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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

辺野古の現場から① 埋立土砂搬入を阻止する人々

2017年07月13日 | 沖縄・辺野古・高江

     

     

 12日、埋め立て工事が始まって以来、辺野古の現場を初めて訪れました。沖縄平和市民連絡会、島ぐるみ会議が毎朝9時に県庁前から出すバス(無料)を利用させていただきました(帰着は5時半ごろ)。この日バスに乗ったのは16人。本土からは私を含め2人でした。

 9:00 県庁前出発。バスの中では、新基地建設に反対しているグループの人から現状について報告が行われ最新の状況を知ることができました。参加者のスピーチでそれぞれの問題意識も聞かれ、有意義な時間を過ごしているうちにあっという間に現地へ。

 10:40 米軍キャンプシュワブに到着。フェンスには、「日米が合意しても 沖縄は合意していない」「歴史は見ている知っている 沖縄は負けない」「平成の「琉球処分」 新基地建設を許さない」「U.S Forces OUT!」の横断幕。
 ゲート前には休憩用テントが常設され、ここでも「学習会」やスピーチ、歌や楽器が繰り広げられます。やがて、採石場から埋立用の土砂を積んだ大型ダンプが出発したという情報が。ダンプは約40分でゲートに到着します。人々は搬入阻止の「抗議の座り込み」のため、休憩テントから約200㍍離れた搬入口へ。

 12:40 搬入口で「座り込み集会」開会。この日は約70人。集会リーダーが、私たちが到着する前に、赤十字のついた救護用のテントまで県警が撤去したと怒りの報告。

 13:20 沖縄県警の警察官(機動隊員)約50人が隊列を組んで歩いてやってきました。「立ち退いてください」と形式的な「警告」をしたあと、”引き抜き”の開始。
 「違法工事やめろ」「抵抗は当然の権利だ」「県警はウチナーンチュの魂を売るな」…集会リーダーはマイクで「(腕を)ねじるな」と参加者を負傷させる暴力行為を抑止。
 県警は引き抜きながら、抗議のようす、参加者の顔をカメラで撮影。その台数5台以上。もちろん違法です。

 13:35 「座り込み」はすべて排除。長い列をつくって待機していた搬入ダンプが次々ゲート内に消えていきます。その数約30台。

 14:10 搬入終了。搬入口は閉められ、その前に民間警備員がずらっと並びます。県警は今度は駆け足で引き揚げていきました。

 15:30 帰りのバスは16時の予定。それまで「休憩テント」でスピーチや歌。そこへ、この日2回目の搬入のためダンプが採石場を出たとの情報。予定のある人は別の車で送ってもらいましたが、大半は帰りの出発をの延ばして2回目の搬入に備えます。

 16:30 ふたたび、座り込み。引き抜き。

 16:50 搬入終了。

 17:00 帰りのバス出発。

  現場の攻防の1日はこれで終わるわけではありません。ゲート前テントでは24時間の監視が続けられています。この日で「1102日」。先日は大半の参加者が引き揚げたあとでまた搬入が行われたとか。

 さらに、このゲートでの搬入阻止行動とは別に、大浦湾埋立現場では、海上行動グループによる反対活動が続けられています。こちらの現場にも行きたかったのですが、この日は行けませんでした。

  私の「1日行動」はこれで終了です。翌日には広島へ戻ってきました。

 しかし、沖縄の人々にとってはこれが「日常」。「戻る」ところはありません。

  この日の「行動参加」で新たに知ったこと、考えたことを次回書きます。

 


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琉球新報、沖縄タイムスはなぜ「翁長知事は直ちに承認撤回せよ」と言わないのか

2017年02月02日 | 沖縄・辺野古・高江

    

 安倍政権は6日にも辺野古新基地建設の本格的海上工事(大型コンクリートブロック投下)に着手する方針です。事態はいよいよ切迫してきました。

 問題の核心は、繰り返し述べているように、翁長雄志知事が「埋立承認の撤回」を直ちに行うことです。しかし、翁長氏が「撤回」を棚上げしているのは〝確信犯”であり、今回の「訪米」にも顕著なように、自らすすんで撤回する意思はありません。世論の力で撤回させる以外にないのです。

 そこで問題は、県内外の世論形成に大きな力をもつ琉球新報と沖縄タイムスです。

 沖縄タイムスは2日、「『撤回』の最終判断急げ」と題した社説でこう述べています。
 「県は行政指導する方向で、撤回に向けた手続きを積み上げている。翁長知事は撤回について言及しておらず、市民団体との間に溝ができかねない。後戻りできないほど工事が進む懸念が消えず、撤回の最終判断を早急に打ち出すべきだ

 翁長氏と市民団体の間にすでに溝はできており、このままでは後戻りできないほど工事が進むことも明白です。それなのになぜ、この期に及んでも「行政指導する方向で…手続きを積み上げている」と「撤回」を棚上げしている翁長県政を是認するのでしょうか。「最終判断を早急に打ち出すべきだ」という悠長であいまいな言い方に終始し、なぜ「翁長知事は直ちに埋立承認を撤回せよ」と言わないのでしょうか。

 さらに不可解なのが琉球新報です。同紙は「環境破壊止める手段尽くせ」と題した2日の社説で、「県はブロック投下をはじめ工事を阻止するあらゆる手だてを講じてほしい」と言いながら、なぜか「承認撤回」については一言も触れていません。
 その一方、1面トップで「岩礁破砕巡り提訴も」の見出しでこう書いています。
 「政府が3月末に期限を迎える岩礁破砕許可の更新を県に申請せず、そのまま工事を続けることを検討している件で、県は許可なく工事をするのは違法だとして、国を相手取った提訴を検討していることが分かった」
 「国を提訴」といえばいかにも闘っているように聞こえますが、要するに「岩礁破砕許可」が切れる3月末までは手をこまねいて工事の進行を見ているということです。

 肝心の問題は避けて周辺問題でいかにも闘っているように見せながら、結局国(安倍政権)の思惑通りに新基地建設が進行する。これが翁長氏の一貫した手法です。「岩礁破砕巡る提訴」も(その方針が事実かどうかは別にして)その一環にほかなりません。

 琉球新報は最高裁の「県敗訴」以降、「撤回」を正面から主張したことがありません。いったいどう考えているのでしょうか。同紙はかつて「仮に敗訴しても、次は埋め立て承認の『撤回』をすればよい」(2016年3月5日付社説)と主張しました。その言はどこへ行ってしまったのでしょうか。

 繰り返しますが、問題の核心は埋立承認そのものを直ちに撤回することです。しかし百歩譲って、それは先に延ばすとしても、少なくとも「岩礁破砕許可」は今すぐ取消(撤回)を行わねばなりません。許可が切れる3月末まで拱手傍観する理由はまったくありません。岩礁破砕許可を取り消せば少なくとも今行われている海上工事はストップします。「更新をめぐる訴訟」がどうこうという問題ではないのです。

 琉球新報、沖縄タイムス両紙は、「承認撤回」あるいは「岩礁破砕許可取消」についてどういう主張を行うのか。「撤回」を棚上げし続けている翁長知事に対してどういうスタンスをとるのか。辺野古新基地阻止における両紙の責任の大きさを肝に銘じつつ、あらためて自己検証すべきではないでしょうか。


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関東大震災と自衛隊と高江

2016年09月03日 | 沖縄・辺野古・高江

    

 9月1日は「防災」だけが政府やメディアによって強調されていますが、その日が関東大震災(1923年)のどさくさにまぎれて、「自警団」や官憲によって朝鮮人たちが大量に虐殺された日であることを忘れることはできません。

 『関東大震災と王希天事件』(田原洋著、三一書房)によると、死者・行方不明者約14万人のうち、「約8千人は不当殺人で、その中の約6千人余は朝鮮人といわれる。さらにその内約400人以上は中国人で、百人単位で日本人が含まれた」とされています(島袋和幸氏、7月21日付沖縄タイムス)。

 しかも、「朝鮮人虐殺については犠牲者の名前はもちろん、犠牲者数についてもいまだにわからない部分が多く、単純に虐殺事件を語り継ぐだけでは駄目で、実態をより明らかにする努力が求められる」(田中正敬専修大教員、「人権と生活」2013年12月号)ことを肝に銘じたいものです。

 ところで、関東大震災から「教訓」を導こうとしたのは、国家権力も同様でした。
 自衛隊(陸上幕僚監部第三部)はかつて、「関東大震災における軍、官、民の行動とこれが(現代仮名づかいでは「の」-引用者)観察」と題した〝教訓文書”をまとめました。文書が作成されたのは1960年3月。岸内閣が国会に警察隊を導入して「新安保条約」を強行採決する(1960年5月20日)直前でした。

 〝教訓文書”は第1節から第4節まで。第2節「治安維持について」の第2項「警護について」中で、「警察を十分活用して、治安維持に関する細部の一般法的措置は警察をして実施させるのを可とする」とし、第3項「警察の活用について」でその詳細を述べています。
 「特に警察に期待すべき事項」として挙げた10項目の中には、次のような内容が含まれています。
 「要注意人物の監視、警戒
 「新聞、出版物その他報道機関等取締
 「集会(国内外)及び言論の取締
 「自衛隊に対する犯罪の予防、検挙
(以上、『関東大震災と朝鮮人虐殺』関東大震災五十周年朝鮮人犠牲者追悼行事実行委員会編、現代史出版会より)

 関東大震災の〝教訓文書”は、自衛隊の本質をよく表しています。自衛隊は対米従属の軍隊として日米軍事同盟にもとづいて戦争をする任務とともに、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」(自衛隊法第3条「自衛隊の任務」)、すなわち国内の「治安維持」を任務とする軍隊だということです。そのために警察を手下のように使うというわけです。

 そして今。自衛隊は沖縄・高江の米軍ヘリパッド建設のため、機材を自衛隊のヘリで搬入するという前代未聞の暴挙を行おうとしています(写真右はそのために千葉県の基地で行われている訓練)。地上で反対住民を排除する警察(機動隊)と一体となって、米軍の基地建設強行のために出動するというわけです。

 災害出動などで自衛隊を美化する政府やメディアの動きが強まっている中、自衛隊は対米従属の軍隊であるとともに、警察と一体となって市民を弾圧する「治安維持」の軍隊であることをあらためて強調する必要があります。


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「オール沖縄会議」はなぜ「高江」にノータッチなのか

2016年08月02日 | 沖縄・辺野古・高江

    

 安倍政権による沖縄・高江のヘリパッド建設強行(写真左)は、「もはや日本は『法治国家』の名に値しない」(2日付琉球新報社説)ほどの暴挙であり、沖縄と「本土」の民主的世論を結集して建設を阻止することが急務です。

 そんななか、奇妙な事態が起こっています。沖縄の新基地建設を阻止するために結成されたはずの「オール沖縄会議」が、「高江」についてはノータッチで反対はしないというのです。いったいどういうことでしょうか。

 問題が露呈したのは、沖縄県議会で「ヘリパッド建設を強行に進めることに対し厳重に抗議するとともに、建設を直ちに中止するよう強く要請する」という「意見書」(7月21日)が翁長県政与党(社民党、共産党、社大党など)の賛成多数で採択される過程でした。

 「『県議会で反対決議を』という市民の声を受け、与党や経済界でつくる『オール沖縄会議』は緊急の会合を開催。ただ、結成の目的は辺野古阻止のため、オール沖縄会議としては高江には触れない結論に至った」(7月29日付沖縄タイムス)

 「オール沖縄会議」は「辺野古」のために結成したものだから、「高江」にはノータッチだ、というのです。こんなバカな話はありません。

 同会議は確かに「辺野古新基地建設阻止」を前面に掲げ、「翁長知事を支え」るとして発足したものです。しかし同時に、その「設立趣意書」(2015年12月14)にはこう明記されています。

 「オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖撤去、県内移設断念を求め政府に突きつけた2013年の『建白書』の精神を基軸に(する)」「新基地建設を阻止し、明るい未来の扉を開いていく

 高江ヘリパッドの主な目的はまさにオスプレイの訓練です。「オスプレイの配備撤回」を要求するなら、高江のヘリパッド建設に反対するのは当然です。そして言うまでもなく、高江ヘリパッドは米軍の「新基地」です。

 翁長知事は「オスプレイが訓練するというのもはっきりしているので、こうしたことの説明がないままに着工するべきではない」(7月23日付琉球新報)と言いながら態度を明確にしていません。というより、「SACO合意を着実に実施する」(同)としてSACO合意にあるヘリパッド建設を容認する姿勢を示しながら、市民や県政与党の手前、あいまいな態度に終始しているのです。

 「オール沖縄会議」が「建白書」の実現、「新基地建設阻止」を「設立趣意書」でうたいながら、高江にはノータッチだというのはなぜか。ヘリパッド建設を容認する翁長氏と歩調を合わせるためにほかなりません。これが「翁長知事の闘いを全面的に支えていく」(設立趣意書)ということでしょうか。

 同会議の共同代表である稲嶺進名護市長、高里鈴代基地・軍隊を許さない行動する女たちの会代表(もう1人の共同代表は呉屋守将金秀グループ会長)は、「高江には触れない」という「結論」に異論はないのでしょうか。

 同会議の意思決定は、いったいどこで、どのようなプロセスで、どのような議論を経ておこなわれるのでしょうか。「高江」について稲嶺氏や高里氏はどのような主張を行ったのでしょうか。
 
 「オール沖縄会議」は、辺野古、高江を含めあらゆる「新基地建設阻止」の立場に立つのか、それとも翁長氏と一蓮托生の「翁長後援会」に終始するのか。その立場がきびしく問われています。

 


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