
女性で、しかもこれまで専門の憲法学の立場から折に触れ県紙などに適切なコメントを発表してきた同氏が候補者に決まったことは喜ばしいことです。
しかし、6日の記者会見の琉球新報、沖縄タイムスの報道を見る限り、その出馬表明はたいへん残念なものと言わざるをえません。
なぜなら、沖縄(日本)の現下の最大問題である日米軍事同盟(安保条約)深化・自衛隊増強・沖縄ミサイル基地化についてまったく語られていないからです。
琉球新報(7日付3面)に同氏の「一問一答」が掲載されています。
「主な政策は」の質問に対し、「暮らしの問題」を第1にあげ、続いて「戦後80年なので平和の問題は重要な位置づけになる」と答えています。しかし具体的な課題はあげていません。「他の候補との違いは」の質問でも「平和の問題」には触れていません。「辺野古新基地については」と水を向けられると、こう答えています。
「一貫して反対している。非常に理不尽な政策で、現実的でない。止めていかなければならない。ただ、辺野古の問題だけではなく、さまざまな軍事基地の問題があり、そこにも目配りしたい」
きわめて抽象的・一般的です。「さまざまな軍事基地の問題」とは何なのか、「目配り(する)」とはどういうことなのか。
沖縄(日本)が直面している最大の「軍事基地の問題」が米軍と自衛隊の一体化(先の統合司令部設置はその表れ)、与那国、石垣、宮古など沖縄諸島の自衛隊ミサイル基地化であることは周知の事実です。その元凶が日米軍事同盟(安保条約)であることは明白です。
高良氏はなぜこうした具体的な「軍事基地の問題」を指摘しないのでしょうか。なぜ「目配り」ではなく「断固反対・阻止」と言わないのでしょうか。
この日の出馬表明は、これまでの高良氏のさまざまなコメント・論稿とくらべても大きく後退していると言わざるをえません。
それが「保守層」も含む「オール沖縄」の性格に配慮した結果だとすれば、その後退姿勢は「オール沖縄」のマイナス面を上塗りするものにほかなりません。
高良氏は憲法学者として、「自衛隊増強・ミサイル基地化、日米軍事同盟強化に断固として反対し、阻止する」と明言すべきです。
今後、具体的な政策が発表されるでしょうが、こうした政策が明確に、優先的に盛り込まれることを期待します。