フランスで南京虫騒動が報告されると、韓国でも騒ぎになった。いかにも流行に敏感な韓国らしい。
10年前にスペインに行った友人が南京虫にやられた時に自分の体験も書いたが、これも中国騒動の一環だろうか。(南京虫だ)
と言っても、南京虫は中国の責任ではない。一万年以上前から、人類とともに移動してきたらしい。
南京虫の名前は幕末に海外から来た小さなものには何でも「南京」と付けたことが由来で、渡来物に付ける冠詞は、唐(から)、天竺、ジャガタラ、南蛮、オランダ、唐(とう)、南京、台湾、フランス、メリケンなど、時代時代で変わる。何か珍しいワケの解らないものには何でも、こんな冠詞を付けたようだ。
江戸っ子がよく「変な」と付けるのもこれに似ている。古い江戸っ子の「このトウヘンボクめ!」は「変な奴、変わり者」の意味で、元はマッチのことを「唐変木=唐の変わった木」と呼んだのが始めだろう。
関西はボキャブラリーが豊富なので、これと言って思いつかないが、「ヘエみたいな」も「変わった」ものへの冠詞かも知れない。
幕末維新の貿易には欧米との仲介をする中国人が幅をきかせていたので、輸入品に紛れ込んだトコジラミが話題になって南京虫の名前が付いたのだろうが、日本にはもっと昔、おそらく太古からいた。
これらワケの解らないものに付ける冠詞には、舶来ものに対する不安や恐れや憧れがあって、本来は必ずしもバカにしていたものではない。戦国、幕末、終戦後に日本にやってきた「外人」は日本人の好奇心に驚いている。
今なら、間違いなくヘイトと言われるだろう、野口雨情の『南京言葉』、「南京さんの言葉は南京言葉・・・」もエキゾチックなものへの憧れに他ならない。