魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

水に流す

2023年10月25日 | 日記・エッセイ・コラム

中国は、核汚染水打撃作戦、海鮮禁輸の失敗が明白になって来ると、即座に作戦変更を始めた。
駐日領事が日本の魚は美味いと言ったり、どうでも良いような「条件」が調えば解決すると、撤退を臭わせる動きを見せている。

またも、またも始めた、「押してもダメなら引いてみな」のご都合戦術だ。
中国流の二者択一の徹底した現実観。事実は一つしかない、右でなければ左と行動を変える思考には、「心」という日本人の最も重視するデリカシーは皆無だ。
これは日中どちらも両極端で、互いに、「何でこんなことが解らないのか」と腹を立てる。
中国人にすれば、「フタを開けて空なら別のフタを開けるのは当然じゃないか」と思うだろうし、日本人にすれば「あれだけのことをしておきながら、良くも平気で顔を出せるものだ」と思うだろう。

こうして何度腹を立てても、日本人はすぐ「水に流し」てしまうが、中国人はチョイスを変えるだけで、事実は決して捨てない、流さない。情況によってまた使う。日本人は過去を忘れるが、感情が蓄積していく。
現実思考の中国人は相手の行動を観察するが、精神思考の日本人は相手を定義する。「あんな奴ら」だと決めつけたり、「良い人だ」と信じ込んだりする。何れも時間を掛けてそう思い込み、相手の目の前の現実行動を見落とす。
「中国はしたたかだ」と畏れる人は、物事を思い込みで見て、現実の動きを見ないから、意表を突かれ、先手を打てない。

前より背後が怖い
トランプは、誰でも自国優先だと言った、これが商売の原則だ。商売は儲けるためにある、福祉事業ではない。商売感覚では、タダほど高い物はないし、元手の掛からない商売もない。外交戦は商取引だ、利のない動きはないし、元金保証などどこにもない。
藤井八冠誕生で、あんなに先を読めるなら外交をやってもらいたいと『TBタックル』で話していたが、
外交は将棋ではない麻雀だ。相手は理詰めでもないし一人でもない。誰かが儲ければ誰かが損をする。Aを上がらせないためにBに振り込むこともある。自分の手に惚れ込んでいる間に上がられる。ほとんどの場合、日本人は自分の手に惚れ込んで、安い手に振り込んだり、口三味線に踊らされる素人だ。将棋発想はむしろ危ない。理詰めのエリート軍人や官僚が招いたのが敗戦だ。
先を読むより先ず今の敵、視界の外、後ろの敵こそ恐ろしい。

今起きていることの本質は、派手な惨状や被害者、正義の旗、誰が得をするかでは解らない、事態の「意味」を知ることが先だ。理屈や知識で過去の大戦争を説明できるだろうか。個々の状況説明はできても、何でそんなことが起こったかの論理的な説明は不可能だろう。歴史の衝動、人類の性としか言いようがない。
ウクライナ戦争の犯人をプーチンやロシアと決めつけたのでは何も解らない。喧嘩には相手がある。中国の横暴を習近平や中華思想と決めつけても止められない。中国共産党を怪物にしたのは世界の欲望だ。

世界がどう動こうと、日本人はまた、水に流して忘れようとするだろう。それは、当面の苦痛を無いことにしたいからで、しばらく経てばまた大陸トラップで同じ失敗を繰り返す。今こそ、外国式のしつこさを学び、日本人の反省好きを活かし、大陸対応を長期ローンと心得て、長い時間を掛けながらのらりくらりとフェイドアウトしていくしかないだろう。