アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記169・世界の子どもたちは…・「キャンサーギフト」のリレー

2021年10月31日 | 日記・エッセイ・コラム

☆紛争・コロナ禍で世界の子どもたちは…

「アフガニスタンでは人口の半分以上の2280万人が食糧不足に苦しんでいる。そのうち100万人が子どもたちだ」(26日のNHK国際報道2021)

「国連難民高等弁務官事務所によれば、故郷を追われた人は2020年末時点で8240万人。世界の95人に1が、紛争や迫害、暴力、人権侵害などで避難を余儀なくされているのです。その42が18歳未満の子どもです」(「アムネスティ・ニュースレター」2021・9・10月号)

「コロナ禍が食料危機に拍車をかけている。国連によると昨年、世界のほぼ10人に1にあたる8億1千万人が飢餓に苦しんだ」「WFP(国連世界食糧計画)など国連5機関が7月に発表した報告書によると、2020年の飢餓人口はアジアが4億1800万人と最大で、アフリカが2憶8200万人。アフリカでは人口の21が栄養不足で、他の地域の2倍以上」(18日の朝日新聞デジタル)

「新型コロナ感染症の影響 1億4200万人子どもたちが貧困や社会的保護を受けられない状態に陥った」
「低・中所得国では、保健サービスの崩壊と栄養不足の拡大によって、最悪の場合、12カ月間でさらに120万人の5歳未満の子どもが死亡する可能性がある」
「妊産婦が医療サービスを受けにくくなったり、受けられなくなったりすることで、12カ月間で20万人の死産が増える可能性がある」
「少なくとも68カ国で、8000万人の1歳未満の子どもたちが、命を守るワクチンを受けられない可能性がある」(「ユニセフニュース」2021年秋号)

 内向きになってはいけない、日本の外に目を向けなければと思いながら、この国に暮らしていると、世界との間に壁ができてしまう。壁を壊さなければならない。目を外へ、世界へ、とりわけ世界の子どもたちへ。

☆「キャンサーギフト」のリレー

 NHKラジオ深夜便の植物写真家・杣田美野里(そまだ・みのり)さんのインタビュー(10月15日、17日の「日曜日記」参照)に感動し、励まされたのは私だけではなかった。

 29日の深夜便で、その中のお一人の便りが紹介された。シンドウさんのお連れ合いはがんの告知を受け、お二人で山の麓に移られた。

 お連れ合いはそこに咲く小さな草花を愛でながら、静かに最期を迎えられた。まさに礼文島の花々を最期まで撮り続けた杣田さんと重なる。

 お連れ合いはたびたび「宇宙の不思議」を口にされていたそうだ。これも杣田さんと同じだ。

 シンドウさんは、「生きているうちに杣田さんの話を聴かせてやりたかった」と思った。
 数日後、シンドウさんが本棚を整理していたら、お連れ合いの棚から、杣田さんの写真集が出て来た。
「妻は杣田さんの写真を見、エッセイを読んでいたんだ」

 お連れ合いは闘病期間中、こう言われていたそうだ。

「病気を治すことを考えるより、自分の生き方を変えよう」

 その通りの人生をまっとうされた。シンドウさんは言われた。「これがまさに、キャンサーギフトですね」
 杣田さんの「キャンサーギフト」がリレーされた。

 私はどんな「ギフト」を見つけることができるだろうか。

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

若者の選挙争点意識にみるこの国の危うさ

2021年10月30日 | 政治・選挙

    

 選挙の若者の投票率を上げるため、飲食店で割引を受けられる「選挙割」などの取り組みが若者たち自身によって行われています(写真)。自主的な活動は貴重ですが、若者の投票行動については、もっと考えるべき問題があるのではないでしょうか。

 若者は今回の衆院選で何が争点だと考えているか―。それに関する1つの調査があります。日本財団がネットで、10代の有権者916人に「31項目」を示し、衆院選で重視する度合いを点数にして集計したものです。その結果、上位10位は次の通りです(21日付中国新聞=共同)。

①保健衛生②経済成長と雇用③子育て・少子化④災害対策・復興⑤子どもの貧困⑥教育・学校⑦子どもの権利・保護⑧税金・税制度⑨社会保障・ヘルスケア⑩成人・労働者の貧困

 その特徴は一目瞭然、すべて直接自分や家族の生活にかかわるものです。平和や近隣諸国との関係、在日朝鮮人や外国人実習生など在日外国人の人権に関する項目はありません。 

 もともと日本財団が挙げた「31項目」にそうした選択項目がなかったのかといえば、そうではありません。日本財団のHPで全項目を見ると、「外交政策・他国との関係」は26位、「日本へ移民・難民・就労・差別など」は28位となっています。

 この調査結果だけで断定することはできませんが、10代の有権者の政治的関心がきわめて内向き、生活保守主義的であることは確かでしょう。それは自身や家族の経済的窮状の反映にほかなりませんが、そうだとしても、これでいいのでしょうか。

 この傾向はもちろん、若者たちだけではありません。たとえば朝日新聞の世論調査(10月21日付)でも、「衆院選で最も重視するテーマ」の第1位は「社会保障」(29%)、2位「景気・雇用」(27%)、3位「新型コロナウイルス対策」(18%)で、「外交・安全保障」は9%にすぎません。これは近年の国政選挙に共通の傾向です。

 生活保守主義、内向き志向は日本人・日本社会全体の特徴であり、若者の意識はその反映にほかなりません。

 自民党政権による生活・雇用破壊から暮らしを守ることはもちろん重要です。しかし、国政選挙は本来、国の進路を問うものではないでしょうか。

 アメリカ従属の日米軍事同盟(安保条約)を強化し、中国、朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)敵視をあおり、「戦争国家」へ突き進んでいる自民党政治に対し、それとは根本的に違う進路を示し、それを争点とする。それが国政選挙のあるべき姿ではないでしょうか。そうであってこそ、若者の政治的関心が高まり、投票率も上がるはずです。

 内向きの生活保守主義選挙を繰り返しても、日本の政治・社会の基底は変わらないと考えます。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「天皇の軍隊」と戦争トラウマ・加害責任

2021年10月28日 | 戦争の被害と加害

    

 「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」が発行した『自衛官と家族の心をまもる 海外派遣によるトラウマ』(あけび書房)(26日のブログ参照)のもう1つの柱は、「見過ごされてきた戦争トラウマ」です。

 この中で中村江里広島大大学院准教授(写真右=沖縄タイムスより)は、「戦争中に戦争神経症を含む精神疾患を患った兵士が周縁化され」、戦争トラウマが隠ぺいされてきた事実を告発しています。

 中村氏は戦争神経症を含む精神疾患の兵士が、敗戦までに、国府台陸軍病院(千葉県市川市)に約1万人、武蔵野療養所(東京都小平市)に約950人入院していたことを示す資料があると指摘したうえで、さらに独自の調査で同様の病院が全国各地にあったことが分かったとしています。

 こうした膨大な数の精神疾患兵士がなぜ周縁化され隠ぺいされてきたのか。中村氏はこう指摘します。

「軍の公式の立場としては、精神的にも強靭な「皇軍」(天皇の軍隊)には、恐怖や不安を原因とする戦争神経症など発生しないという前提がありました。そのため新聞報道などでは、患者の存在が隠されていました」

「国府台陸軍病院のカルテには、戦傷や一般の戦病ではなく精神疾患になることは「国賊」であるという言葉が度々出てきます」

 「天皇の軍隊」(写真左は大元帥・天皇裕仁)は、精神疾患の兵士を「国賊」として切り捨て、隠ぺいしたのです。

 さらに中村氏は、「日本軍におけるトラウマの特徴」の1つとして、「加害行為のトラウマ」を挙げます。

侵略戦争に参加した日本軍兵士の場合は、被害だけでなく、加害行為のトラウマも抱えることになりました。トラウマ体験の多くは言語化しにくいものなのですが、なかでも加害者性や犯罪性を帯びるものは語りにくい」

 こうしたことから、敗戦後、元兵士や家族からアジア・太平洋戦争のトラウマについて語られることはほぼないまま、今日に至っています。中村氏は日本が関わったイラク戦争のトラウマも含め、こう警鐘を鳴らします。

近現代の戦争がもたらしたトラウマについて、現状では十分に検証され、ケアがなされていません。そのような状況の中で、軍事化が進むということについて、強く懸念しています

 中村氏は中国新聞(9月15日付)でもインタビューに答えています。

元兵士や家族の証言を社会で共有していくことは、戦争の暴力構造を理解し、防ぐことにもなります。…トラウマという視点は、何世代にもわたって影を落とす戦争のリアルを私たちが知り、考える上でも重要な糸口だと思います

 中村氏にインタビューした中国新聞の森田裕美論説委員はこう述べています。
「思えば、学校の平和教育でもメディアでも、被爆や空襲被害の体験証言に触れる機会は、今もそれなりにある。一方、加害者でもあった一人一人の兵士の体験や内面に、戦後に生まれた私たちは、どれだけ注意を払ってきただろう」(9月23日付中国新聞)

 侵略戦争・植民地支配の加害の歴史を教訓化するとともに、日米軍事同盟の下で急速に進行している軍事国家化に歯止めをかけるためにも、「天皇の軍隊」の戦争トラウマの実態、その周縁化の経過に光を当てることは、きわめて重要な今日的課題です。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戦争法(安保法制)と海外派兵自衛官のトラウマ

2021年10月26日 | 憲法と日米安保・自衛隊

    

 安倍・菅政治に対する評価を下す際、欠かせないのは戦争法(安保法制、2015年9月19日施行)に対する審判です。日米軍事同盟の強化で、自衛隊と米軍の一体化、沖縄など琉球諸島のミサイル基地化が急速に進行している今、それは喫緊の課題です。

 同法は大局的に見て、憲法が禁じる集団的自衛権に道を開き、日本を「戦争をする国」にするものですが、同時に、武力行使を容認(強制)され戦闘に加わることになる自衛隊員に対しても見過ごせない重大な事態を引き起こします。それは海外派兵によるトラウマの拡大です。(写真左は南スーダンに派遣された自衛隊員、写真中はそれを見送る家族)

 「海外派兵自衛官と家族の健康を考える会」(2017年1月発足、共同代表・高遠菜穂子氏ら)がこのほど、『自衛官と家族の心をまもる 海外派遣によるトラウマ』(あけび書房、2021年9月)発行しました。

「集団的自衛権の拡大解釈で海外派遣自衛官のリスクが一気に高まりました。…前線が曖昧な対テロ戦争では民間人の巻き添えが非常に多くなります。万一、自衛官が発砲した時、戦闘になった時、民間人を殺めないとは言い切れません」(高遠菜穂子氏、同書所収)

 同書によれば、陸上自衛隊はイラク特措法が成立した2003年から「惨事ストレス対処集合訓練」を始めています。惨事ストレスとは、人が死ぬ現場を見ることなどで生じるストレスです。イラクに派遣された約5500人の陸上自衛官のうち、21人が在職中に自殺し、戦争法が成立した後に自衛官の自殺が急増しています。

 海外派兵自衛官のトラウマは家族にも深刻な影響を及ぼします。同書にはイラクへ派遣された幹部自衛官(40代)の例が紹介されています。帰国後、頭痛の発症、性格の変異でストレス障害と診断されて入院。「はれものにさわるよう」だった妻にもストレスが溜まりました。

 こうした自衛隊員のストレス、トラウマは本人や家族だけの問題ではありません。自衛隊員は「日本の軍隊」として戦闘行為を行い、民間人を含む人々に対する加害行為に及ぶことになるのです。

 同書は自衛官のトラウマと、アジア・太平洋戦争による戦争トラウマ(後日詳述)の2部構成になっています。海外派兵による自衛官のトラウマは、日本の侵略戦争・植民地支配による戦争トラウマと通底し、その再現といえます。

 同会は自衛隊に対し様々な意見を持つ人々によって構成されており、同書は「あくまでも戦争トラウマとは何かを理解することに主眼を置いて」(高遠氏)書かれたもので、政治的主張は明確ではありません。

 同書を読んで改めて痛感するのは、戦争トラウマの再現・拡大は絶対に阻止しなければならず、そのためには自衛隊の海外派兵をやめさせる以外にないということです。戦争法の廃止はその第1歩です。
 そしてそれを、憲法違反の自衛隊の解散(災害救助隊などへの改組)、同じく憲法理念に逆行する日米軍事同盟(安保条約)の廃棄に繋げることが必要です。

 そのためにも、戦争法廃止を衆院選の大きな争点にする必要があります。

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「秋篠宮長女結婚」問題の核心は天皇制の是非

2021年10月25日 | 天皇制と憲法

   

 秋篠宮家の長女・眞子氏の結婚問題をメディアは連日大々的に報じてきました。それは量・質ともに異常で、日本のメディアの劣化を象徴的に示すものです。

 「識者」のコメントの中には、「天皇や皇族が自分の意志を持ってそれを貫きたいと思う時、それと国民の反応をどう折り合いを付け、バランスを取っていくのか」(河西秀哉名古屋大大学院准教授、9月8日付中国新聞=共同)が課題だという問題の危険な矮小化もあります。

 この問題の核心は、皇族に憲法上の人権が保障されていないことです。

 秋篠宮は昨年の誕生日会見(2020年11月20日)でこう述べました。
憲法にも結婚は両性の合意のみに基づいてというのがあります。本人たちが本当にそういう気持ちであれば、親としてはそれを尊重するべきものだというふうに考えています」(宮内庁HP)

 これは皇嗣である秋篠宮が、皇族にも憲法が適用されるべきだと公言したものとして注目されます。 

 この発言に正面から異を唱える人はまずいないでしょう。であるなら、これは個人の結婚の問題であり、メディアやそれに煽られた市民が「賛成・反対」で大騒ぎするのはよけいなお世話、人権侵害も甚だしと言わねばなりません。

 結果、眞子氏はPTSDと診断され、一時金(1億5千万円)を辞退するに至りました。眞子氏に憲法24条の「婚姻の自由」は事実上保障されなかったのです。

 なぜこういうことになったのか。それは彼女が皇族に生まれたから、それが唯一の理由です。つまり秋篠宮の憲法発言は建前論であり、実際は 皇族に「婚姻の自由」はないということです。

 それはもちろん眞子氏だけではなく、また女性皇族だけでもありません。男性皇族の場合は皇室典範で、「皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する」(第10条)と定められています。この過程で様々な調査が行われ、結婚相手が選別されます。

 また、皇族に保障されていない憲法上の諸権利は、「婚姻の自由」だけでないことも周知の事実です。皇族には、移動の自由、職業選択の自由、言論・集会の自由などの基本的人権はありません。

 立憲主義といわれている日本の社会に、憲法の基本的人権が保障されていない特別な一団が公然と存在するのです。きわめて異常な現実と言わねばなりません。

 これは皇族だけの問題ではありません。基本的人権の保障に例外をつくることは、憲法体系・民主主義体制に風穴を開けることに他ならず、その影響は重大です。

 皇族に憲法上の人権が保障されていない問題は、必然的に天皇制そのものの是非を問い直すことに直結します。なぜなら、天皇制を温存したまま皇族に基本的人権を保障することは不可能だからです。

「そういう不条理な制度をつくったのは、憲法(とりわけ第一条、第二条)なのであって、憲法自体を改めなければならないのである。個別の取り極めを違憲だと決めても片付くものではない。きつい言葉で言えば、それはお門違いである。

 皇室典範の個々の規定を個別に改正して事態を収拾しようとする政策に頭から反対するつもりはない。しかし、これは対症療法でしかなく、暫定措置的な効果が期待されるにすぎない。天皇制(天皇家)が憲法上の制度たるをやめないかぎり、(皇族の―引用者)不自由・拘束は遺憾ながら制度とともに付いてまわらざるを得ない」(奥平康弘著『「萬世一系」の研究(下)』岩波現代文庫2005年)

「秋篠宮長女の結婚」が投げかけているのは、まさにこの問題にほかなりません。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日曜日記168・中村敦夫さんの手紙「楽しい俗世との闘い」

2021年10月24日 | 日本軍「慰安婦」・性奴隷・性暴力問題

☆中村敦夫さんの手紙「楽しい俗世との闘い」

 俳優で作家、演出家、そして環境活動家の中村敦夫さん(「木枯らし紋次郎」)(81)とは、夕刊紙の記者時代、中村さんが参院選に出馬する際に知り合った。もう20年以上前になる。

 意気投合し、今日まで年に数回手紙を交換するお付き合いをさせていただいている。先日、中村さんの記事が中国新聞(9月27日付=共同)に載った感想に、手術・治療のことを付記して送ったら、さっそく返信を頂戴した。その一部―。

< 私自身、自分の晩年を、「戦場の散歩」と呼んでいます。どこから弾が飛んでくるか分からない時間に入っているからです。

仏教では、生死は同一のものであり、人間は「空」の世界を泳いでいるに過ぎません。
最終的には、すべて「空」が引き受けてくれるわけですから、人間は気楽なもんです。

一番楽しいのは、俗世の悪と闘い続けることです。結果なぞ気にすることなく、毎日、ぬけぬけと進めば楽しい限りでしょう。人生、最高のゲームだと思います。>

 その言葉通り、中村さんは俗世の悪と闘い続けている。メディアへの出演の他、東電原発事故を告発する一人朗読劇「線量計が鳴る」(作・出演)を5年前から始め、全国で公演してきた(上演100回を目前にコロナで中断)。

 先月は、俳人・杉田久女の生涯を描いた俳句朗読劇「翔べ久女よ!天空の果てまで」を制作し、久女ゆかりの北九州市で、女優の中井貴恵さんと二人舞台で演じ、「近代俳句における家元制度」を告発した。

 中村さんは「気楽なもんです」と言うが、その闘いは自らにはたいへん厳しい。無所属で参院議員になり、「盗聴法」などの悪法に孤軍奮闘で立ち向かい、「環境会議」を立ち上げたときから、その生きざまを見てきた。

 手紙は、重くならないように配慮されながら、同時に、珠玉の真理に貫かれていると思う。「生死は同一」「すべては「空(くう)」が引き受けてくれる」「毎日、ぬけぬけと進めば楽しい限り」

 心が軽くなった。生ある限り「俗世の悪」と楽しく闘い続けよう、ぬけぬけと。

☆一喜一憂せず(抗がん剤治療13日目)

 1週間目くらいから倦怠感、胃のむかつきが出てきた。それがきのうあたりから軽くなってきた。「必ず出る」と言われた手足のシビレ、皮膚の荒れはまだ出ていない。なにより、むかつきが吐き気までには至らず、ものが食べられていることで助かっている。

 副作用の表れ方には個人差があるようだ。一喜一憂せず、自然体を心掛けよう。

 きのう治療開始後初の通院で血液検査したが、異常なかった。ほっとした。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「自宅療養」死の責任を不問にしてはならない

2021年10月23日 | コロナ禍と政治・社会

    

 NHK・ETV特集「新型コロナ こぼれ落ちた命 訪問看護師たちが見た“自宅療養”」(10月16日放送)は、「自宅療養」によって命を失ったコロナ感染者と家族の悲劇、それに寄り添った訪問看護師たちの苦悩を生々しく伝えました。

 場所は神戸市、時期は今年前半の第4波。菅政権が「重症者」以外は「自宅療養」を基本とする方針を出したのを受け、神戸市は訪問看護を行う医療従事者を募集。しかし、応募したのは看護師の藤田愛さんと社会福祉士の龍田さんの事業所だけでした。以下、番組から。

 35歳のAさん(男性)は糖尿病の持病があった。藤田さんが駆け付けた時は発症から9日目。パルスオキシメーターの酸素数値は88(93で酸素吸入が必要とされる)。命の危機が迫っていた。直ちに救急車を呼んだ。救急車は来たが、受け入れる病院がない。

廊下でいいから、入院させて下さい!」 

母親の懇願むなしく、Aさんは帰らぬ人となった。
「30年看護師をしていて、とても信じられない状況だった」と藤田さん。

 視覚障がい者のBさんは同じく視覚障がい者の妻と次女の3人暮らしだったが、ベッドから落ちて骨折した。運ばれた病院でPCR検査の結果、陽性と判明。その時点で病院は手を引き、Bさんは自宅へ返された。

 ここに「自宅療養」の落とし穴がある。たとえば肺炎で治療を受けていても、コロナ感染が判明した時点で患者は自宅へ返され、保健所の管轄に入る。その後、入院できるのか「自宅療養」なのかは、保健所の指示(権限)になる。生殺与奪が「保健所に握られている」(患者家族)ことになる。

 Bさんは妻と次女と駆け付けた長女で看病した。が、女性の力では手に余った。やがて、妻が感染。しかし長女と次女はBさんの看病で手一杯だった。龍田さんが訪問したときは妻の症状が進行していた。妻を運ぶ救急車が来た時、Bさんはベッドから起きて妻を見送ろうとした。数日後、妻は亡くなった。

 長女は、「なぜ母にもっと目を向けられなかったのか、自分が悪かったのではないか、そう思えてなりません」と自分を責める。「それが自宅療養の一番辛いところです

 35歳で亡くなったAさんの母も、「もっとできることがあったのでないか、申し訳なくて、毎日謝ってばかりです」。

 「介入が遅れた…焼け石に水にもならず、焼け石に雫。くそーくそーと心の中で握りこぶしを壁にぶつける」(藤田さんのツイッター)

 急病になれば救急車を呼び、病院へ運んでもらえる。それを当然のことと考えてきました。今もそう思っている人は少なくないでしょう。でも、それが当然のことではない現実がコロナ禍の日本でした。

 私は腹痛で救急車を呼び、幸い3院目で搬送先が見つかりました。いくらあたっても搬送先がなく、自宅に戻される患者・家族の落胆、不安、悔しさはいかばかりか…。

 「自宅療法」とは、感染者切り捨て・医療放棄の別名にほかなりません。感染は家族に広がり、悪化し、死に至る。そればかりか、残された家族は「もっとできることがあったのでは」と自分を責め続ける。二重の悲劇です。

 この責任が、「自宅療養」を政府方針とした菅義偉政権にあることは言うまでもありません。さらにその根源は、ここまで医療体制を脆弱にしてきた歴代自民党政府の新自由主義政策です。この責任は絶対にあいまいにすることはできません。

 感染が小康状態のいま、世論調査では安倍・菅政権のコロナ対策を「評価」する声が少なくありません。しかし、政府のコロナ対策の評価の基準は、死ななくてもよい命が奪われたこと、とりわけ「自宅療養」方針によって多数の命が“こぼれ落ちた”ことにこそ置くべきではないでしょうか。

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なぜ衆院選で大軍拡が問われないのか

2021年10月21日 | 日米安保・軍事同盟と政治・社会

    
 衆院選(19日公示)の大きな特徴は、きわめて重要でありながらまったく問われていない問題が少なくないことです。その1つは、日本の植民地支配の歴史・在日差別の根幹にかかわる朝鮮学校無償化排除問題ですが(16日のブログ参照)、もう1つ特徴的なのは、コロナ禍で「分配」「バラマキ」が話題になりながら、かつてない巨額の軍事費が支出されようとしている軍備拡張が不問に付され、“大軍拡容認選挙”の様相を呈していることです。

 自民党は選挙政策で、「国内総生産(GDP)比2%以上も念頭に防衛関係費の増額を目指す」と明記しています。

 日本のGDPは約540兆円(2020年)ですから、2%は約10・8兆円。今年度の「防衛関係費」5兆3422億円の2倍を「目指す」というわけです。「防衛費はGDPの1%以内」は歴代自民党政府さえ口にしてきたことですが、それを今回の選挙で一気に2倍の枠まで広げるというとんでもない軍拡公約です。

 これは今回の選挙公約で初めて言い出したものではありません。岸信夫防衛相はことし5月の記者会見ですでにそれを表明しました。
 岸氏は安倍晋三元首相の実弟。体調がすぐれないにもかかわらず岸田内閣で留任した背景に、安倍氏の意向があることは明らかです。防衛相のポストは実弟で押さえる。岸氏は安倍氏の傀儡と言って過言ではありません。その岸氏が口火を切った「GDP2%」は安倍氏の意向と言えます。

 この自民党の大軍拡公約に対し、立憲民主の選挙政策はどうでしょうか。「立憲民主党政策集2021」は「GDP2%」問題には一言も触れていません。それどころか、「専守防衛に徹した防衛力を着実に整備」すると明記しています。「専守防衛に徹した」という枕詞は自民党政府の常とう句でもあり、要するに「防衛力」(軍事力)を「着実に整備」するということです。軍備拡張が立憲民主の選挙公約なのです。

 軍事費だけではありません。米軍と自衛隊の一体化により、沖縄諸島がミサイル前線基地化の危機に直面しています。自民党政策は「相手領域内で弾道ミサイルを阻止する能力の保有」と公言し「敵基地攻撃」を可能にしようとしています。
 これに対し立憲民主は、「「敵基地攻撃能力の保有」については、実際に島嶼部での防衛能力強化に資するのか…慎重に検討を行う」(「立憲民主党政策集2021」)として反対していません。

 立憲民主は「現実的な外交・安保政策」を強調する通り、その基本政策は自民党と本質的に違いません。なぜそうなるのか。政策に「健全な日米同盟を外交・安全保障の基軸に」と明記している通り、日米軍事同盟(安保条約)を支持・推進することが同党の根本政策だからです。

 日米軍事同盟=安保条約は、「外交・安保」に限らず、貿易、基地がもたらす諸問題など、日本の政治・経済・社会の各方面でアメリカに従属する諸悪の根源です。
 その推進を与党第1党と野党第1党がともに基本政策にしているところに、日本の悲劇的な現実があります。

 日本共産党は、選挙政策では「軍事費GDP比2%は亡国の道」とし、「国民多数の合意で日米安全保障条約を廃棄」するとしています。しかし、上記のような立憲民主と「限定的な閣外協力」を約束して共闘していることによって、実際の選挙戦で「軍事費削減」「日米安保廃棄」を強調することはありません。例えばこのかん行われた日本記者クラブなどの党首討論でも、志位和夫委員長は一言も触れていません。

 これは結局、「野党共闘」の名の下に、大軍拡容認・日米安保推進の立憲民主に歩調を合わせ、重要な政策を絵に描いた餅にしているのではないでしょうか。
 かつて日本共産党は、「軍事費を削って、福祉・教育へ」と口が酸っぱくなるほど主張しました。コロナ禍で政治・財政の針路が問われているこの選挙でこそ、そのスローガンを強調すべきではないでしょうか。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女性議員が増えない元凶は小選挙区制

2021年10月19日 | ジェンダー・性暴力と日本社会

    
 19日公示の衆院選は「候補者男女均等法」が施行されて初の衆院選ですが、政党候補者の中で女性が占める割合は、わずか18・4にとどまっていると朝日新聞が報じました(17日現在、同日の朝日新聞デジタル)

 列国議会同盟(IPU)によると、各国議会における女性比率は平均約26%ですが、日本は9・9%(衆院)で、193カ国中165位。議員数における日本のジェンダーギャップ(女性差別)はきわめて深刻ですが、今回の衆院選でもその実態はなんら変わりません。(写真は社民党・福島瑞穂氏以外、男性党首がずらっと並んだ18日の党首討論)

 朝日新聞によれば、各党の立候補予定者数と女性比率は次の通りです。

 自民330(9.7%)、立憲240(18.3%)、公明 53(7.5%)、共産 130(36.2%)、維新 94(14.9%)、国民 26(30.8%)、れいわ 21(23.8%)、社民 15(60.0%)、N党 30(33.3%)

 問題は、なぜ日本は女性議員が少ないのか、ジェンダー差別が激しいのかです。

 その根底に、天皇制を頂点とする男尊女卑の差別意識・差別構造があることは言うまでもありません。しかし、それだけではありません。そこには、日本の選挙制度の問題が深くかかわっています。

 議員のジェンダー問題に永年取り組んでいる三井マリ子さん(元都議)は、琉球新報(7日付)掲載のインタビューで、「女性議員が圧倒的に少ない理由は選挙制度にあります」と断言しています(写真右)。

 日本と違って女性の政界進出が進んでいるノルウェーを調べた三井さんは、「100年前から、ノルウェーの国会と地方議会は少数の民意を反映させる比例代表の選挙制度を取り入れていた」ことが分かりました。

 70年代には「クオータ制」(候補者名簿で一方の性が4割を下回ってはならない規定)を導入する政党が表れるなど、「比例代表制を土台に、男女平等を徹底させるルールが作られているのを知りました」。

小選挙区制では1人しか選ばれず「死に票」が多いのが最大の弱点です。政策よりも知名度や資金が物を言うため、現役や世襲候補、男性候補に有利に働きます。後発者の女性は排除されがちです。女性議員が圧倒的に少ない理由は選挙制度にあります。この制度のままでは、立候補する女性は苦労するばかりです。

 日本の並立制にも比例代表はありますが、小選挙区で落ちた人を救済するための装置にすぎません。小選挙区制中心の米英や日本に比べ、比例代表制中心をとっている北欧諸国やドイツ、ニュージーランドの方が女性議員はずっと多いのです」(7日付琉球新報)

 女性の政界進出にとって小選挙区制が大きな障害になっていることは、全国フェミニスト議員連盟の増田薫共同代表(千葉県松戸市議会議員)も強調していました。

「衆院の現行の小選挙区制で女性を増やすのはかなり難しい。現職の男性議員が多くなかなか議席が空かないからだ。男女格差の小さい国々は比例代表制を採用しているケースが多い選挙制度を比例代表制中心へと変更したり、各党が女性枠のクオータ制を取り入れたりしない限り、男性偏重の現状は容易に変わらないだろう」(5月31日付琉球新報、6月9日のブログ参照)

 小選挙区制は日本の政界・政治から少数意見(将来の多数意見)、女性を排除し、多様性を奪い、政権たらい回しの「保守2大政党制」を生む諸悪の根源です。
 小選挙区制から比例代表制中心に選挙制度を変えることは、日本の政治・社会変革の根本問題です。

18日(月)のブログ更新は休みました。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日曜日記167・「キャンサーギフト」・抗がん剤治療

2021年10月17日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「キャンサーギフト」

  15日のラジオ深夜便(「人生の道しるべ」)、植物写真家でエッセイストの杣田美野里(そまだ・みのり)さんのインタビューがあった。

 杣田さんは1955年東京生まれ。1992年に誕生間もない娘、夫とともに北海道・礼文島に移住。礼文の植物、花たちを愛し、撮り続けた。

 5年前に肺がんの告知を受け、闘病生活を続けてきた。抗がん剤治療の最初の点滴では気を失ったという。

 杣田さんの写真、短歌、エッセイの集大成ともいえる著書『キャンサーギフト 礼文の花降る丘へ』(北海道新聞社2021年8月)が上梓された。

 杣田さんが「一番気に入っている」という歌。

咲きながら一世(ひとよ)のおわりに降るものを
キャンサーギフトとわたしは呼ぼう

「キャンサーギフトという言葉があります。「がんになったからこそ受け取れるもの」という意味です。…がん患者であることは、けっして幸せなことではありません。でも、命の期限を知り、いろいろなことを諦めたその後で、当たり前と感じていたものが輝きを増すことがあるのだと思います。
 そのほんの小さなギフトたちは、形は違っていても、誰にでもきっと降りてきます。これが、私の見つけたキャンサーギフトの正体です」(同書より)

 インタビューから間もなく、今月(10月)5日、杣田さんは永眠された。
 ラジオの声は、あくまでも明るく、輝いていた。

 同書の最後のページの歌。

ただいま、
島の花たち
抱きしめる
ともに吹かれた
風のいたみを

(写真右は杣田さんが特にお好きだったというレブンアツモリソウ=同書より)

☆抗がん剤治療開始

 12日から抗がん剤治療が始まった。
 初日、2時間半の点滴のあと、夕食後から服薬開始。1日2回、1回に大粒(300mg)の錠剤(ゼローダ)を6錠。2週間飲み続け、1週間休む。この3週間が1サイクルで、半年続く。

 点滴も含め初日はなんの副作用もなかった。だが、2日目から少しずつ現れ始めた。冷たいものが持てない、飲めない、ヒリヒリする。倦怠感。でも、まだ吐き気がないから助かっている。

 手のひらの半分にもなる6粒の薬を眺め、意を決して口に入れる。副作用に苦しみながら、こんな劇薬を毎日体内に入れなければならないのか。それで「生存率」を何パーセントか上げることに意味はあるのか。

 そんなことを考えている自分は、つくずくがん患者ビギナーだなあと思う。突然の告知・手術から34日。まだ実感がないのだ。

 


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする