広島市内で行われる講演会に参加するため、広島駅前から路面電車(広電)に乗りました。久しぶりに乗って、あらためて路面電車の素晴らしさを痛感しました。
沖縄は今、新たな公共交通機関として地下鉄が計画されようとしています。地下鉄はダメです。断然路面電車です。沖縄は広島に倣って、路面電車の新設に踏み切るべきです。
広島の路面電車は、速い、安い、便利の三拍子そろっています。これに環境、景観を入れれば五拍子になります。広島駅を始発とする路線が4本。そのほかに4路線、計8路線が市内を駆け巡っています。料金は一律150円(一部区間100円、いずれも3月末まで)。同じ区間を走るバスよりも格段に速く、安いのです。始発は5時台から、終電は23時台まであります。
例えば広島駅から原爆ドーム前までは2つの路線が通っており、途中にぎやかなメインストリートを眺めながら、17分で行くことができます。路線の乗り換えも無料でできます。プリペイドカードも使えます。車体の美しさは写真(右)の通りです。
沖縄では2月はじめ、次世代型路面電車(LRT)の先進国・フランスの事情に詳しいヴァンソン藤井由実さんの講演会がありました。藤井さんは、LRTで観光客が増え、シャッター通りがなくなったと、その経済効果を強調しました(琉球新報2月21日付)。広島の路面電車に乗ってそれを実感します。
沖縄で一貫して路面電車の導入を主張している、ゆたかはじめさんは、「(地下鉄は)明るく開放的な(沖縄の)風土に向いていません」「(路面電車で)沖縄をゆっくり楽しんでもらいませんか」と主張しています(沖縄タイムス2月28日付)。
まったくその通りです。地下鉄が不向きなのは沖縄だけではありません。歴史と実績がある路面電車(市電)をあえて廃止し、代わりに地下鉄を造り、バスを増便したものの、大変な交通渋滞と観光客の不便をもたらした都市があります。京都です。学生時代市電に慣れ親しんだ私は、京都に帰るたびに、市電廃止で変わり果てたその姿に暗澹たる思いになります。
革新自治体から保守自治体に変わったとたんに路面電車が廃止され、激変した京都の交通事情は、地下鉄はダメ、路面電車こそ地域とりわけ観光都市の活性化の決め手であることを実証しています。
路面電車が活躍を続ける故郷・広島。廃止されて無残な第2の故郷・京都。第3の故郷・沖縄で、ふたたび路面電車の美しい姿を見たいものです。