魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

隔世の感

2015年10月24日 | 日記・エッセイ・コラム

百均のレジに並んでいた。
レジは同じカウンターに、出口側、店内側と並んでいて、カウンターの向かいに商品棚があるので狭く、レジ前はようやく人がすれ違えるぐらいの広さしかない。
店内側のレジの後ろに、1列に2人ほど並んで待っているから、その後ろに並び3人目になった。

出口側の客が終わって出るので、並んでいた先頭の客が出口のレジに移動した。すると、30代のスリムな女性が後ろから来て、残った2人の列を越して、出口側に移動した先頭の客の後ろに付いた。結果的に、店内側レジの客の外側に立って、平行2列になった。
『はあ~!?』と思って見ていると、時計を見てせわしそうにしている。
『急いでいるんだな』と、思ったから、自分の番が来たら、譲ってあげることにした。
まさか、並んでいるこちらが見えていないとは思わなかった。

ここで、店内側の客が出ると、その次の客が店内側のレジに入った。ここまでは、順当だ。
ところが、出口側の客が出ると、当たり前のように、その30代の女性が出口側レジに入った。
後ろに並んでいる客の列には、何の、挨拶も気遣いもない。

様子を見ているうちから、「どうするつもりだろうか」と、あれこれ考えていたが、追い越した意識は全く無いようだ。好意的に考えれば、二つのレジの、それぞれの列の一方に並んだつもりだったのだろう。しかし、普通に、1列に並んでいることは見たら分かるだろうし、分からなければ、並んでいる人に聞くか、顔を見るなどして、暗に確認をする。

譲るつもりではあったが、昨今の礼儀には反している。
思わず、「あんた何人?」と、のど元まで出かかったが、そこは、日本人らしく何も言わなかった。

帰りながら、つらつら考えた。
こんなことで腹を立てるのは、自分も相当、現代日本に浸りきっているようだ。
子供の頃、昭和30年代の日本は、席の奪い合いなど当たり前だった。今の人がそれを聞いても、おそらく絶対信じないだろう。今の日本は、半世紀前の日本とは別の社会だ。
あれやこれや、すっかり、変わってしまった価値観、文化や風俗・・・そんなことを思いながら、ふと、雑誌の一文を思い出した。

お笑い記事だったが、婿養子が気を使う方法の一つとして、温泉旅行で家族風呂に入る時は、姑の身体を恥ずかしそうに見ること、と有ったのを記憶している。
読んだ当時は、姑を女として見てあげる気遣いのことと理解したが、今考えると、シチュエーション自体が、想像もできない。まさに「ありえな~い!」の世界だ。

これだけ変わってしまった日本を掴まえて、70年前に、70年前にと、しつこく責められると、やはりタイムマシーンは必要だと思う。あの人達全員を乗せて、大好きな70年前に送ってあげたい。