あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

秩父・羊山公園から横瀬へ(埼玉県)

2007-11-15 23:49:31 | カントリーウオーク
 10月14日(水)は「埼玉県民の日」になっている。

 明治4年(1871)11月14日は、埼玉県が誕生した
日で、それから100年目の昭和46年(1971)に、
「県民の日」に定められ、毎年、記念行事が開催され
ている。

 その一環として今年も、JRをのぞく県内の私鉄が、
1日中、埼玉県内を乗り放題のフリー乗車券を発売
した。

 私の地元、西武鉄道でも、460円のフリー乗車券を
発売したので、これを利用して西武秩父線の終点、
西武秩父駅まで行き、近くを歩こうと、朝起きてから
考えた。

 普通運賃だと、西所沢駅から西武秩父駅まで片道
510円、ひとつ手前の横瀬駅でも480円だから、
半額以下で往復できることになる。

 ではどこを歩くか…、とりあえず駅前のコンビニで、
2万5千分の1地形図の秩父駅周辺をコピーして
電車に乗る。

 車中で考えた結果、西武秩父駅から羊山公園に
上がり、隣の横瀬(よこぜ)駅周辺にある横瀬町の
一番から十番までの小字(こあざ)を回ることにした。



 フリー切符を利用する人が多いのか、飯能発
西武秩父行き電車は満員。結局、横瀬まで、座
れなかった。

 西武秩父駅に接する仲見世通りで弁当を買い、
11時32分に駅を出た。 

 西武秩父駅から羊山公園へは、南東に見える
台地に向かって上がる。

 上り道の途中に水車が回り、その水源になって
いる「牧水の滝」と呼ぶ細い滝が落ちていた。
 
 若山牧水が大正年間にこの地を数回訪れたこと
から、人工の滝をしつらえ、「牧水の滝」と名づけ
たのだという。

 羊山公園からは、北に両神山が、眼下には秩父市
の中心街が一望できる。

 西には奥秩父の山並みが望まれるが、この日は少
し霞んでいた。

 公園の東端にある武甲山資料館に入り、武甲山の
動植物や石灰岩などについての展示を観覧した。

 県民の日のこの日は無料だった(平常は大人200円)。

 羊山公園を南西に下り、西武秩父線の線路をくぐ
り、横瀬町に入り、最初の小字、九番に上がった。

 新しい住宅地の一角から、逆光の武甲山が望まれる。

 
 近くの墓地のところからは、南東に二子山の特徴
あるピークが見える。

 左下のプラントは、横瀬駅近くにある三菱マテリアル
の工場。

 東に下り、横瀬駅の西側まで進み、八番に向かって
小さい川沿いの細道を進む。

 川を渡って車道に出たところに、八坂神社があった。
覆屋内の小さい社殿は、精巧な木彫に飾り立てられて
いる。

 社殿横にベンチがあったので、昼食をした。

 八番の集落を南へ、途中から西側の旧道を経て七
番の集落に入る。

 集落の中心にある交差点際に、昭和天皇の御製碑
が立っていた。

 昭和42年10月25日、第22国体の際、秩父地方を
巡察され、この地に咲くきぶねぎくに目を止められて
詠(よ)まれた、
  「山裾の田中の 道のきぶねぎく 
    ゆふくれなゐに にほへるを見つ」 が刻まれて
いる。


 すぐ近くに、「おきうね農園」という農産物の直売場が
あった。

 入ってみると、農産物のほかにジェラードと呼ぶ果物
やワイン入りのソフトアイスを販売していたので求めて、
乾いたのどを潤した。

 少し先に上がると、「ひゃくいちたんぼ」の道標が立
っていたので、休耕田沿いの山道に入る。

 林間の小さい峠を越えて下ると、小さい棚田があった
ようだが、現在は休耕田で雑草地に変わっていた。

 さらに下って宇根集落に入ると、くぬぎの古木をくり
ぬいた花壇がある。

 横瀬町内には、ほかにも同様な花壇が何箇所かで
見られた。

 集落を北東に抜けると西武線の線路下に出た。見
上げる横瀬駅構内の線路の片隅に、野ざらしの古い
SLが見えたので、土手を上がって撮る。

 塗装がはげ落ちて見るも無残な姿をさらしている。

 雑誌「鉄道ピクトリアル」の増刊号「特集 西武鉄道」
には、1937年3月29日、東村山~小川町間で客貨
混合列車を引く4号機関車の写真がある。

 70年前に現役だったわけで、歴史に残るものなの
だろうから、雨露を避けて保存して欲しいものだ。

 東側の県道に出て、ダンプの交通の多い道を三菱
マテリアル工場の南に進み、線路から離れて横瀬川
左岸に並行する一番に進む。

 石灰石輸送のダンプが通る車道を一番の南端まで
進み、採石場のそばでV字状に折り返して横瀬川の
右岸沿いに北へ向かう。

 折り返し点付近からの砕石工場と見上げる武甲山。


 横瀬川の支流の中野橋を渡ると間もなく、秩父三十
四か所観音霊場第8番札所西善寺が見えた。

 りっぱな本堂前に、樹齢600年近いというコミネ
カエデの古木がある。こんなに太くて大きく枝を広
げたカエデは見たことがない。

 11月からの紅葉期間中は拝観料200円が必要。
しかしまだ見ごろには少し早かった。

 近くにあった武甲山御嶽神社里宮にも寄る。そば
に城谷沢の井という湧水があり、秩父絹発祥の地の
標識もあった。

 このあたりは小字二番。西武秩父線鉄道橋の下を
北に抜け、左岸の黄葉が見ごろな小島沢川の権現橋
を渡り、小字四番に上がる。

 観光客の多くが訪れる小松原農園の横を進み、
秩父観音霊場6番卜雲寺(ぼくうんじ)へ。

 高台にあり、南にそびえる武甲山を背に、6地蔵
が並んでいた。

 境内の下には「おねがい地蔵」の小さな地蔵堂が
ある。

 徳川8代将軍吉宗の時代の、元文2年(1737)
に創立されたもので、病気平癒や子育て、身体健全
などを願う人たちの信仰を集めているという。

 日が傾き、涼しくなってきた。五番の集落を西に
向かい、秩父観音霊場7番法長寺へ。ここの本堂も
どっしりと大きい。

 境内からは、石灰岩の採石で形の変わった夕暮れ
の武甲山北面が一望出来る。

 
 国道299号を横切り、小字六番にある秩父観音
霊場9番明智寺に、この日最後の参拝をする。

 開放的な境内、お堂は小さめで、中に「千匹猿」
と呼ぶ奉納品が吊されていた。

 堂内を掃除していたご住職に伺うと、安産を願う
地元の人が、午年のご開帳のときに納めたとのこと
だった。

 開放的な境内の一隅に4月と10月の2回花が咲
き、心の迷いを癒してくれるという、「二度桜」が花
を開いていた。

 日暮れ手薄暗くなった16時40分、西武秩父線
横瀬駅に着いた。

(天気 晴、距離 14㎞、地図(1/2.5万) 秩父、
 歩行地 秩父市、横瀬町)
 
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