首相秘書官が、LGBTや同性婚に対し嫌悪感を漏らして更迭された。
「同性婚は生産性がない」と同様で、叩いても叩いても出てくる。慌てて更迭すること自体、この政府あるいは政治家の、欺瞞政治が現れている。心にもない政策を行っているから、覚られまいと慌てる。
秘書官の言葉は、政官界の共有する本音だから、オフレコで気を抜くと溜息のように普通に出てくる。もしかすると、報道関係者も「だよな」「だよね」と、日頃話していて、秘書官は思いがけない、寝首をかかれたのかも知れない。
また、裏読みすると、実は自分自身がLGBTで、それを覚られないために過剰な嫌悪感を語ったとも考えられる。表現の過激さからすると、こちらの方が解りやすい。過剰な抑圧環境が、その反対の現象を生むことは多々ある。
いずれにせよ、政官界の本音は硬直的な非多様性だ。
なぜ政官界に非多様性が根深いのかは、おそらく優等生が多いからだろう。優等生はその社会の伝統的価値観を最も体現する人だ。
多様性を改めて取り上げなければならないほど、日本の、と言うより世界の伝統的価値観は因習に偏っている。
この点で、復古を目指すタリバンは正直だが、人権を取り上げる人々が、身も心もジェンダーと無縁かと言えばそうではない。むしろ自身の中にある偏見と闘っているから熱心ではないのか。「まあ、いやらしい!」と言う人は、大体その人がいやらしい。
一夫一婦をマネする母系ハイブリッド日本
裸に無頓着な江戸に来た欧米人は、人前で授乳する母親や混浴に驚愕し、シュリーマンは外国人を見に銭湯から裸で出てきた人々に囲まれて困惑した。南の島に渡った宣教師は裸を禁じた。つまり、エデンの園から追われた欧米人は裸に対する羞恥心と妄想が根強く、イチジクの葉が無ければならなかった。だから、彼らにとって、トップレスやヌーディストのように、過激に裸になることは、神からの解放か、逆に本来の神への回帰を意味する。
それと同じように、人権や女性の権利を訴える人は、自分の中にある潜在的因習を社会に強制されていると受け止め、社会を改めようとする。一人自分が自信や納得で生きていれば良いものではない。だから他国に対しても、様々な注文をする。反戦とはまた異なる運動だ。アメリカが人権を叫ぶのも、内戦までして脱却しようとした奴隷大国の内的葛藤があるからだ。
日本の政官界は、中華の男尊女卑の伝統で、欧米の「イチジクの葉」の価値観を見習った優等生であり、氏族の伝統や帝国時代の法秩序の概念から抜けられるわけがない。
であるにもかかわらず、神からの解放を目指す欧米自身の人権トレンドを、ようやく帝国主義のモノマネが身についたばかりの優等生が表面面だけ合わせようとしている。
いかにマネしたら良いかだけを考えているから、夫婦別姓どころか、本音がボロボロ出てきて慌てる。このニュースに先進サミットの6カ国は、「やっぱり、日本は・・・(後進国だ)」と、改めて納得している。
マネするなら精神を理解し、欧米の先を行かないからバカにされる。一夫一婦の婚姻制度そのものを廃止し、税制も全く違う概念にしたらどうか。律令時代からの家族単位の個人所得税など止め、食以外を全面消費税にすれば、結婚がネックの少子化問題も解決し、税に関わるややこしい手間も減り、国が活性化する。(所得税計算に一体どれほど経済ロスがあるか専門家は一度、計算して欲しい)
しかし、まあ、絶対にそんなことはできないだろうし、思いも及ばないだろう。
であるなら逆に、あらゆる世界の秩序常識から離れ、原始日本の母系社会を再現し、母系による家督相続で税制を考えてはどうか。これも、少子化には確実に歯止めがかかる。中華思想の男系以前は、女が自由に子供を産んでいた。男系に拘ると行き詰まる。
欧米式人権の進歩にもついて行けず、原始日本にも帰れず、産業革命パラダイムの後遺症に悩み少子化対策を考える。
日本に本当の政治があるなら、高度成長の穴埋めに頭を悩ますより、少子化時代に対応するビジョンとは何かを考え、それを実現する政策を打ち出す・・・はずなのだが。