アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

秘密保護法―西山さんの警鐘は胸を衝くが・・・

2013年11月30日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 沖縄県マスコミ労働組合協議会主催の「特定秘密保護法案に反対する沖縄集会」が29日夜、那覇市の青年会館で行われました。「沖縄返還」の外務省機密を暴露して逮捕された西山太吉元毎日新聞記者と大田昌秀元沖縄県知事が法案の危険性を解明し、弁護士会、憲法普及協会など各団体が廃案へ向けた決意を表明。魂のこもった西山さんの話は強く胸に迫りました。

 「これは凄い法案だ。こんな法案が通ったら日本はいったいどうなるのか」と切り出した西山さんは、第1に、「特定秘密には境界、限界がない。政府がなんでも秘密にできる」とし、とくに外交・防衛事項が主権者である国民には一切知らされず、永久に闇に葬られることを挙げ、「明らかな憲法違反だ」と指摘しました。

 第2に、「実質的に権限を持つのはすべて外務省や防衛省の選び抜かれた官僚」であり、「官僚はいったんできた制度は徹底的に活用し強化しようとする」もので、これによって恐ろしい官僚国家ができあがると警告しました。

 第3に西山さんは、「この法案が通ったら国民主権は蹂躙され、秘密国家が完成する。秘密国家は権力が一元的に集中するときにできるのが歴史の法則だ。これほどスピーディーで完全な権力の一極集中は見たことがない」と、発足から1年もたたない安倍内閣による矢継早の強権行使を挙げ、「この秘密法制の中核の地が沖縄であることを自覚する必要がある」と指摘しました。

 「知る権利は保障される」という政府答弁について西山さんは、「法案は国の機密を知らせないために鉄壁な措置を講じることができる。知る権利など行使できるわけがない。にもかかわらずそれが保障されるかのような政府答弁によって、中央メディアの一角はすでに崩れた。新聞界も2つに割れ、一致結束した反対運動をやっていない。だから政府は強気なのだ」とメディア界の現状を憂慮しました。

 最後に西山さんは、「国のありよう、安全保障、国際社会でのいき方などへの国民の関心、権力に対する監視能力は、日本が先進諸国の中で一番低い。だからメディアの取材能力も低下する」とし、スペインやイタリアがイラク戦争反対の大規模なデモで政権を引きずり降ろしたのと対照的に、イラクで自衛隊が米軍の武装部隊を運びすでに集団的自衛権が実質的に行使され、憲法9条が蹂躙されているにもかかわらず、その実態が隠され、デモ一つ起きない日本の現状を指摘。「政府に少しでも圧力をかけるよう市民運動を展開していこう」と結びました。

会場いっぱい、約270人の参加者は、秘密保護法案を「直ちに廃案とすべき」「私たちは安倍政権の暴走に対して徹底的に闘い抜く」という集会アピールを大きな拍手で採択しました。

 法案の危険性、事態の深刻さがひしひしと迫ってくる集会でした。それだけに、胸の中に重いものが残りました。・・・遅すぎる。法案はすでに参院段階。安倍政権は来月6日の会期末までになんとしても成立させる構え。せめて1カ月前に、いまのような危機感が沖縄・全国を包んでいれば、ほんとうに廃案にできたかもしれない。なぜそれができなかったのだろう・・・その思いが払拭できません。危険で巨大な国家権力に対し、われわれは何ができるのか。何をすべきなのか。その答えをみつけようともがいているのが、今の私の正直な姿です。

 <今日の注目記事>(30日付琉球新報)

 ☆<辺野古埋め立て申請 不備48件指摘 県環境生活部意見
    「環境保全に懸念 実効性を疑問視>(1面トップ、沖縄タイムスも1面トップ)
「名護市辺野古への普天間飛行場代替基地建設を進める沖縄防衛局の公有地水面埋め立て承認願書に対し、県環境生活部は29日、県土木建築部海岸防災課と県農林水産部漁港漁場課に意見を提出した。『申請書に示された環境保全措置では不明な点があり、事業実施区域周辺の生活、自然環境保全についての懸念が払しょくできない』との結論を出した」

 ☆<仲里氏、自民離党へ 元県議会議長 辺野古転換で>
 「自民党県連顧問の仲里利信元県議会議長は29日、県連が米軍普天間飛行場の県内移設を容認する方針に転じたことを受け、離党する意向を固めた。同日、顧問の辞任届を発送したという。仲里氏は『県選出の自民党国会議員が方針を変えても県連は踏みとどまってほしかった。残念だ』と述べ、顧問辞任について『もう一緒にやていくことはできないと考えた』と説明した」
 ※保守政治家にも骨のある人はいるものです。翁長那覇市長のグループも続いてほしいものです。


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辺野古とジュゴンと秘密保護法

2013年11月29日 | インポート

PhotoPhoto_2 名護市の稲嶺進市長が「普天間飛行場の辺野古移設断固反対」の意見書を県に提出した27日、その2時間前にもうひとつ、県幹部と向き合う名護市民たちの姿がありました。「北限のジュゴンを見守る会」(鈴木雅子さん、浦島悦子さんら)が、ジュゴンが生きる辺野古の海の埋め立てを承認しないように求めた緊急署名を、県土木建築部に提出したのです(写真右。後ろの横断幕は世界から寄せられたメッセージ)。

 署名はインターネットによって世界中の約60カ国から集められました。10月15日から開始し、この日までに3万9632人。鈴木さんたちも驚くほどのスピードです。「それだけ世界が沖縄・辺野古を注目し、『埋め立てNO!』と言っているのです」(鈴木さん)。最も多いのはジュゴンの南限でもあるオーストラリアで約1万2000筆。続いてアメリカが約9000。日本は1万数千にのぼっています。

 「一度は絶滅したと言われていた沖縄のジュゴンは、沖縄島北部沿岸にわずかながら生き残り、今でも時折その美しい姿を現し、沖縄の海の豊かさを教えてくれます。しかし今、ジュゴンの生きる辺野古の海が米国の新基地建設によって奪われようとしています。ジュゴンを絶滅させてはなりません」。緊急署名はそう訴えています。

 日本の天然記念物であるジュゴンの保護は辺野古埋め立て反対の重要な理由の1つです。政府はこの点をごまかし続けてきました。そもそも県知事や県民の同意のないまま強行した環境影響評価(アセスメント)では実際のジュゴン生息域より広い範囲で評価し「影響はない」としました。これに対し仲井真知事が570項目の不適切事項を指摘。国は補正評価書を作成しましたが、その中でも「それほどの悪影響はない」としていました。

 ところがその補正評価書作成期間中の昨年4~6月、辺野古の埋立予定地をジュゴンが何度も訪れていたことが海草(うみくさ)の食跡によって確認され、隣の大浦湾を泳ぐジュゴンの姿が空から確認もされていました。にもかかわらず、沖縄防衛局はこれらの事実を隠ぺいしていたことが今年9月にメディアの報道で明らかになりました。

 それでも国は不正を正そうとせず、埋め立てを強行しようとしています。もしこのまま工事が行われれば、事実は隠ぺいされたまま、ジュゴンは絶滅に追い込まれることになります。鈴木さんたちは、「この不正な埋め立て申請を認めることは、ジュゴンを見殺しにすることにつながる」と警鐘を鳴らし、仲井真知事に「不承認」を強く求めているのです。

 この沖縄防衛局のやり方、一連の経過は、まさに秘密保護法の先取りにほかなりません。国にとって「不都合な真実」は隠したまま、「国策」を強行する。もしこの法律が通ってしまえば、今回事実を暴いたメディアの取材・報道もできなくなってしまう恐れが十分あります。ジュゴンの海・辺野古の自然を守ること、沖縄に基地を造らせないことと、秘密保護法を通さないたたかいはまさに一体であることが、あらためて浮き彫りになっています。

 <今日の注目記事>(29日付沖縄タイムス1面トップ)

 ☆<市長意見に過半数賛同 埋め立て名護意見 41首長アンケート
    「県外」「無条件返還」35人>
 「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐる埋め立て申請手続きで稲嶺進名護市長が仲井真弘多知事宛てに『不承認』を求めた市長意見について、沖縄タイムスが実施した全41市町村へのアンケートで、回答があった39市町村長のうち過半数の22人が『賛同する』と考えていた。知事に『不承認』を求める首長も半数を超える20人で、『県外』『無条件返還』と県内移設を認めない首長は合わせて35人に上った」
 ※沖縄の世論はいまだ健在です。


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稲嶺名護市長は市民とともに進む

2013年11月28日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2

正義の道を進む人の顔は、輝いていました。
 
稲嶺進名護市長が27日午後、政府の辺野古埋め立て申請に「断固反対」の意見書を、正式に仲井真県知事に提出しました。県庁ロビーには市民・県民が大勢詰めかけ、稲嶺市長を激励しました。

 稲嶺市長は意見書を提出したあと、ふたたびロビーで待っていた市民たちのもとへ。「知事には、周囲の状況が変わっても、歴史に耐えうる判断をしていただきたいと申し上げた。4年前の市長選挙で流れを変えたが、今度の選挙でふたたび流れを変えよう」

 奇しくもこの日、自民党沖縄県連は、前日の5人の国会議員に続き、「普天間飛行場県外移設」の公約を正式に投げ捨てたばかり。ロビーに集まった市民たちの怒りも沸騰していました。

 そんな中で提出された稲嶺市長の意見書は、新聞の活字で1ページと3分の2に及ぶ長文です。第1章「公有水面埋立法の要件を満たしていない事項について」、第2章「事業の不適切性について」で、政府の申請がいかにずさんで、市民の生活と自然環境に有害なものかを科学的に論証しています。そして第3章「市民の声」では、意見書作成にあたって寄せられた市民の生の声を新聞6段にわたって記載しています。きわめて少なかった「埋立賛成」意見も載せています。「反対意見」のいくつかを紹介します。

 ・ジュゴンやニモがすむうみに、きちをつくらせないでください。きれいなへのこのうみをまもってください。
 ・辺野古に住んでいた94歳の老女が、方言交じりで懸命に訴えていた。「戦後、命からがら帰ってみると、草一本生えていない。私の命を助けてくれたのは海。その海を傷つけたくない」と涙ながらに話しておられた。

 ・オスプレイがいつ墜落するか分からないので、いつもびくびく過ごしたり、騒音のせいで授業が中断されるのもいやなので反対。
 ・「沖縄の基地負担軽減」って一体何?名護は沖縄じゃないの?

 ・沖縄差別の歴史に終止符を打つためにも、新基地建設を撤回させよう。この機会を逃せば、いつまでも差別される。
 ・この島に生きる一人の人間として、子どもたちに引き継ぐ未来を考えたとき、今ここにいる大人の責任として、基地を造らせるわけにはいかない。

 ・お金では買えない命・人間の真心を守りたい。
 ・ウチナーンチュの魂と誇りにかけて、戦争につながる基地建設に反対します。

 ・山原や名護の美しい自然を守り活かして生きていくことが、名護や山原の人々のアイデンティティである。
 ・心臓を患っているわが身ですが、“いざ鎌倉”というときは、行動を起こさなければならないと思っています。

 そして稲嶺市長の意見書はこう結ばれています。「よって、市民生活の安心・安全、市の財産である自然環境の保全、未来を生きる子どもたちのため、そして私たち名護市民の誇りをかけて、『普天間飛行場の辺野古移設』に断固反対する。これが名護市民の強い決意であります」

市民への公約を破って恥じない者たちと、市民の中で市民とともにたたかい続ける人と。政治家としてというより、人間として、それはあまりにも対照的な姿です。


 <今日の注目記事>(28日付沖縄タイムス3面)

 ☆<「容認ドミノ」襲撃 翁長グループ猛反発 県内保守真っ二つに>
 「自民党県連は、普天間飛行場の辺野古移設を容認する方針を確認した。27日の議員総会で、県外移設の公約にこだわる声はごくわずか。政府・党本部が発する『固定化圧力』は、国会議員団に続き、県連も押しつぶした。ただ、県外移設の堅持にこだわる翁長雄志那覇市長率いる市議団は“容認ドミノ”に猛反発。衆院沖縄1区での選挙協力を拒否する、支部役員辞任の措置に出た。二の矢として集団離党を模索する動きもあり、県内の保守政界が真っ二つに分かれている」

 ※「集団離党」は模索ではなく、即実行すべきです。このまま自民党にとどまることは、対外的には公約破棄を容認することと変わりません。沖縄に良識のある新しい保守政党をつくるべきです。


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ケネディ駐日米大使と枯葉剤

2013年11月27日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 安倍政権・自民党が秘密保護法案の衆院通過を強行した26日の前日、福島で行われた公聴会はまさにアリバイづくりの通過儀礼にすぎませんでした。ところで同じ25日、同じ東北の被災地に注目される人の姿がありました。キャロライン・ケネディ駐日米大使です(写真右)。同一日に同一地域。これは偶然でしょうか?

 スターなみの注目と人気を集めているケネディ大使ですが、沖縄にいて気になるのは、いつ彼女は沖縄にくるのだろうかということです。普天間基地の辺野古移設問題で政府・自民党の県民世論切り崩しが強まっているなか、ケネディ大使が来沖し、仮に「辺野古への移設を期待する」と言ったとしたら…。もしもそれが名護市長選の直前あるいは最中だとしたら…。

 ケネディ大使は29日に仲井真知事を大使館に招き、会談することになりました。辺野古移設に断固反対の県民世論をしっかり聞いて、県内移設断念の判断をしてもらいたいものです。

 そしてもう1つ、ケネディ大使にはぜひ取り組んでもらいたい課題があります。それは沖縄における米軍の枯葉剤被害です(写真左はベトナムの枯葉剤の実態=中村梧郎氏撮影)。その実態を明らかにし、枯葉剤・ダイオキシンに汚染されている基地(跡地)の土壌汚染に、日米地位協定を超えて取り組むことです。

 ケネディ大使にはその“責任”があります。なぜなら、ベトナム戦争で枯葉剤作戦を承認し命令を出したのが、ほかならぬ大使の父親、ジョン・F・ケネディ大統領だったからです。

 アメリカはすでに大戦中の1944年にフロリダで枯葉剤の散布実験を行っています。そして45年8月10日には「対日枯葉剤作戦計画書」が完成し米陸軍に提出されました。もしこの計画書がもっと早く完成していれば、原爆の代わりに枯葉剤が日本に散布された可能性があると言われています。

 太平洋戦争で枯葉剤を使う機会を失ったアメリカは、なお50年に空中散布実験、59年にはキャンプ内での枯葉作戦テストを続け、ベトナム戦争での使用準備をすすめました。そして61年1月、ケネディ新大統領が誕生。大統領は就任10カ月後の611130日に正式にベトナム戦争での「枯葉作戦遂行」を承認・命令したのです。(以上は中村梧郎著『戦場の枯葉剤』参照)

 沖縄における枯葉剤は過去の話ではありません。まさに現在進行形の問題です。6月に沖縄市のサッカー場で見つかったドラム缶には枯葉剤とみられるダイオキシンが検出され、詳しい検査・調査がおこなわれている最中です。そして焦点の辺野古のキャンプ・シュワブでも枯葉剤のドラム缶を多数見たという退役軍人の証言があり、環境への影響調査が求められています。

 ケネディ大使は来日直後、父親のケネディ大統領が訪日を希望しながら叶えられなかったと感慨深く語りました。大使が大統領の遺志を引き継ごうとするなら、まずは枯葉剤被害に正面から向き合うこと、そして沖縄県民にこれ以上の負担・犠牲を負わさないことではないでしょうか。

<今日の注目記事>(27日付沖縄タイムス1面)

 ☆<秘密保護法 自治体の米軍監視 規制も 県が報告書>

 「特定秘密保護法が施行された際の影響について、県が米軍や自衛隊の運用に関して、自治体などの調査(監視活動)が規制の対象となる研究結果をまとめていたことが26日までに分かった。政府の法律の運用によっては、オスプレイなどの米軍機運用や演習、山火事など基地外からの監視活動への影響を危惧する内容だ。…また、特定秘密には現在の防衛秘密よりも広い分野の情報が含まれる事から、沖縄防衛局や外務省沖縄事務所が取り扱う情報の中にこれまで得られた類似の情報も、特定秘密に指定された場合、『入手することが難しくなる可能性がある』と指摘している」
 
※秘密保護法はまさに沖縄の市民・自治体を狙い撃ちするためのものではないかという気がします。


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沖縄の「九条の会」から秘密保護法案を撃つ

2013年11月26日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 秘密保護法案が国会で重要な局面を迎えている25日、沖縄の12の「九条の会」が「『特定秘密保護法案』に反対する県内九条の会共同アピール」を記者会見で発表し(写真右)、安倍首相、衆参両院議長、衆参特別委員会委員(70人)に送付しました。

 「共同アピール」は、同法案が「国民=主権者の『知る権利』を徹底的に封じ込める」ものであり、「とりわけ強大な米軍基地を置かれた沖縄県においては、闇に包まれた危険に怯える最悪の事態に追い込まれ…『平和のうちに生存する権利』を根底から覆し、憲法九条を踏みにじり『戦争への道』を歩むもの」と指摘。
 「戦後六十八年を経てもなお戦争の傷痕を抱え苦しみ、多くの基地被害に泣き、命の危険にさらされる沖縄県民にとって、この法案のもたらす戦前回帰の不安、恐怖政治の闇は、断じて受け入れられない」と強く廃案を求めています。

 「共同アピール」は、「九条の会全国交流会」(16日、東京)での各地の経験から学び、小禄九条の会(小渡律子事務局長)が緊急に呼びかけたもの(写真左は各地の九条の会のニュース)。会見では各九条の会からたぎる思いがこもごも語られました。

 「小禄は沖縄戦の激戦地。戦前の暗黒時代を再来させる秘密保護法案にはいてもたってもいられない思いだ」(小禄九条の会・平良亀之助代表世話人)

 「この法案が通ってしまえば政府の“大本営発表”しか報道できなくなる。とりわけ沖縄のジャーナリズムは徹底して縛られることになる」(沖縄マスコミOB九条の会)

 「教職員は戦前国家の手先になって教え子を戦争に動員した深い反省から、子どもたちを再び戦場に送らないとの決意で、毎月9日に街頭宣伝している」(教職員九条の会)

 「高江では国が市民を訴える異常な事態になっている(スラップ訴訟)。この法案が通ってしまえばそういうことが日常的に起こる恐れがある」(沖縄県庁退職者九条の会)

 「南風原も沖縄戦の激戦地。いち早く九条の会を立ち上げ、市民に呼びかけて『憲法九条の碑』を建てた。9条を世界に広げたい」(南風原九条の会)

 「県内最大の消費者団体として、母親、女性、消費者の立場から連帯していきたい。一人ひとりは微力でもけっして無力ではない」(コープおきなわ有志九条の会)

 「政府の解釈しだいで平和運動が弾圧される稀代の悪法。メディアの人とも共同して廃案にしたい」(佐敷つきしろ九条の会)

 同じ九条の会でもそれぞれの思いがあります。とかく横の連携が弱いといわれる沖縄の市民運動で、九条の会の共同は大きな意義があります。大江健三郎さんらが呼び掛けてつくった九条の会は全国に約7500。そのうち沖縄にはまだわずか33です。横の共同とともにその輪を外に広げたいものです。沖縄ほど九条の会が必要とされている県はないのですから。

(共同団体は上記7団体のほか、大宜味村「憲法九条を守る会」、沖縄女性九条の会、沖縄医療生協沖縄市九条の会、沖縄県国公九条の会、憲法9条・メッセージ・プロジェクト(KMP)沖縄の5団体)

 <今日の注目記事>(26日付から)
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 ☆今日の沖縄タイムス、琉球新報は1面から2~3面見開き、社会面見開き、社説(「公約破棄 議席返上せよ」沖縄タイムス、「犠牲強要は歴史的背信だ―辞職し有権者に信を問え」琉球新報)と、自民党5国会議員の公約破りの批判記事が満載です。それほど沖縄にとって(ということは日本にとって)大きな出来事だということを、県外の人にも知っていただきたいです。

 ☆<秘密法案、全員が懸念 福島公聴会 「アリバイ」批判も>(琉球新報第2社会面)
「…首長や学者ら7人が意見陳述し、東京電力福島第1原発事故を踏まえて、全員が法案に懸念や反対の考えを示したり、慎重審議を求めたりした。与党側が推薦した人も含まれており、こうした意見陳述では異例。…会場外では公聴会の運営の在り方に批判が噴出した。与党が目指す26日の衆院通過というタイミングで、広く意見を聴く『公聴会』としながら、開催は福島での1回だけ。『国のアリバイづくりだ』。開始前、法案に反対する市民団体が抗議の声を上げた」 

 
 ※地方公聴会で全員が反対を表明したことがかつてあったでしょうか。それほど「秘密保護法案」は稀代の悪法だということです。その国民の声には微塵も耳を傾けない。これはもはやファシズムというべきです。


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「主役」「脇役」不在の辺野古推進派集会

2013年11月25日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 それは壇上に大きく掲げられた「日の丸」に向かって、「君が代」を斉唱することから始まりました(写真左)。24日午後、那覇市内のホテルで行われた、普天間飛行場の辺野古移設を推進する勢力(「基地統合縮小実現県民の会」)の集会です。なぜ「君が代」なのか。いかにもと言うべきか。テレビニュースでは大勢の参加者で気勢を上げたように報じられていますが、実際はそうではありませんでした。

 なんといっても「主役」がいません。「脇役」もいません。「主役」は仲井真弘多知事のはずでした。彼らが集めた「7万名の署名」を仲井真知事に手渡すのが集会の目的だったからです。その知事は「公務のため出席が叶いませんでした」(司会者)。署名の山は壇上に置かれたまま(写真右)。近く中地昌平会長が渡しに行くとのことです。「脇役」とは、来賓あいさつのトップに予定されていた自民党の西銘恒三郎衆院議員と島尻安伊子参院議員です。「二人とも出席叶いませんでした」というだけで詳しい理由は説明されず、それぞれの「祝電」が紹介されました。両氏に対しては「公約破り」「議員を辞職せよ」という県民世論が強まっています。さすがに出席には気が引けたのでしょうか。

 出席者は「400人」というのが主催者発表です。報道もそのままその数を使っています。しかしそれは水増しです。会場はテーブルといすがセットされおり、横24席×10列(最後尾は報道席)で、全部埋まっても240席。立ち見も少しありましたが、どう見ても参加人数は250260人というところです。15倍の水増しです。主催者発表は元来水増しがつきものですが、この場合、「署名数73491名、うち名護1万2458名、宜野湾1万1571名」が金看板だっただけに、参加者の水増しは特に気になりました。

 推進派の主張ややり方にはいくつかの特徴があることに気づきました。1つはごまかしです。この日の集会名が「『基地統合縮小実現』沖縄県民大会」。主催は「基地統合縮小実現県民の会」。正式名称の「普天間基地の危険性を除去し辺野古の米軍基地に統合縮小を実現する沖縄県民の会」はほとんど使われません。「基地統合縮小」と言われて反対する沖縄県民はまずいないでしょう。西銘議員を「選挙で辺野古を排除しないと堂々と主張して当選した」と紹介したのは驚きました。彼の選挙の公約が「県外移設」だったことは周知の事実。よくも言えたものです。もう一つの特徴は、無責任です。辺野古に移設した場合、そこに新たに発生する危険(オスプレイ事故など)、基地被害(騒音など)、自然破壊については一言も触れず、名護の人びとに「経済振興」の名の下に犠牲を押し付けようとしているのです。「北部出身者も中南部に住んでいるのだから北部の人の協力もあっていい」という発言までありました。中南部のために北部は犠牲になれという露骨な言い分です。こんなやり方で集めた署名にどれだけの意味があるでしょうか。

とはいえ、「今は歴史の分岐点」「仲井真知事が(辺野古基地建設を)承認するまで活動を続ける」という決意はあなどれません。「『オール沖縄』という言葉ほど失礼で不正確なものはない」(中地会長)という、沖縄の“草の根保守”が動き出しています。

 <今日の注目記事>(25日付)

 ☆<宮崎氏が公約撤回 普天間移設 県内を容認 「状況変化」と釈明>
  (琉球新報1面トップ)
  <宮崎氏が辺野古容認 県外移設の公約転換 国場・比嘉氏は結論出ず 
   きょう石破氏と会談>(沖縄タイムス1面トップ)
  <「普天間」公約破棄 衆院選は何だったのか>(沖縄タイムス社説)
 「政府・自民党の最近の言動は異様である。離党勧告をちらつかせて選挙公約の破棄を迫る。辺野古を拒否すれば普天間は固定化されると脅し、態度変更を迫る。揚げ句の果ては政府中枢の菅義偉官房長官まで『(県外移設は)あり得ない』と、保革を超えた全県的運動を愚弄するようなことを平然と言ってのける。なりふり構わずとはこういうことを言うのだろう。だが、国会における『数の力』を背景にした強権的な手法は、辺野古移設の深刻な問題性を浮き彫りにするだけである」(社説)
 ※宮崎正久衆院議員の公約破棄には特に驚きません。国場幸之助、比嘉奈津美両議員も時間の問題でしょう。注目したのは、それを1面トップで大きく報じた沖縄タイムスと琉球新報の報道姿勢です(沖縄タイムスは社説でも)。公約違反は議会制民主主義を崩壊させるものです。絶対に許すことはできません。考えを変えるのなら議員を辞職するのが筋です。


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“議員の出前報告会”と憲法・地方自治

2013年11月24日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 那覇市議会による初の「議会報告会」が22日、市民会館でありました。主催は那覇市ではなく那覇市議会というところがミソです。40人の那覇市議会議員が10人ずつ4班に分かれ、市内4カ所で行うもので、私は最寄りの真和志地区に参加しました。ほかに本庁、小禄、首里の3地区で行われました。いわば“議員の出前報告会”です。

 10人の市会議員(もちろん超党派)が前に並び、それぞれの担当分野の報告を行ったあと、参加者からの意見・要望を聞いてゆんたくしようというもの。参加者は十数人と少なかったのですが、その声は今の那覇市の問題点をそれぞれ突いたもので興味深かったです。質疑応答時間は全体90分のうち30分でしたが、次々と手が挙がりました。例えばこんな声です。

 ▽市の墓にはいくらで入れる?(答:5年間で1万6800円から)▽老人福祉関係の予算が削られている。お金がある年寄はパチンコ屋へ行くが、金のない者は行き場がない。元気な老人の行き場をつくってほしい▽バス停の上に屋根をつけるという話だが、そんな大げさなことをする前に各バス停にベンチを置いてほしい。那覇のバスは時間通り来ないし、年寄は大変だ。ベンチならすぐにでも置けるはずだ(他の参加者からも拍手。私も同感)▽那覇市に社協のデイサービスはどのくらいあるのか。福祉を重視してほしい。それを言いたくて来た▽去年本土から来たが、やせた野良猫が多い。沖縄は猫に冷たい島なのか。那覇市でも「地域猫活動」を行ってほしい▽市民会館を久茂地に移転させる計画があるが、おかしい。移転させるとこの辺は公共施設がなくなる。逆にみんなが集まれる複合施設を造ってほしい…福祉を中心に身近な問題が次々に出され、私も共感するものが多かったです。でもこのままでは大事な問題がまったく出ないまま終わってしまいそうだったので、最後に手を挙げました。「平和の問題ですが、那覇にいると普天間や辺野古に比べ基地問題を実感しにくい。しかし那覇にも基地はある。自衛隊もいる。那覇市の平和問題をもっと発信してほしい。那覇市における今の平和の課題は何ですか?」。那覇第2空港建設に伴う自衛隊訓練の強化などの答えを期待していたのですが、残念ながら一般論しか返ってきませんでした。それはそれとして、こうして市会議員と市民がひざを交えて意見交換する場が設けられたことは大変貴重です。

 なぜこのような「報告会」を行うことになったのでしょうか。それは昨年12月に成立した「市の憲法ともいえる」(司会の比嘉瑞己議員)、「那覇市議会基本条例」に基づくものでした。「基本条例」の存在は知らなかったので帰って調べてみると、実に素晴らしいものでした。その「前文」にはこうあります。「那覇市議会は、日本国憲法及び地方自治法の精神に基づき…市民と行政の架け橋となる『地方自治の津梁』たるべく、議会および議員としての不断の努力を通して市民の負託に応えることを決意し、本条例を制定する」。

 安倍政権による憲法や地方自治への攻撃が強まっている時だけに、その精神に基づくこうした草の根の取り組みを大事にし、広げたいと痛感しました。

 <今日の注目記事>(24日付沖縄タイムス社説)

 ☆<県教委を「呼び出し」 強権は教育と相いれぬ>
 「八重山地区の教科書選定をめぐり、国から竹富町教委への是正要求を指示された県教育委員会が結論を先送りしたことに対し、下村博文文部科学相は『大変遺憾だ。法律上の義務を果たすよう強く指導する』と、県教委を呼び出す考えに言及した。文科相はまだ県教委から詳しい経過説明を受けていない。にもかかわらず県教委を一方的に批判するのは納得できない。さらに文科省への呼び出しも辞さないとしたのは、県教委への威圧であり、問答無用と言わんばかりの意識というほかない。…文科省は、県教委が是正要求の指示に従わない場合は竹富町教委に直接是正要求することも示唆している。是正要求すれば現場に混乱が生じるのは間違いなく、教育の理念からほど遠いものとなる」


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「辺野古」と「竹富」の根はひとつ

2013年11月23日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 竹富町が正当な手続きで自主的に選択した教科書を政府・文科省が強引に変更させようといているのが、沖縄県教育委員会に対して突き付けられた文科省の「是正要求」です。県教委は21日苦渋の選択で「継続協議」としましたが、下村博文文科相は22日さっそくこれにかみついてきました(写真左)。「是正要求に従えないというのは行政機関としてあるまじきこと。なぜこうなったのか詳しく説明を聞き、強く指導したい」として、近く諸見里明県教育長を呼びつける意向を示したのです。これに対し諸見里教育長は、「丁寧に説明して理解してもらうしかない。どうか県教委の議論を見守ってほしい」と述べました。

この下村文科相の態度、だれかに似ていると思いませんか?そう、先日「(普天間飛行場の)県外移設などありえない」と言った菅官房長官の恫喝とウリ二つです。沖縄の市民・県民が示している意思を問答無用で押さえつけようとする安倍政権の強圧的姿勢が露骨に表れています。同時並行的に進行している「辺野古」と「竹富」の事態の根は1つです。地方の自治、住民の主権を踏みにじって国家の言いなりにさせようとする安倍政権。その先にあるのは憲法改定です。「辺野古」と「竹富」はまさにその突破口にされようとしているのです。沖縄を切り崩せば日本全体が思い通りになるとばかりに。沖縄がまたしても歴史の矢面に立たされているのです。

しかし、「竹富」は「辺野古」ほど沖縄県民にも(本土にはなおさら)まだその危険性が知れ渡っていないのではないでしょうか。沖縄県民間教育研究所(沖民研)の長堂登志子所長らは県教委が「継続審議」とした翌日の21日、文科省に対し、「県教委の議論を尊重し、『是正要求』を直ちに撤回せよ」と要求。文科省が検討している竹富町への直接的「是正要求」は地方自治蹂躙の上塗りで、現場の対立と混乱を深めるだけであり、絶対に行ってはならないと文科省に申し入れ、記者会見しました(写真右)。これは22日の琉球新報、沖縄タイムスに報道され、「申し入れ文を読みたい」という問い合わせが沖民研に寄せられたほど関心を呼びました。しかし全体的にはこの問題はまだまだ注目度が低いと言わざるをえません。

それにしても「是正要求」問題で目に付くのはNHK報道の偏向ぶりです。「地域で同じ教科書を使うことが義務付けられていますが、それに従わない竹富町は…」というのがNHKの枕詞です。これは事実に反しています。「同じ教科書」を使うべしというのは「教科書無償措置法」であり、それとは別に「地方教育行政法」は市町村の自主的選択を認めています。この2つの法律に上下関係はありません。それが混乱を招いているひとつの要因であり、文科省にはその法的調整こそが求められているのです。にもかかわらず一方の「無償法」の側から竹富町を「義務違反」と決めつけるNHKは明らかに偏向しています。NHK経営委員に安倍首相人脈が多数送り込まれたことは過日報道されたばかり。安倍政権が目指す「戦争をする国」づくりにNHKが果たす役割はきわめて重大で危険です。

 <今日の注目記事>(23日付琉球新報1面トップ・新連載>

 ☆<日米廻り舞台・検証フテンマ 第1部 米国の深層 1回
   2人の知日派 辺野古「変更も」 「沖縄次第」動き注視>
 「11月中旬。米ワシントンの事務所のいすに腰掛けた前米国務次官補のカート・キャンベルが語った。『われわれは既に、この問題についてさらに前に進もうとするのか、それとも異なる方向の行動を模索するのか、考える局面にたどり着いている』…元米国務副次官補のラスト・デミングは、普天間問題についてこう語った。『知事判断、来年の名護市長選、知事選と重要な日程が続く。…仮にどこかで脱線した場合、何らかの軟着陸が必要になる』。…米側は今、知事判断と名護市長選の行方を、固唾をのんで見守っている」
 ※アメリカはすでに辺野古以外の選択肢を考慮しているというのです。日本政府の方が頑迷固陋です。沖縄の意思を直接米側に伝えることが必要です。その意味でも名護市長選は決定的な意味を持ちます。


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本土より7カ月早かった沖縄の婦人参政権

2013年11月22日 | 日記・エッセイ・コラム

PhotoPhoto_2 20日のこの「日記」(「沖縄の女性議員はなぜ少ないのか?」)について友人からメールをもらいました。「『沖縄の女性が参政権を得たのは1970年。本土から遅れること25年』とあるが、間違いではないか?」。もっと早かったはずだというのです。調べ直した結果、指摘の通り、この記述は正確ではありませんでした。お詫びします。調べた範囲であらためて沖縄の婦人参政権の歴史を振り返ってみます。

沖縄の女性が参政権を得たのは、1945年9月、旧石川市など16市・地区で行われた戦後初の市議・市長選挙でした。実に本土より7カ月も早かったのです(写真左は1950年の群島知事選挙で1票を投じるおばあさん=『沖縄戦後生活史』より)。では1970年に得たものは何だったのか。出典を読み直してみると、「本土国民と同等の参政権」「日本国政への参政権」とありました。この年に行われた衆参両院選挙で沖縄の女性は初めて日本の国政選挙に参加したわけです。72年の「復帰」までは米軍支配下に置かれていたため日本国憲法のラチ外で、本土の女性より日本の国政への参政権は25年遅れたというわけです。しかも45年の沖縄の選挙権は「25歳以上」でしたから、憲法による「20歳以上」の選挙権は70年が初めてだったわけです。

しかしアメリカ世の下での地方選挙とはいえ、本土よりも7カ月も早く選挙権・被選挙権を得たという事実は重要です。この市議会議員選挙には大城つるさんが女性として初めて、そしてただ1人立候補しました。「女性の政治参加は、女性の幸せに不可欠である」との思いからでした。しかしまだ「男女平等」の意識が低い中、残念ながら落選。ちなみに4年後の49年の市会議員選挙では8人の女性議員が誕生しています。一方、58年の立法院議員(いまの県議)選挙では、宮里初子さんが当選。歴史上最初にして最後、唯一の立法院議員となりました(右写真は大城つるさんと宮里初子さん=『時代を彩った女たち』より)。宮里さんは60年に来沖したアイゼンハワー米大統領から「あなたは沖縄の初めての女性代表ですから自重して頑張ってください」と声を掛けられたというエピソードがあります。しかし宮里さんは「自重」せず、働く女性や児童福祉などのために大いに尽力したといいます。

ではなぜ沖縄の女性は本土よりも早く参政権を得ることができたのでしょうか。これには2説あるようです。1つは「米軍側の命令」(『沖縄大百科事典』)によるものだったという説。「アメリカ民主主義」の恩恵だというわけです。もう1つは、けっして「アメリカから押し付けられたものではない」(『沖縄から見える歴史風景』)という説。当時の沖縄諮詢会(15人の委員からなる戦後沖縄の行政準備機関)で婦人参政権について議論が行われ(45年9月5日)、ウチナーンチュばかりの出席者12人中「婦人参政権賦与」に賛成が11人、反対は1人でした(『戦後沖縄とアメリカ』)。「アメリカは参考としていろいろ意見をいうが大体はわれわれの意見を尊重した」(仲宗根源和『沖縄から琉球へ』)といいます。こちらの説の方が有力なようです。

つまり、沖縄には戦後直後から、アメリカの押し付けではなく、自ら女性に参政権を与えようという議論がなされ、実施されたのです。この事実はたいへん重要です。同時に、であればあるほど、今日沖縄の女性議員が圧倒的に少ないという現実は早急に解消される必要があります。

誤りを指摘してくれた友人に感謝します。おかげで勉強になりました。読んでくださるみなさん、これからも不十分なところが多々あるかと思います。お気づきの点はどうかコメントをお寄せください。よろしくお願いいたします。

 <今日の注目記事>(22日付沖縄タイムス1面)

 ☆<「慰安婦」強制に新資料 河野談話に含まれず 国立公文書館に6点>
 「旧日本軍の『従軍慰安婦』として海外の民間女性を強制連行したとの記述がある法務省の資料6点が国立公文書館(東京)に保管されていたことが21日、分かった。関東学院大の林博史教授(日本近現代史)が発見した。軍の関与と強制性を認めた河野官房長官談話(1993)の基となった政府調査資料には含まれていない。林教授は『当時の政府調査は不十分だったと言わざるを得ない』と話している」
 ※秘密保護法が成立したら、このような歴史の事実もすべて闇から闇へ葬り去られるでしょう。


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沖縄県教育委員会の苦悩と地方自治の危機

2013年11月21日 | 日記・エッセイ・コラム

NhkPhoto 竹富町の自主的な教科書選定に対して安倍政権・文科省が横ヤリを入れた「是正要求」。その対応を検討していた沖縄県教育委員会がどんな結論を出すか。異議申し立ての期限だった20日、興味津々で定例会を傍聴しました。結果は、結論持ち越し。発表された「経過報告」や各委員の発言、委員会後の新垣和歌子委員長(右写真中央)と諸見里明教育長(同左)の記者会見からは、県教委の苦悩が伝わってきました。あらためて沖縄の自治、日本の地方自治というものを考えさせられました。

 結論は持ち越したというものの、県教委の大勢は、文科省の「是正要求」は理不尽であり受け入れることはできない、というものでした。新垣委員長が読み上げた「経過報告」は、「現在、竹富町では学習条件の同一性は保たれており、教科書無償措置法の目的とする『義務教育の充実』についての大きな問題は生じていない」と、そもそも文科省が口をはさむような状況ではないことを明確に述べています。そして地方教育法にもとづいて民主的に決められた竹富町の教科書を、文科省の指示で強制的に変更させることになれば、「今後信頼に基づく公正な審議が行われなくなり、ひいては八重山地区の教育環境に悪影響が出ることも危惧する」とまで言っています。各委員の主な意見も紹介されていますが、そこでも「是正要求は、地域のことは地域が決めるという地域分権の流れに逆行する」など、文科省への厳しい批判が大勢だったことを示しています。

 こうした「経過報告」に対し、満席の傍聴者の間からは「よし」という小さな声が漏れ、静かな拍手さえ起こりました。私もほっとした思いで聞いていました。しかし、これほどの議論が行われながら、結局、「是正要求は断固拒否する」という結論には至らなかったのです。富川盛武委員は第三者機関に提訴すべきだと主張したが多数意見にはならなかったと明かしました。5人の委員の中には、文科省の指示に従うべきだという意見もあったのです。今後の安倍政権の出方によっては、最終結論がどうなるかまったく予断を許しません。「教育委員会制度がいかに重要か。それは最後の砦だ」。諸見里教育長が記者会見のあとにつぶやいた言葉が印象的でした

 これが今の沖縄県教育委員会の実態です。正論が多数でありながらまとめ切れない。道理が道理としてすんなり通らない。それはまさに普天間基地の辺野古移設問題と通じます。安倍政権の地方自治攻撃に、徳俵でなんとか持ちこたえている。それが沖縄です。

 自民党の「憲法改正草案」は、地方自治の章で、「国及び地方自治体は、法律の定める役割分担を踏まえ、協力しなければならない」という1項目を新たに加えることにしています。もしこの「改正案」が通れば、法律の名の下に、自治体は国の下僕となり、地方自治は崩壊するでしょう。その前哨戦がいま沖縄でつば競り合いを演じている「辺野古移転」であり、「竹富教科書」です。まさに、沖縄から安倍政権の改憲路線がよく見える。日本が進もうとしている道がよく見えるのです。

 <今日の注目記事>(21日付琉球新報経済面)

 ☆<「辺野古推進」統一は困難 県内経済団体 国場氏発言に困惑>
 「県内主要12団体でつくる県経済団体会議の国場幸一議長が安倍晋三首相らとの会談で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設推進を『25日に会合を開き、(経済界としての意思決定する』と述べた点について、各経済団体の長からは20日、疑問と困惑の声が相次いだ。『経済団体会議としての会合は、政治問題を協議し意見をまとめる場ではない』『各団体でしっかり協議することが先決だ』など意思統一の難しさが浮き彫りになった。…県商工連合会の照屋義実会長は…オスプレイ配備反対県民大会にも触れ『あの時の県民の声や期待に応える行動を考えていきたい』とした」

 ※安倍政権が目論む「辺野古移設反対勢力の切り崩し」は簡単にはいきません。このへんが沖縄の底力でしょう。本土では考えられない地元経済界の良識です。


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