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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「旭日旗が再び朝鮮半島に」―日米韓合同演習で危機感

2022年10月17日 | 日米安保と東アジア
   

 先月30日と今月6日、日米韓合同軍事演習が日本海(韓国では東海)で相次いで行われました(写真中)。3ヵ国合同演習は5年ぶりです。これをめぐって、韓国ではユン・ソクヨル(尹錫悦)大統領府と第1野党の間で、激しい論争が起こっています。

 第1野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表は7日、合同軍事演習について、「日本の自衛隊を軍隊として公に認める根拠になり得る」としたうえで、こう述べました。

「ユン・ソクヨル大統領が以前、『日本の自衛隊が有事の際に朝鮮半島に入ってくる可能性もあるが』と言ったことが現実化するのではないか懸念される」「国民は韓米日軍事同盟を望んでいない。朝鮮半島情勢にとてつもない危害を加える可能性があると考えているからだ」「国民の間では、このまま行けば再び局地戦が起きかねないという懸念がますます高まっている(8日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 ユン大統領の「有事の際に…」発言は、今年2月,大統領選のテレビ討論の中で飛び出したものです。

 イ代表は10日、このユン大統領発言に関連してさらにこう述べました。

韓国国民が容認できない自衛隊、日本軍が朝鮮半島に進駐(し)、旭日旗が再び朝鮮半島にかかる日、我々には想像できないが、そのようなことが実際に起こりうる」「日本は韓国に侵攻し、武力支配し、まだその侵略の歴史を明白に心から謝罪していない」(11日付ハンギョレ新聞)

 これに対し、大統領室の副報道官は11日、「北朝鮮の核ミサイルの脅威こそが北東アジアの直面する脅威だ」「日本の助けを借りることができるのであれば、当然軍事演習を通じて小さな隙も作らないことこそ大統領がすべきことだ」と反論しました(12日付ハンギョレ新聞)。

 イ代表の発言はきわめて妥当で重要な指摘です。
 
 かつて侵略戦争の文字通り旗印となった旭日旗。それが再び、侵略・植民支配した朝鮮半島にはためく。そんな悪夢のような光景は、けっして夢想ではありません。

 朝鮮半島だけではありません。海上自衛隊(護衛艦「きりさめ」写真右)は太平洋戦争で日本軍が侵攻し激烈な戦場となったソロモン諸島で、米軍との合同演習を行いました(8月8日)。自衛隊がソロモン諸島へ展開したのは初めてです。自衛隊は行動範囲を飛躍的に拡大しています。

 イ代表は「このまま行けば再び局地戦が起きかねない」と述べましたが、この危惧の背景には、日本がアメリカに加担した朝鮮戦争(1950年~)が「停戦」のままいまだに終結していないことがあります。この事実は日本ではあまりにも知られて(知らされて)いません。

 なによりも問題なのは、日米韓合同演習をめぐって韓国で上記のような激しい議論(政治的攻防)が起こっているのに、日本ではほとんど問題になっていない現実です。

 これは、韓国の「共に民主党」のように軍事政策をめぐって保守政権と正面からたたかう野党が存在しない、ハンギョレ新聞のような権力監視の役割を果たしているメディアがないという日本の現状を表していると言えるでしょう。

 日本でこそ、日米韓合同演習阻止、日米軍事同盟(安保条約)廃棄の声を上げていかねばなりません。旭日旗を再び朝鮮半島に翻させないために。


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