アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記134・「夜の街」の人々・新谷仁美選手の勇気・森滝春子さんの至言

2021年01月31日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「夜の街」の人々の奮闘と願い

 30日夜のNHKスペシャル「“夜の街”で生きる~歌舞伎町 試練の冬~」。
 小池百合子都知事らからまるでコロナ感染の元凶のように攻撃された新宿・歌舞伎町の人たち。女性従業員らの代表、集合ビルのオーナー、ホストクラブの社長、クラブのママたちが、たたかっている。

 「感染予防か営業(生活)かではなく、どちらも両立させる」。これまでバラバラだった人たちがつながり合い、声を掛け合っている。「(営業)時間短縮じゃなく、思い切ってしばらく休もう」。ホストクラブの社長は定期的に自ら採血に出向き抗体検査に協力している。
 「都の補償金ではどうにもならない。一律ではなく店の面積(家賃)に応じた補償にしてもらいたい」「やるべきことをやって、言うべきことを言おう」…。

 ギリギリの瀬戸際。代表らが新宿区長に要請に行った。「(区長から、特措法改悪の)罰則に賛成の人が多いと聞いて、ショックだった」。クラブのママが肩を落とした。

 世間の冷たい視線にさらされながら、人の何倍も感染防止に努力し、協力し、自らの生活と庶民の文化を守るために奮闘している人たちが、「夜の街」にはいる。そんな人たちを「犯罪者」扱いすることは、絶対に許されない。

☆新谷仁美選手の勇気ある発言

 菅政権がいまだに「東京オリ・パラ開催」に固執し、NHKはじめメディアがそれを煽る報道を続けている中、陸上女子1万メートルで日本新記録を出し五輪代表に選ばれている新谷仁美選手が、23日のニュースでこう言っていた。

 「(東京五輪開催に)アスリートとしては賛成です。でも、国民としては賛成できません。国民と一体になってこそのオリンピックです。私たち(アスリート)も(国民に)よりそわなければなりません」

 アスリートとしては東京五輪はまさに夢の舞台だろう。32歳で日本新記録を出し代表に選ばれた新谷選手にとってその思いは人一倍強いだろう。しかし、現実を見れば…。激しい葛藤を胸に秘めた新谷選手の冷静で理知的な発言に、そして、日本のスポーツ界でそれをメディアに公言する勇気に、1万メートルの日本新記録以上の感動をおぼえた。

☆森滝春子さんの日米安保発言

 核兵器禁止条約発効にあたり、被爆者・市民団体から日米安保条約(軍事同盟)に反対する声が聞かれないのはどうしたことか、と書いた(26日のブログ)。貴重な発言を見落としていたので、追記する。

 核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表の森滝春子さんが、こう述べている。
 「(日本が条約に参加しようとしないのは)米国との同盟を基盤とし、「核の傘」への依存を打ち出していることが最大の障害だ。…ここをえぐり出さなければ、被爆国の条約参加はない。被爆地が問われている。壮絶な闘いはこれからだ」(25日付中国新聞)

 それぞれの場所で、誠実に、真剣に生き、たたかっている人たちがいる。この日本にも、確かにいる。


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「辺野古に陸自常駐」極秘合意の本質は何か

2021年01月30日 | 沖縄と日米安保・米軍・自衛隊

    

 「辺野古に陸自離島部隊 米海兵隊と極秘合意」(25日付琉球新報)、「辺野古 陸自も常駐 海兵隊と極秘合意 日米一体化 中核拠点に」(同沖縄タイムス)。
 25日の沖縄県2紙は、共同通信の記事をいずれも1面トップ、2~3面、社会面で大きく扱い、その後も連載などを行っています。

 記事のポイントは、陸自トップの岩田清文陸幕長と在日米海兵隊のニコルソン司令官(いずれも当時)が、2015年、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブを米軍と自衛隊が共同使用し、陸自の「離島防衛部隊・水陸機動団」(写真左は米軍と共同訓練する水陸機動団=2020年2月、同記事より)を常駐させることで秘密裏に合意していた、というものです。

 米軍と自衛隊の基地共同使用、水陸機動団の沖縄配備構想は以前から公然の秘密でしたが、なぜ今、表面化したのでしょうか。
 前泊博盛・沖縄国際大教授は、「政府関係者がこの時期に計画を認めたのは、自衛隊が県民の間に浸透したという自信の表れだろう」(25日付沖縄タイムス)と述べています。

 興味深い指摘ですが、「浸透した」というより、「本土」はもちろん沖縄でも、「平和・民主勢力」から自衛隊配備に反対する声が聞こえなくなったことに対する政府・自衛隊の自信・慢心の表れ、というべきではないでしょうか。

 今回の報道を受けた玉城デニー知事(「オール沖縄」)の記者会見は次のようでした。
 「玉城知事は自衛隊の存在自体は容認する立場だ。「日本国憲法の中で認められている存在としての自衛隊が原点だ」と説明し、シュワブなどの共用化は「沖縄で現にさまざまな活動で県民生活に寄与している自衛隊の皆さんにも失礼だ」と強調した」(27日付琉球新報)。「自衛隊合憲」論を強調し、沖縄に配備されている自衛隊に共感を示したのです。

 17日投票の宮古島市長選で、「オール沖縄」候補も陸自配備強化を容認しました。その直前の15日には、同じく「オール沖縄」の城間幹子那覇市長が陸自成人式に祝辞を寄せました。「自衛隊の成人祝賀行事で地元首長が祝辞を述べるのは1972年の創設以来、初めて」(17日付琉球新報)です。今回の「スクープ」がこうした流れの中で出てきたことは決して偶然ではないでしょう。

 しかし、問題は今に始まったことではありません。ニコルソン司令官は2017年11月16日の記者会見で、「防衛省が陸上自衛隊に創設する「日本版海兵隊」の水陸機動団が、将来的に県内の米軍基地に配備されるとの認識を示した」(17年11月17日付琉球新報)と、「秘密同意」の内容を公言しました。

 その4日後の11月20日、ニコルソン司令官は翁長雄志知事(当時)と会談しました。そこで翁長氏はニコルソン氏にこう言いました。「日米が世界の人権と民主主義を守ろうというのが日米安保条約だ」(写真右、17年11月21日付沖縄タイムス)。

 ニコルソン司令官が「水陸機動団」の沖縄配備を表明したのは、日米安保条約(軍事同盟)に基づく米軍・自衛隊一体化の強化であることは言うまでもありません。その日米安保条約を翁長知事は、「日米が世界の人権と民主主義を守る」ものと絶賛したのです。「オール沖縄」の知事によるこの発言が、ニコルソン司令官の「水陸機動団の沖縄(キャンプ・シュワブ)配備」構想を後押ししたことは間違いないでしょう。

 今回明らかになった秘密合意問題の本質は、「文民統制逸脱」(25日付琉球新報社説)などではありません。自衛隊(配備)を容認する限り、まして玉城氏や翁長氏のように自衛隊・日米安保を賛美する限り、米軍と自衛隊の一体化、沖縄の軍事要塞化・前線基地化に歯止めはかからない、ということです。
 沖縄の、そして「本土」の平和・民主勢力は、「オール沖縄」の虚構・呪縛を解き放ち、日米安保条約・自衛隊反対のたたかいを再構築すべきです。


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自民・立憲民主の「修正」で感染症法改悪の本質は変わらない

2021年01月28日 | コロナ禍と政治・社会

    
 自民党と立憲民主党は、感染症法「改正」の政府案から懲役の刑罰を削除するなど一部「修正」で「改正」法案を成立させようとしています。
 感染症法「改正」案は、病気で苦しむ患者や家族を犯罪者として取り締まり罰則を科すもので、刑事罰でも行政罰でも、その改悪の本質は「修正」ではなんら変わりません。改悪法案は廃案以外にありません。
 一部の「修正」で危険性がなくなったかのように喧伝して改悪案を通すことは、市民を欺き、日本の刑罰国家化を進める言語道断の暴挙と言わねばなりません。

 感染症法改悪案は、歴史の教訓を踏まえて前文に明記されている同法の基本精神を換骨奪胎するものです(23日のブログ参照)。

 それは、「本来保護の対象となるべき感染者や事業者に対し、罰則の威嚇をもってその権利を制約し、義務を課すにもかかわらず、その前提となる基本的人権の擁護や適正手続の保障に欠け…感染者等に対する差別偏見が一層助長され、極めて深刻な人権を招来するおそれがある」(1月22日の日本弁護士会会長の反対声明)ものです。

 また、「罰則を伴う強制は国民に恐怖や不安・差別を惹起することにもつながり、感染症対策をはじめとする公衆衛生施策において不可欠な、国民の主体的で積極的な参加と協力を得ることを著しく妨げる恐れがあります。刑事罰・罰則が科されることになると、それを恐れるあまり、検査を受けない、あるいは検査結果を隠蔽する可能性があります。結果、感染の抑止が困難になることが想定されます」(1月14日の日本医学会連合の緊急声明)。

 ハンセン病違憲訴訟全国原告団協議会は22日、「刑事罰をもって隔離を進めることは、患者への偏見・差別を助長する。強く反対する」とする意見書を政府・各政党へ提出しました。
 同協議会の竪山勲事務局長(元患者)は記者会見で、「感染症法改正案は、ハンセン病の強制隔離の根拠となったらい予防法に酷似している」とし、「病気にかかった者を犯罪者扱いし、懲役を科すとは何事か。ハンセン病の教訓が全く生かされていない」「新型コロナにかかった皆さんに、私たちが感じたようなつらい思いをさせたくない」と強い口調で反対しました(23日付琉球新報=共同)

 今回の「修正」の経過で見過ごすことができないのは、その協議が自民党と立憲民主党の2党間による密室で行われていることです(写真左)。

 こうした国会の重要問題を自民党と立憲民主党の2党協議(多くは国対委員長)で決めることは、今回に限らず常態化しています(写真中)。これはきわめて不当であり危険です。立憲民主以外の日本共産党や社民党、「しんせんぐみ」などの少数政党が排除されているからです。こうした諸政党が排除されているということは、それらの政党に投票した有権者の意思が排除されているということです。

 これは立憲民主党が目指す自民党との「2大政党制」へのレールを敷くものです。立憲民主の安住淳国対委員長はかつて、社民党の分裂にあたり、「もう一つ消えれば本格的にわが党の時代が来るんじゃないか」(2020年10月27日付共同)と本音を漏らしたことがあります。他の野党を吸収し、吸収できない政党は排除して、アメリカ型の「2大政党制」を目指すのが同党の基本戦略です。

 こうして多様な少数政党・意見を排除し、基本政策において大差のない自民党と立憲民主が国会を牛耳ることは、国会の形骸化をますます進め、大政翼賛化への道を進むことにほかなりません。今回のコロナ特措法・感染症法改悪の過程は、その危険性を証明していると言えるでしょう。

 


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「核兵器禁止条約」か「日米安保条約」か

2021年01月26日 | 核・被爆者と日米同盟

    
 核兵器禁止条約が22日発効しました。それを社説(主張)で取り上げた日本のメディアは(読売、産経を除き)、一様に日本政府が同条約を批准していないことを批判し、「核保有国と非保有国の橋渡し役を」などと主張しました。同時に、もう1つの共通した特徴がありました。それは、日米安保条約(軍事同盟)に一言もふれていないことです。

 そんな中で唯一(私が見た限り)、核兵器禁止条約と日米同盟の関係に言及したのは、秋山信将・一橋大学大学院法学研究科教授でした。秋山氏はこう述べました。
 「日本が核兵器禁止条約に入った場合、理論上は日米同盟を維持することは可能ですが、核保有国を相手にしなければいけない場合、核抜きで日本の防衛を担うことが可能だろうか。日本は「核兵器禁止条約に加入するか」「日米同盟を維持するか」という選択肢のどちらかを選ばざるを得ない」(22日のNHKらうんど中国「核兵器禁止条約発効 ヒロシマの思いは」写真右)

 秋山氏はどちらの選択肢を選ぶべきかは明言していませんが、“だから日米同盟は必要なのだ”というニュアンスがうかがえます。私はもちろん、逆の意味で、この発言に注目します。

 日本が核兵器禁止条約を批准しないのは、日米安保条約=軍事同盟があるからです。核兵器禁止条約と日米安保条約は二律背反です。まさに、「核兵器禁止条約」か「日米安保条約=日米同盟」かの選択が問われているのです。

 にもかかわらず、日米安保条約を肯定・支持しながら、それには言及せず、核兵器禁止条約の重要性を説き加入を主張する日本のメディアは、しんぶん赤旗も含め、偽善・欺瞞のかたまりと言わねばなりません。秋山氏のようにはっきり問いかけるべきなのです。「核兵器禁止条約=核兵器廃絶」か「日米安保条約=軍事同盟」なのか、その選択が今問われている、と。

 メディアだけではありません。政府を批判して核兵器禁止条約の批准を切望している被爆者団体はじめ平和市民団体からも、「日米安保条約廃棄」の声は聞こえてきません。どうしたことでしょうか。日本政府が日米安保=軍事同盟を堅持したままで、核兵器禁止条約に加入することがあり得ると考えているのでしょうか。「橋渡し役」への期待の声も少なくありませんが、核超大国のアメリカと従属的軍事同盟を結んでいながら中立的な「橋渡し役」などできるはずがないのは自明ではないでしょうか。

 日米安保条約を廃棄しない限り、核兵器禁止条約の批准はじめ核廃絶運動は前進しません。日本は一日も早く“日米安保タブー”を打破しなければなりません。「現状に甘んじず、あえて高い理想を掲げることが、社会を変える力となる。このことは歴史が証明している。核兵器禁止も、決してあきらめてはなるまい」(23日付東京新聞社説)といいますが、甘んじてならないのは、日米安保・軍事同盟にどっぷり漬かりそれを問い直そうともしない思考停止に陥っている「現状」です。

 政府・自民党、基本政策で自民党と変わらない諸政党、体制順応のメディアに、直ちに日米安保条約廃棄の立場に立つことを求めようとは思いません。しかし、少なくとも核兵器禁止条約を支持し、日本も加入すべきだと考える人々、被爆者団体、市民団体は、一日も早く“日米安保タブー”から脱却すべきです。そして、「核兵器禁止条約加入」の要求を、「日米安保条約=軍事同盟廃棄」の主張と一体化させるべきです。それこそがが「社会を変える力」になるのではないでしょうか。


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元「慰安婦」判決確定・「主権免除」と「強行規範」

2021年01月25日 | 日本軍「慰安婦」・性奴隷・性暴力問題

    

 日本帝国軍の元「慰安婦」(戦時性奴隷)サバイバーが「事実認定」と「謝罪」を求めて日本政府を訴えた訴訟で、ソウル中央地裁が日本政府に賠償を命じた判決(1月8日)が、23日午前0時に確定しました。

 日本政府は直ちに茂木敏充外相が談話を出し、「主権免除の原則の適用を否定する判決」であり「断じて受け入れることはできない」とあらためて表明しました。

 「主権免除」とは「国家は主権を有し互いに対等な存在であることから、原則として外国の裁判権に服しない…国際法上の原則」(外相談話)としています。今回の判決の大きな焦点が「主権免除」の解釈にあったことは確かで、ソウル地裁は「慰安婦」制度という反人道的犯罪行為に「主権免除」は適用されないと判断しました。それはどのような考えに基づくものでしょうか。

 原告側代理人団長の李相姫(イ・サンヒ)弁護士が、ソウル在住のジャーナリスト・徐台教(ソ・テギョ)氏のインタビューに答えて、次のように解説しています。以下、徐氏のツイート(1月14日)から引用します。

< 裁判の焦点は、「国家免除(主権免除とも。以下、日本での通用度を考え主権免除とする)」、すなわち韓国の裁判所が日本政府を裁けるのか、韓国の裁判所に裁判権があるのかという部分にあった。
 「主権免除」とは、「全ての主権国家は平等で独立している」という原則に基づき、「ある国の裁判所が別のある国を対象とする訴訟の裁判権を持たない」という国際慣習法を指す。

(中略)判決文では…「主権免除」の範囲を定めた国内法を持たない韓国が、国際的な事例を根拠に「日本政府(日本帝国)による反人道的犯罪行為(「慰安婦制度」のこと―引用者)は『強行規範』を違反したものであり、国家の主権といえども主権免除を適用できない」としたのだった。>

 さらに、李弁護士は「強行規範」について、こう説明します。

< 「強行規範」とは人類が共同体を維持するために、必ず守られるべき法律のことだ。民法、刑法、商法など韓国の国内法でも定められている。奴隷禁止、人身売買禁止などを犯す場合には、主権という理由で国家を保護してはいけないということ。国家も共同社会の一員であるため、共同体が維持できる範囲の中で保護されると考えればよい。>

 これは李弁護士の特異な解釈ではありません。日本の国際法の解説書でもこう説明されています。

 「国際社会の構造変化に伴う国際法の発展を最も明確に反映する条約法条約の規定は、強行規範に関する53条である。この規定が、国際社会の一般的利益という概念の登場を背景としていることはすでに述べたが、ここでは、強行規範とは、「いかなる逸脱も許されない規範として、また、後に成立する同一の性質を有する一般国際法の規範によってのみ変更することができる規範として、国により構成されている国際社会全体が受け入れ、かつ、認める規範」と定義された」
 「ICJ(国際司法裁判所)のコンゴ領域における軍事活動事件判決(2006年)では…ジェノサイドの禁止が強行規範を有すると認定された」(松井芳郎氏ら『国際法<第5版>』有斐閣Sシリーズ2007年)

 さらに、「主権免除」と「強行規範」の関係についても、「最近は、強行規範違反や裁判を受ける権利の保障という観点から(主権)免除を制限しようという主張も見られるが、まだ少数の意見にとどまっている」(同)と解説されています。

 「まだ少数の意見」(2007年時点で)とはいうものの、強行規範に反する場合は「主権免除」は制限されるという解釈がけっして特異なものではないことが、日本の専門書でも明記されているのです。「主権免除」を絶対的な「国際法上の原則」とする菅政権はじめ歴代日本政府の主張が、「国際法の発展」をわきまえない恣意的なものであることは明らかです。

 「慰安婦(戦時性奴隷)」制度は、ジェノサイドなどと同様、国際社会が絶対に容認できない人道的犯罪であり強行規範違反です。その被害者(サバイバー)らが訴えた裁判で、日本政府が「主権免除」を盾に法廷に立とうともせず、逆に被害者側を攻撃することがいかに不当であり理不尽であるかは、国際法の趨勢に照らしても明白です。


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日曜日記133・「年長者」の責任を木村映里さん・磯野真穂さんに学ぶ

2021年01月24日 | 日記・エッセイ・コラム

 「近頃の若者は…。こんなことを思ったことがあるあなたには、強くこの本を薦めたい。28歳の看護師のデビュー作に、冒頭から驚くはずだ」―という磯野真穂さん(医療人類学者)の書評(17日付琉球新報=共同)に引かれ、木村映里さんの『医療の外れで~看護師のわたしが考えたマイノリティと差別のこと~』(晶文社)を読んだ。

 「医療従事者からもたらされる傷付きが単なる不快にとどまらず、その先の生命にまで影響する事実に、焦りと恐怖を抱きます。そしてそういった傷付きを受ける、私の周囲の生活者の多くは、何らかのマイノリティや貧困、被差別的な属性といった背景を持つ、社会から排除されやすい人々です」

 この書き出しが、昨年福山市で起こった、市の指定の開業医による在日3世女性に対する差別を、すぐに想起させた。

 自身、実母による虐待、摂食障害、うつ病、性暴力被害など数々の苦難の道を歩んできた木村映里さんは、最後にこう書いている。

 「物心ついた頃から精神的に常に危うく、不安定な日常を生きてきた私は…人生を「ナシ」にしたくなる瞬間はいくらでもあって、それでも常に誰かが、現実に繋ぎとめてくれた。「もうだめかもしれない」と思う度に、大切な人達が日常の岸に引き戻してくれて、私は今も生き延びています。
 だからこそ私は、孤独や排除が怖い。私を繋ぎ止めてくれた錨のような何かが、誰にとっても存在するものであって欲しいと、できれば医療がそのひとつで在って欲しいと、切に願います」

 磯野さんは書評をこう締めくくっている。

 「この本は分断をめぐる書でありながら、世界の中に信頼を探す彼女自身の旅でもあることを知る。だからこそ、私たち年長者が「近頃の若者」にできる唯一のことは、信頼に足る世界を築いてこの世を去ることではないか」

 20代の木村さんの苦難の連続の人生、それを生き抜いて身につけた知性と勇気と優しさ。そんな木村さんの姿に、「著者の気付きに息をのむ」と賛辞をおしまない、40代~50代と思われる磯野さん。そして「私たち年長者ができる唯一のことは…」という磯野さんの決意と覚悟。もうすぐ70代になろうとしている私は、若い二人に教えられ励まされるばかりだ。

 示唆に富む論稿や本の筆者・著者のほとんどが自分より年下、という状況になってきた。これまで自分が重ねてきた年月は何だったのか。自己嫌悪に陥ることが少なくない。

 ただ、このごろこう思うようになった。長く生きればそれだけ知性も理性も進化するはずだ、と考えるほうが間違いではないか。この世界で、とりわけ日本で、長く生きれば生きるほど、脳も精神もさび付き退化していく。そう自覚すべきではないか、と。

 だとすれば、自分より若い人たちから学ぶことは自然なことだ。
 私がすべきことは、若い人たちから学び続け、差別のない、「信頼に足る世界」の実現のために、自分のできることをやって、「この世を去る」ことしかないだろう。


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歴史の教訓無視し差別助長するする感染症法改悪案

2021年01月23日 | コロナ禍と政治・社会

    

 菅義偉政権は22日、コロナ特措法と感染症法の「改正」案を閣議決定しました。特措法「改正」は、休業や時間短縮を事業者に命令し、従わないと店名を公表したり行政罰を科すもの。感染症法「改正」は、入院や調査を拒否した人に懲役・罰金の刑事罰を科すもの。いずれも憲法が保障する基本的人権を踏みにじる改悪で、絶対に容認することはできません。

 日本弁護士連合会(荒中会長)は22日、「感染症法・特措法の改正法案に反対する会長声明」を出し、「本来保護の対象となるべき感染者や事業者に対し、罰則の威嚇をもってその権利を制約し、義務を課すにもかかわらず、その前提となる基本的人権の擁護や適正手続の保障に欠け感染者等に対する差別偏見が一層助長され、極めて深刻な人権を招来するおそれがある」とし、「抜本的な見直しがなされない限り、強く反対する」と表明しました(写真中)。

 これより先、医学専門家集団の日本医学会連合(門田守人会長)は14日、「緊急声明」を出し、感染症法の「前文」、第2条(「国及び地方公共団体が講ずる施策は…感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とする」)を引用し、次のように指摘して「人権への最大限の配慮」を求めました(写真右)。

 「罰則を伴う強制は国民に恐怖や不安・差別を惹起することにもつながり、感染症対策をはじめとする公衆衛生施策において不可欠な、国民の主体的で積極的な参加と協力を得ることを著しく妨げる恐れがあります。刑事罰・罰則が科されることになると、それを恐れるあまり、検査を受けない、あるいは検査結果を隠蔽する可能性があります。結果、感染の抑止が困難になることが想定されます

 感染症法は、日本がかつて結核やハンセン病などで患者・感染者を強制収容する著しい人権侵害をおこない、ハンセン病の元患者・家族などをいまも苦しめ続けている苦い教訓に立ち、1998年に伝染病予防法を廃して制定されたものです。その前文には法の趣旨が明確に示されています。それはまるで現在のコロナ禍を予想していたかのようでもあります。以下、前文を全文転記します。

<人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症により、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。
 医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上により、多くの感染症が克服されてきたが、新たな感染症の出現や既知の感染症の再興により、また、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新たな形で、今なお人類に脅威を与えている。
 一方、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である
 このような感染症をめぐる状況の変化や感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感染症に迅速かつ適確に対応することが求められている。
 ここに、このような視点に立って、これまでの感染症の予防に関する施策を抜本的に見直し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する総合的な施策の推進を図るため、この法律を制定する。>

 菅政権が行おうとしている感染症法改悪は、こうした医学・法律の専門家の抗議・反対を無視し、歴史の歯車を逆に回して患者の人権を踏みにじり、差別・偏見を助長し、感染対策にも逆行する、まさに最悪の愚行と言わねばなりません。

 立憲民主党など野党は、「刑が重すぎる」としていますが、これは刑の軽重という量の問題ではありません。患者に刑事罰を科すという質的な暴挙です。「刑の軽減」などの「修正」で容認できるものではないことを野党側も肝に銘じる必要があります。


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ワクチンと東京五輪

2021年01月21日 | コロナ禍と政治・社会

    
 自民党の二階俊博幹事長は20日の衆院本会議で、新型コロナのワクチン接種を急ぐよう促し、菅義偉首相はこれに答えて「2月下旬までには開始できるように準備している」と答えました。5月には一般への接種を始めたい意向と報じられています。

 有効なワクチンはもちろん待望されます。しかし、世論調査ではワクチンは必ずしも歓迎されていません。NHKが1月9~11日に実施した調査では、「ワクチン接種したくない」という人が38%にのぼっています(「接種したい」は50%)。女性では「接種したい」42%に対し「したくない」が44%と上回っています。その主な理由が副作用(副反応)に対する不安であることは明らかです。

 山中伸弥京都大教授は、「ワクチンでリスクを抑えられれば、今の閉塞感は一気に打破されるでしょう」としながら、「ただ、多くの健康な方に投与するので、追跡調査は非常に大切です。安全性は石橋を何度たたいても十分ということはありません」(3日付中国新聞)と、安全性の慎重な検証に十分な時間をかける重要性を強調しています。

 ワクチンに対する不安は、こうした追跡調査を含め、菅政権がはたして十分な安全性の検査・検証を行うのか、という不安・不信ではないでしょうか。なぜなら、菅政権にはワクチンを急がねばならない理由・政治的思惑が、支持率低下の歯止め以外にもあるからです。それは東京オリンピック・パラリンピックです。

 世界中でコロナの変種が現れ深刻な状況にあるにもかかわらず、菅首相はいまだに、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証」(18日の首相の施政方針演説)などと言って東京五輪開催に固執しています。

 自民党の下村博文政調会長は18日の民放テレビで、東京五輪開催の最終的決定を「3月下旬を目安に」行うと述べました。それまでになんとしてもコロナ感染を下火にしなければならない、というのが政府・自民党の思惑です。菅政権の「ワクチン接種日程」が「東京五輪日程」を念頭に設定されていることは明らかです。

 加藤勝信官房長官は19日の記者会見で、ワクチンの接種状況は東京五輪開催の可否を判断する前提ではないと述べました。しかし、ワクチンの効果なくして大規模なイベント開催が不可能であることは世界の常識です。加藤氏の発言は、市民の疑念・批判を念頭に、あえてワクチンと五輪の関係を否定してみせたものでしょう。

 そもそも専門家は、「ワクチンに期待しすぎないこと」(高山義浩氏、『コロナの後を生きる』村上陽一郎編、岩波新書2020年所収)と警鐘を鳴らしています。「ワクチンが供給されれば、そのまま普及して、全世代において接種が進むわけではない。その有効性だけでなく、副反応のリスクについても丁寧に説明していくことが求められる」(同)からです。

 国内でワクチンの開発を行っている東京大医科学研究所の石井健教授(ワクチン学)は、12月の日本記者クラブでの講演で、「感染者がほとんど現れなくなるなど社会的に(ワクチン)効果が実感できるようになるまでには最短でも4、5年はかかる」(12月27日付中国新聞)と述べています。

 ワクチンの拙速は絶対に禁物です。十分時間をかけた検査・調査が不可欠であるのもかかわらず、菅政権があくまでも7月の東京五輪開催にこだわる限り、ワクチンの安全性に対する不信・疑念を消すことはできないでしょう。結果、有効なワクチン接種の普及を遅らせることにもなります。

 各種世論調査でも東京五輪の予定通りの開催を支持する世論は10%台(11日発表の共同通信調査14%、16日発表のNHK調査16%)に下落しており、破綻はすでに明白です。菅政権は素直にそれを認め、東京五輪の断念・中止を一刻も早く内外に表明すべきです。それが、安全なワクチンの普及、ワクチンへの信頼性にとっても不可欠であることを肝に銘じるべきです。

 


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宮古島市長選が示した「オール沖縄」の末路

2021年01月19日 | 沖縄と日米安保・米軍・自衛隊

    

 17日投票の沖縄・宮古島市長選挙は、「オール沖縄」勢力(社民、社大、共産、立民)と保守の一部が共闘した座喜味一幸氏が当選しました。地元紙はこれを、「「オール沖縄」連敗脱す 浦添、うるま市長選へ弾み」(18日付琉球新報)、「「オール沖縄」立て直し好機」(同沖縄タイムス)と、いずれも「オール沖縄」にとって追い風であると論評しました。果たしてその評価は妥当でしょうか。

 今回の投票率は65・64%で、前回(2017年)を2・59㌽下回り、これまでの同市長選で最低でした(第1回=2005年は85・86%)。その主要な原因が、「前回最大の争点となった陸上自衛隊配備問題は、両候補とも容認したため論戦は深まらなかった」(同琉球新報)ことにあるのは明らかでしょう。

 今回の宮古島市長選は、有権者から「自衛隊配備反対」の選択を奪い、したがってどちらが当選しても「自衛隊配備」に市長選のお墨付きが与えられたと政府・防衛省に強弁させる余地を作ったという二重の犯罪的役割を果たしたと言えます。その一翼を担った「オール沖縄」の責任は改めて重く問われなければなりません(12日のブログ参照)。

 座喜味氏の当選は、「オール沖縄」の今後にとってどういう意味を持つでしょうか。

 座喜味氏は自衛隊配備問題について、「国や県、賛成・反対双方の市民が議論できる連絡協議会を設置して解決に当たる」(同琉球新報)としています。しかし、国はもちろん、県(玉城デニー知事)も配備を容認しているのですから、「連絡協議会」なるものが多数の力で反対派市民を抑え込む場になることは必定です。

 しかし、「オール沖縄」勢力の中には自衛隊配備に「反対」している人たちが現に存在しています。「共産をはじめとする(座喜味氏)支持者の一部は「反対」を訴えており、内部で亀裂が生じる可能性も残る」(同琉球新報)と見るのが自然です。もし「亀裂が生じ」ないとすれば、それは共産党などが「自衛隊配備反対」の旗を名実ともに降ろす場合でしょう。

 沖縄タイムスは、「保革相乗りで当選した座喜味氏が…保革を超えた新たな政治スタイルを築くことができるか、手腕が試される」(18日付社説)と「保革を超えた政治スタイル」なるものに期待しています。しかし、座喜味氏を支える「オール沖縄」が亀裂なく存続するためには、前述の通り、「自衛隊配備反対」勢力が「容認」(あるいは黙認)に転じるほかないのですから、「保革を超えた政治」とは結局、「保守」=自民党路線に沿った政治ということになります。

 実は「オール沖縄」の「保革相乗り」は今回に始まったことではありません。そもそも自民党県連幹事長を務め、生涯自民党籍を離脱しなかった翁長雄志氏を知事に担いだこと自体、すなわち「オール沖縄」自体が「保革相乗り」なのです。

 結果、「辺野古埋め立て承認撤回」は翁長知事によって4年間引き延ばされ、取り返しのつかない事態を招きました。そしていま、自衛隊配備問題でも「反対」の声が打ち消されようとしています。

 「オール沖縄」とは、米軍基地建設に続いて自衛隊配備でも、結局自民党政権の路線に吸収されていく革新つぶしに他ならないのです。そのことが今回の宮古島市長選で改めて証明されたのではないでしょうか。
 これが果たして沖縄県民の望む方向でしょうか。

 折しも同じ18日付沖縄タイムスの「論壇」に、次のような論稿が載りました。
 「(沖縄は)米国従属の日本に従属して防波堤となるか? 否、「米軍基地、自衛隊基地がない素晴らしい沖縄」。復帰前に目指した未来に向かい努力する以外ない。理由は簡単、「命どぅ宝」だからだ」(那覇市・与那覇恵子さん)
 これこそ、多くの沖縄県民、そして「日本国民」の願いであり、進むべき方向ではないでしょうか。

 米戦略による戦争の前線基地となる在日米軍基地と自衛隊基地に反対する平和・民主勢力は、「保革相乗り」という名の自民党路線にほかならない「オール沖縄」の虚構から今こそ脱却し、「米軍基地全面撤去」「自衛隊配備反対」の旗の下に再結集すべきではないでしょうか。


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「靖国抗議見せしめ弾圧」有罪確定は許せない

2021年01月18日 | 戦争の被害と加害

    
 17日付沖縄タイムス第2社会面に、「靖国神社に侵入 男女有罪確定へ 南京事件の抗議活動」という短いベタ記事が載りました。ほかのメディアも同様の小さな扱いか、無視したかでした。しかし、この事件はすべての日本人が知らねばならない重要な問題であり、有罪判決の確定は絶対に容認できません。事件の概要はこうです。

 2018年12月12日、東京都千代田区の靖国神社外苑で、2人の香港人の男女が「建造物侵入」の容疑で逮捕されました。男性は「南京大虐殺を忘れるな」と広東語で書いた横断幕で日本軍国主義、靖国神社のA級戦犯合祀を批判するアピールを行いました(写真左)。12月12日は、1937年12月13日に日本軍が南京を侵略・陥落し大虐殺・性暴力を行ったメモリアルデイの前日です。女性はジャーナリストで、そのもようをスマホで撮影していました。

 そこへ守衛が来てやめるように言ったので、男性は立ち去ろうとしていました。ところが複数の守衛が2人を取り押さえ、警察に引き渡しました。2人はそのまま逮捕・勾留され、12月26日にスピード起訴。翌19年1月15日に弁護団が保釈申請しましたが、却下され勾留が続きました。

 19年10月10日、東京地裁は男性に懲役8月(執行猶予3年)、女性に懲役6月(同3年)の有罪判決を下しました。東京高裁もこれを支持。2人は上告しましたが、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が15日付でこれを棄却し、有罪が確定したものです。

 男性の靖国神社前での抗議にはこんな背景もありました。これまで香港市民は何十年も南京大虐殺の記念日に香港の日本総領事館に抗議文を手渡していました。ところが、第2次安倍晋三政権になって以降、日本総領事館はこれを受け取らなくなったのです(19年3月7日公判での男性の供述)。

 弁護団が主張したように、神社の参道における行為が「建造物侵入」であるはずはなく、万万一過失があったとしても、微罪で終わるべき事例です。逮捕から有罪確定に至る今回の経緯は極めて異常です。「12・12靖国抗議見せしめ弾圧を許さない会」は当初からこう指摘していました。

 「今回の事態は、まさにアジアの人びとが、靖国神社において公然と抗議行動をおこなったことに対する「見せしめ弾圧」であったと言わざるを得ない。この強硬な姿勢が、安倍政権においてより顕著になっている歴史修正主義、国家主義の強権的姿勢と無関係であるはずがない」(2019年1月21日の声明)

 2人の逮捕が、憲法の「表現の自由」「報道の自由」を侵害するものであることは明白です。同時に、これはたんなる自由の侵害ではありません。南京大虐殺、靖国神社A級戦犯合祀に対する中国人(アジア人)の抗議を強権で弾圧したことにこの事件の本質があります。まさに「見せしめ弾圧」です。侵略戦争の加害国・日本が政府・司法一体となって、被害国の市民の抗議を弾圧したもので、盗人猛々しいとはこのことです(写真右は靖国神社の春の例大祭に安倍首相が奉納した真榊)。

 国際的恥辱にほかならないこの異常な事態を、日本のメディアが相応の扱いで批判的に報道せず、日本の市民はその事実さえ知らず、知っていても見て見ぬふりをする。それはメディアと市民も反動政権・司法と同じ過ちを犯すことにほかなりません。
 南京大虐殺抗議の「見せしめ弾圧」・有罪判決確定に対して抗議の声を上げることは私たち日本市民の責任です。


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