「ごきげんよう さようなら」
高視聴率を得ているNHK朝の連ドラ「花子とアン」は、毎回美輪明宏さん(79)のこの語りで次回に続きます。
28日のNHKの番組(写真左、4月の再放送)で、この美しい日本語が自然に語れる人、ということで美輪さんに白羽の矢が立ったと、本人が述べていました。
波乱万丈の人生を歩み、多彩な才能を発揮している美輪さんが、最近一段と注目を集めるようになったのは、一昨年暮れのNHK紅白歌合戦で「ヨイトマケの唄」を歌ったのがきっかけでしょう。
そして昨年の「紅白」に連続出場した美輪さんは、原爆被爆者の人生を歌った「ふるさとの空の下」で、再び大きな反響を呼びました(写真右)
美輪さん自身、長崎に生まれ、10歳の時に被爆しました。原爆症にも苦しめられてきました。
そんな美輪さんが、一人の男性被爆者と出会い、その生きざまに感動して作ったのがこの歌です。「3・11」の被災地の人たちに思いを馳せ、「立ち上がる人間の生命力」を歌ったといいます。
ところで、美輪さんには、おそらくテレビでは流れたことがない隠れた名曲があります。
「祖国と女たち(従軍慰安婦の唄)」(1970年代)です。
長崎の丸山遊郭に、戦時性奴隷(従軍慰安婦)にされていた日本人女性たちが引き揚げてきました。その人たちの「思い出話」を直接聴いた美輪さんが、「ものすごく頭にきちゃって、義憤に駆られて」(2013.6ライブドアニュースから)作ったのが、この歌です(YouTubeで試聴できます)。
毎日百から二百 兵隊相手に
朝日が昇り 月が落ちるまで
いずれ死んでゆくことが 決まっている男
虚ろに空を 見つめる女
涙も枯れ果て 痛みもないさ
そこには 神も仏もない
万歳 万歳
誰の子かわからぬ 赤子残して
死んだ女やら 銃を片手に
愛する若い兵士と散った女やら
歌える女は 子守唄を歌う
あまりの怖さに狂った女
嫌な将校に斬られた女
万歳 万歳
戦に負けて帰れば 国の人たちに
勲章のかわりに 唾をかけられ
後ろ指さされて 陰口きかれて
祖国のためだと死んだ仲間の
幻抱いて 今日も街に立つ
万歳 万歳
ニッポン 万歳
大日本帝国 万歳 万歳 万歳
人生のどん底を経験し、人の痛みが身に染みる、被爆者・美輪明宏ならではの歌です。
美輪さんが「紅白」でこの歌を歌う姿を見たいものです。
それが可能になる日本にしたいものです。