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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

翁長雄志前沖縄知事の賛美は正当な評価か

2019年08月10日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

       

 歴史的出来事や政治家の評価は、事実に基づいて行われる必要があることは言うまでもありません。歴史の教訓を現在そして未来に生かすためにそれは不可欠です。

 8日で翁長雄志前沖縄県知事が死去して1年になりました。沖縄タイムスは8日付の社説で、「命を削るように新基地反対を貫き、沖縄の自治と民主主義を守るため政府と対峙し続けた」と絶賛しました。琉球新報も9日付で、「身をていして沖縄の新たな夜明けを県民に見せてくれた」(呉屋守将・金秀グループ会長)など、翁長氏とゆかりの人々の談話を複数掲載して翁長氏を称えました。

 政治家・翁長雄志氏へのこうした賛美は、果たして正当な評価でしょうか。

 翁長氏は外見上「政府への抵抗姿勢」を取り続けたように見えますが、実際には辺野古新基地問題をはじめ、いくつもの重要問題で、政府(安倍政権)と正面からたたかわず、むしろ協調してきました。ここでは基地問題に限って、翁長県政の3年半を振り返ってみます(紙幅の関係で簡潔な指摘になります)。

 ①   辺野古新基地建設とのたたかい回避

 a、 公約に反して承認撤回を不履行
 
翁長氏は「私が当選すれば撤回の理由になる」と公約して当選しましたが、当選後は「埋立承認撤回」を棚上げし続け、ついに在任期間中、自ら「撤回」することはありませんでした。

 b、 大型ブロック投入による岩礁破砕を黙認(2015年11月17日)

 c、  3つの訴訟をめぐり安倍政権と「和解」(2016年3月4日=写真左)

 d、 辺野古の陸上工事を容認(2016年8月31日)

 e、 「承認取消」を自ら取り消す(2016年12月26日)

 f、  埋立石材搬入のための奥港、本部港、中城湾港の使用を相次いで許可(2017年9~11月)

 g、 辺野古で市民を弾圧する機動隊を放置(県公安委員長の任免権は知事にあります)

 ②   高江ヘリパッド建設を容認

 辺野古とともに新基地建設阻止の焦点である高江のヘリパッド(オスプレイ用)建設を、翁長氏は容認しました(2016年11月28日の記者会見)。琉球新報は1面トップで、「知事ヘリパッド容認 事実上の公約撤回」(2016年11月29日付=写真中)と報じました。

 ③   浦添米軍基地の県内移設を容認・推進

 浦添軍港の移設に市民は反対していますが、翁長氏は那覇市長当時から一貫して容認・推進してきました。米軍基地の県内移設という点では辺野古と変わらず、ダブルスタンダードの批判は免れません。

 ④   与那国・宮古・石垣の自衛隊基地建設・増強を容認

 県議会での再三の追及にもかかわらず、翁長氏は八重山地域への自衛隊増強について「住民の合意が重要」としながら、反対とは一言も言わず、事実上容認してきました。

 ⑤   日米安保条約を一貫して絶賛

 翁長氏は一貫して日米安保を賛美し、自らその擁護者であると公言してきました。例えば、辺野古訴訟の第1回口頭弁論(2015年12月2日)では、「日米安保体制を壊してはならない。日米安保を品格のあるものにする」と陳述しました。
 在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官(当時)との会談では、「日米が世界の人権と民主主義を守ろうというのが日米安保条約だ」(2017年11月21日付沖縄タイムス=写真右)とさえ言いました。

 冒頭の翁長氏に対する賛美・評価が事実に反していることは明白ではないでしょうか。

 重要なのは、こうした翁長県政に対する誤った評価は、「翁長県政を引き継ぐ」玉城デニー県政のもとでその弊害が増幅される危険性があることです。それは辺野古・高江に限らず、八重山諸島・本島への自衛隊増強、米軍と自衛隊の一体化が進む日米安保の深化に顕著に表れる恐れがあります。

 沖縄のみならず日本の平和・民主主義の市民運動の前進にとって、3年7カ月の翁長県政を科学的に分析し、正確な評価は下すことがきわめて重要です。


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名護市長選後に広がる危険な論調

2018年02月13日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

     

 名護市長選(4日)で「辺野古新基地阻止」を掲げた稲嶺進氏が敗れて1週間。「民意」を歪曲するような危険な論調が広がろうとしています。

 当選した渡具知武豊氏(自民、公明、維新)は「辺野古のへの字」も口にしなかったにもかかわらず、安倍首相は「名護市民に感謝したい」(5日)、菅官房長官は「選挙は結果が全てだ」(8日)と公言し、辺野古新基地建設を加速しようとしています。まさに詐欺的手法です。

 市長選時の「民意」はどうだったのか。出口調査の結果で改めて確認しておきましょう。

 <出口調査結果

 〇共同通信、琉球新報、沖縄タイムス3社共同調査…辺野古移設に反対=49・4%、どちらかといえば反対=15・2%、合計64・6
 
〇NHK調査…反対=52%、どちらかといえば反対=23%、合計75

 新基地建設反対が大多数の「民意」であることは、名護市長選の前後でなんら変わっていません。安倍政権はこの事実を完全に無視し隠ぺいしようとしています。

 問題なのは、この安倍政権に同調するような「論調」が広がろうとしていることです。

 「『世論が変わった。もう民意だけでは通用しない』。知事を支える側近の一人は強い危機感を口にした」(9日付沖縄タイムス)

 「『ただただ「反対、反対」というスローガンだけでは県民はついてこない。新基地ができてしまうなら…県益を引き出せるような交渉も検討すべきではないか』。知事周辺の一人はこう漏らした」(9日付琉球新報)

 「知事周辺の一人は『早期撤回(埋立承認の撤回―引用者)は国の思うつぼ早期撤回でと知事を追い詰めすぎると「2期目は出ない」という選択肢が出てくる』と警戒する」(同琉球新報)

 翁長氏が回避し続けている「承認撤回」をさらに遠ざけ、新基地建設を前提にした妥協交渉に入るべきだというのです。翁長氏は表向き「民意は生きている」(5日の記者会見)と言っていますが、こうした「側近」や「知事周辺」の声は翁長氏の本音を代弁していると言えるでしょう。

 翁長氏の「側近」や「周辺」だけではありません。

 沖縄タイムスは2日続けた社説でこう述べています。
 「翁長知事による埋め立て承認撤回に不透明さが増し…翁長知事は今後、公約である新基地阻止をどのように実現していくのか。…新たな方針を打ち出す必要がある」(5日付)
 「翁長雄志知事にとって、地元民意の後ろ盾を失った痛手は大きい。戦略の練り直しは急務だ」(6日付)

 一部の「識者」からも次のような声が出ています。

 「県民は新基地建設反対の民意を正確に反映させるための新たな方策(県民投票を含む)を模索しなければならなくなった」(6日付沖縄タイムス・新垣勉弁護士)

 「翁長県政も埋め立て撤回訴訟や県民投票のみに打開策を見いだそうとするのではなく…別のアプローチが必要だ」(10日付沖縄タイムス・屋良朝博沖縄国際大非常勤講師)

 こうした論調に共通点しているのは、辺野古新基地に反対し続けている「民意」への懐疑であり軽視です。
 普天間基地は無条件に直ちに閉鎖すべきというのが「建白書」の趣旨であり、新基地は造るか造らせないかで、その中間も「代替案」もありえません。

 繰り返しますが、大多数が新基地に反対している「民意」は、県民投票などするまでもなく変わらずに明白です。
 ではなぜそれが選挙結果に結びつかなかったのか。

 「『反対しても工事は止められない』とのあきらめムードが広がっている」(4日付沖縄タイムス社説)からであり、「市民の間には『知事は(基地建設工事のための)本部港の使用も認めた。工事阻止どころか進めている』との不満も根強い」(9日付琉球新報)からです。

 「『工事が進んでいる』ことが投票判断の決定的要因」であり、「稲嶺氏陣営は、工事の進行が翁長知事の承認取り消しの取り消しに発するとの根本的な矛盾の認識を欠落」(仲宗根勇・うるま市島ぐるみ会議共同代表、8日付琉球新報)させていたのです。

 名護市長選の結果が示していることは、「知事周辺」や沖縄タイムスの社説、一部「識者」の主張とは真逆に、翁長氏に「承認撤回」の公約の即時実行を迫り、今すぐ工事を止めて、「あきらめムード」を一掃することではないでしょうか。


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辺野古の現場から③ 「本土の日本人」にとって「辺野古」とは何か

2017年07月17日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

     

 「本土の日本人」は「辺野古」にどう向き合うべきなのか。今回の「辺野古」行きであらためて考えさせられました。

 キャンプ・シュワブゲート前の「休憩テント」で待機中に行われた参加者のスピーチから、お二人の発言(概略)を紹介します。いずれも「本土」からこられた方です。

 Aさん(男性)「私の父は戦時中、兵士として沖縄へ派遣される予定でしたが、幸い船が故障して沖縄に行かずにすみました。私の出身地・北海道から沖縄へ送られ戦死した人の割合は他府県に比べ大きいです。これは明らかに差別です」

 Bさん(女性)「夫婦で沖縄の旅を楽しみましたが、最後の2日は沖縄の人のためにがんばりたいと思って(辺野古に)来ました」

 いずれも大きな拍手を受けました。しかし、私はドキッとしました。
 お二人とも「沖縄」に対する熱い連帯の気持ちがあり、実際にそれを行動で示されています。多くの「本土の日本人」が「辺野古」に見向きもせず、まして現地へ行こうとなどとはしない中で。だから沖縄の人々に歓迎されたのでしょう。

 しかし、そんな意識の高い人たちから、こうした言葉がふつうに出てくることに、厳しい現実を目の当たりにする思いでした。

 沖縄に派遣されず沖縄戦で犠牲にならずにすんだのは確かに「幸運」だったかもしれません。では逃げることもできなかった沖縄の住民は?沖縄に多く派遣されたのが「差別」なら、沖縄とは何?そもそも沖縄戦とは?

 辺野古の埋め立て・新基地建設に反対するのは「沖縄の人のため」?
 
 もちろん、私にお二人の言葉(まして短いスピーチ)をとやかく言う資格はありません。ただ、辺野古新基地はじめ沖縄の基地に反対することが、「沖縄の人のため」だと考える(つい口に出る)ことは、大きな誤りであることは言わねばなりません。

 面積0・6%の沖縄に70%の米軍専用施設(基地)が集中しているのは、敗戦確実な中、天皇制(国体)護持のために沖縄が「捨て石」にされた結果であり、さらに「天皇メッセージ」(1947年)によって日米安保条約と引き換えに沖縄が米軍に差し出された結果です。さらに言うなら、明治天皇制政府の武力による「琉球処分」(1879年)以来の「構造的差別」の結果です。
 この「沖縄差別」が存続・強化されている責任は、私も含め、すべての「本土の日本人」にあります。
 辺野古新基地に反対することは「本土の日本人」自身の責任です。日常的な差別の犠牲の上さらに反対運動で多大な犠牲を被っている沖縄の人々に対し、私たち「本土の日本人」は申し訳ないと頭を下げねばなりません。

 では、「本土の日本人」は何をすべきなのか。

 普天間の代替基地は県外(本土)に移すべきだという「県外移設」論、これに呼応して「本土」の側からは「基地は本土に引き取るべきだ」という意見と運動があります。私は「県外移設」論にも「引き取る」論にも賛成ではありません(理由は別の機会に)。以前そのことを琉球新報に投稿したところ、「本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会」代表の里村和歌子さんから厳しい反論が投稿されました。

 「沖縄の人たちの身を切り刻ませているのは誰か。それは…すべての日本人だ。私たちは責任主体として県外移設の提言に真摯に向き合うべきだし、自らおぞましい加害者としての姿を目をかっぴらいて見つめるべきだ。そしてこの議論は「本土」でしていかなければならない

 私は今でも「県外移設」「引き取る」論には賛成ではありません。しかし、里村さんのこの指摘には全面的に同意します。「辺野古」を含め沖縄の基地をどうすべきなのか。それは「本土」でこそ議論しなければならない、「本土の日本人」自身の問題です。

 


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「加計学園問題」と「沖縄密約(外務省機密漏洩)事件」

2017年05月29日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

     

 加計学園の獣医学部新設をめぐる安倍首相の疑惑で、文科省の前事務次官・前川喜平氏が記者会見(25日)で「総理のご意向」とした文書は「本物に間違いない」と証言したことは、余人の「証言」とは比較にならない爆弾証言です。にもかかわらず、安倍政権は前川氏の証人喚問や文書の再調査さえ拒否し、逃げ切ろうとしています。

 なかでも聞き捨てならないのは、菅義偉官房長官の前川氏に対する個人攻撃です。
 菅氏は26日の記者会見で、午前、午後の2度にわたり、読売新聞(22日付)が報じた「出会い系バー通い」についての前川氏の釈明をとりあげ、「考えられない」「強い違和感を覚えた。多くの方もそうだったのではないか」などと述べました。

 「加計学園問題」と前川氏の「出会い系バー通い」が、何の関係もないことは言うまでもありません。にもかかわらず官房長官が再三これに言及したのは、前川氏のイメージダウンを図り、「加計学園」に関する会見の内容も否定しようとするきわめて愚劣なやり方です。

 菅氏の会見、さらにその呼び水となった読売新聞の記事(問題の「文書」の出どころは前川氏と察した読売あるいは官邸によるスキャンダル記事)で想起されるのは、「沖縄返還」をめぐる日米政府の「密約」事件。密約公電を暴露した西山太吉毎日新聞記者(当時)が攻撃された「外務省機密漏洩事件(いわゆる西山事件)」です。

 1972年の「沖縄返還」に際し、本来アメリカが負担すべき「軍用地の原状回復補償費」400万㌦(当時のレートで約12億円)を日本側が肩代わりするという「密約」が交わされました。同年3月の国会で追及されましたが、佐藤栄作内閣(当時)は頑として否定。そこに「密約」を証明する外務省の機密公電が明らかになりました。暴露したのが西山氏でした。西山氏に資料を渡した外務省女性事務官(当時)と西山氏は「国家公務員法違反」で逮捕。裁判では当初「密約」の存在や「国民の知る権利」「報道の自由」が争点になりましたが、途中から西山氏と女性事務官のスキャンダルに論点が大きく転換され、肝心の「密約」は後景に追いやられました。

 そのきっかけを作ったのは東京地検の起訴状。書いた佐藤道夫検事(当時。のち参院議員)はのちに、「『ひそかに情を通じて』という言葉を私が思いつくと、幹部は喜んでね。(中略)『これはいい』と(検事)総長が言ったのを、今でも覚えていますよ」(2005年5月15日付朝日新聞)と、国家権力による論点そらしを自画自賛しました。

 この問題を一貫して注視してきた作家の澤地久枝さんは、「問題の核心は、取材者が男女の仲となった情報源から機密を入手していたことではない。国家が国民を欺いて密約を結んだことにある」(諸永裕司著『ふたつの嘘ー沖縄密約』講談社より)と指摘しています。

 菅氏の前川氏に対する個人攻撃や読売新聞の「スキャンダル」記事は、「密約」事件の焼き直しです。国家権力(およびその゛手先”)が考えることは、40数年前も今も変わらないものだと痛感します。
 
 問題は「国民」の方です。「密約」事件の時、当初「知る権利」「報道の自由」を前面に掲げていたメディアは、佐藤検事の起訴状以後、一気に「男女のスキャンダル問題」へ傾斜していきました。当の毎日新聞自体、西山氏を最後まで守ることができませんでした。結果、肝心の「密約」はあいまいになり、国家権力(佐藤政権)の思うツボとなりました。
 この苦い歴史を繰り返すことはできません。国家権力のやることは変わらなくても、私たちは過去の教訓から学び、変わる必要があります。

 その後、「密約」の存在は米公文書などで明らかになりましたが、日本政府は一貫して認めようとしていません。これに対し、学者やジャーナリストらが原告となって、政府に情報開示を求める訴訟が起こされました(2008年)。原告の1人、奥平康弘氏(憲法学)はこう述べています。

 「沖縄における日本国主権の回復は…どのような経緯(交渉、駆け引き、妥協、決定など)を経て成立したのかという情報をわれわれ国民は、欠けることなく『知る権利』を有しています。なぜならば、こうした背景情報無しには全島基地化されている沖縄の原状が抱える諸問題を、われわれ市民は正しく理解できないからなのです」(諸永氏著前掲書より)

 「加計学園問題」と「沖縄密約事件」は、国家権力が「スキャンダル」で論点をそらそうとしている点で似ていますが、根本的な共通点は、いずれも本来公表されるべき「文書」・真実が、国民に隠されているということです。
 問題の核心は、「国民の知る権利」であり、その根幹の「主権在民」です。


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那覇空港でまた空自機事故、翁長知事はなぜ抗議しないのか

2017年01月31日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

     

 30日午後1時20分ごろ、那覇空港の滑走路で航空自衛隊那覇基地所属のF15DJ戦闘機の前輪タイヤが脱輪し、滑走路は1時間50分にわたって閉鎖、40便が欠航し、8400人超が影響を被る事故が発生しました。

 自衛隊と民間航空が同じ滑走路を使う「軍民共用」の那覇空港の危険性があらためて浮き彫りになっています。

 事故自体の問題とともに見過ごせないのは、沖縄県(翁長雄志知事)が事故を起こした航空自衛隊に対し一言の抗議もせず、原因究明の要求も行っていない(沖縄タイムスにも琉球新報にも1行もない)ことです。

 「抗議」どころではありません。翁長氏は偶然この日、那覇空港からアメリカへ向かい、出発前に県庁と空港で2回記者会見しましたが、いずれの会見でも空自の事故については一言も触れませんでした。特に空港での会見は、ダイヤの乱れでロビーがごったがえしていたころです(写真中)。にもかかわらず翁長氏は事故について触れなかったのです(言及していればタイムス、新報は当然報じるでしょう)。

 これはきわめて奇異な態度と言わねばなりません。県知事として事故を起こした航空自衛隊に抗議し、事故原因の究明を要求し、迷惑を被った市民・観光客に謝罪するのが当然ではないでしょうか。

 県は相次ぐ米軍機事故に対しては、即座に抗議し、原因が究明されるまで飛行停止を要求するのが通例です。米軍機事故に対する対応と自衛隊機事故に対する対応は明らかにダブルスタンダードです。なぜ空自には「きわめて遺憾。原因が究明され再発防止策がとられるまで那覇空港の使用を認めない」と言えないのでしょうか。

 根底には、自衛隊に「感謝状」を贈る(2016年10月22付琉球新報)ほどの翁長氏と自衛隊の蜜月関係があるでしょう。翁長氏だけでなく、歴代保守県政の下で自衛隊は野放し状態ではないでしょうか。
 今回の事故原因についても、空自那覇基地は「調査中」としながら、「今後の原因公表について『これまでも公表しておらず、検討したい』と述べるにとどめた」(31日付沖縄タイムス)という態度です。

 「軍民共用」の那覇空港は、年間の離着陸回数が15万5千回以上(2015年)で、羽田、成田、福岡、関西に次いで国内第5位。最盛期は1日500回以上の離着陸がある超過密空港。自衛隊機の事故による滑走路閉鎖は、2000年9月以降今回を含め11回発生しています。
 そのうえ、航空自衛隊那覇基地は2016年1月、第83航空隊を第9航空隊に新編成し、F15を20機から40機に倍増。那覇空港事務所によると、第9航空団発足後は自衛隊機の滑走路使用が増加しています(31日付琉球新報より)。

 「軍民共用」の危険性は滑走路だけでなく、民間機より自衛隊機が優先されている(民より軍)ため、空港の近くでは民間機が超低空飛行を余儀なくされていることにも表れています。

 こうした那覇空港の危険性が、安倍政権の日米軍事同盟強化、自衛隊増強政策によってますます増大しています。

 政府、沖縄県は那覇空港の「過密対策」と称して「第2滑走路」の建設をすすめていますが、専門家はそれは改善策にはならず逆に問題が発生すると指摘しています。

 「日本航空(JAL)沖縄支店の渡部勝磨支店長は、2020年春に第2滑走路が使えるようになっても、自衛隊機による事故の不安は拭えず、むしろ一層大きな混乱が予想されるとみる。『今回のような脱輪事故が2本の滑走路を結ぶ誘導路で起きれば、2本とも使えなくなる。着陸先を見つけられない便も出てくるだろう』」(31日付沖縄タイムス)

 那覇空港の安全は、利用者・県民の生命に直結し、沖縄の観光にとっても死活問題です。「長時間の足止めを余儀なくされた利用客」から「怒りの声」が上がりました。「自衛隊と共用だから、こんなことが起きる」(31日付沖縄タイムス)

 根本的には自衛隊という軍隊の縮小・解散改組をめざすべきですが、仮に自衛隊の存在を認めるとしても、那覇空港の「軍民共用」の見直しは避けて通れません。空自の事故に抗議も原因究明要求も行わない翁長氏に、それができるでしょうか。

 「軍民共用」の那覇空港の危険性、その増大は、宮古島、石垣島、与那国島など八重山諸島への自衛隊配備問題と根は1つであることも銘記する必要があります。


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宮古島市長選惜敗、翁長知事の責任は重大

2017年01月23日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

      

 22日投開票された宮古島市長選で、自衛隊配備に反対する奥平一夫氏は推進派の現職・下地敏彦氏(写真左)にわずか375票差で惜敗しました。勝てるチャンスをみすみす逃した「オール沖縄」陣営、とりわけ翁長雄志知事の責任はきわめて重大です。

 一方、同時に行われた市議補選(2議席に4人立候補)では、自衛隊配備反対の先頭に立っている石嶺香織さん(「てぃだぬふぁ島の子の平和な未来をつくる会」、写真右)が当選しました。自衛隊配備に反対する市民の声を反映したもので、今後の石嶺さんと市民の活動がいっそう注目されます。

 奥平氏の最大の敗因は、下地晃氏との分裂選挙になったことです。翁長氏と「オール沖縄」はその点について市民・県民に説明責任を果たすべきでしたが(14日のブログ参照)、口をつぐんだままでした。さらに、その後の「安慶田副知事の口利き疑惑」に対する翁長氏や「オール沖縄」陣営の不誠実な対応も影響したことは否定できません。
 翁長氏の重大な責任をあらためて列挙すれば、次の通りです。

 ★翁長氏は「オール沖縄」の分裂に拍車をかけた。

 翁長氏はたんに分裂した一方(奥平氏)を支援しただけではありませんでした。

 「翁長雄志知事サイドは選考委員会が決定した下地晃氏の擁立をいったんは追認したが、奥平一夫氏が出馬を決め勢いを増すと方針を転換。社民や社大が推す下地晃陣営ははしごを外された形となり、知事が奥平氏支援を表明し宮古島入りしたことが亀裂を広げる方向に作用した」(23日付琉球新報)

 翁長氏はいったん下地晃氏の擁立を追認しながら、勝ち馬に乗ろうとして奥平氏に乗り換え、「亀裂を広げ」たのです。翁長氏は分裂に拍車をかけた張本人だと言わねばなりません。

 ★「自衛隊配備容認」の翁長氏の支援は「配備反対」の奥平氏の足を引っ張った。

 奥平氏の最大の政策が「自衛隊配備反対」であったことは言うまでもありません。ところがその奥平氏を支援するとして2度も宮古島を訪れた翁長氏は、この最大争点について「賛否明言せず」(10日付琉球新報)の姿勢を貫きました。これまでの言動から、翁長氏が自衛隊配備を容認していることは周知の事実です。

 「自衛隊配備反対」の金看板でたたかう奥平氏を、「自衛隊配備容認」の翁長氏が支援する。このわかりにくさ、ねじれ現象が奥平氏の足を引っ張ったことは明白でしょう。

 ★「安慶田副知事疑惑」にほうかむりした翁長氏。

 選挙中に突然降ってわいた安慶田光男副知事の「口利き疑惑」。それについては報道側の問題も指摘せざるをえませんが(19日のブログ参照)、翁長氏の対応が市民・県民の不信感を増幅したことは否定できません。
 翁長氏がこの問題で正式に見解を表明したのは、20日の定例会見でした。そこで翁長氏はこう述べました。

 「安慶田副知事に確認したところ、教育委員会への働き掛けを行った事実はないということだ」(21日付琉球新報「一問一答」)
 「今後調査はするか」との質問には、「副知事も職員も信頼しつつ県民の理解も得ながらやるにはどうしたらいいのかと考えている」(同)と答えただけで、調査するとは言いませんでした。

 自ら任命し「腹心」といわれる安慶田副知事に対する重大な疑惑です。調査を行うこと、しかも第三者による公正な調査を行って真相を明らかにすることは、任命権者としての翁長氏の最低限の責任でしょう。にもかかわらず翁長氏は、安慶田氏本人の話だけで幕を引こうとしているのです。

 「分裂選挙」や「自衛隊配備の賛否」についての説明責任を果たさず、さらに「安慶田氏疑惑」でも真相究明の責任を果たそうとしない翁長氏の「応援」が、奥平氏の足を引っ張ったことは明白ではないでしょうか。

 翁長氏と「オール沖縄」陣営は、今回の選挙結果を重く受け止め、真剣な総括を市民・県民の前に明らかにし、その責任を明確にする必要があります。


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翁長知事・「オール沖縄」陣営は宮古島市長選で説明責任果たせ

2017年01月14日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

       

 宮古島市長選挙(15日告示、22日投開票)は、安倍政権が強行を図る陸上自衛隊配備計画への賛否が最大の争点で、全国的に重要な意味を持っています。

 配備を推進する現職の保守陣営が分裂するなか、「自民党内部での世論調査で、保守が分裂した場合、オール沖縄勢力の候補が有利になるとの結果が出ているという」(11月22日付沖縄タイムス)ほど、保守市政を転換する絶好のチャンスです。

 ところが、その「オール沖縄」陣営の方も分裂選挙になろうとしています。しかも、その分裂の経過がきわめて不明瞭です。「オール沖縄」陣営、そして分裂の一方の支持・支援を明らかにした翁長雄志知事には、分裂の経過・理由と政策の相違について、宮古島市民のみならず県民、「国民」に明確な説明責任を果たす義務があります。

 「オール沖縄」が分裂選挙に至る主な経過は次の通りです。

 11月7日 候補者選考委員会で下地晃氏(医師)の擁立を決定
  同17日 奥平一夫氏(前県議)が出馬表明(11月22日正式に出馬会見)
 1月7日 選考委員長だった下地学氏「知事がどちらか片方に肩入れすることはオール沖縄の今後に大きなリスクをもたらす」(8日付琉球新報)
  同9日 翁長知事が宮古島で奥平氏を支援(写真左。10日付沖縄タイムス)

 以上の経過から、翁長氏と「オール沖縄」陣営は、少なくとも次の5点について明確な説明を行う必要があります。

 ①分裂の原因=「選考のあり方への疑問」とは何か。

 奥平氏は出馬会見(11月22日)で、「出馬の理由は『市政刷新』とオール沖縄勢力の選考委員会の『選考のあり方への疑問』だと主張」(11月23日付沖縄タイムス)しました。しかし、その「疑問」の具体的な内容は明らかに(報道)されませんでした。
 「選考のあり方への疑問」とは由々しき問題です。それが分裂の原因であればなおさらです。奥平氏および同氏を支持する翁長氏、党派は「選考のあり方への疑問」の内容を具体的に明らかにする必要があります。それに対して選考委員会は反論(説明)する義務があります。

 ②社民党、社大党が下地氏、共産党、自由党が奥平氏を支持する理由はそれぞれ何か。

 「オール沖縄」陣営の各党の態度は、社民党、社大党が下地氏支持、日本共産党、自由党が奥平氏支持(ちなみに民進党も奥平氏)と、完全に真っ二つです。
 各党がそれぞれの候補者を支持する理由は何なのか。共産党などはなぜ選考委員会が決めた下地氏ではいけないのか。

 ③翁長氏が奥平氏を支持・支援する理由は何か。

 翁長氏が奥平氏を支持・支援する「理由」は、「県知事選での協力や元与党県議として県政を支えた功績」(9日付沖縄タイムス)だといいます。これでは説明になっていません。知事選での協力や県政を支えたのは「オール沖縄」です。その選考委員会が正式に候補に決めたのが下地氏です。翁長氏が下地氏を支援するならまだわかりますが、そうではなくてなぜ奥平氏なのか。

 ④翁長氏は奥平氏の「自衛隊配備絶対反対」に賛同するのか。

 最大の争点である陸自配備について、奥平氏は4人の中で唯一、「絶対に認めない」(8日付沖縄タイムスなど)と明確です。
 ところが翁長氏は9日、奥平氏を支援するために訪れた宮古島で記者団に、「地元でもさまざまな意見がある。市民の判断を見守りたい」(10日付琉球新報)と述べ、賛否を明らかにしませんでした。
 賛否を明確にしないのは下地氏も同じです。陸自配備に関する翁長氏の姿勢は奥平氏ではなく下地氏に近いのです。翁長氏が陸自配備ついて賛否を明らかにしないまま「絶対反対」の奥平氏を支援するのは有権者を偽るものです。
 奥平氏を支持・支援する以上、翁長氏は奥平氏の「陸自配備絶対反対」も支持するのが当然ですが、その点はどうなのか、明確にしなければなりません。

 ⑤「選挙が終わったらノーサイド」とはどういうことか。

 分裂選挙の一方を支援することについて翁長氏は9日、記者団にこう述べました。
 「オール沖縄関係者で会合を開き、選挙が終わったらノーサイドで頑張ろうと確認した。私の決意は理解してもらえると思う」(10日付琉球新報)

 驚くべき発言です。選挙では分裂するが、投票日の後は「ノーサイド」、また元の鞘に収まろうというわけです。
 分裂選挙の経過や理由は明らかにせず、重大争点の陸自配備についてもあいまいなままにし、選挙が終わったら何事もなかったことにする。それではいったい宮古島市長選挙とはい何なのですか。何のための選挙なのですか。あまりにも有権者・市民を愚弄していると言わねばなりません。
 それを「オール沖縄関係者の会合」で「確認した」というのですから、翁長氏だけでなく「オール沖縄」陣営全体の問題です。
 
 陸上自衛隊配備計画に明確な「ノー」を突きつけるべき重要な市長選です。だからこそ、翁長氏と「オール沖縄」陣営は、以上の5点について明確に説明する重大な責任があります。


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高江・反対住民排除に手を貸す翁長氏

2016年03月29日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

   

 「高江ヘリパッド」に関する翁長知事の背信行為は、建設容認だけではありません。重大なのは、安倍政権(国家権力)による強権的な反対住民排除に協力しようとしていることです。

 23日の「第1回和解後協議」で、菅官房長官は翁長氏に対し、ヘリパッド建設に反対している住民(写真左ー2013年撮影)の車両撤去に協力を求めました(写真中)。これに対し、翁長氏はこう答えました。

 「県としても今日までの口頭の指導で道路法に違反しているのでどくように話しているが、法律の内容で強制的に執行することは、全国的に難しいところだが、いずれにしろ文書指導をしていきたいという話はした」(24日付琉球新報)

 この点について会談後の記者会見で、「北部訓練場のヘリパッド新設が反対運動などで進んでいない。県は排除に協力する姿勢か」との質問に、菅氏は、翁長氏が「オスプレイ」の問題を出しながらも、「適宜協力する」(同琉球新報)と述べたことを明らかにしています。

 27日の中谷防衛相との会談でも中谷氏から同様の要請があり、翁長氏は「会談後、違法駐車に対しては新たに文書で指導する考えを記者団に示した」(28日付琉球新報)といいます。

 安倍政権は辺野古の代執行訴訟で「和解」(4日)が成立して以降、高江のヘリパッド強行の動きをいちだんと強めています。翁長県政幹部も、政府が「辺野古を止めている間、北部訓練場に全勢力を注いできている」(18日付琉球新報)と認めています。「和解」による「辺野古埋め立て工事」の一時中止が手放しで喜べないことはこのことからも明らかです。

 政府・防衛局はこれまで県に対して「任意の要請」という形で反対住民の車両撤去を求めていましたが、14日には防衛局職員がゲート前に出向き、直接撤去を迫るとともに、監視カメラを設置しました。さらに17日には行政手続法に基づいく文書で県に撤去を要求しました。

 菅氏や中谷氏の「協力要請」はこうした流れの中で行われたものです。それに対して翁長氏は、これまでの「口頭」から今後は「文書」で反対住民に撤去を求めると答え、政府への協力姿勢をさらに強めることを約束したのです。

 反対住民・市民を実力で排除しようとするのは辺野古でも日常的に行われていることです。県公安委員長の任免権を持つ知事は、県警の「過剰警備」をやめさせるべきですが、翁長氏は一貫して傍観してきました。それはいわば政府への「消極的協力」ですが、高江住民に対しては「積極的協力」の姿勢をとろうとしているのです。

 沖縄防衛局は高江の反対運動に打撃を与えるため、「通行妨害」を口実に国が住民を訴えるという言語道断の手段(スラップ訴訟、2008年11月)まで使いました。反対運動を抑えるためには国家権力は手段を選びません。
 その国家権力の実力排除に、翁長氏は手を貸そうとしているのです。


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オスプレイでなければ「高江ヘリパッド」は許されるのか

2016年03月28日 | 沖縄・安倍政権・翁長知事

   

 27日の会談で中谷防衛相が東村高江のヘリパッド(離着陸帯)の建設への「協力」を求めたのに対し、翁長知事は「オスプレイが運用される限り、建設計画は容認しない考えを示した」(28日付琉球新報)といいます。

  これは正確ではありません。なぜなら、会談後の会見で翁長氏の真意を確かめるため記者が「『高江でのオスプレイの運用を止めるべきだ』か、『オスプレイが運用される限り、ヘリパッドを造るべきではない(琉球新報の記事ー引用者)』か。どちらか」と聞いたのに対し、翁長氏はこう答えたのです。
 「両方、その意味ではこれから一つの考え方として議論する必要があるだろうし、それにまた限らないとも思う」(28日付琉球新報「一問一答」)
 質問の前者(「高江でのオスプレイの運用を止めるべきだ」)であれば、高江ヘリパッド建設自体には反対せず、建設後にオスプレイの運用について協議することになります。これは「高江ヘリパッド容認」論にほかならず、翁長氏はそれを否定していないのです。

 さらに根本的に重要なことは、仮にオスプレイが運用されなければ、高江ヘリパッド建設は容認されていいのか、ということです。
 オスプレイ撤去の必要性は言うまでもありませんが、高江のヘリパッド建設が許されないのはそれがオスプレイの基地になるからだけではありません。オスプレイが運用されようとされまいと、高江ヘリパッド建設は絶対容認できるものではありません。

 第1に、「高江ヘリパッド」は新たな軍事基地建設にほかならないからです。
 SACO(日米特別行動委員会)は「米軍北部訓練場の過半の返還」の条件として高江の7個所(のちに6個所)のヘリパッド建設を要求しました。翁長氏は中谷氏との会談で「SACO合意の着実な実施は県も求めている」(28日付琉球新報)と改めて表明しました。しかし、そもそも北部訓練場は無条件に返還されるべきであり、引き換えに新たな基地(ヘリパッド)を要求すること自体認められるものではありません。

 第2に、ヘリパッド建設は、高江住民の命と「健康で文化的な生活」(憲法25条)を脅かす憲法違反の暴挙だからです。
 墜落の危険や日常的な爆音被害がオスプレイだけのものでないのは言うまでもありません。たとえば、沖縄国際大学に墜落(2004年8月13日)した米軍ヘリはCH53D型機でした。キャンプハンセンに落ちた(2013年8月5日)米軍ヘリはHH60型機でした。オスプレイに限らず、軍事基地がある限り、住民は生命と健康の危機にさらされるのです。

 第3に、高江ヘリパッドと進入路の建設はやんばるの森(写真左)の貴重な自然を破壊するからです。
 WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)によれば、ヘリパッド建設予定地とその周辺には4000種を超える野生生物が記録されています。その中にはノグチゲラ、ヤンバルクイナなどそこだけに生息する固有種、絶滅の恐れのある種が数多く含まれています。「ヘリパッドの建設と軍用機による訓練は、自然破壊と野生生物へきわめて大きい影響をおよぼす…世界の非常識」(WWF「米軍北部訓練場のヘリパッド建設の中止を求める」2007年6月14日)なのです。

 そうです。「高江ヘリパッド」と「辺野古新基地」はまったく同じ構図、同じ根っこなのです。高江のやんばるの森は辺野古の大浦湾であり、高江の北部訓練場は辺野古の普天間基地にほかなりません。オスプレイのいかんにかかわらず「辺野古新基地」は反対であるのと同様に、オスプレイが運用されようとされまいと「高江ヘリパッド」には反対しなければなりません。
 「辺野古新基地反対」と「高江ヘリパッド建設反対」はまさに一体なのです。

 ところが翁長氏は「オスプレイ撤去」というだけで高江ヘリパッド自体には反対しない、いいえむしろ容認し、「着実な実施」を求めているのです。このようなダブルスタンダードはけっして許されるものではありません。

 「高江」に対する翁長氏の許されざる言動はこれだけではありません。それについては明日書きます。


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