☆山中伸弥氏と「盗骨」責任
28日、ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏(京都大学教授)らが「元号に関する懇談会」のメンバーに起用されると報じられた。その山中氏は25日、那覇市内で講演し、「ビジョンを見失わない大切さ」(26日付琉球新報)などを説いた。
京都大学といえば、かつて今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から琉球人の遺骨を持ち出し、いまだに返そうとしていないこと(「盗骨」)に対し、松島泰勝氏らが京都地裁に提訴し、裁判中だ(3月23日のブログ参照https://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/d/20190323)。
京都大の教授として、とりわけ医学に関係する教授として、山中氏も京大の「盗骨」問題に無関係と言えないことは明白だ。しかし、山中氏は那覇での講演でそのことについては一言も触れなかった(もし触れていれば琉球新報が報じないわけがない)。
山中氏が京大の「盗骨」問題を知らないのだとすれば、不勉強・無責任も甚だしい。仮に知っていてあえて何も言わなかったのだとしたら、沖縄(琉球)に対し、これほど不誠実なことはない。
山中氏は「元号に関する懇談会」メンバーになる前に、足元の「京大の盗骨」に関して自らの責任を果たすべきではないか。
☆白鵬に“物言い“がついた訳
24日、大相撲春場所は白鵬の優勝で終わった。その白鵬に横綱審議委員会から”物言い“がついたことはあまり知られていない(報じられていない)。
横審が問題にしたのは、白鵬が優勝インタビューの直後、場内の観客に呼びかけて「三本締め」を行ったことだ。
なぜ横審は白鵬の「三本締め」にクレームをつけたのか。聞いた唯一のテレビニュースによると、「千秋楽には”神送り”の儀式がある。それが行われる前にああした行動をするのは、優勝横綱であっても許されることではない」(概略)というのが横審の言い分だ。
「神送り」とは、場所開催中土俵に降りていた「神」が、千秋楽に帰ってゆくのを見送る土俵上の儀式、とされている。
このことは、大相撲が「神事」であることを改めて示している。
相撲は神道と密接な関係にある。天皇が大相撲を観に行くのは決して趣味だから(だけ)ではない。大相撲が神道と関係が深いからだ。そこから「相撲は国技」という言葉も生まれる。
多くの「大相撲ファン」はそんなことは知らず、またどうでもよく、競技(あるいはスポーツ)として楽しんでいるのだろう。それはそれでいいのだが、ここにも「無意識の天皇制」があることは知っておく必要がある。政府や相撲協会、横審はその点を踏まえて大相撲を「国技」と称しているのだから。
☆小中学生に「五輪ボランティア」をやらせる狙い
先週のテレビニュースで、きわめて重大な問題を耳にした。メモをし損ねたので後日図書館で新聞を調べたが、どの新聞も報じていなかった。
東京オリ・パラ組織委員会(森喜朗会長)は、全国の小中学校に「オリ・パラ」でのボランティアを推進するよう要請した(「協定を結んだ」だったかもしれない)。
小中学生に何をやらせるのか。いくつか挙げられていた中に、なんと「国旗の掲揚」があったのだ。
「表彰式」はじめ「オリ・パラ」では「日の丸」が掲揚される機会が多いだろう。それを小中学生にやらせようというのだ
森はかつて「リオ五輪結団式」でアスリートに「君が代」斉唱を強要したことがあるが、今度は小中学生に「日の丸」を掲揚させようとする。あまりにも露骨だ。
「東京オリ・パラ」は、新天皇のお披露目はじめ、天皇制・国家主義の一大アピールの場になる。その狙いがますます鮮明になってきている。
そうした国家権力の狙いに目を向けず、政府がふりまく「オリ・パラ」キャンペーンに乗ってお祭り騒ぎをすることは許されない。
ここにも「市民」の「無意識の責任」がある。