アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

那覇空港でまた空自機事故、翁長知事はなぜ抗議しないのか

2017年01月31日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

     

 30日午後1時20分ごろ、那覇空港の滑走路で航空自衛隊那覇基地所属のF15DJ戦闘機の前輪タイヤが脱輪し、滑走路は1時間50分にわたって閉鎖、40便が欠航し、8400人超が影響を被る事故が発生しました。

 自衛隊と民間航空が同じ滑走路を使う「軍民共用」の那覇空港の危険性があらためて浮き彫りになっています。

 事故自体の問題とともに見過ごせないのは、沖縄県(翁長雄志知事)が事故を起こした航空自衛隊に対し一言の抗議もせず、原因究明の要求も行っていない(沖縄タイムスにも琉球新報にも1行もない)ことです。

 「抗議」どころではありません。翁長氏は偶然この日、那覇空港からアメリカへ向かい、出発前に県庁と空港で2回記者会見しましたが、いずれの会見でも空自の事故については一言も触れませんでした。特に空港での会見は、ダイヤの乱れでロビーがごったがえしていたころです(写真中)。にもかかわらず翁長氏は事故について触れなかったのです(言及していればタイムス、新報は当然報じるでしょう)。

 これはきわめて奇異な態度と言わねばなりません。県知事として事故を起こした航空自衛隊に抗議し、事故原因の究明を要求し、迷惑を被った市民・観光客に謝罪するのが当然ではないでしょうか。

 県は相次ぐ米軍機事故に対しては、即座に抗議し、原因が究明されるまで飛行停止を要求するのが通例です。米軍機事故に対する対応と自衛隊機事故に対する対応は明らかにダブルスタンダードです。なぜ空自には「きわめて遺憾。原因が究明され再発防止策がとられるまで那覇空港の使用を認めない」と言えないのでしょうか。

 根底には、自衛隊に「感謝状」を贈る(2016年10月22付琉球新報)ほどの翁長氏と自衛隊の蜜月関係があるでしょう。翁長氏だけでなく、歴代保守県政の下で自衛隊は野放し状態ではないでしょうか。
 今回の事故原因についても、空自那覇基地は「調査中」としながら、「今後の原因公表について『これまでも公表しておらず、検討したい』と述べるにとどめた」(31日付沖縄タイムス)という態度です。

 「軍民共用」の那覇空港は、年間の離着陸回数が15万5千回以上(2015年)で、羽田、成田、福岡、関西に次いで国内第5位。最盛期は1日500回以上の離着陸がある超過密空港。自衛隊機の事故による滑走路閉鎖は、2000年9月以降今回を含め11回発生しています。
 そのうえ、航空自衛隊那覇基地は2016年1月、第83航空隊を第9航空隊に新編成し、F15を20機から40機に倍増。那覇空港事務所によると、第9航空団発足後は自衛隊機の滑走路使用が増加しています(31日付琉球新報より)。

 「軍民共用」の危険性は滑走路だけでなく、民間機より自衛隊機が優先されている(民より軍)ため、空港の近くでは民間機が超低空飛行を余儀なくされていることにも表れています。

 こうした那覇空港の危険性が、安倍政権の日米軍事同盟強化、自衛隊増強政策によってますます増大しています。

 政府、沖縄県は那覇空港の「過密対策」と称して「第2滑走路」の建設をすすめていますが、専門家はそれは改善策にはならず逆に問題が発生すると指摘しています。

 「日本航空(JAL)沖縄支店の渡部勝磨支店長は、2020年春に第2滑走路が使えるようになっても、自衛隊機による事故の不安は拭えず、むしろ一層大きな混乱が予想されるとみる。『今回のような脱輪事故が2本の滑走路を結ぶ誘導路で起きれば、2本とも使えなくなる。着陸先を見つけられない便も出てくるだろう』」(31日付沖縄タイムス)

 那覇空港の安全は、利用者・県民の生命に直結し、沖縄の観光にとっても死活問題です。「長時間の足止めを余儀なくされた利用客」から「怒りの声」が上がりました。「自衛隊と共用だから、こんなことが起きる」(31日付沖縄タイムス)

 根本的には自衛隊という軍隊の縮小・解散改組をめざすべきですが、仮に自衛隊の存在を認めるとしても、那覇空港の「軍民共用」の見直しは避けて通れません。空自の事故に抗議も原因究明要求も行わない翁長氏に、それができるでしょうか。

 「軍民共用」の那覇空港の危険性、その増大は、宮古島、石垣島、与那国島など八重山諸島への自衛隊配備問題と根は1つであることも銘記する必要があります。


「翁長訪米」は百害あって一利なし

2017年01月30日 | 沖縄・翁長知事

    

 翁長知事の訪米はてっきり延期か中止だろうと思っていましたが、予定通り行われる(30日~2月5日)のは驚きです。
 これまでの2回の訪米もパフォーマンスでしたが、今回はそれ以上に無意味、というよりマイナスだけが大きい愚行と言わねばなりません。

 そもそもトランプ政権をめぐる今の情勢から、トランプ氏は言うまでもなく政権の主要なメンバーには会うことすら困難とみられています。現に出発直前になってもだれに会えるのか明らかになっていません。

 米軍準機関紙「星条旗」は翁長訪米について、「大統領は2月上旬の安倍晋三首相との会談で2国間の関係について協議する予定を立てており、『(翁長知事の)トランプ関係者との面談は実現しそうもない』と予想」(28日付沖縄タイムス)しています。当然でしょう。

 それどころか同紙は、「『トランプ氏の政策顧問はロイター通信に対し、対中国抑止政策として、日本とオーストラリアにおける米軍の駐留拡大案を検討していると語った』などと解説」(同)しています。万一「トランプ関係者」と会うことができたとしても、「辺野古新基地断念」どころか逆に「米軍駐留の拡大」を表明されるのがオチです。

 今回の「翁長訪米」が大きなマイナスなのは、なによりも「辺野古新基地阻止」のたたかいにとってです。

 28日に沖縄大学でシンポジウム「沖縄はどうすべきかー安倍政権の対沖縄政策に対抗するために」が開かれましたが、ここでも「翁長雄志知事に対し、辺野古埋め立て承認を撤回し立場を明確にして30日からの訪米に臨むべきだとの声が上がった」(29日付琉球新報)といいます。

 パネラーの1人乗松聡子さん(「ジャパンフォーカス」エディター)は、「撤回せずに行ったら、工事再開を許した(承認取消を自ら取り消したー引用者)ことに礼を言われるだけだ」として「すぐさま承認を撤回すべきだ」(同)と強調しました。まったくその通りです。

 訪米するなら少なくともその前に埋立承認を撤回せよ、というのは市民の以前からの声です。

 沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは、「1番必要なことは埋め立て承認の撤回だ」とし、「訪米前に撤回し、断固とした反対の意思を示してほしい」と強調。「わんから市民の会」の赤嶺和伸共同代表も、「知事の〝次の一手”が見えないことに『やきもきしている』」とし、「知事は訪米を前に、辺野古を訪れ、説明すべきだ」(20日付沖縄タイムス)と話していました。

 翁長氏はこうした市民、識者の声・指摘を無視し、「承認撤回」には目もくれないでアメリカへ行くのです。

 さらに、翁長氏の「腹心」であった安慶田光男前副知事の「口利き・人事介入」問題があります。

 安慶田氏が一貫して「疑惑」を否定したまま辞任し、当時の諸見里明教育長が文書で安慶田氏を告発、安慶田氏が諸見里氏を「名誉毀損」で告訴するというまさに泥沼状態です。安慶田氏とは二人三脚、任命権者でもある翁長氏の責任はきわめて重大で、一日も早く真相を究明して県民に示すことが知事としての最低限の責務です。

 ところが翁長氏は一貫して自ら真相究明にあたろうとしていません。そして今回の訪米で、少なくとも帰国する2月5日まで翁長氏はこの問題から逃げることになるのです。

 「前副知事調査、知事は厳正にー一県民から言わせていただければ、知事は泣いて馬謖を斬る心をもって調査等に臨むことだ。国には声高であっても身内に甘いのでは話にならない」。30日の沖縄タイムス投書欄に載った県民(那覇市、47歳牧師)の声です。
 翁長氏はこうした県民の控えめな要求にさえ背を向けたままアメリカへ行くのです。

 公費の無駄遣い。時間の浪費(この間も埋立工事は進行)。パフォーマンス。「承認撤回」の棚上げ。「口利き・介入」問題の真相究明ストップ…まさに百害あって一利なしの「翁長訪米」です。


「沖縄ヘイト」ー問われているのは「日本のマジョリティー」

2017年01月28日 | 差別・人権・沖縄・在日

    

 東京ローカルテレビ局・東京MXの番組「ニュース女子」の虚偽・差別報道で著しく人権を侵害された市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉共同代表が27日、BPO(放送倫理・番組向上機構)放送人権委員会に、訂正放送、謝罪などの人権救済を申し立て、衆院議員会館で記者会見しました。
 同時に沖縄でも、作家の目取真俊さんら「ヘイト放送に抗議する沖縄有志」の代表が県庁で記者会見し、同番組に抗議しました。(写真はいずれも28日付琉球新報)

 発端は高江ヘリパッド建設の反対運動を取り上げた今月2日放送の「ニュース女子」。辛さんのBPOへの「申し立て」から、同番組の主な問題点は次の通りです。(28日付琉球新報より)

 ★事実に反する内容
 ・反対派が救急車を止めた。
 ・反対派の黒幕は在日韓国人の女性。
 ・大多数が基地に反対とは聞かない。
 ・振興予算が無法地帯(反対運動の現場)に流れている。
 ★申立人(辛さん)の名誉毀損に当たる内容
 ・反対住民を「テロリスト」「犯罪者」とし、申立人は「黒幕」である。
 ・反対住民に「日当」を出して「雇い入れ」ている。
 ・申立人は韓国人、「親北派」であるとし、そのために反対運動をしている。

 「とても手口が汚いと思ったのは、沖縄をたたくために沖縄の人を使っている点だ。これは植民者の手口だ。朝鮮人をたたくときは朝鮮人を出し、ウチナーンチュをたたくときはウチナーンチュを出し、それを見て笑っている」(会見で辛さん、28日付琉球新報)

 「ただでさえ沖縄に基地を押し付け、迷惑を掛けておきながら、悪質な差別意識に満ちあふれたデマまで流すのか。県民として許せない」(会見で目取真さん、同)

 「対立した見解がある場合は、双方の言い分を取材するのは報道のイロハである。東京MXテレビはそれを怠り、取材を受けていない辛さんを公共の電波を使って誹謗中傷した。同時に新基地建設に反対する人々を事実に基づかず中傷し、おとしめた。まさに『沖縄ヘイト』である」(28日付琉球新報社説)

 こうした重大な事態が起こっているにもかかわらず、その事実すら知らない人(「本土」のヤマトンチュ)は少なくないのではないでしょうか。「本土」のメディアがこの問題をほとんど報道しないからです。

 27日の辛さんらの記者会見を報じたテレビニュースは、NHKはもちろん民放も含め、私が見た限り皆無でした。28日の全国紙はまだチェックしていませんが、少なくとも中国新聞には1行もありません。社説では唯一朝日新聞が、「『偏見』番組 放送の責任をわきまえよ」(28日付)と書いたのは評価できます。
 
 問題の元凶は虚偽・差別報道を行った東京MXですが、その経過や辛さんらの抗議・会見を報じない「本土」メディアは、東京MXと同様に、あるいはそれ以上に罪が重いと言わねばなりません。

 もちろん、問題は「報道しないメディア」だけにあるのではありません。一連の事実経過を知ったとき、「本土」の「日本人」はこれをどうとらえるでしょうか。多くは、「沖縄の問題」「在日の問題」あるいは「特殊な偏向メディアの問題」として、自分とは距離を置こうとするのではないでしょうか。「本土」のメディアが報道しないのも、そんな「日本人」が多いことを見越しているからではないでしょうか。その点では、あくまでも東京MXの問題だとしている前記の「朝日」社説もけっして十分なものではありません。

 辛さんは会見でこう強調しました。

 「沖縄の問題と言うが、沖縄に問題はない。沖縄差別問題だ。この『ニュース女子』で問われているのは日本のメディアであり、日本のマジョリティーの人たちだ

 その意味は、こうです。

 「差別と闘う責任は、被差別の側ではなく、差別構造を作り出し温存する側にこそある。この国の主権者は、自らの社会から差別をなくすために払う努力を、主権を奪われたままの在日に押し付けてはならない。同様に、沖縄に押し付けてもいけない。
 新しい基地を作らせないという闘いは、ヤマトンチュ自らが政治の中枢部でなすべきであり、そうしなければ根本的な解決には至らない。
 いまこそ、マジョリティーが矢面に立って闘わなければ構造は変わらない。自分に火の粉が降りかからない限り動かない者が多数派の社会に、未来はないのだ」(27日付琉球新報に掲載された辛さんの「見解」)

 「日本のマジョリティー」の1人である私自身に突き刺さった、重い、重い言葉です。


翁長知事に問われているのは「任命責任」だけではない

2017年01月26日 | 沖縄・翁長知事

     

 沖縄の安慶田光男前副知事は26日、教員採用や教育庁人事で「口利き・介入」があったとする「文書」を公表(24日)した諸見里明前教育長を名誉棄損で告訴し、同時に損害賠償請求の訴訟を起こしました。(写真右)

 事態はいっそう混迷を深めており、第三者機関や県議会による真相究明が急がれています。

 「疑惑」の真相究明はこれからだとしても、いまの時点で確実なことは、翁長雄志知事の責任がきわめて重大だということです。
 問われているのは翁長氏の「任命責任」だけではありません。

 平敷昭人教育長が24日の記者会見で公表した諸見里前教育長の「文書」、および平敷氏らの記者会見や一連の報道から、重要な事実経過を抜き出してみます。

 18日 沖縄タイムスが「疑惑」報道。安慶田氏は一貫して否定。
 20日 定例会見で翁長氏、安慶田氏、平敷氏ともに「疑惑」を否定。
 21日 諸見里氏が教育庁に「事実を伝えたい」と申し出る。
 同日夕 安慶田氏が弁護士を通じて翁長氏に辞意を伝える。
 22日午後 與那覇教育指導統括監が諸見里氏の「文書」を受け取る。
 同日夕 同統括監が翁長氏に「文書」について「一報」を入れる。
 23日朝 同統括監が知事室へ行くも「別案件があって午前中なかなか進まず」(與那覇氏)。
 同日午後 翁長氏と安慶田氏が記者会見(別々)で「辞任」を表明。「疑惑」は引き続き否定
 同日午後3時ごろ 記者会見後、與那覇統括監が翁長氏に「諸見里文書」の中身を報告。
 24日午前 平敷氏が会見で「諸見里文書」を公表。「安慶田氏からの働きかけがあったと認めざるをえない」と断定。
 同日午後 翁長氏が会見。「諸見里文書」の存在を認めるも、なおも「疑念」だと安慶田氏をかばう。

 以上の経過でとりわけ重要なのは、①翁長氏は22日夕には「諸見里文書」の存在を知っていた(一報を受けていた)②にもかかわらずすぐにそれを確認しようとしなかった③それどころか翌朝統括監が知事室に報告に行っても「別案件」で「何回も中断に遭い説明できなかった」(平敷氏)。つまり翁長氏は「別案件」を優先して「文書」の説明を聞こうとしなかった④翁長氏はそのまま「安慶田氏辞任」の記者会見を行い、「疑惑」を否定する安慶田氏をかばった。

 これはきわめて奇異です。当時の教育長が「事実を伝えたい」とする「文書」が県庁に届いていると報告を受ければ、なにはさておいてもすぐに見ようとするのが当たり前でしょう。ところが翁長氏は23日の記者会見が終わるまで丸1日、「文書」を確認しようとしなかったのです。
 まさかこの問題より重要な「別案件」があるわけではないでしょう。翁長氏は明らかに23日の記者会見が終わるまで意図的に「諸見里文書」を見ようとしなかった、と考えざるをえません。

 24日の記者会見で記者から「(「文書」の)存在を知っていて全否定する会見をしている。行政の態度として不誠実では」(25日付琉球新報)との質問が平敷氏に対してなされましたが、「不誠実」ですまされる問題ではありません。翁長氏は意図的に重大事実(「諸見里文書」の存在)を隠ぺいし(会見でウソを言ったに等しい)、安慶田氏をかばい続けたのです。

 任命責任(安慶田氏の副知事任命だけでなく、20日の会見で疑惑を否定するずさんな調査報告を行った平敷氏を教育長に任命したのも翁長氏)とともに、いやそれ以上に、記者会見で意図的に重大な事実を隠ぺいした翁長氏の責任は、進退にかかわる問題だと言わねばなりません。
  


「安慶田副知事辞任」は辺野古新基地阻止にとってプラス

2017年01月24日 | 沖縄・翁長・辺野古

     

 昼のニュースによれば、沖縄県の平敷昭人教育庁は24日記者会見し、諸見里明前教育庁からの聴取として、安慶田光男副知事(23日辞任)が教員採用で教育庁に働きかけを行ったと認めざるをえないと述べました(写真右)。

 安慶田氏は23日の「辞任会見」でもなお「口利き」の事実を否定し、翁長雄志知事もそれを追認しましたが、平敷氏の調査が事実なら、安慶田氏も翁長氏も最後まで事実を隠蔽していたことになり、その責任はきわめて重大です。「安慶田辞任」ですまされるものではありません。
 とりわけ安慶田氏を副知事に任命し、一貫して側近として重用してきた翁長氏の政治責任は非常に重く、知事自身の進退が問われることになります(この問題は事実経過がさらに分かった時点で改めて取り上げます)。

 今後、第三者機関や県議会などでさらに徹底的に真相を究明する必要があります。

 ここでは、「安慶田氏辞任」にともなって取りざたされている「辺野古新基地阻止」との関係について考えます。

 琉球新報は安慶田氏を「不当な国の圧力に屈せず、沖縄の民意を訴え、正義を貫く。そのような姿勢で辺野古新基地問題の政府との交渉役の重責を担ってきたのが安慶田副知事である」(24日付社説)と持ち上げ、その辞任は「辺野古阻止へ打撃」(24日付解説記事)だと報じました。はたしてそうでしょうか。

 安慶田氏が翁長氏の名代として安倍政権との「交渉の窓口」になってきたことは事実です。しかし、安慶田氏がやってきたことは、「秘密裏に上京し、政権ナンバー2の菅義偉官房長官らと非公式会談を重ねた」(24日付沖縄タイムス)ことです。「秘密裏」の「非公式会談」とは、密室の裏取引にほかなりません。

 その〝業績”は、安倍政権が「辺野古」を争点からそらす時間稼ぎの「集中協議」(2015年8月10日~9月9日)、前知事の埋立承認の取り消し(2015年10月13日)に翁長県政発足から10カ月もかかったこと、政府の戦略に沿った「和解」(2016年3月4日)、「辺野古陸上工事の容認」(2016年8月31日)、さらにいまだに「承認撤回」を棚上げしていることなど、数かずあります。

 県民やメディアの目が届かない密室協議で政府の戦略に妥協を続ける。その「重責を担ってきた」のが安慶田氏です。
 だからこそ「辺野古問題で翁長県政を支援する市民団体幹部」からも、「県政との間にすきま風を感じていた」「保守政治家出身の副知事だけでは市民との連携が十分に図られない」との声が出ており、同幹部らは「政治的中立性の強い副知事の登用を意見具申する方針だった」と明かしています(24日付沖縄タイムス)。

 そんな副知事の辞任が、翁長氏にとっては「胸をかきむしられる思い」(23日の記者会見)かもしれませんが、どうして「辺野古阻止へ打撃」でしょう。
 安慶田氏の辞任は辺野古新基地阻止のたたかいにとっては「打撃」どころか、市民県民本位に県政の流れを変える好機と言うべきです。

 翁長氏がなお知事のイスに座り続けるなら、安慶田氏の辞任を機に安倍政権との密室協議はきっぱりやめ、市民・県民の前で正面から政府とたたかうことです。具体的には選挙公約の「埋立承認の撤回」を1日も早く実行することにほかなりません。


宮古島市長選惜敗、翁長知事の責任は重大

2017年01月23日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

      

 22日投開票された宮古島市長選で、自衛隊配備に反対する奥平一夫氏は推進派の現職・下地敏彦氏(写真左)にわずか375票差で惜敗しました。勝てるチャンスをみすみす逃した「オール沖縄」陣営、とりわけ翁長雄志知事の責任はきわめて重大です。

 一方、同時に行われた市議補選(2議席に4人立候補)では、自衛隊配備反対の先頭に立っている石嶺香織さん(「てぃだぬふぁ島の子の平和な未来をつくる会」、写真右)が当選しました。自衛隊配備に反対する市民の声を反映したもので、今後の石嶺さんと市民の活動がいっそう注目されます。

 奥平氏の最大の敗因は、下地晃氏との分裂選挙になったことです。翁長氏と「オール沖縄」はその点について市民・県民に説明責任を果たすべきでしたが(14日のブログ参照)、口をつぐんだままでした。さらに、その後の「安慶田副知事の口利き疑惑」に対する翁長氏や「オール沖縄」陣営の不誠実な対応も影響したことは否定できません。
 翁長氏の重大な責任をあらためて列挙すれば、次の通りです。

 ★翁長氏は「オール沖縄」の分裂に拍車をかけた。

 翁長氏はたんに分裂した一方(奥平氏)を支援しただけではありませんでした。

 「翁長雄志知事サイドは選考委員会が決定した下地晃氏の擁立をいったんは追認したが、奥平一夫氏が出馬を決め勢いを増すと方針を転換。社民や社大が推す下地晃陣営ははしごを外された形となり、知事が奥平氏支援を表明し宮古島入りしたことが亀裂を広げる方向に作用した」(23日付琉球新報)

 翁長氏はいったん下地晃氏の擁立を追認しながら、勝ち馬に乗ろうとして奥平氏に乗り換え、「亀裂を広げ」たのです。翁長氏は分裂に拍車をかけた張本人だと言わねばなりません。

 ★「自衛隊配備容認」の翁長氏の支援は「配備反対」の奥平氏の足を引っ張った。

 奥平氏の最大の政策が「自衛隊配備反対」であったことは言うまでもありません。ところがその奥平氏を支援するとして2度も宮古島を訪れた翁長氏は、この最大争点について「賛否明言せず」(10日付琉球新報)の姿勢を貫きました。これまでの言動から、翁長氏が自衛隊配備を容認していることは周知の事実です。

 「自衛隊配備反対」の金看板でたたかう奥平氏を、「自衛隊配備容認」の翁長氏が支援する。このわかりにくさ、ねじれ現象が奥平氏の足を引っ張ったことは明白でしょう。

 ★「安慶田副知事疑惑」にほうかむりした翁長氏。

 選挙中に突然降ってわいた安慶田光男副知事の「口利き疑惑」。それについては報道側の問題も指摘せざるをえませんが(19日のブログ参照)、翁長氏の対応が市民・県民の不信感を増幅したことは否定できません。
 翁長氏がこの問題で正式に見解を表明したのは、20日の定例会見でした。そこで翁長氏はこう述べました。

 「安慶田副知事に確認したところ、教育委員会への働き掛けを行った事実はないということだ」(21日付琉球新報「一問一答」)
 「今後調査はするか」との質問には、「副知事も職員も信頼しつつ県民の理解も得ながらやるにはどうしたらいいのかと考えている」(同)と答えただけで、調査するとは言いませんでした。

 自ら任命し「腹心」といわれる安慶田副知事に対する重大な疑惑です。調査を行うこと、しかも第三者による公正な調査を行って真相を明らかにすることは、任命権者としての翁長氏の最低限の責任でしょう。にもかかわらず翁長氏は、安慶田氏本人の話だけで幕を引こうとしているのです。

 「分裂選挙」や「自衛隊配備の賛否」についての説明責任を果たさず、さらに「安慶田氏疑惑」でも真相究明の責任を果たそうとしない翁長氏の「応援」が、奥平氏の足を引っ張ったことは明白ではないでしょうか。

 翁長氏と「オール沖縄」陣営は、今回の選挙結果を重く受け止め、真剣な総括を市民・県民の前に明らかにし、その責任を明確にする必要があります。


「天皇退位」で「挙国一致」図る安倍・自民、同調する野党

2017年01月21日 | 天皇制と安倍政権

    

 20日の施政方針演説を安倍首相はこう切り出しました(写真中)。

 「まず冒頭、天皇陛下の御公務の負担軽減等について申し上げます。現在、有識者会議で検討を進めており、近々論点整理が行われる予定です。静かな環境の中で、国民的な理解の下に成案を得る考えであります」

 なにげない言葉のようですが、これには重大な意味が隠されています。カギは「静かな環境」。その意図するところは、年頭の伊勢神宮での首相会見(4日)に表れています。

 「(天皇の退位について)極めて重い課題だ。決して政争の具にしてはならない。政治家は良識を発揮しなければならない。静かな環境で議論を深めるべきだ」(5日付共同配信)

 「静かな環境」とは決して「政争の具」にしない、すなわちこの問題で政党間は対立してはならないということです。言い換えれば、安倍政権がやろうとしている「一代限りの特別法」で丸く収めようということです。これは「天皇退位」をめぐる異論封じに他なりません。

 「政府、与党は退位を陛下一代に限る特別法の制定を見据え『政争にすべきではない』と野党をけん制し、全会一致の方向へと誘導する構えだ」(20日付中国新聞=共同配信)

 重大なのは、政府・自民党だけでなく、これから論議をする立法府の長である大島理森衆院議長(本籍自民党、写真右の右から2番目)の口からも同じことが公言されていることです。
 大島議長は19日、両院正副議長と8政党・2会派代表の「合同会合」の後、記者会見でこう述べました。
 「政治全体がオールジャパンとして結論を出さなければならない」(20日付共同配信)

 さらに重大なのは、こうした「異論封じ=全会一致への誘導」に対し、野党側から何の反論・批判も出ていないばかりか、逆に迎合する言動が相次いでいることです。

 大島議長は「オールジャパンの合意」を「3月上中旬」にはまとめるという「スピード決着」の意向を各政党・会派に示しましたが、これに対し民進党の野田佳彦幹事長は、「合意形成を目指すことに努めたい」(20日付共同配信)と同調しました。同党の岡田克也前代表はすでに昨年末の常任幹事会で、「特別法は絶対に駄目だと言い過ぎれば、静かな環境ではなくなる」(同)と、安倍首相の言葉かと思うようなことを言っています。

 一方、昨年結党以来の方針を転換して天皇出席の国会開会式(写真左)に出席して頭を下げた日本共産党も、「できる限り急いで議論する」(小池晃書記局長、20日付共同配信)と大島議長の「スピード決着」の提起に応じました。それどころか、民進党が「皇室典範改正」の見解を出した際、「党幹部が『対立軸を鮮明にするやり方は問題だ』と与野党対立の激化を懸念したほどだ」(同)と報じられています。

 こうした実態は何を示しているでしょうか。

 「静かな環境」で「全会一致」、「スピード決着」を図るとは、異論を封じ十分な議論も行わないまま政府の方針で全体をまとめるということです。これは新たな「天皇タブー」であり、「天皇問題」をてこにした挙国一致体制づくりに他なりません。
 それに野党勢力も同調するのは、国会が大政翼賛状態になっていると言っても過言ではないでしょう。

 「天皇の生前退位」をめぐっては憲法上重大問題が山積しています。

 憲法は「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」(第2条)と明記しています。一片の「特別法」で退位・譲位(皇位の継承)を認めることがこの規定に反することは明白です。

 そもそも、天皇がビデオメッセージで「退位」についての希望を述べ、「摂政制度」(憲法第5条)を否定すること自体、天皇の政治的関与を禁じた憲法(第4条)に対する重大な違反行為です。

 そして今根本的に問われているのは「国民統合の象徴」(第1条)という象徴天皇制そのものの是非です。

 「静かな環境」どころか、こうした重大問題について激論を交わすことこそ憲法を守る立憲主義の立場ではないでしょうか。

 国会やメディアが翼賛状態を強めている中、市民や識者・学者はどうなのか。
 「天皇退位」をめぐって今問われているのは、この国の、私たち自身の民主主義・立憲主義の実態です。


「安慶田副知事口利き疑惑」報道への疑問

2017年01月19日 | 沖縄・翁長・辺野古

       

 沖縄タイムスが18日付1面トップで報じた安慶田光男副知事の「口利き疑惑」(写真左)は波紋を広げており、琉球新報も19日付の1面トップで後追いしました(写真右)

 私は翁長知事の辺野古・高江はじめ基地・日米安保問題に対する姿勢、政策には一貫して批判的ですが、翁長氏の「腹心」といわれる安慶田氏の今回の「疑惑」については、その報道の方に大きな疑問を禁じえません。

 第1の疑問は、ニュースソースがきわめて脆弱なことです。

 タイムスの18日の報道によると、「疑惑」の情報源は「複数の県教委関係者」です。同紙は19日も1面トップで「教育庁人事にも介入か」と「新たな疑惑」を報じていますが、そのソースも「複数の教委関係者」です。新報の19日付の記事のソースも、「県教育庁関係者」です。

 つまり今回の「重大な疑惑」の情報源(根拠)は、「複数(最低なら2人)の教委関係者」の「告発・証言」にすぎないのです。安慶田氏が「採用依頼」のために渡したという「複数の受験者の氏名や受験番号が書かれたメモ」などの物的証拠は何もありません。

 情報源である「教委関係者」は「匿名を条件に」タイムスのインタビューに答えていますが、なぜ匿名にする必要があるでしょうか。内部告発者は不利益を受けないよう法律で保護されることになっています。まして公務員(教委職員)であるなら堂々と実名で告発すべきではないでしょうか。

 第2の疑問は、なぜ今なのか、です。

 「関係者」はタイムスのインタビューで「なぜ証言に応じたのか」との質問に、「採用や人事に対する副知事の介入が度を超えている。教育行政の独立という原則がゆがめられており、正常化してほしいとの思いだ」(19日付沖縄タイムス)と答えています。しかし、これではなぜ、「採用の口利き疑惑」(2015年7月の1次試験後)から1年6カ月、「教育庁人事介入疑惑」からも約1年たっている今告発したのかという理由にはなっていません。なぜ今なのかは疑問のままです。

 第3の疑問(というより問題)は、宮古島市長選に対する大きな影響です。

 宮古島市長選の投票日(22日)が目前です。安慶田氏自身が宮古島出身であるうえ、翁長氏が自衛隊配備に反対している奥平一夫氏への支持を表明している状況で、今回の「疑惑報道」が奥平陣営にとって大きな打撃であることは間違いありません。自民党陣営はすでに「徹底追及」を豪語しています。「なぜ今なのか」という疑問は「なぜ宮古島市長選の最中なのか」に通じます。

 以上の3点を考えれば、ニュースソースをさらに強固にするために裏取りを進め、宮古島市長選の後に報道するという選択があってしかるべきではなかったでしょうか。

 第4の疑問(問題)は、最大問題である「埋立承認撤回」から焦点をそらし、翁長氏が撤回を棚上げする口実の1つになる恐れです。

 安慶田氏の「疑惑」キャンペーンは、結果として辺野古新基地問題、とりわけ翁長知事がやらねばならない「承認撤回」から焦点を逸らすことになります。

 さらに、「基地問題に関わる(県)幹部の一人」はこう言っています。
 「安慶田副知事だから強大な権力を持つ政府との交渉を重ねることができたのは事実だ(事実は政府の言いなりになってきたのですがー引用者)。辺野古問題はこれからがヤマ場で、安慶田氏というパイプなしで政府と戦うのは厳しい」(19日付沖縄タイムス)

 真相が明らかになって、または明らかにならなくても、安慶田氏が身を引いて「辞任」する可能性はあります。あるいは翁長氏が詰め腹を切らせて事実上首を斬ることも考えられます。その際重要なのは、安慶田氏の「辞任」が、翁長氏が安倍政権とたたかわない、具体的には「埋立承認の撤回」を棚上げし続ける言い訳に使われる恐れがあることです。上記の「県幹部」の発言はそれを示唆したものともいえます。

 安慶田氏の「疑惑」の徹底究明は当然です。疑惑が真実だった場合に責任をとる必要があることも言うまでもありません。
 しかし、それとは関係なく、翁長氏は県民への約束通り、辺野古埋立承認を直ちに撤回しなければなりません。
 中心問題はこれであり、けっして安慶田氏の「口利き疑惑」ではありません。


ソウル訪問・戦争記念館ー朝鮮戦争は終わっていない

2017年01月17日 | 朝鮮半島の歴史・政治...

    

    

 ソウルの中心市街地から地下鉄で2番目の駅(三角地)からすぐの所に、戦争記念館があります。
 広大な敷地に3階建ての展示館や屋外展示場、こども博物館などが立ち並ぶソウル観光の中心施設です。訪れた平日の午前にも、社会見学の児童・生徒をはじめ多くの観覧者で込み合っていました。入場は無料です。

 そんな中、ひときは目を引いたのは、軍服姿の韓国軍兵士の一団(複数)でした(写真上中)。おそらく兵士教育の一環として部隊ごと訪れているのでしょう。

 そう確信できるほど、展示内容は外国の侵攻・侵略とたたかってきた「戦争と英雄」の歴史にあふれています。こども博物館にも「英雄の話」スペースがあります。侵略者の中心は言うまでもなく日本です(写真上右)。

 記念館が質量ともに最も重視しているのは朝鮮戦争(記念館では「韓国戦争」と呼称。これは記念館だけではないでしょう)です。2階と3階に「韓国戦争室」が3つ。記念館全体の展示スペース(20)の3分の1(7)は朝鮮戦争関係です。
 アメリカ主導の国連軍(当時)に関する展示が多いことも目につきます(写真下左)。朝鮮戦争における韓国とアメリカの関係、対米従属の歴史が色濃く投影しています。

 記念館を出て帰り際、庭園で目に飛び込んだのが「兄弟の像」でした(写真下中)。「韓国戦争当時、韓国軍と北朝鮮軍に分かれて戦っていた兄弟が戦場で劇的に出会った実話を造形化し、民族の和合と団結、統一に対する念願を表現」(記念館リーフ)したものです。
 朝鮮の人びと(庶民)にとっての朝鮮戦争の意味がこの像に象徴されているように思えました。

 「韓国戦争室」の最後は、「停戦協定締結」(1953年7月27日)です。朝鮮戦争は「停戦」しているだけでまだ終わっていないのです。

 韓国は徴兵制の国。軍服姿の兵士が地下鉄にも自然に乗り込んできます(写真下右)。アメリカとの軍事同盟や北朝鮮との関係という政治面だけでなく、日常生活に「戦争」が浸透しているように思えます。
 朝鮮戦争は終わっておらず、韓国と北朝鮮はいまも戦時体制。このことを抜きに、朝鮮半島情勢や米日韓の軍事協力体制の問題を考えることはできないと、あらためて感じました。戦争記念館はけっして平和記念館ではないのです。

 そして、「問題は、朝鮮戦争に日本人民はどのようにかかわっていたかということ」(梶村秀樹氏『排外主義克服のための朝鮮史』平凡社ライブラリー)です。

 「アメリカは朝鮮戦線で莫大な物量の消耗戦を平気でやる、その武器の生産ないし修理はもっぱら日本が引受けている。…朝鮮戦争の犠牲の上に日本の資本主義体制、六〇年代以降につらなるその体制は築かれた」「当時大多数の日本人はアメリカ軍のいいなりに、北を侵略軍とイメージした」「総評(日本労働組合総評議会)はGHQの評価を鵜呑みにしたような朝鮮戦争観をそのまま機関決定として公式に打ち出した」「朝鮮戦争を全体としてこのような形でしか体験しえなかったことが、日本人民のその後の一つひとつの転機にたえず実質的に負い目として覆いかぶさってきているのではないか」(梶村氏、同)

 朝鮮戦争は終わっていないどころか、現在の情勢に色濃く投影しています。私たちは「朝鮮戦争に日本人民はどうかかわっていたか」、そして今もかかわっているのか。その歴史と現在を自分の問題として凝視しなければなりません。


「承認撤回」を棚上げする翁長知事の新たな「口実」

2017年01月16日 | 沖縄・翁長・辺野古・...

    

 翁長雄志知事が「辺野古埋立承認の取消」を取り消して(12月26日)、3週間になります。
 この間、市民や識者からは「1日も早く承認の撤回を」との声が高まっていますが、翁長氏は頑として耳を貸そうとせず、新たな「口実」を持ち出して「撤回」から逃げています。

 そもそも、「埋立承認が『適切であったか』を問う最も直接的な法的対抗措置は、県民の民意を根拠とする『撤回』処分である」(新垣勉弁護士、10日付沖縄タイムス)ことを改めて確認する必要があります。
 そして「撤回」は、「取消処分』と同様に、処分時に直ちに法的効果を発揮し、国の工事を中止させる効力を有する」のであり「国は異議を申し立て、同じような裁判闘争を仕掛けてくることは間違いないが、判決が出るまで確実に工事を止めることができる」(同)のです。

 にもかかわらず翁長氏があくまでも「撤回」に背を向けるのは、本気で工事=新基地建設を阻止するつもりがないことを証明しています。

 うるま市島ぐるみ会議の仲宗根勇共同代表(元裁判官)らは13日、県庁を訪れ、翁長知事に「早期撤回」を申し入れました。これに対し翁長氏は仲宗根氏らに会おうともせず(新聞の「知事日程」によればこの日翁長氏は「終日事務調整」となっており、ほかに予定はなかったはず)、代わりに謝花喜一郎知事公室長が応対しました。謝花氏はこう言いました。

 「行政には行政の手順がある」「全体のスケジュールを見ながら、猶予はないと思っている。どのようにした方が効果的なのか検討している」(14日付琉球新報)

 「行政の手順」とは何か。「猶予」どころか工事はすでに再開している。「どのように」もなにも、直ちに「撤回」を表明すればいいこと。今ごろ「検討している」とは、開いた口がふさがらない。
 謝花氏を通じて述べた翁長氏の「言い訳」が、辺野古新基地阻止を望む人びとの思いといかに乖離しているかは明白です。

 もう1つの「口実」は、「新たな協議体の創設」なるものです。

 「翁長雄志知事は国に、工事の手続きや工法などに関して意見交換する新たな協議体の創設を求める方針であることが分かった。協議を通し、国側の工事手続きの瑕疵や、県と事前に約束した事項の不履行をあぶりだすことで、埋め立て承認の『撤回』に向けて法的根拠の積み上げを狙う」(1日付沖縄タイムス)

 この「新たな協議体」なるものは、二重に問題です。

 第1に、安倍政権との「協議」は工事を既成事実化する時間稼ぎでしかありません。一昨年夏の「集中協議」を見てもそれは明らかです。「協議の場」ならすでに「政府・沖縄県協議会」も「和解についての作業部会」もあります。これ以上無駄な虚構を積み重ねてどうしようというのでしょうか。

 「新たな協議体」については翁長氏が「取消の取消」直後に菅官房長官と会談(12月27日)した時にすでに示唆していました。会談にあたり翁長氏はこう言いました。
 「できれば工事再開はもっと話し合いをしてからやるべきではないかということまでは話したい」(12月27日付琉球新報)
 翁長氏が求める「協議」が工事を止めるものではなく、工事の再開・進行を前提にしたものであることは明白です。

 第2に、「撤回」はあくまでも「県民の民意を根拠とする」(新垣氏、前出)ものであり、それ以外の「法的根拠」など必要ありません。翁長氏自身、知事選や県議会で「民意が撤回の事由になる」(2014年12月17日県議会答弁、同18日付琉球新報)と公言していたではありませんか。今さら「国側の工事手続きの瑕疵」「約束した事項の不履行」などの「法的根拠」が必要だと言うのは、「撤回」を棚上げする(あるいは工事が進行したあとにアリバイ的に「撤回表明」するまで引き延ばす)ための口実以外の何ものでもありません。

 謝花室長の妄言に対し、仲宗根勇氏はこう反論しました。

 「現場は一刻の猶予も許さない状況だ。遅くなればなるほど撤回の効力を発揮できなくなる。承認撤回を早急に決断するよう強く要請する」(14日付琉球新報)

 新基地を本気で阻止しようとしている人たちの共通の声ではないでしょうか。