アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

石垣島に特攻隊将校の顕彰碑-旗振る八重山日報

2013年05月31日 | 日記・エッセイ・コラム

SakuraiYaeyamanippou 歴史修正主義の教科書(育鵬社)を採択した石垣市で、沖縄戦の特攻隊を賛美する顕彰碑を建立する動きが強まっています。その旗振り役を務めているのが地元紙・八重山日報です(写真右)。
 伊舎堂用久中佐(石垣市出身)の顕彰碑がそれ。伊舎堂中佐は「1945年、石垣島白保の基地から出撃し、慶良間諸島沖で米軍空母に体当たり攻撃、多大な戦果を挙げた」(八重山日報)人物。「『軍神』とたたえられながら、戦後教育の中で忘れ去られてきた中佐を再評価する機運が高まりそうだ」と同紙は”期待”しています。碑は8月15日に石垣市(中山義隆市長)が管理する緑地公園内に建てる予定。碑には「指折りつ 待ちに待ちたる機ぞ来る 千尋の海に散るぞたのしき」という「辞世の句」も彫り込まれます。今月18日に顕彰碑建立期成会が設立。会長(三木巌氏)は「子供たちのために(中佐たちのおかげで)日本の平和はあるんだ、と教えなくてはいけない」(カッコ内も同紙)とあいさつしています。
 その前日(17日)の同紙「論壇」には「琉球独立論絶対反対」(宮良長和氏)という200行にも及ぶ長大な”論文”を掲載。「我々が今なすべき事は、この愛する郷土を守り抜く為には、命も捨てる覚悟であり、その為の準備である」と強調しています。
 19日来県した桜井よしこ氏は講演で「これを読めば八重山のことがよく分かる」と八重山日報を絶賛しました(写真左)。なるほどこういうことだったのかと合点がいきました。
 八重山日報の販売部数は公称約6000部(石垣市の有権者数は約37000人)。安倍政権は尖閣問題で「危機」をあおりながら、与那国への自衛隊配置、宮古・八重山の自衛隊増強を計画しています。教科書問題につづく特攻隊賛美。その旗を振る地元紙。恐ろしい事態が八重山で進行しています。

 <今日の注目記事>(31日付沖縄タイムス社会面見開きから)

 ☆<紙1枚でF15再開  「点検終了」報告のみ 県民無視に高まる怒り
    米対応、本土と落差 昨年三沢事故は陳謝・連日市へ状況報告>
 「米軍は30日、墜落からわずか2日後にF15の訓練を再開した。事故原因さえ公表せず、『点検が終了した』と1枚の紙で発表しただけ。海で陸で、恐怖にさらされる県民は『人間扱いされていない』と訴える。事故対応で本土との二重基準も明らかになり、怒りが高まっている」「同じ墜落事故でも、米軍は本土では沖縄に比べ丁寧に対応している。昨年7月、三沢基地所属のF16戦闘機が墜落した事故では、司令官が市役所を訪れて陳謝。事故概要を報告し、8日後に飛行を再開した。説明もないまま、2日後に再会された嘉手納基地の周辺からは『二重基準は許せない』と怒りの声が上がる」「航空評論家の青木謙知さんは・・・三沢と嘉手納の対応の落差については『三沢市の友好的な姿勢も影響しているのだろう』と分析した」
 この「二重基準」。これこそ「沖縄差別」そのものです。


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桜坂に18階のホテル・・・また沖縄の色が消える

2013年05月30日 | 日記・エッセイ・コラム

SakurazakagekijyouSakurazakakouji 那覇・国際通りから少し入った一帯が桜坂です。かつての特飲街をしのばせる飲食店街と、名作を上映するミニシアター桜坂劇場が人気で、私も沖縄に来てさっそく会員になりいくつも名画を楽しませてもらっています。ミニと言っても上映スペースは3つあり、ライブも文化講座もある、いわば古き沖縄をしのばせながら新たな文化を発信する沖縄文化の拠点の一つです。近くには壺屋焼きで有名な石畳のやちむん通りがあります。
 その桜坂劇場に隣接して、地上18階地下1階の巨大なホテルが建つと聞いて驚きました。フェンスで囲って工事中です(写真)。ホテルは東京の不動産コンサルティング(国内外で22のホテルを経営しているケン・コーポレーション)のもので、完成は2年後の15年4月の予定。客室数は316で屋外プールもあるとか。桜坂劇場周辺も客が増えるのかなと思うと、そうではないようです。映画のあとによく行く軽食店のマスターは「こっちはホテルの裏側になるんですよ」と困惑顔でした。
 戦後、焼け野原となった那覇で、「沖縄の再生は伝統芸能と演劇から」と考えた山城善光(のちに立法院議員。社会大衆党創設に参加)らが、戦前の沖縄芸能の象徴だった「珊瑚座」を復元したのが、現在桜坂劇場がある場所です。今もその名を残す「さんごキッチン」が劇場内にあります。同時に、山城は郷里・大宜味村から桜の木100本を取り寄せて植えました。それが桜坂の名前の由来です(桜の木は現在近くの稲荷のそばに数本残っているだけです)。
 桜坂は戦争直後から沖縄の芸能・文化の中心地であり、復興の象徴だったのです。そこに東京の不動産資本が進出し、いかにも不釣り合いな巨大ホテルを建てる。沖縄の”色”がまた一つ消えていきます。まだ半年しか住んでいない私でさえ、淋しさを禁じえません。

 <今日の注目記事>(30日付琉球新報第2社会面から)

 ☆<ひめゆり平和資料館 証言員の派遣終了 高齢化、欠員で負担増
    10月以降 館内限定の講和継続>
 「1989年の開館以来、多くの人々に戦争の悲惨さを伝え続けている糸満市の『ひめゆり平和祈念資料館』は、修学旅行生らを対象にした館外講和への『証言員』の派遣を、今年9月いっぱいで終了する。沖縄戦の実相を伝えようと重い口を開き、20年以上にわたり講和活動を続けてきた元ひめゆり学徒隊の生存者たち。証言員の年齢が80代後半を迎える中、体力面に配慮し、館外講和の終了を決めた。10月以降は、館内に限定して講和を実施する。島袋淑子館長(85)は『不安もあるが、今後もできる限り長く講和活動を続けていくための前向きな決定だ』と思いを語った」
 開館当初27人いた証言員は現在10人。1人当たりの年間講和回数は約100回。修学旅行生の宿泊先での講和は夜10時を過ぎることもあるとか。このようなご苦労で証言講和は続けられてきたのです。島袋館長は、「話を聞いた生徒たちは『必ずみんなに伝える』と言ってくれる。それを励みに頑張ってきた。私たちの平和への思いを、若者に受け継いでほしい」と話しています。


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泊外人墓地の子どもたちと新垣辰雄さん

2013年05月29日 | 日記・エッセイ・コラム

KodomobosekiArakakisan 那覇市の泊外人墓地のメモリアルデー(27日)を知ることができたのは、ちょうどその前日に行った写真展がきっかけでした。アマチュア写真家・新垣辰雄さんの個展「泊外人墓地」です(写真右)。
 新垣さんはタクシー運転手だった2007年偶然メモリアルデーに遭遇し、翌08年に初めて撮影。そこで出会った少年と老婦人の姿が忘れられず、毎年撮り続けます。5年間で約5000枚。メモリアルデーに撮り、その写真を翌年本人に渡す。そのスタイルを今も続けています。「敗戦とその後の米軍統治の中で、国境・国籍を超える決断をした人々もいた。ここ沖縄の地で家族を創り、新しい命を育み、沖縄に骨を埋めることを決断した人々である。米国籍・日本国籍など選択の違いはあるにせよ、その都度祈りを捧げる人たちがいる。言語・文化の違いの中でいろいろな色相を持ちながら、命は引き継がれていく」(新垣さんの文章から)
 やがて新垣さんは、訪れる人もなく潮風で朽ちている墓石の一群に引き付けられます。親がすでに亡くなっていると思われる子どもたちの墓碑です(写真左)。新垣さんの調べでは、埋葬されている327人中147人が幼児・子ども(1985)。ベトナム戦争開始までの10年間は156人中109人という多さです。「幼くして命の灯をほんの一瞬しか輝かすことができずにここに眠る多くの幼子たちの存在がある。名前さえも記録されていない子も含む。この幼子たちもまた、我々と<同時代を生きた人>なのである。私たちの記憶の中に刻み込まれるべき人々なのである」
 基地・戦争があるがゆえに、異郷の地に人知れず眠る米軍人とその家族。これも知られるべき沖縄の姿です。私は新垣さんのように、その子どもたちに「同時代を生きた」者としてのまなざしを注ぐことができるでしょうか。
 新垣さんが墓地に眠る子どもたちに代わって作った詩の一節です。「・・・母が死に、父が死んだら、わたしの眠る十字架の前にいるあなたへ/わたしのなまえを声に出してよんでください/わたしが自分のなまえを覚えられますように/そして忘れないように」

 <今日の注目記事>(29日付琉球新報、沖縄タイムス)

Eyujyuugo 今日の両紙の紙面は「F15戦闘機墜落」で埋め尽くされています。全国紙でもそれなりの扱いはされているでしょうが、やはり現地・沖縄ほど緊迫感はないのではないでしょうか。多くの不安、怒りの中から、市民団体の声を紹介します。
 「第3次嘉手納基地爆音差し止め訴訟原告団の新川秀清団長は『沖縄では常に命が危険にさらされている。これが復帰41年の現実だ』と声を上げる。・・・『パイロットは脱出できても、地上のわれわれは逃げようがない。そんな生活をいつまで強いるのか』。・・・県平和委員会の大久保康裕事務局長は『復帰後の(F15を含む)米軍機墜落は44件目。1年に1回以上のペースで起きている』と事故の多さを指摘した。一方で、『今回の事故が、最新鋭のF35戦闘機配備の口実にされる危険性がある』と危惧。『日本防衛とは名ばかりで、実際は米権益を守る戦争準備の基地だ。撤去しかない』と強調した」(沖縄タイムス)


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沖縄の歴史語る「泊外人墓地」

2013年05月28日 | 日記・エッセイ・コラム

BotikokkiBotibosan 那覇市の泊港北岸から道路を隔てたところに「泊外人墓地」があります。那覇に30年住んでいる友人も「あることは知っているが行ったことはない」というくらい、普段は清明祭以外、訪れる人もなくひっそりたたずんでいるこの場所も、きのう(27日)は墓参の人々がぽつりぽつ  
Botiperuri_2Bitikodomo_2り訪れ、午前中に日米の「国旗」が掲揚され讃美歌が流れるセレモニーがありました。メモリアルデーだったのです。5月最終月曜日がその日だと知る人も多くないでしょう。もちろん私も初めて訪れました。
 入り口近くには、幕末に日本に開国を迫ったアメリカのペリ 
Botijyosizou_2Botioretajyuujika_3ー艦隊上陸(1853)の記念碑が建っています。この墓地には戦前までに5カ国22人が葬られていました。最古は1718年の中国(清)人の墓です。ペリー艦隊の乗組員も5人眠っています。「琉球処分」(1879)から戦前・戦中の記録は沖縄戦で焼失して不明ですが、戦後は米軍人・軍属の墓地となりました。2004年の時点で墓碑は386あるそうです。1979年には那覇市の文化財にも指定されています。
 
 黒い服の男性がいたのでご遺族かと思い話しかけてみると、この人も初めて訪れたとか。「摩文仁の慰霊祭には毎年行っているので、ここも。はやり黒い服でないとね」。感想を聞くと、「アメリカの旗ばかりだが、ここには他の国の人もいる」。なるほどと思わされました。
 色とりどりの花や供物が供えられている墓石群の横に、訪れる人はなく、献花の筒さえなく、コンクリートの十字架は朽ち、石像も壊れたままで放置されている墓の一群がありました。子どもたちの墓です。
 私がどうしてメモリアルデーを知ってこの日訪れることができたのか。この墓地にどんな意味があるのか。それは明日書きます。

 <今日の注目記事>(28日付沖縄タイムスから。琉球新報も同様の扱い)

 ☆<オスプレイ「違反なし」 国、県指定の318件調査 運用と隔たり 知事反発>
   (1面トップ)
 「防衛省は27日までに、米軍普天間飛行場に配備されている垂直離着陸輸送機オスプレイの県内での飛行について、県が運用ルール違反として調査を求めた318件について、明確な違反はなかったことを確認した。・・・仲井真弘多知事は27日、『正式な報告を受けていない』と断った上で、『僕らはそうじゃないと思っている』と反発。高良倉吉副知事は『実際の飛行実態を反映した調査結果なのか』と疑問を呈し」た。
 地元の県が318件も違反があると言っているのに、「違反はなし」とは・・・いったい沖縄はどれだけ足蹴にされればいいのでしょうか!

 ☆<稲嶺氏が出馬表明 名護市長選 辺野古移設反対貫く>(1面トップ下)
 「名護市長の稲嶺進氏(67)は27日、市内で会見し、来年1月予定の市長選挙に2期目を目指し出馬すると正式に表明した」
 名護市長選で万一稲嶺氏が敗れるようなことがあれば、普天間基地の辺野古移設は決定的になり、沖縄の自治の灯は消えます。来年1月の名護市長選はたんなる市長選ではありません。沖縄の、いえ日本の進路がかかっている、決定的に重要な選挙です。
 


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意外な「全国1位」から見える沖縄の現実

2013年05月27日 | 日記・エッセイ・コラム

AmeDscn1251 沖縄の天気予報はあてになりません。きのう(26日)も予報に反して突然の大雨。国際通りの観光客も急いで雨宿りしていました(写真左)。梅雨だから仕方がないとも言えますが、この日の沖縄タイムスにちょうど興味深いデータが出ていました。5年間(2008~2012)の年平均快晴日数を見ると、全国平均24・2日に対し沖縄県はわずか7・4日で全国1の少なさだというのです。”強い日差し”のイメージがあるだけに意外です。
 このデータ、沖縄タイムスが毎週日曜日に掲載している「データ算歩」(海邦総研)から。失業率や離婚率の高さはよく知られていますが、意外な「全国1位」に驚くことも少なくありません。いくつか紹介します。
 ☆「民立民営の放課後児童クラブ数=276施設」(写真右)・・・全国平均約50に比べてダントツ。子どもの多さとともに、「公立」の少なさ、児童福祉の遅れを示しています(意外ではありませんね)。
 ☆「県民が英語以外の外国語を学習する日数=週0・6日」・・・全国平均が1・4日で沖縄県は全国最少。でも、芸術・文化活動にあてる日数は1・6日で全国2位の多さ。それに沖縄では沖縄語(ウチナーグチ)の学習も広がっています。沖縄県民の文化活動の多様性ではないでしょうか。でもやはり中国語やハングルはもっと学習されてもいいのでは?
 ☆「生鮮魚介類の世帯当たり年間消費量=2万324㌘」・・・全国平均は3万4105㌘。沖縄は全国1魚介類を食べない県民なのです。海洋県だけに意外です。確かにスーパーの鮮魚売り場もそう広く多彩ではありません。肉好きのせいもあるでしょうが、肥満・寿命減少が問題になっているだけに、改善が必要でしょう。
 ☆「年齢差20歳以上の夫婦数=233組(10万世帯当たり)」・・・全国平均183・8組に対し全国3位(1位は長野県の250・5組)。ところが「妻が年上」の夫婦となると沖縄は15・4組(同)で全国1位です。記事は「離婚率の高い沖縄、『2度目は頼れる年上を』という傾向が高いのか、それとも、”頼れる年上”を感じさせるパワフルな沖縄の女性が『歳の差婚』の多い一番の要因かも・・・?」としていますが、私が見るところでは後者ですね。

<今日の注目記事>(27日付琉球新報2面から)

 ☆<米軍性暴力 カービー・ディック氏(映画監督)に聞く 
    適切な処罰不可欠  橋下氏、本質理解せず>
 橋下発言や、相次いで発覚している米軍内の性暴力事件について、米軍内の性暴力問題を追ったドキュメンタリー映画のカービー・ディック監督に琉球新報が行ったインタビューから。
 「彼(橋下氏)は性的暴行の本質を理解していない。性的暴行は『性』ではなく、『暴力』の犯罪だからだ。性的暴行をする米軍人の多くは。駐留先の『禁欲的生活』に駆り立てられて犯行に及ぶのではない。以前に何度も性犯罪を続けてきた傾向がある」(-橋下氏は「海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロールできない」とものべた)「米兵の性犯罪を弁明するようなものだ。われわれは自国の軍隊に高い水準を保つことを求めているし、当然そうでなくてはならない。性暴行に及ぶ兵士は弁解を与えられるのではなく、起訴され、刑を受けなくてはならない」(-米軍内の性犯罪の解決策は)「性的暴行をなくすために米軍がすべき最も重要なことは、加害者を適切に調査、起訴、処罰することだ。それには軍法会議を改革することが不可欠だ。犯行を調査、起訴する権限を軍の指揮官から取り上げ、専門の訓練を受けた裁判官や検察官の手に委ねるべきだ」


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「沖縄の未来」を国際立憲主義から考える

2013年05月26日 | 日記・エッセイ・コラム

DoyoukouzaAbekatumi 沖縄大学土曜教養講座(第505回)「沖縄から基本的人権を考える~国際人権法と沖縄の未来~」が25日ありました。阿部浩己神奈川大学教授(写真右)の基調報告に続き、島袋純さん(琉大教授)と高里鈴代さん(人権活動家)が加わって討論しました。司会は若林千代さん(沖大教員)。「沖縄の自決権」を国際人権法、また日本国憲法との関係、国際立憲主義から考えるという新たな視点で、大変興味深く新鮮でした。
 阿部さんは、日本の法はマイノリティ(琉球、アイヌなど)の人権が尊重されない人種主義(レイシズム)になっているが、国際的には「国家の権力を制御する国際立憲主義」が顕著になり、少数者(とくに先住民族)が国際機関に直接訴え国内法の変革を求める潮流にあり、東アジアもその段階に至っていると指摘。沖縄も国際人権法(国際人権規約)に基づいて「人民の自決権(自己決定権)」が認められるべきだし、それは「日本国憲法の国際協調主義に合致し、人種主義を是正し、憲法の立憲主義を補強することになる」と強調。「少数者の自決権を確立することは歴史認識を正すことにもなる」と述べました。
 阿部さんの指摘は、沖縄の意思が踏みにじられ続けている基地問題への今日的な視点であるとともに、「琉球独立論」にもかかわってくることは明らかで、沖縄の自決権確立に国際法の視点から確信を与えるものです。
 同時に検討課題も少なくありません。「人民の自決権」なのか「民族の自決権」なのか。自決権は具体的はどういう方法・形で示されるのか。沖縄にいるヤマトンチュウ(私も含め)はその自決権にどうかかわることができるのか・・・。自己決定権の担い手を考える場合、「血筋や文化、言語などの客観的要素だけでなく、主観的要素(その人の意思ということでしょうか)も重要」という島袋さんの指摘にはたいへん共感しました。
 憲法との関係もさらに検討が必要ですが、「沖縄の自決権=未来」を国際法の視点、国際的潮流の視点から、しかも狭い民族主義ではなく広い人民の連帯の視点から探究していく大切さが示され、目の前が明るくなった気がしました。

 <今日の注目記事>(26日付琉球新報社会面=高知新聞提供から)

 ☆<高知・嶺北地域 米軍機夜間爆音に悲鳴 「子どもは布団にもぐりおびえています」「身体を硬くし私にしがみついてきます」 母親ら国へ手紙22通>
 「米軍機が夜間訓練をしている時、直下の子どもたちはどんな状況に置かれているのか。米軍戦闘機の夜間飛行訓練が頻発している高知県嶺北地域の4首長らに、幼い子どもを持つ親たちからの『22通の手紙』が託され、政府に渡された。一文字一文字、手書きでつづった切実な訴え。政治家、官僚はどう読むのか。米軍へ思いは届くのか-。」
 米軍機被害はもちろん沖縄だけではない。基地はどこかへ移転させるのではなく撤去する以外にない。あらためそう思います。


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「おもろさうし」で学ぶ琉球の歴史・文化

2013年05月25日 | 日記・エッセイ・コラム

OmorokouzaOmorosousi 県立図書館主催の郷土史講座「おもろさうし」の第1回が24日ありました。「おもろ」は琉球の古歌謡集。昨年12月、琉装で歌われるのを聴く機会があり感動しましたが、今度はそれを理論的に学ぶ機会です。初心者向けの講座で、講師は新進気鋭の照屋理・名桜大講師。初めて聞くことばかりで大変興味深く、歴史と文化の一体性をあらためて知りました。
 そもそも「おもろ」とは”面白い”という意味ではなく、神歌(かみうた)のこと。それを集めた冊子が「おもろさうし(そうし)」で、22冊、1554首あります。神歌は沖縄、奄美、宮古、八重山に計29種もあり、「おもろ」はその中の1つ。原本は1531年に書かれたもので、琉球に残る最古の文献です(1709年の首里城火災で焼失)。29種の神歌にはそれぞれ名前がありますが、いずれも「言葉を声で発する」という意味に関係があります。今でも沖縄では神に祈る時は何かつぶやくそうで、その起源がここにあるとか。
 原本は次々に写本されて残されていきますが、琉球王家の尚家本と安仁屋本が2つの源流。このうち安仁屋本は後の沖縄戦でアメリカ軍に奪われ、いまだに行方知れずです。その安仁屋本の流れをくむ中に、19世紀末第7代県知事・丸岡莞爾が写本させたものがあります(琉球史料本)。目的は徴兵制を前にした皇民化政策だったとか。「おもろさうし」の写本がどうして皇民化になるのか?質問用紙に書いて提出したので、来週の回答が楽しみです。ほかに「内務省本」もあり、その目的も不明とか。
 金曜の夜にもかかわらず集まった人は約100人。多くは中高齢者でしたが、若者の姿もちらほら。郷土(祖国)の歴史・文化を学ぼうとする沖縄の人たちの意欲をあらためて感じました。講座はあと5回。楽しみです。

 <今日の注目記事>(25日付琉球新報社会面から。1、3面にも関連記事。沖縄タイムスも  3面、社会面)

 ☆<橋下氏発言 県民にこそ謝罪を 識者 基地への「不見識」批判>
 「在沖米軍に風俗業の活用を提案した日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は24日、自らの発言について『米国人や米軍おわびしたい』と初めて謝罪に言及した。/同発言に対し、県内の識者らは『県民にこそ謝罪すべきだ』『沖縄に基地を集中させていること自体が問題』などと指摘。沖縄への『基地押し付け』に目をすらし、米側だけを向く橋下氏の姿勢を批判した。/内海(宮城)恵美子琉球大准教授は、橋下氏の謝罪に女性が含まれていないとして『女性の尊厳を踏みにじったことに気付いていない』と憤る。『従軍慰安婦』問題を認めないまま、元慰安婦に謝罪しようとする姿勢に『強制の証拠がないと言うが、苦労して生きている人がまさにいる。歴史に耳を傾けないのに、本心からの謝罪だろうか』と単なるポーズと切り捨てた」
 橋下という人間はほんとうに事の本質が分かっていません。


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どう聴く、元「従軍慰安婦」の訴え

2013年05月24日 | 日記・エッセイ・コラム

Motoianfykinsan 韓国人元従軍慰安婦の金福童さん(87)が今日24日、橋下徹大阪市長(日本維新の会共同代表)に会います。橋下氏がどう対応するか、これを書いている時点ではわかりませんが、金さんの訴えに耳を傾けなければならないのは、もちろん橋下氏だけではありません。
 金さんは18日に沖縄キリスト教学院大学で学生たちに向かって話し、机をたたいて橋下氏に抗議しました(写真中央=沖縄タイムスから)。その詳報が22日付沖縄タイムスに掲載されました。一部を紹介します。

 <ある日、区長と日本人が訪ねてきて母親に「挺身隊に娘を送れ」と言った。「息子がいなければ娘をお国のため送らなければならない。断れば反逆者として追放する」と迫った。>
 「私は14歳でした。(挺身隊とは何かと尋ねると)軍服をつくる工場で働くと言われました。『嫁にゆくころには帰す』とも言われました。私は母が追放されたら困ると思い同意しました。しかし連れて行かれた先は戦場でした」
 <船で広東へ。到着すると日本の軍医が、少女たちの股間を検査した。検査後連行された建物にはさらに10人がおり、少女は30人となった。建物は合板で仕切られた約30の部屋が並び、各部屋には番号と少女の名前が貼ってあった。>
 「何もかもすべて準備されていました。日本の政治家たちはこれを『民間人が行った』と言います。しかし戦時中こうしたことが民間人にできるでしょうか。1人、2人を相手にするのではありません。土曜日は午前10時から午後5時まで、日曜日は午前8時から午後5時まで軍人が部屋の前に列をなすのです」
 <部屋からは悲鳴やあらゆる音が聞こえた。その日から軍の監視の下、生活はすべて慰安所で行われた。繰り返される暴行で股間は血が出て腫れ上がり、尿が出ないこともあった。金さんは酒を大量に飲み自殺を図ったが、軍人にみつかって失敗した。>
 「(日本の)みなさん本当によく考えてほしいと思います。私は戦争をなくし、お互いに仲良く暮らさなければならないと思います。なのになぜ日本政府はこの問題を隠そうとするのでしょうか。間違ったことを間違ったと認め、正しい歴史を若者に教えなければならないと思います。それなのに政治家たちの暴言にもどかしさでいっぱいです。・・・日本政府、日本の総理、そして市長が、過去をただして正しい道へ進むことができるよう、みなさんが努力していただきますようお願いします」

 金さんの訴えは、私たち日本人全体に向けられています。


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「復帰」41年、広がる離島格差

2013年05月23日 | インポート

AgunijimaMinamidaitoujima 「5・15」で沖縄の「復帰」が問い直されました。その多くは基地問題を中心とした日米安保の視点から沖縄の「非独立」を告発するものでした。でも、「復帰」から41年たって改めて問わなければならないのは基地問題だけではありません。たとえば、離島問題です(写真左は粟国島=戸澤裕司さんの写真展より、右は南大東島)。
 沖縄には160の離島があります。そのうち有人島は39。県全体の約10%(13万人)が暮らしています。日本全体の離島人口が約0・5%(69万人)なのに比べ、沖縄がいかに離島県であるかが分かります。離島での生活はあらゆる面で沖縄本島と格差があります。生活必需品の価格は約1・3倍。39の有人島の中で医療機関がある島は29。高校がある島はわずか4。高校進学者の26%が島を離れなければなりません。その悲哀は映画「旅立ちの島唄~十五の春~」でも知られるようになりました。
 そんな「離島格差」が、「復帰41年」でさらに拡大しています。沖縄タイムス(5月15日付)によれば、1970と今年4月現在の人口を比較すると、沖縄本島は58%増加しているのに対し本島を除く離島全体では3・5%減少(減少率50%以上が5島。最大は渡名喜島の59・6%)。過疎化、高齢化がいっそう進行しているのです。これは産業にも影響します。たとえばサトウキビ生産は離島が全体の約7割を占めますが、重労働のためこのまま高齢化が進めば衰退は必至だといわれています。
 沖縄というと基地、離島は紛争の舞台、というイメージがありますが、離島に住む人々の劣悪な生活条件、広がる格差にもっと目を向ける必要があると、あらためて気づかされます。そもそもウチナーンチュウとは沖縄本島人のこと、ウチナーグチとは沖縄語のことで、いずれも離島は含まれません。離島は本島から見放され、「格差」は「差別」に直結しかねません。
 離島問題はいわば沖縄の中の「沖縄問題」なのです。

<今日の注目記事>(23日付沖縄タイムスから)
 

 ☆<遺骨収集・鑑定 国に要請 ガマフヤー 一括金活用を提案>(第3社会面2段)
 「沖縄戦遺骨収集ボランティア『ガマフヤー』の具志堅隆松代表は22日、沖縄戦の遺骨収集と遺骨のDNA鑑定を国の責任で実施するよう、内閣府に要請した。・・・具体的には県の一括交付金を活用し、県内障がい者と支援団体でつくるNPOに遺骨収集事業を委託、失業者を雇用する構想を提案した。/具志堅代表は『戦後処理が沖縄振興に役立ち、一括交付金の趣旨にも合う』と指摘した。/厚生労働省へ同様に要請してきたが、同省の方針では遺骨と、その身元が分かるような遺品がセットで見つからなければDNA鑑定の対象にならないといった条件があり、『遺骨を遺族に返すには時間がない。迅速に進める制度を作ってほしい』と強調した。/内閣府への要請は初めて」
 ※具志堅さんは無償どころかたいへんな持ち出しをしながらボランティアを続けています。声高な政府批判や主張ではなく、確実に「実」をとっていこうとする賢明さ、戦後処理と雇用対策を結合する発想力、不屈の献身にはほんとうに頭が下がります。


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NHKの偏向報道と堀潤・元アナウンサー

2013年05月22日 | インポート

Horisi_2 福島の子どもたちを久米島で安心して保養させようと、「DAYS  JAPAN」の広河隆一編集長が立ち上げた「沖縄・球美の里」が7月で1周年を迎えます。その記念イベントが6月8日東京(中野ZERO小ホール)で行われるという案内チラシがメールで送られてきました。その講師の一人の名前に目がとまりました。NHK元アナウンサーの堀潤さんなのです(写真はHPから)。
 堀さんといえば、ことし4月1日、突然NHKを退職して注目されました。事実上の「懲戒解雇」だったからです。堀さんは「3・11」原発事故以前から福島に取材に入り、問題点や再稼働への批判をツイッターに書き、国会議員からの圧力があると上司に諭されたこともあるといいます。1年間の米留学中に福島や米・スリーマイル原発事故に迫った映画「変身」を制作・上映したことが松本正之NHK会長の怒りを買ったといわれています(「ジャーナリスト」4月25日号参照)。こうしてNHKからまた一つ、かすかな”良心の灯”が消えていったわけです。
 堀さんの退職が象徴するように、安倍政権発足後のNHKの偏向報道は目に余ります。とくにひどいのが、北朝鮮、尖閣諸島報道です。先日、与那国島への自衛隊誘致に反対している島民の代表が、「メディアはさかんに住民の生活が脅かされているように描くが、事実はそうではない」と批判していました。NHKは中国や北朝鮮の「脅威」をあおり、先島諸島への自衛隊配備・強化を狙う安倍政権の露払いの役割を果たしているのです。その一方、安倍政権が対中国の思惑から沖縄漁民を犠牲にして締結した日台漁業協定の問題点についてはまったくと言っていいほど報道していません。
 堀さんは退職直前(3月16日)のツイッターでこう述べていました。「NHKは皆さんからの受信料で成り立っている放送局です。それだけに、市民がもっと自由に広く開かれた形で放送に参加できる枠組みであればと思っています。市民が自由に電波を使って発信できる権利、パブリックアクセスの受け皿になれることは公共放送の役割の一つだと信じています」。いまのNHKにこの理念の実行は望むべくもありませんが、NHKの偏向を正していくことは私たち主権者の権利であり、義務でしょう。堀さんの今後の活躍を期待し、一緒にがんばっていきましょう。

<今日の注目記事>(22日付琉球新報から。沖縄タイムスにも同様記事)

 ☆<邦人女性暴行の疑い 長崎・佐世保 2米兵取り調べ 沖縄に寄港頻繁 強襲揚陸艦乗員>(1面トップ)
 「米軍準機関紙スターズ・アンド・ストライプス(電子版)は21日までに、米海軍佐世保基地の米兵2人が日本人女性1人に対する性的暴行の疑いで取り調べを受けていると伝えた。複数の海軍当局者の話としている。同紙によると、2米兵は県内にも頻繁に寄港する強襲揚陸艦『ボノム・リシャール』の乗組員。県内の女性団体などからは『沖縄でも起こり得た』などと反発の声が上がっている」
 <不安や困惑拡大 地元住民>(第2社会面)
 「地元佐世保市の住民や関係者の間では21日、不安や困惑の声が広がった。市内のアルバイト店員(20)は『今回のような事件はこれまで聞いたことがない。今後は米兵を警戒してしまう』とおびえを隠さなかった」
 ※米兵犯罪は許せず、あらためて基地撤去の必要性を痛感します。地元市民の「不安や困惑」は当然です。でも、このアルバイト店員の話には首をかしげませんか?「・・・これまで聞いたことがない。今後は・・・」と言いますが、これまで頻発している沖縄での米兵犯罪は聞いたことがなかったのでしょうか。聞いていたはずです。でも自分の地元で事件が起こらないと米兵犯罪の怖さも軍隊の本質もわからない。もちろんこの人だけの問題ではありません。身近に基地がない本土の国民のどれだけが米兵犯罪を”自分の問題”ととらえることができるでしょうか。


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