あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

3度目の四国遍路(前編)・徳島その3

2010-03-25 11:54:25 | 3度目の四国遍路
 2010年2月21日(日) 四国遍路前半第3日 
 =11番藤井寺~12番焼山寺=

 5時20分起床、6時からの朝食は、バンクーバー五輪のジャンプ競技ラージヒル
での葛西選手のジャンプなどを見ながらいただく。6時39分にさくら旅館を出る。
いつものように、おにぎり弁当のお接待をいただいた。

 まだ太陽は上がらず、東の空があかね色に染まる。昨日の道を11番藤井寺まで
戻り、納経は済ませているので手を合わせただけで境内を抜けて、12番焼山寺へ
のへんろ道へ。「遍路ころがし」と呼ぶ四国遍路最初の難路である。


 四国霊場の本尊を祭る小さいほこらの並ぶ道↑を抜け、ひと上りで瑞山休憩所に
着く。

 昨日通過した吉野川流域や北側の山並みなどの展望が広がるが、少し霞んでいる。
汗ばんできたので、ここでジャンパーを脱いだ。


 さらに上り道が続いた後、平坦になる。路傍には、道しるべの石仏がところどころ
に残り、水場も1か所あった。


 藤井寺から3㎞余り、最初の番外霊場長戸庵(ちようどあん)でひと休み。少し先
には展望の開けた場所があり、ベンチが設けられていた。


 その後、疑木の段をひとしきり上がり、道幅が広がり平坦に。2つめの番外霊場
柳水庵(りゆうすいいあん)に下り、50mほど先にある休憩所で小休止。大きな
鉄の釜(かま)に冷水が流れ落ちていたので、そこにあったひしゃくでのどを潤す。


 稜線を進むと西側の展望が開けた場所があり、山腹の小集落が見下ろせる。


 うっそうとした杉林の中の上りが続き、またひと汗かいて浄蓮庵(じようれんあ
ん)に上がった。

 庵の手前に、「左右内(そうち)の一本杉」と呼ぶ樹高約30m、幹回り7.6m
のスギの巨木が枝を広げ、その下に荘厳な弘法大師像が立つ。


 下り道となり、どんどん下ると、南向きの斜面にへばりつくように、かやぶき屋根
にトタンを被せた家の多い左右内の集落へ。


 家並みの外れの畑に、イノシシの毛皮が10枚くらい干してあった。


 左右谷川を渡って、焼山寺への最後の上りにかかる。一気の上りが続いて足どり
が重く、ひたすらガマンの上りに耐え、12番焼山寺(しようさんじ)に上がった。

 焼山寺の標高は700m、四国八十八か所の中でも3番目の高所にある。

 山門を入り、大きな杉木立の並ぶ境内を進む。車で来た参拝客が何組か見られ
たが、参拝を終えた頃には誰もいなくなった。

 納経所でご朱印をいただき、前回同様、すぐ下にある梅林にシートを広げ、さくら
旅館お接待のおにぎりと缶コーヒーをいただく。

 おにぎりはとても粘り気があり、おかみさんの心温まるメッセージも入っていて、
読ませてもらいながらおいしく味わった。

 下り道の途中で、中年の男性と若い女性遍路を抜き、番外霊場杖杉庵(じようさ
んあん)に手を合わせる。

 お堂の横に弘法大師と衛門三郎の像があり、イチョウの大木が枯れ枝を高く伸
ばしていた。

 すぐ先から梅林を下り、さらに杉林を下って鍋岩集落に入る。バス終点の広場
に「おへんろ駅」と呼ぶ休憩所があり、ベンチやテーブルが置かれていた。

 そばのうどん店と、隣のすだち館とよぶ店にそれぞれ無料休息所がある。うどん
店の方に声をかけられたので入り、カボスや菓子などをいただく。

 途中で追い抜いた若い女性も立ち寄る。彼女は徳島市内に住み、焼山寺のふん
いきが好きで日帰りでよく来て、今日は8度目とのことだった。

 その先の阿部酒店のところから玉ヶ峠への遍路道に入るのだが、手前の交差点
で地図を確認していたら、それを見ていたうどん店の奥さんが追いかけてきて、こ
の道を上がるようにと教えてくれた。

 以前の遍路道と違うように思ったが、その道に入ったら、やはり玉ヶ峠に向かう
車道だった。新しい道をたどるのも良いと思い、そのまま進むことにする。

 車道なので、遍路道よりかなり迂回するので距離は伸びるが傾斜は緩やか、車
も来ないので上り道としては楽だった。

 途中の庄部(しようぶ)集落は、かやぶき屋根にトタンを被せた古い家が多く、黄
色く色づいたスダチがたくさん実っていた。

 峠の近くで遍路道と合し、峠にあるお堂で小休止する。お堂と道路を挟んだ北側
には、古い石仏が並んでいた。


 この先、今日の宿のある本名(ほんみよう)までは、下り一方の車道が5㎞近く続
く。最初の集落府中(ふぢゅう)からは、鮎喰川(あくいがわ)を挟む谷間の集落など
が見下ろせる。


 2つめの集落、宮分(みやぶん)の家並みの終わるあたりに、昨年9月に完成した
ことを記した「ヘンロ小屋36号神山」があった。

 ちなみに、「ヘンロ小屋○○号」というのは、四国霊場を巡る遍路道89か所に、
歩き遍路のための休憩所をボランティアで造ろうという、近畿大の歌 一洋教授を
中心に進めている小屋のひとつ。現在、39号まで完成している。

 小屋づくりは、地域の人たちや企業の協力を得ており、小屋の設計には、その土
地の風土、伝統文化、建築文化、空海の思想などを生かして歌教授があたっている。

 この小屋づくりをサポートする、『「四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト」を支援
する会』があり、私も会員のひとりである。

 この会の活動内容や、ヘンロ小屋のある場所などは、下記Webをご覧下さい。
 http://www.geocities.jp/henrogoya/


 見ごろの白梅が咲き競う長代集落を通過し、17時05分に植村旅館に着いた。
この宿も、おかみさんの対応が気に入り、3度目の宿泊、相部屋と聞いていたが、
2階の東側の部屋をひとりで与えてくれた。

 夕食の席で、2階の隣部屋は安楽寺宿坊で同宿した大阪の若い男性、1階の部
屋に徳島県の立江寺近くの出身で鹿島アントラーズ本拠地近くに住むという千葉
県の男性と、後から来た7番十楽寺近くから歩いて来たという横浜市の男性が相
部屋ということが分かった。

 【コースタイム】さくら旅館6:39ー11番藤井寺7:13~23ー瑞山休憩所7:46~53ー
 長戸庵8:42~49ー柳水庵9:50~10:00ー浄蓮庵10:51~11:00ー左右内の車道
 11:35ー12番焼山寺12:39~13:03ー梅畑(昼食)13:06~36ー杖杉庵13:59~
 14:00ー鍋岩のおへんろ駅&無料休憩所14:29~50ー玉ヶ峠15:44~50ーへんろ
 小屋36号神山16:11ー植村旅館17:05

 (天気 快晴後晴、距離 26㎞、歩行地 吉野川市、神山町、歩数 47,600、
  遍路地図 12-2、14-1図)

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