アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

玉城知事は土砂投入のための港使用を不許可に

2018年11月30日 | 沖縄・平和・基地

     

 29日付の琉球新報、沖縄タイムスはともに1面トップで、辺野古新基地建設を強行する安倍政権が、「来月中旬に土砂投入」と報じました。
 「本部港塩川地区の使用許可が下りずに懸案となている埋め立て用土砂の搬出は、引き続き本部町を説得する一方、不許可が続く場合は計画とは別の搬出場所を利用することで解決を図る」(29日付琉球新報)というのです。「別の搬出場所」として「名護市安和の琉球セメントの桟橋」が検討されているといいます。

  民意を無視し、あの手この手であくまでも辺野古埋め立て・新基地建設を強行しようとする安倍政権の強権ぶりは露骨です。

  同時に、問題の焦点がいよいよ明確になってきました。それは、県内の港湾使用の許可権限をもつ玉城デニー知事が、辺野古埋立土砂を搬出するための港の使用を認めるべきではない、認めてはならないということです。

  本部港はもちろん、「琉球セメントの桟橋」という”裏ワザ“も、知事の権限で使用を阻止することはできます。

  辺野古新基地問題に詳しい北上田毅氏によれば、「琉球セメントの安和桟橋は、沖縄県が公共用財産使用許可を出した桟橋である。公共の海を特定の民間企業が排他的に使用することを特別に許可したのだから、どんなことでも出来るというものではない。…辺野古への土砂搬送のために使用することなど許されない。県は、目的外使用で許可条件違反だとして、ただちに公共用財産使用許可を取消すべきである」(ブログ「チョイさんの沖縄日記」)。

 玉城氏はいまだに「対話」一辺倒ですが、28日で終了した非公開の「集中協議」も、「期間中、県は工事阻止に向けた法的措置を控えた一方、政府は工事を続けた。この間に土砂投入までの準備を進められたのは事実だ。その間の協議で強引な印象を薄めつつ、工事を進められたのは政府の狙い通りだったとみられる」(29日付琉球新報「解説」)ものです。「菅官房長官に近い国会議員は『官邸の手のひらで踊っている』と県政の対応を冷やかした」(同琉球新報「透視鏡」)とさえ報じられています。

 ほんとうに辺野古新基地を阻止する気があるなら、そしてその世論を広げようと思うなら、玉城氏が行うべきことはすべての知事権限を行使することです。その当面の課題は、本部港、琉球セメント桟橋はじめ、沖縄のすべての港を辺野古新基地建設のために使わせないことです。

 不可解なのは、「オール沖縄」陣営はじめ辺野古新基地に反対する市民・団体・メディアから、「知事は港の使用を許可すべきではない」という声が出ていない(表面化していない)ことです。

 知事が辺野古埋立のために港の使用を許可したのはこれが初めてではありません。昨年9~11月、翁長雄志知事(当時)は奥港、本部港、中城港の使用(石材搬出)を相次いで許可しました。この時は市民から批判が噴出しました。

 沖縄平和運動センターの山城博治議長は2017年11月10日の同センター定期総会で、「これまで翁長雄志知事を正面から批判したことはないが、覚悟を決めて翁長県政と向き合う必要が出てくる」(2017年11月12日付沖縄タイムス)と奥港の使用許可をきびしく批判しました。

  元参院議員の山内徳信氏は「石材搬出許可は撤回を 県内港湾 戦争利用許すな」の見出しの「論壇」で、「港湾法における港湾管理者は自治体の長(知事や市町村長)であることを深く認識して対処すべきであった。私は改めて申し上げたい。港湾法による港湾管理者の名において(使用許可を―引用者)撤回をし、沖縄県内(宮古、八重山含む)のすべての港が戦争のために利用されることがないよう心すべきである」(2017年11月29日付沖縄タイムス「論壇」)と主張しました(写真右)。

 市民からも「奥港使用許可取り消しを 知事の重大な公約違反だ」(2017年12月7日付琉球新報、野島雅安氏の「論壇」)などの声が上がりました。

 いずれもまったく妥当な指摘です。こうした声が今回の「港使用」に関してまったく聞かれないのは、いったいどうしたことでしょうか。
 いまこそ声を大にして言うべきです。「玉城知事は辺野古埋立土工事のための港湾使用を許可すべきではない!」


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沖縄・県民投票の”タイミング“に2つの懸念

2018年11月29日 | 沖縄・平和・基地

     

 沖縄県の玉城デニー知事は27日、辺野古新基地の是非を問う県民投票の日程を「2月14日告示、2月24日投開票」と発表しました。
 「投開票日を巡っては、1月末も取り沙汰されただけに政府内には『少し時間があいた』(関係者)と国に有利に働くとの見方もある」(28日付沖縄タイムス)といわれています。

 県民投票がこの”タイミング“で行われることで、懸念されることが2つあります。

 1つは、「告示期間中の2月18日は、安倍晋三首相と仲井真弘多元知事が約束した普天間飛行場(写真中)5年以内の運用停止の期限を迎える」(同沖縄タイムス)ことです。

 安倍首相にこの「約束」を実行する意思は毛頭ありません。当然、「県は2月18日前後に何らかの行動を起こすことが迫られ」(同)ます。「辺野古新基地反対」「普天間即時無条件閉鎖」をあらためて安倍政権に突きつける必要があります。

  ところが、玉城氏は27日の記者会見で、「県民投票条例では知事は…必要な広報活動、情報提供を客観的かつ中立的に行うことと規定さている」とし、「(辺野古新基地への)賛成、反対を示さないのか」との記者の質問に、「はい。誤解を与えないよう、中立的に県民投票への参加を呼び掛ける」(同)と答えました。

  玉城氏は、「県民投票条例」の「中立」規定によって、2月18日の「普天間5年の期限切れ」を、「辺野古新基地反対」を封印したまま迎えるというのです。

  もう1つの懸念は、時期が遅くなればなるほど埋立工事はすすみ、県民投票の前に「土砂投入」が強行される可能性が強まることです。

  土砂投入にかんして現在焦点になっているのは、海上から辺野古へ土砂を搬入するための本部港が台風で損壊し使用できなくなっていることです(写真右)。陸路に変更すれば新たに県の許可を取り直す必要があり、防衛局はあくまでも本部港から運ぶ方針です。

  一方、港の所有者である沖縄県・管理を委託されている本部町は、現在は損壊のため物理的に使用許可が出せないだけで復旧すれば使用を許可するとしています。

  そこで問題になるのは復旧の見通しです。報道によれば、「12月初旬頃、国が災害査定し、復旧工事の予算を決定→県が工事を発注→入札・契約後、工事開始→3カ月で復旧工事完了の見込み」(11月8日付琉球新報)とされています。

 この見通しによれば、投票日の2月24日は復旧工事が完了し、土砂投入のための本部港使用が許可されているかどうかきわめて微妙な“タイミング”です。

  そのため27日の会見では記者から「投票日までに土砂が投入されている可能性もある中、県民投票の意義は何か」(28日付琉球新報)との質問が出されました。これに対し玉城氏は、「タイミングよりも県民が意思を示すことの意義が大きい」(同)と答えました。

  そもそも、「辺野古新基地反対」の民意は、先の県知事選をはじめ繰り返し示されており、あらためて県民投票を行う必要はありません。議論を広めることは重要ですが、それは県民投票以外の方法で行えるし行うべきです。あえてリスクのある県民投票を行う必要はありません。

  しかし、行うと決まった以上は、投票率を高めることも含め、圧倒的に勝たねばなりません。そのためには「タイミング」はけっして軽視できません。投票日までに土砂投入が強行されていれば、「あきらめ」が広がって国に有利になるというのが安倍政権・防衛省の目論見です。玉城氏が「タイミングよりも意思を示すこと」と言い切る姿勢は疑問です。

 復旧工事にかかわらず、玉城氏は防衛局に本部港の使用許可を与えるべきではありません。それが「承認撤回」を行った知事が行うべき権限行使です。
 そうすれば県民投票との「タイミング」の懸念は一掃され、工事は止まったままになります。それこそが辺野古新基地を阻止するために今とるべき現実的手段です。

☆29日付の琉球新報、沖縄タイムスはともに1面トップで、「来月中旬に土砂投入」の方針を安倍政権が固めたと報じました。これについては、明日のブログで書きます。


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東京新聞・軍事費連載の秀逸と点睛

2018年11月27日 | 日米安保体制と平和・民主主義

     

 東京新聞の連載「税を追う―歯止めなき防衛費」(11月13日~25日)は、最近にない優れた連載でした。軍事費をめぐる安倍政権の暴走、対米従属、膨張のからくりを綿密な取材で検証しています。10回に及ぶ連載の各回のテーマ、見出しが要点をとらえているので、記事中の注目される記述とともに列挙します(写真中、右は連載とは関係ありません)。

 ①    かすむ専守防衛 官邸主導で攻撃兵器選定 自民国防部会でも詳細説明せず

  <防衛省の幹部が内情を明かした。「総理は、『敵にやられっぱなしで、日本が守るしかないだけでは良くない。攻撃的な技術をやった方がいい』という考えだと周囲は受け止めている。NSS(国家安全保障会議)で『総理の意』をくんだ議論を重ね、防衛省に提示させたんだ」>

 ②    コストより日米同盟 覆った偵察機導入中止 再考促したNSS(官邸)

 <ある欧米系軍事企業の幹部は「GH(米国から輸入する無人偵察機グルーバルホーク)は米空軍でもコストが問題視されたが、(日本)政府はコストより日米安保を踏まえ、米国との関係を重視したのでは」と話す。
 GH三機の年間の維持整備費は計百二十億円余り。かつて一時間飛ばすのに三百万円かかるという米側の試算もあった。日米同盟の名の下、兵器ローンのツケが国民に重くのしかかる>

③    進む日米一体化 軍事戦略の一翼担う 集団的自衛権を誇示

 <昨年末、日本は地上イージスの導入を決めた。トランプ米大統領が日米首脳会談で、安倍晋三首相に大量の防衛装備品の購入を迫った翌月のことだ。
 「地上イージスだけではなく、どんどん日米の軍事一体化が加速している」。民主党政権で防衛相を務めた北沢俊美氏は、第二次安倍政権下での日米同盟の変貌ぶりに目を見張る>

④    レーダー商戦 しのぎ削る米メーカー イージス艦搭載・更新1基100億円超

 <次のレーダー商戦は海上自衛隊のイージス艦だ。海自は保有する六隻のイージス艦のミサイル防衛能力を向上させながら、二〇年度までに八隻に増やす計画だ。…レーダー更新は一基百億円を超す一大ビジネスだ。今や米国製を中心に高額兵器を次々と導入するようになった日本。世界の軍事メーカーや商社が虎視眈々と商機をうかがう>

⑤    貿易赤字解消図る米大統領 「兵器買え」強まる流れ 「自動車を守るバーターに」

 <「私は(安倍首相に)『われわれは巨額の赤字は望まない。あなたたちはもっと買わざるを得なくなるだろう』と言った。彼らは今も大量の防衛装備品を買い続けている」。米紙ワシントン・ポストによれば、トランプ氏は九月下旬のニューヨークでの記者会見の際、直前に行われた安倍首相との会談で、そう迫ったことを強調した>

⑥    対外有償軍事援助(FMS 米優位もの言えぬ日本 ずさんな精算処理「足元見られている」

 <FMSは米国に有利な取引で、価格や納期は米側が主導権を握る。…(会計)検査院が調べたところ、早期警戒機など二〇一四~一五年度の六十四契約(総額六百七十一億円)すべてで、米側から届いた納品書と積算書の記載に食い違いがあった。…今年一~八月の六十六契約のうち、食い違いは実に七割超の五十契約(総額二千百八十億円)で見つかっている>

⑦    国内防衛産業 機関銃価格米の7倍 コスト意識薄く、水増し請求も

 <防衛省と契約実績のある企業には毎年、自衛隊の一佐以上と本省課長相当以上の幹部だけで六十~八十人が天下る。…防衛省の契約上位十社のうち八社は一六年、自民党の政治資金団体「国民政治協会」に計一億三千二百八十万円という多額の献金をしている。…政界と業界、防衛省・自衛隊のもたれ合いが浮かび上がる>

⑧    中期防兵器リスト 「八掛け」で詰め込む コスト管理ずさん 購入計画に狂い

 <「『ポツハチ』を掛けたりするんだよ。十年ほど前に退官した元自衛隊幹部が明かした。ポツハチとは「見積もりを0・8倍する」という意味だ。「中期防のリストに(兵器の)アイテムが載っていないと、絶対に事業化されない。だから、見積額を八掛けして無理やり入れている、というのが実態だ」>

⑨    米軍再編費要求ゼロ 膨らむ予算「裏技」駆使 兵器ローン重く自転車操業

 <二〇一九年度予算の概算要求は…本来盛り込むべき費用を外していた。…原因は後年度負担と呼ばれる国産・輸入の兵器ローンにある。…ローン残高はわずか六年間で二兆一千億円も増え、来年度は五兆三千億円を超す。…防衛省は補正予算にもローン返済を組み込む「裏技」を使うようになった>

⑩    辺野古新基地建設 県民抑え際限なき予算 警備「1日2000万円」

 <海上警備の予算は一五~一七年度で計百六十一億円。…陸上警備の予算を合わせると、三年間の総額は二百六十億円に上る。…一日の人件費は一人九万円で積算されており…辺野古には既に千二百七十億円が支出されている。…巨額の税金を垂れ流しながら、今後いくらかかるのか、見通しさえ国民に明らかにしようとしない>

 軍事費の闇を暴いて秀逸です。国会で徹底的に追及する必要があります。

 しかし、この優れた連載には、画竜点睛を欠くと言うべき欠陥があります。連載は軍事費の膨張・からくりの背景・根底に対米従属の「日米安保・軍事同盟」があることを暴きながら、その廃棄を主張していないことです。

 取材班は「問われているのは戦争のリアルを想像し、軍拡に頼らずに平和を求め続ける強い意思だ」(望月衣塑子記者、13日付)と主張しています。
 同感です。しかしそれは、小手先の修正や現状維持では実現しません。「軍拡に頼らずに平和を求め続ける」ためには、憲法違反の自衛隊の解散(防災復興組織への改組)、日米安保条約の廃棄という根本的改革が不可欠です。その明確な主張があってこそ、この連載に”魂“が入ったのではないでしょうか。


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飢餓、少年兵…戦争・紛争地域の子どもたちは今

2018年11月26日 | 天皇制と戦争

     

 11月20日は「世界子どもの日」だそうです。
 国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は21日、内戦下のイエメン(中東南部)の子どもたちが置かれている悲惨な実態を発表しました。
 イエメンでは2015年以降の3年間で、5歳未満の子どもたち約8万5000人が飢餓や病気で死亡したと推定されています。
 セーブ・ザ・チルドレンの担当者は、「子どもたちは泣くこともできないほど衰弱し、両親はやせ細っていくわが子をただ見ているだけしかできないでいる」と話しています。(AFP=時事)

  「アムネスティ・ニュースレター」の最新号(vol.478)は「子どもが『人間の盾』に―大切な日々、そして未来を奪われる子どもたち」の見出しで、「今もなくならない『子ども兵士』」の実態を伝えています(写真左は同誌より、紛争で破壊された学校にたたずむ少女)。

  「コンゴ民主共和国で最も貧しい地域のひとつであるカサイでは、紛争で農業ができなくなったことで、深刻な食糧不足に陥り、40万人の乳幼児が重度の栄養失調に苦しんでいます。紛争が発生してから400以上の学校が破壊され、たとえ学校があっても暴力の恐怖から親が子どもを通わせず…さらに、大勢の子どもが兵士として民兵組織に徴用されています。ユニセフによれば、民兵組織の戦闘員の6割が子どもです」

  「国際人道法は、国や武装組織が15歳未満の子ともを兵士として徴用することを禁じ、子どもの権利条約の選択議定書ではその年齢を18歳未満としていますが、いまだに世界で25万人以上の子ども兵士がいると言われています」(同誌)

  「子ども兵士」で、亡くなった後藤健二さん(写真中)の本、『ダイヤモンドより平和がほしい―子ども兵士・ムリアの告白』(汐文社、2005年)を思い出しました。

  後藤さんはダイヤモンドの産地として知られるシエラレオネ(アフリカ西部)の内戦で「市民の十人中七人が家をなくし」、多くの子どもたちが「兵士」となっている実態をリポートしています。

  「兵士になった子どもたちは、大人の兵士に教えられたとおりに村をおそい、家を焼きはらい、人々の手足を切り落とす戦闘マシーンになって行きました。反政府軍に使われた子ども兵士の年齢は十歳から十六歳。その数は、五千人以上と言われています」

  子ども兵士だった15歳のムリアは反政府軍から脱走し、更生センターに保護されていました。目の上には戦闘のために麻薬を埋め込まれた傷痕があります。なぜ罪もない人々を殺害する「兵士」になったのか。当時の気持ちをこう述べています。
 「今は戦争なんだよ。ぼくは両親も殺された。お父さんもお母さんも何も悪いことはしていなかったのに、殺された。それが戦争なんだ」

 センターでの平穏な生活で心身を回復し、学校へ通うようになったムリア。「今、生まれて初めて自分のために生きていく喜びを感じ」、後藤さんに「自分の夢」を語ります。「この国の大統領になって戦争をしないようにする」

 後藤さんは本の最後でこう述べています。
 「シエラレオネでは今、ストリート・チルドレンが増えています。…路上でくらす子どもたちの中に、兵士をしていた子どもたちがたくさんいます。…戦争がひとたび起これば、すべてが破壊される…貧しい生活が続けば…不満がまた新しい戦争へとつながっていくのです。
 わたしたちは、そうなる前に戦争で傷ついた人たちにさまざまな方法で手をさしのべなければならないと思います。今、自分が生きているこの時を同じように生きている人(隣人)に、わたしはまず何をしたらいいのか? この本が、そう考えるきっかけになってくれればと願っています」

  そんな思いを胸に戦場を取材し続け、そして斃れた後藤さん。戦場ジャーナリストの貴重で崇高な仕事にあらためて感謝です。

  「子どもは宝」です。それは自分の子ども(孫)だけでなく、日本の子どもたちだけでもなく、世界中の子どもたちが宝です。とりわけ戦争・紛争地域で生命の危機に瀕し、現在の生活ばかりか未来の希望さえ剥奪されている子どもたちに、「わたしはまず何をしたらいいのか」、考え続けたいと思います。


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日曜日記30・大阪万博・「ゴーン問題」・カープと護国神社

2018年11月25日 | 日記・エッセイ・コラム

 ☆「大阪万博」はまっぴらだ

  24日、「2025年大阪万博」が決まった。大阪はじめ日本中が大喜びしている、ような報道が行われている。確かに一部の政治家や企業は喜んでいるだろうが、一般市民がそれほど関心を持っているとは思えない。例によってメディアの“あおり報道”の臭いがする。

  会場建設(人工島・夢洲)だけでも1250億かかるという。もちろんそれだけではすまない。大変な浪費だ。費用は国と自治体と企業が3分の1ずつ出し合うという。「大阪のこと」ではすまない。

  しかも会場と同じ夢洲にカジノを作ることを目論んでいる。それが「経済効果」の決め手だろう。今回の「万博」はカジノと抱き合わせだ。

  世耕経産相は「2020年の東京五輪のあとの大きな目標が日本にできた」と本音を吐露した。「東京オリ・パラ」はスポーツを利用した「国威発揚」だが、次は産業見本市を利用してそれを行おうとする。それが「大阪万博」だ。

 国際的イベントを次々行い、メディアを動員して「世論」をあおり、「国威発揚」「国民統合」を図ろうとする。そんな国家戦略に乗せられてはならない。

 ☆釈然としない「ゴーン問題」

  19日の突然の逮捕以降、カルロス・ゴーン元日産会長の「不正暴露」が続いている。一連の報道が事実なら(真相解明はこれからだ)、2万人超という従業員の首を切りながら不正に私腹を肥やしていたことになり言語道断だ。

  しかし釈然としない。西川広人社長らの「クーデター」説が消えないからだ。巨額の報酬隠ぺいも西川氏ら経営陣が承知(むしろ推奨)の上だったとの説。「大量解雇」という憎まれ役を外国人(ブラジル生まれ)にやらせておいて、経営が「V字回復」し、ルノーとの合併の可能性が大きくなった時点で”御用済み“と切り捨てる。その可能性は否定できない。

  そうでないとしても、報道されているような「不正」をこれまで西川氏らが知らなかったとは考えにくい。仮に「知らなかった」とすればそれ自体が経営者失格だ。

 経営陣だけではない。労働組合はいったい何をしていたのか。「不正」知りながら口をつぐんでいたのではないのか。労使協調の御用組合の存在意義が問われる。

 「事件」が起きれば容疑者を集中バッシングして問題の本質をうやむやにする。そんな日本のメディアの習癖には要注意だ。日産はじめ自動車企業はテレビ・新聞の大口スポンサーでもある。

 ☆カープは「護国神社」参りをやめよ

  24日、緒方監督はじめ広島カープの選手たちが「護国神社」にリーグ優勝の”お礼参り“をした。カープはシーズン開始前に同神社に参り「優勝祈願」するのが恒例だ。今回はその”お礼“というわけだ。こんな悪習は即刻やめてもらいたい。

 「護国神社は靖国神社の地方分社であり、都道府県単位に創建されて、その地方出身の戦死者を祀った。いずれも、天皇のために戦って死んだ将兵などを慰霊し顕彰するための宗教施設である」(『天皇・皇室辞典』岩波書店)
 天皇制を支え侵略戦争を推進した靖国・護国神社は、敗戦後GHQによって公務員の公的参拝が禁じられたが、サンフランシスコ「講和」条約(1952年4月28日発効)によって“復権”し、天皇裕仁は57年に敗戦後初めて静岡県護国神社に参拝した。

  そんな神社でカープの選手たちが頭を下げている図は見たくない。草の根天皇制・無意識の天皇制にプロ野球はじめスポーツが利用される(加担する)のはまっぴらだ。何の憂いもなくカープを応援したい。来年こそは日本一だ!

 


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「慰安婦財団解散」に反発する日本(政府・メディア)の異常

2018年11月24日 | 戦争・「慰安婦」

     

 戦時性奴隷(「慰安婦」)問題の「日韓合意」(2015年12月28日)に基づいてつくられた「和解・癒やし財団」を韓国政府が解散すると発表(21日)したことに対し、安倍首相が直ちに「あり得ない判断だ」と非難し、日本のメディアも「きわめて残念な韓国の対応」(22日付毎日新聞社説)、「なし崩しは賢慮欠く」(同朝日新聞社説)など、そろって韓国政府を批判しています。先日の「元徴用工判決」に続く、日本政府・メディア一体となった韓国バッシング。きわめて異常です。

  韓国政府が「財団」の解散を決めたのは、「被害者中心主義の原則下で和解・癒やし財団に対するさまざまな意見を取りまとめた結果などをベースに、財団の解散を推進することになった」(陳善美女性家族部長官、21日付ハンギョレ新聞)もので、まったく妥当な判断です。

  日本政府・メディアは「日韓合意」を金科玉条のように賛美して財団の解散決定を批判しています。しかし、そもそも「日韓合意」は、性奴隷の被害者・支援団体の声を無視して行われたものです。しかもそれの背景には、同盟国である日本と韓国の対立を避けたいアメリカ政府の意向がありました。
 当事者(被害者)を蚊帳の外の置いた政治的思惑の合意。それが「日韓合意」です。

 したがってその内容のは多くの問題があります。

 第1に、「合意」は「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」(外務省HPより。以下同じ)としています。
 「軍の関与の下に」とは軍=日本政府はかかわってはいたが、主体ではなかった、つまり日本政府は加害の主体ではないということです。現に安倍首相は「合意」後の国会で、「性奴隷といった事実はない」(2016年1月18日の参院予算委員会)と答弁しています。
 日本政府の加害者としての自認と謝罪の欠如・責任転嫁。それが「日韓合意」の基本的な特徴です。

  第2に、「合意」は「日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心を癒す措置を講じる」としています。これによって作られたのが「和解・癒やし財団」であり、10億円が拠出されました。
 これはいわば政府の”恩恵“として「癒し」事業であり、けっして被害者に対する補償・賠償ではありません。当事者の岸田文雄外相(当時)は「合意」直後、「10億円」は「国家賠償ではない」と明言しています。

 被害者が求めているのは加害者である日本政府の謝罪と補償・賠償です。「合意」はその声を無視し、「財団」と「10億円」の「癒し」ですませようとするものです。そんな「財団」が解散されるのは当然でしょう。

  第3に、「合意」は「今回の発表により、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」としています。上記のように真の解決とは全く無縁の政治合意で、性奴隷問題に「最終的かつ不可逆的に」フタをしようというわけです。安倍政権の狙いがここに表れています。

 そもそも国際法に照らして、人権侵害に対する被害者の賠償請求権を、政府間の「合意」で帳消しにすることはできません。

 「日韓政府がこの『合意』によって日本軍『慰安婦』問題の『最終的かつ不可逆的な解決』を確認したところで、日本の国家責任の問題に両政府がケリをつけることは本来的に不可能である。…人権諸条約上の義務にしても、第一義的には被害者個人との関係で生じており、日韓両政府がいくら『最終的かつ不可逆的な解決』を強調しようとも、国家に対して人権義務の履行を求める個人の権利・資格はなんら影響を受けるものではない。つまり、今般の『合意』は国際法的にいえば、『最終的かつ不可逆的な解決』になりようがないのである」(阿部浩己神奈川大教授、「バウラック通信」2016年6月号)

 折しも韓国政府の解散発表の2日前(19日)、国連の強制的失踪委員会が日本政府に対する最終見解を発表しました。その中で、「『慰安婦』被害者すべてのケースの調査」「すべての犠牲者への適切な補償」などを勧告するとともに、「元慰安婦らへの補償は十分とは言えず『最終的かつ不可逆的に解決した』との日本政府の立場に遺憾の意を示し」(21日付中国新聞=共同)ました。これが国際的常識です。

 日本政府やメディアは、元徴用工への賠償を命じた先の韓国大法院(最高裁)判決と並べて今回の財団解散で韓国を非難判していますが、まさに2つの問題の根は1つです。いずれも加害責任は日本政府(日本の植民地支配・侵略戦争)にあり、問題の焦点は人権侵害の被害者(元徴用工など被強制動員者、元「慰安婦」)個人への謝罪・補償・賠償です。その責任が日本側にあることは明白です。

  にもかかわらず、その2つの問題でいずれも自らの責任を棚上げし、逆に韓国に矛先を向ける。それが日本政府とメディアの“国家総動員体制”で行われる。暗黒の歴史の再来をみる思いです。


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加速する米軍・自衛隊一体化の中で宮古島基地着工1年

2018年11月22日 | 日米安保・沖縄

     

 安倍政権・防衛省が沖縄・宮古島に陸上自衛隊駐屯地を建設する工事に着工して20日で1年になります。「反対を押し切って工事に着工した防衛省に、住民の諦めは募り…」(19日付沖縄タイムス)とも言われていますが、反対運動は粘り強く続けられています。
 宮古島はじめ先島諸島への自衛隊配備強化・ミサイル基地化の意味をあらためて確認する必要があります。

 自衛隊基地建設の見返りに「地域活性化策」を求めて容認派に転じた「保良集落活性化に賛同する会」の松川晋会長代理は、「(自衛隊基地で―引用者)日本の国土を守る姿勢を見せなければならない」(20日付沖縄タイムス)と述べています。
 はたして宮古島への自衛隊配備は「日本の国土を守る」ものでしょうか。

 韓国のハンギョレ新聞は今月18日付で、平和活動家ソ・ジェチョル氏(緑色連合専門委員)の「宮古島訪問記」を掲載しました(写真は同レポより。陸自駐屯地工事=左、中と宮古島航空自衛隊基地の監視施設)。ソ・ジェチョル氏は基地建設の現状をリポートし最後にこう述べています。

 「日米同盟は軍事基地の共同利用と共同訓練を基本とする。米国は、日本が南西諸島で自衛隊を増強すれば、自費をかけずに中国を目の前でリアルタイムに監視・牽制する効果が得られる。米国が望む軍事的利益の強大化と符合する。
 安倍晋三首相は今年9月の自民党総裁選で3選に成功した後、平和憲法の改定を推進している。日本の沖縄県の小さな島である宮古島で、日中戦争や太平洋戦争を起こした日本の軍国主義の遺伝子がまだ完全に消えていないことが感じられた」(18日付ハンギョレ新聞・日本語電子版)

 日本の軍事専門家・井筒高雄氏(ベテランズ・フォー・ジャパン代表、元陸上自衛隊員)もこう指摘します。
 「軍事施設ができてしまえば維持・拡張されることはあっても、縮小することはない。防衛省統合幕僚監部の内部資料『日米の「動的防衛協力」について』では、南西地域での日米共同訓練が記されている。配備が完了すればそう遠くない段階で米軍も島に入ってくるようになるだろう」(19日付沖縄タイムス)

  宮古島や石垣島など先島諸島への自衛隊配備・ミサイル基地建設は、「日本の国土を守る」どころか、米軍と一体となり、米軍の肩代わりをして、アメリカの東アジア戦略・覇権主義の片棒を担ぐものです。自衛隊基地の名目で造られた基地は早晩米軍が「共同使用」し、事実上の米軍基地と化すことは明白です。

 「戦争法」(安保法制)の強行(2016年9月19日強行採決)で自衛隊は「専守防衛」の建前もかなぐり捨て、戦争をする軍隊(集団的自衛権行使)になりました。安倍首相の下でその暴走には歯止めがかかっていません。

  防衛省は昨年12月、3種類の長距離巡航ミサイルをアメリカから購入すると発表しました。「防衛省は『離島やイージス艦などを防衛するため』と強調するが、敵基地攻撃が可能なため、これまでの政権は専守防衛の観点から導入に慎重だった」(13日付東京新聞・連載「税を追う 歯止めなき防衛費」)ミサイルです。

  その導入は安倍首相自身の意向だと報じられています。
 「防衛省の幹部が内情を明かした。『総理は「敵にやられっぱなしで、日本が守るしかないのは良くない。攻撃的な技術をやった方がいい」という考えだと周囲は受け止めている。NSS(国家安全保障局)で「総理の意」をくんだ議論を重ね、防衛省に提示させたんだ』」(同東京新聞)
 「攻撃的な技術」「敵基地攻撃が可能」な兵器の配備こそ「総理の意」だというわけです。

  こうした安倍首相の下で加速する自衛隊と米軍の一体化・日米軍事同盟深化の最前線に置かれているのが宮古島、石垣島など先島諸島、さらに本島を含む沖縄です。これは言うまでもなく沖縄だけの問題ではありません。沖縄への自衛隊配備強化・基地建設に反対するのは「本土の日本人」の責任です。


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「原爆」を被害の視点からだけ見ていいのか―BTS「Tシャツ」問題

2018年11月20日 | 被ばく

     

 韓国のアーティスト・BTS(防弾少年団)のいわゆる「原爆Tシャツ」問題について、19日付の琉球新報に乗松聡子さんが論考を寄せています(「乗松聡子の眼」)http://peacephilosophy.blogspot.com/2018/11/bts.html
 この問題について日本のメディア、「識者」からの的確なコメント・論評がない中、特筆すべき貴重な論考です。

 乗松さんはこの問題が韓国大法院の「元徴用工」判決(10月30日)を受けた日本の「韓国バッシング」の中で起こった点に注意を喚起し、「背景には、日本政府自身による、朝鮮学校差別、日本軍「慰安婦」の強制性否定、強制労働の歴史否定等の「官製ヘイト」がある」と「官民挙げての嫌韓ヘイト」を突いています。

 私が特に共感したのは次の指摘です。
 「この原爆のイメージ(BTSのメンバーの1人が着ていたTシャツに描かれていた原爆の写真―引用者)は韓国の人にとっての、植民地支配の歴史を経た「解放」という出来事全体の中で捉えるもので、日本人がこの一部だけを取り出して「原爆Tシャツ」と呼ぶことは、原爆に至るまでの加害の歴史を切り落としていることになるのだ

 その通りです。あのTシャツ(写真中)の主題は「光復節」(1945年8月15日の日本の敗戦=朝鮮半島の「解放」記念日)であり、「原爆Tシャツ」ではなく「光復節Tシャツ」です。
 それを原爆の写真だけ取り出して「原爆Tシャツ」と呼び、「被爆者・被爆国への配慮が足りない」などと批判するのは、日本の敗戦の意味、侵略戦争と植民地支配に対して下された歴史の審判の意味を「切り落としている」ことであり、論点をそらすものと言えるでしょう。

  広島、長崎への原爆投下はもちろん国際法上も人道上も絶対に許されません。しかし、日本人が「被爆」について語るとき、それは被害の視点からだけでなく、加害の視点もけっして忘れてはならない、というのがこれまで積み上げてきた貴重な教訓ではないでしょうか。

 広島の被爆詩人・栗原貞子(写真右)が「ヒロシマというとき」を書いたのは1972年5月のことです。

  <ヒロシマ>といえば<パール・ハーバー>
 <ヒロシマ>といえば<南京虐殺>
 <ヒロシマ>といえば 女や子供を壕のなかにとじこめ ガソリンをかけて焼いたマニラの火刑
 <ヒロシマ>といえば 血と炎のこだまが 返って来るのだ
(中略)
 <ヒロシマ>といえば <ああ ヒロシマ>とやさしくかえってくるためには
 捨てた筈の武器を ほんとうに捨てねばならない
 異国の基地を撤去せねばならない
 その日までヒロシマは 残酷と不信のにがい都市だ
(後略)

  この栗原貞子の「ヒロシマというとき」について、岩垂弘氏(元朝日新聞記者)はこう論評していました。

  「栗原さんが、『ヒロシマというとき』で提起したのは、被爆問題を考えるにあたっては『被害』と『加害』の両面から、つまり、複合的にみてゆくことが不可欠、ということであったと私は思う。…この詩がつくられてから四〇年余、原爆被害は『被害』と『加害』の両面からみてゆかねばという方向が、運動面とメディアでようやく定着しつつある」(『人類が滅びる前に―栗原貞子生誕百年記念』広島文学資料保全の会、2014年)

  岩垂氏が「運動面とメディアでようやく定着しつつある」と述べた「『被害』と『加害』の複合的」視点は、今はどうなっているのでしょうか。岩垂氏が指摘して以降の4年間で逆に後退しているのではないでしょうか。まさに「安倍政権」の4年間で。

  BTSの「光復節Tシャツ」から、私たちはその視点を取り戻さねばならないのではないでしょうか。


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日本軍が空爆した都市で軍事同盟強化を宣言した安倍首相

2018年11月19日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会

     

 安倍首相は16日、オーストラリアのダーウィンを訪れ、モリソン首相と会談し「共同声明」を発表しました(写真左)。そこで合意されたことはけっして見過ごすことができません。

  「両首脳は…海洋進出を強める中国を念頭に『準同盟』と位置づける両国の安全保障協力を強化する方針を確認した。…安倍首相は会談後の共同記者発表で『日豪の特別な戦略パートナーシップをさらに深化させていくことを確認した』と強調した」(17日付産経新聞)

 「準同盟」とはもちろん「軍事同盟」のことです。発表された「日豪共同声明」にはこう明記されています。
 「日豪間の互恵的な防衛協力を深化させ、特別な戦略的パートナーシップを強化する。共同運用や演習を円滑化するため、行政的、法的手続きを改善する相互訪問に関する協定の交渉の来年早期の妥結を図る。日本、豪州、インド、米国の協力を一層強化する」(同産経新聞)

  これは日米安保体制にオーストラリア、インドを加え、4カ国の軍事同盟体制をインド太平洋全域に展開しようとするものに他なりません。これが安倍首相のいう「自由で開かれたインド太平洋」です。

  オーストラリア訪問に先立ち、安倍首相は10月29日、日本でインドのモディ首相と会談し、すでに軍事協力の強化で合意しています(写真右)。
 「会談で両首相は安保協力に関し、無人車両やロボットの共同研究を進めることで一致。海上自衛隊とインド海軍の連携や、宇宙、サイバー分野での協力を深化させる方針も共有した」(10月30日付中国新聞=共同)

  さらに、日豪合意に呼応するように産経新聞は18日付の1面トップで、「自衛隊、太平洋島嶼国を支援」と報じました。「防衛省は、自衛隊の他国軍に対する『能力構築支援(キャパシティ・ビルディング)』を、米国、オーストラリアと連携し、太平洋島嶼国で強化する方針を固めた。…安倍晋三首相が提唱する『自由で開かれたインド太平洋』の全域に(自衛隊の―引用者)支援の枠組みを広げていく」
 軍事同盟のインド太平洋地域への拡大に伴って、自衛隊(日本軍)がアメリカ軍、オーストラリア軍と連携して太平洋の島嶼国の軍隊(人材・施設)の強化に乗り出すというのです。

 こうしたインド太平洋地域への軍事同盟の拡大が、沖縄の石垣、宮古、与那国などへの自衛隊配備強化と密接に結び付いていることは言うまでもありません。

  軍事同盟の拡大という重大事項が、いつ国会で議論され決定されたでしょうか。されていません。国会素通り・無視です。本来こうしたことは条約で規定すべきです。それを首相間の会談や「共同声明」、あるいは政府間の「協定」(オーストラリア軍との「訪問部隊地位協定」)で決めてしまう。「条約」にしないのは国会の審議・議決を避けるためです。だから「準」同盟なのです。主権在民・憲法蹂躙も甚だしいと言わねばなりません。

 オーストラリアのダーウィンはかつて日本軍が空爆した都市です。1942年2月19日の日本軍の空爆で、死者243人、負傷者300人以上にのぼりました。オーストラリアが外国から受けた攻撃では史上最悪の犠牲者で、「もうひとつのパールハーバー」といわれています。その後も空爆は繰り返され、ダーウィンへは計64回、犠牲者は1000人以上にのぼりました(この項、NHK解説=写真中より)。

 安倍首相はかつて日本軍が多大な犠牲をあたえた国・都市を訪れ、そこで「(準)軍事同盟」の強化を宣言し合意したのです。侵略戦争の反省どころか、戦争の加害責任を新たな戦争準備の軍事同盟で塗りつぶそうとする歴史修正主義者の最悪の愚挙・暴挙と言わねばなりません。


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日曜日記29・天皇と山下俊一氏・結婚式考・外山滋比古氏

2018年11月18日 | 日記・エッセイ・コラム

☆山下俊一氏を励ました天皇・皇后

  9日の天皇・皇后主催の園遊会の新聞記事を後日読んで驚いた。あの山下俊一福島県立医科大副学長と天皇・皇后の会話が載っている(10日付中国新聞=共同)。

  「山下俊一氏から、これまでの福島訪問に『勇気をたくさんいただきました』と声を掛けられた陛下は『原子力は非常に微妙な問題ですね。よろしくお願いします』と述べた。皇后さまは『福島の子どもたちの健康はどうでございますか』と尋ね、山下氏は『みなさん本当によく頑張っています』と答えた」

  中国新聞(共同)以外にも朝日新聞、産経新聞などがこのもようを報じていたが、これ以上詳しくは書かれていなかった。

 山下氏といえば、「3・11」直後から東電原発事故、放射能汚染、被曝を過小評価し、子どもたちの甲状腺異常も被曝の影響を否定しようとするとんでもない人物、政府にとってはまことに都合のいい「学者」だ。

  これだけの報道では天皇・皇后がどういう考えで山下氏にこういう言葉をかけたのか断定できないが、はっきりしているのは、こうして天皇・皇后と会話し激励されたと報じられたことが、山下氏に”好印象“を与え、これまでの同氏の言動の「正当化」につながる可能性があることだ。
 「象徴天皇制」が果たしている役割の一端がここにも表れている。

 ☆現代結婚式考

  4日、甥Dの結婚式が名古屋であった。昨年の姪Mの時もそうだったが、最近の結婚式・披露宴の料理はすごい。カーテンの隣が厨房で、フルコースの料理が次々運ばれてくる。100人以下の出席者に対し、料理を作り運ぶスタッフは20~30人もいたのではないだろうか。料理はもちろん美味しかったが、人件費も含め費用は相当な額に上るだろう。昔(?)の手作りの「会費制結婚式」がなつかしい。

  様変わりした結婚式だが、あいも変わらぬものもある。「A家とB家の結婚式」という呼称・形式だ。この場合の「家」は家族ではなく家系、イエ制度の名残としての「家」だ。そして披露宴の締めは「両家を代表して新郎のお父様のC様のご挨拶」となる(今回もそうだった)。

  なぜ新郎の方が代表になるのか。なぜ母親ではなく父親なのか。ここにも家制度と表裏一体の男尊女卑の名残がある。

 ずいぶん様変わりしたように見える現代の結婚式だが、家制度・男尊女卑が根深く引き継がれている。それに対して疑問を持つ出席者はいないようだ。
 こうした日本の無意識の風習・儀式が、草の根保守主義・草の根天皇制と無関係でないことは言うまでもない。

 ☆外山滋比古氏の「百歳人生」

  15日のラジオ深夜便で、外山滋比古氏の「百歳人生はこう歩く」と題したインタビューがあった。現在95歳。母より3つも上だ。『思考の整理学』(ちくま文庫、1986年)はおもしろかったが、今回の話も興味深かった。

  「日本人は目で見ることに頼りすぎている。大切なのは耳で聞いて考えることだ。目で読む文字はすでに過去のもの。それに依存すれば自分の考えを持とうとしなくなる。独創性が乏しくなる。人間が母親の胎内で最初に獲得する感覚器官は耳だ。次は口(泣く)。議論することで集合体思考が生まれる。耳と口による知的活動が大事だ」(要旨)

  聴きながら、「大事なものは目に見えない」という言葉が浮かんできた。

 「失敗から学ぶことが大切だ」とも。「人間には挽回力がある。貧しい家庭に生まれた人は努力して人生を切り拓く。挽回力だ。金持ちは努力しない。失敗は怖くない。成功した者は早く年をとる。失敗が薬だ。挽回力で力は120%になる。失敗を恐れずまずやってみる。失敗を前提に実験的に生きることだ」

 とても95歳の言葉とは思えない。人間の「老い」はけっして年月だけで訪れるものではないと、あらためて思う。


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