沖縄県知事選で「保革相乗り」の翁長雄志那覇市長を擁立する人たちの「旗印」は、「建白書」(2013年1月28日)です。
確かに「建白書」は当時の沖縄の総意を示した画期的なものです。
しかし、それがきわめて限定的なものであることもまた事実です。
「建白書」の具体的な要求は、①オスプレイの配備撤回と嘉手納への新たな配備計画の撤回②「米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること」の2点です。
当時の情勢から、また最大公約数の追求から、この2点に絞られたことは妥当です。その実行が切望されることも言うまでもありません。
しかし、「建白書」のこうした性格から、知事選を「建白書」実行の1点だけでたたうことが不可能なことも明白です。
だからこそ、翁長氏と県政野党5会派は、「沖縄県知事選挙にのぞむ基本姿勢および組織協定」(2014年9月13日)を結んだのです。これが現時点での翁長氏の「選挙政策」です。
ところが、この「基本姿勢」には重大な欠陥が少なくありません。安倍政権の「集団的自衛権容認」に対する見解が示されていないことは先に書きましたが、もう1つ、どうしても触れなければならない問題があります。
それは、沖縄で安倍・自民党が強行しようとしている自衛隊配備強化についてです。「基本姿勢」はこの問題にまったく触れていません。自衛隊のじの字もありません。
翁長氏は「出馬会見」(9月13日、写真右)でも自衛隊問題にはまったく触れなかったほか、その後の辺野古集会などでも一切言及していません。
自衛隊配備強化の中でも特に切迫しているのが、与那国における陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備計画です。
今日(30日)の沖縄タイムスによれば、島を二分しているこの問題で、11月にも住民投票が実現する可能性が大きくなりました。
知事候補として、この問題に対する自身の態度を明確にすることは避けて通れません。
「那覇空港の軍事力強化、宮古島の自衛隊強化、与那国への自衛隊基地建設がまったなしで、進められている。・・・沖縄の島々を『東アジアの友好、平和』の地域とするために、自衛隊配備計画に反対する声を広げていこう」(沖縄の平和創造と人間の尊厳の回復を求める百人委員会「沖縄・宮古・与那国への自衛隊配備強化と日米の軍事一体化に反対する声明」2013年4月27日)
近く発表される「選挙政策」で、翁長氏が自衛隊配備強化について、明確な態度表明を行うことを期待します。