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アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

コロナ対策・学ぶべき「韓国モデル」

2020年03月31日 | 安倍政権と日韓関係

  
 安倍政権が東京五輪強行の思惑から、新型コロナウイルス感染検査を抑制し、「延期」と同時に感染者数の発表が急増したことは昨日書きました。こうした安倍政権の政略が、感染のまん延・重症化を招く危険はきわめて大きいといわねばなりません。

 そんな安倍政権とは対照的に、早期に広範に検査を行い、感染状況を把握して対策を行った結果、重症化を抑え、致死率を極めて低く抑えている国があります。お隣の韓国です(日本の致死率は30日現在約3・0%、韓国は21日のNHK報道では1・4%)。「韓国モデル」は世界から注目されています。

 カナダのトルドー首相は3月26日、文在寅大統領と電話で会談し、韓国の対応を高く評価しました。

 「トルドー首相は『科学を基盤とし、MERS(中東呼吸器症候群)当時の経験を生かした韓国の対応は、国民の安全を守るのに成果をあげながらも、医療体系に過度な負担をかけていない』とし、『カナダも韓国に類似したモデルを目指したい』と述べたと、カン・ミンソク大統領府報道官が伝えた。
 トルドー首相は特に、『韓国で行われた広範囲で速い検査、接触者の追跡は非常に重要だと考えている。韓国から学びたい』とし、『韓国のデータを得られれば多くの教訓を学ぶことができるだろう。カナダと韓国保健当局が対話できるよう、協力してほしい』と要請した」(27日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 カナダだけではありません。韓国同様、感染者数は多いものの、重症化・致死率をきわめて低く抑えている国がイスラエルです。イスラエルの当局者は「韓国を手本にしている」と述べています(21日のNHKラジオニュース)。

 こうした文政権の先駆的対応によって、韓国国内は日本とまったく異なる状況になっています。

 ソウル在住の友人が、ブログで「韓国で買いだめが起きない理由」をレポートしています(「シンナラ・カンコク」http://sinnara9.com/stock-up/

 「韓国ではいつもと変わらずスーパーの棚にはたくさんの品物が並んでいます。マスクはソウルの街中で買えます。もちろんオンラインでも買えます」(写真左はマスク=3月27日撮影、中は日用品=26日撮影。いずれもソウル市内。同ブログより)

 韓国では「なぜ買いだめが起こらないのか」という特集番組が放送されました。主な理由は、 SARSや新型インフルエンザ、マーズの経験から、韓国の流通業界は非常時の需要を想定し多くの蓄えをしてきたオンライン配送の物流システムの発達で一時的な需要の増加にも耐えられるほとんどの大型マートが全国配送システムを備え、独自のオンラインモールを持っている―だといいます。

 それに加えて友人は、「韓国で買いだめ現象が起きないのは精神的な理由が大きい」と言います。

 「韓国は早い時期からコロナ19に対し、総力をあげて対応してきました。感染を避けるためにどのように生活したらよいか、感染の経緯、検査数、地域ごとの新たな確定診断者、死亡、完治数などはリアルタイムで常にテレビ画面上を流れます」
 徹底した情報の公開・共有。これは台湾も同じです。

 「現状を伝えるのは文在寅大統領でもあり(写真右)、中央防疫対策本部長やソウル市長などが、時間をたっぷりとって事実を報告し、丁寧に質問に答え、語りかけます」
 記者が手を挙げているのにわずか15分の質疑で会見を打ち切った安倍首相(2月29日)とは雲泥の差です。

 「事実と状況を知り、感染しないため、また体調が悪くなればどう行動したらよいのか、わかっている安心感がとても大きいです。状況を知らせる報道の合間には、感染で苦しんでいる人や現場で尽力している医療陣に、また初めての事態に戸惑っているすべての人に向けたメッセージが流れます。
 例えば中央防疫対策本部長は会見のたびにこう語りかけます。『苦しい状況を経て感染症を克服している確定診断者と家族、そして苦しい生活を送っている自家隔離者、また完治者の方々にあたたかい配慮とお疲れさま、という応援をお願いいたします』。毎日繰り返し、このような言葉を聞いていることで、精神的に落ち着いていられます。韓国に住むすべての人に安心感を与えてくれます。
 温かく、おせっかいでもあり困っている隣人を助ける国民性。それはこれまでの歴史の中で長い時間をかけて少しずつ形成されたものです。いまの韓国では、何かあっても国が、社会が、隣人が、誰かが助けてくれる、という安心感があります。そしてわたしも隣人を助けたい、という思いがあります」

 友人は最後のこう呼びかけます。
 「韓国は早い段階から積極的な防疫対策を行ってきました。コロナ19に対する対応は、国ごとにまったく異なりますが、オリンピック開催のため、感染者を少なく見せようとしてきた日本の姿勢は、外国では周知の事実です。本当に心配しています。手作りマスクでもなんでもいいんです。今は身を守ってください!」


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「3カ国首脳会談」の内容偽る安倍首相の朝鮮敵視

2019年12月26日 | 安倍政権と日韓関係

    

 安倍晋三首相は24日、韓国・文在寅大統領、中国・李克強首相との3カ国首脳会談の後の記者会見で、「北朝鮮の完全な非核化へ向け、米朝プロセスを後押しすることが重要だ」「北朝鮮の弾道ミサイル発射が続いている。3カ国は強い懸念で一致した。北朝鮮はさらなる挑発行動は自制すべきだ。それが一致したメッセージだ」(テレビ中継)と述べました。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)敵視に凝り固まった悪質な虚偽会見と言わねばなりません。

 韓国のハンギョレ新聞は3カ国首脳会談についてこう報じています。 

 「共同マスコミ発表で、文大統領は『我々は朝鮮半島の平和が3カ国の共同利益に合致するということで認識を共にし、朝米対話の早期再開を通じて非核化と平和が実質的に進展するよう、共に努力することにした』と述べた。

  李克強首相も『朝鮮半島の非核化と北東アジアの恒久的な平和実現が共同の目標であることを再確認した』と述べた。彼は『政治・外交的手段として朝鮮半島問題の解決に力を傾けることで、朝鮮半島と地域の長期的な安全を実現する』とし、『韓中日と第4国の協力を進める用意がある』と付け加えた。北朝鮮と協力したり仲裁する可能性に触れたものと見られる。

  ただし、安倍首相の発表文は韓中首脳とはかなり異なるものだった。安倍首相は『北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイルの発射は国連安保理決議違反であり、地域の安全保障に深刻な脅威』だとしたうえで、『関連した安保理決議を完全に履行し、朝米プロセスの動力を維持することが日中韓の共通した立場であることを再確認した』と述べた」(25日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 発表された「共同文書」はどうなっているでしょうか。

 「われわれは、朝鮮半島の完全な非核化にコミットしている。朝鮮半島と北東アジアの平和と安定の維持は、共通の利益と責任だと再確認する。国連安全保障理事会の決議に従った国際的な協力と包括的な解決によってのみ、完全な非核化と恒久的な平和を達成できる」(25日付共同通信)

 文大統領、李首相の発表(ハンギョレ新聞の報道)と、安倍首相の会見内容と、どちらが「共同文書」に則しているかは明確です。

 文、李両氏の発表や「共同文書」に「北朝鮮の挑発行動」なる文言はありません。また、「完全な非核化」の主語は「朝鮮半島」であり「北朝鮮」ではありません。この違いは極めて重要で、前者には韓国に配備されているアメリカの核兵器の一掃も含まれます。その違いは以前から問題になっていることで、安倍氏は意図的に「北朝鮮の非核化」と繰り返しているのです。朝鮮が発射実験を行っている飛翔物が「弾道ミサイル」と確認された事実もありません。

 3カ国会談の直前に安倍氏はトランプ大統領と異例の長時間電話会談を行いました。安倍氏の3カ国会談や会見での発言がトランプ氏の意向を受けたものであることは明らかです。

 安倍氏の発言は、朝鮮敵視に韓国、中国も同調・一致したかのように偽り、朝鮮をさらに追い詰めようとするもので、「朝鮮半島の非核化」「朝鮮半島と北東アジアの平和と安定」に逆行するきわめて悪質な政治的プロパガンダ―です。

 日本のメディアはそれを無批判に垂れ流し、安倍政権に追随しています。そして相変わらず「北朝鮮の挑発」という決まり文句を連発しています。その責任は重大で、安倍氏と同罪と言わねばなりません。


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「元徴用工」賠償・韓国議長案に反対の声を日本からも

2019年12月21日 | 安倍政権と日韓関係

    

 韓国の「元徴用(強制動員)工」への賠償にかんする韓国国会・文喜相(ムン・ヒサン)議長(写真左)の提案が18日、国会に上程されました。同法案がどう扱われるかはもちろん韓国内の問題ですが、私たち日本人もけっして座視するわけにはいきません。
 それは日本企業に賠償を命じた韓国最高裁判決(2018年11月29日)をどう受け止めるか、ひいては朝鮮半島植民地支配の日本の歴史的責任をどうとるかという問題だからです。

 文議長案に対しては、当事者である韓国の強制動員被害者や市民団体から、「最高裁の判決を無力化し、70年以上闘ってきた被害者を侮辱するものだ」(19日付ハンギョレ新聞電子版)という強い反対・批判があがっています。そのことを日本人はまず知るべきです。

 文案の骨子は、①新たな「財団」をつくり、韓国、日本両国の国民・企業から募金を行って日本企業の賠償を肩代わりする②「慰安婦同意」(2015年)でつくられた「和解財団」の残余金60億㌆(約6億円)も充当する③「見舞金」を受け取れば「和解」が成立したとみなし最高裁が認定した賠償請求権は放棄される―というものです。

 そもそも文議長がこの案を初めて口にしたのは日本でした。11月4日に参院議員会館で行われた国際会議に出席した文氏は記者団に、「韓日両国の国民や企業を対象に募金を行い、強制動員の被害者に金を支給する法案を作成した」(11月5日付ハンギョレ新聞)と公言しました。

 これに対し、韓国内では直ちに反対・批判の声が上がりました。

 「勤労挺身隊女性と共にする市民の会」は11月6日会見を行い、次のように表明しました。

 「過去にも1995に日本軍慰安婦被害者らに対して、民間基金を支給しようとして反発を買った『アジア女性基金』と、2015に謝罪もなく10億円をうけとる方式で歴史問題を取り繕うとして国民が憤りを感じたことがあった。…被害者たちにお金さえ与えれば良いという発想は、過去と同じ過ちを繰り返すもので、遺憾極まりない」(11月7日付ハンギョレ新聞、写真中。写真右も同紙より)

  「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正議連)」をはじめ12カ国・44団体は12月4日、「『文喜相案』の即時破棄と被害者中心主義の原則に則った日本軍性奴隷制問題の解決を求める世界良心宣言」を発表しました。

  「『文喜相案』は、強制動員および日本軍性奴隷制問題のような反人道的な戦争犯罪を、政治的・外交的な立場にのみ基づいて、問題解決をするという美名の下に、日韓政府の財源、日韓の企業と国民の募金で財団を作り、見舞い金のみを支給しようとするものである。…今、大韓民国の国会と政府がなすべきことは…被害者中心主義の原則に則った犯罪の認定、公式謝罪と法的賠償の履行による問題解決のために…日本政府に犯罪の認定と責任の履行を求めることである」

  日本からも批判の声は上がっています。

 「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」は12月10日、「反対声明」を発表しました。

 「強制動員問題の解決は、①事実を認めての謝罪、②謝罪の証としての賠償、③次世代への継承の原則が貫かれるべきです。安倍政権が被害者に背を向ける姿勢をとり続けようと、日本政府は強制動員を行った不法行為責任から免れることはできません

  万一文案が韓国国会で可決され、文寅在大統領が承認すれば、安倍政権はこれに飛びつくでしょう。そうなれば上記の諸団体・声明が指摘する重大事態となります。それを許すことは日本国民の責任でもあります。文議長案への反対・撤回要求の声を、今日本からも上げていく必要があります。


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日韓軍事協定(GSOMIA)問題の核心は何か

2019年11月21日 | 安倍政権と日韓関係

    

 あさって23日の午前0時に日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が失効します。韓国側の破棄によるもので、たいへん歓迎すべきことです。ただ、今回の失効は、同協定の本質にそったものではなく、手放しで評価することはできません。

 韓国・文在寅政権が同協定の破棄を決定(2019年8月23日)したのは、元「徴用工」(強制動員)訴訟で日本企業に賠償を命じた韓国最高裁判決(18年10月30日)に対し、安倍政権が対韓輸出規制強化を閣議決定(19年8月2日)したことに対する対抗措置です。

 安倍首相は一貫して、同協定と輸出規制は「次元が違う」と言っていますが、そもそも「元徴用工判決」に対して「次元が違う」輸出規制で対抗したのは安倍首相の方です。
 「元徴用工判決」の根源は日本の植民地支配であり、その誤りを明確に認めて謝罪・賠償するのが日本の責任です。それを一貫して拒否している安倍首相こそ今日の事態の元凶です。

 同時に、同協定をめぐる文政権の考え・対応にも強い疑問を禁じ得ません。文政権が「輸出規制強化の撤回を協定維持の条件としている」(20日付共同配信記事)ことは、同協定問題の核心から逸脱したものだからです。

 同協定が失効することを最も懸念しているは、アメリカです。エスパー米国防長官は日韓米3カ国防衛相会談(17日、タイ)で日韓関係の修復を図ろうとしました(写真左)。韓国の鄭国防相は、「米国としては、韓米日協力の維持が重要であるため、強く(圧力を)かけている」(19日付ハンギョレ新聞電子版)と述べています。

 「韓米日協力」とは、3カ国軍事協力のことであり、日米軍事同盟(安保条約)と韓米軍事同盟を結ぶ事実上の3カ国軍事同盟体制を維持することです。その結節点がGSOMIAにほかなりません。これが同協定の本質です。したがって同協定の破棄・失効は、日韓米3カ国軍事同盟体制を見直す結果としておこなわれてこそ意味があります。

 ところが、文大統領はまったく反対のことを言っています。文氏は19日、韓国のテレビ番組に生出演し、「GSOMIAが終了することになっても、日本と安全保障上の協力をする」と言明しました(20日付ハンギョレ新聞電子版)。
 そればかりか文氏は、「韓国は防波堤の役割を果たして、日本の安保において非常に大きな助けになっており、米国は核の安保の傘を提供している」「(日本は)韓国の防波堤の役割によって少ない防衛費用で自分たちの安保を維持している」(同)と述べ、自らを朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)からの「防波堤」だとして日韓米3カ国(核)軍事同盟体制を評価・誇示しました。 

 この言明は、昨年の歴史的な「南北会談」(写真右)からの重大な後退と言わざるをえません。会談の合意文書である「板門店宣言」(2018年4月27日)にはこう明記されています。
 「南と北は、朝鮮半島で先鋭化した軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するため共同で努力していくだろう」(韓国側の発表。2018年4月28日付共同配信記事)

 朝鮮半島の「軍事的緊張状態」を強めているのが、米軍の存在であり、その根拠になっているのが韓米軍事同盟です。繰り返されている韓米合同軍事演習がその誇示であることはいうまでもありません。

 いま必要なのは「板門店宣言」に立ち返ることです。韓国は合同軍事演習の中止(廃止)はもちろん、アメリカとの軍事同盟体制自体の見直し・解消へ向かうべきです。
 GSOMIAの廃棄・失効は、その線上にあってこそ真に意味のあるものとなるでしょう。

 


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「日韓関係」・青年たちの核心突く「声明」

2019年09月12日 | 安倍政権と日韓関係

     

 先日インターネットに「日韓関係」についての「声明」が拡散されてきました。「誰しもが差別・抑圧されない社会を目指し、日本の戦争責任・戦後補償問題にとりくんでいる20~30代の青年ら(「アジア共同行動関西青年部」)によって提起された」というものです。それがどういう人たち・団体なのか全く知りませんが、一読して賛同署名しました(普段はネットの署名はよほどでないとしないのですが)。素晴らしい「声明」です。

  「韓国への経済制裁の即時撤回ならびに朝鮮半島植民地支配への謝罪と賠償を求める」と題した「声明」は、1、経済制裁は「武器を使わない戦争」・問題の根本はなにか 2、植民地支配の謝罪・賠償の問題は解決済みなのか 3、個人請求権の解釈を覆した安倍政権の欺瞞 4、日韓基本条約の見直しを求める 5、韓国民衆の真の要求とは 6、私たち日本の民衆が要求すべきこと 7、日韓―私たちの関係性・真の隣人とは 8、私たちは要求します――の8つの章からなっています。

 5、6、7から抜粋します。

 <元徴用工、元「慰安婦」をはじめとする韓国の民衆が一貫して求めていることは、植民地支配の事実認定を通じた真実の究明日本政府ならびに植民地支配に協力し、朝鮮半島で非人道的行為を行った日本企業の謝罪と賠償を含む被害回復、すでに亡くなられた被害者に対する追悼と歴史教育を通じた再発防止です。>

 <私たち日本の民衆は、今回の一連の輸出規制やそれに伴う嫌韓助長とも言える政府の対応を批判するだけでは甚だ不十分であり、朝鮮半島の植民地支配に対する誠意ある謝罪と賠償を、被害者である韓国民衆が納得する形で行うことを政府に対して要求しなければなりません
 今回の問題の最大の背景は、日本が朝鮮半島の植民地支配に対して一度たりとも被害者らが納得する形での謝罪と賠償を行ってこなかったことであり、また、韓国民衆が植民地支配からの解放後も、今現在まで日本政府および植民地支配に加担した日本の多くの勢力によって民族の尊厳を踏みにじられ続けたことにあります。>

 <私たちは日韓の関係性を考えるときに、「大切な隣人である」以前に旧宗主国―旧植民地という視点を忘れてはなりません
 朝鮮民族の愛国心・民族主義は、植民地支配で抑圧・支配され、その後も日本から民族としての尊厳を奪われていたことに対する尊厳の回復のためであり、自民族・自国の尊厳の保持のためでもあります。私たち日本の民衆は、旧宗主国の民衆の責任として、彼らの愛国主義を非難すべきではなく、彼らの要求に耳を傾けるべきです。>

  最後の「私たちの要求」で次の6項目を挙げています。

①     韓国に対する輸出規制を即時中止せよ
②     日本は朝鮮植民地支配の不法性を認め、元徴用工・元「慰安婦」をはじめとした被害者に対して誠意ある謝罪と賠償を行え
③     日韓基本条約・請求権協定を見直し、日韓関係を、朝鮮植民地支配への日本の謝罪と賠償にもとづくものへと転換させろ
④     朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策をやめろ
⑤     朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化に向けて努力せよ
⑥     日本の植民地支配・侵略戦争によって損害と苦痛を与えたすべての民族、地域の被害者らに、誠意ある謝罪と賠償を行え

 最近の「日韓関係」に関する声明としては、同じくネットで広がった「韓国は『敵』なのか」(7月25日)が想起されます。多数の名だたる学者・研究者が「呼びかけ人」に名を連ねた声明ですが、多くの問題を含んでいました(8月1日のブログ参照)。
 しかしこの「声明」にはそのような疑問点はなく、問題の核心が鋭く突かれています。また④⑤⑥は先の声明にはなかった主張で、この「声明」の優れた点です。

 著名な学者・研究者の声明よりも格段に(異質とも言える)「声明」を、名もなき市井の20~30代の青年たちが発信。この事実に「著名な学者・研究者」の劣化を痛感するとともに、これからの日本への一条の光を、久しぶりに見た思いです。

 <訂正・補足>

 8日の「韓国報告<上>」でソウルのバス事情について書きましたが、ソウルの友人から次のようなコメントが寄せられました。紹介して、訂正・補足とさせていただきます。
 「ソウルを走るバス会社は複数あるんです。ソウル特別市の都市交通本部で管理して、各バス会社が運行する形です。同じシステムと料金体系でソウルとキョンギ(京畿)道の地下鉄、バスは5回(30分以内)まで無料で乗り換えでき、料金は始点から計算されます」


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日韓GSOMIA破棄・情勢を「見誤っている」のはどちらか

2019年08月24日 | 安倍政権と日韓関係

     

 韓国政府が23日、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の破棄を正式に伝えたのに対し、安倍政権は「現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるをえない」(長嶺安政駐韓大使)と抗議しました。
 安倍政権だけでなく、日本のメディアも、「これまでの安保協力の積み重ねを崩してしまうのは誤りだ」(23日付毎日新聞社説)などと韓国政府を批判しています。

  「現下の地域の安全保障環境」を「見誤っている」のはいったいどちらでしょうか。

  同協定は、「日米韓3カ国が北朝鮮問題で連携する姿勢を内外に示す象徴的な枠組み」(同「毎日」社説)です。すなわち、日米軍事同盟(日米安保体制)と韓米軍事同盟というアメリカを頂点とする2つの軍事同盟の底辺(日本と韓国)を結んで、実質的に米日韓の3カ国軍事同盟とするのがGSOMIAです。それが破棄されるのですから、安倍政権が狼狽し、アメリカが批判のコメントを発表するはず。
 日米両政府は「安保環境を見誤っている」と韓国を批判して軍事同盟を維持することに懸命ですが、見誤っているのは彼ら、軍事同盟固執勢力の方です。

 朝鮮半島をめぐる「安保環境」は、昨年の韓国と朝鮮民主主義人民共和国の「南北会談」(2018年4月27日、板門店)と、朝鮮とアメリカの「朝米会談」(同6月12日、シンガポール)で劇的に変わりました。そのことを改めて想起する必要があります。

  「板門店宣言」はこううたっています。
 「南と北は、南北関係の全面的で画期的な改善と発展を実現することで、途絶えた民族の血脈をつなぎ、共同繁栄と自主統一の未来を早めていくだろう
 「南と北は、朝鮮半島で先鋭化した軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するため共同で努力していくだろう」(韓国側の発表による。2018年4月28日付共同配信記事) 

 そして「シンガポール共同声明」でも、「2018年4月27日の『板門店宣言』を再確認」(2018年6月13日付共同配信記事)したのです。

 「板門店宣言」は、韓米軍事同盟体制ではなく韓国と朝鮮の民族の共同こそが朝鮮半島・東アジアに平和と繁栄をもたらすことを確認し、そのための努力を約束し合ったのです。これこそが「現下の地域の安全保障環境」にほかなりません。GSOMIAの破棄は「見誤っている」どころか、まさにこの新たな「安保環境」に合致するものです。

  安倍政権は、なんとしても朝鮮半島をめぐる「安保情勢はきびしさを増している」(岩屋防衛相)と描きたいため、またぞろ朝鮮の「ミサイル発射」を挙げていますが、先の朝鮮の「飛行体発射」は「板門店宣言」「シンガポール共同声明」に反して米韓が合同軍事演習を強行したことに対する対抗措置にほかなりません。非がアメリカ・韓国側にあることは明白です。それをあたかも朝鮮が「挑発」しているかのように言うのは、原因と結果、加害者と被害者を逆転させるものと言わねばなりません。 

 文寅在政権がどこまで「板門店宣言」を意識してGSOMIA破棄を決定したかはともかく、結果としてそれが「板門店宣言」「シンガポール共同声明」に沿い、朝鮮半島・東アジアの平和へ向かうものであることは明らかです。

 私たち日本人は、日米両政府やメディアの反韓国・朝鮮キャンペーンに惑わされることなく、韓国のGSOMIA破棄を支持し、さらに軍事同盟のない東アジアをめざして、日米軍事同盟(安保条約体制)廃棄という私たち自身の責任を果たすべきです。それこそが歴史の進歩的変化に沿う道ではないでしょうか。


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「慰安婦」・徴用工-安倍首相の無反省と「市民の責任」

2019年01月14日 | 安倍政権と日韓関係

     

 昨年12月28日、フィリピン(サンペドロ市)の民間介護施設の庭(私有地)に建てられた「平和の少女像」(ソウルの日本大使館前の少女像と同じ作品。写真左=ハンギョレ新聞より)が、2日後の30日、撤去されました。日本大使館が「慰安婦像を設置することは非常に遺憾。日本政府の立場と相いれない」と抗議したためです。

  韓国のハンギョレ新聞(電子版、1月4日付)で知りましたが、日本の新聞では産経新聞以外に報じた新聞は見当たりませんでした(見た限り)。

  フィリピンでは2017年12月にも、マニラに建てられた少女像が同じく日本政府の圧力で18年4月に撤去されており、今回が2度目です。

  一方、韓国最高裁が新日鉄住金に元徴用工らへの賠償を命じた訴訟で、判決に従わない同社の韓国内の株式を差し押さえる申請を原告側行った(昨年12月31日)のに対し、安倍政権は「1965年の請求権協定違反だ」と反発を強めています。

  この半月の間に相次いで起こった2つの事態は、日本政府・安倍政権が帝国日本の東アジア侵略・植民地支配にいかに無反省であるかをあらためて世界に露呈するものです。

  韓国の文在寅大統領は10日の記者会見で、「(今回の問題は)韓国政府がつくったものではない。日本政府はもう少し謙虚な立場を持たねばならない」と述べましたが、その通りです。

  いかにも歴史修正主義者の安倍晋三首相らしい対応ですが、問題は日本のメディアがそれに同調し、「日本国民」が安倍政権を黙認していることです。

  「産経」や「読売」だけではありません。朝日新聞は11日付の「徴用工問題」の社説で、「不幸な植民地支配の下で起きた問題だけに、双方が硬直した姿勢をとらず、歩み寄らねばならないのは当然だろう」と、日本の植民地支配を「不幸な」「双方」の問題と言い切り、「いままず求められているのは、この問題に関する韓国政府の明確な態度を示すことである」と逆に韓国に矛先を向け、安倍政権に同調しています。これが日本のメディアの実態です。

  フィリピンの「平和の少女像」撤去に対し、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動(共同代表・梁澄子氏、柴洋子氏)は7日、声明を発表しました。
 この中で、日本政府に対し、「加害国政府として、日本軍『慰安婦』問題に責任ある対応をすべきところ、真逆な行為を続ける日本政府に、私たちは、これ以上の恥さらしな行動を取らないよう強く求める」と抗議するとともに、「私たちは、日本の市民に訴える」としてこう述べています。

  「このような政府の行いに対して、日本の市民は怒らなければならない。再びこのような愚挙を許してしまったことを、恥じ入らなければならない。二度とこのようなことが起きないよう、行動を起こさなければならない。記憶と歴史の抹消を企てる安倍政権の暴挙をくい止めることは、日本の市民の責任だ

  まさに、私たち「日本の市民」は「怒らなければならない」「恥じ入らなければならない」のです。侵略戦争・植民地支配の加害国の「国民」として、その謝罪・償いを棚上げしてきた戦後責任のある「国民」として、被害者(国家ではなく個人)に謙虚に向き合うことは最低限の責任ではないでしょうか。
 そのうえで、安倍政権の暴挙に恥じ入り、怒り、行動し、くい止めねばなりません。

 問われているのは「日本の市民の責任」です。


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加害国・日本人として安倍政権の「少女像」撤去圧力は許せない

2017年01月07日 | 安倍政権と日韓関係

     

 安倍政権は6日、プサンの日本総領事館前に新たに「少女像」(平和の碑)が設置されたことに対する「対抗措置」を発表しました。
 日本政府のこうした「少女像」撤去圧力はまったく理不尽であり、日本人として絶対に許すことはできません。

 そもそも「少女像」とは何でしょうか。ソウルの日本大使館前に初めて設置した(2011年12月)韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)はその意味をこう説明しています。

 「平和の碑は、被害者(元日本軍「慰安婦」-引用者)(韓国ー同)市民社会が1000回を超える水曜日を見守り日本軍「慰安婦」問題解決と平和を叫んできた水曜デモの精神を称えた、生きた歴史の象徴物であり公共の財産である」(「日韓外相会談合意に対する挺対協の立場」2015年12月28日)。したがって、「このような平和の碑に対し、韓国政府が撤去および移転を云々したり介入することはありえないことだ」(同)

 韓国政府にその「ありえない」撤去を迫ったのが「日韓合意」(2015年12月28日)です。今回の「対抗措置」の〝根拠”になっているのもこの「合意」です。
 「日韓合意」とは何だったのか。改めてその原点に立ち返る必要があります。

 「合意」の直後、「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター(バウラック、共同代表・西野瑠美子さんら)は、「『合意』では加害国日本の責任は果たせない」と題した「声明」(2016年1月23日)を発表し、「合意」の問題点を5点にわたって指摘しました。

 ①「合意」は「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」とするだけで、「傷つけた」主体(主語)を明示せず、日本軍の責任をあいまいにしている。安倍首相は国会で「謝罪の言葉」を拒否し「性奴隷ではない」と繰り返した。

 ②岸田外相は会見で、財団に拠出する10億円は「国家賠償ではない」と明言。「国家賠償」でない金で、被害者と国際社会の非難・批判を「最終的かつ不可逆的に」封じ込めようとするもので、「おわび」や「反省」でないことは明白。

 ③「合意」は被害者を完全に無視。被害女性が「合意を受け入れない」と拒否しているのに、いかなる根拠で「最終的かつ不可逆的に解決」したと言えるのか。

 ④「合意」はアメリカ主導の日米韓軍事協力のために、被害者をスケープゴートにした。アメリカの圧力の下、被害者の人権回復より日米韓軍事協力を優先したのである。

 ⑤「合意」では「河野談話」(1993年8月3日)で示された歴史教育や記憶の継承への決意が消失した。平和の碑(少女像ー引用者)の撤去・移転を朴槿恵政権に約束させた安倍政権の意図は、記憶の継承どころか、日本軍の犯した戦時性暴力に関する記憶そのものの抹消にある。

 「バウラック声明」はさらに、「日本軍性奴隷制の加害は、日本が植民地支配、侵略・占領した全域に及んでいる。被害者は韓国以外にもいることを忘れてはならない」としたうえで、こう結んでいます。

 「加害国日本に住む私たちは改めて、日本政府に対し、日本軍性奴隷制による加害の事実を具体的に認定し、韓国を含む各国の被害者に対する法的責任を認め謝罪し、謝罪の証しとして賠償、歴史教育、記憶の継承などの具体的措置を実施することを強く求める

 こうした問題山積の「合意」だからこそ、韓国の世論調査(昨年7、8月)では、「合意で日本は謝罪していない」84%、「再協議すべき」63%、「少女像の移転に反対」76%(「バウラック通信」16年12月号より)と、被害者や支援団体だけでなく多くの韓国国民から反対・批判されているのです。

 ところが、日本の主要全国紙(「読売」「産経」「日経」は論外)の論調(7日付社説)はどうでしょうか。

 「日本政府が善処を求める意思表示をするのも当然だ。…日韓合意は、元慰安婦らの心の傷をいかに癒せるかを双方が考え、知恵を出し合った結果であり、いまの両政府の関係を発展させる出発点でもある。この合意を侵食するような行動は双方が慎むべきだ」(朝日新聞)

 「プサンの少女像 合意の崩壊を危惧する」(社説のタイトル)、「両国と同盟関係にある米国は合意支持を繰り返し表明している。良好な日韓関係は、日米韓連携のためにも必要だ」(毎日新聞)

 「慰安婦問題では…合意で決まった救済事業は着実に進んでいる。この事実を韓国側はもっと重く受け止めるよう望む。…日韓はともに北朝鮮の脅威に直面する。日韓に米国を加えた連携の強化がこれまで以上に重要になる」(東京新聞)

 「産経」や「読売」だけでなく、「朝日」「毎日」「東京」のすべてが、「日韓合意」を礼賛し、日米韓連携(軍事協力)推進のために「合意」の実行を迫っているのです。
 「日韓合意」に対する全国紙のこうした大勢順応・体制翼賛ぶりは、日米軍事同盟(安保体制)下のおける日本のメディアの腐敗・退廃を象徴的に示すものと言わねばなりません。

 「少女像」「日韓合意」はけっして私たちと無関係な問題ではありません。「加害国日本に住む私たち」1人ひとりの考え、立場、生き方が、今、厳しく問われています。


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