高校無償化制度から朝鮮学校を排除している明白な差別・人権侵害を、最高裁が追認しました。東京と大阪の裁判で「敗訴」した朝鮮学校生徒・卒業生ら原告が行っていた上告を、いずれも27日付で棄却したのです。
明白な憲法違反を最高裁が追認し、政権(安倍政権)に迎合する。日本の司法の腐敗・退廃が端的に表れており、絶対に許すことはできません。
決定文書はA4判1枚で、棄却のまともな「理由」の説明もないきわめて杜撰で不誠実なもの。生徒たちの涙の訴えが土足で踏みにじられました。
原告弁護団は28日、「最高裁決定は、行政による違法な行為を是正するという司法府の役割を放棄したもの。…高校無償化法は、『家庭の状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくる』ことを目的とするもの…弁護団は高校無償化法の趣旨・目的にのっとり、一日も早く、朝鮮学校を就学支援金制度の対象にすることを求めます」というコメントを発表しました。
30日には文科省前で、原告・支援者らで緊急抗議集会・路上会見が行われました。
今回の最高裁の上告棄却は、韓国に対する安倍政権の傍若無人な振る舞いと決して無関係ではありません。
上告は棄却されたものの、「本訴訟の過程では下村博文文科相(当時)が、高校無償化の趣旨・目的に反して、『拉致問題等があり国民の理解が得られない』との政治的外交的理由から、朝鮮学校指定のための根拠規定をあえて削除して、不指定処分を行った事実経過(2012年12月28日の下村記者会見―引用者)が明らかになりました」(弁護団コメント)。
高校無償化からの朝鮮学校排除は、安倍政権が朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)に対する「政治的外交的」敵対・思惑から、政治とは無関係な朝鮮学校生徒の教育権・人権を蹂躙しているところに問題の本質があります。
それは韓国に対し、「元徴用工(強制動員)」問題の「政治的外交的」思惑から、「輸出規制」「ホワイト国からの排除」という経済的報復を強行した安倍政権の手法と相似形です。
そして重要なのは、朝鮮学校差別も「元徴用工」問題も、その根源は日本の朝鮮植民地支配であり、いまだに謝罪さえしていない日本に責任があるにもかかわらず、安倍首相にはその認識がまったくないことです。安倍首相は「徴用工問題は歴史問題ではない」と言い放っています。そこに問題の元凶があることを改めて銘記する必要があります。
高校無償化問題の裁判は、愛知、広島、九州で引き続きたたかわれます。今回の最高裁決定に強く抗議するとともに、これらのたたかいに連帯・支援し、朝鮮学校・在日朝鮮人に対する差別を1日も早くなくしていくことは、私たち日本人の責任です。