今年もあと1日。年の明け暮れにそれほど意味は感じませんが、一応の区切りとして、これまで書こうと思って書けなかったことのいくつかを列挙します。もちろん、ここにないことで重要な問題はいくらもあります。
★「東京五輪会場問題」の異常報道は何をもたらすか
大手ゼネコンと組織委員会(森喜朗会長)の癒着を暴くならともかく、ただ競技会場がどこになるのかを連日大きく取り上げた報道は異常です。それはたんにニュース価値判断の誤りにととまらず、重大な政治的意味を持ちます。
①問題点隠蔽する国策キャンペーン
安倍首相の福島原発「アンダーコントロール」発言や経費の超過小見積もり、さらに「危機管理」強化など、東京五輪開催には問題点が山積しています。一連の「会場報道」はそれらを隠蔽し、「東京五輪」を「国民的行事」に仕立てる国策キャンペーンと言わねばなりません。
②安倍首相につながる森元首相を「大物」扱い
森氏が安倍首相と深い関係にあることは周知の事実。「神の国」暴言で退陣した森氏を組織委員会会長として「大物」扱いすることは、安倍氏を喜ばせ、五輪と政界(自民党)の腐れ縁を強めるだけです。
③小池都知事美化の危険
小泉元首相流のパフォーマンスで小池百合子都知事の「世論調査人気」が上がっています。しかし小池氏は「五輪」問題でも実際の闇にはなんらメスを入れていません。一方、都知事としての肝心な問題ではまったく責任を果たしていません。その典型がオスプレイです。沖縄にオスプレイが墜落した時、彼女は何かコメントを出したでしょうか。広島県知事(保守)でさえ会見で「危惧」を示したのに。オスプレイは2017年後半までに3機、21年までにさらに7機、横田に配備されることになっています。そのオスプレイ墜落について、小池氏は都知事として何か言ったでしょうか。自民党政権の防衛相として日米軍事同盟強化の旗を振ってきた実像は隠されたまま、メディアの小池美化報道が続いています。
★「福島避難児童・生徒へのいじめ」、元凶は安倍政権
学校の対応にも問題はあります。しかし、避難児童・生徒へのいじめの根源は、福島からの自主避難家族に対する社会の無理解ではないでしょうか。子どもはおとな(社会)の鏡です。
その社会の無理解をつくりだしている元凶は安倍政権です。放射能被害の過小評価を続ける一方、自主避難者に対する家賃補助の打ち切りはその典型です。
★すすむ「銃後」の体制づくり
呉市は来年度から、「海外出張」する自衛隊員の子どもを預かるため、特別の保育所体制をとることを決めました。
防衛省は自衛隊員の死亡・重度障害の弔慰金・見舞金の限度額を6000万円から9000万円に引き上げました。
自衛隊の海外派兵を強化・拡大するための「銃後」の体制づくりが進んでいます。南スーダンの「活動日誌」は保存しないことにしました。自衛隊員(兵士)の負傷・戦死は闇に葬られる恐れがあります。
日本の戦時体制づくりは、国家秘密法や戦争法などの法律分野から、市民生活にまでひたひたと広がろうとしています。
★増えたニュースの「自衛隊提供」写真・映像
地震のニュースなどで、「自衛隊提供」の写真や映像が使われることが多くなっているのではないでしょうか。メディアが自分で撮影できるような対象にも安易に使われているように感じます。最も目につくのはNHKです。
一方、東電福島原発事故の写真・映像は一貫して「東京電力提供」が使われています。いつまで「犯人」が差し出す「証拠写真」を「事実」として流すつもりでしょうか。
「自衛隊提供」「東電提供」をなんのためらいもなく使うのは、メディアの堕落・腐敗であり、戦時国家体制づくりに不可欠な情報の国家統制につながることを銘記する必要があります。
★愛子さんの「不登校」報道は人権侵害
宮内庁は皇太子の娘の愛子さんの「登校」「不登校」を逐一発表し、メディアはそれを垂れ流しています。これは重大な人権侵害と言わねばなりません。
「不登校」はけっして悪ではありません。それを「好ましくないもの」のように扱い、「登校刺激」を与えることは「不登校児・者」にとっては最悪です。
愛子さんがこうした人権侵害にさらされるのは、皇太子の娘だからにほかなりません。なん人にも備わっている人権を平気で蹂躙するのが「象徴天皇制」という国家の制度です。「皇族」といわれる人たちの人権尊重・擁護のためにも象徴天皇制は廃止しなければなりません。
※お読みいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。