アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「3・11」被曝・人権侵害は現在進行形

2018年03月10日 | 原発・放射能

       

 あすで「3・11」から丸7年。多くの問題に直面していますが、その根底には、「復興」キャンペーンで「3・11」を過去のことにし、深刻な実態や政府・東京電力の責任を隠ぺいしようとする安倍戦略があります。日々の生活に埋没し「3・11」から目をそらして「忘却」に逃れようとしている私たちの生き方も問われています。

 国際環境NGO・グリーンピースは今月1日、「福島原発事故7周年」を前に、「福島を振り返る:7年間続いている災害」と題する報告書を発表しました。グリーンピースの専門家らによる調査チームが、昨年9月と10月に福島で行った現地調査をもとにしたものです。韓国の「ハンギョレ新聞」(1日付)がその内容を詳しく報じています。以下、同紙の記事から抜粋します。(写真左は昨年5月撮影した浪江町)

 日本政府が昨年3月、避難指示を解除した福島県浪江町と飯館村地域の家や森、道路、田畑など4万8000地点で空間放射線量率を測定した結果、日本政府が実施してきた除染作業があまり効果がなかったことが明らかになった

 除染作業が完了した飯館地域の場合、6世帯のうち4世帯から日本政府の長期目標の平均3倍に達する放射線数値が測定され、一部の地点では2015年よりさらに高いレベルの放射線が測定された。再汚染の結果と推定される。

 浪江地域にある学校近くの森では、一般人の年間被曝限界値である1㍉シーベルトを大きく上回る10㍉シーベルトの放射線が測定され、除染作業が生徒たちの被曝の危険を大きく減らすことはできなかったことが分かった。

 福島原発から20㌔離れた浪江地域の大堀村では、年間被曝量101㍉シーベルトに該当する放射線量が測定された。限界値の100を超える。

 このような調査結果は、避難指示が解除された汚染地域に戻って暮らしていたり、暮らすことになる市民たちが深刻な危険にさらされていることを示している。

 調査チームを率いたグリーンピースのヤン・バンダ・ブッダ氏は「戻った市民らの状況は、毎週1回胸部レントゲンを撮るのと同じだ。これは容認できない深刻な人権侵害だ」と話した。

 グリーンピースは、調査結果は日本政府が設定した除染目標(年間1㍉シーベルト、時間当たり0・23㍃シーベルト)が、避難指示をすでに解除した地域では少なくとも21世紀半ばまで、まだ避難区域である地域では22世紀まで、達成されるのは難しいことを示すものだと明らかにした。

 このような状況にもかかわらず、日本政府は避難民たちに対する支援を中断し、汚染地域に帰還させる政策を推進してきた。それでも帰還率が浪江地域は2・5%、飯館地域は7%(昨年12月現在)にとどまると、除染作業の目標である長期放射線量率基準を高めるための検討に着手し、国連国際人権理事会(UNHRC)から昨年11月、避難民の人権を尊重せよという勧告まで受けた、とグリーンピースは説明した。(1日付ハンギョレ新聞より)

 放射能汚染の深刻な実態を示すのはグリーンピースの調査だけではありません。

 7日放送されたNHKスペシャル「被曝の森」は、福島原発に近い赤宇木(あこうぎ)地区の調査の結果、土壌の91・5に放射性セシウムが分布しており、それが鳥や虫に移る「汚染の循環」が起こっていること(写真中)、さらに、生息する野生動物(ニホンザルなど)に重大な染色体異常(二動原体)が起こっていることが明らかになりました(写真右)。

 調査した日本の専門家は、「すごく複雑な異常が起こっている」「未知の領域に入り込んでいるということだ」と口ぐちに放射能汚染、とりわけ内部被曝が人間(現在の科学)では解明も制御も不能であることを認めました。そして、こう断言しました。

 「(原発)事故は過去のものだが、被曝は現在進行形だ

 グリーンピース日本事務所の鈴木かずえさんは「日本政府は避難民を強制帰還させることを直ちに止め、国連の勧告案を履行しなければならない」と強調します(ハンギョレ新聞、同前)。

 私たちは、こうした深刻な放射能汚染、安倍政権の重大な人権侵害の現在進行形の中で生きていることを、片時も忘れることは許されません。


問題は「エンブレム」より「フクシマ」

2015年09月03日 | 原発・放射能

   

 東京五輪・パラリンピックのエンブレム白紙撤回問題で、韓国紙・朝鮮日報電子版は、「(五輪を通じて)東日本大震災の後遺症を払拭し、軍事、経済強国の復活を宣言しようとした安倍政権は苦しくなった」と解説しました(3日付中国新聞=共同)。
 イギリスBBC放送電子版も、「日本は五輪開催国として信頼できるとみられていたが、新国立競技場の見直し問題も含め、ぶざまな成り行きになった」と報じました(同)。

 確かに、新国立競技場の白紙撤回に続くエンブレムの白紙撤回は、日本政府と五輪組織委員会などの杜撰さ、無責任さを露呈しました。当事者は今なお責任回を繰り返していますが、少なくとも森喜朗組織委会長(元首相)は責任をとらねばなりません。

 ところで、新国立競技場やエンブレムは目に見える分かりやすい事例ですが、「東京五輪」をめぐる安倍政権の最大の失態、無責任は実はほかにあるのではないでしょうか。メディアもとりあげなくなっていますが、それは競技場や標章の比ではなく、重大で深刻な問題です。そうです、東京電力福島第1原発事故による放射能汚染です。

 東日本大震災からまだ2年半しかたっていない2013年9月7日に行われた五輪誘致のプレゼン(ブエノスアイレス)で、安倍首相はこう述べました(写真中)。
 「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています(the situation is under control―引用者)。東京にはいかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも及ぼすことはありません」(組織委員会HPより)

 これが五輪誘致の際の安倍首相の国際的公約でした。とんでもない大ウソです。
 「アンダー・コントロール」どころか、原子炉内部がどういう状況になっているのかさえ、いまだにつかめていません。汚染水は海に垂れ流しです。廃炉に向けた燃料デブリ(溶け落ちた核燃料混合物)の除去は東電の計画からさえさらに3年以上遅れると公表せざるをえませんでした。

 その一方で、放射能による健康被害、異常現象がますます深刻になっています。
 福島の子ども(14歳以下)約38万5000人中127人に甲状腺がんの疑いがあり(全国平均の約300倍の比率)、心不全、狭心症、白内障、異常出産なども急増しています(守田敏也氏の講演資料より)。

 放射線医学総合研究所などの研究グループは先日、帰還困難区域の福島県大熊町と浪江町の山林に自生するモミの木に、幹が伸びない異常が増えているという調査結果を発表しました。研究グループの責任者は「今回の調査結果は放射能が原因の一つである可能性を示している」(8月30日付中国新聞)と指摘しています。

 こうした放射能の現状・影響に対し、安倍政権な何の手も打っていません。それどころか逆に、原発を再稼働させ、自主避難者の住宅援助を打ち切るなど、放射能対策に逆行することばかりに血道をあげています。

 なにが「アンダー・コントロール」でしょうか。
 ことは競技場やエンブレムと違い、金で修復できる問題ではありません。人の命の問題です。2020年までに福島第1の状況はさらに悪化し、内部被曝をはじめとする放射能被害もいっそう拡大することは目に見えています。
 日本政府はこのまま安倍首相の大ウソに口をつぐみ、世界中からオリンピック・パラリンピック選手、関係者、そして観客を、放射能汚染の東京・東日本へ招き入れるつもりでしょうか。

 新国立競技場、エンブレムに続き、ほんとうに白紙撤回しなければならないのは、安倍首相がウソで誘致した「東京五輪」そのものではないでしょうか。


映画「スーパーローカルヒーロー」が欧州で共感よぶ訳は?

2014年11月08日 | 原発・放射能

     

 広島県尾道市発の映画「スーパーローカルヒーロー」が、先月ワルシャワ映画祭に招待されました。監督の田中トシノリさん(写真右、福山市出身)がメルマガで、たいへん好評だったと報告してくれました。

 この映画については6月3日のこの「日記」で書きました(ぜひご覧ください)。私も映画を見て感動し、そのあと田中監督や「主人公」の信恵(のぶえ)勝彦さん(写真左)とお話しして意気投合したので、欧州での好評がとてもうれしいです。

 ごく「普通の庶民」の行動を追ったドキュメントのこの映画が、なぜワルシャワや、そのあと訪れたベルリンで見る人の心をとらえたのでしょうか。

 信恵さんは尾道駅前で無農薬野菜やCDなどを売る小さな雑貨店(写真中央)を営んでいます。それだけでは食べていけないので、毎日新聞配達のアルバイトをしながら活動しています。
 活動の中心は、インディーズアーティストたちの支援であり、「3・11」福島原発事故避難者の移住の世話です。
 もちろん無償で、「月光仮面」の異名をとるほどの腰の軽さで、文字通り献身的に動きまわっています。

 田中さんの報告によれば、「上映が終わる度に大きな拍手とたくさんの質問や感想」が出され、「涙を流す人も多数」だったといいます。

 ポーランドの隣はウクライナ。ワルシャワとチェルノブイリは、ちょうど東京と尾道の距離に相当するとか。田中さんは、ワルシャワの観客の中に「今の日本の現状への危惧と、避難している方への複雑な思い」があったのではないかと振り返ります。

 原発事故の恐怖、放射能汚染への危惧という共通の問題意識が、映画への共感を広げた要因だったことは確かでしょう。

 でも、それだけではないと思います。なぜなら、この映画のテーマが原発問題だけではないからです。
 ワルシャワ、ベルリンでの上映成功を受けて、田中さんはこう述べています。
 「『いのちの肯定』といういう選択や、『音楽の本来の役割』、そして『一人ひとりがすべきことをする生き方』を考え、行動するきっかけをつくっていければと思っています」

 「自分ができることをする」、「『ローカルヒーロー』とは信恵さんのことではない。私たちの周りで頑張っている一人ひとりのこと」(田中さん)という映画のテーマが、欧州の人々の心をとらえたのではないでしょうか。

 そのことに国境を超えて共感し合えたことが、とてもうれしく、励まされる思いです。

 田中さんはこの映画を自主上映だけでなく、全国の劇場でも公開できるように、ネットで募金を呼び掛けています。詳しくは特設サイトへ。
 https://motion-gallery.net/projects/superlocalhero
 近くで上映される時はぜひご覧ください。

<気になるニュース>

 川内原発再稼働、若者ほど「賛成」多数!?

 「3・11」以後初の原発再稼働が鹿児島県・川内原発で強行されようとしています。8日朝のNHKニュースで、その賛否を問う現地の世論調査の結果が報道されました。

 それによると、年齢が若いほど「賛成」が多く、高年齢になるほど「反対」が多い結果でした。20代の「賛成」はなんと約75%にのぼったといいます。この結果は何を意味するのでしょうか。

  幼い子どもたちへの放射能被害を考えると、結果は逆になってしかるべきだという気がするのですが。
 高齢者に「反対」が多いのは、「どんな社会を遺すのか」という高齢者ならではの使命感ではないでしょうか。
 では若年層に「賛成」が多いのは?
  一言では片づけられない問題が横たわっていると思います。

 


原子力―大学・メディア取り込む米戦略

2014年10月21日 | 原発・放射能

 18日のETV特集で、「ヒロシマ―爆心地の原子力平和利用博覧会」が放送されました。
 1956年5月27日~6月17日、広島で「原子力平和利用博覧会」が開催されました。それが、ビキニ水爆実験(1954年3月)で高まった原水爆禁止の世論・運動を懐柔するためのアメリカの戦略であったことは、知られている事実です。
 今回の番組はその仕掛け人であるアボル・ファズル・フツイ広島アメリカ文化センター館長(当時=写真中央)に焦点を当てたものです。
 
 当時アメリカはまず原爆資料館をターゲットにしました。原爆の残酷さを示す物品を展示した資料館をアメリカは「ホラーミュージアム」と呼び、なんとか展示内容を変えさせようとしたのです。
 その使命を帯びて1952年日本に赴任したフツイは、自ら尺八、妻が琴や料理教室などで日本人・広島県人との「親近感」をつくりだすことに家族ぐるみで注力しました。
 
 そんな中、1953年8月、ソ連が第1回水爆実験。それをうけ、同年12月アイゼンハワー米大統領が水爆実験実施のために「原子力の平和利用」というカムフラージュを大々的にぶち上げました。そのための手段にしたのが「原子力平和利用博覧会」です。
 日本でその旗振り役を務めたのが、正力松太郎(読売新聞社長)。第1回は1955年11月東京で開催されました。
 「この博覧会は、アメリカが当時、『平和のための原子力』政策の洗脳作戦の一部として、CIAが深く関与する形で、世界各地で開いていたものであった。日本でもCIA、USIS(アメリカ国務省情報局)と駐日アメリカ大使館が共同で準備していたが、これに正力が全面的に協力する形で開催された」(『原発と広島』田中利幸、ピーター・カズニック)ものです。
 
 第2回の開催地が広島です。被爆地での開催に対する反対意見を封じて、開催にこぎつけるために奔走したのがフツイでした。しかもフツイが選んだ博覧会の会場は、展示内容の換骨奪胎を狙っていた原爆資料館だったのです。
 フツイがターゲットにしたのは、大学とメディア、広島大学と中国新聞でした。
 特に広大に対しては、当時学長の森戸辰男(元文相)に根回しし、「全面支援」を約束させました。フツイはそれをアメリカ本国に得意満面で報告しています(写真右)。さらに山口勇子さんら反対者を交えた座談会を中国新聞紙上で行い、その場で広大理学部長(藤原武夫氏)らに「博覧会賛成」論を強調させ、反対意見を封じ込めました。藤原学部長はフツイ宅で催される夕食会に招待されるメンバーでした。
 
 こうしたフツイの工作の結果、広島での「博覧会」の主催には、広島県、広島市、中国新聞、広島大学、広島アメリカ文化センターの5団体が名を連ねることになったのです。
 そして博覧会開催後、原爆資料館にはアメリカから「展示物の寄贈」がおこなわれ、原爆の悲惨さ、恐怖を示す展示物は一掃されてしまったのです。

 核・放射能に対する恐怖・反対世論を、大学(学者)とメディアを取り込むことによって懐柔する。原発(それと一体の核戦略)推進勢力の戦略は、半世紀以上たった今も、変わっていません。

 <ニュースの視点>
        
   小渕通産相辞任で問われるもの
 小渕通産相と松島法相のダブル辞任は、自民党の旧態依然とした体質を露呈しました。任命権者の安倍首相の責任が厳しく問われることはいうまでもありません。
 同時に、小渕氏の地元・群馬の有権者が「残念です」と語っているのを聞くと、首をかしげざるをえません。
 小渕氏の「観劇会」での収支不一致は、バス300台といわれる観劇会での利益供与とみられます。参加者は1万円余の会費が「安い」と分かっていたはずです。分かっていながら甘い蜜を吸い、その代わりに「一票」を提供したのです。政治家(屋?)と有権者のこの利害関係、もたれあいこそ、自民党政治の実態であり、そこに小渕辞任の深層があります。このもたれあいはもちろん、群馬だけでも、自民党だけでもありません。
 利益供与(金)で政治信条(票)を売り渡すような風土を、有権者の方から改めない限り、こうした醜態はなくなりません。おろかな「大臣」の首をすげかえただけでは、何も変わらないのです。

相馬「かえる新聞」にこめた思い

2014年08月26日 | 原発・放射能

PhotoPhoto_2 福山市には「広島・福山から福島・相馬を想う会」という会があります。
 市内の「カフェ・ポレポレ」では、2011・3・11の震災直後から、毎月「震災復興応援ライブ」が行われています。
 このライブは、出演するミュージシャンが500円募金して演奏し、相馬市・南相馬市を応援するプロジェクトに全額寄付するというユニークなものです。
 継続した支援活動の大切さ、音楽の力を改めて痛感します。

 その「想う会」が、広く市民とともに相馬に想いを馳せようと、さる17日、市内のショッピングモールで「相馬盆唄・盆踊り大会」を開催しました(写真左)。

 一般参加者は多くはありませんでしたが、取り巻いて見ている人たちは結構いました。私は久しぶりに盆踊りの輪の中に入りました。

 会場で、思わぬ収穫がありました。「そうま・かえる新聞」という「コミュニティ・ペーパー」のバックナンバーがいただけたことです。

 「そうま・かえる新聞」は2011年12月の相馬市でのライブをきっかけに準備号が作られ、翌12年2月に創刊。以後、2カ月に1回発行されています。
 編集スタッフは全員別に本業がありますが、とても“素人”の編集とは思えない、内容の豊かさとビジュアルの美しさに驚嘆します。
 発行部数は約2万部にものぼり、希望者には無償で送付されるほか、ライブ会場などで配布されています。

 毎号掲載の「相馬市・南相馬市放射線レベル測定値」など、原発・放射能情報はもちろん、ミュージシャンの活動紹介、全国のアーティストとの交流などが特徴です。
 「方言のなぞなぞ」コーナーがあるのは、「ふるさと」と「言葉」の関係を改めて考えさせられます。沖縄で「ウチナーグチ」の普及運動が広がっていることを思い起こしました。

 「そうま・かえる新聞」の題字下にはこうあります。

 「子どもたちに明るい未来を手渡すため、わたしたちは生き方を『変える』。
 いのちを何よりも大切に『考える』。
 まちをゲンキに『変える』。」


 「そうま・かえる新聞」の「かえる」は、ただふるさとへ「帰る」だけではないのです。生き方を「変える」。そして、社会を「変える」。

 被災者のみなさんとともに、この「かえる」を胸に刻みたいものです。

 ※「そうま・かえる新聞」の問い合わせは、同編集部 e-mail = somakaeru@yahoo.co.jp
   来る10月12日、初の「そうま・かえる新聞」主催ライブが南相馬市で開催されます。

 <見過ごせない報道状況>

 NHK、本土大手紙はなぜ「8・23辺野古県民大集会」を報道しないのか


823 さる23日、沖縄・辺野古のキャンプ・シュワブ前では、当初の予定を2倍近く上回る3600人の市民の参加で、「止めよう辺野古新基地建設!8・23県民大集会」が行われました。

 沖縄の琉球新報、沖縄タイムスが号外発行も含め、大々的に報道したことは言うまでもありません。
 私は琉球新報HPのライブ中継のおかげで、福山にいながら「参加」することができました。
 沖縄の民意を知る重要な県民集会でした。

 ところが、「公共放送」たるNHKは、当日の夜から翌日に至るまで、このニュースを1秒も報じませんでした。民放は当日深夜から翌日朝にかけてニュースで取り上げました。

 本土の大手紙は、「朝日」(西日本版)が、翌日の第2社会面で「辺野古怒りの人波」の3段見出しで、写真付54行の記事を載せました。
 しかし、「毎日」「読売」には全くありませんでした。中国新聞や山陽新聞も報じませんでした。

 本土の人間が沖縄の差別的現状に対して、いつまでも傍観者的なのは、本土メディアに大きな責任がある、とは再三指摘されていることですが、今回も改めてそれが証明されました。

 メディアの社会的責任とは何か。繰り返し問い続けなければなりません。


「最後は金目」ではない生き方-上関、辺野古そして・・・

2014年06月21日 | 原発・放射能

PhotoPhoto_2 「最後は金目だろ」発言で不信任案を突き付けられた石原伸晃環境相(写真左)は、不本意だったでしょう。「だってその通りじゃないか。みんなそう思っているだろ」と内心つぶやいていたに違いありません。

 その通り。住民の反対をカネで「決着」させようという発想と手法は、もちろん石原氏だけでなく、歴代政府・自民党、権力者の常套手段ですから。

 しかし、世の中には、そんな自民党・国家権力の「常識」が通用しない人たちもいるのです。

 石原発言とは無関係に、偶然時を同じくして、1通のメールが拡散で送られてきました。
 「上関原発に反対する祝島の漁師さんに500万円届けようキャンペーン」です。

 中国電力が山口県上関町に建設を強行しようとしている原発。それを32年間、体を張り、生活をかけて阻止し続けている祝島の漁師のみなさん(写真右=支援グループのHPから)。

 中国電力は上関町に56億5000万円の交付金(2011年時点)、周辺8漁協に計125億円(祝島漁協へは約10億円)の補償金をばらまき、反対を抑えてきました。
 確かに多くはこの「金目」で懐柔されました。しかし、今なお、カネに屈服しないで頑張っている人たちがいるのです。

 「キャンペーン」発起人(湯浅正恵さんら)のメッセージから。
 「水揚げは減り魚価が低迷する中、補償金受け取りを強要する県漁協の下で、祝島漁協は深刻な経営危機に直面しています。漁師さんたちは原発建設の補償金を拒むためにも、年金をつぎ込んで組合員を続けてきました。追いつめられています。もう祝島の漁師さんたちだけで背負うのは限界です」
 そこで「補償金を拒む組合員の負担分500万円」を7月末までにカンパで集めようという呼びかけです。

 希少生物が生息する美しい海の埋め立て。それに反対する漁協をカネで抑える。沖縄・名護市の辺野古もまったく同じです。違うのは上関が原発なのに対し、辺野古が米軍基地だということ。
 辺野古でも漁協は多数決で補償金の受け取りを決めましたが、今もカネに屈せず闘い続けている人たちが大勢います。

 人間にとって、社会にとって、金よりも大切なものがあることを、この人たちは教えてくれています。
 しかし、生活を維持しなければならないのも現実です。だから「最後は金目」発言が出てくるのです。
 「キャンペーン」はカネに負けない闘いを個人だけの負担にしないで、みんなで支え合う大切さを示しています。

 金よりも大切なもの、生活を賭けてでも守り抜かねばならないもの。
 それは原発や基地の危機にさらされている漁師さんだけではもちろんありません。長時間労働に追われている会社員、非正規社員、アルバイト・・・。
 
 日常生活に追われているすべての人々が問われています。
 「最後は金目」ではない生き方とは?

 <気になるニュース>

 放射能汚染に「身を挺せ」という森元首相


 18日付中国新聞の短信(共同電)。佐藤雄平福島県知事が17日の記者会見で、東電福島第1原発がある県沿岸部の国道で、「2020年東京五輪の聖火リレーをしてほしい」と述べました。
 そこに同席していた森喜朗元首相(五輪組織委員長)、記者から、「福島県が合宿地に名乗りを上げても海外選手が来ないのでは」と質問され、こう答えました。

 「風評被害で選手が来ないなんてことはあってはならない。そういうことがあれば、まず日本代表が身をていするという精神で合宿すればいい」

 「汚染水は完全にコントロールしている」という五輪招致の時の安倍首相の国際表明が、完全にウソだったことはいまや明白です。

 日本よりも放射能汚染に厳しく、敏感な外国人選手が福島での合宿を回避するとしても、それは風評被害ではありません。いまだに有効な対策をとっていない政府と東電の責任です。

 放射能汚染への抜本的対策を棚上げしたまま、日本人選手に「身を挺する精神」で福島で合宿させようとする森氏。本末転倒です。「お国」のために身を捧げることが強制された戦時中の「報国挺身隊」をほうふつとさせます。
 


東北と沖縄とつながる尾道駅前の反原発集会

2014年06月12日 | 原発・放射能

PhotoPhoto_2 「さよなら原発 歌声パレードinおのみち」が8日午後、尾道駅前でありました。

 尾道、三原、福山3市の反・脱原発グループが3カ月に1度行っているもので、今回が7回目。私は3月に続いて2回目の参加でした。

 参加者は約70人と、前回より減り、決して多いとは言えませんでした。しかし、素晴らしい出会いがありました。

 パレードの前の「始めの集会」。後方に見慣れない女性がいました。なんと福島県郡山からたまたま尾道に観光に訪れていた女性です。
 「このような集会を尾道でしてもらって感激しています」。目を潤ませて話してくれました。帰りの高速バスの時間のためパレードに参加できなかったのが残念そうでした。

 すると、今度はパレード終了後の「終わりの集会」に、また初参加の女性が。この人も仙台からの観光客だというではありませんか。
 「(集会・パレードに)まったく共感します。ぜひ続けてください。頑張ってください」。逆に励まされました。

 わずか2時間足らずの集会・パレードで、偶然、被災地・東北の方2人とつながったのです。
 観光地でのデモンストレーションの威力でしょうか。
 沖縄那覇・県民広場での集会、国際通りでのパレードが思い浮かびます。

 集会にはこの日も岡田和樹さん(27)の姿がありました(写真右)。
 岡田さんは2009年11月、中国電力が山口県・祝島近くの田ノ浦に建設を強行しようとしている上関原発に反対する島民の支援活動で、逆に中国電力から4800万円の損害賠償訴訟を起こされました(他に島民2人市民1人)。権力・大企業が反対運動を分断し抑えるために裁判を起こす、いわゆるスラップ訴訟です。

 スラップ訴訟は、沖縄・高江のオスプレイ・ヘリポート建設強行でも国が使っている反対運動妨害の手段です。
 高江だけでなく、大きなヤマ場を迎えようとしている辺野古でも今後使ってくる可能性があります。

 「メディアは一切報道しませんでしたが、先日も高江の人たちとの連帯の集会がありました。私たちは絶対に屈しません」
 岡田さんは力強く話してくれました。

 岡田さんの本業は三原市での農業です。三原市は私が生まれて高校卒業までいたところ。故郷にこんなにたくましい青年がいることを誇りに思います。

 参加者は決して多くなくても、地道な集会・パレードの草の根は、東北へ、沖縄へ伸びて、つながっていきます。
 その力と可能性を、信じたいと思います。

 <気になるニュース>

 サッカーW杯と「集団的自衛権行使容認」


 今月22日の国会会期末へ向け、安倍政権の「集団的自衛権行使容認」は重大な局面を迎えています。
 まさにそのさ中、サッカーワールドカップ(ブラジル大会)が13日開幕します。メディアによってつくられた「サッカーフィーバー」は佳境に入ります。

 この2つ時期の一致は果たして偶然でしょうか?
 W杯の日程は早くから分かっているのですから、安倍政権がこのドサクサに、集団的自衛権問題のヤマ場を計画的に設定した、とみるのははたして荒唐無稽でしょうか。

 その真偽はともかく、問題は、市民の関心がいったいどっちに向くのかです。

 集団的自衛権行使容認の「閣議決定」で憲法9条が事実上反故にされる重大事態が、サッカーW杯の“熱狂”報道で打ち消される可能性はけっして小さくありません。

 


ローカルヒーロー「自分ができることをやる」

2014年06月03日 | 原発・放射能

PhotoPhoto_2 「尾道発」のドキュメンタリー映画「スーパーローカルヒーロー」を31日、シネマ尾道(尾道でただ1つとなり踏ん張っている劇場)で観ました。

 尾道駅前の古民家でインディーズのCDや無農薬野菜などを売っている「れいこう堂」の店主・信恵(のぶえ)勝彦さん(55)の物語です(写真左・れいこう堂の前でアーティストたちに囲まれる信恵さん=中央)。

 店の売り上げではとても食っていけない信恵さんは、早朝4時間の新聞配達などアルバイトをしながら、採算度外視でコンサートを企画。自らは裏方に徹し、アーティストたちから絶大な信頼を得ています。

 それだけでも素晴らしいのですが、映画の主題は信恵さんの“もう一つの顔”にあります。それは東電福島原発事故で自主避難してきた親子たちへの支援です。

 空家を見つけ、避難親子のたまり場をつくりました。困ったことがあればすぐに駆けつけます。口より早く手足が動きます。子どもたちにとっては楽しい遊び相手。避難親子から「月光仮面のような人」と慕われています。

 監督の田中トシノリさん(写真右端)は、「3・11」当時、留学先のイギリスに。帰国して「何かしなければと思っていたことを、やっていたのが信恵さんだった」ことから、信恵さんに心酔し、その活動・生きざまを映画にすることを決意しました。

 映画は信恵さんの行動、人柄を感動的に伝えますが、それだけではありません。
 震災直後に東京から避難し、信恵さんと親しくなった母子が、やむを得ない事情で東京に戻ることになりました。別れの席で、お母さんは涙も拭わず語ります。「何が子どものためなのか。ほんとうに自分はどうしたいのか。取り返しがつかなくならないうちに、考えてほしい」

 上映後のトークショーで、信恵さんは言いました。「自分ができることをやっているだけ」
 田中さんも異口同音に、「自分ができることを行動で示す。行動しなければ何も変わらない」

 「自分ができることをやる」。なんと単純で、なんと難しく、そしてなんと偉大なことか。
 世の中が変わるのは、きっとこの「単純」なことを、名もない私たち一人ひとりが実行したとき。映画とトークからそう痛感しました。

 タイトルの「スーパーローカルヒーロー」。「信恵さんのことではありません。私たちの周りで頑張っている一人ひとりのことです」(田中さん)

 <気になるニュース>

 「沖縄が求めているのは」?

 5月30日付の中国新聞に、「沖縄の負担軽減へ 外務副大臣と面会 岩国基地周辺議長ら」というベタ記事がありました。

 副大臣らとの面会を終えた岩国市議会の桑原敏幸議長はこう述べたといいます。
 「沖縄が求めているのは、本土の人間の温かい気持ち。オールジャパンで本気で(沖縄の負担軽減を-引用者)考える場が必要だ」

 この桑原議長の言葉を、本土のみなさん、どう思いますか?

 一昨年11月に沖縄に行く前なら、おそらく私も別におかしいとは思わなかったでしょう。
 しかし、今は違います。この発言には重大な問題が横たわっています。

 「温かい気持ち」とは、温情であり、同情です。それはとんでもない思い違いです。
 沖縄に過重な基地負担を押し付けている元凶はもちろん日米両政府ですが、それを許しているのは「本土の人間」にほかなりません。

 「沖縄が求めている」のは、「本土の人間」がその自らの罪を自覚し、沖縄の負担軽減、さらには日本から軍事基地を撤去するために、自らの責任を果たすことです。
 けっして温情や同情などではありません。

 (沖縄タイムス30日付にも同行動についての記事はありましたが、桑原氏の発言は載っていませんでした)