話半分に読むようにしているのだが、こちらも素晴らしいとしか言いようのない、AUD 録音としてはもうこれで十分なんじゃないかと思えるハイ・クオリティー・サウンドだ。細かいことを言えば、T&J盤のような重低音が出ていないとか(←録音に対する考え方がこの両者では根本的に異なるんやろね...)、かぶりつきのオンな音とはちょっと違うとか(←臨場感を重視したのでそっちの方はマトリクス音源で、ということか...)、「死ぬのは奴らだ」でのパイロの爆発音の迫力がイマイチだとか(←コレにはちょっと拍子抜けした... LH のギフトにも負けとるで...)、色々指摘することは可能かもしれないが、トータル・サウンドとして考えた場合、この盤は並み居る AUD 録音盤のベストの内の1枚(←あくまでも one of the best であって the one and only ではない...)と言い切ってしまっていいと思う。サウンドボードに近いデッドな響きのマトリクス音源とは対照的に、こちらの AUD 録音の方は適度な臨場感が感じられるライヴなサウンドなので、このボックスがあればその日の気分によってマトリクスか AUD 録音かをチョイスできるというのも嬉しい。
 オーディエンス・ノイズに関しては、先に書いた「アナザー・デイ」前の “アイラブユー、ポール!” という絶叫がマトリクス音源以上に大きく入ってしまっているのが唯一の汚点で(←ココはカットして CD-R に焼き直した...)、それ以外はそれほど気になる奇声は入っていない。因みに手持ちの他の武道館ライヴ盤を全てチェックしてみたが、この部分にアイラブユー絶叫が入っているのはこのボックスの2枚だけだったのが不思議と言えば不思議...(←“神席” って一体どのあたりの席やったんやろ???) もちろんアウアウ君は影も形もありません(^.^)  マトリクス音源との比較用に同じ曲をアップしましたので興味のある方は聴き比べてみて下さいな。 (つづく)
One After 909 [EVSD Aud]

Another Day [EVSD Aud]

Yesterday [EVSD Aud]

Birthday [EVSD Aud]
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Live At Budokan [EVSD武道館 BOX Pt. 1] / Paul McCartney

2015-06-14 | Paul McCartney
 待ちに待った EV の武道館ボックスが届いた。このボックス・セットに関しては当初から色んな噂が飛び交っており、私はてっきり2013年の時と同じように他のドーム公演とのセットで出るものとばかり思っていたので、5月19日の夜(←ちょうどLHのT&J盤と絶叫マシン盤リリースの日でしたわ...)に “EMPRESS VALLEy -PAUL- 武道館 6CD BOX 5月30日発売予定!!” という知らせがKent から届いた時は本当にビックリした。武道館だけで6CDって...(゜o゜) まさに青天の霹靂である。さらにその後 Junk Headz のHPでサンプル音源を聴き、その凄まじいまでの高音質ぶり(←ただしサウンドチェックは別だが...笑)に期待はますます膨らむばかりだった。だから発売が当初の予定から10日ほど延期になった時は、“一体どーしたんやろ? 今頃必死になってアウアウを消してるんやろか... それともノイズまみれのサウンドチェック音源をT&J版にでも差し替えてるんやろか???” などと邪推したものだった。
 そして6月8日の朝、Kent から武道館ボックス入荷の知らせが届いた。おう、ついに来たか! “マトリクスの音って初体験やけど、一体どんな感じやろ?” “オーディエンス録音盤にどーかアウアウが入ってませんように!” “サウンドチェック盤のノイズはちゃんと除去したんやろか?”etc、期待と不安が入り混じる中で11日の晩にボックスが届いた。
 箱の中身は「日本武道館演習」(2CD)、「日本武道館本番」(2CD×2)と題された紙ジャケ2セット(計6CD)とチケット・レプリカ2枚。日の丸リトグラフ・デザインのジャケ違い限定盤の方はこれと中身はまったく同じなのに、300セット限定通し番号のナンバリング入りというだけで3,000円も高い価格設定なのだから開いた口が塞がらない。だいたい「ホワイト・アルバム」じゃあるまいし、ブートのナンバリングに一体何の意味があるというのだろう? 箱のデザインが黒い武道館より日の丸リトグラフの方が良いのは誰の目にも明らかだが(←紙ジャケをリトグラフ・デザインにしてくれたら良かったのに...)、聴く時にいちいち取り出すのが面倒なので中身だけ取り出して棚に並べる私にとって、箱のデザインは二の次だ。私は無駄なモノに3,000円も余計に払う気などサラサラないので当然通常盤をチョイス。個人的には箱も帯もレプリカも要らんからもっと安うせんかい!と言いたいぐらいだ。まぁ前回みたいに調子こいて無意味な熨斗を付けなかっただけマシか。
 私がまず初めに聴いたのはライヴ本編マトリクス音源のディスク1&2だ。マトリクスというのはIEM(イン・イヤー・モニター)の音をオーディエンス録音とミックスさせることによって、各楽器の音の輪郭を際立たせるイヤモニと、歓声や手拍子といったライヴの空気感・臨場感を捉えたAUD録音のオイシイとこ取りをしながら、当日のライヴをよりリアルな形で再現しようという手法のこと。去年の3月にストーンズが来日した時に知った言葉だが、実際にその音を耳にするのはこのポール盤が初めてだ。
 で、マトリクス初体験の私の感想は、とにかく音がキレイで、楽器の音がクッキリハッキリと聞こえて演奏にメリハリがつき、聴いててめっちゃ気持ちがエエということ。低音がスベッたとか音圧がコロんだとか、そういう次元で語るべき音ではない。雰囲気としてはむしろサウンドボード録音に近いようにすら感じられるスーパーウルトラ高音質で、これにはもう参りましたと平伏すしかない。
 オーディエンス・ノイズに関しては、ディスク2の冒頭(←ポールの「ノッテルカイ?」の直後)でコーフンしたにーちゃんが “アイラブユーポール、アイラブユー!” って絶叫する箇所(←こんなモンぐらい消しとけよ...)以外は奇声・雄叫びの類は皆無と言ってよく、例の “アウアウ” も完全に駆除してあるのでストレスフリーでポールの歌に浸れるのが嬉しい。
 とにかくこの圧倒的にオンな音は初めて聴く耳にはとても魅力的だし、他のAUD録音盤では全体の音の中に埋もれてしまいがちな細やかな音までしっかり捉えているのにもビックリ...(゜o゜)  例えば「ワン・アフター909」や「バースデー」なんか、“へぇ~、こんな音が入ってたんか!” という感じで非常に興味深く聴いたし、アコースティック・ギターの美しさが際立つ「イエスタデイ」なんかもう絶品だ。チョー サイコー(^o^)丿 (つづく)
One After 909 [EVSD Matrix]

Another Day [EVSD Matrix]

Yesterday [EVSD Matrix]

Birthday [EVSD Matrix]
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Out There Japan Tour 2015 Tokyo 28 [ピカデリー盤] / Paul McCartney

2015-06-09 | Paul McCartney
 ポールのブート・コレクターにとって、ピカデリー・サーカスというレーベルは良くも悪くも気になる存在だ。EVと同じく、その音質評価が真っ二つに分かれるというのも興味深い。私がこのレーベルに対して抱いているイメージは、①とにかく値段が高い、②オーディエンス・ノイズ、特に奇声の類が少ない、③タイトルによって音質の当たり外れが大きいetc... だが、私のような貧乏コレクターにとっては何よりも①が最大のネックであり、2~3千円台で高音質盤が手に入るこのご時世では1枚6千円という価格設定には腰が引けてしまうというのが正直なところ。
 自称 “ポールのスペシャリスト”(笑)のピカデリーは今回のアウト・ゼア・ジャパン・ツアーでも全公演のCDとDVDをそれぞれリリースするという力の入れようで、メーカー・インフォでも “ピカデリー・レーベルがあれば他にいらない” と鼻息も荒い。大阪/東京ドーム公演盤は6,200円と相変わらずの “ピカデリー価格” だが、この武道館盤のファースト・エディションだけはサウンドチェックが入っていないからか、3,800円という抑え気味の価格設定でしかもDVDまで付いているという。映像に関しては同レーベルから別カメラによる完全収録 DVD も出てはいるが、“ポールの武道館” を極めたい私としては伝説の武道館ライヴの映像は手に入るものは全てゲットしたい。ということで私は付属 DVD 目当てでこの盤を買った。
 「アウト・ゼア・ジャパン・ツアー・2015 東京 28」と題されたこのピカデリー盤はT&Jをパクッた後発盤とは違い、本編ライヴ CD 2枚と DVD 1枚の3枚セットになっている。まず CD の音だが、ステージからは近すぎず遠すぎずといった感じで、かぶりつきのオンな音を期待すると肩透かしを食うかもしれない。ネット上では今回も評判が良いみたいだが、ウチのシステムで聴くと相変わらずシンバルはひしゃげたような変な音で高域はシューン!と伸びずに頭打ち状態だし、音楽で一番大切な中音域にもいまひとつ厚みが感じられない。極端な言い方をすれば、T&J盤の音量を上げていくとライヴ会場のド真ん中に入るような感動を覚えるのに対し、ピカデリー盤の音量を上げると喧しく感じる、といえば分かってもらえるだろうか? まぁ私のように壁が震えるぐらいの大音量で聴く人はそんなにいないとは思うが...
 もう一つ残念なのは周りの観客の大騒ぎもそれなりに拾ってしまっていること。オーディエンス録音でサウンドボード並みの質感を目指すピカデリー・レーベルのセールス・ポイントは何をおいても “オーディエンス・ノイズの少なさ” にあると思うのだが、武道館だけはVIP無しで座席が全て抽選だったということもあってお得意の “最前列録音” が出来ず、しかも悪いことにこのテーパーさんの周りには元気な男性オーディエンス(笑)が何人もいたようで、ご自慢の “ドイツ製特注マイク” が周りの騒音を少なからず拾ってしまっているのだ。まぁライヴなんだからオーディエンス・ノイズの類に文句を言うのは筋違いなのは百も承知だが、ポールのMCよりも隣りの “ホーホー!” の方が大きな音で入ってしまっているところや「ワン・アフター909」での音痴なガナリ声はちょっとカンベンしてほしい。
 しかし悪いことばかりではない。というかオーディエンス・ノイズに関しては上記の欠点を帳消しにしてお釣りがくるぐらいの長所がこの盤にはあるのだ。それは例の “アーゥ!” があまり聞こえないこと(笑) これは私にとって非常に重要なポイントで、スキッツォイドの本性丸出しで吠えまくる “アーゥ!” 連発に比べればこの盤の “ホーホー!” の方がまだ遥かにマシだ。
 又、ピカデリーが忌み嫌っている手拍子もかなり入っているが、私個人としてはライヴの手拍子はそれほど気にならないし、むしろあった方が良いと感じることの方が多いのでこれに関しては全く問題ナシ。この盤でも「1985」や「アイヴ・ジャスト・シーン・ア・フェイス」、「ダンス・トゥナイト」なんか “ポール・マッカートニー &1万人のハンド・クラッピング・リズム・セクション” みたいな感じでめっちゃエエ雰囲気だ(^o^)丿 皮肉なことだが、私がこの CD で気に入っているのは何を隠そう臨場感あふれる手拍子入りのトラックなのだ。ということで、 “あの熱狂と興奮のアリーナ席において手拍子もほとんど入っておらず...” などというメーカー・インフォを鵜呑みにしてはいけません。
One After 909 [PC盤]

I've Just Seen A Face [PC盤]

Dance Tonight [PC盤]


 DVDの方はアリーナ中央やや左側からのシューティングで、たまたま角度が良かったのか、ライトの影響でポールの顔が白光りすることもほとんどない。手ブレ・ピンボケはそれなりにあるので人によっては酔いそうになるかもしれないが私的には許容範囲だし、画質の方も少し粒子が粗い気がするが、これもまぁ許せるレベル。そんな些細なことよりもまずは下のドアップを見てほしい。ズームを駆使してポールの細かい表情まで捉えるのに成功しているところが素晴らしいではないか! このアングルからのポールのアップ映像を観れるだけでもこの盤を買う価値がある。ピカデリーに言わせればこの DVD はあくまでも “オマケ” なんだそうだが...(-。-)y-゜゜゜ DVD の音声は CD の音をそのまま使っているようだが、映像が主体になるので上記の欠点はほとんど気にならない。やっぱり映像はあった方がエエぞう(^.^)

↓この撮影位置から...


↓ズームでこのクロース・ショット!


↓殆どポール中心に撮ってるが、中にはこんなフォーショットも...


 ただ、メーカー・インフォに “残念ながら全体の9割程度の収録” とあるように、「アナザー・デイ」、「ブラックバード」、「アビーロード・メドレー」の3曲が未収録なのは仕方ないにしても、「ミスター・カイト」、「オブラディ・オブラダ」、「レット・イット・ビー」、「ヘイ・ジュード」の4曲が曲の途中でフェイドアウトするのは興醒めだ。特に「レット・イット・ビー」はわずか1分、「ヘイ・ジュード」に至っては最初の2分ほどで終わってしまいコーラス・パートが完全にカットされてるので、初めて観る人は驚かないように...(゜o゜)
 ということでCDに関しては少し辛口の評価になってしまったが、ポールのクロース・ショット映像は観れるし、サウンドチェックが無い分安く買えたし、普通に聴く分には問題ない音質だし、大嫌いな “アーゥ!” は入ってないし(←これ重要!)で、私としては買って良かったと思える1枚なのだ。
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Out There Budokan 2015 [LH盤] / Paul McCartney

2015-06-05 | Paul McCartney
 今日は武道館祭りに行く前に一つお知らせがあります。来週の水曜日(6/10)に NHK BS の「アナザー・ストーリーズ 運命の分岐点」という番組で「ザ・ビートルズ初来日 熱狂の103時間」という特集が組まれるので、ビートルズ・ファンは要チェック! 私は常日頃テレビなんかほとんど見ないに等しいのだが、先月たまたまアイルトン・セナの事故死を扱ったこの番組を見て非常に内容が濃かったので興味を持ち、HPを開いてみたらいきなり “ビートルズ” の文字が目に飛び込んできたというワケ。セナの番組は結構マニアックな切り口で迫っていたので来週のビートルズ特集が非常に楽しみだ(^o^)丿
 それではここからいつものように武道館祭りの始まり始まり...(^.^)  SNE、APP、LH、gA、TJときて今回で6枚目の武道館盤であるが、まだまだネタは尽きそうにない。今日取り上げるのはLHが先々週にT&J盤と同時リリースしたオリジナル音源の2枚組「アウト・ゼア・武道館2015」だ。
 今回のジャパン・ツアーではLHはギフト盤ばかりで中々プレス盤を出さず、この盤に先駆けてLHがリリースしたプレス盤第1号「アウト・ゼア・大阪2015」の音質が期待外れだったこともあって実際に音を聴くまでは疑心暗鬼だったのだが、いざ聴いてみるとLHの売りである “オンな音像とクリアネス” に関しては大阪盤とは雲泥の差で、臨場感溢れるライヴ・サウンドが楽しめる(^o^)丿 良い機材を使っているのか、ウチの再生システムではプレ・ショウ・ミュージックの時点で既にズゥゥゥ~ンと低音の下の方まで出ているのがよく分かり、本編を聴くまでは “これはひょっとして凄い盤ではないか...” という期待を抱かせられた。
 しかし、しかしである。1曲目の「キャント・バイ・ミー・ラヴ」が始まると同時に一人の女性の “きゃぁぁぁ~!” という耳をつんざくような嬌声が勢いよくスピーカーから飛び出してきてビックリ(゜o゜)  これではまるで “一人シェア・スタジアム” ではないか! この女性、プレ・ショウ・ミュージックの終盤あたりから既にテンションが上がり気味だったようだが、ポールの登場と同時にヒートアップ、オープニング・ナンバーで一気に大爆発したのだろう。ネット上では彼女を揶揄して “絶叫マシンに乗ってる女” とか呼ばれているようだが、上手いこと言いますな...(^.^)  ただ、 “きゃぁぁぁ~!” はイントロの一瞬だけで、歌が始まると大体は大人しく聴いているようだし、私が蛇蝎の如く嫌っている “アーゥ!” なんかよりはよっぽど罪がないと思うのだが...  そう言えばこの盤はその “アーゥ!” が T&J盤ほど大きな音で入ってないのが嬉しい。さすがに「イエスタデイ」だけは防ぎようがなかったようだが...(>_<) あれって一種のテロみたいなモンやから必死に録音してるテーパーさんにしたらたまったもんじゃないだろう。
Can't Buy Me Love [LH Budokan]


 私が鬱陶しく感じたのはこの女性の金切り声よりもむしろ、テーパーの周りの外人連中と若い男のチャットを結構拾っていることだ。こいつら、男のくせにペチャクチャ喋りまくりで、「イエスタデイ」が終わった後なんか、あろうことかポールが “モット? モットキキタイ?” と煽っているのにもかかわらず喋り続けているのだから言語道断。 “オマエら、高い金払うて一体何しに来とるんじゃ、ボケ!!!” と怒鳴りたくなってくる。同じオーディエンス・ノイズでも、ドームではやらなかったスペシャル・セトリの「ワン・アフター・909」や「アナザー・ガール」が始まった瞬間の凄まじいまでの盛り上がり様は聴いていて楽しいものだが、コンサートとは何の関係も無い私語はやめてほしいわ。
Yesterday [LH Budokan]


 それと、「ブラックバード」の0分23秒あたりでマイクをゴソゴソやるノイズがかなり大きく入るのもマイナス・ポイント。「ヘイ・ジュード」でも0分16秒あたりに同様のノイズが入っており、せっかく高揚した気分に水を差されるのもいただけない。いくらオーディエンス録音とはいえ、金切り声にチャットにゴソゴソ音と、これほど色んなノイズを拾いまくっていれば普通はギフト止まりだろうが、それでもLHがプレスに踏み切ったのはベースとなる録音がしっかりしているからだろう。
 とにかく歌や演奏そのものは EV やピカデリーのようにあれこれイコラしまくって作り上げた人工的な音とは激しく一線を画すナチュラル志向の、しかも腰の据わったダイナミックなサウンドに録れているので、聴いているうちにグイグイ引き込まれていく。さすがに SNE 盤に比べると若干音の距離感を感じるが(←車の中で SNE 盤の直後にこのLH盤を聴くと昔のサラウンド録音みたいに音がフワーッと広がって聞こえた...)、コンサート後半になればなるほどダイレクト感が増していくように感じるのだ。ということで私には珍しく、多少のオーディエンス・ノイズには目(←耳と言うべきか...)をつむりながらこの盤を聴いている。これも又まごうことなきあの日の武道館なのだから。
Blackbird [LH Budokan]

Hey Jude [LH Budokan]
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