アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「主人公は国民」を貫いた人生

2013年03月31日 | 日記・エッセイ・コラム

Watanabesan 新石垣空港が地盤陥没の危険にあることは以前書きました(3月13日)。その危険性を一貫して訴えている「八重山・白保の海を守る会」(生島融事務局長)に、会報「エーネーナラヌ」の最近のバックナンバーを送っていただきました。その中の1冊に「原告 渡辺容子」という名前の寄稿文がありました。東京地裁に提訴した「新石垣空港設置許可処分取消訴訟」結審(2010・11・19)に際しての弁護団・原告の感想です。
 この名前に「もしや」と思いました。東京の映像制作グループ「ビデオプレス」(松原明さん・佐々木有美さんとは旧知)の最新作品「いのちを楽しむ-容子とがんの2年間」(6月公開)が渡辺さんの「最期の2年間」を描いたものだったからです。確かめたら、やはり同一人物でした。寄稿文のタイトルは「『主人公は国民』を実践した裁判」。東京・杉並区在住の渡辺さんは、新石垣空港裁判のほか、同区が「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を採択したことへの取消訴訟など、計7件の裁判を本人訴訟でたたかっていました。4年5カ月の石垣裁判を振り返って渡辺さんは言います。「本人訴訟の裁判は『裁判は主権実現の手段』との思想に基づき行っている。・・・どのような判決が出ようとも、国の政策に国民は当然意見を言っていいのだ、裁判はその手段なのだ、主人公は国民なのだ、そのことを自覚し、実践した裁判だったと思う」。翌年5月の判決は不当判決。渡辺さんはブログに書いています。「私は何度も不当判決を受けてきたので・・・傍聴席に着いたときからなんてやじってやろうかと考え、『不当判決!5年間もなにやってたんだ。海は死ぬ』と言いました」
 この時すでにがんに侵されていた渡辺さんは、手術や抗がん剤を極力さけ、緩和治療に徹し、自然に生き、自然に逝きました。患者としての「主権」を貫いて。まさに「主人公は国民、自分が主権者」を体現した見事な人生でした。「沖縄」がそんな人生との出会いをまた実現してくれました。
 昨年のきのう3月30日、渡辺さんは亡くなりました。前日の3月29日が58歳の誕生日でした。

<今日の注目記事>(「沖縄タイムス」31日付1面トップから)(「琉球新報」も同様記事1面)

 ☆<教科書採択 育鵬社版 竹富に要求へ 県教育庁が方針転換
   県教育長「聞いていない」>
 「八重山教科書問題で、県教育庁は文部科学省が竹富町教育委員会に対し、中学公民教科書の『育鵬社』版への採択替えを指導していることを受け、同町教委に指導に従うよう働き掛ける方針を固めた。30日、石垣市内で町教育委員らと面談し、教科書を一本化するよう示唆した。同庁はこれまで、地元の判断に委ねる考えを示していたが、今月1日に来県した義家弘介文部政務官らの強い指導により、方針を転換した。・・・大城浩県教育長は沖縄タイムス社の取材に対し『聞いていない。教科書の一本化も知らされていない』と話し、県の立場として『地元の意向を尊重したい』との考えをあらためて示した。・・・大城教育長は31日付退職する」
 大城教育長の退職を待ち構えていたような県の方針転換。安倍政権に姑息に屈する姿に怒りを禁じえません。


「不屈館」驚きの米軍新資料

2013年03月30日 | 日記・エッセイ・コラム

FukutukansiryouUtimuratihirosan 「不屈館-瀬長亀次郎と民衆資料-」(那覇市)には数々の興味深い資料があります。その中から特に目を引いた、今の沖縄につながる新資料を2つ紹介します。
 1つは米軍が設けた「渡航許可補助申請制度」です。1956年日本(本土)への渡航を申請した亀次郎と妻フミさんに対し、沖縄を統治していた米軍はそれを妨害するため、出入国管理法を変え、思想チェックなど約30項目を盛り込んだ「申請制度」を新たにつくりました。その時の実筆の申請資料が展示されています(写真左)。亀次郎が16回の渡航拒否を打ち破って11年ぶりに上京したのは1967年でした。「沖縄には思想・信条、移動の自由もないのか」。その怒りが日本への復帰運動の大きな原動力になりました。
 もう1つはまったく未公開・未報道の資料です。亀次郎は1954年米軍の弾圧によって不当に逮捕・投獄されます。翌55年3月、当時小学4年生だった二女の千尋さんは獄中の父へえんぴつで手紙を書きます。「お父さんはからだが悪いそうですね早く出られるようにしないといけませんね・・・私もやがて五年生です」。たどたどしいけれど愛情たっぷりの娘から父への私信です。ところがなんと米軍はこの千尋さんの手紙を全文英訳し、アメリカ本国に「極秘」として送付していたのです。今回米公文書館でその英訳文が見つかり、原文の手紙とともに展示されています(写真右が資料と二女で不屈館館長の千尋さん)。「米軍はこんなことまでするのです。姉の手紙には父に渡されず没収されたものもあります」と千尋さん。亀次郎に関する米軍資料は米公文書館に大量に残されているといいます。米軍・アメリカがいかに瀬長亀次郎を恐れていたかがわかります。
 こうした卑劣な米軍統治が、1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約で沖縄が日本から切り離された「屈辱」の実態です。これに抗い、亀次郎を先頭に沖縄人民は「祖国復帰」を勝ち取ったのでした。「4・28」と「復帰運動」の歴史的意味をあらためて学び、これからの沖縄を考える場。それが「不屈館」です。

<今日の注目記事>(琉球新報30日付1面トップから)(沖縄タイムスも1面)

 ☆<「主権回復の日」 県議会 政府式典に抗議決議 自民退場し全会一致>
 「県議会(喜納昌春議長)2月定例会は29日の最終本会議で、政府が4月28日を『主権回復の日』として式典開催することへの抗議決議を全会一致で可決した。自民党は退場した。決議文は『4月28日をもって沖縄は日本から切り離された。屈辱の日にほかならない』とし、『式典開催に反対し強く抗議する』と表明している。県政与党の自民と公明の対応が割れ、公明と野党側が提案した決議が可決される異例の事態となった。決議文は、復帰後も沖縄に集中する米軍基地についても言及。『県民は今日なお米軍基地から派生する騒音や事件・事故に苦しめられている。さらに県民総意の反対を押し切る形でオスプレイ配備、辺野古基地建設に向けた手続きが進められている』と指摘。『政府がまず行うべきことは基地負担の解消だ』と訴えている」


瀬長亀次郎と沖縄戦後史が甦る「不屈館」

2013年03月29日 | 日記・エッセイ・コラム

FukutukangaikanFukutukannaibu 近現代の沖縄で党派を超え多くの人に尊敬され親しまれた人物といえば瀬長亀次郎(1907~2001)でしょう。愛称・亀さん。歴史の本にも「米軍抵抗のシンボル・不屈の精神をもった沖縄人」(『沖縄から見える歴史風景』)と紹介されています。
 その亀さんの生涯・生前の活動を約4000点の遺品で振り返る資料館、その名も「不屈館-瀬長亀次郎と民衆資料-」が3月1日那覇市若狭に開館して1カ月になります。私は開館前から賛助会員になって開館を心待ちにしていました。モノレール県庁前駅から徒歩15分、若狭公園の向かいの閑静な住宅地の一角に建つ「不屈館」は、けっして広くはありませんがそれだけに親しみやすい空間になっています。展示物だけでなく資料の閲覧、読書、DVD視聴もでき、この日埼玉から来たという男性(77)は閉館まで6時間もいたといいます。
 驚くのは資料の豊富さです。その多くは妻のフミさんが保管していたもの。フミさんは亀さんが米軍に不当逮捕・投獄された時は刑務所の近くに小さな店を開いて亀さんを励まし支援しました。二女で館長の内村千尋さんが「似た者夫婦」というわけです。館内を回ると戦後の米軍支配とそれに抗して復帰・自立を目指してたたかい続けた亀さんと沖縄人民の歴史が甦り、今の沖縄、これからの沖縄へと思いが巡ります。同時にそこには、たたかいを支えた夫婦・家族の愛があふれています。
 「民衆の支えによる民衆のための資料館にしたい」という千尋さん。「友の会」会員制での運営を目指しており、現在約400人の会員を年内に1000人にするのが目標。「そうすれば入館料無料をいまの小中学生から高校生に広げられます」。賛助会員は年会費3000円、維持会員は5000円。いずれも入館無料のほかニュース送付などの特典があります。問い合わせは、不屈館?098-943-8374。
 不屈館のもう一つの大きな特徴は、市民などから次々と新たな資料が寄せられていることです。私が訪れたときも貴重な「未公開資料」に出会うことができました。その話は次回に。

<今日の注目記事>

 ☆<「主権回復の日」 32首長「式典反対」 本紙調査 開催賛成はゼロ>(「琉球新報」29日付1面トップから)
 「琉球新報は27、28の両日、県内全41市町村長を対象に、政府が4月28日を『主権回復の日』として記念式典を開催することへの是非などを問う緊急アンケートを実施し、全首長から回答を得た。その結果、式典開催についてはおよそ8割(78%)にあたる32人が反対し、賛成はなかった。9人が「その他、無回答」だった。仲井真弘多知事の式典出席には26人(63%)が「出席すべきでない」と回答し「主席すべき」は2人(5%)にとどまった。『主権回復の日』の式典開催に対し、批判的意見が大勢を占めることが浮き彫りになった」

 ☆<330人の魂悼む 「集団自決」 渡嘉敷で慰霊 戦争責任問う声>(「沖縄タイムス」29日付社会面トップから)
 「1945年に『集団自決(強制集団死)』で330人が犠牲になった渡嘉敷村で28日、村主催の慰霊式典が、犠牲者を祀る『白玉之塔』前で開かれた。島内外から約100人が参列。塔に刻まれた名前に手を合わせて献花、黙祷し、犠牲者を悼み、恒久平和を誓った。遺族代表の新崎直恒さん(74)は・・・『軍命により集められた。駐屯がなければ、米軍の上陸はなかった。軍がいなければ、手榴弾は配られず、悲惨な集団自決は起こらなかった』とし、国家の戦争責任を問うた」


沖縄で実感する「教科書検定」の攻防

2013年03月28日 | 日記・エッセイ・コラム

Kyoukasyosin 教科書検定-その重要性が沖縄にいるといっそう実感され、自分と教科書の距離が縮まったような気がします。きのう(3月27日)報道された高校日本史教科書の検定を県紙2紙で読み直し、多くのことを教えられました。(写真は検定教科書=琉球新報から)
 ①強制集団死(「集団自決」)表記はせめぎあいの焦点・・・検定対象9冊のうち8冊に日本軍によって集団死に追い込まれたことを示唆する表現が復活したのは前進。その背景には沖縄県民の世論と運動があった。でも「軍命」の記述を削除した「09年検定」の枠を破ることはできなかった。まさに一進一退の攻防。
 ②「天皇メッセージ」「屈辱の日」には触れず・・・「サンフランシスコ講和条約」(1952年4月28日発効)で沖縄が切り捨てられたことの記述はなく、元凶である昭和天皇の占領軍への「メッセージ」(1947年9月)に触れたのは1冊(実教出版)だけ。いままさに焦点の「4・28」ですが、教科書ではその意味が教えられていません。
 ③ばらつく「普天間移設問題」の記述・・・あっさり記述している(山川出版)ものもあれば、1ページを使ったコラムで「移設先はキャンプシュワブ(名護市)であり、沖縄の真の負担軽減にならないとの批判もある」(実教出版)と踏み込んでいるものもある。
 ④出版社の違い・・・今回検定された出版4社を、報道の範囲で勝手にランキングすると、歴史の真相に近い順から、実教出版(使用シェア19%)、清水書院(5%)、東京書籍(15%)、山川出版(41%)でしょうか。残念ながら私が習った教科書も山川出版でした。
 ⑤安倍政権「検定」はこれから・・・今回の検定は昨年の民主党政権下のもので、安倍政権の影響は今後の検定に表れます。「軍命」を削除させた06年検定が第1次安倍政権。検定制度そのものの見直しを広言する安倍首相のもとで、教科書検定をめぐる攻防はまさにこれからが正念場です。
 ⑥問われる教師、市民の力・・・山口剛史琉大准教授は、教科書を活用して「生徒とともに疑問を出し合い考えあう」現場教師の重要性を強調するとともに、「教員だけでなく研究者・保護者・市民が教科書に目を通し『沖縄戦をどう記述すべきか』をともに考えてほしい」と訴えています。その重要性が沖縄では実感されます。

<今日の注目記事>(「沖縄タイムス」28日付から)

 ☆「竹富、『東京書籍』決定 中学公民教科書  県、地元を尊重  国の『強権』危ぶむ声」(1面トップ)
 「八重山地区の中学公民教科書問題で、竹富町教育委員会は27日、石垣市内で定例会を開き、来年度も『東京書籍』版を使用する方針を決めた。県の大城浩教育長は同日、『地元の意向を尊重する』との考えを示した。同問題では、文部科学省の義家弘介政務官が八重山採択地区協議会が答申した保守色の強い『育鵬社』版を採択するよう町を指導、今後さらに踏み込んだ『是正要求』を辞さない構えを示している」
 竹富町は教科書攻防の”最前線”。がんばれ、竹富町!

 ☆「検定意見撤回なお要請 実現させる会 『軍関与』は明確」(社会面トップ)
 「日本史教科書の『集団自決(強制集団死)』について『軍命』『強制』記述の復活を求めてきた『9・29県民大会決議を実現させる会』は27日、県庁で記者会見し、『軍命』『強制』の削除が撤回されなかった文部科学省の2012年高校日本史教科書検定について、『07年の県民大会決議が達成されたとは到底いえない。沖縄戦の実相を学ぶため、さらなる記述の充実を求める活動を続けていく』との声明を発表した」


福島原発作業と沖縄差別

2013年03月27日 | 日記・エッセイ・コラム

Sinpourensai 東京電力福島第1原発の事故現場では、政府と東電の無為無策・無責任のかたわらで、被ばくの危険にさらされながら、作業員の命がけの作業が続けられています。その中には多くのウチナーンチュがいて、賃金や健康管理などできびしい差別を受けている実態を知り、衝撃を受けました。教えてくれたのは琉球新報が3月17日から続けている連載「原発事故とウチナーンチュ」(当銘寿夫記者)です。貴重な記者リポートです。以下は連載から。
 糸満市の男性(49)は「就職地・埼玉県、業務内容・水槽の組み立て」という求人広告に応募。ところが行ってみれば場所は福島第1原発1号炉建屋。集められた8人のうち7人が沖縄県出身。男性は「だまされた」と気づきますが、「みな原発の仕事を断って帰るだけの航空券代すら持ち合わせていなかった。選択肢はなかった。『割のいい季節労働』に来たはずが、いつの間にか『原発労働』に引きずり込まれていた」。東電から3日間「講義」を受けますが「原発の重要性や装備の安全性を強調する内容ばかり。原発労働のリスクへの説明はほとんどなかった」。男性らは放射線手帳を受け取ることもなく、被ばくしていきます。それでも1日1万2千円の日当で働き続け、月20万円を沖縄の家族に送金します。「沖縄にいて日雇いで働くより高い金額」だからです。ところが、「他県から来た作業員の賃金を聞いてがくぜんとする。1日3万~4万円。横で同じ作業をしている人の3~4割の給料で働かされていた」。賃金の”ピンハネ”です。それでも福島で働き続けることを考えます。4月から大学へ進学する息子の学費のためです。でもやはり被ばくは怖い。「父親の意地と健康への不安がぶつかり、言葉の端が切れる」。同じ父親として、胸が詰まります。
 被ばく量も知らされないうえ、賃金の差別、ピンハネ、支払遅延、航空機代不払い・・・多くのウチナーンチュが被害をこうむっています。うるま市の男性(48)は被ばくし、健康を損ねたうえで「使い捨て」(解雇)され、沖縄へ帰ってきました。「それでもなお、被災地でがれき運搬の職に就くことを検討している」といいます。「沖縄ではローンを返せるだけの仕事がない」からです。「沖縄の厳しい雇用環境が、被災地へと駆り立てる」のです。「(男性の)目線の先には、4人の子どもたちの写真が飾られていた」。はやり「家族のための『原発労働』」なのです。
 オキナワとフクシマ。共通する「犠牲のシステム」の上に、オキナワの貧困がフクシマでさらに新たな差別を生み、命が削られ、奪われていく。許されていいはずがありません。

<今日の注目記事>

 ☆26日の文科省の高校教科書検定について、「琉球新報」(1面)は<「軍が強いた」と表記>の大見出しで、<8冊に「集団自決」 検定意見付かず 軍命記述復活なし>の見出し。「沖縄タイムス」(1面)は<教科書8冊に「集団自決」>の大見出しで、<「軍命」表現変え記載 高2日本史「4・28」は全社」の見出し。いずれも不十分点はありながらも「集団自決」(強制集団死)が9冊中8冊に記載されたことをおおむね評価しています。教科書問題は沖縄にとってとくに重要ですから、あらためて考えたいと思います。

 ☆「県内移設反対に誘導 小池氏、沖縄メディア批判」(「沖縄タイムス」27日付3面。「琉球新報」も3面に同様記事)
 「自民党の小池百合子元防衛相は26日の党の国防部会・安全保障調査会合同会議で、沖縄の議員らが米軍普天間飛行場の移設に対する思いを訴えたことを受け、『沖縄の先生方が闘っているのは沖縄のメディア』と述べ、報道が県内移設に反対する論調をつくっているとの考えを示した。小池氏は『あれ(地元メディア)と闘って今回も当選されてきたことは、沖縄のメディアが言っていることが本当に県民をすべて代表しているとは、私ははっきり言って思わない』との見解を示した」
 自民党の議員も選挙では「県外移設」を公約して当選したのであり、メディアと闘ってなどいません。小池氏の言うことは支離滅裂ですが、はっきりしているのは、小池氏は沖縄のメディアを批判しているようで、実は沖縄県民の意思を無視し、愚弄しているということです。「4・28式典」と同じ発想です。


「イラク戦争は日本の戦争」高遠菜穂子さん

2013年03月26日 | 日記・エッセイ・コラム

ArisanTakatousan 「イラク戦争は日本の戦争です」。高遠菜穂子さんの言葉が重く残ります。
 イラク戦争開始から3月20日で10年。沖縄では25日、現地で住民支援のボランティアを続ける高遠さんと、イラクジャーナリストのアリ・マシュハダーニさん(ロイター記者、写真左端)を招いて、「憲法9条とイラク戦争 何が問われているか?」という集会が那覇市内で行われました(憲法普及協40周年記念)。米軍による各地の住民虐殺を取材したためこれまで8回投獄・拷問されたアリさんは、虐殺現場や公園に並べられた遺体など生々しい映像でイラクの現実を報告。アメリカがウソで始めた戦争に日本(小泉政権)がいちはやく賛同し、自衛隊を派遣したことは「たいへんショックだった。日本の平和のイメージを失った」と告発。同時に「それでもまだ日本人には特別の感情がある」と述べました。
 高遠さんは、イラク戦争に参戦したイギリスやオランダではその是非についていち早く検証が行われ、誤りだったという550ページにのぼる膨大な報告書(オランダ)が公表されているのに対し、「日本はペラ4枚。しかもウソばかりの紙ですまそうとしている。支持・参戦にいたる経過、自衛隊派遣の是非、ODAの実態を第三者機関で検証し、公開しなければならない」と訴えました。そして安倍政権が集団的自衛権など憲法9条の改定を主張していることに対し、「それがどういう事態を招くか。判断材料がイラク戦争にどっさり入っている。それを知ったうえで議論する必要がある」と強調しました。
 正直なところイラク戦争が遠い存在になっていた私は、高遠さんやアリさんの話に目を覚まされた思いでした。自衛隊派遣だけでなく、イラクの国・市民を破壊した米軍は日本から、沖縄の基地から出撃したのです。まさに「イラク戦争は日本の戦争」です。高遠さんが日本政府の責任だけでなく、事実を知り広め告発すべき市民の責任を強調したのが印象的でした。その責任を果たさず傍観者であり続けるなら、太平洋戦争の加害責任を問わず、沖縄の差別的歴史と現実にも目をふさぐことと同じになる。そう思わずにはおれませんでした。

<今日の注目記事>

 ☆どの新聞も大きく扱っていますから紹介するまでもありませんが、25日の広島高裁の「衆院選無効判決」はやはり画期的です(筏津順子裁判長は2010年から約2年間那覇家裁所長)。安倍政権は砂上の楼閣であることが改めて証明されました。

 ☆「軍法会議処罰-性犯罪ゼロ 第32軍目録 林教授ら入手」(「沖縄タイムス」25日付社会面から)
 「首里を拠点に沖縄戦を指揮した第32軍の軍法会議処刑者目録を、関東学院大の林博史教授と佐治暁人講師が入手した。1944年6月~45年2月に開かれた軍法会議で処罰されたのは48人で、最も多かった罪は『逃亡』で18人だった。性犯罪はゼロだった。別の軍の資料では当時、強姦などの性犯罪が横行していたことが分かっており、林教授は『軍は、逃亡や上官に対する反抗など、軍紀に関わる犯罪は厳しく罰したが、住民に対する犯罪には厳正に対応しなかったことが分かる』と指摘する」
 あらためて痛感します。「軍隊は住民を守らない」


ひっそりと建つ「久米島虐殺の碑」

2013年03月25日 | 日記・エッセイ・コラム

KumejimahienKumejimahiensai 久米島へ行ったらぜひ訪れたいと思っていたのが、慰霊碑です。
 沖縄戦で久米島は日本軍に「スパイ」よばわりされ、少なくない島民が虐殺されました。手元の文献によると、1945年6月と8月に虐殺事件は3件起こり、住民19人(子ども、妊婦を含む)が殺害されています。朝鮮人家族も犠牲になっています。そのうちの1件は家族全員刺殺されたうえ、家に火を放たれました。当時の区長の妻は「日本軍が恐ろしく焼死体を埋葬することもできす、1カ月近くも放置したままでした」と証言しています。
 その犠牲者を悼む碑があるはずなのですが、ガイドブックや観光地図にはどこにも載っていません。「球美の里」(福島の子どもたちの保養施設)の川口直美事務局長から、それが小学校のそばのシロツメグサの畑に建っていることを教えていただきました(写真)。山あいの静かな場所でした。碑文には「虐殺」や「日本軍」の文字は一つもありません。でも、虐殺された住民の名前は、家族そろって確認することができました。
 沖縄にはたくさんの慰霊碑があります。観光スポットになっているもの、中には建立者に佐藤栄作元首相の名が刻まれているもの、「英霊」をまつり敗戦を残念がっているものも少なくありません。むしろそうしたものの方が多数です。そんな中で、この久米島の碑のように、静かにひっそりたたずむ石碑こそ、ほんとうの慰霊碑といえるのかもしれません。
 川口さんはほかにもサトウキビ畑の中に人知れず建つ碑の話を聞いたことがあると言います。そして、「島の人の心情を尊重し、連れて行ってもらえる機会を待ちたい」と。その姿勢に学びたいと思います。

<今日の注目記事>「沖縄タイムス」(1面)「琉球新報」(3面)

 ☆「共同調査 県内移設手続き 全国55%『評価』 否定は37%」
 「共同通信が23、24日に実施した全国電話世論調査によると、米軍普天間飛行場の沖縄県内移設に向けた埋め立て申請などの手続きを評価する声は計55・5%、評価しない意見は計37・6%だった」
 共同通信の世論調査ですから「タイムス」も「新報」も同じ内容で、いずれも数字を紹介しているだけでコメントはありません。この結果から少なくとも言えるのは、沖縄の思いは「本土」の国民には届いていないということです。ちなみに、安倍内閣の支持率は71・1%(不支持16・7%)、憲法改正の要件緩和に賛成48・1%(反対40・2%)。安倍首相が強気になるはずです。安倍内閣の相次ぐ強硬政策、沖縄の民意無視を支えているのは「本土の多くの国民」であることがあらためて証明されています。


「島ことば(地域言語)」は家族・地域の絆

2013年03月24日 | 日記・エッセイ・コラム

Simakutoba 琉球諸語(沖縄語=ウチナーグチなど沖縄全域の5言語と奄美語)は東京・八丈方言とともに、ユネスコから「消滅危機言語」と認定されています。そのこと自体、本土ではあまり知られていません。各地域ではそれぞれの言語(島ことば)を保存・継承する取り組みが、学校、幼稚園、行政機関、メディア(FMラジオ)などで活発に行われています。その経験交流と課題を話し合うシンポが20日那覇市内でありました。
 那覇市立高良幼稚園では園児たちが毎朝ウチナーグチなどいくつかの言語であいさつし、ウチナーグチによる発表会(写真、下の言葉の意味は「たいへんありがとうございます」)や、卒園式でも園児一人ひとりがウチナーグチで将来の夢を発表して卒園証書を受け取るなど、徹底した教育が行われています。日本語もまだおぼつかないのに・・・と思いがちですが、逆で、小さいころから複数言語に親しむことは子どもの発達にとって有益とか。また子どもたちにリードされる形で親たちもウチナーグチを使うようになってきています。与論島では地域の人がPTA活動として小学校で島ことばを教えています。八丈島では教育委員会が「島ことばカルタ」を全戸に配布。奄美大島の「あまみエフエム」では島ことばでの放送や地域のおばあさんに島ことばで登場してもらうコーナーなどを常設しています。
 そんな各地の実践から共通に強調されたのは、「島ことばは家族(祖父母・親・孫)や地域の絆を強める」「地域の文化や歴史への興味・関心を高め、ほかの地域の言語や文化への尊敬の気持ちも育む」という効果です。同時に、「30代~40代の親世代」への普及が今後の課題であることも共通でした。「大切なことは下手なことや失敗を恐れず家庭や地域で使ってみること」だという指摘にはホッとしました。
 地域言語(「方言」と呼ぶかどうかは議論があるところです)が持つ力、その保存・継承に取り組む人たちの熱意に改めて感心しました。同時に「言語消滅の危機感」がいまひとつ実感されないのも正直なところです。ウチナーグチとどうかかわっていくか。私にとっての引き続く課題です。

<今日の注目記事>「沖縄タイムス」(24日付2面)から

 ☆「『屈辱の日 祝えない』 県関係野党議員 式典中止を要求」
 「県関係の野党国会議員でつくる『うりずんの会』(照屋寛徳会長)は23日、県庁で記者会見し、政府主催の4・28記念式典の中止・撤回を求める声明を発表した。政府が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、県に提出した埋め立て申請に抗議し、仲井真弘多知事に不受理を求める緊急声明も同時に出した。4・28声明は『戦後の対米従属外交の源流とも言うべき「屈辱の日」を祝うことなど絶対に受け入れられない。式典開催を改憲への地ならしにするなどもってのほかだ』と指摘。・・・会見には照屋、赤嶺政賢(共産)、玉城デニー(生活)の各衆院議員、糸数慶子参院議員(無所属)が出席。全員が式典を欠席する考えを示した」


米活動家ミラーさんに学ぶ「連帯のこころ」

2013年03月23日 | 日記・エッセイ・コラム

MirasanMirasansetumei 安倍政権は22日辺野古埋め立て申請書を抜き打ち的に県に提出しました。沖縄は改めて怒りと無力感に包まれています。そんな時だからこそ、米活動家キャロル・ミラーさんの話を心にとめたいと思います。
 環境・平和・核廃絶に永年取り組んでいるミラーさんが沖縄タイムスなどの招きで初めて沖縄を訪れ、18日那覇市内で講演しました(写真)。ミラーさんらは米西部ニューメキシコ州北部で米空軍がオスプレイの低空飛行訓練を行おうとしたのに対し、住民運動で抵抗、計画を棚上げさせています。ミラーさんの話で、オスプレイは騒音や墜落の危険だけでなく、空中給油の際に有害物質をまき散らす危険があることを知りました。「メディアは私たちの活動に関心を払わないし、新聞に書いてあることはウソばかり」「公聴会では市民の声は排除される」。状況は日本と同じです。「国家環境保護法によってオスプレイ配備の前には十分な環境アセスを示す義務があるのに、日本ではそれを行っていない。沖縄の人をバカにしている。米国では許されないことだ」と県民に代わって憤慨。「辺野古へ行って(座り込みやフェンスの横断幕を見て)ここに仲間がいると実感した」と言います。「沖縄のみなさんに申し訳ない。米国民は沖縄の活動を支援すべき。なぜなら沖縄の人を苦しめているオスプレイは米国民の税金で買ったものだから」「米国民こそが米国政府を止められる」と強調するミラーさん。「国民が主権者」であることの意味をあらためて教えられた気がしました。
 「世界では私たちの仲間が増えています。帰ったら沖縄の現状をみんなに知らせます。沖縄のみなさんの活動は私たちの希望です。一緒に連帯して活動を続けていきましょう」
 困難は世界中同じ。でもその世界中に「仲間」がいます。

<今日の注目記事>

Sinseisimen 23日付の「琉球新報」「沖縄タイムス」はもちろん「辺野古埋め立て申請」一色。主な見出しと社説の一部を紹介します。
 ☆「琉球新報」
 「政府”不意打ち” 県民意思より同盟」「『公益性』説明なく」「環境悪化は必至」「強引手法に批判」「またも切り捨て」「命の海守る決意 県民『自然壊さないで』」
 社説「民主主義否定する暴挙(タイトル)=安倍政権が米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に向けた公有水面埋め立て申請書を県に提出した。これは民主主義を否定する暴挙以外の何物でもない。・・・民意を無視する差別的な取り扱いは断じて容認できない」
 ☆「沖縄タイムス」
 「不意打ちまたか」「『姑息』憤る県民」「『県民を愚弄』地元反発」「正当性のなさ立証」
 社説「この国はゆがんでいる(タイトル)=政府は、米側との関係維持を優先させ、辺野古移設に反対する圧倒的多数の民意を情け容赦なく切り捨てた。・・・この事態はあまりにも異常である。安倍政権には、沖縄の人びとの歴史的体験に寄り添う姿勢や、心のひだを内在的に理解しようとする姿勢が、著しく欠けている。沖縄音痴の政権だ。沖縄において主権者は一体、誰なのか。・・・安倍政権の基地政策は明確だ。第一に、住民が反対しようがしまいが、日米同盟の強化をすべてに優先させること、第二に、基地負担の見返りに『カネ』や『公共事業』をばらまき県や業界団体の懐柔に努めること、である。・・・作家の中野重治の小説の中の言葉が胸に響く。『わたしらは侮辱の中に生きています』」


「琉球独立論」への根本的疑問

2013年03月22日 | 日記・エッセイ・コラム

Matusimasi きのうお話しした「オスプレイの低周波騒音」と同じ主催団体(沖縄国際大学沖縄経済環境研究所)が同じ会場で催した講演会で、「低周波」の4~5倍聴講者が集まった企画がありました。「誤解だらけの琉球独立論」(3月7日)です。講師は『琉球独立への道』の著者でリーダー的役割を果たしている松島泰勝・龍谷大学教授(石垣島生まれ)です(写真)。聴講者の数だけでは判断できませんが、「独立論」への県民の関心が高まっているのは確かでしょう。
 私もその1人です。この講演会とは別にもっと小規模な学習会でも松島さんの話を聴き、質問もしました(2月23日)。「琉球処分」以来の歴史、今なお相次ぐ「構造的差別」の下に置かれていれば、日本から独立して主権を回復することが「最後の切り札」(松島氏)だとする心情は分かる気がします。松島さんらはそれを感情論にとどめず、国際法や諸外国の経験に照らして科学的に進めようとしています。しかし、私は根本的な疑問を払拭することができません。
 「独立論」には多くの未解明な問題があります。経済的自立をどう確保するのか、外交・安全保障は大丈夫なのか、県民とりわけ若者の多数を獲得することができるのか・・・。これらは講演会でも参加者から質問が出され、一応の回答はありましたが、まだまだ十分ではないと思われました。でも、私の疑問はそれらではありません。不十分なのは当然で、諸課題はこれから克服していけばいいのです。
 松島さんらは5月に「琉球独立総合研究学会」を立ち上げようとしています。学者だけでなく市民へも広く参加を呼び掛けています。ところが参加はウチナーンチュに限るというのです。なぜヤマトの人間は参加できないのか。直接質問しました。「独立を前提にした学会だから主体性が必要」だというのが回答でした。その答えでは納得できません。
 もう一つ。松島さんの「独立宣言」要旨が雑誌に掲載されました。その最後にこうあります。「独立とともに米軍基地を日本国にお返しする」。返す相手が違うのでは?アメリカに返すと言うべきでは?これも直接質問しました。沖縄へ基地を押し付けている日本への批判が回答だったようでした。
 この2つの具体例は共通の根っこだと思います。私にはその根っこが根本的疑問です。そしてそれは、「琉球独立論」の最大の弱点だと思います。
 でも私は松島さんらの主張を「居酒屋独立論」(新崎盛暉氏)などと言う気にはなれません。これからも真剣に注目し、勉強していくつもりです。

<今日の注目記事>「沖縄タイムス」「琉球新報」(22日付)から

 ☆「『密集地飛ばないのは不可能』 オスプレイ試乗会で米軍部長 『合意違反』県と認識に差」(「沖縄タイムス」社会面)
 「在沖米海兵隊は20日、報道機関を対象にオスプレイの試乗会を開いた。事前の説明で、報道部長のデービット・グリーズマー中佐は、同機の運用ルールを定めた日米合同委員会の合意について、『普天間飛行場は人口密集地に囲まれており、海に出るためにはその上空を飛ばないというのは不可能』と説明した。・・・日本の報道機関を対象とした試乗会は、オスプレイの米軍普天間飛行場配備後では初めてで、12社18人が搭乗。沖縄タイムスは『飛行場周辺や飛行地域の住民が不安を抱え、騒音や低周波音に悩まされている状況を考えると到底乗ることはできない』と判断し、説明会に出席したものの、記者の搭乗は拒否した」
 ☆一方、「琉球新報」はオスプレイ搭乗について、「これまでも米国内や岩国基地での報道陣向け体験搭乗に記者を参加させ、飛行状態について報告してきた。オスプレイは安全性について強い疑念があり、一般県民が搭乗できない中で米軍の担当者らに疑問をぶつけ、安全性の検証ができる機会と位置付けている」(2面)として搭乗し、第2社会面に「搭乗ルポ」を載せています。
 県紙2紙の見解・判断が分かれたのは興味深く、また小さくない問題をはらんでいると思います。メディアとしてどうすべきか難しいところですが、私は「沖縄タイムス」の判断に拍手を送ります。